- 1 -令和4年(し)第594号検察官がした刑事確定訴訟記録の閲覧申出一部不許可処分に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件令和5年1月30日第一小法廷決定 主文 原決定を取り消す。 本件を東京簡易裁判所に差し戻す。 理由 本件抗告の趣意のうち、判例違反をいう点は、所論引用の判例は所論のような法律判断を示していないから、前提を欠き、その余は、単なる法令違反の主張であって、刑事確定訴訟記録法(以下「法」という。)8条2項、刑訴法433条の抗告理由に当たらない。 所論に鑑み、職権で判断する。 本件は、申立人が、東京簡易裁判所の略式命令により終結した政治資金規正法違反被告事件に係る刑事確定訴訟記録(以下「本件保管記録」という。)の閲覧請求をしたのに対し、本件保管記録の保管検察官が、閲覧を一部不許可とした(以下「本件閲覧一部不許可処分」という。)ため、申立人が東京簡易裁判所に準抗告を申し立てたという事案である。 法2条1項、4条1項、2項、検察庁法2条1項によれば、本件保管記録を保管し、閲覧に関する処分をすべき保管検察官は、略式命令をした東京簡易裁判所に対応する検察庁の検察官である東京区検察庁の検察官である。法8条は、保管検察官の閲覧に関する処分に不服がある閲覧請求者は、その保管検察官が所属する検察庁の対応する裁判所に準抗告を申し立てることができるとしている。 原決定は、申立人宛ての閲覧一部不許可通知書の作成者の肩書が「東京地方検察庁保管検察官」と記載されていることを根拠に、本件準抗告の管轄裁判所は、東京地方検察庁の対応する東京地方裁判所であるとし、東京簡易裁判所に申し立てられた本件準抗告は不適法であるとしてこれを棄却した 庁保管検察官」と記載されていることを根拠に、本件準抗告の管轄裁判所は、東京地方検察庁の対応する東京地方裁判所であるとし、東京簡易裁判所に申し立てられた本件準抗告は不適法であるとしてこれを棄却したものと解される。 - 2 -しかしながら、記録及び当審における事実取調べの結果によれば、本件閲覧一部不許可処分は、検察庁法12条、関係通達に基づき、東京地方検察庁に属する検察官が東京区検察庁の検察官の事務を取り扱ってしたものであると認められる。このように、地方検察庁に属する検察官が区検察庁の検察官の事務取扱いとして保管記録の閲覧に関する処分をした場合、当該区検察庁の対応する簡易裁判所は、法8条1項にいう「保管検察官が所属する検察庁の対応する裁判所」に当たるというべきである。そうすると、東京簡易裁判所は本件準抗告の管轄裁判所でないとして、本件閲覧一部不許可処分の当否を審査しないまま、本件準抗告を棄却した原決定には、決定に影響を及ぼすべき法令違反があり、これを取り消さなければ著しく正義に反するものと認められる。 よって、法8条2項、刑訴法411条1号、434条、426条2項により、原決定を取り消し、本件を東京簡易裁判所に差し戻すこととし、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官安浪亮介裁判官山口厚裁判官深山卓也裁判官岡正晶裁判官堺徹)
▼ クリックして全文を表示