1 令和4年1月20日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官令和3年(ワ)第11663号 発信者情報開示請求事件口頭弁論終結日 令和3年12月8日判決当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり5主文1 被告は,原告に対し,別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由第1 請求10主文同旨。 第2 事案の概要1 事案の要旨本件は,指定商品を被服等とする商標の商標権を有する原告が,インターネットのフリーマーケットサイトに投稿された被服の出品記事において,同商標と同一と認められる標15章が使用されており,これによって上記商標権が侵害されたことが明らかであると主張して,同サイトを運営する被告に対し,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき,被告が保有する同出品記事の投稿者に係る氏名又は名称,住所,電話番号及び電子メールアドレス(以下「本件発信者情報」という。)の開示を求める事案である。 202 前提事実(証拠等の掲示のない事実は,当事者間に争いがない。なお,枝番号の記載を省略したものは,枝番号を含む。)(1) 原告商標権原告は,アパレル製品の製造販売等を取り扱う会社であり,別紙商標権目録記載の商標権を有している(以下「原告商標権」といい,原告商標権に係る商標を「原告商標」とい25う。)。(弁論の全趣旨) 2 (2) 本件記事氏名不詳者は,令和3年3月23日以前に,インターネットのフリーマーケットサイトに別紙投稿記事目録記載の記事を投稿してロングコートを出品した(以下,同氏名不詳者を「本件投稿者」,同投稿を「本件投稿」,同ロングコ ,令和3年3月23日以前に,インターネットのフリーマーケットサイトに別紙投稿記事目録記載の記事を投稿してロングコートを出品した(以下,同氏名不詳者を「本件投稿者」,同投稿を「本件投稿」,同ロングコートを「本件コート」という。)。(甲2)5同記事には,本件コートの商品名として,別紙標章目録記載のとおりの標章が使用されている(以下「本件標章」という。)。(甲2)(3) 本件発信者情報の保有被告は,前記フリーマーケットサイトを運営しており,本件投稿に関してプロバイダ責任制限法4条1項の「開示関係等役務提供者」に当たり,本件発信者情報を保有している。 10(4) 本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由原告は,本件投稿者に対して不法行為に基づく損害賠償請求権を行使することを予定しており,本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由がある。(弁論の全趣旨)3 争点本件の争点は,本件投稿によって原告商標権が侵害されたことが明らかであるか否かで15あり,これに関する当事者の主張は次のとおりである。 【原告の主張】本件投稿は,原告商標の指定商品である被服に関する広告,取引書類に,原告商標と同一と認められる標章を付して展示して,本件標章を使用しているから,これによって原告商標権が侵害されたことは明らかである。また,本件コートは,原告が販売を予定してい20た商品であるものの,その販売は全て中止したため,原告が流通過程に置いたものは存在しないから,実際に流通していた商品である旨の被告の主張は失当であり,上記商標権侵害は違法である。 【被告の主張】原告の主張は争う。本件投稿者は,被告からの意見照会に対して,本件コートは海外の25インターネットショッピングサイトで購入したものであって,同サイトでは転売を禁止す 3 。 【被告の主張】原告の主張は争う。本件投稿者は,被告からの意見照会に対して,本件コートは海外の25インターネットショッピングサイトで購入したものであって,同サイトでは転売を禁止す 3 るなどの説明は付されておらず,また,本件コートは実際に流通していた商品であるなどと回答しており,これを事実として検討すれば,本件投稿における本件標章の使用によって原告商標権が侵害されたことが明らかであると判断することはできない。 第3 当裁判所の判断1 争点(本件投稿によって原告商標権が侵害されたことが明らかであるか)について5原告は,本件標章の使用により原告商標権が侵害されたことが明らかであると主張するので,検討する。 本件標章は,ローマ字部分と片仮名部分によって構成されているが,その態様に照らし,両部分を分離して観察することが取引上不自然と思われるほど不可分的に結合しているものとは認められず,同ローマ字部分を分離して観察することが許されるというべきである。 10そこで,原告商標ではなく上記ローマ字部分が同一又は類似の商品(被服等)に使用されたとき,商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かについてみると,両者は,称呼と観念が同一であり,外観も,字体,フォント,飾り文字の使用,「Petit」と「Robe」との間の小間隔の有無,構成が1段か2段かなどの点については僅かな違いがみられるが,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して,被服の取引の実情に照らして全15体的に考察すれば,上記相違点は両者の同一性を左右するものではなく,商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるというべきである。そうすると,原告商標と本件標章は類似しているというべきであるところ,前記前提事実によれば,本件投稿は,インターネット るものではなく,商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるというべきである。そうすると,原告商標と本件標章は類似しているというべきであるところ,前記前提事実によれば,本件投稿は,インターネットのフリーマーケットサイトにおいて,原告商標の指定商品である被服に関する広告を内容とする情報に,原告商標と類似する本件標章を付して電磁的方法により提供したもの20であるから(商標法2条3項8号),本件標章の使用により原告商標権が侵害されたことが明らかであるといえる。 これに対し,被告は,本件コートは本件投稿者が海外のインターネットショッピングサイトで購入したものであると主張するが,上記説示を左右するものではなく,商標権の侵害行為が違法性を欠くと認めるに足りる事情の主張立証がされているとはいえない。また,25被告は,本件コートは実際に流通していた商品であるとも主張するが,証拠(甲4,5, 4 6,7)によれば,原告は,令和2年10月頃,販売予定であった本件コートを97着制作したものの,その後,本件コートの販売中止を決め,令和3年1月頃,制作済みの97着を全て廃棄し,別途制作していた本件コートのサンプル品2着についても仕入先に返却したことが認められる。そうすると,原告が自ら本件コートを流通過程に置いたとは認められず,その他の証拠を精査しても,本件投稿による原告商標権の侵害を否定すべき事情5は認められない。そうすると,被告の上記各主張はいずれも採用できない。 したがって,本件投稿によって原告商標権が侵害されたことが明らかであると認められる。また,前記前提事実によれば,プロバイダ責任制限法4条1項が規定するその他の要件の充足も認められる。 2 結論10以上によれば,本件請求は理由があるからこれを認容することとして,主文のとおり また,前記前提事実によれば,プロバイダ責任制限法4条1項が規定するその他の要件の充足も認められる。 2 結論10以上によれば,本件請求は理由があるからこれを認容することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47部 15 裁判長裁判官田中孝一 20 裁判官鈴木美智子 25 5 裁判官稲垣雄大 6 (別紙)当事者目録 原告 株式会社ストライプインターナショナル 同訴訟代理人弁護士柿田徳宏 被告株式会社メルカリ 同訴訟代理人弁護士両角禎憲 7 (別紙)発信者情報目録別紙投稿記事目録記載の記事を投稿した者に関する以下の情報① 氏名又は名称② 住所③ 電話番号④ 電子メールアドレス 8 (別紙)投稿記事目録URLhttps://(以下省略)出品者名(省略)出品名Maison de FLEUR Petite Robe ロングコートメゾンドフルール 9 (別紙)商標権目録登録番号第6194043号登録日令和元年11月1日商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務 10 商標の構成 商標の構成
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