(別紙及び別表は,添付省略。)平成27年12月15日判決言渡平成26年第18号不動産登記申請却下処分取消請求事件判決主文 1 奈良地方法務局登記官が原告に対し平成25年11月25日付けでした原告の同法務局同月13日受付第48644号登記申請を却下する旨の決定を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求の趣旨主文同旨第2 事案の概要 1 本件は,原告が,別紙物件目録記載の土地(以下「本件土地」という。)の持分につき,登記名義人の相続人らに代位して,相続を原因とする持分全部移転登記を申請した(以下「本件申請」という。)ところ,処分行政庁から不動産登記法(以下「法」という。)及び不動産登記令(以下「令」という。)所定の登記原因を証する情報(以下「登記原因証明情報」という。)の提供がないことを理由に本件申請を却下する旨の決定(以下「本件処分」という。)を受けたため,被告に対し,その取消しを求めた事案である。 2 関連法令の定め等権利に関する登記の申請は,法令に別段の定めがある場合を除き,登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならないが(法60条),相続による権利の移転の登記は,登記権利者が単独で申請することができる(法63条2項)。 ア権利に関する登記を申請する場合には,申請人は,法令に別段の定めが ある場合を除き,その申請情報と併せて登記原因証明情報を提供しなければならない(法61条)。法63条2項に規定する相続による権利の移転の登記を申請する場合の登記原因証明情報は,相続を証する市町村長,登記官その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては 法63条2項に規定する相続による権利の移転の登記を申請する場合の登記原因証明情報は,相続を証する市町村長,登記官その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては,これに代わるべき情報)及びその他の登記原因を証する情報とされている(令7条1項6号,別表22項)。 イ令7条1項6号,別表22項所定の登記原因証明情報は,① 被相続人が死亡して相続が開始していること,② 当該相続による登記の申請人が被相続人の相続人であること,③ 相続人の相続分が明らかであることに加え,④ 他に相続人がいないことを証するものでなければならないところ,「他に相続人がいないこと」を証するために提供すべき情報は,原則として,被相続人の15~16歳頃から死亡までの間の連続した戸籍・除籍謄本によるべきものと解されている(乙3,弁論の全趣旨)。 ウもっとも,登記実務上,保存期間満了による廃棄処分や戦災・震災による焼失等の理由により,戸籍・除籍謄本が提出できない場合には,その旨を記載した市町村長の証明書に加えて,「他に相続人はいない」旨の相続人全員の証明書(印鑑証明書付きのもの。以下,単に「相続人全員の証明書」という。)を提出する取扱いによっても差し支えないものとされている(昭和44年3月3日民事甲第373号民事局長回答・民事月報24巻4号263頁〔乙9〕,昭和58年3月2日民三1311民事局第三課長回答・民事月報Vol.38 No.7 170頁〔乙10〕)。 エさらに,登記実務上,確定判決の理由中において甲の相続人は当該相続人らのみである旨の認定がされている場合は,相続人全員の証明書に代えて,当該判決正本の写しを相続を証する書面(登記原因証明情報)として取り扱って差し支えないものとされている(平成11年6月22日民三1 ある旨の認定がされている場合は,相続人全員の証明書に代えて,当該判決正本の写しを相続を証する書面(登記原因証明情報)として取り扱って差し支えないものとされている(平成11年6月22日民三1259号民事局第三課長回答・民事月報Vol.55 No.7 219頁〔乙4。以 下「本件回答」という。〕)。 登記官は,申請情報が提供されたときは,遅滞なく,申請に関するすべての事項を調査しなければならず(不動産登記規則57条),法61条の規定により申請情報と併せて提供しなければならないものとされている情報が提供されないときは,登記の申請を却下しなければならない(法25条9号)。 3 前提事実(証拠等の掲記のない事実は,当事者間に争いがない。)本件土地本件土地について,昭和11年12月2日売買を原因として,A及びBに対し,持分各2分の1の所有権移転登記がされている。 別件訴訟ア原告は,A及びBの相続人らに対して,本件土地につき昭和49年9月不詳売買を原因とする所有権移転登記手続を求める訴訟を提起した(奈良地方裁判所平成25年第334号。以下「別件訴訟」という。)。 別件訴訟において,A関係で被告とされたのは,別紙「被相続人A相続関係説明図」(以下「別紙関係図」という。)に「相続人」と記載されている12名である(以下「別件訴訟被告ら」という。ただし,CとDの間の四女であるEを除く。同人は,F及びGの養子であるE1と同じである。 また,CとDの間の三男であるHは,F及びGの養子であるH1と同じである。)。 イ原告は,別件訴訟において,請求原因として,Aの相続関係について,次のとおり主張した(甲5)。 Aは,昭和18年10月31日に死亡し,Cが家督を相続した。Cは,昭和25年8月7日に死亡し,前妻であったDとの間の子 おいて,請求原因として,Aの相続関係について,次のとおり主張した(甲5)。 Aは,昭和18年10月31日に死亡し,Cが家督を相続した。Cは,昭和25年8月7日に死亡し,前妻であったDとの間の子であるGら8名,妻であるI及びCとIとの間の子であるJが相続した。その後,平成22年12月4日にGが死亡し,長男であるKら6名が相続した。詳細は,別紙関係図のとおりである。 ウ別件訴訟被告らは,いずれも,平成25年9月5日に開かれた第1回口頭弁論期日に出頭せず,答弁書その他の準備書面を提出しなかった。 奈良地方裁判所は,同日,弁論を終結した上,別件訴訟被告らにおいて請求原因事実を争うことを明らかにしないものとして,これを自白したものとみなし,民訴法254条1項1号の規定により,判決書の原本に基づかないで,原告の請求を認容する判決を言い渡し,同裁判所の裁判所書記官は,判決書の作成に代えて,主文,請求及び理由の要旨等を記載した第1回口頭弁論期日の調書を作成した(以下「本件調書判決」という。)。 その後,上記判決は確定した。 本件申請ア原告は,平成25年11月13日,処分行政庁に対し,本件土地のA持分について,昭和49年9月不詳売買の共有者全員持分全部移転登記請求権を代位原因として,Aの相続人らに代位して(別件訴訟被告らと同一ではなく,Cの妻及び子ら〔ただし,C死亡前に死亡したD及びLを除く。〕である。以下「本件被代位者」という。),昭和18年10月31日C家督相続・昭和25年8月7日相続を原因とする持分全部移転登記を申請した(乙2)。 イその際,原告は,登記原因証明情報として,① Aの相続人らに係る現存する戸籍・除籍謄本,② Cの出生(明治36年7月4日)から大正11年12月15日(大阪市東区a町b丁目c番地に筆頭 乙2)。 イその際,原告は,登記原因証明情報として,① Aの相続人らに係る現存する戸籍・除籍謄本,② Cの出生(明治36年7月4日)から大正11年12月15日(大阪市東区a町b丁目c番地に筆頭者をAとする戸籍〔甲6の1の除籍謄本に係るもの〕が作成された日の前日である。当時,Cは19歳であった。)までに係る除籍謄本が戸籍法施行規則所定の保存期間(80年)の経過により廃棄済みである旨の大阪市の区長の証明書,③本件調書判決の正本を提供した(甲5,6の1~22,弁論の全趣旨)。 本件処分処分行政庁は,平成25年11月25日,必要な登記原因証明情報が提供 されていないとして,本件申請を却下した。 審査請求原告は,奈良地方法務局長に対し,平成25年12月27日,本件処分を不服として審査請求したが,奈良地方法務局長は,平成26年3月28日,これを棄却する裁決をした。 本件訴えの提起原告は,平成26年8月27日,本件訴えを提起した(当裁判所に顕著)。 4 争点及びこれに関する当事者の主張本件の争点は本件処分の適法性であり,具体的には,本件調書判決が令7条1項6号,別表22項所定の登記原因証明情報といえるか否かである。 被告の主張ア権利に関する登記の申請の場合,登記官は,申請人が「登記原因を証する情報」を提供したか(法61条)を審査することになるが,ここにいう「証する」とは登記原因の存在の確信に至らないまでも,「有理性」,すなわち,つじつまが合っているものである必要がある。登記官には実質的審査権はなく,審査に当たっては,申請人から提供された登記原因証明情報と既存の登記記録のみに基づいて審査することになるから,当該申請に係る権利が可能な限り実体的権利関係に符合するものとして公示に供し得るかを適切に 査に当たっては,申請人から提供された登記原因証明情報と既存の登記記録のみに基づいて審査することになるから,当該申請に係る権利が可能な限り実体的権利関係に符合するものとして公示に供し得るかを適切に審査するためには,申請人から登記原因証明情報が不足なく提供されることが必要不可欠であり,特に,相続を原因とする登記申請は,登記権利者である相続人が単独でできることから,申請人においては,客観性の高い登記原因証明情報を全て提供することが要求される。 イ現存する戸籍・除籍謄本の記載だけでは「他に相続人がいないこと」の確認ができない場合,申請者は,公務員が職務上作成した情報に代わるべき情報を提供しなければならないが(令7条1項6号,別表22項),いかなる情報がこれに該当するかについては,登記官が形式的審査権を有する にとどまり,かつ,相続を原因とする登記は登記権利者である相続人が単独で申請できることに照らし,戸籍・除籍謄本と同程度に実体的権利関係を証すると認められる真正の担保力が高く,かつ,客観性の高いもので,登記官の形式的審査になじむ一定程度以上の定型的な証明力を有する書面である必要があるものと解される。 相続人全員の証明書は,上記の各要件を満たすものと解されるから,戸籍・除籍謄本のみでは相続関係を正確に証明することができない場合は,原則として,相続人全員の証明書の提供を要するというべきである。 ウもっとも,登記実務上,確定判決の理由中において「他に相続人がいないこと」が認定されていることが明らかといえる場合には,提供できない戸籍・除籍謄本に代えて当該確定判決の正本の写しを提供する取扱いによっても差し支えないとされている(本件回答)。 これは,民事訴訟においては,当事者双方が裁判に出席し,審理の対象について実質的に争われた上 謄本に代えて当該確定判決の正本の写しを提供する取扱いによっても差し支えないとされている(本件回答)。 これは,民事訴訟においては,当事者双方が裁判に出席し,審理の対象について実質的に争われた上,証拠に基づいて判決が言い渡されるとの手続構造となっているため,相続を原因とする登記の場合であっても,そのような証拠調べ手続が執られた結果,判決の理由中で証拠に基づき「他に相続人がいないこと」が明確に認定されていれば,そのような判決書は,戸籍・除籍謄本と同程度の証明力を定型的に有するものと認められる情報といえるからであると解される。そして,かかる確定判決は,戸籍・除籍謄本で確認できない相続人の有無を,訴訟手続内において,被相続人とその相続人の身分関係を最もよく知り得る立場にある戸籍・除籍謄本によって判明している相続人の認識によって証明するものであって,実質的には,相続人全員の証明書と同程度の証明力を有すると評価できるから,当該確定判決の正本の写しは,戸籍・除籍謄本と同程度に実体的権利関係を証すると認められる真正の担保力が高い情報で,かつ,客観性の高い登記原因証明情報といえる。 そうすると,確定判決の理由中において,証拠(弁論の全趣旨を含む。)に基づいて,「他に相続人がいないこと」が認定されている場合に限っては,当該確定判決の正本の写しは相続人全員の証明書と同様,公務員が職務上作成した情報に代わるべき情報に該当するといえる。 これに対して,擬制自白により認定された調書判決は,特定の当事者間において,被告とされた者が何ら争わず,また,証拠に基づかないまま,原告の主張どおりに被告とされた者の自白が擬制されて請求が認められるという相対的なものにすぎないから,他に相続人が存在する可能性を払拭できず,「他に相続人がいないこと」の真正が一 に基づかないまま,原告の主張どおりに被告とされた者の自白が擬制されて請求が認められるという相対的なものにすぎないから,他に相続人が存在する可能性を払拭できず,「他に相続人がいないこと」の真正が一定以上の証明力をもって担保されるわけではない。 そうすると,擬制自白により認定された調書判決を登記原因証明情報として,相続を原因とする登記申請を受理した場合,戸籍・除籍謄本によっては他に相続人が存在する可能性があることが理論的には明らかであるのに,これが存在しないかのような実体的権利関係に符合しない登記がされてしまう可能性があり,かかる事態は,実体的権利関係を可能な限り公示するという登記制度の根幹を害し,また登記への信頼をも害することになる。 そうである以上,擬制自白により認定された調書判決は,戸籍・除籍謄本と同程度に定型的証明力を有すると認められる真正の担保力の高い情報とはいえないため,公務員が職務上作成した情報に代わるべき情報には当たらないというべきである。 ウ以上のとおり,現存する戸籍・除籍謄本の記載だけでは「他に相続人がいないこと」の確認ができない場合,申請者は,相続人全員の証明書を提供すべきであり,これが提供できない場合には,判決の理由中において,証拠に基づいて「他に相続人がいないこと」が認定されていることが明らかといえる確定判決の正本の写しを提供すべきである。 ところが,本件調書判決は,擬制自白により認定された調書判決であるから,公務員が職務上作成した情報に代わるべき情報には当たらない。そして,そのほかに「他に相続人がいないこと」(本件被代位者以外にCの相続人がいないこと)を証する情報は提供されていないから,結局,原告は,令7条1項6号,別表22項所定の登記原因証明情報を提供しなかったものといえる。 人がいないこと」(本件被代位者以外にCの相続人がいないこと)を証する情報は提供されていないから,結局,原告は,令7条1項6号,別表22項所定の登記原因証明情報を提供しなかったものといえる。 したがって,本件処分は適法である。 原告の主張登記実務上,従来から,確定判決の理由中に被相続人の相続人は被告らのみであるなど,一定の事実が認定されている場合には,当該判決の写しを相続があったことを証する情報として,当該判決の内容を登記手続に反映させる取扱いが認められてきた(本件回答)。これは,申請人ではなく国の責任によって戸籍・除籍謄本を提出できない場合があり,かつ,相続人全員の証明書の提出も事実上不可能である場合があることから,申請人の権利実現のため,確定判決を登記原因証明情報とする強い必要性が存することを認めたものであって,その内容・本旨に照らせば,擬制自白により認定された調書判決を別扱いする理由はない。本件回答の解説(民事月報Vol.55 No.7 220頁〔乙4〕)においても,「所有権移転の登記を命ずる判決が相続人全員に対するものであることが明らかな場合には,便宜,当該判決正本又は謄本を…相続を証する書面として取り扱って差し支えないと思われる。」とされているのであって,擬制自白により認定された調書判決は排除されていない。 本件調書判決は,その理由中に原告が請求原因として主張したとおりのAの相続関係が認定されているのであり,これが擬制自白によるものであるからといって,本件回答における取扱いを排除する理由はないから,令7条1項6号,別表22項所定の登記原因証明情報の提供があったものといえる。 したがって,本件処分は違法である。 第3 当裁判所の判断 1 別件訴訟において,奈良地方裁判所は,別件訴訟被告らにおいて請求 表22項所定の登記原因証明情報の提供があったものといえる。 したがって,本件処分は違法である。 第3 当裁判所の判断 1 別件訴訟において,奈良地方裁判所は,別件訴訟被告らにおいて請求原因事実を自白したものとみなして,原告の所有権移転登記手続請求を認容する判決(本件調書判決)を言い渡したものであるところ,上記請求原因中には「Aの相続関係は別紙関係図のとおりである。」旨の事実もある(前記前提事実)。 一般に,共同相続人に対して所有権移転登記手続請求をする場合には,共同相続人全員に対して請求をする意思で訴えを提起するのが提訴者の通常の意思であり,相続人の一部に対して訴えを提起するのであればその旨を明示して行うものと考えられるところ,別件訴訟の請求原因(別紙関係図を含む。)に別件訴訟被告ら以外にAの相続人が存在することをうかがわせるような記載は見当たらないから,「Aの相続関係は別紙関係図のとおりである。」旨の主張は,「Aの相続人は別紙関係図に『相続人』と記載された者のみである。」(本件被代位者との関係では,「Cの相続人は別紙関係図に記載された者〔本件被代位者〕のみである。」)旨の主張を含むものであり,少なくとも黙示的に同事実が主張されているものと解される。 そうすると,本件調書判決は,その理由中においてCの相続人が本件被代位者のみである旨の認定がされているものということができるから,本件回答に従い,相続人全員の証明書に代えて,その正本の写しを,令7条1項6号,別表22項所定の登記原因証明情報として取り扱って差し支えないものというべきである。 被告は,当事者双方が裁判に出席して審理の対象について実質的に争われ,証拠調べ手続が執られた結果,判決の理由中で証拠に基づき「他に相続人がいないこと」が明確に認定されていれば べきである。 被告は,当事者双方が裁判に出席して審理の対象について実質的に争われ,証拠調べ手続が執られた結果,判決の理由中で証拠に基づき「他に相続人がいないこと」が明確に認定されていれば,そのような判決書は戸籍・除籍謄本と同程度の証明力を定型的に有するものと認められるが,擬制自白により認定された調書判決は,被告とされた者が何ら争わず,また,証拠に基づかないまま,原告の主張どおりに被告とされた者の自白が擬制されて請求が認 められるという相対的なものにすぎないから,他に相続人が存在する可能性を払拭できず,戸籍・除籍謄本と同程度に定型的証明力を有するものとはいえないことに照らせば,本件回答にいう確定判決とは,その理由中において,証拠(弁論の全趣旨を含む。)に基づいて,他に相続人がいないことが認定されているものに限られ,擬制自白により認定された調書判決はこれに当たらない旨主張する。 しかしながら,本件回答は,「確定判決の理由中において甲の相続人は当該相続人らのみである旨の認定がされている場合は,相続人全員の証明書に代えて,当該確定判決の正本の写しを相続を証する書面として取り扱って差し支えないものと考えます。」というものであって,上記事実認定が証拠によらずに自白又は擬制自白によってされている場合を特に除外するものではなく,本件回答の解説においても,そのような限定解釈はされていない(乙4)。 そもそも,一般に,当事者の一方が主張する事実の有無について,他方当事者が実質的に争って証拠調べ手続が執られた結果,当該事実が認定された場合の方が,他方当事者が当該事実を自白し又は擬制自白が成立した結果,当該事実が認定された場合よりも,実体的真実により合致する蓋然性が高いなどといった経験則は認められないのであって,「他に相続人がいない の方が,他方当事者が当該事実を自白し又は擬制自白が成立した結果,当該事実が認定された場合よりも,実体的真実により合致する蓋然性が高いなどといった経験則は認められないのであって,「他に相続人がいないこと」についても,自白又は擬制自白(これらは,被相続人と相続人の身分関係を最もよく知り得る立場にある者らの訴訟態度によるものである。)によって同事実が認定された場合の方が,証拠又は弁論の全趣旨によって認定された場合よりも,実体的権利関係に合致する蓋然性が乏しい(すなわち,他に相続人が存在する可能性が高い。)などとは認められない。 そうである以上,擬制自白により認定された調書判決についても,戸籍・除籍謄本と同程度に定型的証明力を有すると認められる真正の担保力の高い情報として,令7条1項6号,別表22項所定の登記原因証明情報に当たるものと解するのが相当である。 したがって,被告の前記主張は,採用することができない。 4 原告は,本件申請に際し,① Aの相続人らに係る現存する戸籍・除籍謄本,② Cの出生から大正11年12月15日までに係る除籍謄本が保存期間の経過により廃棄済みである旨の大阪市の区長の証明書,③ 本件調書判決の正本を提供したものであるから(前記前提事実),令7条1項6号,別表22項所定の登記原因証明情報を全て提供したものといえる。 よって,これが提供されていないとしてされた本件処分は違法である。 第4 結論以上によれば,原告の請求は理由があるから認容することとして,主文のとおり判決する。 奈良地方裁判所民事部裁判長裁判官木太伸広裁判官向井敬二裁判官久野雄平 裁判長 裁判官木太伸広 裁判官向井敬二 裁判官久野雄平
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