令和5年3月9日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和2年(行ウ)第323号所得税更正処分等取消請求事件主文 1 本件訴えのうち、請求の趣旨第3項に係る部分を却下する。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 E税務署長が原告に対し平成30年8月21日付けでした平成27年分の所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」と総称することがある。)の更正 処分のうち、総所得金額205,831,978円及び納付すべき税額69,281,200円を超える部分並びに過少申告加算税の賦課決定処分のうち4,012,000円を超える部分を取り消す。 2 E税務署長が原告に対し平成30年8月21日付けでした平成28年分の所得税等の更正処分のうち、総所得金額73,402,639円及び納付すべき 税額マイナス(還付金の額に相当する税額があることをいう。以下同じ。)3,080,800円を超える部分並びに過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。 3 E税務署長が原告に対し平成30年11月8日付けでした平成28年分の所得税等の更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の通知処分及び令和元 年10月11日付けでした平成28年分の所得税等の更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の通知処分のうち、総所得金額73,402,639円及び納付すべき税額マイナス3,080,800円を超える部分を取り消す。 4 E税務署長が原告に対し平成30年11月8日付けでした平成29年分の所得税等の更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の通知処分のうち、総 所得金額マイナス4,805,996円及び納付すべき税額マイナス54,5 54, 1月8日付けでした平成29年分の所得税等の更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の通知処分のうち、総 所得金額マイナス4,805,996円及び納付すべき税額マイナス54,5 54,892円を超える部分を取り消す。 第2 事案の概要 本件は、E税務署長(以下「処分行政庁」という。)が、①原告の平成27年分及び平成28年分の所得税等について、原告の所有していた車両が「使用又は期間の経過により減価する資産」に該当するとして、その譲渡所得の金額 の算定上、取得価額から保有期間に係る減価の額を控除して取得費を計算し、また、原告の外貨預金口座への入出金により生じた為替差損益を雑所得とした上で、その譲渡原価を総平均法に準ずる方法により計算した上、申告漏れがあるなどとして、それぞれ増額更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を行ったこと、②平成29年分の所得税等につき、為替差損益に係る譲渡原価を総 平均法により計算した上で原告が行った更正の請求に対し、更正すべき理由がない旨の通知処分(以下単に「通知処分」という。)を行ったことに対し、原告が、売却した上記車両中には「使用又は期間の経過により減価する資産」に該当しないものがあること、為替差損益は譲渡所得に該当すること及び為替差損益に係る外国通貨の譲渡原価の計算方法は総平均法によるべきことなどを 理由に、上記増額更正処分等及び通知処分の一部の取消しを求める事案である(なお、原告は、増額更正処分のされている平成28年分の所得税等について2度にわたり更正の請求を行い、それぞれにつき通知処分を受けているところ、請求の趣旨第3項において、これらの通知処分についても訴えの対象としている。)。 1 関係法令等の定め本件に関係する所得税法(昭和40年法律第33号。以下 き通知処分を受けているところ、請求の趣旨第3項において、これらの通知処分についても訴えの対象としている。)。 1 関係法令等の定め本件に関係する所得税法(昭和40年法律第33号。以下「法」という。)及び所得税法施行令(昭和40年政令第96号。以下「施行令」という。)の定めは、別紙2-1及び2-2に記載したとおりである。また、本件に関係する所得税基本通達(以下「基本通達」という。)2-14の定めは別紙2-3 に、平成26年12月19日・課個2-20による改正前基本通達(以下「改 正前基本通達」という。)2-14の定めは別紙2-4に、それぞれ記載したとおりである。 2 前提事実(争いのない事実、顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)⑴ 原告について 原告は、昭和43年▲月に開業し、昭和51年▲月にF会を発足させ、平成29年▲月▲日にG株式会社を設立して上記事業を引き継がせるまでの間、F会に係る業を営んでいた者である。 ⑵ 原告の所有していた車両についてア原告は、平成27年4月30日当時、イタリア法人FerrariN. V..(以下「フェラーリ社」という。)が製造したないしの4台の車両(以下「本件各車両」と総称する。)を、フェラーリ社の代理店であるH社から購入して、所有していた(乙31)。 フェラーリF50(以下「本件車両A」という。)a 取得日 平成9年11月7日b 取得価額(購入価額に付随費用を加えた額を指す。以下同じ。)5389万6450円c 取得日における走行距離1400キロメートル(甲1) なお、原告は、 随費用を加えた額を指す。以下同じ。)5389万6450円c 取得日における走行距離1400キロメートル(甲1) なお、原告は、本件車両Aを中古で購入したものである(弁論の全趣旨)。 フェラーリ512TR(以下「本件車両B」という。)a 取得日平成4年9月24日 b 取得価額 2000万円なお、原告は、本件車両Bを新車で購入したものである(弁論の全趣旨)。 フェラーリ360モデナ(以下「本件車両C」という。)a 取得日 平成12年8月10日b 取得価額1833万5950円 フェラーリ612スカリエッティ ANNIVERSARY(以下「本件車両D」という。) a 取得日平成19年1月16日b 取得価額3492万4720円イ原告による本件各車両の保有状況 原告は、本件各車両について、いずれも道路運送車両法上の登録をして交付を受けた自動車登録番号標を取得し、業務以外の用すなわち家事用に使用していた。なお、原告は、本件各車両につき、その取得した日の属する年分から売却した日の属する年分までのいずれの年分においても、所得金額の計算上、本件各車両に係る減価償却費を原告の業務にお ける必要経費の額には参入していない。 原告は、本件各車両を、官公庁への陳情やF会の会員に会いに行くときに使用するほか、静岡県のサーキット場で行われるフェラーリの展示会において展示するために使用していた。なお、原告は、本件各車両に 原告は、本件各車両を、官公庁への陳情やF会の会員に会いに行くときに使用するほか、静岡県のサーキット場で行われるフェラーリの展示会において展示するために使用していた。なお、原告は、本件各車両について、特に使い分けることはなく、エンジンの調子を整えるため、交 互に使用していた(甲17)。なお、かかる扱いをする必要があったのは、 自動車を長時間にわたり走行させたり給油したりしない状態で放置すると、タイヤの変形、ガソリンの劣化に伴う部品の腐食、バッテリー上がり等、その破損や性能の低下につながる様々な問題が生ずるためである(甲101)。 ウ本件各車両の売却 原告は、H社に対し、以下のとおり、本件各車両を売却した。 本件車両Aa 売却金額1億3500万円b 売却日 平成27年4月30日c 売却日における走行距離6700キロメートル(甲17) 本件車両Ba 売却金額 2300万円b 売却日平成28年5月16日c 売却日における走行距離1万3600キロメートル(甲17) 本件車両Ca 売却金額850万円b 売却日平成28年5月16日 本件車両D a 売却金額1150万円b 売却日平成28年5月16日⑶ 原告の行っていた外貨普通預金取引について 原告は、I銀行(以下「本件銀行」という。)J支店に、預入通貨をアメリカ合衆国ドル(以下「米ドル」という。)とする原告名義の外貨普通預金口座(以下「本件外貨預金口座」といい、本件外貨預金口座における外貨預金を「本件外貨預金」という。)を開設した。 本件外貨預金口座では、主に、同 以下「米ドル」という。)とする原告名義の外貨普通預金口座(以下「本件外貨預金口座」といい、本件外貨預金口座における外貨預金を「本件外貨預金」という。)を開設した。 本件外貨預金口座では、主に、同支店の原告名義の円普通預金口座(以下 「本件円預金口座」という。)との間で、米ドル建ての預金と円建ての預金との振替が行われていた(この振替を以下「本件外貨取引」という。)(乙1、2)。 原告が平成26年ないし平成29年中に行った本件外貨取引は、別紙3の別表1-1ないし1-3「本件外貨預金口座取引」の「②払出し」及び「③ 預入れ」の各欄に記載されたとおりである(ただし、平成27年2月16日及び同年8月10日の取引は、本件外貨預金について生じた利息の入金である。)。 ⑷ 本件訴訟に至る経緯ア平成27年分ないし平成29年分の確定申告 原告は、平成27年分ないし平成29年分の所得税等について、いずれも法定申告期限までに申告した。 原告の平成27年分の所得税等の確定申告書(以下「平成27年分確定申告書」といい、他の年分の申告書についても同様に表記する。)には、原告が平成27年4月30日に売却した本件車両Aに関する記載はなく、 また、同申告書の第二表の「雑所得(公的年金等以外)、総合課税の配当 所得・譲渡所得、一時所得に関する事項」の「所得の種類」欄には「雑」と、「種目・所得の生ずる場所」欄には「外貨預金為替差益I銀行J支店」と、「収入金額」及び「差引金額」欄にはいずれも0円と、それぞれ記載されていた(乙3)。 原告の平成28年分確定申告書には、原告が平成28年5月16日に 売却した本件車両B、本件車両C及び本件車両Dの譲渡所得に関する記載はいずれもなく、また、同申告書の いた(乙3)。 原告の平成28年分確定申告書には、原告が平成28年5月16日に 売却した本件車両B、本件車両C及び本件車両Dの譲渡所得に関する記載はいずれもなく、また、同申告書の第二表の「雑所得(公的年金等以外)、総合課税の配当所得・譲渡所得、一時所得に関する事項」の「所得の種類」欄には「雑」と、「種目・所得の生ずる場所」欄には「外貨預金為替差益I銀行J支店」と、「収入金額」及び「差引金額」欄にはいずれ も0円と、それぞれ記載されていた(乙4)。 原告の平成29年分確定申告書には、為替差益に関する記載はなかった(乙5)。 原告は、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(平成9年法律第110号。以下「国外送金等 調書法」という。)6条の2(財産債務調書の提出)1項の規定に基づき、平成27年12月31日現在の財産等について記載した財産債務調書(以下「平成27年分財産債務調書」という。)を提出期限内に処分行政庁に提出したが、平成27年分財産債務調書には、本件車両B、本件車両C及び本件車両Dに関する記載はいずれもなかった(乙6)。 イその後の経過平成30年8月21日付け各増額更正処分等についてa 処分行政庁は、原告に対し、調査担当職員の調査に基づき、平成30年8月21日付けで、平成27年中及び平成28年中に売却した本件各車両の売却益並びに平成27年中の本件外貨取引に係る所得の申 告漏れがあるとして、その平成27年分及び平成28年分の各所得税 等につき、それぞれ増額更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分(これらを併せて以下「本件各更正処分等」という。)をした。 b 再調査請求原告は、本件各更正処分等を不服として、平成30 得税 等につき、それぞれ増額更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分(これらを併せて以下「本件各更正処分等」という。)をした。 b 再調査請求原告は、本件各更正処分等を不服として、平成30年11月20日に再調査の請求をしたところ、再調査審理庁は、平成31年2月18 日付でいずれも上記再調査の請求を棄却する旨の再調査決定をした。 c 審査請求原告は、上記bの再調査決定を経た後の本件各更正処分等に不服があるとして、平成31年3月18日に審査請求をした。 平成30年11月8日付けの通知処分について a 更正の請求原告は、平成30年8月6日、平成28年分及び平成29年分の所得税等について、本件外貨取引により生じた為替差損益(以下「本件為替差損益」という。)に係る所得は事業所得に該当するとして、答弁書別表の更正の請求欄のとおりとすべき旨の各更正の請求をした。 b 処分行政庁は、上記aの各更正の請求に対し、平成30年11月8日付けで、いずれも通知処分を行った。 c 再調査請求及びみなす審査請求原告は、上記bの各通知処分を不服として、平成31年2月8日付けで再調査請求を行ったところ、平成28年分の所得税等に係る通知 処分については、国税通則法(昭和37年法律第66号。以下「通則法」という。)90条3項の規定により、平成31年4月18日、審査請求がされたものとみなされ、平成29年分の所得税等に係る通知処分については、通則法89条1項の規定に係る原告の同意により、平成31年4月15日、審査請求がされたものとみなされた。 令和元年10月11日付けの通知処分について a 更正の請求原告は、令和元年8月6日、平成28年分の所得税等について、本件為替差損益 15日、審査請求がされたものとみなされた。 令和元年10月11日付けの通知処分について a 更正の請求原告は、令和元年8月6日、平成28年分の所得税等について、本件為替差損益に係る所得は事業所得に該当すること、本件各車両は減価しないことを理由として、更正の請求をした。 b 処分行政庁は、上記aの更正の請求について、令和元年10月11 日付けで通知処分をした(以下、bの通知処分と併せて「平成28年分各通知処分」という。)。 c 審査請求原告は、上記bの通知処分を不服として、令和元年11月5日に審査請求をした。 裁決国税不服審判所長は、通則法104条1項の規定に基づき、上記c、c及びcの各審査請求に係る審理を併合した上で、令和2年3月10日付けで、同各審査請求をいずれも棄却する裁決をした。 ⑸ 本件訴訟の提起 原告は、令和2年8月21日、本件訴訟を提起した。 3 被告の主張する税額等原告の平成27年ないし平成29年度の所得税等に関し被告が主張する課税の計算及びその根拠は、別紙3に記載のとおりである。原告は、後記4の争点に関する部分を除き、その計算の基礎となる金額及び計算方法を明らかに争わ ない。 4 争点⑴ 平成28年分各通知処分の取消請求(請求の趣旨第3項)に係る訴えの利益の有無(本案前の争点)⑵ 本件各更正処分等の適法性(本案の争点) ア本件車両A及び本件車両B(以下「本件車両A及びB」と総称する。) の減価償却資産該当性イ本件為替差損益に係る所得が、雑所得と譲渡所得のいずれに該当するかウ本件為替差損益の額の計算の基礎となる外国通貨の取得費等の計算方法「総平均法に準ずる 。) の減価償却資産該当性イ本件為替差損益に係る所得が、雑所得と譲渡所得のいずれに該当するかウ本件為替差損益の額の計算の基礎となる外国通貨の取得費等の計算方法「総平均法に準ずる方法」により計算を行うことに違法な点があるか 端数処理につき、小数点以下3位未満を切り上げず、小数点以下を切 り上げる方法によることに違法な点があるか 5 当事者の主張争点に関する当事者の主張の要旨は、別紙4記載のとおりである。 第3 当裁判所の判断当裁判所は、本件訴えのうち、請求の趣旨第3項(平成28年分各通知処分 の取消しを求める部分)については却下すべきであり、その余の原告の請求については棄却すべきものと判断する。以下、その理由について述べる。 1 争点⑴(平成28年分各通知処分の取消請求(請求の趣旨第3項)に係る訴えの利益の有無)-本案前の争点通知処分と増額更正処分は、いずれも同一の納税者に向けられた、同一の納 税義務を確定させるための処分であり、かつ、上記増額更正処分は、一旦確定していた税額を増額させて確定する処分であるから、通知処分の内容を実質的に包摂するものということができる。加えて、更正の請求がされていることから、納税者としては、上記増額更正処分の取消訴訟において、上記更正の請求に係る税額を超える部分の取消しを求めることが可能であると解される。そう すると、本件においても、平成28年分各通知処分につき、原告がその取消しを求める利益はないものと解するべきである(最高裁令和2年(行ヒ)第103号同3年6月24日第一小法廷判決・民集75巻7号3214頁参照)。 したがって、本件訴えのうち、平成28年分各通知処分の取消しを求める部分は、訴えの利益を欠き、不適法であるものといわざるを 3号同3年6月24日第一小法廷判決・民集75巻7号3214頁参照)。 したがって、本件訴えのうち、平成28年分各通知処分の取消しを求める部分は、訴えの利益を欠き、不適法であるものといわざるを得ない。 2 争点⑵ア(本件各更正処分等の適法性・本件車両A及びBの減価償却資産該 当性)-本案の争点⑴ 判断枠組みア法33条1項は、資産の譲渡による所得につき譲渡所得として課税する旨定めるところ、これは、資産が譲渡によって所有者の手を離れる機会に、その所有期間中の当該資産の増加益を清算して課税する旨を定め たものである(最高裁昭和41年(行ツ)第102号同47年12月26日第三小法廷判決・民集26巻10号2083頁等参照)。 ここで、法38条1項は、譲渡所得の計算の原則として、譲渡価額から当該資産の取得費等を控除する旨定めるとともに、同条2項において、当該資産が、その価値が使用により目減りする性質のものである場合に は、課税の場面においても当該資産価値の目減りを反映させるのが相当であるとの趣旨で、取得費から減価の額を控除する(取得費控除)旨定めている。そして、同項1号は、業務用資産の場合に当該控除がされるべき金額は、法49条1項に定める減価償却資産の償却費の合計額である旨規定している(なお、法38条2項2号、施行令85条は、非業務 用資産についても、同項1号に準じて控除額を計算するものとしている。)。このことからすれば、法38条2項柱書きにいう「家屋その他使用又は期間の経過により減価する資産」とは、法49条1項の対象とされる減価償却資産(その意義及び範囲は、法2条1項19号及び施行令6条各号に規定されている。)の範囲と一致するものと解すべきであ る。 法49条1項は、ある事 9条1項の対象とされる減価償却資産(その意義及び範囲は、法2条1項19号及び施行令6条各号に規定されている。)の範囲と一致するものと解すべきであ る。 法49条1項は、ある事業用資産が数年間にわたり収益を生むものである場合に、当該資産の取得費用全額をその取得年の必要経費たる支出として計上することは、費用収益対応の原則の観点から合理的でないことを前提に、各年末に、当該資産の価値のうち使用により目減りする分 を数値化し、当該目減り分に対応する取得費用分のみを支出として計上 するとの趣旨に基づく規定である。もっとも、資産価値の目減り分の数値化を、個々の資産ごとに正確に行うことは不可能である。そこで、同項は、資産を類型化し、その類型ごとに、耐用年数、耐用年数経過後の残存価値及び当該耐用年数内における価値の減少の仕方を擬制して、必要経費を計算する旨を定めたものである。そして、耐用年数については、 耐用年数省令に規定が置かれている。 事業用資産との関係では、取得費控除は、かかる減価償却の規定と表裏一体の関係のものとして説明される。すなわち、減価償却がされた資産につき、譲渡所得に対する課税の局面で取得費全額を(価値の目減り分を考えることなく)必要経費として差し引くこととすれば、価値の目 減り分を二重に控除する結果となるため、減価償却された分は取得費から控除すべきこととなる。そして、価値の目減り分を個々の資産ごとに正確に算定することが困難である以上、資産の類型ごとに目減りの範囲及び程度を擬制するという減価償却における議論は、取得費控除の場面においても同様に妥当することとなる。 以上のとおり、減価償却及び取得費控除の局面において、ある資産の価値が減少する程度の計算については、個々の資産に係る事 おける議論は、取得費控除の場面においても同様に妥当することとなる。 以上のとおり、減価償却及び取得費控除の局面において、ある資産の価値が減少する程度の計算については、個々の資産に係る事象を捨象して類型ごとに行うことが前提とされている。これは、所得の算定方法を簡便かつ合理的な方法に統一し、課税の公平を図ることに資するという点でも、法の趣旨に適う合理的なものといえる。 なお、非業務用資産の場合には減価償却に係る規定は存在しないが、前記のとおり、法38条2項において、業務用資産の場合に準じて取得費控除がされる旨規定されていること、仮に取得費をそのまま維持するとした場合、取得後相当期間経過後に非業務用資産を譲渡すると、通常は譲渡損失が生じて譲渡者の所得ひいては税負担が圧縮されること になるが、非業務用資産であってもその使用によって帰属所得が生じて いることなどに鑑みると、この帰結は必ずしも相当ではないものと考えられることから、非業務用資産においても、取得費控除については業務用資産と同様に取り扱うものとされている。 そして、資産の価値とは、その資産が有する、何らかの目的の実現に役立つ性質や程度を指すところ、当該資産価値の目減りの程度を(個々 の資産に特有の事象を捨象して)計算するという前記における議論の前提として、その資産の「価値」の定義、すなわち、何が当該資産の「価値」といえるかという点についても、原則として、個別具体的な事情や当該資産に対して納税者の置く主観的な意義付けを離れて、その類型ごとに社会通念上想定される本来的な目的・効用という観点から、一定の 擬制を置かざるを得ないものというべきである。換言すれば、ある資産が、「使用又は期間の経過により減価」(法38条2項)しない資産(前記の 想定される本来的な目的・効用という観点から、一定の 擬制を置かざるを得ないものというべきである。換言すれば、ある資産が、「使用又は期間の経過により減価」(法38条2項)しない資産(前記のとおり、その範囲は、「時の経過によりその価値の減少しない」資産(施行令6条柱書き括弧書き)の範囲と同じであるものと解される。)に該当するか否かの判断も、当該資産が、その属する類型におい て、社会通念上想定される本来的な目的・効用を前提に、当該目的・効用が期間の経過により減少していくか否かという点から行われるべきであり、ただ、個別の資産につき、その価値が、当該類型の資産に求められる本来的な目的・効用とは異なる面に置かれていることが社会通念上確立しているといえるような例外的な場合に、これと異なる判断がさ れるにすぎないものと解するべきである。 これに対し、原告は、法38条2項2号の趣旨は、本来の用途、用法によって現に通常予定される効用(収益稼得能力)が逓減(減もう)することの結果として生ずる価額の減少を適正に評価するところにあるとして、資産の時価が機能及び希少価値の双方に着目して形成されている 場合、時の経過により、当該機能の低下(収益稼得能力の低下・減もう) が生ずること自体は抽象的には観念し得るものの、それによっても客観的な価額(時価)が減少しない場合には取得費調整の対象とはならないのであり、そのように解することが、資産の値上がりによる価額の増加に課税するという譲渡所得の趣旨からも合理的であるなどと主張する。 原告の上記主張が、要するに、譲渡所得における価値の目減り分を、 その実態に即して正確に把握すべきであるとの趣旨をいうものであるとすれば、取得費控除及び減価償却の規定自体が、ある資産の価値の目減りを正確 主張が、要するに、譲渡所得における価値の目減り分を、 その実態に即して正確に把握すべきであるとの趣旨をいうものであるとすれば、取得費控除及び減価償却の規定自体が、ある資産の価値の目減りを正確に導出することは不可能であることを前提に、その程度を擬制するのもやむを得ないとの前提に基づくものであり、資産の「価値」をいかに定義するか自体についても、当該資産の類型を前提に社会通念上 想定される効能・効果という点から類型的に解釈がされるべきであることは前記のとおりであるから、これと異なる限度で原告の主張は採用することができないことに帰する。 イ本件車両A及びBは、いずれも自動車であるから、施行令6条6号にいう「車両及び運搬具」に該当する。そして、自動車の本来の効用は、 人や物を乗せ、原動機の動力によって車輪を回転させて路上を走ることにあるところ、経年や使用によって原動機の性能が低下したり、その構成部品が劣化したりすることによって、その機能は一般的・類型的に逓減していくものであり、逆に、およそ自動車である以上、かかる機能の劣化が一切発生しないとか、使用によってむしろ機能が向上するといっ た事態が生じ得ないことは、社会通念上明らかであるといえる。そうすると、自動車は、原則として「時の経過によりその価値の減少しない」資産には該当しないものというべきである。 他方、基本通達2-14は、美術品等につき、「時の経過によりその価値の減少しない」資産該当性についての実務上の判定基準を定めている (なお、同じく減価償却資産該当性が問題となる法人税基本通達7-1 -1にも、基本通達2-14と同様の定めがある。)。これは、美術品とは、絵画・彫刻・工芸品その他の有形の文化的所産である動産を意味することを前提に、これらは、社 題となる法人税基本通達7-1 -1にも、基本通達2-14と同様の定めがある。)。これは、美術品とは、絵画・彫刻・工芸品その他の有形の文化的所産である動産を意味することを前提に、これらは、社会通念上その目的として鑑賞以外のものが想定されない、又は茶器などのように鑑賞以外の目的や機能(茶器であれば食器としてのそれ)が形式的には想定されるとしても、当該目的 や機能の部分が形骸化し、鑑賞対象としての部分がその価値のほとんどを占めるものとして社会通念上確立しているために、価値の目減りが将来にわたり生ずる余地がない(多数の者が鑑賞することで価値が減少していったり、時の経過に応じて定量的に価値がなくなっていったりする関係にない)ことから、美術品等に該当すれば「時の経過によりその価 値の減少しない」資産に当たる旨を定めたものと解される。もっとも、何を「美術品」等と定義するかを個々の主観に委ねることは、美的感覚が人により大きく異なる以上極めて安定性を欠く結論になることを踏まえ、基本通達2-14において基準が設けられているものと解される。 かかる基本通達2-14の存在にも照らせば、施行令6条各号に該当 する資産が、鑑賞対象としての卓越性に係る価値をも併せて有するような場合に、それをもって「時の経過によりその価値の減少しない」資産に該当するといえるか否かは、上記のような価値の目減りが将来にわたり生ずる余地がないものという評価が社会通念上確立しているかどうかによって判断すべきである。この点、基本通達2-14の⑴は、減価償 却資産に該当しないものの例として、「古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないもの」を挙げている。そして、改正前基本通達2-14は、減価償却資産に該当しないものの 該当しないものの例として、「古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないもの」を挙げている。そして、改正前基本通達2-14は、減価償却資産に該当しないものの例として「書画、骨とう」を掲げ、基本通達2-14の⑴における「古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少 価値を有し、代替性のないもの」を「書画、骨とう」に該当するものの 例として列挙していた。また、「骨とう」該当性の解釈として、日本標準商品分類上「骨とう」とはその制作後100年以上を経過したものを指すとされていることなどを踏まえて判断するものとしていた。 これは、物に対する価値の見いだされ方には時代ごとに差があり得ることに加え、鑑賞対象としての部分以外に実用的な機能を有する資産の 場合は、技術が進歩する以上、当該資産の実用的な機能としては古い物より新しい物の方が優れていることを前提に、長い時代の変遷を経ても、また、実用的な機能自体は新しいものに大きく劣っていても、なお当該資産に高い価値が付けられているようなものは、社会通念上、当該資産の実用的な機能以外の部分(すなわち、鑑賞対象としての部分)が、そ の物の価値として確立した(すなわち、歴史的価値又は希少価値がその本来的効用として定着した)ものと判断することができるとの解釈に基づくものと解される。 そうすると、社会通念上「美術品」に該当しない資産、すなわち、当該資産の類型上、鑑賞以外の実用的な目的又は機能が想定される資産が、 なお「時の経過によりその価値の減少しない」資産に該当するといえるような例外的な場合とは、当該資産が、「骨とう」すなわち「古美術品、古文書、出土品、遺物等」に類するといえる程度の長期間を経てもなお確立した高い価値を維持して 値の減少しない」資産に該当するといえるような例外的な場合とは、当該資産が、「骨とう」すなわち「古美術品、古文書、出土品、遺物等」に類するといえる程度の長期間を経てもなお確立した高い価値を維持しているような場合等に限られるというべきであり、「希少価値」や「代替性のない」との文言もかかる文脈において理 解されるべきであり、単に市場における希少性等によってその価格が(せいぜい数年単位の期間で)高騰しているにすぎないような場合を含むものではない。 これに対し、原告は、基本通達2-14の⑵においては取得価額が1点100万円以上である美術品を減価償却資産として扱うこととされて いるところ、かかる基準は当該資産の非代替性や歴史的価値に着目して 設けられたものでないことが明らかである(実際にも、市場で100万円以上の価値が付けられている美術品のうちには、数百点単位で同じものが作成されているものもある)として、当該資産が非代替的なものか、あるいは歴史的価値がある場合に限らず、時の経過によっても減少しないような市場価値が付与されている資産は、その類型を問わず「時の経 過によりその価値の減少しない」資産に該当する旨主張する。 しかし、原告の依拠する基本通達2-14の⑵の規定は、同通達が想定する「美術品」の効果・効用が鑑賞対象としての部分のみにあるか、又は少なくとも当該部分がその目的や機能のほとんどを占めるものとして社会通念上その評価が確立されている(すなわち、仮に鑑賞以外の機 能を有する工芸品であっても、当該機能が形骸化し、彫刻や絵画と同様に美的部分が価値の形成要因のほぼ全てを構成するものとなっている)ものであることを前提に、そのような実用性の欠如又は稀薄性を前提としても100万円以上という相当高価な価格でなければ入手 や絵画と同様に美的部分が価値の形成要因のほぼ全てを構成するものとなっている)ものであることを前提に、そのような実用性の欠如又は稀薄性を前提としても100万円以上という相当高価な価格でなければ入手できないことをもって、減価償却資産の対象たる「美術品」の基準とするものであ る。換言すれば、基本通達2-14の⑵の基準は、社会通念上「美術品」とされる資産の中で、減価償却資産たる「美術品」に該当するものとそうでないものを振り分けるための基準であり、ある資産がそもそも社会通念上「美術品」に該当するか否かの線引きを規律するものではない。 したがって、社会通念上「美術品」に該当しない資産について、基本通 達2-14の⑵の基準をそのまま妥当させるのは適当ではないものというべきである。そして、前記のとおり、自動車の本来の効用は、原動機の動力によって車輪を回転させて路上を走ることであるから、基本通達2-14の⑵にいう「美術品」に社会通念上該当し得ないことは明らかである(なお、多くの自動車の新車価格が、基本通達2-14の⑵にお いて基準とされている100万円を超えていることは公知の事実である ところ、仮に自動車が「工芸品」と解されることになれば、ほぼ全ての自動車がこの基準において「美術品」とされるという極めて不合理な結論を招来する。)。 したがって、社会通念上「美術品」に該当する資産以外の類型の資産についても基本通達2-14の⑵が妥当することを前提とする原告の主 張は採用することができず、前記のとおり、かかる資産については、「骨とう」、「古美術品、古文書、出土品、遺物等」に類似するといえる程度の長期間を経てもなお高い価値を維持しているような場合に、例外的に「時の経過によりその価値の減少しない」資産該当性が認められるにすぎな 」、「古美術品、古文書、出土品、遺物等」に類似するといえる程度の長期間を経てもなお高い価値を維持しているような場合に、例外的に「時の経過によりその価値の減少しない」資産該当性が認められるにすぎないものと解するべきである。 以上を前提に、本件車両A及びBが、「使用又は期間の経過により減価」する資産に該当するといえるか否かについて検討する。 ⑵ 認定事実前記前提事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。 アフェラーリ社の販売戦略及びその車両の値動きについて前記前提事実のとおり、本件各車両はいずれもフェラーリ社が製造したものであるところ、フェラーリ社(又はフェラーリブランド)は、スポーツカー(F1カー)を開発、展開することを主眼としている(甲99)。 また、フェラーリ社は、「常にニーズより1台少ない台数を供給する」 というコンセプトの下、ブランド力を維持するために希少価値を維持するという販売戦略をとっている(甲6)。もっとも、フェラーリ社の車両の製造台数はモデルごとに様々であり、多いものでは1万6000台以上が製造されたモデルもある(甲62)。 上記のとおりのフェラーリ社の販売戦略から、特に製作台数の少ないス ポーツカーの中には、カーオークションで時には数億円で落札されるもの もある。他方、落札額が3億円を超えた後に出品が増えたことで2億円半ばまで下落した車種(フェラーリ288GTO)もあるなど、その価格は需要と供給に応じ変動している(乙32)。 イ本件車両A及びBの特性 a 本件車両Aは、フェラーリ社の創立50周年を祝うために1995 (平成7)年から349台限定で製作されたフェラーリF50のうちの1台である(甲7の2、10の2)。 A及びBの特性 a 本件車両Aは、フェラーリ社の創立50周年を祝うために1995 (平成7)年から349台限定で製作されたフェラーリF50のうちの1台である(甲7の2、10の2)。 b フェラーリF50は、上記aのとおり、フェラーリ社の中でも記念碑的モデルであったことなどから、ヨルダンや米国の自動車博物館において展示され、日本に輸入された第1号車も一時は美術館で展示さ れるなど、コレクターカーとしても重要な地位を占めている(甲108の2、109の2、110)。 フェラーリF50の発売当時の定価は5000万円であり、平成14年頃のカーオークションでの落札額は5000万円ないし6000万円と定価と同様かこれをやや上回る程度で、平成25年頃まではこ の価格推移にさほど変化はなかった。しかし、同年1月のオークションにおいて137.5万ドル(約1億2375万円)で落札されたのを契機に落札額が高騰し、同年8月には、米国における世界最大のコレクターカーオークションハウスであるサザビーズが運営するサザビーズ・オークションのうち、特定のブランドの最も有名なモデルのも ので、かつ状態も良い車両のみを集めて行われたオークションとしての位置付けにある「ピナクル・ポートフォリオ」に出展されるなどもした(甲78の2、乙32)。 そして、前提事実⑵ウのとおり、原告が本件車両Aを譲渡したのは平成27年4月30日であるところ、平成27年全体でみると、フ ェラーリF50は、カーオークションにおいて3台が出品され、それ ぞれ313万5000ドル、264万ドル及び177万9000ユーロで落札されている(甲9の2の2)。 フェラーリF50の価格はその後も更に高騰を続け、令和4年3月18日のオークションでは新記録となる5 313万5000ドル、264万ドル及び177万9000ユーロで落札されている(甲9の2の2)。 フェラーリF50の価格はその後も更に高騰を続け、令和4年3月18日のオークションでは新記録となる5億4934万円で落札されるに至った(乙32)。 令和2年5月にサザビーズのオークションに出品されたあるフェラーリF50の説明文では、そのデザインの秀逸さ、フェラーリ社の歴史の中においての重要な位置付け及び歴代の所有者に著名なコレクターが含まれる事実などもさることながら、フェラーリF50が512馬力のV型12気筒エンジンを搭載し、従前のモデルよりも更に高速 度を出すことができ、フェラーリ社の当時の社長から「最初で最後の2座席のF1カーにする」との言質を得たといったその性能面について多くの紙面が割かれ、レーシングカーとしての性能を兼ね備えながら公道を走行できる車両であることがその魅力であるとされているほか、フェラーリ社による認定(フェラーリ・クラシケ)を受けている こと、定期的に正規のディーラーにおいて多額の費用を掛けたメンテナンスを受けていることや、車体等につき米国の規制に適合するものとなっていることがその特長として掲げられている(甲10の2)。 また、フェラーリF50について記載された記事においても、最高時速が325キロメートル、時速100キロメートルに到達するまでの スピードが3.9秒であることなど、その走行スピードやエンジン性能が特筆すべき点として挙げられている(甲110)。 a 本件車両Bは、フェラーリのスーパーカーであるテスタロッサの最終開発モデルの一つであり、1992(平成4)年から1994(平成6)年までの間に2280台が生産されたフェラーリ512TRの うちの1台である(甲93の2 スーパーカーであるテスタロッサの最終開発モデルの一つであり、1992(平成4)年から1994(平成6)年までの間に2280台が生産されたフェラーリ512TRの うちの1台である(甲93の2)。フェラーリ512TRは、テスタ ロッサ(7年間で7100台以上生産された。甲90の2)に対し生産期間が短く生産台数も少ない点に希少性を見いだされていることや、そのデザイン性の高さに魅了されたロックスターやポップスターも多かったことから、新規のファンのみならず既存のファンの間でも人気の車種である(甲91、93の2)。なお、フェラーリ512T Rの平成25年6月から令和3年6月までのカーオークションにおける平均落札価格は1890万円余である(甲115の2)。 b 令和3年4月にオークションに出品されたあるフェラーリ512TRの説明文では、時代を感じさせるデザインと快適でスポーティな走行性能を備えた初期型のフェラーリである旨の位置付けが末尾に言及 されているものの、主として、4バルブシリンダーヘッドを採用したV12エンジンを搭載したことにより従前のモデルよりも走行時のスムーズさが向上し、出力が上がったにもかかわらず軽快な操作性と運転のしやすさを備えるなど優れた性能を有するのみならず、トップギアの柔軟性と最高速度も上がっていることなどその機能面について紙 面が割かれ、長年にわたって非常によく手入れがされて経年劣化がほとんど見られず、走行距離も少ない車両であることが紹介されている(甲93の2)。 なお、令和2年3月にオークションに出品された別のフェラーリ512TRについても、元の主要な機械部品を全て保持しているとして フェラーリ・クラシケを受けていること、フェラーリ社の正規代理店において多額の費用を掛けたメンテナ に出品された別のフェラーリ512TRについても、元の主要な機械部品を全て保持しているとして フェラーリ・クラシケを受けていること、フェラーリ社の正規代理店において多額の費用を掛けたメンテナンスを受けていることなどがその特長として掲げられている(甲92の2)。 ウストラディヴァリウスの特性と課税実務 ストラディヴァリウスは、イタリアの楽器製作者ストラディヴァリ父 子3名によって17世紀から18世紀頃にかけて作成された一連のヴァ イオリンを指す。ストラディヴァリウスは、世界最高峰のヴァイオリンの代名詞とされ、過去200年近くにわたり、国際ヴァイオリン市場で常に最高額を維持し続けてきており、特に名器といわれるものは1丁10億円を超える落札価格がつくものもある。(甲42、乙24、弁論の全趣旨) ストラディヴァリウスは、その音色にとって取り分け重要とされる箱の部分の表板の木材に、製造当時の気象を反映した極めて木目の細かく均一なものが使われている。また、ストラディヴァリウスは、ストラディヴァリが製作した時点で1丁ごとに独自の工夫が凝らされた上、その後そのヴァイオリンを奏でた演奏家の音色をも蓄積することにより、そ れぞれに名前が与えられ、個性があるものとされている。(乙24) ストラディヴァリウスについては、平成28年6月期において希少性が高いために年数を経ても価値が下がらない楽器として法人税法上減価償却できないものと扱われた例がある(甲41)。 ⑶ 検討 ア本件車両Aについて前記⑵ア及び同イのとおり、フェラーリF50は、フェラーリ社の歴史の中でも重要なコレクションカーであり、かつ、希少性を販売戦略の旨とするフェラーリ社の製造する ア本件車両Aについて前記⑵ア及び同イのとおり、フェラーリF50は、フェラーリ社の歴史の中でも重要なコレクションカーであり、かつ、希少性を販売戦略の旨とするフェラーリ社の製造する車種の中でも生産台数が相当少ない部類に入ることから、その機能面のみならず、美的側面や希少性も価格形成要 因の相当部分を占めているものと認められる。 他方、フェラーリ社がF1で優勝することのできるスピードとパワーを有するスポーツカーの製作を源流とするブランドであること、実際に、過去のオークションにおいても、フェラーリF50の価値として、高性能のエンジンを搭載しており、レーシングカーとしての機能をもって公道を走 行できることや、フェラーリ社の正規代理店でメンテナンスを受け、すぐ に走行し得る状態であることなどが掲げられていることからすれば、原告が本件車両Aを購入した際のみならず、年数経過後に売却した時点においても、フェラーリF50の価値の背景に、自動車の有する本来的な機能(すなわち、原動機の動力によって車輪を回転させて路上を走ること)があることは明らかである。 さらに、フェラーリF50は、原告が入手した当時、中古車とはいっても製造から2年程度しか経過していない状態であり、売却時でみても製造から18年程度しか経過していないのであるから、いわゆる「骨とう」といえるほどの期間にわたり高い価値を維持しているとはいえない。そもそも、フェラーリF50の価格が高騰し始めたのは平成25年頃からで、現 在のように数億円を超える価格で落札されるに至った背景にも、この時期以降、高級車等が投機の対象として見られるようになってきたこと(いわゆるオークション・バブル)があるものとうかがえる(なお、投機対象が変動したり、人々の趣味 格で落札されるに至った背景にも、この時期以降、高級車等が投機の対象として見られるようになってきたこと(いわゆるオークション・バブル)があるものとうかがえる(なお、投機対象が変動したり、人々の趣味嗜好が変わったりすることにより、かかるバブル的な価格が必ずしも長年にわたり維持されないことがあるのは公知の事 実であって、現に、前記⑵アのとおり、高額での落札後に供給量の増加により価格が下落した車種も見受けられる。)から、フェラーリF50の今後の価格推移については未だ不確定な面もあるといわざるを得ない。 そうすると、本件車両Aにつき、社会通念上「美術品」に該当しない資産が例外的に法38条2項による取得費調整の対象となる資産(施行令6 条柱書きにいう「時の経過によりその価値の減少しない」資産)に当たるような場合、すなわち、当該資産が、「骨とう」、「古美術品、古文書、出土品、遺物等」に類似するといえる程度の長期間を経てもなお高い価値を維持しているような場合に当たると解することはできない。 イ本件車両Bについて 前記⑵ア及び同イのとおり、フェラーリ512TRは、フェラーリに おいても人気の高いスーパーカーの最終生産モデルであり、比較的生産台数が少ない部類に入ることから、その機能面のみならず、美的側面や希少性にも相当程度着目して価格が形成されているものと認められる。他方、フェラーリ512TRにおいても、前記アにおけるのと同様、F1カーの製作を行うフェラーリ社のブランド性を前提に、その搭載するエンジンや 走行性といった自動車本来の機能が現在まで維持されていることにも価値が置かれていることは明らかである。さらに、フェラーリ512TRも、原告が入手した当時は新車であり、売却時でみても製造から24年程度し 行性といった自動車本来の機能が現在まで維持されていることにも価値が置かれていることは明らかである。さらに、フェラーリ512TRも、原告が入手した当時は新車であり、売却時でみても製造から24年程度しか経過していないのであるから、いわゆる「骨とう」といえるほどの期間にわたり、高い価値を維持しているとはいえない。 したがって、本件車両Bについても、本件車両Aと同様に、「骨とう」、「古美術品、古文書、出土品、遺物等」に類似するといえる程度の長期間を経てもなお高い価値を維持しているような場合に当たると解することはできない。 ウ原告の主張について これに対し、原告は、本件車両A及びBのいずれについても、相当長期間の保有後になお取得価格を上回る高値で売却することができているところ、それ自体、本件車両A及びBに自動車としての性能を離れた希少価値が認められていることの証左にほかならない、取り分け本件車両Aが、前記⑵イのとおり、世界的カーオークションでも年数の経過からすれば 異常ともいえるほどの高額で取引されているのは、資産の価額(時価)が希少価値に着目して形成されていることを表している、実際にも原告は本件車両A及びBを実用品とは離れた収集品として購入し保管していたなどと主張して、本件車両A及びBはいずれも「使用又は期間の経過により減価」する資産に該当しない旨主張する。また、原告は、前記⑵ウのス トラディヴァリウスについての課税実務の取扱い例を挙げて、期間の経過 によりその機能(すなわち、音を奏でること)が向上することのあり得ないヴァイオリンについて「時の経過によりその価値の減少しない」資産であるとされたのは、ひとえに、ストラディヴァリウスに本来想定される機能とは離れた希少価値により客観的な市場価値が することのあり得ないヴァイオリンについて「時の経過によりその価値の減少しない」資産であるとされたのは、ひとえに、ストラディヴァリウスに本来想定される機能とは離れた希少価値により客観的な市場価値が決せられるとの特性があるからである、そうである以上、本件車両A及びBについても、ストラ ディヴァリウスと同様に、取得費控除の対象とならない「使用又は期間の経過により減価」しない資産とみるべきであるなどと主張する。 しかし、前記⑴のとおり、当該資産の「価値」は、原則として、個別具体的な事情や納税者の主観的意義付けを離れて、その類型ごとに社会通念上想定される本来的な目的や機能という観点から判断すべきことに照ら せば、原告が本件車両A及びBを購入した目的や、本件車両A及びBの実際の売却価格などといった事情が、直ちに本件車両A及びBが「使用又は期間の経過により減価」しない資産といえるか否かに影響するわけではない(そもそも、かかる個別的事情を考慮することが、価値の目減りやその前提となる価値の定義について一定の擬制を伴うことを前提とする減価 償却及び取得費控除の趣旨にそぐわないのは、前記のとおりである。)。 また、前記⑵ウのとおり、ストラディヴァリウスは、時の経過とともに歴代の演奏者の個性を加え、その実用的な機能(楽器としての演奏効果)にも深みが増すものと一般に評価されているという稀有な性質がある点で、原動機の性能の経年劣化を避けられない自動車とは異なる上、仮にこ の点をおくとしても、ストラディヴァリウスは、現に200年以上にわたり一流のヴァイオリンとしてその価値が社会通念上も確立しているのであって、「骨とう」と称するのに十分な長期間を経てもなお高い価値を維持しているといえるから、これを「時の経過によりその価値の減少しない」資 のヴァイオリンとしてその価値が社会通念上も確立しているのであって、「骨とう」と称するのに十分な長期間を経てもなお高い価値を維持しているといえるから、これを「時の経過によりその価値の減少しない」資産に該当すると判断することは社会通念にも合致する。これに対し、前 記⑵アのようなフェラーリ社の他の自動車の値動き等からみても、本件車 両A及びBが、そのような長期間にわたって高い価値を維持し、今後も維持し得る資産であるとは断じ難い。 以上のとおり、原告の主張には、いずれも理由がない。 ⑷ 結論したがって、結局、本件車両A及びBのいずれについても、その価値が、 当該類型の資産に求められる本来的な目的・効用とは異なる面に置かれていることが社会通念上確立しているといえるような例外的な場合には該当しないというべきであるから、法38条2項にいう「使用又は期間の経過により減価する資産」として、取得費控除の対象となることになる。そして、弁論の全趣旨に照らし、これと同様の理解を前提にしてされた処分行政庁の税額 計算にも誤りは認められない。 3 争点⑵イ(本件外貨取引に係る所得が、雑所得と譲渡所得のいずれに該当するか)-本案の争点⑴ 前記2⑴のとおり、譲渡所得とは、ある資産の所有期間中に生じた増加益を清算して課税する趣旨のものである以上、譲渡所得の課税対象となる資産 とは、その価値の増加益を観念できるものを指すものというべきである。 ここで、貨幣とは、商品の価値尺度や交換手段として社会に流通するものを指すところ、その性質に照らせば、貨幣自体の価値の増加又は減少を観念することはできない(そして、この理解は、その貨幣が日本で強制通用力を有する円貨であるか、外貨であるかを問わず妥当する)ものというべきであ る。こ 照らせば、貨幣自体の価値の増加又は減少を観念することはできない(そして、この理解は、その貨幣が日本で強制通用力を有する円貨であるか、外貨であるかを問わず妥当する)ものというべきであ る。この点、貨幣と同じく価値尺度としての側面を有する暗号資産につき、その譲渡原価等の計算及びその評価の方法を定める法48条の2において、暗号資産の譲渡により生じた利益が事業所得又は雑所得に該当することを前提にその必要経費に算入する金額を定める旨定めているのも、かかる理解に基づくものと解することができる(なお、同条の制定時の国会審議の際に、 政府参考人は、外貨も価値尺度たる貨幣であることから、当該外貨自体の値 上がり益を考慮することはできない旨の発言をしている。乙27・21頁、乙28・14頁等)。 そうすると、為替差損益、すなわち外貨と円貨の交換により生じた損益も、当該外貨自体の価値の増減によるものではないこととなるから、譲渡所得の対象となる資産には該当せず、他の類型の所得にも該当しないため雑所得に 区分されることとなる。 ⑵ これに対し、原告は、価値尺度として日本で強制通用力を有するのは円貨のみであり、法も外貨が価値尺度となることを前提とした規定を設けていない以上、外貨についてそれ自体の価値の増減を(円貨との関係で設定される為替レートを用いて)観念することは可能であるから、外貨は譲渡所得の課 税対象たる資産に該当する旨主張する。また、上記⑴の法48条の2の規定については、いかなる場合でも外貨が譲渡所得に該当しない旨をいうものではなく、政府参考人答弁の論拠は有力な学説に反するなど根拠が薄弱であることからすれば、少なくとも、外貨が支払手段ではなく投資対象とされた場合には妥当しないものと解するべきであるなどと主張する。 はなく、政府参考人答弁の論拠は有力な学説に反するなど根拠が薄弱であることからすれば、少なくとも、外貨が支払手段ではなく投資対象とされた場合には妥当しないものと解するべきであるなどと主張する。 しかし、法48条の2が、暗号資産が投資対象とされているか否かにかかわらずその譲渡益が事業所得とならない旨を定めるものであることは明白であるところ、その背景には、上記⑴で説示したとおり、円貨以外の貨幣や暗号資産等、当該貨幣や暗号資産との交換のための円貨の額が変動するものについても、それは飽くまで交換レートの変動による相対的な額の上下の問題 であり、当該貨幣や暗号資産自体の価値が増減したことによるものではないとの理解があるといえる。そうすると、外貨と円貨の為替差益の譲渡所得該当性についても、譲渡所得の対象たる資産には該当しないと解するのが上記規定の内容とも整合的であるといえるから、これと異なる原告の主張は採用できない。 ⑶ 以上のとおり、本件為替差損益は雑所得に該当するところ、これと同様の 理解に立って処分行政庁が行った税額の計算に誤りはない。 4 本件為替差損益の額の計算の基礎となる外国通貨の取得費等の計算方法(争点⑵ウ)-本案の争点⑴ 「総平均法に準ずる方法」により譲渡原価の計算を行うことに違法な点があるか(同) ア法35条2項は、雑所得の金額は、総収入金額から必要経費(その計算は、法37条1項の規定に基づき行う。)を差し引いて計算する旨規定する。そして、法47条ないし50条は、法37条1項の規定によりその年分の所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額を算定する場合におけるその算定の基礎となる資産の価額につき当該資産の類型ごとに定めると ころ、これらの規定は、資産の種類等及び資産か よりその年分の所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額を算定する場合におけるその算定の基礎となる資産の価額につき当該資産の類型ごとに定めると ころ、これらの規定は、資産の種類等及び資産から生ずる所得の区分に応じて、納税者において選定することのできる資産の価額の評価方法及びこれを選定しなかった場合等において適用される法定評価方法を定めている。 そして、為替差益が雑所得を生じた場合に、当該所得の計算上必要経費 に算入すべき外国通貨(外貨建ての預金債権も含む。)の取得費については、法においてその評価方法に係る直接の定めはないものの、上記の規定の趣旨に鑑みて、その資産としての性質及び当該資産から生ずる所得の区分を考慮し、法定評価方法の中から、適用すべき評価方法を判断するのが合理的である。 イ外国通貨は、その資産の性質上、同一の種別である限り代替性があり、取得時期や価額等にかかわらずその一単位当たりの価値は変わらないため、これらを等価とみて単価を平均する評価方法が相当であるところ、この点で、種類も性質も様々なものが含まれ経年により劣化するものもある棚卸資産ではなく、有価証券や暗号資産に類似する。さらに、その資産か ら生ずる所得の区分としても、雑所得が生ずることを前提として規定され た評価方法がなじむというべきである。以上を踏まえると、外国通貨については、有価証券又は暗号資産に係る譲渡原価の法定評価方法によるべきである。 ウ有価証券の譲渡原価の計算方法としては、総平均法(施行令105条1項1号)、移動平均法(同項2号)に加え、2回以上にわたって取得した 同一銘柄の有価証券についての計算方法(法48条3項)として総平均法に準ずる方法(施行令118条1項)がある。これに対し、暗号資産の譲渡原 平均法(同項2号)に加え、2回以上にわたって取得した 同一銘柄の有価証券についての計算方法(法48条3項)として総平均法に準ずる方法(施行令118条1項)がある。これに対し、暗号資産の譲渡原価の法定評価方法は、総平均法(施行令119条の5第1項1号)又は移動平均法(同項2号)とされ、法48条3項及び施行令118条1項と同様の規定はない。 ここで、2回以上にわたって取得した有価証券において総平均法に準ずる方法を用いるのは、総平均法自体が利益操作を排除し、取得単価を平均化する合理的な方法であることを前提に、期末に1回計算を行えば足りるとする総平均法は、ある資産を譲渡した後に購入した同種の資産の価額も当該資産の取得価格に影響を与えるという意味で正確性には劣る点があ ることから、資産を譲渡するごとに譲渡原価の計算を行うことを内容とする総平均法に準ずる方法を採用して、資産の価値をより正確に算出するとの趣旨であると解される。そして、かかる趣旨は、有価証券と同様に、その取得価額が異なるもののその物的性格が同じである外貨についても当てはまるものというべきであるから、本件各為替取引のように複数回にわ たり為替取引が行われた場合の譲渡原価の計算を総平均法に準ずる方法により行うことには、合理性があるというべきである。 エこれに対し、原告は、納税者において評価方法を選定しなかった場合には、厳密な原価管理が行われていない可能性がある以上、その評価方法を決定する際にも簡便性を重視すべきである、また、上記ウのとおり、暗号 資産に係る譲渡原価の法定評価方法として総平均法又は移動平均法のみが 規定されていることに照らせば、暗号資産に類似する外貨についても法定評価方法として総平均法を採用するのが合理的であるなどと主張する。 渡原価の法定評価方法として総平均法又は移動平均法のみが 規定されていることに照らせば、暗号資産に類似する外貨についても法定評価方法として総平均法を採用するのが合理的であるなどと主張する。 かかる原告の主張のうち、前者については、そもそも有価証券の法定評価方法として総平均法に準ずる方法を採用する法48条3項は、納税者において評価方法の選択がされる余地を設けていない(すなわち、同一銘柄 の有価証券を2回以上にわたって取得する場合には、常に総平均法に準ずる方法により計算が行われる)ことからすれば、結局のところ、原告の主張は、複数回の為替取引があった場合の外貨の譲渡原価の計算方法を前記の場合と同様とすることに合理性があるか否かに収れんされることとなるところ、かかる方法に合理性があることは前記ウのとおりである。 また、後者については、暗号資産に係る譲渡原価の法定評価方法を定めた法48条の2が施行されたのは本件各更正処分等及び平成28年分各通知処分がされた後の平成31年4月1日であることからすれば、同条の規定は、処分行政庁が本件においてかかる取扱いをすべき根拠とはならないというべきである。また、仮にこの点をおくとしても、同条に法48条 3項と同様に複数回にわたり同一銘柄の暗号資産を取得した場合の取得原価に関する規定が設けられていないのは、暗号資産が銀行等を介することなく暗号資産交換業者によってやり取りがされるものであるところ、当該交換業者は多数にわたり一括管理が難しいことを踏まえ、納税者において取得原価を譲渡時毎に平均化することが困難な場合も多い点に配慮し たためであることがうかがえるところ、このような暗号資産と外貨との差異(むしろ、この意味においては、銀行等の第三者を介して取引・管理されているため、その平 ることが困難な場合も多い点に配慮し たためであることがうかがえるところ、このような暗号資産と外貨との差異(むしろ、この意味においては、銀行等の第三者を介して取引・管理されているため、その平均取得価格の計算も容易であるという点で、外貨は有価証券に類似するといえる。)も踏まえれば、処分行政庁において、複数回の為替取引における外貨の取得原価の算定方法として総平均法に準 ずる方法を採用することには合理性が認められる。 以上のとおり、原告の主張はいずれも採用できない。 ⑵ 端数処理について小数点以下3位未満を切り上げず、小数点以下を切り上げる方法によることに違法な点があるか(同)上記アの外国通貨の取得価額の計算に当たり、1単位当たりの取得単価に関する小数点以下の端数処理について、所得税法上特段の定めは設けられて いない。そして、小数点以下の数値について切り上げを行わないと、納税者が行うものも含め事務処理に煩雑さが生ずる(取引額が大きい場合など、端数処理の有無によって金額に大きな差が生ずる可能性がある。)ことをも踏まえれば、小数点以下の端数処理を行わずに計算を行うことにつき不合理な点も見当たらない。 原告は、かかる取扱いにつき、所得税関係法令の端数処理方法や外国為替取引の実務にも反するなどと主張するが、その具体的な内容について、何ら主張立証はされていない。 ⑶ 小括このように、本件為替差損益は雑所得であると認められ、外貨の譲渡原価 の計算方法については総平均法に準ずる方法により行い、かつ、計算の際には小数点以下の端数処理を行うことには合理性が認められるものというべきである。そして、かかる理解を前提にしてされた処分行政庁の税額計算に、誤りは認められない。 第4 結論 、計算の際には小数点以下の端数処理を行うことには合理性が認められるものというべきである。そして、かかる理解を前提にしてされた処分行政庁の税額計算に、誤りは認められない。 第4 結論 以上のとおり、本件訴えのうち、請求の趣旨第3項については却下すべきであり、原告のその余の請求については全て理由がないからいずれも棄却すべきである。よって、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第51部 裁判長裁判官岡田幸人 裁判官横地大輔 裁判官中村陽菜(別紙1省略) (別紙2-1) ○ 所得税法 (定義) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一ないし十八 (省略) 十九 減価償却資産 不動産所得若しくは雑所得の基因となり、又は不動産所得、事業所得、山林所得若しくは雑所得を生ずべき業務の用に供される建物、構築物、機械及び装置、船舶、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で償却をすべきものとして政令で定めるものをいう。 二十ないし四十八 、器具及び備品、鉱業権その他の資産で償却をすべきものとして政令で定めるものをいう。 二十ないし四十八 (省略) (省略) (譲渡所得) 第三十三条 譲渡所得とは、資産の譲渡(建物又は構築物の所有を目的とする地上権又は賃借権の設定その他契約により他人に土地を長期間使用させる行為で政令で定めるものを含む。 以下この条において同じ。 )による所得をいう。 (省略) 譲渡所得の金額は、次の各号に掲げる所得につき、それぞれその年中の当該所得に係る総収入金額から当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額を控除し、その残額の合計額(当該各号のうちいずれかの号に掲げる所得に係る総収入金額が当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額に満たない場合には、その不足額に相当する金額を他の号に掲げる所得に係る残額から控除した金額。 以下この に満たない場合には、その不足額に相当する金額を他の号に掲げる所得に係る残額から控除した金額。以下この条において「譲渡益」という。 一 資産の譲渡(前項の規定に該当するものを除く。次号において同じ。)でその資産の取得の日以後五年以内にされたものによる所得(政令で定めるものを除く。) 二 資産の譲渡による所得で前号に掲げる所得以外のもの 前項に規定する譲渡所得の特別控除額は、五十万円(譲渡益が五十万円に満たない場合には、当該譲渡益)とする。 第三項の規定により譲渡益から同項に規定する譲渡所得の特別控除額を控除する場合には、まず、当該譲渡益のうち同項第一号に掲げる所得に係る部分の金額から控除するものとする。 (雑所得) 第三十五条 雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得の とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう。 ないし (省略) (必要経費) 第三十七条 その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額(事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。 )の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの(別紙2-1) 所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。 )の額とする。 山林につきその年分の事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得 定しないものを除く。 )の額とする。 山林につきその年分の事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その山林の植林費、取得に要した費用、管理費、伐採費その他その山林の育成又は譲渡に要した費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。 )の額とする。 (譲渡所得の金額の計算上控除する取得費) 第三十八条 譲渡所得の金額の計算上控除する資産の取得費は、別段の定めがあるものを除き、その資産の取得に要した金額並びに設備費及び改良費の額の合計額とする。 譲渡所得の基因となる資産が家屋その他使用又は期間の経過により減価する資産である場合には、前項に規定する資産の取得費は、同項に規定する合計額に相当する金額から、その取得の日から譲渡の日までの期間のうち次の各号に掲げる期間の区分に応じ当該各号に掲げる金額の合計額 その取得の日から譲渡の日までの期間のうち次の各号に掲げる期間の区分に応じ当該各号に掲げる金額の合計額を控除した金額とする。 一 その資産が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の用に供されていた期間 第四十九条第一項(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)の規定により当該期間内の日の属する各年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入されるその資産の償却費の額の累積額 二 前号に掲げる期間以外の期間 第四十九条第一項の規定に準じて政令で定めるところにより計算したその資産の当該期間に係る減価の額 (有価証券の譲渡原価等の計算及びその評価の方法) 第四十八条 居住者の有価証券につき第三十七条第一項(必要経費)の規定によりその者の事業所得の金額の計算上必要経費に算入する金額を算定する場合におけるその算定の基礎となるその年十 の者の事業所得の金額の計算上必要経費に算入する金額を算定する場合におけるその算定の基礎となるその年十二月三十一日において有する有価証券の価額は、その者が有価証券について選定した評価の方法により評価した金額(評価の方法を選定しなかつた場合又は選定した評価の方法により評価しなかつた場合には、評価の方法のうち政令で定める方法により評価した金額)とする。 前項の選定をすることができる評価の方法の種類、その選定の手続その他有価証券の評価に関し必要な事項は、政令で定める。 居住者が二回以上にわたつて取得した同一銘柄の有価証券につき第三十七条第一項の規定によりその者の雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額又は第三十八条第一項(譲渡所得の金額の計算上控除する取得費)の規定によりその者の譲渡所得の金額の計算上取得費に算入する金額は、政令で定めるところにより、それぞれの取得に要した金額を基礎として 金額の計算上取得費に算入する金額は、政令で定めるところにより、それぞれの取得に要した金額を基礎として第一項の規定に準じて評価した金額とする。 (暗号資産の譲渡原価等の計算及びその評価の方法) 第四十八条の二 居住者の暗号資産(資金決済に関する法律(平成二十一年法律第五十九号)第二条第五項(定義)に規定する暗号資産をいう。 以下この条において同じ。 )につき第三十七条第一項(必要経費)の規定によりその者の事業所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額を算定する場合におけるその算定の基礎となるその年十二月三十一日において有する暗号資産の価額は、その者が暗号資産について選定した評価の方法により評価し(別紙2-1) た金額(評価の方法を選定しなかつた場合又は選定した評価の方法により評価しなかつた場合には、評価の方法のうち政令で定める方法により評価した金額)とする。 前項の選定をするこ かつた場合には、評価の方法のうち政令で定める方法により評価した金額)とする。 前項の選定をすることができる評価の方法の種類、その選定の手続その他暗号資産の評価に関し必要な事項は、政令で定める。 (減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法) 第四十九条 居住者のその年十二月三十一日において有する減価償却資産につきその償却費として第三十七条(必要経費)の規定によりその者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額は、その取得をした日及びその種類の区分に応じ、償却費が毎年同一となる償却の方法、償却費が毎年一定の割合で逓減する償却の方法その他の政令で定める償却の方法の中からその者が当該資産について選定した償却の方法(償却の方法を選定しなかつた場合には、償却の方法のうち政令で定める方法)に基づき政令で定めるところにより計算した金額とする。 つた場合には、償却の方法のうち政令で定める方法に基づき政令で定めるところにより計算した金額とする。 前項の選定をすることができる償却の方法の特例、償却の方法の選定の手続、償却費の計算の基礎となる減価償却資産の取得価額、減価償却資産について支出する金額のうち使用可能期間を延長させる部分等に対応する金額を減価償却資産の取得価額とする特例その他減価償却資産の償却に関し必要な事項は、政令で定める。 (別紙2-2) ○ 所得税法施行令 (減価償却資産の範囲) 第六条 法第二条第一項第十九号に規定する政令で定める資産は、棚卸資産、有価証券及び繰延資産以外の資産のうち次に掲げるもの(時の経過によりその価値の減少しないものを除く。)とする。 一ないし五 (省略) 六 車両及び運搬具 七 工具、器具及び備品(観賞用、興行用その他これらに準ずる用に供する生物を含む。) 八 (省略) (非事業用 器具及び備品(観賞用、興行用その他これらに準ずる用に供する生物を含む。 ) 八 (省略) (非事業用資産の減価の額の計算) 第八十五条 法第三十八条第二項(譲渡所得の基因となる資産の減価の額)に規定する資産の同項第二号に掲げる期間に係る減価の額は、当該資産の取得に要した金額並びに設備費及び改良費の額の合計額につき、当該資産と同種の減価償却資産に係る第百二十九条(減価償却資産の耐用年数等)に規定する耐用年数に一・五を乗じて計算した年数により第百二十条第一項第一号イ( )(減価償却資産の償却の方法)に規定する旧定額法に準じて計算した金額に、当該資産の当該期間に係る年数を乗じて計算した金額とする。 この場合において、当該資産と同種の減価償却資産が第百三十四条第一項第一号イ又はハ(減価償却資産の償却累積額による償却費の特例)に掲げる減価償却資産に該当する場合には、当該計算した金額は、当該同種の減価償 積額による償却費の特例)に掲げる減価償却資産に該当する場合には、当該計算した金額は、当該同種の減価償却資産の同号イ又はハに掲げる区分に応じ当該イ又はハに定める金額を限度とする。 前項の場合において、次の各号に掲げる年数に一年未満の端数があるときの処理については、当該各号に定めるところによる。 一 前項に規定する一・五を乗じて計算した年数一年未満の端数は、切り捨てる。 二 前項に規定する期間に係る年数六月以上の端数は一年とし、六月に満たない端数は切り捨てる。 (有価証券の評価の方法) 第百五条 法第四十八条第一項(有価証券の譲渡原価等の計算及びその評価の方法)の規定によるその年十二月三十一日(同項の居住者が年の中途において死亡し又は出国をした場合には、その死亡又は出国の時。以下この条において同じ。)において有する有価証券(以下この項において「期末有価証券」という。)の評価額の計算上 において同じ。 )において有する有価証券(以下この項において「期末有価証券」という。 )の評価額の計算上選定をすることができる評価の方法は、期末有価証券につき次に掲げる方法のうちいずれかの方法によつてその取得価額を算出し、その算出した取得価額をもつて当該期末有価証券の評価額とする方法とする。 一 総平均法(有価証券をその種類及び銘柄(以下この項において「種類等」という。 )の異なるごとに区別し、その種類等の同じものについて、その年一月一日において有していた種類等を同じくする有価証券の取得価額の総額とその年中に取得した種類等を同じくする有価証券の取得価額の総額との合計額をこれらの有価証券の総数で除して計算した価額をその一単位当たりの取得価額とする方法をいう。 ) 二 移動平均法(有価証券をその種類等の異なるごとに区別し、その種類等の同じものについて、当初の一単位当たりの取得価額が、種類等を同じくする 異なるごとに区別し、その種類等の同じものについて、当初の一単位当たりの取得価額が、種類等を同じくする有価証券を再び取得した場合にはその取得の時において有する当該有価証券とその取得した有価証券との数及び取得価額を基礎として算出した平均単価によつて改定されたものとみなし、以後種類等を同じくする有価証券を取得する都度同様の方法により一(別紙2-2) 単位当たりの取得価額が改定されたものとみなし、その年十二月三十一日から最も近い日において改定されたものとみなされた一単位当たりの取得価額をその一単位当たりの取得価額とする方法をいう。 ) (省略) (譲渡所得の基因となる有価証券の取得費等) 第百十八条 居住者が法第四十八条第三項(譲渡所得の基因となる有価証券の取得費等の計算)に規定する二回以上にわたつて取得した同一銘柄の有価証券で雑所得又は譲渡所得の基因となるものを譲渡した場合には、その譲渡につ たつて取得した同一銘柄の有価証券で雑所得又は譲渡所得の基因となるものを譲渡した場合には、その譲渡につき法第三十七条第一項(必要経費)の規定によりその者のその譲渡の日の属する年分の雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額又は法第三十八条第一項(譲渡所得の金額の計算上控除する取得費)の規定によりその者の当該年分の譲渡所得の金額の計算上取得費に算入する金額は、当該有価証券を最初に取得した時(その後既に当該有価証券の譲渡をしている場合には、直前の譲渡の時。 以下この項において同じ。 )から当該譲渡の時までの期間を基礎として、当該最初に取得した時において有していた当該有価証券及び当該期間内に取得した当該有価証券につき第百五条第一項第一号(総平均法)に掲げる総平均法に準ずる方法によつて算出した一単位当たりの金額により計算した金額とする。 (省略) (暗号資産の法定評価方法) 第百十九条の五 法第四 の金額により計算した金額とする。 (省略) (暗号資産の法定評価方法) 第百十九条の五 法第四十八条の二第一項(暗号資産の譲渡原価等の計算及びその評価の方法)に規定する政令で定める方法は、第百十九条の二第一項第一号(暗号資産の評価の方法)に掲げる総平均法により算出した取得価額による評価の方法とする。 (省略)(別紙2-3) 〇所得税基本通達 (美術品等についての減価償却資産の判定)2-14 「時の経過によりその価値の減少しない資産」は減価償却資産に該当しないこととされているが、次に掲げる美術品等は「時の経過によりその価値の減少しない資産」と取り扱う。(昭55直所3-19、直法6-8、平元直所3-14、直法6-9、直資3-8、平26課個2-20、課審5-26改正)⑴ 古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないもの⑵ ⑴以外の美術品等で、取得価額が1点100万円以上であるもの(時の経過によりその価値が減少することが明らかなものを除く。)(注) 1 時の経過によりその価値が減少することが明らかなものには、例えば、会館のロビーや葬祭場のホールのような不特定多数の者が利用する場所の装飾用や展示用(有料で公開するものを除く。)として個人が取得するもののうち、移設することが困難で当該用途にのみ使用されることが明らかなものであり、かつ、他の用途に転用すると仮定した場合 する場所の装飾用や展示用(有料で公開するものを除く。)として個人が取得するもののうち、移設することが困難で当該用途にのみ使用されることが明らかなものであり、かつ、他の用途に転用すると仮定した場合にその設置状況や使用状況から見て美術品等としての市場価値が見込まれないものが含まれる。 2 取得価額が1点100万円未満であるもの(時の経過によりその価値が減少しないことが明らかなものを除く。)は減価償却資産と取り扱う。 (別紙2-4) 〇所得税法基本通達(平成26年12月19日・課個2-20による改正前のもの) (書画、骨とう等)2-14 書画、骨とう(複製のようなもので、単に装飾的目的にのみ使用されるものを除く。以下この項において同じ。)のように、時の経過によりその価値が減少しない資産は減価償却資産に該当しないのであるが、次に掲げるようなものは原則として書画骨とうに該当する。(昭55直所3-19、直法6-8、平元直所3-14、直法6-9、直資3-8改正)⑴ 古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないもの⑵ 美術関係の年鑑等に登載されている作者の制作に係る書画、彫刻、工芸品等 (注) 書画、骨とうに該当するかどうかが明らかでない美術品等でその取得価額が1点20万円(絵画にあっては、号2万円)未満であるものについては、減価償却資産として取り扱うことができるものとする。 (別紙3)課税の根拠及び計算 1 平成27年分原告の平成27年分の所得税等の納付すべき税額等は、次のとおりである。 ⑴ 総所得金額 2億4801万3911円上記金額は、次のアないしエの各金額(ただし、ウの長期譲渡所得の金額に 等の納付すべき税額等は、次のとおりである。 ⑴ 総所得金額 2億4801万3911円上記金額は、次のアないしエの各金額(ただし、ウの長期譲渡所得の金額については2分の1に相当する金額。法22条2項)の合計額である。 ア事業所得の金額 1億1379万4027円上記金額は、原告が平成27年分確定申告書に記載した事業所得の金額と 同額である。 イ不動産所得の金額 0円上記金額は、原告が平成27年分確定申告書に記載した不動産所得の金額と同額である。 ウ譲渡所得の金額 1億2794万3544円 上記金額は、及びの各金額の合計額である。 短期譲渡所得の金額 0円上記金額は、法33条3項1号に規定する譲渡所得の金額であり、次のaの総収入金額95万9436円からbの取得費76万5892円を控除した後、同条4項の規定による譲渡所得の特別控除額19万3544円 (譲渡所得の譲渡益が50万円に満たない場合には当該譲渡益が特別控除額になる。)を、同条5項の規定により控除した金額である。 a 総収入金額 95万9436円上記金額は、原告が平成27年中に譲渡した車両(ホンダ・ステップワゴン。以下「ステップワゴン」という。)の譲渡に係る収入金額であ る。 b 取得費 76万5892円上記金額は、原告がステップワゴンを平成24年6月15日に取得した際の取得価額297万7686円から、譲渡日までの減価の額221万1794円を差し引いた金額で 76万5892円上記金額は、原告がステップワゴンを平成24年6月15日に取得した際の取得価額297万7686円から、譲渡日までの減価の額221万1794円を差し引いた金額である。 長期譲渡所得の金額 1億2794万3544円 上記金額は、法33条3項2号に規定する譲渡所得の金額であり、次のaの総収入金額1億3500万円からbの取得費675万円を控除した後、同条4項の規定による譲渡所得の特別控除額30万6456円(50万円から前記で控除した特別控除額19万3544円を差し引いた残額)を、同条5項の規定により控除した金額である。 a 総収入金額 1億3500万円上記金額は、原告が平成27年中に譲渡した、本件車両Aの譲渡に係る収入金額である。 b 取得費 675万円上記金額は、譲渡所得の金額の計算上控除する取得費であり、本件車 両Aは法38条2項に規定する「使用又は期間の経過により減価する資産」に該当するため、平成9年11月7日に取得した金額5389万6450円から、譲渡の日までに減価した金額を控除して計算することとなるが、本件車両Aについては、譲渡に係る収入金額の100分の5に相当する金額を取得費として取り扱う(基本通達38-16参照)。 エ雑所得の金額 7024万8112円上記金額は、次の及びの各金額の合計額である。 公的年金等に係る雑所得の金額 0円上記金額は、原告が平成27年分確定申告書に記載した公的年金等に係る雑所得の金額と同額である。 本件為替差損益に係る 公的年金等に係る雑所得の金額 0円上記金額は、原告が平成27年分確定申告書に記載した公的年金等に係る雑所得の金額と同額である。 本件為替差損益に係る雑所得の金額 7024万8112円 上記金額は、原告が平成27年中に行った本件為替差損益の額の合計額である。 なお、上記金額の具体的な計算方法等については、別表1-1に記載したとおりであり、本件為替差損益に係る所得は雑所得に該当する。また、本件外貨預金口座の残高の円換算額(別表1-1の「米ドルの取得価額(円 換算額)の計算」の「⑦ ④の円換算額」欄)の計算は、総平均法に準ずる方法によるべきである。 ⑵ 所得控除の額の合計額 164万4095円上記金額は、原告が平成27年分確定申告書に記載した所得から差し引かれる金額の合計額と同額である。 ⑶ 課税総所得金額 2億4636万9000円上記金額は、前記⑴の総所得金額から前記⑵の所得控除の額の合計額を控除した後の金額(ただし、通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。後記2⑶及び3⑶において同じ。)である。 ⑷ 申告納税額 1億0829万7500円 上記金額は、次のアの課税総所得金額に対する税額にイの復興特別所得税の額を加算した金額(ただし、東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成23年法律第117号。以下「復興財源確保法」という。)24条2項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの。後記2⑷及び3⑷において同じ。)である。 ア課税総所得金額に対する税額 第117号。以下「復興財源確保法」という。)24条2項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの。後記2⑷及び3⑷において同じ。)である。 ア課税総所得金額に対する税額 1億0607万0050円上記金額は、前記⑶の課税総所得金額に法89条1項に規定する税率を乗じて算出した金額である。 イ復興特別所得税の額 222万7471円上記金額は、前記アの金額に、復興財源確保法13条が規定する100分 の2.1の税率を乗じて算出した金額(1円未満の端数を切り捨てた後のも の。後記2⑷イ及び3⑷イにおいて同じ。)である。 ⑸ 納付すべき税額 8866万1700円上記金額は、前記⑷の申告納税額1億0829万7500円から、原告が平成27年分確定申告書に記載した予定納税額1963万5800円を控除した後の金額である。 2 平成28年分原告の平成28年分の所得税等の納付すべき税額等は、次のとおりである。 ⑴ 総所得金額 1億1174万7639円上記金額は、次のアないしウの各金額(ただし、ウの譲渡所得の金額(長期)については2分の1に相当する金額。法22条2項)の合計額である。 なお、エの雑所得の金額の計算上生じた損失を他の所得から控除することはできない(法69条1項参照)。 ア事業所得の金額 9329万2991円上記金額は、原告が平成28年分確定申告書に記載した事業所得の金額と同額である。 イ不動産所得の金額 0円上記金額は、原告が平成28年分確定申告書に記載した不動産所得の金額と同額である した事業所得の金額と同額である。 イ不動産所得の金額 0円上記金額は、原告が平成28年分確定申告書に記載した不動産所得の金額と同額である。 ウ譲渡所得の金額(長期) 3690万9297円上記金額は、法33条3項2号に規定する譲渡所得の金額であり、次の の総収入金額4300万円からの取得費559万0703円を控除した後、同条4項の規定による譲渡所得の特別控除額50万円を控除した金額である。 総収入金額 4300万円上記金額は、次のaないしcの各金額の合計額である。 a 本件車両Bの譲渡に係る収入金額 2300万円 上記金額は、原告が平成28年中に譲渡した本件車両Bの譲渡に係る収入金額である。 b 本件車両Cの譲渡に係る収入金額 850万円上記金額は、原告が平成28年中に譲渡した本件車両Cの譲渡に係る収入金額である。 c 本件車両Dの譲渡に係る収入金額 1150万円上記金額は、原告が平成28年中に譲渡した本件車両Dの譲渡に係る収入金額である。 取得費 559万0703円上記金額は、次のaないしcの各金額の合計額である。本件車両B、本 件車両C及び本件車両Dは、いずれも法38条2項に規定する「使用又は期間の経過により減価する資産」に該当するから、譲渡所得の金額の計算において控除する取得費は、原則としてその取得価額から譲渡の日までの減価の額を控除して計算することになる。 a 本件車両Bの取得費 115万円 額の計算において控除する取得費は、原則としてその取得価額から譲渡の日までの減価の額を控除して計算することになる。 a 本件車両Bの取得費 115万円 上記金額は、本件車両Bの取得費であり、前記aの収入金額2300万円の100分の5に相当する金額を取得費として取り扱う(基本通達38-16参照。)。 b 本件車両Cの取得費 91万6798円上記金額は、本件車両Cの取得価額1833万5950円から、その 譲渡の日までの減価の額1741万9152円を控除した後の金額である。 c 本件車両Dの取得費 352万3905円上記金額は、本件車両Dの取得価額3492万4720円から、その譲渡の日までの減価の額3140万0815円を控除した後の金額で ある。 エ雑所得の金額 △2959万3990円上記金額は、原告が平成28年分中に行った本件外貨取引により生じた為替差損益(本件為替差損益)の金額である(別表1-2参照)。 なお、上記金額の前の△は、損失の金額を表す(以下、特に断らない限り同じ。)。 ⑵ 所得控除の額の合計額 178万9610円上記金額は、原告が平成28年分確定申告書に記載した所得から差し引かれる金額の合計額と同額である。 ⑶ 課税総所得金額 1億0995万8000円上記金額は、前記⑴の総所得金額から前記⑵の所得控除の額の合計額を控除 した後の金額である。 ⑷ 申告納税額 4562万3400円上記金額は、次のアの課税総所得金額に対する税額にイの復興特別所得税の額 の額の合計額を控除 した後の金額である。 ⑷ 申告納税額 4562万3400円上記金額は、次のアの課税総所得金額に対する税額にイの復興特別所得税の額を加算した金額である。 ア課税総所得金額に対する税額 4468万5100円 上記金額は、前記⑶の課税総所得金額に法89条1項に規定する税率を乗じて算出した金額である。 イ復興特別所得税の額 93万8387円上記金額は、前記アの金額に、復興財源確保法13条が規定する100分の2.1の税率を乗じて算出した金額である。 ⑸ 納付すべき税額 1453万6800円上記金額は、前記⑷の申告納税額から、原告が平成28年分確定申告書に記載した予定納税額3108万6600円を控除した後の金額である。 3 平成29年分原告の平成29年分の所得税等の納付すべき税額等は、次のとおりである。 ⑴ 総所得金額 8373万5573円 上記金額は、次のアないしエの各金額の合計額であり、原告が平成29年確定申告書に記載した金額と同額である。 なお、オの雑所得の金額の計算上生じた損失を他の所得から控除することはできない(法69条1項参照)。 ア事業所得の金額 795万6366円 上記金額は、原告が平成29年分確定申告書に記載した事業所得の金額と同額である。 イ不動産所得の金額 118万3291円上記金額は、原告が平成29年分確定申告書に記載した不動産所得の金額と同額である。 ウ給与所得の金額 の金額 118万3291円上記金額は、原告が平成29年分確定申告書に記載した不動産所得の金額と同額である。 ウ給与所得の金額 7480万円上記金額は、原告が平成29年分確定申告書に記載した給与所得の金額と同額である。 エ譲渡所得の金額 △20万4084円上記金額は、次の及びの各金額の合計額であり、原告が平成29年分 確定申告書に記載した譲渡所得の金額と同額である。 短期譲渡所得の金額 0円上記金額は、原告が平成29年分確定申告書に記載した短期譲渡所得の金額と同額である。 長期譲渡所得の金額 △20万4084円 上記金額は、原告が平成29年分確定申告書に記載した長期譲渡所得の金額と同額である。 オ雑所得の金額 △9581万3735円上記金額は、原告が平成29年分中に行った本件外貨取引により生じた為替差損益(本件為替差損益)の額の合計額である(別表1-3参照)。 ⑵ 所得控除の額の合計額 178万5770円 上記金額は、原告が平成29年分確定申告書に記載した所得から差し引かれる金額の合計額と同額である。 ⑶ 課税総所得金額 8194万9000円上記金額は、前記⑴の総所得金額から前記⑵の所得控除の額の合計額を控除した後の金額であり、原告が平成29年分確定申告書に記載した課税総所得金 額と同額である。 ⑷ 申告納税額 296万2600円上記金額は、次のアの課税 した後の金額であり、原告が平成29年分確定申告書に記載した課税総所得金 額と同額である。 ⑷ 申告納税額 296万2600円上記金額は、次のアの課税総所得金額に対する税額にイの復興特別所得税の額を加算した後に、ウの源泉徴収税額を差し引いて算出した金額であり、原告が平成29年分確定申告書に記載した所得税及び復興特別所得税の申告納税 額と同額である。 ア課税総所得金額に対する税額 3208万1050円上記金額は、前記⑶の課税総所得金額に法89条1項に規定する税率を乗じて算出した金額であり、原告が平成29年分確定申告書に記載した課税総所得金額に対する税額と同額である。 イ復興特別所得税の額 67万3702円上記金額は、前記アの金額に、復興財源確保法13条が規定する100分の2.1の税率を乗じて算出した金額であり、原告が平成29年分確定申告書に記載した復興特別所得税の額と同額である。 ウ源泉徴収税額 2979万2092円 上記金額は、原告が平成29年分確定申告書に記載した源泉徴収税額と同額である。 ⑸ 納付すべき税額 △2180万0200円上記金額は、前記⑷の申告納税額から、原告が平成29年分確定申告書に記載した予定納税額2476万2800円を控除した後の金額であり、原告が平 成29年分確定申告書に記載した還付金の額に相当する税額と同額である。 なお、上記金額の前の△は、還付金の額に相当する税額を表す。 4 本件における各増額更正処分の適法性について⑴ 平成27年分被告が本訴において主張する原告の平成27年分の所得税等の納付 なお、上記金額の前の△は、還付金の額に相当する税額を表す。 4 本件における各増額更正処分の適法性について⑴ 平成27年分被告が本訴において主張する原告の平成27年分の所得税等の納付すべき税額は、前記1⑸のとおり8866万1700円であるところ、当該金額は、 処分行政庁が平成30年8月21日付けで行った原告の平成27年分の所得税等の増額更正処分(以下「平成27年分更正処分」という。)における納付すべき税額8857万8500円を上回る。 ⑵ 平成28年分被告が本訴において主張する原告の平成28年分の所得税等の納付すべき 税額は、前記2⑸のとおり1453万6800円であるところ、当該金額は、処分行政庁が平成30年8月21日付けで行った原告の平成28年分の所得税等の増額更正処分(以下「平成28年分更正処分」という。)における納付すべき税額と同額である。 ⑶ 平成29年分 被告が本訴において主張する原告の平成29年分の所得税等の納付すべき税額(還付金の額に相当する税額)は、前記3⑸のとおり△2180万0200円であるところ、上記金額は、原告が平成29年分確定申告書に記載した還付金の額に相当する税額と同額である。 5 本件における各賦課決定処分の根拠及び適法性について ⑴ 平成27年分更正処分及び平成28年分更正処分により原告が新たに納付すべき税額の計算の基礎となった事実のうちに、上記各更正処分前における税額の計算の基礎とされていなかったことについて、通則法65条(平成27年分更正処分に係る過少申告加算税の賦課決定処分については、平成28年法律第15号による改正前のもの。平成28年分更正処分に係る過少申告 加算税の賦課決定処分については、平成28年法律第15号による改正後の 税の賦課決定処分については、平成28年法律第15号による改正前のもの。平成28年分更正処分に係る過少申告 加算税の賦課決定処分については、平成28年法律第15号による改正後の もの。以下、特に断りのない限り同じ。)4項に規定する「正当な理由」があるとは認められない。 したがって、平成27年分更正処分及び平成28年分更正処分に基づき原告に賦課される平成27年分及び平成28年分の各過少申告加算税の額は、通則法65条1項及び同2項に基づき算定された次のア及びイの各金額となる。 ア平成27年分の過少申告加算税の額 690万5500円上記金額は、次の及びの各金額の合計額である。 通常分の過少申告加算税の額 615万8000円上記金額は、通則法65条1項の規定及び復興財源確保法24条4項の規定に基づき、原告が平成27年分更正処分により新たに納付すべき税額 6158万円(ただし、通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。後記並びにイ及びにおいて同じ。)に100分の10の割合を乗じて計算した金額である。 加重分の過少申告加算税の額 74万7500円上記金額は、通則法65条2項及び復興財源確保法24条4項の規定に 基づき、原告が平成27年分更正処分により新たに納付すべき税額6158万4200円のうち、平成27年分の所得税等に係る期限内申告税額4663万0100円(平成27年分確定申告書に記載された納付すべき税額2699万4300円に平成27年分の予定納税額1963万5800円を加算した金額)に相当する金額と50万円のいずれか多い方の金額 である4663万0100円を超える部分に相当する すべき税額2699万4300円に平成27年分の予定納税額1963万5800円を加算した金額)に相当する金額と50万円のいずれか多い方の金額 である4663万0100円を超える部分に相当する税額1495万円(ただし、通則法118条3項及び復興財源確保法24条6項の規定に基づき1万円未満の端数金額を切り捨てた後のもの。)に100分の5の割合を乗じて計算した金額である。 イ平成28年分の過少申告加算税の額 上記金額は、次の及びの各金額の合計額である。 通常分の過少申告加算税の額 84万7000円上記金額は、通則法65条1項の規定及び復興財源確保法24条4項の規定に基づき、平成28年分更正処分により原告が新たに納付すべき税額847万円に100分の10の割合を乗じて計算した金額である。 国外送金等調書法に基づく加重分 42万3500円 上記金額は、国外送金等調書法6条の3第2項により準用する法6条2項の規定に基づき、平成28年分更正処分により原告が新たに納付すべき税額847万円に100分の5の割合を乗じて計算した金額である。 原告は、平成27年分において、法120条1項の規定による申告書を提出すべき者であり、同年分の総所得金額が2000万円を超え、かつ、 平成27年12月31日において有する財産が3億円以上であったから、原告は、「同日において有する財産の種類、数量及び価額並びに債務の金額その他必要な事項を記載した調書」を平成28年3月15日までに所轄税務署長に提出しなければならなかったところ(国外送金等調書法6条の2第1項)、原告は、当該調書を処分行政庁に提出している。 処分行政庁は、原告の平成28年分の所得 8年3月15日までに所轄税務署長に提出しなければならなかったところ(国外送金等調書法6条の2第1項)、原告は、当該調書を処分行政庁に提出している。 処分行政庁は、原告の平成28年分の所得税等について、本件車両B、本件車両C及び本件車両Dの譲渡に係る所得の申告漏れを理由とする平成28年分更正処分を行ったところ、当該処分により新たに納付すべき税額には通則法65条の規定の適用があり、平成27年分財産債務調書には、上記所得の基因となった財産である本件車両B、本件車両C及び本件車両 Dの記載がなかったから、平成28年分更正処分に係る過少申告加算税の額は、同条の規定にかかわらず、同条の規定により計算した金額に、上記金額(42万3500円)を加算した金額となる(国外送金等調書法6条2項)。 ⑵ 前記⑴ア及びイのとおり、平成27年分更正処分及び平成28年分更正処 分に伴い原告に賦課される過少申告加算税の額は、それぞれ690万550 0円及び127万0500円であるところ、当該各金額は、本件各更正処分等における過少申告加算税の額といずれも同額である。
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