令和5年7月3日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和2年(ワ)第12387号実験装置使用差止等請求事件口頭弁論終結日令和5年5月8日判決 原告P1 原告P2 原告ら訴訟代理人弁護士川村和久同藤岡亮 被告大学共同利用機関法人高エネルギー 加速器研究機構 訴訟代理人弁護士小林哲也同小林理英子同本田耕一 主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は、別紙物件目録記載1ないし3の実験装置(以下、総称して「本件物件」 という。)を、研究のために使用し、又は第三者に開示、使用させてはならない。 2 被告は、原告らに対し、本件物件を引き渡せ。 3 被告は、原告らに対し、1億円及びこれに対する令和3年3月20日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は、原告らが、被告に対し、次の請求をする事案である。 (1) 本件物件の使用差止め等請求(①から③は選択的併合)①原告らと被告の間に科研費契約という契約(以下「本件契約」という。)が成立したことを前提とする、同契約に付随する秘密保持義務の履行請求、②被告が本件物件に化体している原告らのノウハウ(以下「本件情報」という。)を使用又は開示したとして、不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項 7号、3条1項2項に基づく請求、③被告が原告らの意に反して本件物件を使用した人格権(研究者としての名誉権等)侵害に基づく請求としての、本件物件の使用 止法(以下「不競法」という。)2条1項 7号、3条1項2項に基づく請求、③被告が原告らの意に反して本件物件を使用した人格権(研究者としての名誉権等)侵害に基づく請求としての、本件物件の使用等の差止め、引渡請求(2) 損害賠償請求(①から③は選択的併合)①本件契約の債務不履行、②不競法2条1項7号、4条、③人格権侵害の不 法行為に基づく、原告らの被った損害賠償金1億円及びこれに対する令和3年3月16日付け訴えの変更申立書の送達日の翌日から支払済みまでの民法所定の割合による遅延損害金支払請求 2 前提事実(争いのない事実又は証拠(枝番号があるものは各枝番号を含む。以下同じ)により容易に認定できる事実) (1) 当事者ア原告ら原告らは、UCN(波長が600オングストロームより長い、極端に低いエネルギーの中性子であって、その低いエネルギー故に容器の中に閉じ込められる性質を有するもの(UltraColdNeutronの頭文字)) の研究に従事する研究者である。 原告P1はかつて被告の准教授の地位にあり、平成27年4月に大阪大学大学院理学研究科の招へい研究員となった後、平成28年4月からは特定の研究機関に所属していない。 原告P2は、大阪大学大学院理学研究科の准教授である。 原告らは、独立行政法人日本学術振興会(以下「振興会」という。)の科学 研究費助成事業により交付される科学研究費補助金(以下「科研費」という。)を用いて、UCNの研究に従事していた。 イ被告被告は、高エネルギー加速器による素粒子、原子核並びに物質の構造及び機能に関する研究並びに高エネルギー加速器の性能の向上を図るための研究 に係る研究分野について、大学における学術研究の発展 被告は、高エネルギー加速器による素粒子、原子核並びに物質の構造及び機能に関する研究並びに高エネルギー加速器の性能の向上を図るための研究 に係る研究分野について、大学における学術研究の発展等に資するために設置される大学の共同利用の研究所を設置することを目的として設立された法人である(国立大学法人法2条3項、4項、別表第2)。 (2) 本件物件(個別には別紙物件目録の番号に従い「本件物件1」などという。)ア本件物件1について 本件物件1(第1世代UCN源)は、原告P1を研究代表者、その他の研究者を研究分担者とする申請により交付を受けた科研費等により、平成14年12月、大阪大学核物理研究センター(RCNP)において製作された装置で、その後、原告P2も加わって改良を加えたものである(甲16)。その主な構成は別紙物件目録添付の模式図1のとおりであり、同目録添付の写真 1-1ないし1-3の白い線で囲まれた部分及び同1-4の被写体は、本件物件1である(もっとも、個々の構成機器の範囲等は写真からは必ずしも明確ではない。)。 イ本件物件2について本件物件2(第2世代UCN源)は、本件物件1のUCN発生強度を更に 高める目的で、原告P1を研究代表者、原告P2を含むその他の研究者を研 究分担者とする申請により交付を受けた科研費等により、平成25年11月に、RCNPにおいて製作されたUCN発生源である(甲18)。本件物件2は、別紙物件目録添付の模式図2に示される、①中性子を冷中性子領域まで冷却する冷中性子源、②冷中性子をUCN領域まで冷却等する超流動He-Ⅱ容器、③He-Ⅱを作り、それを0.8ケルビン以下に冷却するHe-Ⅱ 冷凍器から構成されるものであり、同目録添付の写真2-1ないし2-4の白 、②冷中性子をUCN領域まで冷却等する超流動He-Ⅱ容器、③He-Ⅱを作り、それを0.8ケルビン以下に冷却するHe-Ⅱ 冷凍器から構成されるものであり、同目録添付の写真2-1ないし2-4の白い線で囲まれた部分(ただし、同2-4は中央及び右側の部分)である(もっとも、個々の構成機器の範囲等は写真からは必ずしも明確ではない。)。 ウ本件物件3について本件物件3(EDM測定装置)は、原告P1を研究代表者、原告P2を含 むその他の研究者を研究分担者とする申請により交付を受けた科研費等(平成18年から平成25年の科研費基盤研究に係るもの)により、RCNPにおいて製作されたEDM(電気双極子能率)測定装置である。本件物件2等のUCN源に接続され、UCNを取り扱う偏極UCN取出部、球面コイル、ドアバルブ、ロータリーバルブ、UCN偏極分析器で構成される。別紙物件 目録添付の写真2-4の左側及び3-1の白い線で囲まれた部分並びに同3-2ないし3-4の被写体がおおむね本件物件3に当たる。 エ本件物件は、関係規定に基づき被告に寄付された後、被告の承諾の下、RCNPから搬送され大阪大学大学院理学研究科に設置されたが、そのうち本件物件1、本件物件2の①及び②(前記イ)並びに本件物件3は、平成28 年頃、前記研究科からカナダの国立研究所であるトライアンフ(TRIUMF)に搬送され、トライアンフらとの共同研究の用に供されていた(甲8~10、22)。また、本件物件2の③(前記イ)は、前記研究科で保管されていたところ、被告が提起した後記別件訴訟に係る確定判決に基づき、強制執行が行われた。 (3) 別件訴訟 被告は、本件の原告らを相手方として、水戸地方裁判所土浦支部に対し、所有権に基づく返還請求としてHe-Ⅱ冷凍 訴訟に係る確定判決に基づき、強制執行が行われた。 (3) 別件訴訟 被告は、本件の原告らを相手方として、水戸地方裁判所土浦支部に対し、所有権に基づく返還請求としてHe-Ⅱ冷凍器(本件物件2の③。前記(2)イ)の返還等を求める訴えを提起したところ(同裁判所平成28年(ワ)第253号実験装置返還等請求事件。以下「別件訴訟」という。)、同裁判所は、平成31年4月24日、原告らに対し、He-Ⅱ冷凍器の引渡し等を命じる判決を言い 渡した(乙1)。 これに対し原告らは控訴をしたが、東京高等裁判所は、令和元年11月20日、原告らの控訴を棄却する判決を言い渡し、原告らは上告及び上告受理申立てをしたが、最高裁判所は、令和2年9月4日、原告らの上告等を棄却等する決定をし、別件訴訟の第一審判決は確定した(乙2、3)。 (4) 関係規定科研費に関する規定等は別紙関係規定記載のとおりである。 3 争点(1) 本件訴えは適法か(争点1・本案前の争点)(2) 被告は本件契約に付随する秘密保持義務に違反したか(争点2) (3) 不競法違反(争点3)ア原告ら及び被告は「事業者」(不競法1条)に当たるか(争点3-1)イ本件情報が原告らの営業秘密(同法2条6項)に当たるか(争点3-2)ウ被告が「不正の利益を得る目的で」本件情報を「使用し」た(同条1項7号)か(争点3-3) (4) 被告が原告らの人格権(研究者としての名誉権等)を侵害したか(争点4)(5) 損害の発生及びその額(争点5)(6) 差止め等の必要性があるか(争点6)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(本件訴えは適法か)について 【原告らの主張】 本件は、本件情報が化体した本件物 (6) 差止め等の必要性があるか(争点6)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(本件訴えは適法か)について 【原告らの主張】 本件は、本件情報が化体した本件物件につき、その使用、開示の差止め等を求める事案であり、本件物件が社会通念上他の有体物から識別できる程度に特定できていればよく、必ずしも、営業秘密に当たる技術上の情報そのものの記載まで求められるものではない。原告らは、別紙物件目録において、社会通念上他の有体物から識別できる程度にまで本件物件を特定している。したがって、本件にお いて、請求の趣旨の特定に欠けるところはなく、本件訴えは適法である。 【被告の主張】本件情報の内容をなす本件物件に化体したノウハウの特定がなされておらず、その範囲を画することができない。したがって、本件訴えは、民訴法133条2項2号に違反する不適法なものであって、却下を求める。 2 争点2(被告は本件契約に付随する秘密保持義務に違反したか)について【原告らの主張】科研費に関する関係規定によれば、科研費の交付決定により、振興会、交付申請者(研究代表者及び研究分担者)及び研究機関の三者間で、補助金(科研費)行政上の一定の法律関係を内実とする本件契約、すなわち、三当事者が、関係規 定に拘束されることを合意する一種の負担付贈与契約を締結したものと解される。 そうであるところ、関係規定によれば、交付申請者は、科研費により取得される設備等を研究機関に寄付しなければならず、研究機関はこれを受け入れて管理することとされていること、特に、科研費ハンドブックには、いわゆる「返還ルール」(研究代表者等が、寄付した設備等を、他の研究機関に異動した後も使用する ことを希望する場合には、研究機関は、当該研 ることとされていること、特に、科研費ハンドブックには、いわゆる「返還ルール」(研究代表者等が、寄付した設備等を、他の研究機関に異動した後も使用する ことを希望する場合には、研究機関は、当該研究代表者等に当該設備等を返還すべきとするルール)が定められていることから、研究機関は、当該設備等の所有権を「管理」目的で取得するにすぎず、関係規定の趣旨目的に由来する内在的な制約が存在する。 本件において、被告は、原告らの寄付を受け入れたことにより、本件物件の所 有権を取得するものの、本件物件に化体する本件情報に関する権利は原告らに帰 属したままであることはいうまでもなく、被告は、本件情報に関し、原告らに対して、本件契約に付随する信義則上の秘密保持義務を負うものというべきである。 そうであるにもかかわらず、被告は、本件物件の管理目的を超えて、本件物件をトライアンフその他の第三者との共同研究の用に供している。 したがって、被告は、本件契約に付随する秘密保持義務に違反した。 【被告の主張】科研費の交付決定は、行政行為であると解すべきであるが、その法的性質にかかわらず、関係規定によれば、科研費により取得される設備等の寄付は、無償による所有権の移転を意味するものであり、「管理」目的に伴う内在的な制約が存在するとの原告らの主張は、原告ら独自の見解に基づくものである。 したがって、仮に、科研費の交付決定により三者契約が締結されるとしても、同契約に付随して原告らが主張する秘密保持義務が生じることはあり得ない。 以上から、被告は、本件契約に付随する秘密保持義務を負っていないから、その違反がないことは明らかである。 3 争点3-1(原告ら及び被告は「事業者」(不競法1条)に当たるか)について 以上から、被告は、本件契約に付随する秘密保持義務を負っていないから、その違反がないことは明らかである。 3 争点3-1(原告ら及び被告は「事業者」(不競法1条)に当たるか)について 【原告らの主張】大学の研究機関に所属する研究者の学術研究は、民間企業等の研究活動と同様に、産業上の技術に応用され、利用されることはままみられることであるから、これに不競法を適用することは、不競法の法目的、すなわち、営業の自由の保障の下で自由競争が行われる取引社会を前提に、経済活動を行う事業者間の競争が 自由競争の範囲を逸脱して行われ、あるいは、社会全体の公正な競争秩序を破壊するものである場合に、これを不正競争として防止しようとすることに沿うものである。 また、本件物件は、科研費といういわゆる「競争的資金」を使用した研究の成果であり、研究者における研究成果の達成や研究資金、予算の獲得には常に競争 が存在していることを踏まえると、研究資金の獲得競争における競争秩序の維持 といった限定された趣旨においても、本件において、不競法の適用を認める必要性がある。 したがって、原告ら及び被告は事業者に当たり、本件に不競法は適用される。 【被告の主張】不競法の目的によれば、そもそも取引社会における事業活動と評価することが できないものについてまで同法による規律が及ぶものではない。そうであるところ、原告らは、営利活動を行う者ではなく、また、原告らは、本件において、被告の研究活動そのものを問題としているから、原告ら及び被告の行為を取引社会における事業活動と評価することはできない。 したがって、原告ら及び被告は事業者に当たらず、本件に不競法は適用されな い。 4 争点3-2(本件情報が原告 ら及び被告の行為を取引社会における事業活動と評価することはできない。 したがって、原告ら及び被告は事業者に当たらず、本件に不競法は適用されな い。 4 争点3-2(本件情報が原告らの営業秘密(不競法2条6項)に当たるか)について【原告らの主張】(1) 本件情報の具体的内容は、本件物件の外部形状、内部構造及びその機能を発 揮させるため組み上げられた各部の装置や機器(以下「構成部品」という。)を含む仕組み自体であり、形状及び構造にあっては、本件物件全体及び各構成部品の形状、寸法、加工及び組立てに関する情報であるところ、本件情報は、以下のとおり、営業秘密に当たる。 ア有用性があること 本件情報は、世界最強の超冷中性子強度を実現し、世界最高精度でEDM測定を行うこと、He-Ⅱを冷中性子源内部に設置すること、He-Ⅱを冷却する冷凍器の冷却力を上げることがそれぞれ可能である本件物件に化体した情報であり、産業への応用も考えられる本件物件の製造のために必要な技術上の情報である。 イ非公知性があること 本件情報は、秘密として管理され、第三者への開示が禁止されており、一切公開されていない。また、本件物件の外観や模式図を見ただけでは容易に解析することは不可能であるから、第三者が取得し、理論上はリバースエンジニアリングが可能であったとしても、本件情報の非公知性が失われることはない。 ウ秘密管理性があること本件情報は、本件物件の内部にあり、外側や模式図からは解析不可能である。そして、本件物件は、設計図面や実験ノートと共に、RCNPの実験室内に保管されていたところ、同実験室への入退室はICカードで管理され、ビデオモニターが設置 あり、外側や模式図からは解析不可能である。そして、本件物件は、設計図面や実験ノートと共に、RCNPの実験室内に保管されていたところ、同実験室への入退室はICカードで管理され、ビデオモニターが設置されていた。また、原告らUCN研究に関与している 者に対しては、図面、実験データ、解析結果その他の知的財産を無断で実験室外に持ち出さないことを周知していた。 さらに、前記2のとおり、被告は本件契約に付随して秘密保持義務を負っているから、本件物件の所有権が被告に移転したとしても、本件情報の秘密管理性が失われることはない。 (2) 原告P1は、研究代表者として、世界最強のUCN源を作るという目標を達成するための課題解決の糸口をつかみ、本件物件を作り上げたから、本件情報は原告P1に帰属する。また、原告P2は、本件物件1の各種改良に多大に寄与し、本件物件2及び同3に関しては、課題解決のために寄与している。一方、その他の研究者は、基本的には本件情報獲得への寄与はない。 また、被告の知的財産取扱規程に関し、その知的財産権は、自由発明として、職員である原告らに帰属する。 したがって、本件情報は原告らに帰属する。 【被告の主張】(1) 前記1のとおり、本件情報の特定がなされておらず、営業秘密該当性の検討 対象が不明確であって、本件情報の開示等を原因とする原告らの請求は失当で ある。また、本件物件2及び同3については、原告らが主張する所期の性能は実証されておらず、未完成であるから、ノウハウなるものは存在しない。これらの点を措いても、本件情報は、以下のとおり営業秘密に当たらない。 ア秘密管理性がないこと原告らの主張を前提にしても、秘密として管理する対象が明確にされてお 在しない。これらの点を措いても、本件情報は、以下のとおり営業秘密に当たらない。 ア秘密管理性がないこと原告らの主張を前提にしても、秘密として管理する対象が明確にされてお らず、具体的な秘密管理措置も明確でない。また、実験室への入退室をICカードとビデオモニターで管理していたのは、放射線業務従事者として登録されていない者が誤って放射線管理区域に立ち入ることを防ぐ目的であり、秘密管理とは無関係である。 さらに、被告は、本件物件の所有権を取得しているのであるから、本件情 報に秘密管理性はない。 イ非公知性がないこと本件物件1及び同2と類似した装置の構造等については第三者の論文で説明がなされており、本件物件1及び同3については原告P1自身が論文で説明等している。また、平成25年には、被告の研究者が本件物件に関するオ ペレーションマニュアルを作成している。したがって、本件物件の原理等については、一般に入手可能な刊行物において公知となっている。 ウ有用性がないこと前記イのとおり、本件情報は公知となっているから、公知の技術を通常の創意工夫の範囲内で検討できる設計的事項にすぎない。また、本件情報は、 現在においては陳腐化している。 (2) 仮に、本件情報が営業秘密に当たるとしても、本件物件は、被告の研究者を含む多くの研究者の関与や試行錯誤により作成されたものであるから、原告らが独占できるものではなく、特に、原告P2については、原告らの主張を前提としても原告P2が本件情報を共有していることの十分な説明がなされていな い。 また、被告の知的財産取扱規程により、その知的財産権は、職務発明として被告に帰属する。 したがって、 告P2が本件情報を共有していることの十分な説明がなされていな い。 また、被告の知的財産取扱規程により、その知的財産権は、職務発明として被告に帰属する。 したがって、本件情報は原告らに帰属しない。 5 争点3-3(被告が「不正の利益を得る目的で」本件情報を「使用し」た(不競法2条1項7号)か)について 【原告らの主張】被告は、本件契約に基づき、本件物件の所有権を本件契約上の「管理」目的で取得したところ、被告は、管理目的のために付与された本来の権限を越えて、本件物件をトライアンフその他の第三者との共同研究の用に供し、また、今後供しようとしている。研究倫理上、他人の研究成果を冒用することは許されないこと はいうまでもないから、被告には「不正の利益を得る目的」がある。 また、原告らは、試行錯誤を繰り返して本件物件の操作方法を確立したが、その過程で、操作の手順や方法、トラブル発生時の対処方法について記載したログノートを作成した。被告は、本件物件のほかにもログノートを所持しており、これを利用することで、本件物件を操作して実験の用に供して、本件情報を「使用」 している。 【被告の主張】被告は、自己の所有物としてその用法に従って本件物件を利用することはあっても、原告らを害する目的や公序良俗に反する形で不当な利益を図る目的はない。 6 争点4(被告が原告らの人格権(研究者としての名誉権等)を侵害したか)に ついて【原告らの主張】被告は、原告らの信用を裏切り、原告らの意に反して入手した本件物件を使用した実験成果を自らの研究業績・成果のように対外的に公表するなどして、研究倫理上到底容認されない行為を行っている。 被告のかかる行為は、原告 、原告らの意に反して入手した本件物件を使用した実験成果を自らの研究業績・成果のように対外的に公表するなどして、研究倫理上到底容認されない行為を行っている。 被告のかかる行為は、原告らの研究者としての名誉や信用といった人格権を著 しく侵害するものであって、不法行為を構成する。 【被告の主張】被告は、自己の所有物としてその用法に従って本件物件を利用しているのであり、また、本件物件2のうち、He-Ⅱ冷凍器(前提事実(2)イ)は、別件訴訟の確定判決に基づく強制執行手続により占有を回復したものであるから、被告が本 件物件を使用等する行為が原告らの人格権を侵害し、不法行為を構成することはない。 7 争点5(損害の発生及びその額)について【原告らの主張】被告の行為により、原告らが被った損害は次の合計1億円を下らない。 (1) 本件情報の無断使用等による損害 3000万円本件情報の価値は約19億円と見積もられ、その使用による相当な損害額は2億円を下らないが、本件ではその一部である3000万円を損害として主張する。 (2) 被告が本件物件を国外に持ち出したことによって、原告らのUCN研究活動 が著しく阻害されたこと等による損害 3000万円被告の行為により、原告らのUCNに関する研究が多方面にわたり著しく阻害された。かかる損害を金銭に換算すると3000万円を下らない。 (3) 原告らの研究者としての名誉が侵害され、精神的苦痛を被ったこと等による損害 3100万円 被告の行為により、原告らが研究者として被った精神的苦痛は多大なものがあり、被告の行為の悪質性も考慮し、一定の制裁的要素も加味すると、この精神的苦痛を慰謝するに足りる 3100万円 被告の行為により、原告らが研究者として被った精神的苦痛は多大なものがあり、被告の行為の悪質性も考慮し、一定の制裁的要素も加味すると、この精神的苦痛を慰謝するに足りる金銭は、3100万円を下らない。 (4) 弁護士費用 900万円原告らは、自らの権利擁護のために訴え提起を余儀なくされ、その訴訟遂行 を訴訟代理人弁護士に依頼せざるを得なかったから、弁護士費用の一部900 万円についても、被告の行為と相当因果関係のある損害に含まれる。 【被告の主張】争う。 8 争点6(差止め等の必要性があるか)について【原告らの主張】 被告の行為によって、原告らの営業上の利益が侵害され、又は侵害されるおそれがあること(不競法3条)、原告らの人格権が著しく侵害されることから、本件物件の使用等の差止めを求める必要があり、また、その実効性を確保するため、これに付随して、かかる侵害の停止又は予防に必要な行為として、本件物件の返還を求める必要がある。 【被告の主張】争う。 第4 当裁判所の判断 1 争点1(本件訴えは適法か)について原告らは、①本件契約に付随する秘密保持義務の履行請求、②不競法2条1項 7号、3条1項2項及び③人格権侵害に基づき、本件物件の使用等の差止め及び引渡しを求めている(前記第2の1(1))。そうであるところ、差止め及び引渡しの対象である本件物件は、その構成機器の範囲等は写真からは必ずしも明確ではないものの、原告らから寄付を受けた被告が、現実の引渡しを受け、少なくともその一部を共同研究の用に供しているもの(前提事実(2)エ)であり、本件物件自 体の客観的範囲等については、被告は特段の異議を述べていないこと 寄付を受けた被告が、現実の引渡しを受け、少なくともその一部を共同研究の用に供しているもの(前提事実(2)エ)であり、本件物件自 体の客観的範囲等については、被告は特段の異議を述べていないことに照らすと、他の権利との誤認混同が生じるなどして、差止め等の対象に疑義があるとは認められない。 被告は、本件情報の内容をなす本件物件に化体したノウハウの特定がなされておらず、その範囲を画することができない旨を指摘するが、理由付け請求原因の 明確性はともかく、本件の差止め等の対象は本件物件であるから、原告らの請求 それ自体(訴訟物)に関する限り、不明確とまではいえない。 以上から、本件訴えは適法であって、被告の本案前の答弁は理由がない。 2 争点2(被告は本件契約に付随する秘密保持義務に違反したか)について(1) 原告らは、科研費ハンドブックにいわゆる「返還ルール」が定められていることを指摘するなどして、被告は、原告らからの寄付により受け入れた本件物 件の所有権を「管理」目的で取得するにすぎず、本件物件に化体する本件情報に関する権利は原告らに帰属したままであることを前提として、被告は、本件情報に関し、原告らに対して、本件契約に付随する信義則上の秘密保持義務を負う旨を主張する。 しかし、「寄付」の字義は、「公共事業又は社寺などに金銭、物品を贈ること」 であり(広辞苑第七版)、その目的が物品である場合は、その所有権の無償譲渡を意味する。また、関係規定によれば、補助金により設備等を購入した研究者は、研究上支障がある場合を除き、直ちにそれを所属する研究機関に寄付しなければならず(科研費取扱規程18条、科研費取扱要領21条1項、4項、研究者ルール3-13、大学共同利用機関取扱要領21条)、研究機関は、研 障がある場合を除き、直ちにそれを所属する研究機関に寄付しなければならず(科研費取扱規程18条、科研費取扱要領21条1項、4項、研究者ルール3-13、大学共同利用機関取扱要領21条)、研究機関は、研究者 が直接経費により購入した設備等の寄付を受け入れ、これを適切に管理することが定められている(機関ルール2-3、3-26)。そして、大学共同利用機関取扱要領22条によれば、寄付(寄附)を受けた設備等は、固定資産管理規則に基づき管理することとされ、同規則11条によれば、資産管理責任者は、固定資産等を寄付(附)により「取得」する場合は、所定の手続を経なければ ならないとされ、同規則4条1号では、「取得」について、「固定資産及び少額備品(以下「固定資産等」という。)を購入、製作又は自家建設、寄附、交換、出資及び改良により当該資産の価値・能力を増加させること」と定義し、固定資産等の「保管」(同条2号)や「管理」(同規則5条)と寄付による「取得」とを明確に区別した上で、寄付について、資産の価値等を増加させることであ ると定義している。 このような「寄付」の字義や関係規定によれば、補助金により設備等を購入した研究者が所属する研究機関に対して行う寄付は、その字義どおり、当該設備等の所有権の無償譲渡を意味するものと認められ、研究機関において、「管理」目的その他、寄付を受けた設備等の使用、収益及び処分に何らかの制限が課されるものとは認められない。確かに、機関ルール2-3及び3-28によ れば、いわゆる「返還ルール」、すなわち、研究機関は、設備等の寄付をした研究者が他の研究機関に所属することとなる場合、当該研究者の希望に応じて当該設備等を返還することが定められている。しかし、証拠(甲21)及び弁論の全趣旨によれば、科研費ハ 機関は、設備等の寄付をした研究者が他の研究機関に所属することとなる場合、当該研究者の希望に応じて当該設備等を返還することが定められている。しかし、証拠(甲21)及び弁論の全趣旨によれば、科研費ハンドブックに掲載された科研費FAQには、補助事業期間中に他の研究機関に異動する場合は、研究機関は研究機関の定めに基 づき、当該設備等を当該研究者に返還する旨(FAQ4405)、令和2年度以降に購入した設備等に関しては、研究期間終了後(補助事業を廃止した場合を含む)5年以内の場合も同様に取り扱う旨(FAQ4405、44071)、令和2年度以前に購入した設備等に関しては、研究期間終了後も、研究機関の定めに従い、別の研究等で使用することも差し支えない旨(FAQ44071) がそれぞれ記載されていることが認められる。そうすると、少なくとも令和2年度以前において、「返還ルール」は、補助事業期間中のルールであり、かつ、研究機関の定めに従い、別の研究等で使用することも差し支えないことを定めたものと解するのが相当であるから、令和2年度以前に「返還ルール」の規定があったことは、寄付を所有権の無償譲渡と解することに影響を与えるもので はないし、「返還ルール」の範囲を超えて何らかの負担を研究機関に負わせるものとは到底解されない。 したがって、原告らの主張は、その前提を欠き、採用することができず、その他、被告が本件契約に付随する秘密保持義務を負うことを認めるに足りる事情はない。 (2) 以上から、被告は、本件情報に関し、原告らに対して、本件契約に付随する 信義則上の秘密保持義務を負うとは認められないから、その余の点について判断するまでもなく、同義務違反を原因とする原告らの請求には理由がない。 3 争点3-2(本件情報が 契約に付随する 信義則上の秘密保持義務を負うとは認められないから、その余の点について判断するまでもなく、同義務違反を原因とする原告らの請求には理由がない。 3 争点3-2(本件情報が原告らの営業秘密(不競法2条6項)に当たるか)について事案に鑑み、争点3-2について判断する。 (1) 原告らは、本件情報を、「本件物件の外部形状、内部構造及びその機能を発揮させるため組み上げられた各部の装置や機器(構成部品)を含む仕組み自体であり、形状及び構造にあっては、本件物件全体及び各構成部品の形状、寸法、加工及び組立てに関する情報」と特定する。 しかし、かかる記述は情報の属性を極めて抽象的に述べたものにすぎず、具 体的な技術思想や技術的意義を含む情報の具体的内容を読み解くことは全く不可能であり、ひいては公知の情報との対比(有用性、非公知性)や、管理態様(秘密管理性)を観念することができず、営業秘密の要件を備えるかどうかを判断することができない。 したがって、原告らの主張によってはそもそも本件情報が営業秘密に当たる とすることはできず、その主張は失当に帰する。原告らは先例からこのような特定で十分であるとするが、上記のとおり、営業秘密に該当するかどうかの判断ができない以上、原告らの主張は採用することができない。 (2) (1)で述べるところを措いても、前提事実(2)エ及び前記2(1)のとおり、被告は、原告らから、本件物件の所有権の無償譲渡を受けて、任意又は強制執行手 続によってその現実の引渡しを受けた上で、少なくともその一部を第三者機関であるトライアンフに移設して共同研究の用に供していることから、仮に、原告らが営業秘密に属する本件情報を有していたことがあったとしても、本件物件に 引渡しを受けた上で、少なくともその一部を第三者機関であるトライアンフに移設して共同研究の用に供していることから、仮に、原告らが営業秘密に属する本件情報を有していたことがあったとしても、本件物件に化体しているとされる本件情報は、本件物件の所有権の無償譲渡及び被告又は第三者に対する引渡し等により、少なくともその秘密管理性及び非公知性 を喪失したといえる(なお、本件物件を寄付した後に、原告らが本件物件に改 良等を加えたことがあったとしても、本件物件の所有権が被告に属する以上、本件情報に秘密管理性及び非公知性が認められないことは同様である。)。 (3) これに対し、原告らは、被告が本件契約に付随する秘密保持義務を負っていることを指摘して、本件物件の寄付によっても、本件情報は非公知性を喪失しない旨を主張し、前記に加え、本件物件の外観や模式図を見ただけでは容易に 解析することは不可能であることを指摘して、本件情報は秘密管理性を喪失しない旨を主張する。 しかし、前記2のとおり、被告が本件契約に付随する秘密保持義務を負うとは認められない。また、本件情報は、(原告らの特定では主張自体失当であることは前述のとおりであるが)本件物件の外部形状、内部構造及びその機能を発 揮させるため組み上げられた構成部品を含む仕組み自体であって、本件物件に化体されたものであり、また同一目的の実験装置も他に存する(原告P1本人、P3証人)ことなどから、本件物件の目的とするUCN研究に関する一般的知見(乙15、17)や原告ら以外の被告所属の研究員の本件物件が含まれる実験装置全体の運転等に関する知見(乙18、19、P3証人)、本件物件の調達 における仕様や設計(乙20~22)、本件物件の解析等によりその具体的内容を知ることが可能であ の本件物件が含まれる実験装置全体の運転等に関する知見(乙18、19、P3証人)、本件物件の調達 における仕様や設計(乙20~22)、本件物件の解析等によりその具体的内容を知ることが可能であると認められる。 したがって、原告らの前記主張は採用できない。 (4) 以上から、その余の点を判断するまでもなく、不競法違反を原因とする原告らの請求には理由がない。 4 争点4(被告が原告らの人格権(研究者としての名誉権等)を侵害したか)について(1) 原告らは、被告が、原告らの信用を裏切り、原告らの意に反して入手した本件物件を使用した実験成果を自らの研究業績・成果のように対外的に公表するなどした行為が不法行為を構成する旨を主張する。 しかし、前記3(2)のとおり、被告は、原告らから、本件物件の所有権の無償 譲渡を受けて、任意又は強制執行手続によって現実の引渡しを受けた上で、少なくともその一部を共同研究の用に供しているのであり、このような所有権に基づく使用等が、原告らの人格権、その他の権利を侵害するものとは認められない。その他一件記録上、被告の研究発表等において、原告らの人格権その他の権利を侵害する違法行為はもとより、学術研究におけるルール等に反したと の事情はうかがえない。 (2) したがって、被告の行為が不法行為を構成するものとは認められないから、人格権侵害を原因とする原告らの請求には理由がない。 第5 結論以上から、その余の争点について判断するまでもなく、原告らの請求はいずれも 理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第26民事部 裁判長裁判官 理由 がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第26民事部 裁判長裁判官 松阿彌隆 裁判官 阿波野右起 裁判官 峯健一郎 (別紙)物件目録 1 第1世代UCN源別紙模式図1の構成を有したUCN発生装置であり、その外観は別紙写真1-1ないし1-3の白い線で囲まれた部分及び同1-4の被写体のとおりである。 2 第2世代UCN源別紙模式図2の右方及び中程に図示される構成を有したUCN発生装置であり、その外観は別紙写真2-1ないし2-4の白い線で囲まれた部分(ただし、同2-4は中央及び右側の部分)である。 3 EDM測定装置別紙模式図2の左方に図示される構成を有したEDMの測定装置であり、その外観は別紙写真2-4の左側及び3-1の白い線で囲まれた部分並びに同3-2ないし3-4の被写体のとおりである。 以上 別紙写真1-1~1-4(22ページ~25ページ)及び別紙写真2-1~2-4、3-1~3-4(27ページから34ページ)につき添付省略 (別紙)関係規定 1 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(1) 2条(定義) ア 1項この法律において「補助金等」とは、国が国以外の者に対して交付する次に掲げるもの 規定 1 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(1) 2条(定義) ア 1項この法律において「補助金等」とは、国が国以外の者に対して交付する次に掲げるものをいう。 1号補助金イ 2項 この法律において「補助事業等」とは、補助金等の交付の対象となる事務又は事業をいう。 ウ 3項この法律において「補助事業者等」とは、補助事業等を行う者をいう。 (2) 6条(補助金等の交付の決定) 1項各省各庁の長は、補助金等の交付の申請があったときは、当該申請に係る書類等の審査及び必要に応じて行う現地調査等により、当該申請に係る補助金等の交付が法令及び予算で定めるところに違反しないかどうか、補助事業等の目的及び内容が適正であるかどうか、金額の算定に誤がないかどうか等を調査し、補助金 等を交付すべきものと認めたときは、すみやかに補助金等の交付の決定(契約の承諾の決定を含む。以下同じ。)をしなければならない。 2 独立行政法人日本学術振興会法(以下「振興会法」という。)(1) 3条(振興会の目的) 独立行政法人日本学術振興会(以下「振興会」という。)は、学術研究の助成、 研究者の養成のための資金の支給、学術に関する国際交流の促進、学術の応用に関する研究等を行うことにより、学術の振興を図ることを目的とする。 (2) 15条(業務の範囲)振興会は、振興会法3条の目的を達成するため、次の業務を行う。 1号学術の研究に関し、必要な助成を行うこと。 (3) 17条(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の準用)2項補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の規定(罰 学術の研究に関し、必要な助成を行うこと。 (3) 17条(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の準用)2項補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の規定(罰則を含む。)は、第18条の2第1項に規定する基金に係る業務及び第19条第1項に規定する学術研究助成業務として振興会が支給する資金について準用する。(以下省略) 3 科学研究費補助金取扱規程(甲21。以下「科研費取扱規程」という。)18条(設備等の寄付)(1) 1項第5条第1号に係る補助金の交付を受けた者が、補助金により設備等を購入し たときは、直ちに、当該設備等を当該補助金の交付を受けた者が所属する研究機関のうちから適当な研究機関を一以上選定して、寄付しなければならない。 (2) 2項第5条第1号に係る補助金の交付を受けた者は、設備等を直ちに寄付することにより研究上の支障が生じる場合において、文部科学大臣の承認を得たときは、 前項の規定にかかわらず、当該研究上の支障がなくなるまでの間、当該設備等を寄付しないことができる。 4 独立行政法人日本学術振興会科学研究費助成事業(科学研究費補助金)取扱要領(甲2。以下「科研費取扱要領」という。) (1) 1条(通則) 独立行政法人日本学術振興会(以下「振興会」という。)が交付を行う科学研究費助成事業(科学研究費補助金)(以下「補助金」という。)の取扱いについては、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179号。 以下「法」という。)、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律施行令(昭和30年政令第255号)、独立行政法人日本学術振興会法(平成14年法律第1 59号)及び科学研究費補 律第179号。 以下「法」という。)、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律施行令(昭和30年政令第255号)、独立行政法人日本学術振興会法(平成14年法律第1 59号)及び科学研究費補助金取扱規程(昭和40年文部省告示第110号。以下「取扱規程」という。)に定めるもののほか、この取扱要領の定めるところによる。 (2) 3条(定義)ア 3項 この取扱要領において「研究代表者」とは、科学研究費補助金の交付の対象となる事業において、法2条第3項に規定する補助事業者等(以下「補助事業者」という。)として当該事業の遂行に責任を負う研究者をいう。 イ 4項この取扱要領において「研究分担者」とは、科学研究費補助金の交付の対象 となる事業のうち二人以上の研究者が同一の研究課題について共同して行うものにおいて、補助事業者として研究代表者と共同して当該事業を行う研究者をいう。 (3) 4条(補助金の交付の対象)ア 1項 この補助金の交付の対象となる事業は、次に掲げる事業(以下「補助事業」という。)とする。 1号学術上重要な基礎的研究(括弧内省略)であって、研究機関に、当該研究機関の研究活動を行うことを職務に含む者として所属し、かつ、当該研究機関の研究活動に実際に従事している研究者(括弧内省略)が一人で行う 事業若しくは二人以上の研究者が同一の研究課題について共同して行う事業 (研究者の所属する研究機関の活動として行うものであり、かつ、研究機関において科学研究費補助金の管理を行うものに限る。)又は教育的若しくは社会的意義を有する研究であって、研究者が一人で行う事業(以下「科学研究」という。)イ 2項 補助対象 関において科学研究費補助金の管理を行うものに限る。)又は教育的若しくは社会的意義を有する研究であって、研究者が一人で行う事業(以下「科学研究」という。)イ 2項 補助対象となる経費は、補助事業に要する経費のうち補助金交付の対象として振興会が認める経費とする。 (4) 6条(補助金の交付申請者)第4条1項に係る補助金の交付の申請をすることができる者は、次のとおりとする。 1号科学研究に係る補助金にあっては、次に掲げる者イ研究機関に所属する研究者が科学研究を行う場合は、当該科学研究を行う研究者の代表者(5) 21条(設備等の寄付)ア 1項 第6条第1号イに係る補助金の交付を受けた者が、補助金により設備、備品又は図書(以下「設備等」という。)を購入したときは、直ちにそれを当該補助金の交付を受けた者が所属する研究機関のうちから適当な研究機関を一以上選定して、寄付しなければならない。 イ 4項 補助金の交付を受けた者が設備等を直ちに寄付することが研究上支障があると認める場合において、振興会の承認を得たときは、第1項の規定にかかわらず、研究上支障のなくなるまでの間、寄付しないことができる。 5 学振研究者使用ルール(補助条件)(平成21年度)(甲7。以下「研究者ルール」 という。) 【設備等の取扱】3-13 研究代表者及び研究分担者は、直接経費により購入した設備等を、購入後直ちに(直ちに寄付することにより研究上の支障が生じる5万円未満の図書にあっては、研究上の支障がなくなる時に)、研究代表者又は研究分担者が所属する研究機関に寄付しなければならない。ただし、直ちに寄付することにより研究上の支 障が生 の支障が生じる5万円未満の図書にあっては、研究上の支障がなくなる時に)、研究代表者又は研究分担者が所属する研究機関に寄付しなければならない。ただし、直ちに寄付することにより研究上の支 障が生じる場合には、研究代表者は、様式C-15「寄付延期承認申請書」により申請を行い、日本学術振興会の承認を得て、寄付を延期することができる。 6 科学研究費補助金の使用について各研究機関が行うべき事務等(平成21年度)(甲6。以下「機関ルール」という。) (1) 研究者との関係に関する定め雇用契約、就業規則、勤務規則、個別契約等により、研究者が交付を受ける補助金(直接経費(以下省略))について、本規程に従って研究機関が次の事務を行うことを定めること。 ア 2-1 研究者に代わり、補助金(直接経費)を管理すること。 イ 2-2 研究者に代わり、補助金(直接経費・間接経費)に係る諸手続を行うこと。 ウ 2-3 研究者が直接経費により購入した設備、備品又は図書(以下「設備等」という。)について、当該研究者からの寄付を受け入れること。なお、当該研究者が、他の研究機関に所属することとなる場合には、その求めに応じて、 これらを当該研究者に返還すること。 エ 2-4 研究者が交付を受けた間接経費について、当該研究者からの譲渡を受け入れ、これに関する事務を行うこと。なお、当該研究者が他の研究機関に所属する又は補助事業を廃止することとなる場合には、直接経費の残額の30%に相当する額の間接経費を当該研究者に返還すること。 (間接経費の譲渡を受け 入れないこととしている研究機関を除く。) (2) 設備等に係る事務等ア 【寄付の受入】3-26 研究代表者及び研究分担者は、直接 。 (間接経費の譲渡を受け 入れないこととしている研究機関を除く。) (2) 設備等に係る事務等ア 【寄付の受入】3-26 研究代表者及び研究分担者は、直接経費により購入した設備等を、購入後直ちに(直ちに寄付することにより研究上の支障が生じる場合であって、当該研究代表者又は研究分担者が寄付の延期について日本学術振興会の承認を 得た場合にあっては、当該寄付が延期された時期に、また、直ちに寄付することにより研究上の支障が生じる5万円未満の図書の場合にあっては、研究上の支障がなくなる時に)当該研究代表者又は研究分担者が補助事業を遂行する研究機関に寄付しなければならないこととされているので、これを受け入れて適切に管理すること。 イ 【所属機関変更時の設備等の返還】3-28 設備等の寄付を行った研究代表者又は研究分担者が、他の研究機関に所属することとなる場合であって、当該研究代表者又は研究分担者が、新たに所属することとなる研究機関において当該設備等を使用することを希望する場合には、当該設備等を研究代表者又は研究分担者に返還すること。 7 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構科学研究費補助金及び学術研究助成基金助成金事務取扱要領(甲61。平成23年9月21日制定。以下「大学共同利用機関取扱要領」という。)(1) 21条(設備等の寄附) 研究代表者等は、直接経費により購入した設備、備品又は図書(以下「設備等」という。)を「科研費固定資産等寄附申込書」により直ちに機構に寄附しなくてはならない。 (2) 22条(設備等の管理)寄附を受けた設備等は、大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構固 定資産管理規則(平成16年規則第1 り直ちに機構に寄附しなくてはならない。 (2) 22条(設備等の管理)寄附を受けた設備等は、大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構固 定資産管理規則(平成16年規則第17号)に基づき管理するものとする。 8 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構固定資産管理規則(甲62。 以下「固定資産管理規則」という。)(1) 4条(用語の定義)次の各号に掲げる用語の意義は、次の各号の定めるところによる。 ア 1号取得固定資産及び少額備品(以下「固定資産等」という。)を購入、製作又は自家建設、寄附、交換、出資及び改良により当該資産の価値・能力を増加させることイ 2号保管固定資産等の使用目的にそって的確に維持すること(2) 5条(固定資産等の管理事務) 資産管理責任者は、固定資産等の管理に関して次の各号の業務を行う。 ア 1号固定資産等の使用状況の把握イ 2号固定資産等の維持・保全ウ 3号固定資産等の貸付及び処分の決定エ 4号資産台帳の整備 オ 5号不動産の監守計画を作成し、実施することカ 6号固定資産等の日常管理に対する指導助言キ 7号毎事業年度ごとに固定資産の実査を第6条に規定する使用責任者に行わせ、結果を総括することク 8項期末決算において、固定資産の経理情報の把握及び経理責任者への報 告(3) 11条(寄附に伴う取得)資産管理責任者は、固定資産等を寄附により取得する場合は、所定の手続きを経なければならない。 以上 取得する場合は、所定の手続きを経なければならない。 以上
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