主文 1 原告の被告東京弁護士会に対する訴えをいずれも却下する。 2 原告の被告日本弁護士連合会に対する請求を棄却する。 3 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 550号事件(1) 主位的請求被告東京弁護士会が平成15年2月18日にした原告を1年間又は6ヶ月間の国選弁護人推薦停止にした処分を取り消す。 (2) 予備的請求1被告東京弁護士会が平成15年2月18日にした原告を1年間又は6か月間の国選弁護人推薦停止にした処分は無効であることを確認する。 (3) 予備的請求2-1被告東京弁護士会が平成15年7月8日にした原告を6か月の国選弁護人推薦停止にした処分を取り消す。 (4) 予備的請求2-2被告東京弁護士会が平成15年7月8日にした原告を6か月の国選弁護人推薦停止にした処分は無効であることを確認する。 2 636号事件被告日本弁護士連合会が平成15年9月4日にした原告の審査請求を却下した処分を取り消す。 第2 事案の概要 1 事案の要旨本件は、東京弁護士会所属の弁護士である原告が、平成15年2月18日、1年間の国選弁護人推薦停止決定(以下「本件決定」という。、なお、同決定は、平成15年7月8日、本件決定を推薦停止6月に変更する旨の決定(以下「本件変更決定」という。)により変更されている。)を受けたことに対し、本件決定は、被告東京弁護士会が定める国選弁護運営規則に列挙された推薦停止事由に該当しないのにされた違法なものであるとして、被告東京弁護士会に対し、その取消し及び無効の確認を求める(550号事件)とともに、原告が本件決定についてした審査請求に対して、被告日本弁護士連合会がした回答を却下裁決とみて、同裁決の取消しを求める(636号事件)ものである。 なお、原告は、550号事件の 50号事件)とともに、原告が本件決定についてした審査請求に対して、被告日本弁護士連合会がした回答を却下裁決とみて、同裁決の取消しを求める(636号事件)ものである。 なお、原告は、550号事件の訴状において、上記第1の1(1)ないし(4)記載の4つの請求の趣旨を挙げるが、甲第6号証によれば、本件変更決定は、本件決定を取り消して新たに国選弁護人としての推薦を停止した決定でなく、本件決定の停止期間が1年間であるものを6か月間に短縮するものであると認められるから、原告が、推薦停止の効力を争う550号事件の訴えにおいて取消し又は無効確認の対象とすべきは本件決定(ただし、本件変更処分により変更後のもの)というべきであり、本件変更決定そのものは、原告の不利益を軽減する原告にとって有利な処分であるから、これを取消しの対象とする必要はない。以上を前提に、原告の550号事件の訴状をみた場合、原告の請求は、本件決定(本件変更決定により変更後のもの)につき主位的にその取消しを、予備的にその無効確認を求めるものであると善解することができる。 また、本件各請求の趣旨及び請求の原因の記載によれば、本件請求は、本件決定及び本件回答を行政処分であるものとして、その取消し及び無効の確認を求めるものとみるほかなく、550号事件訴状に「東京地方裁判所民事部(行政部)御中」と記載されていることに照らしても、本件請求を各被告らに対して、本件決定又は本件回答を取り消す旨の意思表示を求める民事訴訟とみることは困難である。 2 判断の前提となる事実(認定根拠を掲記しない事実は、当事者間に争いがないか当裁判所に顕著な事実である。)(1) 原告は、被告東京弁護士会所属の弁護士である。 (2) 被告東京弁護士会は、平成15年1月21日付けの被告東京弁護士会刑事弁護委員会の議決を経て、平 いがないか当裁判所に顕著な事実である。)(1) 原告は、被告東京弁護士会所属の弁護士である。 (2) 被告東京弁護士会は、平成15年1月21日付けの被告東京弁護士会刑事弁護委員会の議決を経て、平成15年2月18日、国選弁護人としての職務に著しく不適切な行為があった場合に当たるとの理由で原告について1年間国選弁護人の推薦を停止する旨の決定(以下「本件決定」という。)をした(甲1)。 (3) 原告は、平成15年4月10日に被告東京弁護士会に対して不服申立てをし、被告東京弁護士会は、平成15年7月8日、本件決定を推薦停止6月に変更する旨の決定をし(甲6。以下「本件変更決定」という。)、原告は、決定書を翌9日に受領した。 (4) 原告は、平成15年8月4日、被告日本弁護士連合会に審査請求をしたところ(甲14)、平成15年9月4日付け原告に対し、「当連合会は審査請求を受け付けること自体ができない」旨記載した回答書を送付して(甲8。以下「本件回答」という。)、審査請求書を返還し、原告は、同回答書を5日に受け取った。 3 当事者の主張(1) 550号事件ア原告(ア) 本件決定の違法性東京弁護士会「国選弁護運営規則(平成12年2月7日改正)」9条1項には「国選弁護人としての職務に著しく不適正な行為があった場合・・・国選弁護人の推薦を停止することができる」となっており、これを具体化するものとして東京弁護士会刑事弁護委員会決議「国選弁護活動の改善のために」が存在するが、本件決定の理由は、前記規則及び決議が挙げる推薦停止事由のいずれにも該当しないものであった。 なお、平成15年3月7日に改正された「国選弁護運営規則」では、推薦停止事由は、国費による弁護人の推薦等に関する準則をもって定める(9条2項)とするが、本件決定の理由は、同日制定された「国費 た。 なお、平成15年3月7日に改正された「国選弁護運営規則」では、推薦停止事由は、国費による弁護人の推薦等に関する準則をもって定める(9条2項)とするが、本件決定の理由は、同日制定された「国費による弁護人の推薦等に関する準則」の推薦停止事由のいずれにも該当しない。 したがって、本件決定は、推薦停止事由に該当しない行為をこれに該当するものとしてしたものであり、違法かつ無効なものというべきである。 (イ) 法律上の争訟性について本件は、弁護士の利害のみならず、国民の利害に関わるものであるから、一般市民秩序と直接関係を有しない内部的な問題とはいえず、部分社会の法理によって法律上の争訟で当たらないものとすることは無理である。 また、国選弁護人の選任権限は裁判所にあり、国選弁護人の推薦は、裁判所から委ねられた事務であって、弁護士会の自治に関わる事項ではないから、弁護士自治を理由に法律上の争訟に当たらないとすることもできないし、その事務については司法審査の対象となるべきものである。 (ウ) 訴えの利益について本件推薦停止に関する記録は保存され、次に推薦停止の問題が起こった際に前科として不利益に勘酌されることがある上、本件決定は、原告の名誉に関わるものであるから、訴えの利益が存しないということはない。 (エ) 行政処分性について国選弁護人推薦制度は、弁護士会の利益を守るのが目的ではなく、公の利益を守るために、弁護士法に基づく団体である弁護士会が国から委任されたものであり、推薦停止を受けた弁護士は、国選弁護を受任する権利を奪われることになる。よって、行政処分性は肯定できる。 イ被告東京弁護士会(ア) 法律上の争訟でないこと(部分社会の法理)弁護士会は、その目的を達成するために必要な諸事項については、会則等によりこれを規定し、実施する て、行政処分性は肯定できる。 イ被告東京弁護士会(ア) 法律上の争訟でないこと(部分社会の法理)弁護士会は、その目的を達成するために必要な諸事項については、会則等によりこれを規定し、実施することができる自律的、包括的な権能を有し(同法33条1項2項)、一般市民社会秩序と別個に自律的な法規範を有する団体を形成しているのである。そして、本件の国選弁護人推薦停止は、まさに、弁護士会が、その存立目的実現のため、構成員に対して行った指導、監督行為であり、弁護士会の自律的権能の行使というべきものである。 また、国選弁護人制度が、公正かつ適正な国選弁護人選任権の保障及び弁護人の国家機関からの独立性の担保に寄与している実情にかんがみれば、本来的に外部審査に親しまないものである。 加えて、弁護士法は、弁護士という職業が本来的にもつ公共性、独立性を担保するため、懲戒処分という弁護士に対する最も峻厳な作用についてさえ、弁護士会の自律性を尊重した規定を設けていることを考慮すれば、弁護士会の自治的活動は、その他団体内部の行為と比較しても、特にその自律性の価値は重要であり、かつ、尊重されなければならない。 よって、本件は、裁判所の司法審査の対象とはならないというべきである。 (イ) 訴えの利益のないこと被告は、平成15年2月18日に、原告を1年間の国選弁護人推薦停止としたが、その後、推薦停止期間は6か月に変更されており、平成15年8月18日の経過をもって推薦停止期間は終了したのであるから、仮に推薦停止処分が行政処分であるとしても、既に処分の法的効果は失われており、回復すべき法的利益は存在しない。したがって、原告は、処分を取消し、又は無効確認を求める利益はなくなった。 記録が保存されることや原告の名誉に関わることは推薦停止処分の法的効果ではなく、派生 り、回復すべき法的利益は存在しない。したがって、原告は、処分を取消し、又は無効確認を求める利益はなくなった。 記録が保存されることや原告の名誉に関わることは推薦停止処分の法的効果ではなく、派生的あるいは付随的効果にすぎないし、また、前科として不利益に勘酌されるという点については、推薦停止について前科を考慮するという規定ないし準則は存在せず、単に抽象的なおそれをいうにすぎず、いずれの理由も本件決定を取り消して法的効果を除去する必要性の認められるものではない。 (ウ) 行政処分性について原告の請求は、被告東京弁護士会のした決定が行政処分であるとして行政事件訴訟法に基づき、その取消し又は無効の確認を求めるものであるが、これらの訴訟の対象となる処分とは、公権力の主体である国又は公共団体が行う行為のうちで、その行為により直接国民の権利義務を形成し、その範囲を画することが法律上認められているものをいうところ、弁護士会の推薦停止行為の行政処分性には疑義があり、本件処分は処分性を有しないものというべきである。 (2) 636号事件ア原告被告は、本件回答(名称はともかく、法的性質としては却下裁決に当たるものというべきである。)の理由としてのは、被告が上級行政庁に当たらないことであるが、日本弁護士連合会は「・・・弁護士会の指導、連絡及び監督に関する事務を行うことを目的とする」団体であって(弁護士法45条2項)、場合によっては、弁護士会の違法又は不当な処分を職権をもって取消・停止し得るものであるから、行政不服審査法5条1項1号にいう上級行政庁に当たることは明らかであり、原告の審査請求を却下した同裁決は取り消されるべきものである。 イ被告日本弁護士連合会(ア) 行政不服審査法5条は、審査請求は、①処分庁に上級行政庁があるとき、②法律に審査請求を は明らかであり、原告の審査請求を却下した同裁決は取り消されるべきものである。 イ被告日本弁護士連合会(ア) 行政不服審査法5条は、審査請求は、①処分庁に上級行政庁があるとき、②法律に審査請求をすることができる旨の定めがあるときにできるものとし、本件決定については、審査請求をできる旨の法律の定めがない。 そして、行政不服審査法にいう「上級行政庁」とは、行政組織ないし行政手続上処分庁の上位にある行政庁であって、その行政目的達成のため、当該行政事務に関し、一般的・直接的に処分庁を指揮監督する権限を有し、処分庁が違法又は不法な処分をしたときは、これを是正すべき職責を負い、職権をもって当該処分の取消し・停止を行い得るものをいうと解されている。 被告日本弁護士連合会は、各弁護士会に対し、一般的な指揮監督権は有しているが(弁護士法45条)、本件決定のような官公署その他に対する弁護士の推薦権限は、登録等の進達拒絶や懲戒処分と異なり、弁護士会の固有権限に属し(同法33条2項10号)、被告がその処分を職権をもって取り消したり停止したりすることは認められていない。したがって、本件決定に関しては、被告は、東京弁護士会の「上級行政庁」には該当しない。 (イ) 以上の理由により、本件審査請求は、行政不服審査法5条の要件を満たさず、審査請求ができる場合に該当しないため、被告日本弁護士連合会は、本件審査請求を受理することができないものとして、原告に対し、審査請求の受理をせずに審査請求書を原告に返還したものである。 (ウ) 原告は、被告に対し、原告の審査請求を却下した裁決の取消しを求めているが、被告は、上記の理由により審査請求を受理すること自体ができないものとして、原告に対して審査請求書を返還したものであり、何らの裁決もしていないのであるから、本件訴えは却下される 取消しを求めているが、被告は、上記の理由により審査請求を受理すること自体ができないものとして、原告に対して審査請求書を返還したものであり、何らの裁決もしていないのであるから、本件訴えは却下されるべきである。 第3 当裁判所の判断 1 550号事件の訴えの適法性(1) 本件決定の行政処分性ア 550号事件は、主位的に本件決定の取消し、予備的に本件決定の無効確認を求めるもので、両請求に係る550号事件の訴えは、抗告訴訟(行政事件訴訟法3条1項)であるところ、抗告訴訟の対象となる処分とは、公権力の主体である国又は公共団体が行う行為のうちで、その行為によって、直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいう(最高裁判所昭和39年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809頁)。 イ弁護士会は、弁護士の「品位を保持し、弁護士事務の改善進歩を図るため」、弁護士の指導、連絡及び監督に関する事務を行うものであるところ(弁護士法31条1項)、その業務の目指すところからして、本質的には弁護士という共通の職業に就いている者らがその共通の利益を維持増進することを目的として結集しているもので、いわゆる同業者団体の一種であるということができる。同業者団体は、一般に、その存立の目的からして、公益の実現といった行政作用を行うものではなく、この点において、専ら公益の実現を目的として設立される公共組合とはその本質を異にするものといわざるを得ない。このことは、当該同業者団体について法律によって強制加入制度がとられていても、そのことによって団体の存立目的に変化がない以上、別異に解すべき理由とはならない。もっとも、同業者団体も、その活動に当たって構成員に一定の規律の保持を求め、それに違反する構成員に制裁を与えることから、権力的な作 て団体の存立目的に変化がない以上、別異に解すべき理由とはならない。もっとも、同業者団体も、その活動に当たって構成員に一定の規律の保持を求め、それに違反する構成員に制裁を与えることから、権力的な作用を行っているようにみえないでもないが、そのような行動は、本来的にはあくまで団体の目的達成のために行われる自治的活動であって、そのことによって同業者団体を公権力の主体とみることはできない。また、同業者団体がその機能を果たすことによって、その構成員らの従事する職業の健全性が保たれ、広く国民一般がその利益を享受することもあるが、それは、当該団体の活動による副次的効果にすぎず、このことによって当該団体の目的が公益の実現にあるとみることもできない。 他方、特定の職業について、法律により、一定の資格要件を備えた者のみに従事することを認めるために許可制を採用し、その資格にふさわしい業務を行うよう種々の義務を課すとともに、これに違反した者には業務を停止させるなどの措置を採るとの制度が設けられることがあるが、このような制度は、当該職業の性質を考慮して公益を保護するために採用されるものであり、この制度に基づく許可、監督及び制裁は、いずれも公権力の発動としての性質を有するものであって、本来は国の機関である行政庁が行うべき事務であるが、法律により、その全部又は一部を当該職業についての同業者団体に委任することも可能である。このようにして委任を受けた同業者団体は、その委任の範囲内で公権力の行使を行うことになるが、同業者団体は、公共組合とは異なり、上記のように本来は公権力の主体ではないのであるから、その行為が当然に行政処分となるわけではなく、これに不服のある者は、委任庁に対して監督権の発動を求め、これに対する委任庁の裁決等になお不服がある場合にのみ当該裁決等の取消しを ではないのであるから、その行為が当然に行政処分となるわけではなく、これに不服のある者は、委任庁に対して監督権の発動を求め、これに対する委任庁の裁決等になお不服がある場合にのみ当該裁決等の取消しを求めて出訴し得るとの制度がとられるのが通常であり(司法書士法6条の5等)、同業者団体の行為自体を行政処分として取消訴訟の対象とし得るのは、当該事務を委任した法律において、その旨の明文の定めがある場合に限られると解すべきである。 ウこのような観点から検討するに、弁護士法においては、16条において、日本弁護士連合会により、①同法12条による登録若しくは登録換えの請求の進達の拒絶についての審査請求を却下され若しくは棄却され、②同法14条1項による登録取消請求に係る異議の申出を棄却され、又は③同法15条により登録若しくは登録換えを拒絶された者が、東京高等裁判所に①の裁決、②の決定又は③の拒絶の取消しの訴えを提起することを認め、また、同法62条において、④同法56条による懲戒についての審査請求を却下され若しくは棄却され、又は⑤同法60条により懲戒を受けた者が、④の裁決又は⑤の懲戒の取消しの訴えを提起することを認めているが、これら以外の弁護士会の行為について抗告訴訟の提起を認めた規定はない。 このように弁護士会による国選弁護人推薦停止の決定については、同決定に関する不服申立てを定めた規定や日本弁護士連合会が同決定につき一定の行為をすることを前提としてその取消しを求める訴訟の提起を認めた規定もないから、同決定を行政処分として取り扱う旨の法令上の根拠はないということができ、したがって、その行為は抗告訴訟の対象となる処分とはいえない。 その上、同決定については、国の機関に対する監督権の発動を求める途もないことや、同決定が法律上の根拠に基づくものでないことによれ でき、したがって、その行為は抗告訴訟の対象となる処分とはいえない。 その上、同決定については、国の機関に対する監督権の発動を求める途もないことや、同決定が法律上の根拠に基づくものでないことによれば、同決定自体、同業者団体一般が行う自治的活動の一環として行われているものと解するのが相当であり、国からの委任に基づいて公権力を行使しているものではないと解すべきである。 エこの点について、弁護士法43条の2は、弁護士会が弁護士法に基づいて行う処分について行政手続法第2章及び第3章の規定を適用しないことを定めていること、日本弁護士連合会が弁護士法に基づいてした処分については行政不服審査法による不服申立てをすることができないことを規定した弁護士法49条の3の反対解釈として、弁護士会が弁護士法に基づいてした処分については行政不服審査法による不服申立てをすることができると解することができること、さらに、弁護士法16条及び62条が、前記のとおり、弁護士会の行為に対する審査請求についての裁決に対し取消訴訟を提起できることを規定していることからすれば、同法に基づく弁護士会の行為一般が、審査請求の前提となる原処分として行政庁の処分であるかのようにみえないでもない。 しかし、弁護士法49条の3について反対解釈を行うこと自体が、前記のような弁護士会の性質に照らして疑問がある上、立法者が一般的に同法に基づく弁護士会の行為を行政処分と考えていたとすれば、あえて同法12条4項及び同法12条の2が同法12条1項又は2項に基づく登録又は登録換えの請求の進達の拒絶について行政不服審査法に基づく審査請求ができることを定め、同法16条3項が同審査請求に対する裁決に対してのみ取消しの訴えの提起を認め、同法59条が同法56条により弁護士会がした懲戒について行政不服審査法に基づ 不服審査法に基づく審査請求ができることを定め、同法16条3項が同審査請求に対する裁決に対してのみ取消しの訴えの提起を認め、同法59条が同法56条により弁護士会がした懲戒について行政不服審査法に基づく審査請求をすることができることを前提とし、同法62条が同審査請求に対する裁決に対してのみ取消しの訴えの提起を認めるという個別の規定を設ける必要はないはずである。むしろ、これら個別の不服申立て及び取消訴訟の提起に関する規定を置いているのは、前記のような弁護士会の性質に照らし、弁護士会への公権力行使の委任の範囲を明らかにするとともに、その行為に対する不服申立ての方法を明示することを意図したものであって、弁護士法は、これらの規定に係る弁護士会の行為についてのみ行政不服審査法の不服申立て及び取消訴訟の対象となることを明らかにしたものと解される。 したがって、弁護士法に基づく弁護士会の行為について行政庁のした処分と同視する余地があるとしても、それは、上記のとおり個別に行政不服審査法に基づく不服申立て及び取消訴訟の提起を許した規定のある行為に限られるというべきであり、弁護士法43条の2の規定はこのような解釈の妨げとなるものではない。 オよって、国選弁護人推薦停止に係る弁護士会の決定については、その行為の性質からしても、また行政不服審査法に基づく不服申立て及び取消訴訟の提起を許した規定がないことからも、これを行政庁のした行政処分として抗告訴訟の対象となることはないものというほかない。 このように解した場合、国選弁護人推薦停止決定を受けた者は、これを取消訴訟において争うことはできないが、仮に、それによって法的な不利益が生じるならば、その者は、民事訴訟においてそのような不利益が生じていない法的地位の確認を求めたり、損害賠償請求訴訟を提起することができると おいて争うことはできないが、仮に、それによって法的な不利益が生じるならば、その者は、民事訴訟においてそのような不利益が生じていない法的地位の確認を求めたり、損害賠償請求訴訟を提起することができると解されるのであって、推薦停止決定を受けた者の保護に欠けることはない。 (2) 小括よって、550号事件の訴えは、いずれも、本件決定が行政事件訴訟法3条2項の「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」とは認められず、その余の点について判断するまでもなく、抗告訴訟の対象となり得ない行為の取消しを求めるものとして不適法なものといわざるを得ない。 なお、仮に、本件決定を行政事件訴訟法3条2項の処分に該当するとした場合においても、本件決定による原告の国選弁護人推薦停止は、平成15年8月18日の経過をもって終了しており、原告が本件決定により受ける国選弁護人推薦停止の効力は既に消滅したものといわざるを得ないから、本件決定の取消し及び無効確認を求める利益も消滅したといわざるを得ない(本件処分を受けた旨の記録が残ることや本件処分により原告の名誉が害されたこと、さらには、後に同種の処分を受けた場合に本件処分を受けたことが考慮される可能性があることについては、いずれも本件決定の本来的な効果ではなく、反射的に生ずる事実上の効果であるから、それにより、本件決定の取消しや本件決定の無効確認を求める利益が肯定されるものではない。)ものであり、550号事件の訴えは不適法ということになる。 2 636号事件について(1) 行政事件訴訟法3条3項は、裁決取消しの訴えとは、審査請求、異議申立てその他の不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の行為の取り消しを求める訴訟をいう。 (2) そして、被告東京弁護士会による本件決定は、前記1のとおり行政処分ではなく、行政不服審査 、異議申立てその他の不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の行為の取り消しを求める訴訟をいう。 (2) そして、被告東京弁護士会による本件決定は、前記1のとおり行政処分ではなく、行政不服審査法4条は、行政庁の処分(この法律に基づく処分を除く)に不服がある者は、次条及び第6条の定めるところにより、審査請求又は異議申立てをすることができる旨定めているのであるから、行政処分でない同決定に対して行政不服審査法に基づく不服申立てを行うことは許されないというべきである。 また、仮に、本件決定の処分性の点をおくとしても、行政不服審査法5条は、行政庁の処分についての審査請求は、①処分庁に上級行政庁があるとき、②前号に該当しない場合であって、法律に審査請求をすることができる旨の定めがあるときにできる旨定めるところ、被告日本弁護士連合会は、各弁護士会がした処分等のうちの弁護士法によって審査請求の権限を付与された登録又は登録替えの請求の進達の拒絶及び懲戒を除くものについては、それを職権をもって取り消したり、停止することは認められていないのであるから、被告日本弁護士連合会が被告東京弁護士会の上級行政庁には当たらず、審査請求ができる旨の法律の定めもないから、いずれにしても、行政不服審査法5条に基づき本件決定につき被告日本弁護士連合会に対して審査請求を行うことは認められないものということになる。 さらに、仮に本件決定が行政処分であり、これに対して被告日本弁護士連合会に審査請求をすることができるものであったとしても、本件回答の時点においては、本件決定の法的効力は既に消滅し、その取消しを求める利益は消滅していたのであるから、審査請求の利益も消滅したというべきものであり、同被告としては、審査請求を却下すべきものであったと認められる。 そして、本件において被告日 消滅し、その取消しを求める利益は消滅していたのであるから、審査請求の利益も消滅したというべきものであり、同被告としては、審査請求を却下すべきものであったと認められる。 そして、本件において被告日本弁護士連合会がした本件回答は、あくまで原告がした「審査請求」を受理せず、審査請求書を返還するものではあるが、これは、法的には審査請求を却下するものと認められるべきであるから、その処理に誤りはなかったというべきである。 (3) そうすると、636号事件の訴えは適法ではあるが、理由がないものというべきである。 第4 結論以上によれば、原告の被告東京弁護士会に対する訴えはいずれも不適法であるからこれを却下することとし、被告日本弁護士連合会に対する請求は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部裁判長裁判官藤山雅行裁判官廣澤諭裁判官加藤晴子
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