令和5年4月26日判決言渡同日原本交付裁判所書記官令和4年(ワ)第19430号損害賠償請求事件口頭弁論終結日令和5年3月17日判決 原 告 A 同訴訟代理人弁護士太田真也 被告 B 同訴訟代理人弁護士加藤伸樹 同山城在生 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告は、原告に対し、1000万円及びこれに対する令和4年9月5日から支払済みまで、年3分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の概要 本件は、原告が、被告が動画配信サイトであるYouTubeにおいて配信した動画には、不正競争防止法2条1項21号の不正競争行為に当たる原告の営業上の信用を害する虚偽の内容の発言が含まれるものがあり、また、名誉毀損、侮辱、脅迫に当たる内容が含まれるものがあるとして、同法4条に基づき500万円、民法709条に基づき500万円及びこれらに対する不正競争、不法行為の 後の日である令和4年9月5日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで同法所 定の年3分の割合による遅延損害金を請求する事案である。 2 前提事実(当事者間に争いがないか、弁論の全趣旨によって容易に認められる事実)ア原告は、「X」という名称を用いて、YouTubeやブログにおいて自身の興味のある出来事や自身の周りで起きた事柄についての動画等を配信し ている。(弁論の全趣旨)イ被告は、YouTubeにおいて、「Yチャンネル」という名称を用いて自分の興味のある出来事や自身の周りで起きた事柄について自 で起きた事柄についての動画等を配信し ている。(弁論の全趣旨)イ被告は、YouTubeにおいて、「Yチャンネル」という名称を用いて自分の興味のある出来事や自身の周りで起きた事柄について自ら出演して語るなどする動画を配信している。(争いなし)被告は、別紙権利侵害等の説明の「動画タイトル」欄記載の各動画をYou Tubeに投稿し、同「掲載日時」欄記載の日以降「URL」欄記載のURLにおいて視聴できるようにした(以下、別紙権利侵害等の説明の記載の番号に応じて、各動画を「投稿動画1-1」などといい、各動画を総称して「本件各動画」という。)。本件各動画において、被告は別紙権利侵害等の説明の「動画内での発言内容」欄記載の趣旨の発言(以下、各発言を総称して「本件各発言」 という。)をした。(争いなし) 3 争点 投稿動画1-1から1-4についてア投稿動画1-1から1-4における本件各発言が原告についての発言であると同定できるか(争点1-1) イ原告と被告が競争関係にあるか(争点1-2)ウ投稿動画1-1から1-4における本件各発言が原告の信用を害する虚偽の内容であるか(争点1-3)エ投稿動画1-1から1-4による損害(争点1-4)投稿動画2-1から2-4について ア投稿動画2-1から2-4における本件各発言が原告についての発言で あると同定できるか(争点2-1)イ投稿動画2-1から2-4における本件各発言が、原告に対する名誉毀損侮辱、脅迫に当たるか(争点2-2)ウ投稿動画2-1から2-4による損害(争点2-3) 4 争点に対する当事者の主張 投稿動画1-1から1-4における本件各発言が原告についての発言であると同定できるか(争点1-1)(原 投稿動画2-1から2-4による損害(争点2-3) 4 争点に対する当事者の主張 投稿動画1-1から1-4における本件各発言が原告についての発言であると同定できるか(争点1-1)(原告の主張)投稿動画1-1から1-4における本件各発言は、いずれも原告について述べた発言である。本件各発言のうち原告について述べた部分やそれが原告につ いて述べたものであることは、それぞれ、別紙権利侵害等の説明記載の「権利侵害等」の欄の関係部分に記載したとおりである。 そして、インターネット上の検索サイトにおいて、「X´の」という語句を検索するとサジェスト機能によって「XY」と表示され、「X」という語句を検索すると、その検索結果のページの最初に原告のブログのURLが表示され、 3番目に原告のツイッターのアカウントが表示される。したがって、本件各発言に接した視聴者は、検索サイトで検索すれば容易に投稿動画2-1、2-2における本件各発言が原告についてのものであると到達することができる。また、投稿動画2-1、2-2においては「X」という原告のブログ上の名称が明確に発言され、投稿動画1-1から1-4は、投稿動画2-1、2-2と内 容が酷似し、それらの動画の後に投稿された投稿であるから、本件各発言が原告についての発言であると同定可能である。 実際に、投稿動画1-4を視聴した者の中には、「例のブロガー」が「X」という人物と同一人物であることを明言している者もいる。 (被告の主張) 投稿動画1-1から1-4における本件各発言について、視聴者は、原告に ついて述べたものであると同定することはできない。 上記本件各発言の中には、「X´のなんちゃら」というという表現が含まれる発言があるが、そのような表現を用いたと について、視聴者は、原告に ついて述べたものであると同定することはできない。 上記本件各発言の中には、「X´のなんちゃら」というという表現が含まれる発言があるが、そのような表現を用いたとしても、それが、いかなる者を指すのかや、そもそもYouTubeのチャンネル名を指すのかも理解できない。 本件各発言の中には、「X」という表現が含まれる発言があるが、「X」という YouTubeチャンネル名は、令和4年10月5日時点においても9件存在し、「X」という語を含むチャンネルは少なくとも19件存在する。さらに、チャンネルの説明文や動画のタイトル等も含めると、「X」という語が指し示している可能性のある対象者・対象物は相当な数となる。したがって、「X」という表現を用いたとしても、それだけではいかなる者を指すのかは明らかではな く、これが原告を指しているとは同定できない。 その他、本件各発言中の「とあるブロガー」などといった発言も原告を特定するに足りるものではない。原告は、別の動画との関連性から原告を特定できると主張するが、被告がアップロードしている動画は、被告が運営している「Yチャンネル」に限っても、1900本以上あるのであり、それらの動画の中に 原告を特定できるものも存在することを根拠に、本件で問題になっている動画における発言が原告についての発言であるとすることはできない。 原告と被告が競争関係にあるか(争点1-2)(原告の主張)原告と被告は、いずれもYouTubeに動画を掲載して、自身の興味のあ る出来事や自身の周りで起きた事柄についての情報をインターネット上で不特定多数の人間に配信している。よって、原告と被告は同種の役務を提供するという関係にあるから、不正競争防止法所定の競争関係にある。 (被告の主張 周りで起きた事柄についての情報をインターネット上で不特定多数の人間に配信している。よって、原告と被告は同種の役務を提供するという関係にあるから、不正競争防止法所定の競争関係にある。 (被告の主張)不正競争防止法2条1項21号の競争関係とは通常の事業活動の範囲内に おいてその事業活動の施設又は態様に重要な変更を加えることなく、同種又は 類似の商品又は役務の需要者又は供給者を共通にする関係をいう。原告については、原告のYouTubeアカウントが収益化されているかも不明である上、令和4年9月29日の時点で原告のYouTubeのチャンネル登録数は318名しかおらず、平成30年1月26日に原告のアカウントが開設されて以降、同アカウントには約4年8か月の間にわずか60本の動画しか投稿されて いない。被告の活動態様は、前記の被告の主張のとおりであり、このような原告と被告の活動実態の違いに照らせば、原告と被告の間には需要者を共通とするような競争関係はない。 投稿動画1-1から1-4における本件各発言が原告の信用を害する虚偽の内容であるか(争点1-3) (原告の主張)投稿動画1-1から1-4の各動画には、原告の信用を害する虚偽の内容が含まれている。本件各発言のうち、虚偽の内容を述べている具体的な発言やそれが虚偽であることは、別紙権利侵害等の説明の当該欄に記載のとおりである。 (被告の主張) 原告が投稿動画1-1から1-4の各動画において虚偽であると主張する発言はいずれも虚偽の内容を述べたものではない。その理由は、それぞれ別紙権利侵害とならないことの説明記載の対応する項目に記載のとおりである。 投稿動画1-1から1-4による損害(争点1-4)(原告の主張) 投稿動画1-1から1- 理由は、それぞれ別紙権利侵害とならないことの説明記載の対応する項目に記載のとおりである。 投稿動画1-1から1-4による損害(争点1-4)(原告の主張) 投稿動画1-1から1-4における本件各発言は、あたかも原告が違法な行為を継続的に行っているかのような印象を与える。これによって、原告がインターネット上で行っている情報配信に対する信用性が著しく損なわれる可能性が高いため、原告に多大な損害が発生しており、その損害額は500万円を下らない。 (被告の主張) 否認ないし争う。原告のYouTubeアカウントが収益化されているか否かも不明である上、少なくとも令和4年10月5日の時点における原告のYouTubeのチャンネル登録者数は318名しかおらず、平成30年1月26日にアカウントが開設されて以降、約4年8か月の間に、わずか60本の動画しか投稿されていない。原告の役務の提供は、経済上その収支計算の上に立っ て行われるべき事業又は取引社会における事業活動とは評価できず、原告の営業に係る信用が毀損されて損害が生じたとはいえない。 投稿動画2-1から2-4における本件各発言が原告についての発言であると同定できるか(争点2-1)(原告の主張) 投稿動画2-1から2-4における本件各発言が原告についての発言であることは、別紙権利侵害等の説明の当該欄に記載のとおりである。 前記の原告の主張と同様の理由により、視聴者は、容易に、投稿動画2-1から2-4における本件各発言が原告についてのものであると到達することができる。 投稿動画2-3、2-4では、「とあるブロガー」との発言はあるが、「X」といった明確な言及はない。しかし、これらの動画は、投稿動画2-1、2-2が投稿されている状況下 することができる。 投稿動画2-3、2-4では、「とあるブロガー」との発言はあるが、「X」といった明確な言及はない。しかし、これらの動画は、投稿動画2-1、2-2が投稿されている状況下において投稿されており、話の内容も類似しているから、「とあるブロガー」が「X」のことであることは容易に認識できる。 (被告の主張) 前記の被告の主張のとおりであり、投稿動画2-1から2-4における本件各発言が原告についての発言であると同定できるものではない。「とあるブロガー」等が原告を指していることを同定できるものではない。 投稿動画2-1から2-4における本件各発言が、原告に対する名誉毀損、侮辱、脅迫に当たるか (原告の主張) 投稿動画2-1から2-4における本件各発言は、原告に対する名誉毀損、侮辱、脅迫に当たるものである。本件各発言のうち、原告に対する名誉毀損、侮辱、脅迫に当たる具体的な発言やそれらが名誉毀損、侮辱、脅迫に当たることは、別紙権利侵害等の説明の当該欄に記載したとおりである。 (被告の主張) 投稿動画2-1から2-4における本件各発言が、原告に対する名誉毀損、侮辱、脅迫に当たることはない。その理由は、それぞれ別紙権利侵害とならないことの説明記載の対応する項目に記載したとおりである。 投稿動画2-1から2-4による損害(争点2-3)(原告の主張) 投稿動画2-1から2-4における本件各発言は、インターネット上で公開されているYouTubeの動画という非常に多数の閲覧者を擁する媒体において、長期間にわたって継続的に公開されたものであり、原告があたかも不法行為や違法行為を行っているかのような虚偽の事実を摘示していることから、原告は、本件各発言によって多大な精神的苦痛を る媒体において、長期間にわたって継続的に公開されたものであり、原告があたかも不法行為や違法行為を行っているかのような虚偽の事実を摘示していることから、原告は、本件各発言によって多大な精神的苦痛を被っており、これを金銭 に換算すると500万円を下らない。 (被告の主張)原告の主張は否認する。 第3 当裁判所の判断 1 投稿動画1-1から1-4における本件各発言が原告についての発言である と同定できるか(争点1-1)及び投稿動画2-1から2-4における本件各発言が原告についての発言であると同定できるか(争点2-1)について本件各動画において、被告は、別紙権利侵害等の説明の「動画内での発言内容」に記載された趣旨の発言である本件発言をした(前提事実)。 原告は、本件各発言は原告を指しているものであると主張し、その根拠とし て、前記第2の4、の原告の主張のとおり主張する。 ア投稿動画2-1には「某Xとかっていうわけのわからんやつもいるし、本当に世の中には頭の狂ったやつがいっぱいいますよ」という発言がある。固有の名称の前に「某」という語をつけて当該固有の名称の人物等を指すことが広くされていることを考えると、この発言に接した一般の視聴者は、「X」という名称の特定の人物がいて、投稿動画2-1の同発言では、その人物に ついて述べていると理解するといえる。 また、投稿動画2-2には、「Xとかわけのわからんの見ていっている」、「Xとかみて楽しいのかもしれませんけどね」という発言がある。投稿動画2-2はYouTubeに投稿された動画であり、「X」を視聴の対象となるものとして述べていると受け取ることもできることを考えると、この発言 に接した一般の視聴者には、「X」が、動画を投稿している特定の YouTubeに投稿された動画であり、「X」を視聴の対象となるものとして述べていると受け取ることもできることを考えると、この発言 に接した一般の視聴者には、「X」が、動画を投稿している特定の者や団体又は動画の投稿がされるチャンネルの名称であると理解する者がいるともいえる。 イ原告は、上記アの「X」は、「X」という名称を用いてYouTubeで動画を配信するなどしている原告を指すと主張する。 ここで、「X」という名称のYouTubeのチャンネル名は、令和4年10月5日の時点で、合計9件存在し、「MineCraftX」など、「X」の文言を含むチャンネル名も含めると合計19件存在していた(乙3)。被告が「X」について発言したと原告が摘示する動画がYouTubeに投稿された当時においても、「X」又は「X」を含むチャンネル名は一定数存在し ていたことが推認できる。 他方、令和4年12月時点において、インターネットの検索サイトの検索窓において「X´」と入力すると、サジェスト機能により「XY」が検索語句の候補として表示され(甲5)、YouTubeのサイトにおいて検索しても、「X」と入力すると、「XY」が検索語句の候補として表示され る(甲8)。また、インターネットの検索サイトで、「X」と検索すると、検 索結果の一番目等に、原告に関連するサイトが表示され、サジェスト機能により「XY」が検索語句の2番目の候補として表示される(甲6、7)。 ウ以上について、インターネットの検索サイトで「X」と検索すると検索結果の一番目等に原告に関連するサイトが表示されるとしても、「X」というチャンネル名等が複数あり、かつ、本件において「X」に接した一般の視聴 者が原告を想起するといえ トで「X」と検索すると検索結果の一番目等に原告に関連するサイトが表示されるとしても、「X」というチャンネル名等が複数あり、かつ、本件において「X」に接した一般の視聴 者が原告を想起するといえるような事情を認めるに足りる証拠はないことを考えると、上記検索結果から、一般の視聴者が投稿動画2-1及び2-2で被告が言及した「X」が、検索結果において表示される原告に関連するサイトのことであると受け取るとは必ずしもいえない。また、サジェスト機能により、「X」と被告が配信の際に用いている「Y」が表示されることによっ て、その「X」が上記の検索結果で表示される原告に関連するサイトを指していることをうかがわせる事情もない。 原告は、投稿動画2-1、2-2について、その動画の一場面のスクリーンショットを提出するところ(甲4の1、2)、本件で提出された証拠によって動画における対象となる発言の前後の発言等の事情に基づいてそこでの 「某X」、「X」が原告を指すと認めるには足りない。また、被告が1900本以上の動画を投稿していること(乙1、弁論の全趣旨)に照らせば、投稿動画2-1、2-2を視聴した一般の視聴者が、被告が投稿した他の動画を見ているとは限らず、また、その他の動画と投稿動画2-1、2-2を関連付けると認めるに足りる証拠はない。これらによれば、被告が投稿した他の 動画の内容により、投稿動画2-1、2-2を視聴した一般の視聴者が「某X」、「X」が原告を指すと理解するとは認めるに足りない(なお、原告は、本件各発言が原告を指すことについて、訴え提起時に訴状において主張するとともに関係する証拠の申出をし、被告がその同定可能性を争ったのに対して、令和4年12月21日付け準備書面で甲5から8を摘示するなどして同 定可能性に ついて、訴え提起時に訴状において主張するとともに関係する証拠の申出をし、被告がその同定可能性を争ったのに対して、令和4年12月21日付け準備書面で甲5から8を摘示するなどして同 定可能性に関する主張をして、同月23日、同定可能性についてこれ以上の 主張立証をしない旨述べた。なお、その後、被告は同定可能性についての主張立証はしていない。)。 エ以上によれば、投稿動画2-1の被告の発言に接した視聴者は、「X」という名称の特定の人物がいることを理解し、また、投稿動画2―2の被告の発言に接した視聴者には、「X」が、動画を投稿している特定の者や団体又は投 稿のチャンネルの名称であると理解する者がいるともいえるとしても、一般の視聴者は、それらが原告を指すと理解すると認めるには足りない。 投稿動画1-1では、「X´のなんちゃらってやつ?」という被告の発言があり、この発言に接した視聴者は、「X´」から始まる名称の人物がいて、被告が、その人物について述べていると理解するといえる。 もっとも、「X´」から始める名称の人物は、「X」という名称に比べてもその発言の対象とする人物の範囲が広いといえ、「X」が原告を指すとは認めるに足りないときに(前記)、「X´」から始まる名称の人物が原告を指すと認めるに足りない。また、原告は、投稿動画1-1について、その動画の複数のスクリーンショットを提出し、そこには、「X´のなんちゃらってやつ?」、「あ ーまあ確かに。」、「後、危害が…」、「僕だけじゃなくて」、「うちの社員にも及ぶ」、「Y´の方もそうだし」、「オンラインサロンのメンバーもそうだし」というテロップが表示されているところ(甲3の1)、本件で提出された証拠によって上記発言も含めた動画における対象となる発言の前後の発言等に基 の方もそうだし」、「オンラインサロンのメンバーもそうだし」というテロップが表示されているところ(甲3の1)、本件で提出された証拠によって上記発言も含めた動画における対象となる発言の前後の発言等に基づいて「X´のなんちゃら」が原告を指すと認めるには足りない。また、被告が1 900本以上の動画を投稿していること、「X」という発言自体から原告を特定することができないことに照らせば、前記と同様の理由で、被告が投稿した「X」との発言のある他の動画の内容により、投稿動画1-1を視聴した一般の視聴者が「X´のなんちゃら」が原告を指すと理解するとは認めるに足りない。 以上によれば、投稿動画1-1の被告の発言に接した視聴者は、「X´」から 始まる名称の特定の人物がいることを理解するとしても、それが原告を指すと理解すると認めるには足りない。 投稿動画1-2には「とある某ブロガーがですね」という被告の発言があり、これに接した一般の視聴者は、特定の「ブロガー」がいることを理解するといえる。 もっとも、「某ブロガー」との発言では、その対象者はブログをする者であることを超えて特定できないし、上記発言の後の、その者が「うちの会社にまでやってきてうちの会社のドアの写真を撮るわ、社員の個人情報を流すわ、とんでもないことをやり始めた」という発言によって、その「ブロガー」が原告を指すと一般の視聴者が理解することを認めるに足りる証拠はない。また、原 告は、投稿動画1-2について、動画の一場面のスクリーンショットを提出するところ(甲3の2)、本件で提出された証拠によって動画における対象となる発言の前後の発言等の事情に基づいてそこでの「某ブロガー」が原告を指すと認めるには足りない。また、被告が1900本以上の動画を投稿していること )、本件で提出された証拠によって動画における対象となる発言の前後の発言等の事情に基づいてそこでの「某ブロガー」が原告を指すと認めるには足りない。また、被告が1900本以上の動画を投稿していること、「X」という発言自体から原告を特定することができないことに照らせば、 前記と同様の理由で、被告が投稿した「X」との発言のある投稿動画2-1、2-2を含む他の動画の内容により投稿動画1-2を視聴した一般の視聴者が「某ブロガー」が原告を指すと理解するとは認めるに足りる証拠はない。 以上によれば、投稿動画1-2の被告の発言に接した視聴者は、何らかの行為をした「ブロガー」がいることを理解するとしても、一般の視聴者は、それ が原告を指すと理解すると認めるには足りない。 投稿動画1-3には、「ほんとに大きな事件がうちのチャンネルにはおきまして」、「主に志願者の子たちがいじめられていたので」などの被告の発言があり、一般の視聴者は、大きな事件があり、一定の者をいじめる者がいたと理解するといえる。 しかし、上記発言には、一般の視聴者が、その一定の者をいじめる者が原告 であると理解することをうかがわせる語句はない。原告は、投稿動画1-3について、動画の一場面のスクリーンショットを提出するところ(甲3の3)、本件で提出された証拠によって動画における対象となる発言の前後の発言等の事情に基づいて一定の者をいじめる者が原告を指すと認めるに足りない。また、被告が1900本以上の動画を投稿していること、「X」という発言自体 から原告を特定することができないことに照らせば、前記と同様の理由で、被告が投稿した「X」との発言のある投稿動画2-1、2-2を含む他の動画の内容により、投稿動画1-3を視聴した一般の視聴者が一定の者をい を特定することができないことに照らせば、前記と同様の理由で、被告が投稿した「X」との発言のある投稿動画2-1、2-2を含む他の動画の内容により、投稿動画1-3を視聴した一般の視聴者が一定の者をいじめる者が原告であると理解すると認めるに足りない。 以上によれば、投稿動画1-3の被告の発言に接した視聴者は、一定の者を いじめる者がいたことを理解するとしても、一般の視聴者は、それが原告を指すと理解すると認めるには足りない。 投稿動画1-4には、「例のブロガー」という被告の発言があり、被告は、その者が、特定の志願者を徹底的に調べ始めて電話したりしたと発言しており、一般の視聴者は、特定の者を調べて電話したりするブロガーがいると理解する といえる。 しかし、上記発言には、その特定の者を調べて電話したりする者が原告であることをうかがわせる語句はない。原告は、投稿動画1-4について、動画の複数の場面のスクリーンショットを提出し、そこには、「二つ目は例のブロガー」、「まだ今裁判中なんで」、「本当に執着してきやがって」、「それが飛び火し て志願者に行ったんですよね」、「特定の志願者を」、「徹底的に調べ始めて電話して」、「関連会社のところに妨害工作があったりとか」、「ある子は本人の出自を調べられて」、「こんな生まれだっていうことまでやり出したときに」、「これはもう開示請求するしかないと思って」、「弁護士に頼んで開示請求したんですけど」、「今それを元にして向こうに裁判を起こしています」、「会社の玄関撮ら れたりしたとか追っかけられたりもした」というテロップが表示されていると ころ(甲3の4)、一般の視聴者にとりこれらの発言と原告と結びつける事情があると認めるに足りる証拠はなく、本件で提出された証拠によってり動 られたりもした」というテロップが表示されていると ころ(甲3の4)、一般の視聴者にとりこれらの発言と原告と結びつける事情があると認めるに足りる証拠はなく、本件で提出された証拠によってり動画における対象となる発言の前後の発言等の事情に基づいてそこでの「特定の者を調べて電話したりする者」が原告を指すと認めるに足りない。また、被告が1900本以上の動画を投稿していること、「X」という発言自体から原告を特 定することができないことに照らせば、前記と同様の理由で、被告が投稿した「X」との発言のある投稿動画2-1、2-2を含む他の動画の内容により、投稿動画1-4を視聴した一般の視聴者が特定の者を調べて電話したりする者が原告であると理解すると認めるに足りない。 以上によれば、投稿動画1-4の被告の発言に接した視聴者は、特定の者を 調べて電話したりする者がいることを理解するとしても、一般の視聴者は、それが原告を指すと理解すると認めるには足りない。 投稿動画2-3には、「もちろん僕はこのままでは済まさない」、「まってろよ、お前」という被告の発言があり、その者について、その対象を被告は「某ブロガー」と述べていると認められ(弁論の全趣旨)、一般の視聴者は、被告が 特定のブロガーに対して、「このままでは済まさない」などと述べていると理解するといえる。 しかし、上記発言には、被告が述べている者が原告であることをうかがわせる語句はない。原告は、投稿動画2-3について、動画の一場面のスクリーンショットを提出するところ(甲4の3)、本件で提出された証拠によって動画 における対象となる発言の前後の発言等の事情に基づいて被告が述べている者が原告を指すと認めるに足りない。また、被告が1900本以上の動画を投稿していること、「 件で提出された証拠によって動画 における対象となる発言の前後の発言等の事情に基づいて被告が述べている者が原告を指すと認めるに足りない。また、被告が1900本以上の動画を投稿していること、「X」という発言自体から原告を特定することができないことに照らせば、前記と同様の理由で、被告が投稿した「X」との発言のある投稿動画2-1、2-2を含む他の動画の内容により、投稿動画2-3を視聴 した一般の視聴者が被告が対象としている者が原告であると理解するとは認 めるに足りない。 以上によれば、投稿動画2-3の被告の発言に接した視聴者は、被告が対象としている者が原告を指すと理解すると認めるには足りない。 投稿動画2-4には、「鬱陶しい奴がまとわりついてたじゃないですか?」、という被告の発言があり、一般の視聴者は、被告が鬱陶しいと感じ、被告にま とわりついていた者がいると理解するといえる。 しかし、上記発言には、被告が述べている者が原告であることをうかがわせる語句はない。原告は、投稿動画2-4について、動画の複数の場面のスクリーンショットを提出し、そこには「鬱陶しい奴がまとわりついてたじゃないですか?」、「やっと開示請求が取れました」、「これから見とけよお前」とのテロ ップが表示されているところ(甲4の4)、一般の視聴者にとりこれらの発言と原告と結びつける事情があると認めるに足りる証拠はなく、本件で提出された証拠によって動画における対象となる発言の前後の発言等の事情に基づいて被告が述べている者が原告を指すと認めるに足りない。また、被告が1900本以上の動画を投稿していること、「X」という発言自体から原告を特定す ることができないことに照らせば、前記と同様の理由で、被告が投稿した「X」との発言のある投稿動画 。また、被告が1900本以上の動画を投稿していること、「X」という発言自体から原告を特定す ることができないことに照らせば、前記と同様の理由で、被告が投稿した「X」との発言のある投稿動画2-1、2-2を含む他の動画の内容により、投稿動画2-4を視聴した一般の視聴者が被告が述べている者が原告であると理解するとは認めるに足りない。 以上によれば、投稿動画2-4の被告の発言に接した視聴者は、被告が鬱陶 しいなどと感じる者がいることを理解するとしても、一般の視聴者は、それが原告を指すと理解すると認めるに足りない。 2 投稿動画1-1から1-4における本件各発言が原告の信用を害する虚偽の内容であるか(争点1-3)について前記1からまでによれば、投稿動画1-1から1-4までに接した一般の 視聴者は、それらにおける本件各発言が原告のことを述べていると理解するとは 認めるに足りない。これらの動画は、YouTubeに投稿されたものであり、被告は、これらを不特定多数の者に配信しているところ、それら不特定多数の一般の視聴者は、本件各発言が原告のことを述べていると理解しないのであるから、本件各発言によって仮に何人かの信用が害されたとしても、原告の信用が害されたとはいえない。したがって、投稿動画1-1から1-4における本件各発言が 原告の信用を害したことを根拠とする不正競争防止法に基づく損害賠償請求は理由がない。 3 投稿動画2-1から2-4における本件各発言が、原告に対する名誉毀損、侮辱、脅迫に当たるか(争点2-2)についてア前記1、、によれば、投稿動画2-1から2-4に接した一般の視聴 者は、それらにおける本件各発言が原告のことを述べていると理解するとは認めるに足りない。これらの動画は、You いてア前記1、、によれば、投稿動画2-1から2-4に接した一般の視聴 者は、それらにおける本件各発言が原告のことを述べていると理解するとは認めるに足りない。これらの動画は、YouTubeに投稿されたものであり、被告は、これらを不特定多数の者に配信しているところ、それら不特定多数の一般の視聴者は、本件各発言が原告のことを述べていると理解しないのであるから、本件各発言によって仮に何人かの社会的評価が低下したとしても、原告 の社会的評価が低下したとはいえない。したがって、投稿動画2-1から2-4における本件各発言が原告の名誉を毀損することを理由とする損害賠償は理由がない。 イ原告は、投稿動画2-1から2-4の中には原告の名誉感情を害する表現があると主張するところ、これらは、YouTubeに投稿されたものであり、 不特定多数の者に配信され、不特定多数の者を対象としているものである。そして、原告が名誉感情を害する表現であると主張する発言につき、仮に、原告について述べたものが含まれ、原告において原告について述べた表現であると認識したとしても、以下のとおりそれらの発言は、いずれも原告の名誉感情を害するものとして社会通念上許容される限度を超えるものとはいえない。すな わち、「わけのわからんやつ」(投稿動画2-1)は、対象者について被告には 理解できない旨を述べるもので、その旨の表現として特に人格を攻撃するものとはいえず、社会通念上許容される限度を超える表現とはいえない。それに続く「本当に世の中には頭の狂ったやつがいっぱいいますよ」(同)は、原告に関係する具体的な表現もなく、その前の「X」との関係も直ちには明らかではなく、そのような者が多くいるという一般論が述べられているものともいえ、こ れが直ち つがいっぱいいますよ」(同)は、原告に関係する具体的な表現もなく、その前の「X」との関係も直ちには明らかではなく、そのような者が多くいるという一般論が述べられているものともいえ、こ れが直ちに原告との関係で社会通念上許容される限度を超える表現とはいえない。「ほんとにいい死に方しない」(同)は、対象者に対する不快感を表したものとはいえるが、他に具体的な表現はなく、原告の名誉感情を害するものとして社会通念上許容される限度を超えるものとはいえない。「Xとかわけのわからんの」(投稿動画2-2)は、対象動画等が被告には理解できない旨を述べ るもので、その旨の表現として特に人格を攻撃するものではなく、社会通念上許容される限度を超える表現とはいえないし、「ぶち殴ってやろうかと思っている」(同)は、被告の感情を示すなどするものではあるが直ちに原告の名誉感情を害するものとはいえない。「鬱陶しい奴」(投稿動画2-3)は、対象者に対する被告の不快感を表したもので、他に具体的な表現はなく、その旨の表現 として特に人格を攻撃するものではなく、社会通念上許容される限度を超えるものとはいえない。 ウ原告は、投稿動画2-1から2-4の中には原告を脅迫する発言があると主張する。原告が脅迫であると主張する発言のうち、投稿動画2-2には、「本当に見つけてぶち殴ってやろうかと思っている」という発言があり、これは暴行 に触れる穏当ではない発言ではあるが、その発言の内容からも被告が対象者を具体的に特定していないことを前提に述べられたもので、実際にその行為を行うことを述べているものとまではいえないし、その者に対する怒りの感情が強いことを述べたものといえ、原告に対する違法な害悪の告知として脅迫であると認めることはできない。投稿動画2-3には、「もちろん僕 うことを述べているものとまではいえないし、その者に対する怒りの感情が強いことを述べたものといえ、原告に対する違法な害悪の告知として脅迫であると認めることはできない。投稿動画2-3には、「もちろん僕はこのままでは 済まさない」、「まってろよ、お前」という発言があり、投稿動画2-4には、 「これから見とけよお前」という発言があるが、これらの発言において、被告が行おうとする行為が具体的に示されているわけではない。本件において提出された証拠によっても、そこで被告が行おうとしている行為が明らかであるとはいえず、上記動画における「やっと開示請求がとれました」という発言からすると、開示請求の結果に基づいた法的な手続をとることを述べているともい える。これらからすると、被告の上記発言が、原告に対する違法な害悪の告知として脅迫であると認めることはできない。 第4 結論以上によれば、原告の請求にはいずれも理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第46部 裁判長裁判官柴田義明 裁判官仲田憲史 裁判官佐伯良子は、差支えにつき署名押印することができない。 裁判長裁判官柴田義明
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