平成17(あ)1823 殺人,強盗殺人,窃盗被告事件

裁判年月日・裁判所
平成20年6月5日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所
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判決文本文1,444 文字)

- 1 -主文本件上告を棄却する。 理由 弁護人岩井信,同大熊裕起の上告趣意のうち,憲法31条違反をいう点は,死刑制度が憲法の同規定に違反するものでないことは当裁判所の判例(最高裁昭和22年(れ)第119号同23年3月12日大法廷判決・刑集2巻3号191頁,最高裁昭和32年(あ)第2247号同36年7月19日大法廷判決・刑集15巻7号1106頁)とするところであるから,理由がなく,その余は,事実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。 なお,所論にかんがみ記録を調査しても,刑訴法411条を適用すべきものとは認められない。 付言すると,本件は,被告人が,約1年間にわたり同せいしていた女性(当時43歳)のアパートで,ささいなことから口論となったその娘(当時12歳)に対し憎しみを爆発させて殺害した上,逃走資金を得るなどの目的で,同せい相手の帰宅を待ち受け,同女も殺害して現金やキャッシュカード等を強取し,そのキャッシュカードを用いて現金合計85万円を引き出して窃取したという殺人,強盗殺人,窃盗の事案である。自らは仕事もせずパチンコにふけり,同せい相手の貴金属類を勝手に質入れし,その中学生の娘の小遣いまで盗むなどしていたのであるから,同女から嫌悪感を抱かれても当然であるのに,同女の口の利き方に腹を立てたなどという同女殺害の動機は,酌量の余地の全くないものである。同せい相手の殺害動機も,娘を殺害したことが発覚するのをおそれるとともに逃走資金を得るためという利欲性の高い悪質なもので,これまた酌量すべき点は全く認められない。上記娘に- 2 -対する殺害の態様は,背後から背中目掛けていきなり包丁を突き出した上,腕や包帯でけい部を執ように絞め続けたという,確定的殺意に基づく残忍かつ冷酷なものである。また,同せい相手に対 記娘に- 2 -対する殺害の態様は,背後から背中目掛けていきなり包丁を突き出した上,腕や包帯でけい部を執ように絞め続けたという,確定的殺意に基づく残忍かつ冷酷なものである。また,同せい相手に対する強盗殺人は,凶器として用いるペティナイフを買いに行き,鉄製ハンマーを用意するなど準備を整え,何回も電話をかけて帰宅の予定を確かめるなどして敢行された,強固な殺意に基づく計画的な犯行である。態様も,何食わぬ顔をしてその帰宅を迎え入れ,ベッド上の娘に声を掛けている背後からいきなり鉄製ハンマーで頭部を強打し,鼻や口を掛け布団でふさぎながら,背部から心臓目掛けてペティナイフで何回も突き刺したという,これも執ようかつ残忍なものである。殺害が発覚しないよう工作して逃走を図るなど,犯行後の情状も悪い。2名の生命を奪った結果は極めて重大であって,遺族らの処罰感情は非常に厳しく,本件が地域社会に与えた影響も軽視することはできない。加えて,被告人にはこれまでに強盗致傷による服役前科も認められる。 以上のような諸事情に照らすと,被告人が事実関係をおおむね認めていることなど,被告人のために酌むべき情状を十分考慮しても,本件犯行についての被告人の刑事責任は極めて重大であり,原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑は,当裁判所もこれを是認せざるを得ない。 よって,刑訴法414条,396条により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 検察官鶴田小夜子公判出席(裁判長裁判官才口千晴裁判官横尾和子裁判官甲斐中辰夫裁判官泉徳治裁判官涌井紀夫)

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