主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求処分行政庁千葉労働局長が原告に対して平成18年10月2日付けでした監督復命書の一部不開示決定のうち「重措置内容」欄「基準番号」欄及び「確,,認までの間」欄を不開示とした部分を取り消す。 第2事案の概要 本件は,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」という)3条に基づき,千葉労働局長に対して監督復命書の開示請求をした。 ,,原告が千葉労働局長からその一部につき不開示とする旨の決定を受けたため当該不開示とされた部分のうち「重措置内容」欄「基準番号」欄及び「確認,,までの間」欄の各記載は不開示情報に該当しない旨主張して,上記一部不開示決定のうち上記各欄に係る部分の取消しを求める事案である。 前提事実本件の前提となる事実は,次のとおりである。証拠及び弁論の全趣旨により容易に認めることができる事実等はその旨付記しており,それ以外の事実は当事者間に争いがない。 (1)原告は,千葉労働局長に対し,平成18年8月2日,情報公開法3条に基づき「船橋労働基準監督署の2005年度監督復命書綴のうち,措置の,欄が甲を選択されているもの全て」の開示請求(以下「本件開示請求」とい う)をした(甲3)。 。 (2)千葉労働局長が本件開示請求の対象となる文書として特定した文書は,件数にして43件,総枚数にして358枚であった(以下,これらの文書を「」。)。 ,,,併せて本件対象文書というそのため千葉労働局長は原告に対し情報公開法10条2項に基づき,平成18年9月1日付け「開示決定等の期限の延長について(通知」と題する書面により,延長の理由を「当該開示)請求の対象となる行政文書については, 働局長は原告に対し情報公開法10条2項に基づき,平成18年9月1日付け「開示決定等の期限の延長について(通知」と題する書面により,延長の理由を「当該開示)請求の対象となる行政文書については,開示・不開示の審査に相当の時間を要するため」として,本件開示請求に係る開示決定等の期限を30日間延長し,同年10月3日までとする旨通知した(乙1,2,弁論の全趣旨)。 (3)千葉労働局長は,平成18年10月2日,本件対象文書には情報公開法5条1号,同条2号イ,同条4号及び同条6号に該当する情報が含まれているとして,本件対象文書について,その一部(事業の名称」欄「事業場の「,名称欄事業場の所在地欄重措置内容欄基準番号欄及び確」,「」,「」,「」「認までの間」欄等)を不開示とする旨の決定(以下「本件一部不開示決定」という)をし,原告に対し,情報公開法9条1項に基づき,同日付け行政。 文書開示決定通知書により,その旨通知した(甲4,5,弁論の全趣旨)。 (4)ア原告は,千葉労働局長に対し,平成18年10月26日,本件対象文書358枚すべてについて,閲覧の方法による開示を求める旨の申出をした(乙2)。 イ原告は,平成18年11月6日,千葉労働局に閲覧に訪れ,本件対象文。(,,書のうち5枚について写しの交付を受けた甲5乙3の1から5まで弁論の全趣旨) (5)原告は,平成19年3月20日,本件一部不開示決定のうち「重措置内,容」欄「基準番号」欄及び「確認までの間」欄を不開示とした部分の取消,しを求める本件訴えを提起した(当裁判所に顕著な事実)。 争点 本件一部不開示決定のうち「重措置内容」欄「基準番号」欄及び「確認ま,,での間」欄を不開示とした部分の適法性。具体的には,本件対象文書に る本件訴えを提起した(当裁判所に顕著な事実)。 争点 本件一部不開示決定のうち「重措置内容」欄「基準番号」欄及び「確認ま,,での間」欄を不開示とした部分の適法性。具体的には,本件対象文書において不開示とされた監督復命書の上記各欄に,情報公開法5条4号及び同条6号に該当する情報が記載されているといえるか。 当事者の主張の要旨(原告の主張)(1)原告は,平成16年4月16日付けで,千葉労働局長に対し,情報公開法4条1項に基づき,千葉労働基準監督署が千葉県住宅供給公社に対して交付した監督復命書の写しの開示を請求したところ,不開示決定を受けた。原告は,当該決定について厚生労働大臣に対して審査請求をしたところ,情報公開・個人情報保護審査会が文書の一部につき開示すべき旨の答申をしたため,上記監督復命書の写しの一部について開示決定をすべきであるとの裁決がされた。 千葉労働局長は,同裁決に基づき,同監督復命書の一部について開示したが,当該開示部分には「事業の名称」欄「事業場の名称」欄「事業場の,,,所在地」欄「重措置内容」欄「基準番号」欄及び「確認までの間」欄が含,,まれていた。 (2)前記(1)において,監督復命書の写しの「重措置内容」欄「基準番号」, 欄及び「確認までの間」欄が開示されたが,本件提訴の日までに,上記各欄が開示されたことによって,当該法人の権利,競争上の地位その他の正当な利益を害したこと,犯罪の予防に支障を及ぼしたこと及び国の機関が行う事務の適正な遂行に支障を及ぼしたことは,いずれもない。 したがって,何ら証拠がないまま,推測あるいは憶測のみで,上記各欄に記録されている情報が情報公開法5条2号イ,同条4号及び同条6号に該当するとした本件一部不開示決定は違法である。 (被告の主張)(1)ア労働基準行 拠がないまま,推測あるいは憶測のみで,上記各欄に記録されている情報が情報公開法5条2号イ,同条4号及び同条6号に該当するとした本件一部不開示決定は違法である。 (被告の主張)(1)ア労働基準行政は,労働者の労働条件の向上及び安全と健康の確保を図,,,ることを目的としており労働基準監督機関はその目的を達成するため労働基準法(以下「労基法」という,労働安全衛生法(以下「安衛法」。)という)等により,行政上及び司法上の権限を行使することとされてい。 る。労働基準監督機関は,労働基準関係法令に違反する事実を確認した場合には,原則として,書面の交付により是正勧告を行い,事業主等に対してその是正を図らせることとしているが,是正勧告等の行政指導による措置を講じたにもかかわらず是正がされなかったり,労働基準関係法令違反の態様が重大かつ悪質である場合等については,司法上の処理あるいは行政処分を行うこととしている。 イ「司法処理基準の取扱いについて」と題する通達(昭和53年6月12日付け基発第330号。以下「司法処理基準」という)又は「使用停止。 等処分基準及び緊急措置基準の取扱いについて」と題する通達(昭和56。 「」。),年2月16日付け基発92号以下使用停止等処分基準というは 司法処理又は行政処分である使用停止等命令に関する基本的考え方や業務の処理要領を示した上で,その具体的な基準,違反の態様,その番号等を一体として定めた運用基準である。これらが公になった場合には,労働基準監督機関が行う司法処理又は使用停止等命令の対象範囲が相当程度明らかになるとともに,どのような違反の態様がどのようにして司法処理又は使用停止等命令に至るのかが明らかになる。 ウ事業主等に対する是正勧告が効果的に機能するのは,司法処理に基づく刑事 が相当程度明らかになるとともに,どのような違反の態様がどのようにして司法処理又は使用停止等命令に至るのかが明らかになる。 ウ事業主等に対する是正勧告が効果的に機能するのは,司法処理に基づく刑事罰及び使用停止等命令の威嚇的効果によるものであるが,司法処理基準又は使用停止等処分基準の内容が明らかになれば,司法処理又は使用停止等命令の対象外とされている違反については上記の威嚇的効果が生じないため,違反を未然に防止することが困難になる。そうすると,事業主等の遵法意識を低下させることにより違反がまん延し,労働者の労働条件や安全衛生基準が確保されない結果になりかねない。 また,当該違反行為が司法処理基準において司法処理相当とされていること又は使用停止等処分基準において使用停止等命令の対象とされていることが事前に分かれば,事業主等は,労働基準監督機関の臨検監督等に当たり,あらかじめ当該違反行為の証拠を隠ぺいするなどの行為に及ぶおそれが大きく,これにより労働者の権利の救済が図られない結果,行政に対する信頼が低下し,労働者からの情報提供等がされなくなるなど,違法行為の発見を困難にするおそれがある。 エ以上からすると,司法処理基準及び使用停止等処分基準には,犯罪の予防,鎮圧その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると 行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報(情報公開法5条4号,並びに検査及び取締りに係る事務に関し,正確な事実の把握を困)難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし,若しくはその発見を困難にするおそれがある情報(同条6号イ)が記録されているといえる。 (2)監督復命書の「重措置内容」欄に「甲交付(司法処理基準該当」との記)載があるか,又は「基準番号」欄に司法処理基準に該当する番号が記載されてい 情報(同条6号イ)が記録されているといえる。 (2)監督復命書の「重措置内容」欄に「甲交付(司法処理基準該当」との記)載があるか,又は「基準番号」欄に司法処理基準に該当する番号が記載されているかを明らかにすれば,それに対応する「違反法条項・指導事項等」欄に記載されている行為が司法処理基準に該当するか否かが明らかとなる。 また「違反法条項・指導事項等」欄に記載された事項が使用停止等処分,基準に該当する場合「重措置内容」欄にその旨の記載をして基準番号を付,した上,使用停止等命令を行うに当たり期限を設けず是正を確認するまでの間効力が継続する場合には「確認までの間」欄にその旨をチェックするこ,ととなるため「重措置内容」欄を開示すれば「違反法条項・指導事項等」,欄に記載された事実が使用停止等処分基準に該当するか否かが明らかになる。 そうであるにもかかわらず「重措置内容」欄「基準番号」欄及び「確認,,までの間」欄を開示してしまうと,相当数の監督復命書を開示請求し,その内容を分析することで,司法処理基準及び使用停止等処分基準の内容が相当程度明らかになってしまい,違法行為の発見を困難にするなどのおそれがある。 したがって「重措置内容」欄「基準番号」欄及び「確認までの間」欄に,, は情報公開法5条4号及び同条6号イに該当する情報が記録されているということができるから,本件一部不開示決定は適法である。 (3)原告は,別件における開示によっても,犯罪の予防又は国の機関が行う事務の適正な遂行に支障を及ぼしたことはない旨主張するが,情報公開法5条2号イ,同条4号及び同条6号イは,各号所定の「おそれ」があれば足りるとしているのであるし,別件においてたまたま弊害が生じなかったからといって,そのことから直ちに不開示事由がないということはできな 条2号イ,同条4号及び同条6号イは,各号所定の「おそれ」があれば足りるとしているのであるし,別件においてたまたま弊害が生じなかったからといって,そのことから直ちに不開示事由がないということはできない。 また,本件対象文書は43通という多数に上るのであるから,単一の事業場についての1通のみが開示された別件とは事情が異なる。 第3争点に対する判断 証拠(甲1,5,8,10,乙3の1から3の5まで)及び弁論の全趣旨によると,以下の事実を認めることができる。 (1)監督復命書とは,労働基準監督官が労基法,安衛法等に基づき,特定の事業場等に臨検監督した際に,当該事業場等に係る措置方針について労働基準監督署長等に報告することなどを目的として作成される文書である。監督復命書には,当該事業場に対して交付した是正勧告書,使用停止等命令書等,,「」,の各控えなどが添付されることがあるが監督復命書自体には処理経過「監督種別「措置「監督年月日「監督重点対象区分「特別監督対象」,」,」,」,区分事業の名称事業場の名称事業場の所在地署長判決参」,「」,「」,「」,「」,「考事項・意見違反法条項・指導事項等重措置内容基準番号確」,「」,「」,「」,「認までの間「是正期日「備考」等の各欄がある。 」,」,(2)是正勧告書とは,労働基準監督官が,労働基準関係法令違反の事実を発 見した場合に,事業主等に対し,行政上の権限に基づき,法令違反事実を是正するよう勧告するために交付する書面である。なお,是正勧告書には,甲と乙の区分があり,甲は一定の重大な違反事実に係るものであるといわれている。 (3)「違反法条項・指導事項等」欄に記録された事項が司法処理基準に該当すると判断された場合には「重措置内容」 には,甲と乙の区分があり,甲は一定の重大な違反事実に係るものであるといわれている。 (3)「違反法条項・指導事項等」欄に記録された事項が司法処理基準に該当すると判断された場合には「重措置内容」欄に「甲交付(司法処理基準該,当」と「基準番号」欄に司法処理基準に該当する番号が,それぞれ記録さ),れる(なお,ここにいう「司法処理」とは,労働基準監督官が刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行い,事件を検察官に送致することをいうものと認められる。 。)また「違反法条項・指導事項等」欄に記録された事項が使用停止等処分,基準に該当する場合には「重措置内容」欄にその旨が「基準番号」欄に使,,用停止等処分基準に該当する番号が,それぞれ記録され,さらに,使用停止等命令を行うに当たり期限を設けず是正を確認するまでの間効力が継続する場合には「確認までの間」欄にその旨のチェックがされる。 , 情報公開法5条4号該当性について(1)情報公開法5条4号は,公にすることにより,犯罪の予防,鎮圧又は捜査,公訴の維持,刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報を不開示情報としているところ,これは,上記のような公共の安全等に関する情報については,開示又は不開示の判断に専門的かつ技術的判断を要するなどの特殊性があることから,行政機関の長の第一次的な判断を尊重する趣旨で あると解される。したがって,同号に該当するとしてされた不開示処分が違法となるのは,当該処分が行政機関の長に認められた裁量権を逸脱し,又は濫用した場合に限られるというべきである。 (2)ア労基法は,労働基準監督機関である労働基準主管局,都道府県労働局及び労働基準監督署に労働基準監督官を置くとし(労基法97条 れた裁量権を逸脱し,又は濫用した場合に限られるというべきである。 (2)ア労基法は,労働基準監督機関である労働基準主管局,都道府県労働局及び労働基準監督署に労働基準監督官を置くとし(労基法97条,労働)基準監督官は,事業場,寄宿舎その他の附属建設物に臨検し,帳簿及び書類の提出を求め,又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行うことができるとし(労基法101条1項,労働基準監督官は,労基法違反の罪に)ついて,刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行うとし(労基法102条,労働者を就業させる事業の附属寄宿舎が,安全及び衛生に関し定)められた基準に反する場合においては,行政官庁は,使用者に対して,その全部又は一部の使用の停止,変更その他必要な事項を命ずることができるとし(労基法96条の3第1項,労働基準監督官は,労基法を施行す)るため必要があると認めるときは,使用者又は労働者に対し,必要な事項を報告させ,又は出頭を命ずることができるとしている(労基法104条の2第2項。 )また,安衛法は,労働基準監督官は,安衛法を施行するため必要があると認めるときは,事業場に立ち入り,関係者に質問し,帳簿,書類その他の物件を検査し,若しくは作業環境測定を行い,又は検査に必要な限度において無償で製品,原材料若しくは器具を収去することができるとし(安衛法91条1項,労働基準監督官は,安衛法の規定に違反する罪につい),(),て刑事訴訟法の規定による司法警察員の職務を行うとし安衛法92条 都道府県労働局長又は労働基準監督署長は,安衛法に違反する一定の事実,,,があるときはその違反した事業者等に対し作業の全部又は一部の停止建設物等の全部又は一部の使用の停止又は変更その他労働災害を防止するため必要な事項を命ずることができるとし(安衛法9 の事実,,,があるときはその違反した事業者等に対し作業の全部又は一部の停止建設物等の全部又は一部の使用の停止又は変更その他労働災害を防止するため必要な事項を命ずることができるとし(安衛法98条1項,都道府),,県労働局長又は労働基準監督署長は労働災害発生の急迫した危険がありかつ,緊急の必要があるときは,必要な限度において,事業者に対し,作業の全部又は一部の一時停止,建設物等の全部又は一部の使用の一時停止その他当該労働災害を防止するため必要な応急の措置を講ずることを命ずることができるとしている(安衛法99条1項。 )イこのように,労働者の労働条件の確保及び向上,労働者の安全及び健康の確保等を目的として,労働基準監督官等には,司法上の権限及び行政上の権限を行使することが認められている。 そして,上記司法上の権限及び行政上の権限を行使する際の基本的な考え方や業務の処理要領を示した上で,その具体的な基準,違反の態様,違反の態様ごとに付される番号等を一体として定めた運用基準として,それぞれ,司法処理基準及び使用停止等処分基準が定められている。 ,,(3)アところで労働基準監督機関による是正勧告が効果的に機能するのは司法処理に基づく刑事罰及び行政処分である使用停止等命令の存在により,威嚇的効果が生じるからであると解される。そうであるとすると,司法処理基準の内容が公にされ,司法処理基準においてどのような違反事実が司法処理の対象外とされているのかが明らかとなれば,当該違反事実については刑事罰による威嚇的効果が減少するため,当該違反事実を未然に 防止することが困難になるおそれがあるということができる。一方,司法処理基準においてどのような違反事実が司法処理の対象とされているのかが明らかとなれば,事業所等は,司法処理を免れるべく 未然に 防止することが困難になるおそれがあるということができる。一方,司法処理基準においてどのような違反事実が司法処理の対象とされているのかが明らかとなれば,事業所等は,司法処理を免れるべく,労働基準監督機関の臨検監督に当たり,当該違反事実に関する証拠を重点的に隠ぺいすることが可能になるため,当該違反事実の発見が困難になるおそれがあるということができる。 そうすると,司法処理基準の内容を明らかにすると,犯罪の予防,鎮圧その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるというべきである。 イそして,前記認定事実のとおり,監督復命書の「違反法条項・指導事項」,等欄に記載された事項が司法処理基準に該当すると判断された場合には「重措置内容」欄に「甲交付(司法処理基準該当」と「基準番号」欄に),司法処理基準に該当する番号が,それぞれ記録されることからすると,監督復命書の「重措置内容」欄に「甲交付(司法処理基準該当」との記載)があるか否か,及び「基準番号」欄に司法処理基準に該当する番号が記録されているか否かを明らかにすれば,当該各欄に対応する「違反法条項・指導事項等」欄に記録された事項が司法処理基準に該当するか否かが明らかになる。 そうすると,監督復命書の「重措置内容」欄及び「基準番号」欄の内容を明らかにすれば,司法処理基準の内容を明らかにするのと同様に,司法処理基準においてどのような違反事実が司法処理の対象とされ,又は対象外とされているのかが明らかになり,司法処理の対象外とされている違反 事実については,刑事罰による威嚇的効果が減少することにより違反事実を未然に防止することが困難になるおそれがあり,また,司法処理の対象とされている違反事実については,当該違反事実に関する証拠を重点的に隠ぺいすることが可能になること 効果が減少することにより違反事実を未然に防止することが困難になるおそれがあり,また,司法処理の対象とされている違反事実については,当該違反事実に関する証拠を重点的に隠ぺいすることが可能になることにより当該違反事実の発見が困難になるおそれがあるということができる。 (4)したがって,千葉労働局長が監督復命書の「重措置内容」欄及び「基準番号」欄に記録された情報の内容を開示すると,犯罪の予防,鎮圧その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると判断したことにつき,裁量権の逸脱又は濫用があったということはできないから,本件一部不開示決定のうち「重措置内容」欄及び「基準番号」欄に記録された情報が,,。 情報公開法5条4号に該当し不開示情報に当たるとした部分は適法である 情報公開法5条6号イ該当性について(1)情報公開法5条6号は,国の機関又は地方公共団体等が行う事務又は事業に関する情報を公にすることによって,同号イからホまでに例示されたものを含め,およそ当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすことが予測される場合において,当該事務又は事業の性質に照らして,当該事務又は事業に関する情報を公にすることによる利益と支障とを比較衡量した結果,当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれが,公にすることの公益性を考慮しても,なお看過し得ない程度のものであり,かつ,それが,単な,,る抽象的な可能性にとどまらず具体的なおそれであると認められるときは当該事務又は事業に関する情報を開示しないことができることとしたものと解するのが相当である。 (2)ア前記2(3)アのとおり,労働基準監督機関による是正勧告が効果的に機能するのは,司法処理に基づく刑事罰及び行政処分である使用停止等命令の存在により,威嚇的効果が生じるからである る。 (2)ア前記2(3)アのとおり,労働基準監督機関による是正勧告が効果的に機能するのは,司法処理に基づく刑事罰及び行政処分である使用停止等命令の存在により,威嚇的効果が生じるからであると考えられる。そうであるとすると,使用停止等処分基準の内容が公にされ,使用停止等処分基準においてどのような違反事実が使用停止等命令の対象とされ,又は対象外とされているのかが明らかとなると,使用停止等命令の対象外とされている違反事実については行政処分による威嚇的効果が減少するため,当該違反事実を未然に防止することが困難になるおそれがあり,また,使用停止等命令の対象とされている違反事実については当該違反事実に関する証拠を重点的に隠ぺいすることが可能になるため,当該違反事実の発見が困難になるおそれがあるということについては,司法処理基準が公にされた場合と同様である。 そうすると,使用停止等処分基準の内容を明らかにすると,検査及び取締りに係る事務に関し,正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし,若しくはその発見を困難にするおそれがあるということができる。 イそして,前記認定事実のとおり,監督復命書の「違反法条項・指導事項等」欄に記録された事項が使用停止等処分基準に該当する場合には「重,措置内容」欄にその旨が「基準番号」欄に使用停止等処分基準に該当す,る番号が,それぞれ記録され,さらに,使用停止等命令を行うに当たり期限を設けず是正を確認するまでの間効力が継続する場合には「確認まで,の間」欄にその旨のチェックがされることからすると,監督復命書の「重 措置内容」欄に使用停止等処分基準に該当する旨の記録があるか否か,及び「基準番号」欄に使用停止等処分基準に該当する番号が記録されている,「」か否かを明らかにす らすると,監督復命書の「重 措置内容」欄に使用停止等処分基準に該当する旨の記録があるか否か,及び「基準番号」欄に使用停止等処分基準に該当する番号が記録されている,「」か否かを明らかにすれば当該各欄に対応する違反法条項・指導事項等欄に記録された事項が使用停止等処分基準に該当するか否かが明らかになり,また「確認までの間」欄に,使用停止等命令を行うに当たり期限を,設けず是正を確認するまでの間効力が継続する旨のチェックがあることを明らかにすれば,当該「確認までの間」欄に対応する「違反法条項・指導事項等」欄に記録された事項が使用停止等処分基準に該当することが明らかになる。 そうすると,監督復命書の「重措置内容」欄「基準番号」欄及び「確,認までの間」欄に記録された情報の内容を明らかにすれば,使用停止等処分基準の内容を明らかにするのと同様に,使用停止等処分基準においてどのような違反事実が行政処分の対象とされ,又は対象外とされているのかが明らかになり,使用停止等命令の対象外とされている違反事実については,行政処分による威嚇的効果が減少することにより違反事実を未然に防止することが困難になるおそれがあり,また,使用停止等命令の対象とされている違反事実については,当該違反事実に関する証拠を重点的に隠ぺいすることが可能になることにより当該違反事実の発見が困難になるおそれがあるということができる。 (3)したがって,監督復命書の「重措置内容」欄「基準番号」欄及び「確認,までの間」欄に記録された情報の内容を開示すると,検査及び取締りに係る事務に関し,正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な 行為を容易にし,若しくはその発見を困難にするおそれがあるということができる。そして,当該おそれは,上記内容を公にすることの公益性を考 ,正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な 行為を容易にし,若しくはその発見を困難にするおそれがあるということができる。そして,当該おそれは,上記内容を公にすることの公益性を考慮しても,なお看過し得ない程度のものであり,かつ,単なる抽象的な可能性にとどまらず,具体的なおそれであると認められるというべきであるから,本件一部不開示決定のうち「重措置内容」欄「基準番号」欄及び「確認まで,,の間」欄に記録された情報が情報公開法5条6号イに該当し,不開示情報に当たるとした部分は適法である。 原告は,別件において監督復命書の写しの「重措置内容」欄「基準番号」,欄及び「確認までの間」欄に記録された情報の開示を受けたが,上記情報が開示されたことによって,犯罪の予防及び国の機関が行う事務の適正な遂行に支,。 障を及ぼしたことはないから上記情報は不開示情報に当たらない旨主張するしかしながら,別件における上記情報の開示が犯罪の予防及び国の機関が行う事務の適正な遂行に支障を及ぼしていないということができるかどうかはさておき,仮に,別件における開示によっても実際には支障が生じなかったとしても,既に検討したところによれば,上記各欄に記録された情報の開示によって犯罪の予防及び国の機関が行う事務の適正な遂行等に支障を及ぼすおそれがあるということができるから,原告の上記主張は失当である。 第4 結論 よって,原告の請求は理由がないから,これを棄却することとし,訴訟費用の負担につき,行政事件訴訟法7条,民訴法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部 裁判長裁判官杉原則彦裁判官松下貴彦裁判官島田尚人 東京地方裁判所民事第38部 裁判長裁判官杉原則彦 裁判官松下貴彦 裁判官島田尚人
▼ クリックして全文を表示