主文 1 1審原告の1審被告知事,被控訴人A,被控訴人B及び被控訴人Cに対する各控訴を棄却する。 2(1) 原判決主文第1項中,1審被告知事が被控訴人正木組破産管財人に対し金7846万6500円の支払を求める請求を怠る事実が違法であることを確認した部分についての1審被告知事の控訴を棄却する。 (2)ア 1審被告知事の控訴に基づき,原判決主文第1項中,1審被告知事が1審被告D破産管財人に対し金7846万6500円の支払を求める請求を怠る事実が違法であることを確認した部分を取り消す。 イ上記取消部分に係る1審原告の請求を棄却する。 3 被控訴人正木組破産管財人及び1審被告D破産管財人各自に対し徳島県が金1億1078万9000円の破産債権を有することの確定を求める1審原告の訴え(当審における訴えの交換的変更後のもの)を却下する。 (なお,原判決主文第2項は,当審における訴えの交換的変更により失効した。) 4 訴訟費用は,1審原告と1審被告知事との間では,第1審,第2審を通じて各自の負担とし,1審原告と被控訴人A,被控訴人B及び被控訴人C,被控訴人正木組破産管財人及び1審被告D破産管財人との間では,当審における訴訟費用を1審原告の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 1審原告(1) 原判決中,1審被告知事,被控訴人A,被控訴人B,被控訴人Cに関する部分を次のとおり変更する。 ア 1審被告知事が,被控訴人A,被控訴人B,被控訴人C,被控訴人正木組破産管財人及び1審被告D破産管財人に対し,金1億1078万9000円の支払を求める請求を怠る事実が違法であることを確認する。 イ被控訴人A,被控訴人B及び被控訴人Cは,各自,徳島県に対し,金1億1078万9000円及びこれに対する被控訴人A及び被控訴人Bについては平成12 める請求を怠る事実が違法であることを確認する。 イ被控訴人A,被控訴人B及び被控訴人Cは,各自,徳島県に対し,金1億1078万9000円及びこれに対する被控訴人A及び被控訴人Bについては平成12年2月2日から,被控訴人Cについては同月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2)(訴えの交換的変更後の請求)被控訴人正木組破産管財人及び1審被告D破産管財人各自に対し,徳島県が金1億1078万9000円の破産債権を有することを確定する。 2 1審被告知事(1) 原判決主文第1項(1審被告知事の怠る事実の違法確認請求を認容した部分)を取り消す。 (2) 上記取消部分に係る1審原告の請求を棄却する。 3 1審被告D破産管財人(当審における訴えの交換的変更後の請求に対する答弁)1審原告の1審被告D破産管財人に対する請求を棄却する。 第2 事案の概要等 1 事案の概要本件は,徳島県(以下「県」という。)の住民である1審原告が,県の実施した原判決添付の別紙公共工事目録1ないし8記載の公共工事の指名競争入札について,Dが経営を支配する指名業者である株式会社正木組(以下「正木組」という。)が他の指名業者と談合して不当に高額な価格で落札したことにより,県は,損害・損失を被ったから,正木組,D,県知事の職にあった被控訴人A,県土木部長の職にあった被控訴人B及び県農林水産部長の職にあった被控訴人Cに対して不法行為に基づく損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を有しているにもかかわらず,1審被告知事は,その行使を違法に怠っているとして,地方自治法242条の2第1項(平成14年法律第4号による改正前のもの。以下同じ。)3号に基づき,1審被告知事との間で,その怠る事実の違法確認を求めるとともに,同項4号に基づき,県に代位して,怠る事実の相手方で 2条の2第1項(平成14年法律第4号による改正前のもの。以下同じ。)3号に基づき,1審被告知事との間で,その怠る事実の違法確認を求めるとともに,同項4号に基づき,県に代位して,怠る事実の相手方である前記正木組,D,被控訴人A,被控訴人B及び被控訴人Cの5名に対し,県に損害を賠償し又は不当利得を返還するよう求めた事案である。 2 訴訟の経緯原審係属中の平成14年1月15日に正木組が,同年3月29日にDがそれぞれ破産宣告を受けたので,1審原告は,上記損害賠償請求権につき破産債権として届出をし,これに対し,被控訴人正木組破産管財人及び1審被告D破産管財人が異議を述べ,1審原告の受継申立てにより訴訟手続を受継した。 原審は,①1審被告知事に対する請求を,1審被告知事が被控訴人正木組破産管財人及び1審被告D破産管財人に対し,7846万6500円の支払を求める請求を怠る事実が違法であることを確認することを求める限度で認容し,その余(被控訴人A,被控訴人B及び被控訴人Cに対し1億1078万9000円の支払を求める請求を怠る事実並びに被控訴人正木組破産管財人及び1審被告D破産管財人に対し3232万2500円〔1億1078万9000円から7846万6500円を差し引いた額〕の支払を求める請求を怠る事実が違法であることの確認を求める請求)を棄却し,②被控訴人A,被控訴人B及び被控訴人Cに対する請求を棄却し,③被控訴人正木組破産管財人及び1審被告D破産管財人に対する請求を,給付請求のまま,各自7846万6500円の支払を求める限度で認容し,その余を棄却した。 そこで,1審原告が上記第1の1記載の判決(ただし,同1(2)については,訴えの交換的変更前の給付請求)を,1審被告知事が同2記載の判決を,1審被告D破産管財人が1審被告D破産管財人敗訴部分の取 そこで,1審原告が上記第1の1記載の判決(ただし,同1(2)については,訴えの交換的変更前の給付請求)を,1審被告知事が同2記載の判決を,1審被告D破産管財人が1審被告D破産管財人敗訴部分の取消し・請求棄却の判決を求めて,それぞれ控訴した(被控訴人正木組破産管財人は控訴していない。)。 1審原告は,当審において,被控訴人正木組破産管財人及び1審被告D破産管財人に対する訴えを,上記第1の1(2)記載のとおり破産債権確定訴訟に交換的に変更した。 3 前提事実及び争点次のとおり補正するほか,原判決「事実及び理由」欄第2の1及び2記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決4頁6行目の次に改行して次のとおり加える。 「そして,1審原告が,破産債権者として,1億1078万9000円の損害賠償請求権を正木組及びDに対する破産債権としてそれぞれ届け出たところ,被控訴人正木組破産管財人及び1審被告D破産管財人は,いずれも,全額につき異議を述べた。そこで,1審原告の受継の申立てにより,被控訴人正木組破産管財人及び1審被告D破産管財人が本件訴訟手続を受継した。」(2) 同17行目から18行目の「住民監査請求をしたが」の次に「(その内容の詳細は,本判決後記第3の1(1)において説示するとおり)」を加える。 (3) 同7頁9行目の「脇町土木事務所等」を「脇町土木事務所長等」に改める。 4 当審における新主張(1) 当審において1審被告知事が追加した新主張1審原告が平成11年10月25日にした住民監査請求は,正木組の建設業の許可及び更新は違法であるから,平成2年度から平成9年度の間にされた県発注工事に関する契約は無効である(地方自治法242条1項所定の「違法若しくは不当な契約の締結」),また,同社が平成10年度に本件工事を県から受注したの るから,平成2年度から平成9年度の間にされた県発注工事に関する契約は無効である(地方自治法242条1項所定の「違法若しくは不当な契約の締結」),また,同社が平成10年度に本件工事を県から受注したのは談合による入札の結果であるから,落札価格と最低制限価格との差額を正木組に不当利得させたものであり,関係職員と正木組は県に賠償すべきである(同項所定の「違法若しくは不当な公金の支出」),というものである。監査請求が平成11年12月22日ころに棄却された後,1審原告が平成12年1月19日に提起した本件訴訟の訴状における請求の趣旨は,「1 1審被告知事が正木組との間で本件工事についての請負契約を締結したことが違法であることを確認する。 2 被控訴人A,被控訴人B,被控訴人C,正木組及びDは,各自,県に対し,1億1078万9000円及びこれに対する訴状送達の日から年5分の割合による金員を支払え。」というものであり,平成15年3月13日付請求の趣旨等変更申請書(同年4月25日の原審第10回口頭弁論期日において陳述)に至って,請求の趣旨第1項を上記第1の1(1)ア記載のとおりの怠る事実の違法確認請求に変更した。 しかし,1審原告がした住民監査請求においては,「怠る事実」としての監査請求は全くされていないから,1審原告の1審被告知事に対する怠る事実の違法確認請求に係る訴えは,監査請求を経ていないものとして,不適法却下されるべきである。 仮に1審原告がした監査請求に「怠る事実」としての監査請求も含まれていると解されるとしても,地方自治法242条の2第1項4号の代位請求(請求の趣旨第2項)と請求の趣旨変更後の同項3号の怠る事実の違法確認請求(請求の趣旨第1項)とは,当事者を異にする別個独立の請求であるから,出訴期間内に4号請求をしているからといって,3号 位請求(請求の趣旨第2項)と請求の趣旨変更後の同項3号の怠る事実の違法確認請求(請求の趣旨第1項)とは,当事者を異にする別個独立の請求であるから,出訴期間内に4号請求をしているからといって,3号請求についての同条2項の出訴期間の制限(監査結果の通知があった日から30日)を免れることはできない。したがって,平成15年3月13日に至って初めてされた1審被告知事に対する怠る事実の違法確認請求に係る訴えは,出訴期間経過後の訴えとして,不適法却下されるべきである。 (2) 上記新主張に対する1審原告の反論1審原告がした住民監査請求は,平成10年度の県発注の本件工事について談合の事実を指摘して,正木組に対する不当利得返還ないし損害賠償を,1審被告知事がするように求めるものであることは明らかであり,怠る事実としても監査請求をしていることは明らかである。 また,訴状における請求の趣旨は,1審被告知事が違法な契約をし,県に損害を与えていることを前提とした請求であり,請求の趣旨の訂正も許されるものである。 第3 当裁判所の判断 1 当審において1審被告知事が追加した新主張について(1) まず,1審被告知事は,上記第2の4(1)のとおり,1審原告がした住民監査請求においては,「怠る事実」としての監査請求は全くされていないから,1審原告の1審被告知事に対する怠る事実の違法確認請求に係る訴えは,監査請求を経ていないものとして,不適法却下されるべきである,と主張する。 1審原告がした住民監査請求は,甲1(徳島県職員措置請求書)によれば,①正木組に対する建設業法に基づく許可は,同法,地方自治法に違反するとして,1審被告知事に対し,建設業法,地方自治法違反であることの確認と同許可の取消しを求めるとともに,②正木組は,平成10年度において,談合により本件工事外1件 く許可は,同法,地方自治法に違反するとして,1審被告知事に対し,建設業法,地方自治法違反であることの確認と同許可の取消しを求めるとともに,②正木組は,平成10年度において,談合により本件工事外1件の計9件の工事を県から受注したものであるから,その請負契約は違法,無効であり(代金合計4億4518万1100円),少なくとも本件工事に係る入札は,明らかに談合によるものであり,1審被告知事らは,落札価格と最低制限価格との差額である1億1078万9000円(土木部担当分5995万円,農林水産部担当分5083万9000円)を正木組に不当利得させたものであるとして,知事個人(被控訴人A),土木部長ら関係職員,正木組において,上記4億4518万1100円又は1億1078万9000円を県に補填するよう求める,というものであることが認められ,②の監査請求は,談合により本件工事を落札した正木組に不当利得させた1審被告知事らの行為が違法,不当であるとして,知事個人(被控訴人A),土木部長ら関係職員,正木組に県の被った損害を補填させるための必要な措置を講ずべきことを請求するものであり,したがって,県,すなわちその代表者である1審被告知事が,県の被った損害の補填を知事個人(被控訴人A),土木部長ら関係職員,正木組に対して請求しないこと(怠っていること)を是正するよう求めるものであるから,上記第1の1(1)アの「1審被告知事が,被控訴人A,被控訴人B,被控訴人C,被控訴人正木組破産管財人及び1審被告D破産管財人に対し,1億1078万9000円の支払を求める請求を怠る事実が違法であることを確認する。」という監査請求をその対象として含むものと解するのが相当である(最高裁昭和62年2月20日第2小法廷判決・民集41巻1号122頁参照)。 よって,上記第1の1(1)アの請 違法であることを確認する。」という監査請求をその対象として含むものと解するのが相当である(最高裁昭和62年2月20日第2小法廷判決・民集41巻1号122頁参照)。 よって,上記第1の1(1)アの請求に係る訴えは,適法な監査請求を経たものというべきである。 (2) 1審被告知事は,仮に1審原告がした監査請求に「怠る事実」としての監査請求も含まれていると解されるとしても,地方自治法242条の2第1項4号の代位請求(請求の趣旨第2項の請求)と請求の趣旨変更後の同項3号の怠る事実の違法確認請求(請求の趣旨第1項の請求)とは,当事者を異にする別個独立の請求であるから,出訴期間内に4号請求をしているからといって,3号請求についての同条2項の出訴期間の制限(監査結果の通知があった日から30日)を免れることはできず,したがって,平成15年3月13日に至って初めてされた1審被告知事に対する怠る事実の違法確認請求に係る訴えは,出訴期間経過後の訴えとして,不適法却下されるべきである,と主張する。 記録によれば,1審原告が平成12年1月19日提起した当初の訴状における請求の趣旨は,「1 1審被告知事は,Dが支配し,事実上法人格を同一とする正木組が,建設業法,商業登記法等を潜脱して建設業を営んでいるのに,建設業の許可の更新及び経営事項審査等において正当な審査をせず,建設業を営む許可を更新して県発注工事に参加させ,正木組と別紙の契約(本件工事の請負契約)をなしたことの違法を確認する。 2 被控訴人A,被控訴人B,被控訴人C,正木組及びDは,各自,県に対し,1億1078万9000円(落札価格と最低制限価格との差額の合計)及びこれに対する訴状送達の日から年5分の割合による金員を支払え。」というものであり,1審原告は,平成15年3月13日付請求の趣旨等変更申請書(同 9000円(落札価格と最低制限価格との差額の合計)及びこれに対する訴状送達の日から年5分の割合による金員を支払え。」というものであり,1審原告は,平成15年3月13日付請求の趣旨等変更申請書(同年4月25日の原審第10回口頭弁論期日において陳述)に至って,請求の趣旨第1項を上記第1の1(1)ア記載のとおりの怠る事実の違法確認請求に変更したことが認められる。 訴状の請求の趣旨第2項の代位請求と,請求の趣旨変更後の第1項の怠る事実の違法確認請求とは,本件に即していえば,前者が知事個人を被告とするものであり,後者が執行機関としての1審被告知事を被告とするものであって,当事者を異にすることは1審被告知事主張のとおりであるが,1審原告は,訴状の請求の趣旨第2項ではなく第1項を,怠る事実の違法確認請求に変更したものであり,その訴状の請求の趣旨第1項において,執行機関としての1審被告知事を被告として,本件工事について正木組との間で契約を締結したことの違法確認を求めていて,本件工事についての契約によってもたらされた結果(究極的には,正木組が落札価格と最低制限価格との差額を不当に利得している状態)の是正を求めていたものであり,しかも,訴状の請求の趣旨第2項の代位請求と請求の趣旨変更後の第1項の怠る事実の違法確認請求とは,県が,地方自治法242条の2第1項4号にいう「相手方」に対して有する請求権を行使しない場合に,県民が,代位訴訟の形式により直接請求権を行使するか,県の代表者である県知事が請求権を行使しないことが違法であることの確認を求めることにより知事による請求権の行使を間接的に促すかの違いはあるものの,いずれも,県(代表者である県知事)が請求権の行使を怠っている状態を解消し,県の損害を防止,回復するという同じ目的に立つものであるから,訴状の請求の 請求権の行使を間接的に促すかの違いはあるものの,いずれも,県(代表者である県知事)が請求権の行使を怠っている状態を解消し,県の損害を防止,回復するという同じ目的に立つものであるから,訴状の請求の趣旨の記載全体を考察すれば,出訴期間の関係においては,請求の趣旨変更後の上記第1の1(1)ア記載のとおりの怠る事実の違法確認請求に係る訴えも,出訴期間内に提起された当初の訴えの提起の時に提起されたものと同視して出訴期間の遵守に欠けるところがないと解すべき特段の事情があるというべきである。 (3) したがって,当審において1審被告知事が追加した新主張は,いずれも採用することができない。 2 1審原告の当審における訴えの交換的変更後の被控訴人正木組破産管財人及び1審被告D破産管財人に対する各請求(上記第1の1(2)の請求)に係る訴えについて記録及び前提事実(原判決「事実及び理由」欄第2の1)によれば,1審原告は,当初,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,県に代位して,正木組及びDに対し,損害賠償又は不当利得返還として,県に1億1078万9000円及びこれに対する平成12年2月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう求める訴えを提起したが,正木組が原審係属中の平成14年1月15日に,Dが同年3月29日に,徳島地方裁判所脇町支部においてそれぞれ破産宣告を受け,その破産管財人として,いずれも弁護士大道晋が選任されたこと,1審原告は,破産債権者として,上記1億1078万9000円の損害賠償請求権を正木組及びDに対する破産債権としてそれぞれ届け出たところ,被控訴人正木組破産管財人及び1審被告D破産管財人が,いずれも全額につき異議を述べたので,1審原告が受継の申立てをし,被控訴人正木組破産管財人及び1審被告D破産管財人が本件訴訟手続を け出たところ,被控訴人正木組破産管財人及び1審被告D破産管財人が,いずれも全額につき異議を述べたので,1審原告が受継の申立てをし,被控訴人正木組破産管財人及び1審被告D破産管財人が本件訴訟手続を受継したこと,1審原告は,被控訴人正木組破産管財人及び1審被告D破産管財人に対する訴えにつき,請求の趣旨を変更することなく,給付請求のまま,7846万6500円及び前同様の遅延損害金の支払を求める限度で勝訴の原判決を得たが,当審において,訴えを,上記第1の1(2)記載のとおり,「被控訴人正木組破産管財人及び1審被告D破産管財人各自に対し,徳島県が1億1078万9000円の破産債権を有することを確定する。」との破産債権確定訴訟に変更したことが認められる。 しかしながら,地方自治法242条の2第1項4号は,本件に即していえば,怠る事実の相手方(正木組及びD)に対して県が有する損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を県民が代位行使するという形式によって,県民が,直接当該相手方に対して県に金員を支払うよう求める訴訟の類型を特に認めたものにとどまり,上記類型の訴訟を提起すること以外に,債権者代位請求のように,県民が県に代位して,県の有する権利を代位行使することを認めたものではない。したがって,怠る事実の相手方が破産宣告を受けた場合に,県民が,同号を根拠として,県が怠る事実の相手方に対して有する破産債権を破産管財人に届け出ることは認められないのであり,かかる届出に対して破産管財人が異議を述べた場合に,破産管財人を被告として破産債権確定訴訟を提起ないし追行することが認められるものでもない。そして,他に,県民が県に代位して県の有する破産債権の届出及びこれに続く破産債権確定訴訟の提起ないし追行をなし得ることを認めた法令は存しない。 したがって,1審原告の当審に 認められるものでもない。そして,他に,県民が県に代位して県の有する破産債権の届出及びこれに続く破産債権確定訴訟の提起ないし追行をなし得ることを認めた法令は存しない。 したがって,1審原告の当審における訴えの交換的変更後の被控訴人正木組破産管財人及び1審被告D破産管財人に対する各請求(上記第1の1(2)の請求)に係る訴えは,不適法というほかはない(この場合には,損害の防止,回復は,同項3号の怠る事実の違法確認請求によるほかはない。)。 3 争点①(被控訴人職員の被告適格)及び争点②(談合の有無)について原判決「事実及び理由」欄第3の1及び2記載のとおりであるから,これを引用する。ただし,原判決11頁25行目の「認めることができる」の次に「(本件入札について,誰と誰が,いつ,どこで,どのような談合をしたのかは,本件全証拠によるも明らかでないが,談合の事実を認定するには,必ずしも,上記のような,誰と誰が,いつ,どこで,どのような談合をしたのかという事実を認定しなければならない,という理由はなく,他の事実から談合をしたことを推認することができるのであれば談合の事実を認定することが許される〔というより,認定すべきである。〕ことは当然のことであり,本件においては,以上に説示したところから,優に談合の事実を認定することができるのである。上記認定に反する証拠〔乙イ11ないし14等〕は採用することができない。)」を加える。 4 争点③(正木組及びDの責任)について(1) 談合行為は,競争入札の公正を害する違法行為であるから,正木組は,不法行為に基づき,本件入札に係る談合によって県が被った損害を賠償する責任を負うというべきである。 (2) しかしながら,Dは,前提事実(原判決「事実及び理由」欄第2の1(1)エ)のとおり,長年にわたって県議会議員の職にあ 札に係る談合によって県が被った損害を賠償する責任を負うというべきである。 (2) しかしながら,Dは,前提事実(原判決「事実及び理由」欄第2の1(1)エ)のとおり,長年にわたって県議会議員の職にあり,かつ,妻とともに正木組の発行済株式総数5万株の5分の4(2万株ずつ)を保有していたものであるが(取締役に就任したとの事実は認められない。),これらの事実だけから,1審原告の主張するように,Dは正木組の本件工事の受注につき正木組と実質的に同一の人格を有していたということはできないし,本件入札に係る談合について,Dが正木組の代表者又は入札担当者と共謀していたものと推認することもできず,他に,Dを正木組と実質的に同一の人格と認めるべき事情やDが正木組の代表者又は入札担当者と共謀していたとの事実を認めるに足りる証拠はない。 したがって,Dは,本件入札に係る談合について,不法行為責任を負うということはできない。 5 争点④(被控訴人A及び被控訴人職員の責任)及び争点⑤(損害額)について原判決「事実及び理由」欄第3の4及び5記載のとおりであるから,これを引用する(ただし,原判決12頁18行目,20行目,23行目の各「施工」をいずれも「施行」に改め,23行目の「請負契約」の次に「の締結」を加える。)。 6 1審被告知事の怠る事実の違法性以上によれば,県は,本件入札に係る談合について,正木組に対して不法行為に基づく損害賠償請求権を有していたものであり,1審被告知事としては,地方自治法240条2項,同法施行令171条,171条の2第3号に従い,正木組に対して,訴訟等により損害賠償請求をすべき義務があったものであり,正木組が破産宣告を受けた後は,上記損害賠償請求権を破産債権として届け出るべき義務があるというべきである。しかるに,1審被告知事は,上記損害賠 訴訟等により損害賠償請求をすべき義務があったものであり,正木組が破産宣告を受けた後は,上記損害賠償請求権を破産債権として届け出るべき義務があるというべきである。しかるに,1審被告知事は,上記損害賠償請求権の行使を怠っており,そのことにつき合理的理由があることの主張立証がないから,その怠る事実は違法というべきである。 1審被告知事は,本件において,応札結果の数字だけから談合を認定するのは不可能であり,原判決も,Eの証言があったからこそ,談合を認定することが可能になったというべきであり,したがって,1審原告の監査請求時点においては,県の正木組らに対する損害賠償請求権は理論的,客観的には存在したとしても,現実にその存在を認識することは不可能であり,これを管理することもできず,違法,不当に管理を怠る事実は存在しなかったから,1審被告知事が違法に上記損害賠償請求権の行使を怠っているとはいえない旨主張するが(控訴理由書),Eの証言が重要であるとしても,Eの証言は,平成13年6月1日の原審第6回口頭弁論期日においてされているのであり,それにもかかわらず,その後も長期間にわたって,1審被告知事は上記損害賠償請求権を行使していないのであり,そもそも,地方自治法242条の2第1項4号の執行機関に対する怠る事実の違法確認請求は,本件に即していえば,知事による請求権の行使を間接的に促すことにより県の損害を防止,回復することを目的とするものであり,したがって,口頭弁論終結時において,怠る事実があれば足りるから(逆に,過去に怠る事実があったとしても,口頭弁論終結時において怠る状態が解消されていれば,訴えは却下されることになる。),上記主張は採用することができない。 第4 結論以上によれば,1審原告の本訴請求ないし訴えについての当裁判所の判断は,結論として次 いて怠る状態が解消されていれば,訴えは却下されることになる。),上記主張は採用することができない。 第4 結論以上によれば,1審原告の本訴請求ないし訴えについての当裁判所の判断は,結論として次のとおりとなる。 1 1審被告知事が被控訴人A,被控訴人B及び被控訴人Cに対し1億1078万9000円の支払を求める請求を怠る事実及び被控訴人正木組破産管財人及び1審被告D破産管財人に対し3232万2500円(1億1078万9000円から7846万6500円を差し引いた額)の支払を求める請求を怠る事実が違法であることの確認を求める請求,並びに被控訴人A,被控訴人B及び被控訴人Cに対する請求はいずれも理由がない(したがって,各請求を棄却した原判決についての1審原告の1審被告知事,被控訴人A,被控訴人B及び被控訴人Cに対する各控訴は理由がない。)。 2(1) 1審被告知事が被控訴人正木組破産管財人に対し7846万6500円の支払を求める請求を怠る事実が違法であることの確認を求める請求は理由がある(したがって,原判決主文第1項中,同請求を認容した部分についての1審被告知事の控訴は理由がない。)。 (2) 1審被告知事が1審被告D破産管財人に対し7846万6500円の支払を求める請求を怠る事実が違法であることの確認を求める請求は理由がない(したがって,1審被告知事の控訴に基づき,原判決主文第1項中,同請求を認容した部分を取り消した上,同請求を棄却すべきである。)。 3 被控訴人正木組破産管財人及び1審被告D破産管財人各自に対し徳島県が1億1078万9000円の破産債権を有することの確定を求める1審原告の訴え(当審における訴えの交換的変更後のもの)は,不適法であるから却下すべきである。 (なお,原判決主文第2項は,当審における訴えの交換的変更により失効し 産債権を有することの確定を求める1審原告の訴え(当審における訴えの交換的変更後のもの)は,不適法であるから却下すべきである。 (なお,原判決主文第2項は,当審における訴えの交換的変更により失効した。) 4 よって,上記1ないし3に説示したところに従い,主文のとおり判決する。 高松高等裁判所第2部裁判長裁判官水野武裁判官朝日貴浩裁判官豊永多門は転補につき署名押印することができない。 裁判長裁判官水野武
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