平成13(ワ)802 損害賠償請求

裁判年月日・裁判所
平成14年10月10日 岡山地方裁判所
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判決文本文10,813 文字)

主文 原告らの請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,原告らの負担とする。 事実及び理由 第一請求一被告らは,連帯して各原告に対し,各金1582万0980円及びこれに対する平成11年11月14日から支払済みまで年5分の割合による金員をそれぞれ支払え。 二訴訟費用は被告らの負担とする。 三第一項につき仮執行宣言第二事案の概要本件は,訴外亡A(以下「被害者」という)運転の自動二輪車が被告B運。 転の大型貨物自動車と国道を同一方向に進行中,対向車線で右折待ちのため停止していた被告C運転の普通乗用車が右折して被害者の前方を横切り路外に出た際に,被害者が自動二輪車に急制動をかけて転倒させたため同一方向に進行していたB運転の大型貨物自動車に轢かれて死亡した交通事故に関し,被害者の両親である原告らが,普通乗用車を運転していた被告Cと大型貨物自動車を運転していた被告Bの雇用主である被告宝和運輸株式会社(以下「宝和運輸」という)に対して自賠法3条に基づき,被告Bに対して不法行為に基づきそ。 れぞれ損害賠償と事故当日から民法所定の損害金の支払いを請求した事案である。 一争いのない事実等 本件事故(甲1)(一)日時平成11年11月14日午後3時45分ころ(二)場所岡山県備前市a333番地の1先国道2号線上(三)被害車被害者運転の自動二輪車(岡山や・・・・)(四)加害車被告B運転の大型貨物自動車(福山11う・・・・(以下)「B車」という)。 被告新村運転の普通乗用自動車(岡山33も・・・・(以)下「新村車」という)。 (五)態様被害者が国道左側を直進していたところ,対向車線のC車が右折して道路外に出たため,被害者が衝突を回避する措置をとったが転倒し,同一方向に進行していたB車が左前輪で被害者を轢 )。 (五)態様被害者が国道左側を直進していたところ,対向車線のC車が右折して道路外に出たため,被害者が衝突を回避する措置をとったが転倒し,同一方向に進行していたB車が左前輪で被害者を轢いた。 責任原因被告C及び被告宝和運輸は,加害車両を自己のために運行の用に供するものである。 被害者の死亡及び相続(甲2,甲3,甲5)被害者は,昭和55年6月3日生まれの男性で,本件事故により全身打撲の傷害を受け,事故現場でほぼ即死に近い状態で死亡した。 原告らは,被害者の父母であり被害者に生じた損害賠償請求権を各2分の1の相続分で相続した。 損害填補原告らは,被告らの自賠責保険から合計5608万1800円の損害填補を受けた。 二 争点 被告Cまたは被告宝和運輸は,自賠法3条ただし書の免責の要件を充たすか。被告Bには過失が存在するか。 (被告B及び宝和運輸の主張)被害者は,国道の路側帯と歩道との間の幅70センチメートルの通行余地を相当速い速度で渋滞中の上り車線の車両を左側から追い抜いていた際に,右折中のC車を見て衝突の危険を感じ急制動をかけたために自動二輪車が転倒し,右折車を通過させ前車に追随しようとしていたB車の左前バンパー下付近に被害者が後方から飛び込んだために発生したもので,被害者も被害車もBが直接視認できる範囲に入っておらず,直進中の運転手にとって後方から人が車体の左前部下に飛び込むことは予測可能性がない。 仮にBが車体の左前部下に飛び込んできた被害者に気付き得たとしても,B車は時速20㎞で加速中でありBにとって本件事故の回避可能性はない。 被害者の頸椎には骨折は生じておらず,顎部の骨折は転倒滑走により生じた可能性が高くその後の轢過によって生じた可能性もあり,頸部の損傷も顎部と同じく転倒滑走ないし轢過の際に生じたもの 可能性はない。 被害者の頸椎には骨折は生じておらず,顎部の骨折は転倒滑走により生じた可能性が高くその後の轢過によって生じた可能性もあり,頸部の損傷も顎部と同じく転倒滑走ないし轢過の際に生じたもので,原告主張のようにB車左前バンパーとの衝突により生じたと認定する証拠はなく,B車左前部バンパー下部の損傷は,金属部分との衝突により生じた可能性は少なく,ハンドルグリップ等との衝突の可能性はある。被害者は左側面の巻き込み防止パイプが存在しない左前輪の前から入り込んだものであり,Bが聞いたドーンという音は,衝突音ではなく左前輪が乗り上げた際の落下音である。 従って,被告Bに過失が存在せず,被告宝和運輸は自賠法3条ただし書の免責の要件を充たしている。 (被告Cの主張)C車は,B車が道を譲ってくれようとしてほぼ停止に近い状態になったため,右折を開始して対向車線にゆっくり徐行して左を見て進入したもので,被害車が走行しているのを視認したが距離や速度からそのまま通り抜けたほうが衝突を避けられると判断し,少し加速して道路外の駐車場に進入した。C車が駐車場に進入後,被害者はB車に轢かれ本件事故が発生したもので,C車は被害車と全く接触しておらず,相当の高速で走行していたうえ無理な急制動をかけて自車のバランスを失うという被害者の自動二輪車の操作の不適切に起因して本件事故が発生したもので,C車が右折を開始した時点では,被害車はまだ接近しておらず被害車の進路を妨害したとはいえないし,C車の行き先の路外には駐車場や鮮魚店があり進入車を想定した構造になっていてB車がほぼ停止状態になって進入車両の為の空間をあけているのに被害者が気付かないはずがなく,被害者が仕事に遅れて焦っていたため進入車両があることを予期しながら漫然と進行した結果,C車を発見して一方的に驚き十分距 状態になって進入車両の為の空間をあけているのに被害者が気付かないはずがなく,被害者が仕事に遅れて焦っていたため進入車両があることを予期しながら漫然と進行した結果,C車を発見して一方的に驚き十分距離があるのに急制動をかけてしまい転倒したもので,被告Cには過失は存在しない。 他方,Bは,前方に投げ出された被害者または被害車の発見が可能であったわけで,B車は徐行またはほぼ停止状態の低速であったのだから直ちに停止することで容易に本件事故を防止できたから,Bの過失は大きい。 (原告らの主張)C車は,対向車線を右折横断して道路外に出ようとして被害車の直進進路を妨害したものであり,Cは,対向車線の安全が確認できるまでは右折横断を開始すべきではなかったにもかかわらず,B車が進路を譲ってくれたことに気をとられて右折横断を開始し,被害車の進路に入る前に最徐行または一時停止してその安全を確認すべきであったにもかかわらずこれを怠り,C車が急に進路に出てきたため被害者はやむを得ず急制動をかけたものである。 B車の左前部バンパーに傷が付いており,これは,被害者が路上で上半身を立ち上げた姿勢でヘルメットを着用した頭部と衝突したものであり,被害者に頭蓋骨骨折はなく頸部の骨折があることやBの供述からも窺える。B車の側面には巻き込み防止のパイプがあり,側方や後方からの飛び込みはあり得ない。被害者は急制動をかけておりB車はゼロに近い速度から加速したのであるから,衝突地点には被害者が相当早く到達していたもので,Bは,自車進路前方に被害者が倒れ退避しようと立ち上がりかけていたのであるから,前方を注視して運転し,直ちに急制動もしくは進路変更などの措置をとる注意義務があるにもかかわらず,C車を右折させることしか頭になかったため注意がC車の動向に集中し,進路前方10メートル先 あるから,前方を注視して運転し,直ちに急制動もしくは進路変更などの措置をとる注意義務があるにもかかわらず,C車を右折させることしか頭になかったため注意がC車の動向に集中し,進路前方10メートル先に転倒した被害者を見落として漫然と進行した過失により被害者を轢いて死亡させたものである。 本件事故現場は,交差点でもなく横断帯もない場所で,同一方向へ進行する車両は渋滞のため不規則な速度で進行中であり,被害者には,B車が停車したからといって右折車の存在を予測すべき義務はない。 過失割合(被告B及び宝和運輸の主張)仮に被告Bに過失が認められるとしても,被害者は,左側方から渋滞中の上り車線の車を追い抜き中であり,B車が最徐行したため上り車線の車の速度が低下し停滞したことを知りまたは知りうべきであったから,右折車を予測して減速徐行して進行する注意義務があるにもかかわらず,これを怠り漫然と減速せず相当速い速度で進行した過失により,被害車を転倒させ自動二輪車とともに自らを滑走させてB車の後ろから左下前部に飛び込み本件事故を誘発させたものであるので,Bとの関係では9割以上の過失相殺が相当である。 (被告新村の主張)被害者は,自車右前方を走行していたB車がほぼ停止状態になるまで減速したにもかかわらず,右折車の存在を全く予想せず漫然と高速で走行させているだけでなく,右折するC車の存在を認識しながら無理な急制動をかけたためハンドル操作を誤り自車を転倒させたもので,被害者には本件事故の発生につき9割以上の過失が存在する。 (原告らの主張)被告Bは,右折車に道を譲る場合に右折車からは自車左側方が見えにくいのであるから左側方に注意すべきであり,右折車が安全に自車前を通過し道路外に進行したことを確認するためにも左側方を確認すべきであり,右折車に道を譲るために る場合に右折車からは自車左側方が見えにくいのであるから左側方に注意すべきであり,右折車が安全に自車前を通過し道路外に進行したことを確認するためにも左側方を確認すべきであり,右折車に道を譲るために停止に近い状況を作り右折車の通過後発進加速するのであるから,車両の発進時に必要な車両前部の安全を確認すべきであったのに,Bは安易にC車が通過したと軽信し,左側方・左前部の安全確認を怠ったため,直ちに停止すべきであったのに自車進路左前方に倒れ退避しようと立ち上がりかけていた被害者を轢過したものである。 被告Cは,直進車の進路を妨害し本件事故を生じさせたもので,本件は相互に相手を確認できないかあるいは確認することが困難な場合であり,直進車は自車進路前方の安全確認で足り,右折車は直進車の進路を妨害してはならない義務を負うところ,C車は,B車の物陰から被害車の進路に飛び出したもので過失割合は10割である。 原告らの損害第三当裁判所の判断一前掲各証拠に加えて甲第4号証,第9号証ないし第11号証,第15号証な,,,いし第20号証第22号証ないし第29号証第39号証ないし第40号証第41号証の1及び2,乙イ第3号証,第5号証の1ないし3,原告D,被告C及び被告B各本人尋問の結果並びに弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。 1(一)本件事故現場は,片側1車線の直線の国道で,被害車及びB車が走行していた上り車線の側には縁石で車道と仕切られた歩道があり,歩道の北側は駐車場でその奥に鮮魚店がある。 国道は,外側線とセンターラインの間の上り車線の道幅は3.5m,外側線と歩道との間の道幅は0.7m,歩道の幅は2.3mである。 B車は,長さ11.98m,幅2.49m,高さ3.79mの大型トラ,,,,ックであり前輪の車軸は2軸後 線の道幅は3.5m,外側線と歩道との間の道幅は0.7m,歩道の幅は2.3mである。 B車は,長さ11.98m,幅2.49m,高さ3.79mの大型トラ,,,,ックであり前輪の車軸は2軸後輪の車軸は1軸で事故時ハンドルブレーキに異常はなかった。被害車は,長さ2.05m,幅0.735m,高さ1.08mの自動二輪車である。 (二)B車の運転席に座ったBのアイポイントは地上2.35mの高さがあり,同アイポイントからの死角を測定すると,B車の左側面を前方に延長した線上では,道路面上で4.9mの死角があり,同一線上でB車の前面から1m離れた地点では高さ1.3mまで,2m離れた地点では高さ0.79mまでが死角となっている。 2(一)本件事故現場の国道の外側線と歩道との間には,被害車のスリップ痕. ,. が55m存在しスリップ痕の末端から約2m前後離れた地点から97mにわたり路面に被害車の擦過痕が残されていた。被害車は,外側線と歩道との間の擦過痕の末端の地点にタイヤを歩道の側に向けて外側線と平行に横倒しになって停止しており,ちょうどハンドルが外側線上に位置していた。被害車は,ライトを点灯して走行していた。 (二)B車が被害者を轢過した地点は,被害車の停止地点から約2~3m手前(西側)で,車道の外側線から0.5mセンターライン方向に寄った地点である。 ,,. B車は被害者を轢過した付近では自車の左側面と車道の外側線が05m離れた状態で走行していた。 (三)被害者は,B車が被害者を轢過した地点から前方(東側)12.7mの地点に,頭部を前方(東側,足を後方(西側)に向けた状態で,B)車の左前輪と左後輪の間の側面の巻き込み防止パイプと路面に挟まれて倒れていた。被害者は,そのままでは車体の下から引っ張り出すことができず,ジャッキでB (東側,足を後方(西側)に向けた状態で,B)車の左前輪と左後輪の間の側面の巻き込み防止パイプと路面に挟まれて倒れていた。被害者は,そのままでは車体の下から引っ張り出すことができず,ジャッキでB車を持ち上げて引き出した。 (四)被害車には,右ハンドルと右バックミラーに擦過が見られる程度で大きな損傷はない。 (五)B車には,左前輪に被害者の毛髪が付着し,車体の下のパイプ等に擦過痕が生じ,8トンの積荷を積載すると地上約37㎝の高さにある左前部バンパー最下部の左端が下に数㎝押し下げられて曲損していた。バンパーの材質は,厚さ1.4㎜の鉄製である。 (六)被害者の死体には,口中に出血があり,左頬部と左頸部の皮膚が暗紫色に変色し,顎部及び左右肋骨の骨折が認められ,頸髄損傷・肺損傷・腹部の内臓損傷・大腿部骨折が疑われた。 被害者は,本件事故当時,自宅から備前市bにあるアルバイト先に向かう途中で,アルバイトは本件事故発生から約15分後の午後4時から勤務が始まるが,本件事故現場からアルバイト先までは少なくともまだ約5㎞程度の距離があった。被害者は,本件事故現場のかなり手前から,国道上り車線で渋滞中の車両の列を左側から相当早いスピードで追い抜いていた。 C車は,本件事故現場まで国道の下り車線を走行し,歩道の北側にある鮮魚店に立ち寄るため右折しようとウインカーを出してセンターライン付近に停車し,本件事故当時渋滞中であった上り車線の通行車両が停止するのをかなり長い間待っていた。Cからは,渋滞中の対向車線はトラックが多く見通しがきかないため,対向車の側方(歩道側)を通行する二輪車が存在しても見えにくい状況であった。 B車は,積荷の自動車部品を8トン積んで広島県福山市から京都市まで向かう途中であった。 Bは,センターライン付近で右折するため待機中のC 側)を通行する二輪車が存在しても見えにくい状況であった。 B車は,積荷の自動車部品を8トン積んで広島県福山市から京都市まで向かう途中であった。 Bは,センターライン付近で右折するため待機中のC車を発見し,C車を自車の前で右折させようとC車から約26.3m離れた地点でギアをセカンドに入れて時速5,6㎞まで減速し,前車との間隔をあけた。 Cは,B車が減速して前車との間隔をあけたので自車を右折させてくれる意図であることを理解し,時速約10㎞位の速度で右折を開始した。Cは,自車の右前部が車道の外側線を越えたあたりで,約10.5m離れたB車の横(歩道側)を被害車が進行して来ているのを発見したが,被害車は急制動をかけていてハンドルが左右にふらついていた。Cは,このままだと被害車,,が自車と衝突する危険を感じ加速して歩道を横切り駐車場に入ったところ後方でガシャンという音がしたので被害車が転倒したと思った。 Bは,C車が加速して自車の前方を横切ったので,サイドミラーで左側方を確認することなくギアをセカンドのままアクセルを一杯に踏み込んで加速し約10m進行したところ,ドーンという音がして自車の左前輪が持ち上がるような感じが2回したのでサイドミラーを確認したところ,被害車が転倒しているのを発見し事故が発生したと思って停車し,下車して見て初めて被害者を発見した。 B車が時速4㎞からセカンドギアで加速して10m進行するのに要する時間は,2.6秒である。 被害者は,平成11年4月に京都産業大学経済学部に入学したが,別の大学を再受験するために入学直後に京都産業大学を休学して岡山に戻り,本件事故当時は受験勉強していた。被害者は,翌年再受験に失敗すれば京都産業大学に復学する予定となっていた。 本件事故による刑事処分に関しては,Bは,不起訴処分となり原告 大学を休学して岡山に戻り,本件事故当時は受験勉強していた。被害者は,翌年再受験に失敗すれば京都産業大学に復学する予定となっていた。 本件事故による刑事処分に関しては,Bは,不起訴処分となり原告らが検察審査会に審査申立をしたが最終的には不起訴処分のまま結果は変わらず,Cは,略式手続で50万円の罰金刑を受けた。 Cは,B車が自車を右折させるために約26.3m離れた地点で停車した旨本人尋問で供述し甲第19号証にはこれに沿う記載もあるが,C車を右折させるためだけであれば距離が26.3mも離れているのならあえて停車する必要性は全くなく5,6㎞まで減速すれば十分であり,仮にB車が停車したのであればCが被害車を発見した際に被害車がB車の隣にいたことの説明がつかないことに照らすと,かかるCの供述は採用できない。 二以上認定した事実と前記争いのない事実等を前提に争点1について検討する。 まず,B車の左前部バンパー最下部左端の曲損が何によって生じたかを検討すると,被害車の転倒後の停止位置は進行方向を向いたままでハンドルが車道の外側線上にありB車の左前輪が通過した場所とは離れていることや被害車に大きな損傷が生じていないことに照らすと,被害車のハンドルとB車の左前部バンパーが接触したことは考えられず,B車の左前部バンパー最下部の地上からの高さを考慮すると,被害者が転倒して地面に横たわっていた場合には被害者と接触することもない。 そうすると,被害者が転倒した際に被害者のヘルメットあるいは身体とB車左前部バンパーが接触し下方に押し曲げられて曲損した蓋然性が最も高いといわざるをえない。Cが被害車を発見した地点と被害者が轢過された地点との距離やB車が加速して被害者を轢過した地点に達するまでの時間が短いこと,被害者が轢過された地点が被害車の停止地点よりも手前 いといわざるをえない。Cが被害車を発見した地点と被害者が轢過された地点との距離やB車が加速して被害者を轢過した地点に達するまでの時間が短いこと,被害者が轢過された地点が被害車の停止地点よりも手前で轢過された時点では被害者は未だ路面を前方に滑走中であった可能性が高いことに照らすと,被害者が転倒した後立ち上がろうとするだけの時間的な余裕はないといわざるを得ない。 従って,被害者は,B車の前部にほぼ接するような形で転倒したことになるが,被害車の座面にまたがった際の被害者の頭部の地上からの高さや前記認定したB車の運転席からの死角の広さに照らすと,被害者は転倒した際にはBからは死角に入っていて見えなかったと推認され,B車の事故当時の速度を考慮すると結果回避可能性は認められない。 ,,また右折車両を通すためいったん車両を停止に近いところまで減速させ右折車両の通過後再び加速して再発進させる場合,自動車運転者は,自車の進行方向を変更する等の特段の事情がない限り,自車左後方から自動二輪車が接近して転倒し,自動二輪車の運転者が自車直前に投げ出されることがあり得ることを予想し,自車左側方を注視してその安全を確認すべき注意義務まではないというべきである。 よって,Bには,予見義務も結果回避可能性も存在しないから過失は否定され不法行為は成立せず,運転者は自動車の運行に関し注意を怠らなかったと認められる。 上記一1(一)の事実と弁論の全趣旨によれば,B車には本件事故の原因となるような構造上の欠陥,機能上の障害はなかったものと認められる。 よって,被告宝和運輸の自賠法3条ただし書の免責の主張には理由があるものといわねばならない。 他方,右折車は,直進車が停止に近いところまで減速して右折車のために進路を譲ってくれたとしても,直進車の側方から二輪車が直 の自賠法3条ただし書の免責の主張には理由があるものといわねばならない。 他方,右折車は,直進車が停止に近いところまで減速して右折車のために進路を譲ってくれたとしても,直進車の側方から二輪車が直進接近してくる場合は往々にしてあり,かかる直進車の陰から接近してくる直進二輪車の存在は当然予想すべきで予見義務が存在することは否定できず,右折車として直進車の進路を妨害してはならない義務を負っている。 従ってCは,被害者を発見した際の距離等に照らすと,被害者の進路に入る前に最徐行して安全を確認すべきであったにもかかわらずこれを怠ったというべきであり,予見義務及び直進車の進路を妨害してはならない義務に違反しており,自賠法3条ただし書の免責の主張には理由がない。 三争点2について被害者は,被害車が自動二輪車でハンドルの左側部分を歩道上にはみ出させて走行することが可能であることを考慮してもB車と歩道との間の通行余地が幅1.2mと被害車の幅と対比して狭いにもかかわらず,アルバイト先の勤務開始時刻が迫っていたことから急いでいてある程度の高速度で追い抜きをしていたこと,転倒の原因は被害者が急制動をかけたためであること等上記認定した事実に照らすと被害者の側に過失が存在することは否定できず,かかる被害者の過失は原告らの損害を算定する際に斟酌するのが相当であり,前記認定したようにCに直進車の進路を妨害してはならない義務が課されていること,Cが被害車を発見した際の距離,本件事故現場は交差点ではないこと,被害車とC車は全く接触していないこと,本件事故の態様,Cと被害者の過失の内容等を併せて考慮すると,被害者の過失による減額の割合は4割とするのが相当である。 四争点3損害額について 葬祭費用等(請求額164万4331円)140万円甲第32号証ないし第36 過失の内容等を併せて考慮すると,被害者の過失による減額の割合は4割とするのが相当である。 四争点3損害額について 葬祭費用等(請求額164万4331円)140万円甲第32号証ないし第36号証によれば,原告らは,被害者の葬儀関連費用として,法要のための費用を除くと142万6100円の支出をしたことが認められる。 当該支出のうち,弔問客接待に要した費用等を含む一切の葬儀費用として,。 本件事故と相当因果関係がある損害は140万円と認めるのが相当である 治療関係費(請求額7万2700円)7万2700円甲第31号証によれば,原告らは,証明書発行手数料として1万6500円を支出し,治療費等として5万6200円を支出したことが認められ,合計すると7万2700円が原告らの損害となる。 逸失利益(請求額4900万2112円)4922万0080円前記認定した事実によれば,被害者は,死亡当時19歳で大学1年生を休学中であったから,23歳の時に大学を卒業して稼働可能年齢67歳まで就労すると解され,平成11年賃金センサス大卒・全年齢平均・男子労働者の平均年収は677万4400円である。このうちから生活費として5割を控除し,48年のライプニッツ係数から4年のライプニッツ係数を減じたものを用いて逸失利益を計算すると,677万4400×(1-0.5)×(18.0771-3.5459)=4922万0080円 慰藉料(請求額3000万円)2200万円被害者の年齢,生活状況等本件に顕れた一切の事情を斟酌すれば,被害者の慰藉料は上記金額が相当である。 損害額小計以上の合計は,7269万2780円である。 五過失相殺について前記三で認定したとおり,過失相殺として4割を減額するのが相当であるから,上記四で認定した原告らの損害額合計7269万 損害額小計以上の合計は,7269万2780円である。 五過失相殺について前記三で認定したとおり,過失相殺として4割を減額するのが相当であるから,上記四で認定した原告らの損害額合計7269万2780円から4割の過失相殺をすると4361万5668円となる。 六損害填補甲第37号証,第38号証によれば,原告らは,宝和運輸加入の自賠責保険から2601万円,C加入の自賠責保険から3007万1800円,合計5608万1800円の支払いを受けた。なお,自賠法14条は保険契約者又は被保険者の悪意によって生じた損害についてのみ保険会社の免責を認めるから,宝和運輸に自賠法3条ただし書の免責が認められても,保険契約者又は被保険者の悪意によって生じた損害と認めるに足りる証拠がない本件においては,宝和運輸が契約した自賠責保険金の支払いを免れる理由とはならず,宝和運輸から受領した自賠責保険金も損害填補に充当される。 そうすると,原告らの損害は全て填補済みであり,現段階ではもはや損害は存しない。 七弁護士費用(請求額400万円)0円前記六で認定したとおり,原告らにはもはや損害が存しないから,本件事故と相当因果関係のある弁護士費用相当の損害額を認める余地がない。 八以上によると,本訴請求は,被告B及び被告宝和運輸に対しては,Bの過失が認められず宝和運輸は自賠法3条ただし書によって免責されるからB及び宝,,,和運輸は本件事故の責任を負わず被告Cに対しては損害が存在しないから結局のところいずれの請求についても理由がなく棄却することとし,訴訟費用の負担につき民訴法61条を適用して,主文のとおり判決する。 岡山地方裁判所第1民事部裁判官金光秀明 民訴法61条を適用して、主文のとおり判決する。 岡山地方裁判所第1民事部裁判官金光秀明

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