【DRY-RUN】主 文 原決定ならびに盛岡地方裁判所水沢支部が昭和三九年三月二六日なした 上訴権回復請求却下決定は、いずれもこれを取り消す。 申立人の上訴権回復の請求を許容する。
主 文 原決定ならびに盛岡地方裁判所水沢支部が昭和三九年三月二六日なした 上訴権回復請求却下決定は、いずれもこれを取り消す。 申立人の上訴権回復の請求を許容する。 理 由 申立人本人および弁護人斎藤茂の特別抗告趣意について。 所論は、違憲をいうがその実質は単なる法令違反と事実誤認の主張であつて、特 別抗告適法な理由に当らない。 弁護人榊原孝の特別抗告趣意について。 所論は判例違反をいうが、引用の判例は事案を異にする本件に適切でなく、その 余の主張は、単なる法令違反の主張であつて、論旨はすべて適法な特別抗告理由に 当らない。 職権をもつて調査するに、記録によれば、本件控訴の申立期限は、昭和三九年三 月一二日であるが、申立人の依頼を受けた弁護人榊原孝は右同日妻Aに本件控訴状 の郵送を命じ、同人は同日午前一〇時三五分これを盛岡郵便局本町支局(無集配局) に書留速達便をもつて郵託したところ、該郵便物は、配達受持局である水沢郵便局 に三月一二日午後六時五四分到着したにもかかわらず、翌一三日に配達されたため、 本件控訴申立書が控訴申立期間内に第一審裁判所に到達しなかつたものであること が認められる。 およそ、上訴権者が上訴申立書を上訴申立期間内に速達郵便に付し、該郵便物が、 右期間内に管轄裁判所に到達することを期待しうべき相当の理由あるときは、右期 間の経過を上訴権者又は代人の責に帰することはできないと解すべきである。 そこで本件について、これを見るに、郵便法六〇条によれば、速達郵便物は他の 郵便物に優先して送達さるべきものであり、郵便規則一〇〇条一項は、午後八時か - 1 - ら翌朝午前七時までの間に配達受持局に到達したものに限り、午前七時までの局留 置を認め、右以外の場合はすべて到着後遅滞なく配達すべきことを規定してお あり、郵便規則一〇〇条一項は、午後八時か - 1 - ら翌朝午前七時までの間に配達受持局に到達したものに限り、午前七時までの局留 置を認め、右以外の場合はすべて到着後遅滞なく配達すべきことを規定しており、 同条二項の規定を受けた昭和三八年一二月二八日郵業第六六三三号郵務部長通達は 水沢郵便局に対し昭和三九年一月一日から三月三一日までの間右郵便規則一〇〇条 による配達区分についての最終基準時刻を午後七時に繰上げてさしつかえなき旨を 令達したにすぎないのであるから、配達受持局たる水沢郵便局としては、同局に午 後六時五四分到着した本件郵便物については、即日遅滞なくこれを配達すべきもの であり、申立人についてこれを期待すべき相当な理由があつたものといわざるを得 ない。 然るに原決定は、本件控訴申立書が速達郵便物として配達受持局たる水沢郵便局 に三月一二日午後六時五四分到達した事実を認めながら、本件控訴期間の経過和を 以て、申立人の代人Aの責に帰すべきものとしたのであるから原決定には刑訴三六 二条の解釈適用を誤つた違法があるものというべく、これを破棄しなければ、著し く正義に反すると認められるから、同四一一条一号を準用し、原決定ならびにこれ と同旨に出でた第一審裁判所の決定はこれを取り消すべきものとする。 よつて、同四三四条四二六条二項により主文掲記の各決定を取り消し、本件上訴 権回復の請求を許容すべきものとし、裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定す る。 昭和三九年七月一七日 最高裁判所第二小法廷 裁判長裁判官 奥 野 健 一 裁判官 山 田 作 之 助 裁判官 草 鹿 浅 之 介 裁判官 城 戸 芳 彦 - 裁判官 山 田 作 之 助 裁判官 草 鹿 浅 之 介 裁判官 城 戸 芳 彦 - 2 - 裁判官 石 田 和 外 - 3 -
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