- 1 -令和2年(行フ)第2号 手数料還付申立て却下決定に対する許可抗告事件令和3年4月27日 第三小法廷決定 主 文本件抗告を棄却する。 抗告費用は抗告人の負担とする。 理 由抗告代理人小井土直樹の抗告理由について1 記録によれば,本件の経緯は次のとおりである。 (1) 抗告人は,平成31年4月21日執行の新宿区議会議員選挙において,当選人とされたが,選挙人からの異議の申出を受けた新宿区選挙管理委員会から,引き続き3か月以上新宿区の区域内に住所を有する者という被選挙権の要件を満たしていないとして,当選を無効とする決定(以下「本件決定」という。)を受け,東京都選挙管理委員会に審査の申立てをしたところ,これを棄却するとの裁決(以下「本件裁決」という。)を受けた。 (2) 本件の本案訴訟(東京高等裁判所令和2年(行ケ)第1号)は,抗告人が,東京都選挙管理委員会を相手に,本件裁決の取消し及び本件決定の取消しに加え,上記選挙において当選人とされたAの当選を無効とすることを求めるものである(以下,本件裁決の取消しを求める請求を「請求1」,本件決定の取消しを求める請求を「請求2」,Aの当選無効を求める請求を「請求3」という。)。 (3) 本件は,抗告人が,本案訴訟の訴え提起の手数料として,訴訟の目的の価額320万円に応じた2万1000円を納めたが,訴訟の目的の価額は正しくは160万円であり,これに応じた手数料の額は1万3000円であるとして,民事訴訟費用等に関する法律(以下「費用法」という。)9条1項に基づき,8000円の還付を申し立てた事案である。 (4) 原審は,本案訴訟の目的の価額は,少なくとも,請求1及び2に係る るとして,民事訴訟費用等に関する法律(以下「費用法」という。)9条1項に基づき,8000円の還付を申し立てた事案である。 (4) 原審は,本案訴訟の目的の価額は,少なくとも,請求1及び2に係る16- 2 -0万円と請求3に係る160万円を合算した320万円になるとして,抗告人の申立てを却下した。 2 訴え提起の手数料の額の算出の基礎となる訴訟の目的の価額は,訴えで主張する利益によって算定し,財産権上の請求でない請求に係る訴えについては,160万円とみなすとされている(費用法4条1項,2項,民訴法8条1項)。そして,一の訴えで数個の請求をする場合には,その価額を合算したものを訴訟の目的の価額とするのが原則であるが,その訴えで主張する利益が各請求について共通である場合については,上記の合算をしないものとされている(費用法4条1項,民訴法9条1項)。 そうすると,訴訟の目的の価額を算定するに当たっては,まず請求ごとにその価額を算定することとなるところ,本案訴訟は,本件裁決の取消し,本件決定の取消し及びAの当選無効を求めるものであり(請求1~3),これらは,財産権上の請求でない別個の請求として,それぞれその価額が160万円となる。 そして,請求1及び2は,いずれも,認容されることにより,結局のところ抗告人の当選を無効とする本件決定の効力を失わせることを目的とするものであるが,請求3は,認容されることにより,抗告人とは別の当選人であるAの当選が無効とされるのであって,請求1及び2と請求3とでは,それぞれ認容されることによって実現される状態が異なるものといわざるを得ない。そうすると,請求1及び2と請求3とでは,訴えで主張する利益が共通であるということはできない。 したがって,本案訴訟の目的の価額は,少なくとも,請求1及び2に係る 態が異なるものといわざるを得ない。そうすると,請求1及び2と請求3とでは,訴えで主張する利益が共通であるということはできない。 したがって,本案訴訟の目的の価額は,少なくとも,請求1及び2に係る160万円と請求3に係る160万円とを合算した320万円になり,これに応じて訴え提起の手数料の額を算出することとなる。 3 以上によれば,抗告人の申立てを却下した原審の判断は,是認することができる。論旨は採用することができない。 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官 戸倉三郎 裁判官 宮崎裕子 裁判官 宇賀克也 裁判官- 3 -林 道晴)
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