平成18(行ウ)53 固定資産税等賦課決定処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成19年6月27日 さいたま地方裁判所
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判決文本文6,238 文字)

主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求さいたま市見沼区長が平成18年5月1日付けで原告に対してした別紙物件目録記載の各土地に係る平成18年度固定資産税及び都市計画税の賦課決定処分を取り消す。 第2事案の概要 事案の要旨本件は,さいたま市見沼区長が宗教法人である原告に対し,原告が墓地用に購入した別紙物件目録記載の土地(本件土地)につき,平成18年5月1日付けで平成18年度固定資産税及び都市計画税について賦課決定処分(本件処分)をしたところ,原告が,上記固定資産税等の賦課期日である平成18年1月1日現在,本件土地は,地方税法348条2項4号により非課税とされるべき墓地に該当していたのであるから,本件処分は違法である等と主張して,被告に対し,その取消しを求めた事案である。 関係法令等について(1) 地方税法は,次のとおり規定している。 (固定資産税の非課税の範囲)348条1項省略2項固定資産税は,次に掲げる固定資産に対しては課することができない。ただし,固定資産を有料で借り受けた者がこれを次に掲げる固定資産として使用する場合においては,当該固定資産の所有者に課することができる。 1から3省略 墓地5から43省略3項から10項省略(固定資産税の賦課期日)359条固定資産税の賦課期日は,当該年度の初日の属する年の一月一日とする。 (2) 墓地,埋葬等に関する法律(墓埋法)は,次のとおり規定している。 (定義)2条1項この法律で「埋葬」とは,死体(妊娠四箇月以上の死胎を含む。 以下同じ。)を土中に葬ることをいう。 2項及び3項省略4項この法律で「墳墓」とは,死体を埋葬し,又は焼骨を埋蔵する施設をいう。 5項この法律で「墓地」とは,墳 (妊娠四箇月以上の死胎を含む。 以下同じ。)を土中に葬ることをいう。 2項及び3項省略4項この法律で「墳墓」とは,死体を埋葬し,又は焼骨を埋蔵する施設をいう。 5項この法律で「墓地」とは,墳墓を設けるために,墓地として都道府県知事の許可をうけた区域をいう。 6項及び7項省略(墓地・納骨堂又は火葬場の経営等の許可)10条1項墓地,納骨堂又は火葬場を経営しようとする者は,都道府県知事の許可を受けなければならない。 2項省略 争いがない事実等(証拠により容易に認定できる事実については,括弧内に証拠を示す。)(1) 本件処分に至る経緯ア原告は,日蓮宗の教義をひろめること等を目的とする宗教法人である。 イ原告は,平成17年5月11日付けで,さいたま市長に対し,本件土地を墓地の所在地として,墓埋法10条1項に基づく墓地経営の許可の申請 をした。これに対し,同市長は,同年6月2日付けで,原告に対し,上記申請を許可した(甲3)。 イ原告は,平成17年6月15日付けで,さいたま市農業委員会会長に対し,別紙物件目録記載9の土地を除く本件土地につき,転用の目的を墓地として,農地法5条1項の規定に基づく転用許可の申請をし,同月22日,墓地とする目的で本件土地を購入した。そして,さいたま市農業委員会会長は,同年7月21日付けで,申請にかかる上記各土地につき転用の許可をした(甲4の1,2)。また,原告は,同年6月22日付けで,さいたま市長に対し,予定建築物の用途を霊園の管理施設として,本件土地を含む区域(16395.88平方メートル)につき都市計画法29条の規定による開発行為の許可を申請し,同市長は,同年7月21日付けで,原告に対し,上記申請を許可した(甲5)。 ウ原告は,平成17年8月1日,本件土地において墓地造成工事に着手した。 計画法29条の規定による開発行為の許可を申請し,同市長は,同年7月21日付けで,原告に対し,上記申請を許可した(甲5)。 ウ原告は,平成17年8月1日,本件土地において墓地造成工事に着手した。そして,原告は,同工事が完了したとして,平成18年3月1日付けで,さいたま市長に対し,工事完了の届出をしたところ,同市長は,同月27日付で,原告に対し,平成16年12月27日条例66号による改正前のさいたま市墓地,埋葬等に関する法律施行条例(さいたま市墓埋法施行条例。条例192号。乙3)5条の規定による検査の結果,上記工事については,墓埋法10条1項に基づく許可の内容に適合していることを証した(甲6)。 エ埼玉県大宮県税事務所は,平成17年12月5日付けで,原告に対し,本件土地の取得に対する不動産取得税を非課税とする旨の通知をした(甲7)。 (2) 本件処分さいたま市見沼区長は,平成18年5月1日付けで,本件土地につき,課税地目を雑種地として,平成18年度の固定資産税の納付年税額を147万 1500円,都市計画税を0円とする賦課決定処分(本件処分)をした(甲1)。 (3) 本件訴え提起等原告は,平成18年6月8日付けで,さいたま市長に対し,本件処分を不服として審査請求をしたが,さいたま市長は,同年7月18日付けで,同請求を棄却した(甲2)。 そこで,原告は,平成18年12月28日,本件訴えを提起した。 争点 本件土地は,平成18年1月1日現在,地方税法348条2項4号の「墓地」に該当していたか。 争点に関する当事者の主張(被告の主張)地方税法348条2項4号は,「墓地」については固定資産税を課さないこととしているところ,墓地が非課税とされるのは,墓地の公共的な施設としての性格,事業の公益性によるものである。そして,同号にいう「 地方税法348条2項4号は,「墓地」については固定資産税を課さないこととしているところ,墓地が非課税とされるのは,墓地の公共的な施設としての性格,事業の公益性によるものである。そして,同号にいう「墓地」といえるためには,当該土地が公共的施設としての性格,事業の公益性を持つに至ることが必要であり,そのためには,賦課期日現在,当該土地が死体を埋葬し,又は焼骨を埋蔵する施設として(墓埋法2条4項)使用が可能な状況にあるとともに,当該土地を墓地として使用するために必要な手続が履践されていなければならない。 そして,さいたま市墓埋法施行条例によれば,墓地等の経営許可を受けた者は,許可に係る墓地の工事が完了した場合は,速やかにその旨を市長に届け出て,検査を受けなければならず(同条例5条1項),この検査を受けなければ許可に係る墓地を使用してはならないとされ(同条2項)。また,都市計画法上も開発行為の許可に基づき工事が完了し,その工事についての検査が完了するまでは,土地の使用は認められないとされているのである(都市計画法36 条,37条)。 本件土地は,賦課期日である平成18年1月1日現在において,墓地としての形状を示していなかったし,上記検査を受けていなかった。本件土地が公共施設としての性格や事業の公益性を持つに至ったのは,上記検査を受け,工事の結果が許可内容に適合していると認められ,墓地として使用できるようになった平成18年3月27日以降のことである。 したがって,本件土地は,平成18年1月1日において,地方税法348条2項4号の「墓地」には該当しなかったものであり,非課税となるものではない。よって,さいたま市見沼区長が本件土地の課税地目を雑種地として本件処分をしたことに違法はない。 (原告の主張)(1) 地方税法348条2項4号において,「 ったものであり,非課税となるものではない。よって,さいたま市見沼区長が本件土地の課税地目を雑種地として本件処分をしたことに違法はない。 (原告の主張)(1) 地方税法348条2項4号において,「墓地」が非課税とされているのは,墓地の公共的施設としての性格,事業の公益性によるものと考えられる。そうであれば,墓埋法10条1項所定の許可を受けた上で,墓地としての用に供するために使用されている土地であれば,非課税とされるべきである。 原告は,平成17年6月2日付けで,さいたま市長から墓埋法10条1項所定の墓地経営の許可を受け,同月22日付で本件土地を購入し,同年7月22日付けで,さいたま市農業委員会会長から,転用の目的を墓地として,本件土地につき農地転用の許可を受け,同日付で,さいたま市長から,予定建築物等の用途を霊園の管理施設として,本件土地の開発行為の許可を受け,同年8月1日に墓地造成工事に着手した。そして,その他必要な諸手続を経て,平成18年3月27日に「墓地」としての造成工事が完了した。 このように,本件土地は,平成17年6月2日に,原告が墓埋法10条1項所定の墓地経営の許可を受けてから一貫して,墓地としての用に供するために使用されていたものであり,賦課期日である平成18年1月1日の時点においても,墓地にするべく造成工事がされており,墓地としての用に供す るために使用されていた。 したがって,本件土地は,平成18年1月1日現在,地方税法348条2項4号の「墓地」に該当していた。よって,さいたま市見沼区長が本件土地の課税地目を雑種地としてした本件処分は,違法である。 (2) 被告は,本件土地について,さいたま市墓埋法施行条例5条の規定による工事完了検査を受けていなかったことを理由に,地方税法348条2項4号の「墓地」には該当しないと主 本件処分は,違法である。 (2) 被告は,本件土地について,さいたま市墓埋法施行条例5条の規定による工事完了検査を受けていなかったことを理由に,地方税法348条2項4号の「墓地」には該当しないと主張する。しかし,同条例による検査は,墓地造成工事が墓埋法10条1項の許可の内容に適合しているか否かという確認のための手続に過ぎず,同条例による検査を受けていることが,本件土地の墓地該当性を認めるための要件となるものではない。 また,原告は,埼玉県大宮県税事務所から,本件土地の取得に対する不動産取得税について,地方税法73条の4第1項2号の規定により非課税とする旨の通知を受けている。同号で不動産取得税が非課税とされた趣旨と,地方税法348条2項4号で固定資産税が非課税とされた趣旨は同様であると解されるから,本件土地の固定資産税についても,不動産取得税と同様に非課税とされるべきである。 第3当裁判所の判断 地方税法は,土地,家屋等を課税客体とする一方で(地方税法342条1項,341条1号),墓地の公共性に鑑み,墓地を用途とする固定資産については固定資産税を課さないこととしている(同法348条2項4号)。 そして,固定資産税は,土地,家屋等の資産価値に着目し,その所有という事実に担税力を認めて課する一種の財産税である(地方税法342条1項,341条1項参照)ところ,地方税法が,墓地について固定資産税を非課税としたのは,当該土地を死体や遺骨を埋葬し得る墓地としての現況を備え公共の用に供することによって,当該土地の所有者によるその他の使用収益の可能性がなくなり,ひいてはその資産価値を見い出せないからであると解される。 また,墓埋法4条1項によれば,同法10条1項に基づく墓地経営許可を受けている区域でない限り,適法に死体を埋葬したり焼骨を埋蔵したり なり,ひいてはその資産価値を見い出せないからであると解される。 また,墓埋法4条1項によれば,同法10条1項に基づく墓地経営許可を受けている区域でない限り,適法に死体を埋葬したり焼骨を埋蔵したりすることができないのであり,これは公衆衛生その他公共の福祉の見地からの合理的な規制であると解されるから,墓地経営許可を受けていない土地は,墓地としての公共的な用途を有するとはいえない。 そうすると,ある土地が,地方税法348条2項4号の「墓地」に該当するためには,賦課期日において,当該土地が墓埋法10条1項に基づく墓地経営許可等を受けた区域であるとともに,死体や遺骨を埋葬し得る墓地としての現況を備えていることを要するというべきである。 これを本件についてみるに,乙1,2及び弁論の全趣旨並びに前記争いがない事実等を総合すると,原告は,平成17年6月2日付けで,さいたま市長から,墓埋法10条1項の規定に基づく墓地経営の許可を受け,同年8月1日,本件土地を墓地にするべく造成工事に着手したこと認められるが,他方,平成18年1月8日現在において,本件土地のうち墳墓を設置することが予定されていた土地部分は未だ造成中であって,墓地としての体裁は全く整っていない状況であったことが認められる。そうであれば,平成18年1月1日時点においても,本件土地は,死体や遺骨を埋葬し得る墓地としての現況を備えるに至っていなかったものというべきであり,地方税法348条2項4号の「墓地」には該当していなかったというべきである。 3(1) これに対し,原告は,墓地としての用に供するために使用されている土地であれば,地方税法348条2項4号の「墓地」に該当する旨主張する。しかしながら,当該土地が「墓地」であるかどうかは,前記のとおり,法律的な許可及び墓地としての現況を備えていた に使用されている土地であれば,地方税法348条2項4号の「墓地」に該当する旨主張する。しかしながら,当該土地が「墓地」であるかどうかは,前記のとおり,法律的な許可及び墓地としての現況を備えていたかどうかで判断するべきであり,原告の上記主張は採用できない。 (2) また,原告は,本件土地の固定資産税についても,不動産取得税と同様に非課税とされるべきである旨主張する。 しかしながら,用途による非課税という点では同じであっても,不動産取得税は,いわゆる流通税で,不動産の移転事実自体に着目し,不動産の取得という行為の背後に担税力のあることを推定して課されるものであり,不動産の取得時において使用目的が問題となるものであるのに対し,固定資産税は,前示のとおり,一種の財産税で,不動産の資産価値に着目し,その所有という事実に担税力を認めて課されるものであり,賦課期日現在の使用状況等が問題となるものである。 したがって,本件土地の平成18年度固定資産税を非課税とすべきであるとの原告の上記主張は採用できない。 結論 以上より,本件処分中,固定資産税の賦課に係る部分については,さいたま市見沼区長が本件土地の課税地目を雑種地として平成18年度の固定資産税を賦課した点に違法はなく,同部分の取消しを求める原告の請求は理由がない。 また,本件処分中,都市計画税の賦課に係る部分については,同税の税額は0円とされ(甲1)課税されていないことからすると,都市計画税に係る賦課処分は存在しないものというべきであり,同部分の取消しを求める原告の請求は理由がない。 よって,主文のとおり判決する。 さいたま地方裁判所第4民事部裁判長裁判官遠山廣直裁判官富永良朗 裁判官櫻井進(別紙物件目録添付省略) 主文 とおり判決する。 理由 さいたま地方裁判所第4民事部裁判長裁判官遠山廣直裁判官富永良朗裁判官櫻井進(別紙物件目録添付省略)

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