昭和34(あ)608 公正証書原本不実記載、同行使

裁判年月日・裁判所
昭和36年6月20日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄差戻 広島高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      原判決中被告人両名についての検察官の控訴を棄却した部分を破棄する。      本件を広島高等裁判所に差し戻す。          理    由  広島高等検察庁検事長長部謹吾の

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判決文本文2,354 文字)

主    文      原判決中被告人両名についての検察官の控訴を棄却した部分を破棄する。      本件を広島高等裁判所に差し戻す。          理    由  広島高等検察庁検事長長部謹吾の上告受理申立理由について。  公務員が職務上作成する文書であつて、権利義務に関するある事実を証明する効 力を有する文書は刑法一五七条一項にいう「権利義務ニ関スル公正証書」であり、 住民登録法による住民票は同条項にいう「権利義務ニ関スル公正証書」に当ると解 するのを相当とする。  記録によると、第一審判決は判決理由末段「一部無罪」の項において、起訴状に 基き被告人両名が共謀の上被告人A及びその弟妹二名は韓国人で日本国籍を有せず 外国人登録法の適用を受け住民登録法の適用はないのに虚偽の住民登録をしようと 企て、判示の日時場所で判示の方法により判示住民票の原本に被告人BことA及び その家族二名が日本人であつて住所を広島市a町b番地とする旨不実の記載をなさ しめ、その頃これを同市役所段原出張所に提出させ、情を知らない同所係員をして 即時これを住民票綴に編綴同出張所に備付けしめて行使したものであるとの旨の事 実を認めたが、住民票は刑法一五七条一項にいわゆる公正証書に当らないから右判 示所為は罪とならないとして無罪を言渡し、原審もまた第一審判決の右見解を正当 とし、検察官の控訴を棄却すべきものとしたことが明らかである。  されば、原判決が被告人らの右所為は罪とならず無罪を言渡すべきものとし検察 官の控訴を棄却したのは相当でない。検察官の論旨は理由があり、原判決中右の部 分は破棄を免れない。  よつて刑訴四一一条一号、四一三条本文により主文のとおり判決する。  この判決は裁判官垂水克己の意見があるほか裁判官全員一致の意見によるもので - 1 - ある。  裁判官垂水克己の意見は次のとおりであ よつて刑訴四一一条一号、四一三条本文により主文のとおり判決する。  この判決は裁判官垂水克己の意見があるほか裁判官全員一致の意見によるもので - 1 - ある。  裁判官垂水克己の意見は次のとおりである。  私は、論旨についてではないが、本件を一審でなく原審に差し戻すべきものとす ることに賛成である点について意見を附加する。  一審判決は、被告人らに対し上告受理のあつた部分につき、単に起訴状記載の公 訴事実は(たとえあつたとしても)罪とならないとして法律点のみの判断をしたの でなく、証拠に基き公訴事実の存在を認め事実判断をした上この事実は罪とならな いとして無罪を言渡したのである。この事実判断は控訴審で何れの当事者からも事 実誤認又は認定手続の違法違憲があるとして争われず、検察官からのみ、これにつ いての刑法の適用の誤があるとして控訴があつた。この場合、控訴審としては、も ちろん、事実点について一審判決を職権調査し、事実誤認又は事実認定手続の違法 違憲を発見したときは一審判決を破棄することはできるが、それをしない以上、一 審が判決の基礎とした右事実をもつて有罪又は無罪の法律判断の基礎とし、これを 有罪とするにおいてはこれに基いて量刑の上刑を言渡すをもつて足りると考える。  記録によれば、被告人両名に対する起訴状には刑法一五七条一項、一五八条の罰 条、罪名とともに一審判決理由末段「一部無罪」と題する部分に認めたのと同一事 実の記載があり、一審公判廷では右公訴事実につき被告人Aは誠に申訳ない旨、同 Cはその通り相違ない旨各陳述し、次いで検察官の申請による書類、書面等(一審 判決が右「一部無罪」部分の事実を認める資料としたすべての証拠を含む)につい ては被告人らはこれを有罪の証拠とすることに同意しており、その後弁護人ら申請 の情状証人その他の証人の尋問等の証拠調がすべて適式に行わ 「一部無罪」部分の事実を認める資料としたすべての証拠を含む)につい ては被告人らはこれを有罪の証拠とすることに同意しており、その後弁護人ら申請 の情状証人その他の証人の尋問等の証拠調がすべて適式に行われたことが明らかで ある。  その他、記録によれば、一審公判では、被告人らは右「一部無罪」部分の事実を 認められるについても、この事実をかりに法律上有罪と判断され量刑されるとして - 2 - もそれについて何ら防禦権の行使を妨げられた形跡はない。そして、一審判決の右 「無罪部分」中の事実判断の部分はこれをそのまま有罪判決における事実認定とす るを妨げないだけの充分な厳格証拠の総合によつて採証法違反なくなされているこ と明らかである。  一審の右事実判断(私はこれを正当防衛たるべき事実の認定や正当業務による行 為であることの認定などと同様に、事実認定といつてよいと考える)が右のような 関係で成立している場合には、上告審がこの事実を犯罪を構成するものと解するな ら、無罪を言渡した一審にまで差戻すべき訴訟上の利益はなく、一審判決を是認し た控訴審に差戻すをもつて足りると解する。  それゆえ本判決の趣旨に従つて擬律の上量刑し刑の言渡をさせるためこれを原審 に差戻すのが相当だと思う。  検察官 村上朝一公判出席   昭和三六年六月二〇日      最高裁判所第三小法廷          裁判長裁判官    垂   水   克   己             裁判官    河   村   又   介             裁判官    高   橋       潔             裁判官    石   坂   修   一 - 3 - 官    石   坂   修   一 - 3 -

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