平成13年(行ケ)第157号特許取消決定取消請求事件判決原告ケミライト工業株式会社原告ティーディーケイ株式会社原告ら訴訟代理人弁護士熊倉禎男、弁理士箱田篤、平山孝二、弁護士吉田和彦、渡辺光、竹内麻子被告特許庁長官及川耕造指定代理人沼澤幸雄、冨士良宏、森田ひとみ、林栄二 主文 特許庁が平成11年異議第73228号事件について平成13年2月28日にした決定を取り消す。 訴訟費用は各自の負担とする。 事実及び理由 第1 原告らの求めた裁判主文第1項同旨の判決。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯原告らは、発明の名称を「フェライト用の酸化鉄」とする特許第2862875号の特許権者である。本件特許は、昭和63年5月23日に特許出願され、平成10年12月11日に設定登録された。 本件請求項1に係る特許について特許異議の申立てがあり(平成11年異議第73228号)、平成12年3月3日付け取消理由通知がなされた。原告らは、同年5月16日に訂正請求をしたところ、同年10月10日付けで訂正拒絶理由通知がなされ、同年12月26日に手続補正書を提出したが、平成13年2月28日「特許第2862875号の請求項1に係る特許を取り消す。」とした特許異議の申立てについての決定があり、その謄本は同年3月19日に原告らに送達された。 2 後記訂正前の本件発明の要旨【請求項1】 Mnを0.1~0.3重量%含有し、Pの含有量が0.005重量%以下で、残部は実質的に酸化鉄の化学成分よりなる単一の酸化物であることを特徴とする、フェライト用の酸化鉄。 3 後記訂正後の本件発明の要旨【請求項1】 酸による溶解で得た溶液を焙焼することにより得られた酸化鉄であって、Mnを0 成分よりなる単一の酸化物であることを特徴とする、フェライト用の酸化鉄。 3 後記訂正後の本件発明の要旨【請求項1】 酸による溶解で得た溶液を焙焼することにより得られた酸化鉄であって、Mnを0.1~0.3重量%含有し、Pの含有量が0.0029重量%以下で、SiO2の含有量が0.005~0.0095重量%で、残部は実質的に酸化鉄の化学成分よりなる単一の酸化物であることを特徴とする、フェライト用の酸化鉄。 4 決定の理由の要点平成12年12月26日付けの補正は、特許法120条の4第3項で準用する同法131条2項により認められず、同年5月16日付け訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則6条1項によりなお従前の例によるとされる、平成11年改正前の特許法120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法126条1項ただし書きに適合しないので、当該訂正は認められない。前記2の本件発明の要旨に係る本件発明は、引用例(EditedbyFranklinF. Y. Wang, "AdvancesinCeramics・Vol.15 FourthInternationalConferenceonFerrites, Part 1", TheAmericanCeramicSociety, Inc.,(1985), p.103-107)に記載された発明であり、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。 5 訂正審決の確定原告らは、本訴係属中の平成14年2月1日、本件特許につき、特許請求の範囲の減縮等を目的として、明細書及び図面の訂正をする審判を請求したところ(訂正2002-39026号)、平成14年3月12日、当該訂正を認める旨の審決があり、その謄本は同月25日 つき、特許請求の範囲の減縮等を目的として、明細書及び図面の訂正をする審判を請求したところ(訂正2002-39026号)、平成14年3月12日、当該訂正を認める旨の審決があり、その謄本は同月25日原告らに送達され、訂正審決は確定した。 第3 原告ら主張の決定取消事由決定は、訂正前の請求項に基づき本件発明の要旨を認定し、これに基づき引用例記載の発明との対比において本件発明の新規性を否定しているが、特許請求の範囲の減縮等を目的とする訂正を認める審決が確定したことにより、決定は、結果的に本件発明の要旨の認定を誤ったことになり、違法となったものである。 第4 当裁判所の判断原告ら主張の事由により決定は取り消されるべきものであり、本訴請求は理由がある。よって、訴訟費用の負担につき行訴法7条、民訴法62条を適用して、主文のとおり判決する。 (平成14年4月16日口頭弁論終結)東京高等裁判所第18民事部裁判長裁判官永井紀昭裁判官塩月秀平裁判官古城春実
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