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主文 1 被告株式会社クボタは,四日市市に対し,金1307万8948円及びこれに対する平成10年6月10日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。2 原告の被告株式会社クボタに対するその余の請求及び被告A,同B,同Cに対する各請求をいずれも棄却する。3 訴訟費用は,原告と被告株式会社クボタとの間においては,原告に生じた費用の2分の1を被告株式会社クボタの負担とし,その余は各自の負担とし,原告と被告A,同B及び同Cとの間においては,全部原告の負担とする。事実及び理由 第1 請求 1 被告らは,四日市市に対し,連帯して金955万8730円及びこれに対する被告Aについては平成10年6月11日から,その余の被告については同月10日から支払済みまでそれぞれ年5分の割合による金員を支払え。2 被告A,被告B及び被告株式会社クボタは,四日市市に対し,連帯して金1736万9796円及びこれに対する被告Aについては平成10年6月11日から,その余の被告については同月10日から支払済みまでそれぞれ年5分の割合による金員を支払え。第2 事案の概要本件は,四日市市住民である原告が,四日市市が水道用鋳鉄管を購入するための入札を実施した際,被告株式会社クボタが他業者と談合をして価格をつり上げ,被告ら同市職員もこれを看過した重過失があるとして,同市に代位して損害賠償を請求した住民訴訟である。1 争いのない事実(1)ア原告は,四日市市民である。イ被告Aは平成9年度において四日市市水道事業管理者であった者であり,被告Bは平成9年度において四日市市水道局次長,被告Cは同総務課長であった者である。ウ被告株式会社クボタ(以下「被告クボタ」という。)は,大手の鋳鉄管製造業者であって,四日市市水道局の鋳鉄管購入に関する入札の 年度において四日市市水道局次長,被告Cは同総務課長であった者である。ウ被告株式会社クボタ(以下「被告クボタ」という。 である。イ被告Aは平成9年度において四日市市水道事業管理者であった者であり,被告Bは平成9年度において四日市市水道局次長,被告Cは同総務課長であった者である。ウ被告株式会社クボタ(以下「被告クボタ」という。)は,大手の鋳鉄管製造業者であって,四日市市水道局の鋳鉄管購入に関する入札の 年度において四日市市水道局次長,被告Cは同総務課長であった者である。ウ被告株式会社クボタ(以下「被告クボタ」という。)は,大手の鋳鉄管製造業者であって,四日市市水道局の鋳鉄管購入に関する入札の指名業者である。(2)ア四日市市水道事業管理者は,水道事業に関する競争入札を実施する上での最高責任者であって,その本来的契約締結権者である。イ四日市市水道局次長(以下「次長」という。)は,重要な事項の専決権者であって,500万円以上3000万円未満の工事用材料の購入は次長の専決である。ウ四日市市水道局総務課長(以下「総務課長」という。)は,500万円未満の工事用材料の購入についての専決権者である。(3) 四日市市においては,平成9年度の水道鋳鉄管購入に当たって入札が行われ,別表記載のとおり落札され,落札者との間に売買契約が締結された。(4) 原告は,平成10年3月17日,四日市市監査委員に対し,上記各入札において談合があったとして,被告らが落札価格と正常な競争価格との差額を四日市市に損害賠償するよう住民監査請求を行ったが,同監査委員は,同年5月11日,右請求を棄却した。2 争点(1) 被告Bに被告適格があるか否か(本案前の争点)。(2) 請求原因としての談合の事実の特定がなされているといえるか否か。(3) 被告クボタら入札指名業者による談合の事実の有無(4) 被告Aらの責任(5) 四日市市の損害 3 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)被告Bの被告適格(被告Bの主張)四日市市水道局事務専決規程によれば,工事用材料の購入契約について,500万円未満の場合は,総務課長の専決に属するとされている。したがって,次長は,本件売買契約のうち代金額500万円未満の契約について契約締結権限を有せず,地方自治法242条の2所定の「当 ついて,500万円未満の場合は,総務課長の専決に属するとされている。したがって,次長は,本件売買契約のうち代金額500万円未満の契約について契約締結権限を有せず,地方自治法242条の2所定の「当該職員」には当たらないから,その部分について被告適格を有しないものである。 る。したがって,次長は,本件売買契約のうち代金額500万円未満の契約について契約締結権限を有せず,地方自治法242条の2所定の「当 ついて,500万円未満の場合は,総務課長の専決に属するとされている。したがって,次長は,本件売買契約のうち代金額500万円未満の契約について契約締結権限を有せず,地方自治法242条の2所定の「当該職員」には当たらないから,その部分について被告適格を有しないものである。(原告の主張)被告Bは,四日市市水道局の重要事項の専決権者であり,水道局の入札制度のあり方について決定する権限を有する上,500万円未満の契約についても専決権を有する総務課長を監督する立場にあり,談合がなされていることを十分認識できたにもかかわらず,入札制度を改善せず,本件契約の締結に至ったものであり,債務不履行責任ないし不法行為責任がある。原告は,四日市市が被告Bに対して損害賠償請求権を有するのにその行使を怠っているとし,被告Bが500万円未満の契約について地方自治法242条の2第1項4号後段の「怠る事実の相手方」であるとして,損害賠償請求するものであるから,被告Bに対する訴えは適法である。(2) 争点(2)談合の事実の特定について(被告の主張)請求原因事実として,談合の日時,場所,主体,内容について主張がないから,主張自体理由がなく,その立証もない。これでは被告の防禦にも支障をきたすものである。(原告の主張)請求原因事実として,談合の日時,場所,主体,内容という個別的な事実まで主張・立証する必要はなく,被告クボタらが談合して入札したことを主張・立証すれば必要にして十分である。(3) 争点(3)談合の事実の存否について(原告の主張)全入札業者が予定価格以上の入札を行った場合においては,再度入札が行われるが,業者間の話合いで落札予定業者を決める談合が行われると,このような複数回入札が行われた場合において,最低価格入札者が常に変わらないという現象 格以上の入札を行った場合においては,再度入札が行われるが,業者間の話合いで落札予定業者を決める談合が行われると,このような複数回入札が行われた場合において,最低価格入札者が常に変わらないという現象が生じる(原告は,これを「一位不動」と呼ぶ。)。平成9年度における四日市市の鋳鉄管入札においては,複数回入札が行われた場合,常に一位不動であった。 た場合において,最低価格入札者が常に変わらないという現象 格以上の入札を行った場合においては,再度入札が行われるが,業者間の話合いで落札予定業者を決める談合が行われると,このような複数回入札が行われた場合において,最低価格入札者が常に変わらないという現象が生じる(原告は,これを「一位不動」と呼ぶ。)。平成9年度における四日市市の鋳鉄管入札においては,複数回入札が行われた場合,常に一位不動であった。一度や二度ではなく,その全てが一位不動であったということは,被告クボタら指名入札業者によって,恒常的に談合が行われていたことを裏付けるものである。いずれの入札結果をみても,指名業者3社は,自社が落札するときはほぼ同じ価額で入札しており,他の2社は,それよりもはるかに高額で入札している。したがって,同じ商品については落札価額は常にほぼ同一である。これは,極めて不自然な結果であって,自社が落札するときとそうでないときとを,明確に分けて入札に臨んでいるとしか考えられない。(被告ら及び参加人の主張)鋳鉄管は,生活用品等のように需要範囲が広くなく,市販されていない特殊な製品であり,また備蓄が容易ではないので,入札者の生産体制や在庫の状況等によって入札者間に落札意欲に差があるものと考えられ,落札業者が低価で入札し,それ以外の業者が高価で入札することは十分に予想されるところであるから,それをもって談合が行われていたとする根拠はない。落札を目指す業者が低価で入札することは当然のことであり,これは受注意欲,企業努力の現れというべきであるから,一位不動になっても何ら不自然ではない。平成8年度の単価と平成9年度の落札単価とはほぼ同一であって,同一の規格・品質の製品が従前とほぼ同様の入札額となることは十分あり得るし,入札者間で落札単価にほとんど相違がないことも社会通念上当然あり得ることであるから,これをも 落札単価とはほぼ同一であって,同一の規格・品質の製品が従前とほぼ同様の入札額となることは十分あり得るし,入札者間で落札単価にほとんど相違がないことも社会通念上当然あり得ることであるから,これをもって談合があるということはできない。(4) 争点(4)被告A,同B,同Cの責任について(原告の主張)被告A,同B,同Cは,前記の入札の状況をみれば,入札業者が談合していることは十分認識可能であり,談合していることを知っていたと推定できる。 一の規格・品質の製品が従前とほぼ同様の入札額となることは十分あり得るし,入札者間で落札単価にほとんど相違がないことも社会通念上当然あり得ることであるから,これをもって談合があるということはできない。(4) 争点(4)被告A,同B,同Cの責任について(原告の主張)被告A,同B,同Cは,前記の入札の状況をみれば,入札業者が談合していることは十分認識可能であり,談合していることを知っていたと推定できる。しかるに,被告らは,談合及びそれによる四日市市の損害を防止する措置をとることなく,漫然と談合による落札者と本件売買契約を締結し,四日市市に損害を与えたものである。また,被告Bは,入札制度に関して決定権を有したが,談合を認識しながら,入札制度の改善をせず,談合による契約を止めさせなかったものである。よって,被告らには本件契約の締結について故意又は重大な過失があるというべきである。(同被告らの主張)四日市市は,従来単価同調方式による随意契約により鋳鉄管を購入していたが,平成9年4月から購入方式を改善し,指名競争入札方式にした。その結果,落札価格は平成8年度の価格と同額となったが,「建設物価」や「積算資料」の価格より安価であったから,落札価格は妥当であると判断した。平成9年8月には,口径ごとに入札する方法を口径の異なるものを一括して入札するなど,一度に多量に発注する方式とした。入札執行に際して,談合等不正の事実を掴んだ場合は警察に通報するほか,「入札調査類会」に諮るなどの対策を講じている。本件入札に関して談合情報等は一切なく,不正を疑わせる何らの事実もなかった。四日市市には捜査権も調査権もないので,確たる証拠もないまま談合等不正があるとして,落札者との契約締結義務を拒否することはできない。て談合情報等は一切なく,不正を疑わせる何らの事実もなかった。四日市市には捜査権も調査権もないので,確たる証拠もないまま談合等不正があるとして,落札者との契約締結義務を拒否することはできない。よって,被告らには本件契約の締結について故意又は過失はない。(5) 争点(5)損害について(原告の主張)被告クボタは,他の二社との談合入札により,落札価格を少なくとも20パーセントつり上げ,四日市市に損害を与えた。平成9年度においては,上記入札による鋳鉄管の購入総額は消費税を除き1億1503万7600円であるので,損害額はその20パーセント,弁護士費用は277万円が相当である。 することはできない。よって,被告らには本件契約の締結について故意又は過失はない。(5) 争点(5)損害について(原告の主張)被告クボタは,他の二社との談合入札により,落札価格を少なくとも20パーセントつり上げ,四日市市に損害を与えた。平成9年度においては,上記入札による鋳鉄管の購入総額は消費税を除き1億1503万7600円であるので,損害額はその20パーセント,弁護士費用は277万円が相当である。(被告らの主張)購入総額は認めるが,損害は全部否認する。第3 当裁判所の判断 1 争点(1) 被告Bの被告適格について原告は,被告Bには四日市市に対する債務不履行責任ないし不法行為責任があり,四日市市が同被告に対する損害賠償請求権の行使を怠っているとし,同被告を地方自治法242条の2第1項4号後段の「怠る事実の相手方」であるとして,損害賠償を請求するものであるから,同被告は本件訴えにおいて被告適格を有する者である。2 争点(2) 談合の事実の特定について請求原因事実の特定としては,原告は,本件入札の直前ころ被告クボタら三社の担当者が通謀して落札予定会社を決め,その落札予定会社は従来の単価付近の単価で入札することとし,他の2社にこれよりも若干高い金額で入札すべきことを指示し,これ実行したこと,その徴表として一位不動の事実等があることを主張しているのであるが,原告としては,当該談合事実自体を取り調べた刑事記録でもない限り,これ以上の具体的事実を特定することはほとんど不可能であるから,原告に,談合の日時,場所,主体,内容という個別的な事実の詳細までも主 原告としては,当該談合事実自体を取り調べた刑事記録でもない限り,これ以上の具体的事実を特定することはほとんど不可能であるから,原告に,談合の日時,場所,主体,内容という個別的な事実の詳細までも主張・立証させることは酷に過ぎるものである。したがって,原告としては上記の程度の事実をもって談合による入札の事実を主張すれば必要にして十分であると認めるべきである。談合の事実についてはもとより原告の立証責任に属するが,直接証拠がなくても,間接事実を立証し,これを総合することによって談合の事実を証明することが可能であり,その証明の態様として談合の日時,場所,参加者等が個々具体的でなくても,証拠の多くは被告側にあることに照らせば,被告の防禦も可能であると認められるから,双方間に不公平はないと考えられる。 札の事実を主張すれば必要にして十分であると認めるべきである。談合の事実についてはもとより原告の立証責任に属するが,直接証拠がなくても,間接事実を立証し,これを総合することによって談合の事実を証明することが可能であり,その証明の態様として談合の日時,場所,参加者等が個々具体的でなくても,証拠の多くは被告側にあることに照らせば,被告の防禦も可能であると認められるから,双方間に不公平はないと考えられる。よって,本件においては,請求原因事実に関する主張が不特定であるとはいえないし,その主張に沿う立証も可能である。3 争点(3) 談合の事実の存否について(1) 証拠(甲17,19ないし22,24,26ないし30,35,36,40)によれば,以下の事実が認められる。ア鋳鉄管の一種としてダクタイル鋳鉄管があるが,ダクタイル鋳鉄管は従来の鋳鉄にマグネシュウム等を混入させることによって,延性と耐衝撃性を飛躍的に強化させた鋳鉄管であり,上水道管,送水管,ガス管,下水道管等として広く使用されている。ダクタイル鋳鉄管には,大別して直通な管である直管と,曲部や接合部分に用いる異形管とがあるが,その需要の約9割が直管であるところ,日本国内では,ダクタイル鋳鉄管直管の製造業者は,被告クボタ,株式会社栗本鐵工所及び日本鋳鉄管株式会社の3社(以下これら3社を「クボタら3社」という。)だけである。ダクタイル鋳鉄管直管市場においては,製造業者が各地方自治体の水道事業体 造業者は,被告クボタ,株式会社栗本鐵工所及び日本鋳鉄管株式会社の3社(以下これら3社を「クボタら3社」という。)だけである。ダクタイル鋳鉄管直管市場においては,製造業者が各地方自治体の水道事業体に対して直接に鋳鉄管を販売する直需市場と,各地方自治体の水道事業体が工事業者に対して水道工事の施行とその材料である鋳鉄管を一括して発注し,製造業者が,鋳鉄管を各地の代理店を経て工事業者に販売するという間需市場とがある。イクボタら3社は,昭和30年代ころから,毎年度ダクタイル鋳鉄管直管の全国的な受注配分として,被告クボタ63パーセント,栗本鐵工所27パーセント,日本鋳鉄管10パーセントを基本配分シェアとすることを合意していた。さらに,毎年様々な要因で需要に変動が起こることがあるので,上記基本配分シェアーを維持するため,毎年度当初に,クボタら3社は,それぞれ各社の営業地区(6地区ある。 売するという間需市場とがある。イクボタら3社は,昭和30年代ころから,毎年度ダクタイル鋳鉄管直管の全国的な受注配分として,被告クボタ63パーセント,栗本鐵工所27パーセント,日本鋳鉄管10パーセントを基本配分シェアとすることを合意していた。さらに,毎年様々な要因で需要に変動が起こることがあるので,上記基本配分シェアーを維持するため,毎年度当初に,クボタら3社は,それぞれ各社の営業地区(6地区ある。)の担当者から前年度実績及び当年度の総需要見込数量等を報告させ,これに基づき,協議の上,当年度における全国ベースの総需要見込数量に対するクボタら3社の受注予定数量及び受注配分シェアを決定し,各営業地区における配分シェアも決定し,これを実現するため各現場において互いに受注調節を行ってきた。これによって,自由競争による鋳鉄管の価格の値下げ競争を避け,高い利益を維持してきた。受注調節の方法としては,間需市場においては製造業者-販売店-工事業者という取引関係が固定化・系列化しているため,受注量がほとんど変動しないので,主に,直需市場において競争入札における談合によって受注調整を行ってきた。すなわち,事業主体(地方自治体)からダクタイル鋳鉄管直管について指名競争入札を行う旨の通知があると,例外なく,クボタら3社は,事前に協議して落札予定会社を定め(関係者は,この作業を を行ってきた。すなわち,事業主体(地方自治体)からダクタイル鋳鉄管直管について指名競争入札を行う旨の通知があると,例外なく,クボタら3社は,事前に協議して落札予定会社を定め(関係者は,この作業を「名義決め」と呼んでいた。),落札予定会社は,ほぼ従来と同じくらいの単価で入札価格を決めるが,同時に,1回目の入札で落札しない場合に備えて3回目くらいまで少しずつ下げた価格も決め,他の2社にはこれらの価格よりも少し高い価格で入札するよう通知し,落札予定会社が確実に落札できるように工作してきた。そして,このような名義決めは,全ての入札事案において例外なく行われていた。ウ平成8年度の例においては,同年8月20日ころ,東京都中央区日本橋にある水道用ポリエチレンパイプシステム研究会の会議室において,クボタら3社の営業部長クラスの会議が開かれ,各社から集計された資料に基づき,平成8年度における各社に対する全国配分シェアは,被告クボタは62.85パーセント,栗本鐵工所は26.97パーセント,日本鋳鉄管は10.18パーセントと合意され,各社各地区の配分シェアも決定された。 ウ平成8年度の例においては,同年8月20日ころ,東京都中央区日本橋にある水道用ポリエチレンパイプシステム研究会の会議室において,クボタら3社の営業部長クラスの会議が開かれ,各社から集計された資料に基づき,平成8年度における各社に対する全国配分シェアは,被告クボタは62.85パーセント,栗本鐵工所は26.97パーセント,日本鋳鉄管は10.18パーセントと合意され,各社各地区の配分シェアも決定された。これに基づいて現場において上記の方法によつ受注調整が実行された。エ平成9年度においては,同年7月9日ごろ,東京都新宿区内にある社団法人日本水道協会の会議室において,クボタら3社の営業部長クラスの会議が開かれ,各社から集計された資料に基づき,平成9年度における各社に対する全国配分シェアは,被告クボタは62.91パーセント,栗本鐵工所は26.95パーセント,日本鋳鉄管は10.14パーセントと合意され,各社各地区の配分シェアも決定され,そのうち中部地区のシェアは被告クボタが65.00パーセント,栗本鐵工所が24.20パーセント,日本鋳鉄管が10.80パーセントと決定された。これに基づいて され,各社各地区の配分シェアも決定され,そのうち中部地区のシェアは被告クボタが65.00パーセント,栗本鐵工所が24.20パーセント,日本鋳鉄管が10.80パーセントと決定された。これに基づいて現場において上記の方法によって受注調整が実行された。オ四日市市においては,平成8年度までは,単価同調方式による随意契約によって鋳鉄管の購入が行われていた。単価同調方式というのは,各年度当初に,製造業者に鋳鉄管の単価を入札させ,最も低い単価を入札した者からその年間を通じて鋳鉄管を購入するもので,その単価に同意する業者も契約に参加できる方式である。ところが,四日市市では,平成9年度から指名競争入札の方法を採用した。その入札に加わったのは当然クボタら3社だけである。その入札の結果は,3社が順番にほとんど同じ単価で落札し,しかも平成8年度とほとんど同じ単価で落札した。そして,20回の入札のうち5回は複数回入札で落札したが,それぞれ最低価格入札者は変わらなかった。(2) 以上の事実を総合すれば,クボタら3社は以前から厳密な配分シェアを定め,これを維持するため入札の談合等によって受注調節を行い,よって高い利益を維持してきたものであり,地方公共団体による入札案件においては例外なく談合を行ってきたものと認められる。 落札し,しかも平成8年度とほとんど同じ単価で落札した。そして,20回の入札のうち5回は複数回入札で落札したが,それぞれ最低価格入札者は変わらなかった。(2) 以上の事実を総合すれば,クボタら3社は以前から厳密な配分シェアを定め,これを維持するため入札の談合等によって受注調節を行い,よって高い利益を維持してきたものであり,地方公共団体による入札案件においては例外なく談合を行ってきたものと認められる。すなわち,例外的に自由競争を認めると,価格の下落をきたし,上記の配分シェアーに狂いを生じるし,一旦下落した価格を元に戻すことは困難であるから,シェアー協定は共存共栄策として互いに厳重に遵守し合っていたことからも,入札案件においては例外なく談合が行われていたものと認められる。したがって,本件の四日市市における平成9年度のダクタイル鋳鉄管の20回にわたる入札においても,クボタら3社は談合したものと推認するのが相当である。そして,原告らのいう一位不 いたものと認められる。したがって,本件の四日市市における平成9年度のダクタイル鋳鉄管の20回にわたる入札においても,クボタら3社は談合したものと推認するのが相当である。そして,原告らのいう一位不動の現象は,必ずしも談合に特有の現象とは言い切れないが,少なくとも本件においては,他の証拠と対比するときは,一位不動の現象は談合の存在に符合するものである。すなわち,本件各入札においては,その入札実施日の直前ころ,クボタら3社は,各担当者らが互いに通謀して落札予定会社を定め,落札予定会社は,ほぼ従来と同じくらいの単価で入札価格を決めるが,同時に,1回目の入札で落札しない場合に備えて3回目くらいまで少しずつ下げた価格も決め,他の2社にはこれらの価格よりも少し高い価格で入札するよう通知し,落札予定会社が確実に落札できるように工作し,これを実行したものと推認される。4 争点(4) 被告A,同B,同Cの責任について被告A,同B,同Cが本件入札当時クボタら3社による前記配分シェア協定ないしこれに基づく本件入札における談合の事実を知っていたことを認めるに足りる証拠はない。本件入札について談合の情報が流れた事実もない。そして,証拠(甲4,乙イ2,4,9,被告C)によれば,四日市市では平成8年度以前にはいわゆる単価同調方式によって鋳鉄管を購入していたが,被告A,同B,同Cらは,プロジェクトチームを設置して契約方法を検討のうえ,平成9年6月から購入方式を改善し,指名競争入札方式に改めたこと,平成9年度における落札価格は平成8年度の価格とほぼ同額となったが,広く価格積算に利用されている「建設物価」や「積算資料」の価格より安価であったので,同被告らは落札価格は妥当であると判断していたこと,平成9年8月には,競争性を高める意図で,口径ごとに入札する方法を 告A,同B,同Cらは,プロジェクトチームを設置して契約方法を検討のうえ,平成9年6月から購入方式を改善し,指名競争入札方式に改めたこと,平成9年度における落札価格は平成8年度の価格とほぼ同額となったが,広く価格積算に利用されている「建設物価」や「積算資料」の価格より安価であったので,同被告らは落札価格は妥当であると判断していたこと,平成9年8月には,競争性を高める意図で,口径ごとに入札する方法を く価格積算に利用されている「建設物価」や「積算資料」の価格より安価であったので,同被告らは落札価格は妥当であると判断していたこと,平成9年8月には,競争性を高める意図で,口径ごとに入札する方法を口径の異なるものを一括して入札するなど,一度に多量に発注する方式としたこと,入札談合情報が寄せられた場合に備え,要綱やマニュアルを作成し,入札調査委員会に調査審議を委ねたり,聴き取り調査をするなどの手順を定めたこと,入札執行に際して談合等不正の事実を掴んだ場合は警察に通報する態勢であったこと,四日市市には強制的な捜査権や調査権はないので,確たる証拠もないまま談合等不正があるとして,落札者との契約締結を拒否することはできないこと,クボタら3社間のシェア協定の存在が発覚したのは,平成10年5月における公正取引委員会の立入調査に関する報道によることなどの各事実が認められる。これらの事実によれば,同被告らが本件談合の事実を認識し得なかったことには相応の理由があり,かつ,四日市市の職員として談合の防止のため応分の努力をしていたものというべきであるから,同被告らには本件契約の締結について故意又は過失を認めることはできない。よって,同被告らは損害賠償責任を負わないものである。5 争点(5) 四日市市の損害についてクボタら3社は入札案件において談合することによって単価の下落を避け,単価をつり上げていたのであるから,それによって四日市市に対して損害を与えたことになる。その損害額は,現実の落札価格と自由競争によって形成されるであろう価格との差額であるということができる。しかし,本件においては,自由競争において形成された価格の前例がないのであるから,これを判断の資料とすることができない。原告らは,購入額の20パーセントが損害額に相当すると主張するが とができる。しかし,本件においては,自由競争において形成された価格の前例がないのであるから,これを判断の資料とすることができない。 現実の落札価格と自由競争によって形成されるであろう価格との差額であるということができる。しかし,本件においては,自由競争において形成された価格の前例がないのであるから,これを判断の資料とすることができない。原告らは,購入額の20パーセントが損害額に相当すると主張するが とができる。しかし,本件においては,自由競争において形成された価格の前例がないのであるから,これを判断の資料とすることができない。原告らは,購入額の20パーセントが損害額に相当すると主張するが,これを裏付けるに足りる証拠はない(甲4,6は証拠とするには不十分)。そもそも自由競争における落札価格は入札当時の経済情勢のほか,購入品の種類・数量,発注件数,地域,入札業者の落札意欲・価格競争能力・積算予測能力,業者数等の諸条件が複雑に絡み合って形成されるものであるから,自由競争価格を正確に算出することはほとんど不可能であるといわざるを得ない。なお,国内販売品の価格と輸出品の価格とを比較しても,その価格形成要素が著しく異なるから,対比の意味がない。結局,本件においては談合が行われなければ落札価格が下落するという意味において,四日市市に財産的損害が生じたこと自体は推認できるものの,同損害額の算定には極めて種々の仮定的条件を基礎としなければならないため,その算定には著しい困難を伴うものである。また,損害賠償請求事件においては,その性質上,確度の高い損害率を選ぶ必要がある。そこで,当裁判所は,本件においては民事訴訟法第248条を適用し,証拠調の結果及び弁論の全趣旨を考慮した結果,その損害額を契約金額の10パーセントと認定することとする。落札価格合計は1億1503万7600円であるので,消費税を加算すると,契約金額合計は1億2078万9480円である。したがって,損害額は,1207万8948円となる。原告は四日市市に対して原告の弁護士費用を請求できるので(地方自治法第242条の2第7項),これに相当する金額は同市の損害となるから,その損害額として100万円を認めることとする。よって,損害額合計は1307万8948円となる。6 結論 できるので(地方自治法第242条の2第7項),これに相当する金額は同市の損害となるから,その損害額として100万円を認めることとする。よって,損害額合計は1307万8948円となる。6 結論以上の事実によれば,原告の請求は被告クボタに対して損害賠償金1307万8948円及びこれに対する平成10年6月10日(本訴状送達の翌日)から支払済みに至るまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるのでこれを認容し,同被告に対するその余の請求及びその余の被告らに対する請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 は1307万8948円となる。6 結論以上の事実によれば,原告の請求は被告クボタに対して損害賠償金1307万8948円及びこれに対する平成10年6月10日(本訴状送達の翌日)から支払済みに至るまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるのでこれを認容し,同被告に対するその余の請求及びその余の被告らに対する請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。なお,仮執行宣言は相当でないからこれを付さないものとする。津地方裁判所民事部裁判長裁判官山川悦男裁判官後藤隆裁判官西村康一郎は,転勤のため,署名押印することができない。裁判長裁判官山川悦男
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