【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 理 由 被告人A弁護人中川大三郎同吉岡大輔上告趣意第一点について。 刑訴第四一〇条第一三号にいわゆる「法律ニ依リ公判ニ於テ取調
主 文 本件上告を棄却する。 理 由 被告人A弁護人中川大三郎同吉岡大輔上告趣意第一点について。 刑訴第四一〇条第一三号にいわゆる「法律ニ依リ公判ニ於テ取調フヘキ証拠ノ取 調ヲ為ササリシトキ」とは、例えば同法第三四二条のように、特に法律の明文をも つて公判廷において取調ぶべきことを規定している場合に裁判所がその取調をしな かつたときを指すものである。従つて、本件のごとく公判廷でなされた証人申請及 び鑑定申請を事案の審理に必要なきものと認めて却下した場合は、これに該当しな いことは明かであると言わねばならぬ。論旨は、それ故に理由がない。 同第二点について。 憲法が基本的人権の尊重を保障していること従つてあらゆる国家機関がその尊重 に留意すべきことは、まさに論旨の言うとおりである。しかし、犯罪を犯した者は、 これに相応する刑罰制裁を受けなければならないこともまた当然である。原判決に よれば被告人は「長さ一尺四寸、幅七寸、厚さ五寸位の石を被告人二人で線路に運 び之を軌条の上に倒しかけて乗せた」のであり、かかる行為から汽車破壊という結 果の生ずべきことは実験法則上容易に認め得られるところである。それ故、被告人 は現実に生じた汽車破壊という結果に対して刑責を負わなければならぬ。弁護人は 若し前照燈が点火されていたならば、本件の障害物は発見し得られ、急停車の処置 がとられ、障害物に衝突することなく、汽車の破壊という結果は生じなかつたであ ろうと主張して、これに関する証人訊問及び鑑定申請を重要であると論ずるのであ る。しかし、かかる民法不法行為による損害賠償における過失相殺の理論に似た主 張は、刑法の罪責には全く妥当しない。被告人の行為と汽車破壊という結果との間 に前記一連の事実の介入の可能性の有無乃至程度は、すでに現実に発生した本件結 - による損害賠償における過失相殺の理論に似た主 張は、刑法の罪責には全く妥当しない。被告人の行為と汽車破壊という結果との間 に前記一連の事実の介入の可能性の有無乃至程度は、すでに現実に発生した本件結 - 1 - 果に対する被告人の刑事責任にとつては風馬牛相関せざるところである。されば、 本件証人訊問及び鑑定の申請を必要なしとして却下した原審の処置は、何等憲法に 違反するところはない。論旨は理由なきものである。 同第三点について。 所論弁護人の証拠調の請求に対し、原審公判調書において「裁判長は合議の上右 証拠は何れも取調の必要なきものと認めて却下すと告げた」旨記載されているのは、 裁判長が証拠調の請求を却下する旨の決定を言渡した趣旨に他ならないから、これ をもつて公判においてなした証拠調の請求につき決定をしなかつたものであると言 う論旨は当を得ない。 よつて刑訴第四四六条に従い主文のとおり判決する。 この判決は裁判官全員の一致した意見である。 検察官 橋本乾三関与 昭和二三年六月九日 最高裁判所大法廷 裁判長裁判官 塚 崎 直 義 裁判官 長 谷 川 太 一 郎 裁判官 澤 田 竹 治 郎 裁判官 霜 山 精 一 裁判官 井 上 登 裁判官 栗 山 茂 裁判官 真 野 毅 裁判官 庄 野 理 一 裁判官 島 保 裁判官 齋 藤 悠 輔 - 裁判官 庄 野 理 一 裁判官 島 保 裁判官 齋 藤 悠 輔 - 2 - 裁判官 藤 田 八 郎 裁判官 岩 松 三 郎 - 3 -
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