【DRY-RUN】主 文 本件控訴を棄却する。 附帯被控訴人は附帯控訴人に対し金二二万一四六一円及びこれに対する昭和五七 年五月二八日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 附帯被控訴人は附帯控訴人
主文 本件控訴を棄却する。 附帯被控訴人は附帯控訴人に対し金二二万一四六一円及びこれに対する昭和五七年五月二八日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 附帯被控訴人は附帯控訴人に対し金一〇万一九二五円を支払え。 附帯控訴人のその余の請求を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とし、附帯控訴費用はこれを四分し、その一を附帯控訴人の負担とし、その三を附帯被控訴人の負担とする。 この判決は第二項に限り仮に執行することができる。 事実 控訴代理人は、「原判決を取り消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人(附帯控訴人)は、控訴棄却の判決を求め、附帯控訴として、「(一)附帯被控訴人は附帯控訴人に対し金二二万一四六一円及びこれに対する昭和五七年五月二八日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。(二)附帯被控訴人は附帯控訴人に対し金二二万一四六一円を支払え。」との判決並びに(一)につき仮執行の宣言を求め、附帯被控訴代理人は、附帯控訴棄却の判決を求めた。 当事者双方の事実上の陳述、証拠の提出、援用及び認否は、次に付加するほか、原判決の事実摘示と同一であるから、これを引用する。 (附帯控訴人の陳述)附帯控訴人は、昭和五四年九月二一日から昭和五七年二月二〇日までの間に別紙計算書(その一)のⅡ「未払割増賃金」欄記載のとおり時間外労働をした。附帯被控訴人は、右時間外労働に対して、昭和五四年九月二一日から昭和五五年三月三一日までは従前どおり乗務手当だけを割増賃金算定の基礎額に加えて算出した割増賃金を支払い、昭和五五年四月一日からは段階的に住宅手当を除く他の手当を割増賃金算定の基礎額に加えて算出した割増賃金を支払つた。また、昭和五六年一二月二一日から昭 金算定の基礎額に加えて算出した割増賃金を支払い、昭和五五年四月一日からは段階的に住宅手当を除く他の手当を割増賃金算定の基礎額に加えて算出した割増賃金を支払つた。また、昭和五六年一二月二一日から昭和五七年二月二〇日までは従前の日払賃金が月払賃金に改訂された。しかし、右のように算出して支払われた割増賃金の額はなお労働基準法所定の計算によつて支払われるべき割増賃金の額に足りず、その差額は別紙計算書(その一)のⅡ「未払割増賃金」欄記載のとおりであつて、昭和五四年九月二一日から昭和五七年二月二〇日までの合計額は、一一万六七〇四円となる。 次に、附帯被控訴人は、昭和五二年九月二一日から昭和五七年二月二〇日までの間に附帯控訴人が負担すべき社会保険料を別紙計算書(その二)記載のとおり附帯控訴人に補給した。右補給金も割増賃金算定の基礎額に加算すべきであるのに、附帯被控訴人はこれをしていない。右補給金を割増賃金算定の基礎額に加算した場合に附帯控訴人が支給を受けるべき割増賃金の増加額は別紙計算書(その二)のⅡ「未払賃金」欄記載のとおりであつて、その昭和五二年九月二一日から昭和五七年二月二〇日までの合計額は一〇万四七五七円となる。 よつて、附帯控訴人は附帯被控訴人に対し、請求の趣旨(一)のとおり、右未払割増賃金合計二二万一四六一円及びこれに対する昭和五七年五月二一日付訴変更(請求の拡張)申立書が附帯被控訴人に送達された日の翌日である同月二八日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払を、請求の趣旨(二)のとおり、右未払割増賃金額と同額である金二二万一四六一円の労働基準法一一四条所定の附加金の支払を求める。 (附帯被控訴代理人の陳述)昭和五四年九月二一日から昭和五七年二月二〇日までの間の割増賃金として附帯被控訴人が附帯控訴人に対して、支払つた金額 円の労働基準法一一四条所定の附加金の支払を求める。 (附帯被控訴代理人の陳述)昭和五四年九月二一日から昭和五七年二月二〇日までの間の割増賃金として附帯被控訴人が附帯控訴人に対して、支払つた金額が労働基準法所定の計算によつて支払われるべき割増賃金額に足りないこと、及び附帯被控訴人が附帯控訴人に補給した社会保険料額を割増賃金算定の基礎額に加算すべきことについては、これを争うが、その余の附帯控訴人の主張事実は全部認める。 社会保険(本件においては、健康保険、厚生年金保険及び雇用保険)の保険料における事業主と被保険者との負担割合は、所定の各法律(健康保険法七二条、厚生年金保険法八二条、労働保険の保険料の徴収等に関する法律三〇条など)によつて、各二分の一あるいは九対五・五などと定められているが、附帯被控訴人とその労働組合との間においては、協定により附帯被控訴人が社会保険料の七割を負担することになつており、そのうち附帯被控訴人の法定外負担分を各組合員に支給しているのが附帯控訴人主張の補給金であつて、これはその性質上使用者の被用者に対する福利厚生費の支弁であり、労働の対償たる賃金には当たらないから、割増賃金算定の基礎額に加算すべきものではない。 (証拠) 省略 理由 当裁判所も、被控訴人の控訴人に対する請求(当番で拡張した部分を含む。)は、当審で拡張した請求のうち金一〇万一九二五円を超える附加金の支払を求める部分は理由がないから、これを失当として棄却すべきであるが、その余の請求は理由があるから、これを正当として認容すべきであると判断する。その理由は、次に附加するほか、原判決の理由説示と同一であるから、これを引用する。 控訴人は、もし被控訴人の本訴請求が認容され、控訴人において他の従業員に対しても被控訴人に対すると同じ支払を する。その理由は、次に附加するほか、原判決の理由説示と同一であるから、これを引用する。 控訴人は、もし被控訴人の本訴請求が認容され、控訴人において他の従業員に対しても被控訴人に対すると同じ支払をしなければならなくなると、控訴人の経営に破綻を来たすおそれがあると主張し、控訴人代表者は当審において、控訴人の昭和五七年九月期における累積赤字は四億円強に達するところ、もし被控訴人の本訴請求が認容され他の従業員に対してもこれと同様の割増賃金等の追給をしようとすると更に一億円以上の財源が必要である旨供述するが、過去の賃金請求権は二年間これを行わないときは時効によつて消滅するから(労働基準法一一五条)、二年分の追給財源を考慮すれば足り、これを、後に認定の被控訴人の昭和五五年二月二一日から昭和五七年二月二〇日までの未払割増賃金額合計一二万二六一四円(別紙計算書その一、その二)を一応平均値とみて(原審における被控訴人の本人供述によると、被控訴人は、昭和五五年七月三〇日現在満三一歳、勤続年数約一〇年と認められる。)従業員一六〇名(当審における控訴人代表者の本人供述)に及ぼし試算すると、約二〇〇〇万円を要するに過ぎず、当審における控訴人代表者の「被控訴人の時間外労働時間数は平均値より少ない」旨の本人供述及び割増賃金額と同額の附加金の支払義務(ただし、従業員各自が裁判所に訴求しなければならない。)を考慮しても、右の程度の財源調達の困難をもつて強行規定である労働基準法三七条所定の割増賃金支払義務を免れる理由とすることはできないというべきである。 被控訴人が当審で拡張した割増賃金の請求について、その請求原因として、被控訴人が主張した事実は、控訴人が昭和五四年九月二一日から昭和五七年二月二〇日までの間の被控訴人に対する割増賃金として支払つた金額が労働基準法所定の した割増賃金の請求について、その請求原因として、被控訴人が主張した事実は、控訴人が昭和五四年九月二一日から昭和五七年二月二〇日までの間の被控訴人に対する割増賃金として支払つた金額が労働基準法所定の計算によつて支払われるべき割増賃金額に足りないこと、及び控訴人が被控訴人に補給した社会保険料の額を割増賃金算定の基礎額に加算すべきことの二点を除いて、当事者間に争いがない。 控訴人は、被控訴人に補給した別紙計算書(その二)記載の社会保険料は福利厚生費の支弁であつて賃金ではないと主張するが、右保険料補給の対象となつている社会保険は健康保険、厚生年金保険及び雇用保険であること控訴人の自認するところであり、右各保険においては、労働者がその被用者たる資格において、各人の受ける賃金(報酬)の額に応じて保険料の一部を賃金(報酬)の中から出捐して負担すべきことが法定されているのであるから、その被用者負担部分の全部又は一部を使用者が替つて負担するときは、その代替負担部分は実質上賃金の増給とみるべきであつて、労働基準法三七条所定の割増賃金算定の基礎となる賃金に含ましめるべきものといわなければならない。控訴人の主張は理由がない。 そうすると、前記争いのない事実及び引用にかかる原判決の理由説示によれば、控訴人は被控訴人に対して別紙計算書(その一)(その二)に記載の割増賃金合計二二万一四六一円及びこれに対する被控訴人の昭和五七年五月二一日付訴変更(請求の拡張)申立書が控訴人に送達された日の翌日であること記録上明らかな同月二八日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金を支払うべきである。 被控訴人は、労働基準法一一四条の規定に基づき前認定の割増賃金額と同額の附加金の支払を命ずべきことを求めるが、同規定によれば、附加金の請求は使用者が同法三七条の規定に違反して割 支払うべきである。 被控訴人は、労働基準法一一四条の規定に基づき前認定の割増賃金額と同額の附加金の支払を命ずべきことを求めるが、同規定によれば、附加金の請求は使用者が同法三七条の規定に違反して割増賃金を支払わなかつた時から二年以内にしなければならないのであるから、被控訴人の右請求は、前記申立書が当裁判所に提出された昭和五七年五月二一日から遡つて二年以内に支払われるべき割増賃金である昭和五五年四月二一日から同年五月二〇日までの分(同月二五日支払)以降の割増賃金の合計額と同額の附加金の支払を求める限度でのみ理由があるというべく、別紙計算書(その一)(その二)によれば、その金額は合計金一〇万一九二五円となる。 したがつて、被控訴人が当審で拡張した附加金請求のうち金一〇万一九二五円を超える部分は理由がない。 よつて、原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないから、これを失当として棄却し、被控訴人が附帯控訴により当審で拡張した請求は、主文第二項及び第三項記載の限度で理由があるから、これを正当として認容し、その余の請求は理由がないから、これを失当として棄却することとし、控訴費用及び附帯控訴費用の負担につき民訴法九五条、八九条、九二条を、仮執行の宣言につき同法一九六条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官中川幹郎高橋欣一菅英昇)<04775-001><04775-002><04775-003>Ⅱ 未払割増賃金<04775-004><04775-005>Ⅱ 未払賃金<04775-006><04775-007>
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