【DRY-RUN】○ 主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実 第一申立 一 原告 被告が原告に対して昭和五三年六月二七日付でした昭和五二年分所得税についての 更正処分(税額金八〇万二、三〇
○ 主文原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実第一申立一原告被告が原告に対して昭和五三年六月二七日付でした昭和五二年分所得税についての更正処分(税額金八〇万二、三〇〇円)のうち税額金四一万一、六〇〇円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 との判決。 二被告主文同旨の判決。 第二主張一原告の請求の原因事実(一) 原告は、原告の昭和五二年分所得税につき、法定申告期限内に別表一の「確定申告」欄記載のとおりの申告をしたところ、被告は、昭和五三年六月二七日付で同表の「更正」欄記載のとおりの更正処分を行うとともに、金一万九、〇〇〇円の過少申告加算税賦課決定処分を行つた(以下右更正処分を本件更正処分と、右過少申告加算税賦課決定処分を本件賦課決定処分といい、あわせて本件各処分という)。 原告は、同年八月二八日、本件各処分を不服として被告に対し異議の申立をしたが、被告は、同年一〇月三一日付でこれを棄却する旨の決定をした。そこで、原告は、更に、同年一二月一日付で国税不服審判所長に審査請求をしたが、同所長は、昭和五四年三月一二日付でこれを棄却する旨の裁決をし、右裁決書謄本は、同年四月一〇日、原告に送達された。 (二) しかし、本件更正処分のうち原告の確定申告税額金四一万一、六〇〇円を超える部分及び本件賦課決定処分は、内容的に違法であるから、原告は、これを取り消すよう求める。 二被告の認否及び主張(認否)(一) の事実は認める。ただし、裁決書謄本が昭和五四年四月一〇日原告に送達されたことは不知。 (二) のうち、本件各処分が違法であることは争う。 (主張)本件各処分は、次のとおり適法である。 (一) 原告及びその合算対象世帯員の昭和五二年分の所得金額は、別表一の「更正 されたことは不知。 (二) のうち、本件各処分が違法であることは争う。 (主張)本件各処分は、次のとおり適法である。 (一) 原告及びその合算対象世帯員の昭和五二年分の所得金額は、別表一の「更正」欄における所得金額欄記載のとおりである。 (二) 1原告に対する医療費控除、社会保険料控除、生命保険料控除及び基礎控除の各金額は、同表の「更正」欄における各該当欄記載のとおりである。 2 (1)原告には、長男訴外A、長女訴外B、次女訴外Cの三名の生計を一にする子があるが昭和五二年中に、Aは金一八万一、〇〇〇円、B及びCは各金一二万二、〇〇〇円の配当所得を得た。 (2) したがつて、所得税法(以下法という)二条一項一二四号、三三号ハにより、Aら三名は扶養親族にあたらないから、原告の所得税に関し扶養控除を受けない。右条項は、後にのべるとおり、憲法一四条一項に違反するものではない。 3 (1)原告には、生計を一にする配偶者である訴外Dがあり、同訴外人は、法九六条四号の合算対象世帯員であるが、昭和五二年中に社会保険料として、その給与から控除される方法により、金二一万円を支払つた。 (2) しかし、右金額は、Dの給与から控除されるべきものであるから、法九八条四項二号により、原告の所得税に関し社会保険料として控除を受けない。右条項は、後にのべるとおり、憲法一四条一項に違反するものではない。 (3) なお、右社会保険料金二一万円は、別表二の「更正」欄のとおり、Dの昭和五二分の所得税における社会保険料控除の対象として扱われている。 (三) Aら三名の子が、原告の扶養親族でないことは前記のとおりであるから、昭和五二年分所得税の特別減税のための臨時措置法(昭和五三年法律第四五号。以下減税臨時措置法という)三条、四条一項、一一条によつて扶養親族分の特別減税をうける場合にあ ことは前記のとおりであるから、昭和五二年分所得税の特別減税のための臨時措置法(昭和五三年法律第四五号。以下減税臨時措置法という)三条、四条一項、一一条によつて扶養親族分の特別減税をうける場合にあたらない。 (四) そこで、原告の昭和五二年分の所得税額を算出すると別表一の「更正」欄の「納税額」欄(26)記載の額であり、本件更正処分は適法である。また、右金額を前提とする本件賦課決定処分も適法である。 (五) 法二条一項三四号及びこれが引用する限りでの同項三三号並びに法九八条四項二号は、いずれも憲法一四条一項に違反するものではない。すなわち、 1 租税法の内容をどのように定めるかという租税政策は、国家の財政政策の一部を構成するが、これは、同時に国家の経済政策の一端を占めるものでもあるの租税政策が財政政策として取りこまれるときは、国民の間の所得の再分配、政府部門と民間部門との間の資源の適正な配分等の考慮が働く。また、租税政策が経済政策として取りこまれるときは、好況期においては増税による財政収入の拡大を図ることによつて、景気の鎮静化、物価上昇の抑止策がとられ、反対に、不況期においては減税を通じて需要の増大策がとられる。 さらには、住宅取得控除あるいは生命保健料控除の制度のように、租税政策が国民の住宅取得及び生命保健への加入を奨励するように、租税制度が国家の社会政策を推進実現する一手段として使用されている場合もあるのである。このように今日では、租税政策をどのように定めるかは、国家の経済政策、社会政策と深い関わりをもつが、それ故に租税政策の具体的内容の定立は、すぐれて技術的、政策的判断を反映するものであつて、立法府の自由な裁量に委ねられているところである。したがつて、租税法規の合憲性を憲法一四条一項の平等条項との関係で問う場合は、当該立法が違憲である すぐれて技術的、政策的判断を反映するものであつて、立法府の自由な裁量に委ねられているところである。したがつて、租税法規の合憲性を憲法一四条一項の平等条項との関係で問う場合は、当該立法が違憲であるか否かを判断すべき基準としては、その法規が明らかに合理性を欠き、立法府がその裁量権の範囲を逸脱したと認められる場合に限りこれを違憲とするという、いわゆる「合理性の基準」によるべきである。 2 法二条一項三四号及びこれが引用する限度における同項三三号について(1) 一般的な人的控除制度の制定(昭和二二年)の趣旨は、最低生計費、基準生計費ないしは標準生計費に対応する部分を課税外におき、担税力のない者には、課税最低限を設定することによつて納税義務を免除しようとすることにある。 そして、課税最低限の機能として、昭和四一年度税制改正答申では、次の四点をあげている。 (ア) その時々の国民生活水準からみて通常必要とされる生計費に対応する部分を課税外におくこと。 (イ) 納税者数を税務行政上処理可能な程度以内に保つこと。 (ウ) 税率とともに所得税の累進構造を形成し、所得の低い階層の累進度を大きく緩和すること。 (エ) 家族の構成内容、家族数等に応じて税負担の差等を設け、応能負担に適合せしめること。 以上に述べたとおり、課税最低限を画する人的控除制度は、所得税法体系が国民の負担能力に適応しつつ、所得再分配機能を発揮できるよう、国民の所得水準、生活水準、貯蓄水準や所得階層分布に照らし、右最低限度を妥当な水準に維持するという優れて、合目的的、立法政策的な観点から設けられたものであり、立法府の裁量によつて年々所要の調整が加えられて現行の控除制度が定立されているのである。 そして、右制度は、税率と相まつて、所得税法体系において、適正な累進構造を形成せしめているのである。 であり、立法府の裁量によつて年々所要の調整が加えられて現行の控除制度が定立されているのである。 そして、右制度は、税率と相まつて、所得税法体系において、適正な累進構造を形成せしめているのである。 (2) 所得税法が扶養控除の対象となる扶養親族を定義するにあたつて、一定の所得限度額を定めたのは、扶養親族に多少の所得があつてもしいて追求せず、所得がない場合と同様に、扶養控除を差し引くことを認めるというものである。 もちろん、限度額以下の所得があることには、変りなく、その所得がある世帯とない世帯との均衡を図る見地から、次のような仕組をとることも検討に値する。 甲扶養控除の対象となる扶養親族の所得を扶養親族を有する者の所得に合算したうえで所得税を課税する。 乙通常の扶養控除額から扶養親族の所得を差し引いた残額をこれらの控除額とする。 しかし、第一に、我が国の所得税課税は、明治二〇年の制度創設以来、「家」の制度を反映して、同居親族全員の所得を合算して課税する制度を抹用してきたものを、昭和二四年のシヤウブ勧告によつて、根本的に改正し、以後、稼得者個人の所得に課税する原則を採用し、今日に至つているのである。すなわち、シヤウブ勧告は、(ア)世帯合算課税は世帯間に税負担の不均衡をもたらしていること、(イ)右世帯合算課税制度は世帯分割の誘因となること、(ウ)同居の事実の有無の判定が困難であるうえ、世帯合算課税の制度は税務執行を複雑化していること、等の好ましくない結果を生じているので、従来の世帯合算課税の制度を改めて所得稼得者を単位として課税すべきであると勧告し、以後、これに従つて稼得者課税が原則とされているのである。 思うに、新憲法が戦前の家族制度を否定し、個人主義を標傍していること、かつ、新憲法制定後三〇余年を経て次第に我々の日常生活に個人主義が浸透して 後、これに従つて稼得者課税が原則とされているのである。 思うに、新憲法が戦前の家族制度を否定し、個人主義を標傍していること、かつ、新憲法制定後三〇余年を経て次第に我々の日常生活に個人主義が浸透してきたという実績からしても、このような稼得者個人に対する課税が制度として採用され、かつ、持続されてきたのは、当然のことなのである。 第二に、前記甲、乙のような仕組みは、いたずらに税制を複雑にするだけで、制度の簡素化の見地からして、少額なものはあえて追求しないこととする方がより望ましいといえる。 そこで、稼得者課税原則を維持し、扶養親族に一定以下の所得があつてもこれを追求せず、所得がない場合と同様扶養控除を行うという措置が採用され、立法府において法律として制定されているのである。 ところで、このような考え方からすると、扶養親族の要件である所得限度額の引上げには、おのずから限度がある。すなわち、この制度は、扶養親族に一定の所得があつても、所得税の課税上、これを課税外におくとともに、扶養親族がある者の所得から扶養控除として差し引くというものであるから、結局、一定の所得と扶養控除との合計額の控除を受けるのと同じ結果となる。一方、扶養される者に所得限度額を超える所得がある場合には、扶養親族がある者の所得から扶養控除が差し引かれることはない。そこで、扶養親族に限度額を超える所得がある世帯と限度額を超えない所得の世帯との両者の負担のバランスを考慮して、現行の所得限度額となつて法定化されているわけである。 (3) 右に述べたところを、現行法に至る法改正にてらしてみる。 「扶養親族」の定義について、法が一定限度に達しない所得のある者をも含めたのは、少額の所得のある者をも、全く所得のない者と同一に取り扱い、もつて徴税の効率化を図ることにあつたことは、前述のとおりである 扶養親族」の定義について、法が一定限度に達しない所得のある者をも含めたのは、少額の所得のある者をも、全く所得のない者と同一に取り扱い、もつて徴税の効率化を図ることにあつたことは、前述のとおりである。そして、この所得の限度額については、別表三記載のとおり改正がなされた。これらの改正の趣旨とするところは、年々、世帯主の扶養を受けている親族が家計を援助するために稼働する事例が多くなつてきたこと及び慢性的な物価上昇が続いていること等に鑑みて、逐次、最低限度を引き上げるということであり、ついに現行の所得限度額になつたのである。 この反面、勤労に従事せずして所得を得た資産所得者については、別表三に示すとおり改正の対象から長らく除外され、昭和四六年になつてようやく最低限度額は五万円から一〇万円に引上げられたのである。 他方、扶養控除額については、課税最低限を決めるにあたつて、その時々の生活水準、物価水準を反映して、別表三のとおり毎年のように改正されて引き上げられた。 このように、立法府は扶養親族の定義を定めるための所得限度額の設定と扶養控除額の設定とは、元々別個の観点から定め、各々他の改正とは関わりなく独立して改正してきたのであるが、これは両者を別個に取り扱うことに合理性を見出していたからである。 (4) 法二条一項三四号の引用する同項三三号が、扶養控除の対象となる扶養親族を定義するにあたり、その所得の全部が自己の勤労に基づいて得た事業所得、給与所得、退職所得又は雑所得(以下給与所得等という)である場合は、合計所得金額が二〇万円以下、給与所得等以外の所得である場合は、合計所得金額が一〇万円以下である者とした趣旨は、以下に述べるとおりである。 昭和四一年までは、扶養控除の対象となる扶養親族は、一律にその年間の合計所得金額が五万円以下に限るとされていた。 る場合は、合計所得金額が一〇万円以下である者とした趣旨は、以下に述べるとおりである。 昭和四一年までは、扶養控除の対象となる扶養親族は、一律にその年間の合計所得金額が五万円以下に限るとされていた。しかし、当時、その親族が家計の生活水準を維持するために、世帯主の収入の一助としてやむなく勤労に従事する事例が多く見受けられ、その結果、扶養控除が受けられなくなるため、その実情に即するように、昭和四二年度において、給与所得等についてのみ所得限度額が一〇万円以下に引き上げられた。なお、給与所得等以外の所得である場合には、家計の生活水準を維持するために生じたものでない不労所得であることから、担税力の差異に鑑み、五万円に据置かれた。 その後、同趣旨による改正が行われ、現行の所得限度額になつた。 3 法九八条四項二号について前述のとおり、現行所得税法制は、稼得者課税原則を採用しているのであるが、所得のうち資産所得(利子所得・配当所得・不動産所得)は、通常世帯主の支配にゆだねられることが多く、また、その性質上、名義を分散することも容易であり、旧法(昭和二三年改正前)のように資産所得者に対して個別に累進税率を適用することとすると、資産を世帯員の間に分散して、資産所得に対する課税を回避するという幣害が生じ、税負担に著しい差異が生ずることとなる。そこで、昭和三二年度の税制改正で実情に即応した課税を行うこととするため、資産所得の合算課税制度が設けられた。 これにより、資産所得については、これを主たる所得者の所得とみなすかわりに、所得控除についても主たる所得者が支払つたものとみなすこととされたのである。 しかし、この制度の制定の当初から、合算対象世帯員の「給与から差引かれる社会保険料」については、次の理由により主たる所得者の控除の対象から除かれ、合算対象世帯員の給与 とみなすこととされたのである。 しかし、この制度の制定の当初から、合算対象世帯員の「給与から差引かれる社会保険料」については、次の理由により主たる所得者の控除の対象から除かれ、合算対象世帯員の給与所得から控除することとされた。 (1) 社会保険料は、合算対象世帯員の給与収入(給与収入は資産合算の対象にならない)から、差し引かれるものである。 (2) 給与から差引かれる社会保険料は、制度上、給与にスライドして算定されるものである。 (3) 雇用者が右社会保険料の一部を負担する等給与と支払保険料が技術的に密接に相関性をもつている。 (4) 生命保険料等他の控除項目は、給与と何ら関係ないが、社会保険料は、その支払いが給与収入から直接控除されることで、随伴直結して行われている。 三原告の主張に対する被告の認否及び反論(認否)(一)、(二)の1、(二)の2の(1)、(二)の3の(1)、(3)の各事実は認める。(二)の2の(2)、(二)の3の(2)、(三)ないし(五)の各主張は争う。 (主張)法二条一項三四号及びこれが引用する限りでの同項三三号並びに法九八条四項二号は、いずれも次に述べるとおり憲法一四条一項に違反する。したがつて、原告の所得税に関しては、三名の子がいずれも扶養親族にあたるというべきであり、法八四条に基づき、三名の扶養親族についての扶養控除がなされるべきであると同時に、合算対象世帯員であるDの給与から控除される社会保険料金二一万円について、法九八条四項二号にいう社会保険料一般と等しく扱い、社会保険料控除がなされるべきである。 更に、三名の子が扶養親族にあたるとすれば、減税臨時措置法三条、四条一項、一一条によつて右三名分の特別減税合計九、〇〇〇円が加えられるべきである。 また、本件更正処分における右違法によつて、本件賦課決定処分も違法と が扶養親族にあたるとすれば、減税臨時措置法三条、四条一項、一一条によつて右三名分の特別減税合計九、〇〇〇円が加えられるべきである。 また、本件更正処分における右違法によつて、本件賦課決定処分も違法となるべきものである。 (一) 法二条一項三四号及びこれが引用する限りでの同項三三号について 1 右条項によると、同額の所得を有する者であつて、等しく生計を一にし、給与所得以外の所得がある親族のある者同士であつても、右親族の所得が金一〇万円以下の場合には扶養親族があるものとして法八四条により扶養控除が与えられるのに対し、右親族の所得が金一〇万円を一円でも超えれば、扶養控除は全く与えられない。これは不合理な差別であり、不合理性は明白である。少くとも右親族の所得金額あるいはこれから一定額を差し引いた額と扶養控除額との差額について所得控除が与えられなければ、右不合理は解消されない。この点を敷衍すれば、次のとおりである。 (1) 所得税法体系は、国民の負担能力に適応しつつ、所得再分配機能を発揮出来るよう構成され、所得税法は課税客体を十種類の所得におき、所得の多い者には所得の少ない者より多額の租税を負担させるような適正な累進構造を採用している。適正な累進構造という限り、税負担の結果税引後所得の比較において多くの税負担をした者の税引後所得が税負担の少ない者の税引後所得より一月でも多くなければならない。税負担の結果若し多くの税負担をした者の税引後所得が、少なく税負担した者の税引後所得より少なくなるようなことがあつてはこれこそ不合理ないわれなき差別を規定した法律といわなければならない。ところが、前記規定によると、本人の所得が同じであつても、金一〇万円の給与所得等以外の所得がある子を持つ甲と、金一〇万〇、〇〇一円の給与所得等以外の所得がある子を持つ乙とを比較した ければならない。ところが、前記規定によると、本人の所得が同じであつても、金一〇万円の給与所得等以外の所得がある子を持つ甲と、金一〇万〇、〇〇一円の給与所得等以外の所得がある子を持つ乙とを比較した場合、甲には扶養控除が認められ、乙には否定されるから、乙はより多額の所得税が課せられ、その結果、税引後の所得は甲の方がより多くなる。これは本人の税引後の所得と子の所得を合算して家族単位で比較しても然りである。このことは明らかに不合理である。 (2) 前記規定は、いわゆる家族単位の「課税最低限」に著しい較差を生ぜしめる点でも、明らかに合理性を欠いている。配偶者及び子供三人を有する家族を想定すると、子供三人に各一〇万円の給与所得以外の所得がある甲の家族における課税最低限は、扶養控除額八七万円配当控除額二九万円基礎控除額二九万円と子供三人の配当所得三〇万円合計一七五万円であるのに対し、子供三人に各一〇万〇、〇〇一円の給与所得以外の所得のある乙の家族における課税最低限は、扶養控除が与えられない結果、配偶者控除額二九万円基礎控除額二九万円と子供三人の配当所得三〇万〇、〇〇三円合計八八万〇、〇〇三円となる。家族全体でみれば、わずか三円の所得のちがいが、このよさに著しい較差を生むのである。これは、明らかに不合理である。 (3) 前記規定は、人的控除制度として合理性を有するものではない。 人的控除制度の制定の趣旨は、最低生活費、基準生計費ないしは標準生活費に対応する部分を課税外におき、担税力のないものには、課税最低限を設定することによつて納税義務を免除しようとするにある、とされる。そこで、昭和五二年分の課税最低限の生計費を家族構成夫婦と子供二人の標準世帯に見ると扶養控除額八七万円(一人二九万円として三人分)配偶者控除二九万円基礎控除額二九万円合計一四五万円が試 、とされる。そこで、昭和五二年分の課税最低限の生計費を家族構成夫婦と子供二人の標準世帯に見ると扶養控除額八七万円(一人二九万円として三人分)配偶者控除二九万円基礎控除額二九万円合計一四五万円が試算される。しかるに、当該法案の規定を設けたことにより当該標準世帯の子供三人にそれぞれ給与所得等以外の所得が一〇万〇、〇〇一円あれば人的控除としての扶養控除額八七万円の適用を受けることができなくなり当該家族においての課税最低限の生計費は子供三人の配当所得三〇万〇、〇〇三円を考慮しても八八万〇、〇〇三円ということになる。 課税最低限を画する人的控除制度は、所得税法体系が国民の負担能力に適応しつつ、所得再分配機能を発揮できるよう、国民の所得水準、生活水準、貯蓄水準や所得階層分布に照らし、右最低限を妥当な水準に維持するという優れて、合目的的、立法政策的観点から定立されているとされているにもかかわらず、その人的控除制度が想定する昭和五二年分の妥当な最低限の所得水準・生活水準一四五万円を当該法条の適用により当該家族においては大きく下廻る八八万〇、〇〇三円という課税最低限を生ぜしめる点において、右規定は、人的控除制度としての合理性を欠落せしめているのである。 これに加え、前記規定は、昭和四一年度税制改正答申に於いて人的控除制度制定の趣旨として指摘した課税最低限の機能にも反する不合理性をも生ぜしめている。 (ア) 右答申が「その時々の国民生活水準からみて通常必要とされる生活費に対応する部分を課税外におくこと」としているにもかかわらず当該法条の規定の適用により前述したとおり、昭和五二年分を例によると、通常必要とされる生計費一四五万円を大きく下まわる八八万〇、〇〇三円の生計費にまでも課税する結果を招いている。 (イ) 4答申が「納税者数を税務行政上処理可能な程度以内 り、昭和五二年分を例によると、通常必要とされる生計費一四五万円を大きく下まわる八八万〇、〇〇三円の生計費にまでも課税する結果を招いている。 (イ) 4答申が「納税者数を税務行政上処理可能な程度以内に保つこと」としているが、当該法条の適用により課税最低限を通常必要とする生計費を大きく下廻らせることにより、やたらと納税者数を増加させる結果を招いている。 (ウ) 答申が「税率とともに所得税の累進構造を形成し、所得の低い階層の累進度を大きく緩和すること」としている点についてみても、当該法条の適用により累進度の緩和に逆行する結果を招いている。 (エ) 答申が「家族の構成内容家族数等に応じて税負担の差等を設ける応能負担に適合せしめること」としている点については、当該法条の適用により前述したとおり応能負担に適合させることにきわだつて逆行する結果を招いている。 2 前記条項によると、同額の所得がある者であつて、等しく生計を一にし、金一〇万円を超える同額の所得がある親族がある者同士であつても、右親族の所得が給与所得等であつて、金二〇万円を超えない場合、扶養親族があるとして法八四条により扶養控除が受けられるのに対し、右親族の所得が給与所得等以外の所得である場合、扶養控除は与えられない。 これは不合理な差別であり、不合理性は明白である。 所得税法体系においては、原則として所得の種類によつてそれを区別し差別することなく所得の絶対量に着目して課税を行うようになつている。例外は、不労所得という利子・配当所得の源泉分離優遇課税制度、譲渡所得の優遇課税制度、一時所得の優遇特別控除制度などである。ところで、右法条においてだけ、給与所得等と給与所得以外の所得との間に積極的に区別差別をしなければならない合理的理由を引き出すことはできない。 また、所得税法が扶養控除の対象となる扶 制度などである。ところで、右法条においてだけ、給与所得等と給与所得以外の所得との間に積極的に区別差別をしなければならない合理的理由を引き出すことはできない。 また、所得税法が扶養控除の対象となる扶養親族を定義するにあたつて、一定の所得限度額を定めたのは、扶養親族に多少の所得があつてもしいて追求せず、所得がない場合と同様に扶養控除を差し引くことを認めるというものである。このような課税最低限を定立するためのすぐれて合目的的、立法政策的な観点より制定された人的控除制度制定の趣旨からいつて、一定の所得限度額を定め、多少の所得があつてもそれを追求しないとする点は首肯できるわけである。 それだけにかかる一定の所得限度額の定めにあたつての多少の所得についてまで給与所得等と給与所得等以外の所得に区別差別しなければならない合理的理由はない。かえつて、給与所得等の所得と給与所得等以外の所得で扶養親族を定義するにあたつての一定の所得限度額の定めに差別を設けることは、妥当な課税最低限を画することを目的とする人的控除制度の本旨にも反する結果を招くことになる。つまり、家族単位におけるいわゆる「課税最低限」に関し、給与所得等がある子のある家族と給与所得等以外の所得がある子のある家族との間に、前項(1(2))で論じたと同種の較差を生ぜしめるのである。 (二) 法九八条四項二号について 1 右条項によると、同額の所得がある者であつて、等しく合算対象世帯員があり、右世帯員に同額の社会保険料の支出がある者同士であつても、右社会保険料が、当該世帯員の給与から控除されるのでない場合、当該社会保険料が社会保険料控除の対象として認められるのに対し、右社会保険料が、当該世帯員の給与から控除される場合、社会保険料控除が認められない。これは不合理な差別であり、不合理性は明白である。 2 社会保険料が社会保険料控除の対象として認められるのに対し、右社会保険料が、当該世帯員の給与から控除される場合、社会保険料控除が認められない。これは不合理な差別であり、不合理性は明白である。 2 資産合算制度の趣旨は、被告主張のとおりであり、資産所得については、これを主たる所得者の所得とみなすかわりに、所得控除についても主たる所得者が支払つたものとみなすこととしている。これは資産合算対象の主たる所得者の所得が法九九条により一、〇〇〇万円をこえるところにおかれており、合算対象所帯員の合算所得については現所得税法の高度累進税率により高い租税負担を課することになるだけに、所得控除額相当分についてはこれを主たる所得者の所得より控除することを認めいくぶんでも税負担を軽減することが合理的との判断に基づいている。そうであるならば、給与から控除される社会保険料だけを、資産合算制度の趣旨に反してまで別扱いにしなければならない理由はない。 (1) 積極的理由主たる所得者の所得より控除することとしている合算対象世帯員の各種所得控除項目の支出に当たり、税法の観点に立つて考慮する限り、支出が有るか無いかだけを問題にすれば足りる。その支出がどの所得より支出されたものであるかを詮索する必要は毛頭なく、それは無意味であり、各種所得より得た所得が同一の金銭的経済価値量でしか把握できない以上、どの所得の金銭で支出されたかの関連性を追求することは不可能である。 たまたま給与から控除される社会保険料がその給与所得と技術的に密接な関連があるからといつて、その支出を他の所得より補填してしまえば結果的にはその他の所得控除項目の支出となんら異なるところがないわけである。 (2) 消極的理由給与から控除される社会保険料を、他の所得控除項目と同様に、これを主たる所得者の所得より控除した まえば結果的にはその他の所得控除項目の支出となんら異なるところがないわけである。 (2) 消極的理由給与から控除される社会保険料を、他の所得控除項目と同様に、これを主たる所得者の所得より控除したとしても、法秩序を乱すわけではなく、社会的不公平を助長するわけでもなく、社会正義に反するわけでもなく、誰もこれに対して異論を唱える者がないはずである。何故なら、資産合算制度は、これらの適用をうける者をそれ以外の者に比してかなり不利益に差別することを規定した制度であり、その不利益をいくぶん緩和する本来的制度の趣旨に則しているからである。しかも、給与から控除される社会保険料を他の所得控除項目と同列におき、その差別的取扱いを排除するならば、資産合算制度の全体系が整然と統一的に整備される利点すら生ずる以上、これを差別的に取扱う理由が乏しいといわなければならない。 第三証拠(省略)○ 理由第一原告が、原告の昭和五二年分所得税につき、法定申告期限内に別表一の「確定申告」欄記載のとおりの申告をしたところ、被告が、昭和五三年六月二七日付で同表の「更正」欄記載のとおりの本件更正処分を行うとともに、本件賦課決定処分を行つたこと、原告が、同年八月二八日、本件各処分を不服として被告に異議申立をしたが、被告が、同年一〇月三一日付でこれを棄却する旨の決定をしたこと、原告が、更に、同年一二月一日付で国税不服審判所長に審査請求をしたが、同所長が、昭和五四年三月一二日付でこれを棄却する旨の裁決をしたこと、以上の事実は当事者間に争いがない。 第二本件各処分の適法性について判断する。 一原告及びその合算対象世帯員の昭和五二年分の所得金額が別表一の「更正欄」における所得金額のとおりであること、原告に対する医療費控訴、社会保険料控除、生命保険料控除及び基礎控除の各金額が同表の 。 一原告及びその合算対象世帯員の昭和五二年分の所得金額が別表一の「更正欄」における所得金額のとおりであること、原告に対する医療費控訴、社会保険料控除、生命保険料控除及び基礎控除の各金額が同表の「更正」欄における各該当欄記載のとおりであること、以上の事実は、当事者間に争いがない。 二原告には、長男A、長女B、次女Cの三名の生計を一にする子があるが、昭和五二年中に、Aは金一八万一、〇〇〇円、B及びCは各金一二万二、〇〇〇円の各配当所得を得たことは当事者間に争いがない。 そうすると、法二条一項三四号、三三号ハにより、Aら三名は扶養親族にあたらないから、原告の所得税に関し法八四条によつて扶養控除すべきではないことになる。 また、原告には、生計を一にする配偶者であるDがおり、同人は法九六条四号の合算対象世帯員であるが、昭和五二年中に社会保険料としてその給与から控除される方法により金二一万円を支払つたことは当事者間に争いがない。 そうすると、法九八条四項により、原告の所得税に関し社会保険料として控除すべきではないことになる。 三そこで、法二条一項三四号及びこれが引用する限りでの同項三三号並びに法九八条四項が、憲法一四条一項に違反するかどうかについて判断する。 (一) 法二条一項三四号及びこれが引用する同項三三号によると、納税額に次の格差が生じる。すなわち、 1 同額の所得を有する者であつて、等しく生計を一にし給与所得等以外の所得がある親族のある場合、その親族の所得が金一〇万円以下のものは、扶養親族があるとして法八四条により扶養控除が与えられるのに対し、その親族の所得が金一〇万円を超えるものは、扶養親族がないとして扶養控除が与えられない。 2 同額の所得がある者であつて、等しく生計を一にし、金一〇万円を超える所得がある親族のある場合、その親族の所得 の親族の所得が金一〇万円を超えるものは、扶養親族がないとして扶養控除が与えられない。 2 同額の所得がある者であつて、等しく生計を一にし、金一〇万円を超える所得がある親族のある場合、その親族の所得が給与所得等であつて金二〇万円以下のものは扶養親族があるとして法八四条により扶養控除が与えられるのに対し、右親族の所得が給与所得等以外の所得のものは、扶養親族がないとして扶養控除が与えられない。 (二) 法九八条四項によると、同額の所得がある者であつて、等しく合算対象世帯員があり、右世帯員に同額の社会保険料の支出がある場合、社会保険料が、当該世帯員の給与から控除されなかつたものは、当該社会保険料が社会保険控徐の対象として認められるのに対し、社会保険料が、当該世帯員の給与から控除されたものは、社会保険料が、社会保険料控除の対象として認められない。したがつて、両者の納税額に格差が生じる結果を招来する。 (三) ところで、憲法一四条一項は、法の下の平等の原則を定めた規定であるが、その趣旨は、国が国民に義務を課す場合であつても、平等的な取扱いをすべきことを命じたものであることはいうまでもない。そこで、前記(一)(二)のような所得税課税の際の不平等な取扱いが、憲法一四条一項にいう平等原則に違反しないか、どうかが問題になる。 憲法一四条一項は、国民に対し絶対的な平等を保障するものではなく、差別すべき合理的な理由がないのに差別することを禁止した趣旨であると解するのが相当である。なぜならば、事柄の性質に即応した合理的理由のある差別的な取扱いをも禁止したものとしてしまうと、却つて悪平等のそしりを免れないからである。 そのうえ、課税要件の具体的規定の合理性をめぐつてそれが憲法の同条項に違反するかどうかを判断するにあたつては、租税が国家の財政政策の根幹を形成し、かつ と、却つて悪平等のそしりを免れないからである。 そのうえ、課税要件の具体的規定の合理性をめぐつてそれが憲法の同条項に違反するかどうかを判断するにあたつては、租税が国家の財政政策の根幹を形成し、かつ、経済政策、社会政策とも緊密なつながりがあるから、多方面にわたる政策的な考慮を必要とすること、租税体系が複雑かつ技術的な性格をもつていること、国民に不利益かあるとしても、経済的なものに限られることなどに着目したとき、課税要件の定立には、立法政策上の裁量的要素が大であることが、重視されなければならない。 以上のことから、課税要件が、憲法一四条一項の平等原則に違反するかどうかを判断する視点は、課税要件上の差別的取扱いが、明らかに合理性を欠くかどうかに限られるのである。そして、このことは、立法府には、課税要件定立のために広範囲の裁量権があることの必然的結果である。 (四) そこで先ず、法二条一項三四号及びこれが引用する同項三三号が、扶養控除の対象となる扶養親族を定めるにあたつて、給与所得等以外の所得がある親族の場合、金一〇万円以下の所得がある者に限つた点について検討する。 1 扶養控除は、基礎控除、配偶者控除とともに人的控除と呼ばれるが、成立に争いがない乙第一三号証(税制調査会答申)及び弁論の全趣旨によると、人的控除制度の趣旨は、最低生計費、基準生計費ないしは標準生計費に対応する部分を課税対象外におき、担税力のない者には、課税最低限を設定することによつて納税義務を免除しようとすることにあることが認められる。すなわち、扶養控除についていえば、納税者の家族に扶養されるべき親族がいる場合、この者の最低生計費、基準生計費ないしは標準生計費に対応する部分を扶養に必要な費用として担税力を認めず、当該納税者に対する課税の対象外に置こうとするものである。 2 そして、 れるべき親族がいる場合、この者の最低生計費、基準生計費ないしは標準生計費に対応する部分を扶養に必要な費用として担税力を認めず、当該納税者に対する課税の対象外に置こうとするものである。 2 そして、前掲乙第一三号証及び成立に争いがない乙第一四号証によると次のことが認められる。 右目的を実現するための仕組としては、甲扶養親族の範囲を先ず定め、これがある場合、一定の扶養控除額を所得控除として認めるという方法のほかに、次の仕組が、考えられる。 乙扶養控除の対象となる扶養親族の所得を本人の所得に合算したうえで所得税を課税する。 丙一定の扶養控除上限額から、扶養親族の所得を差し引いた残額を控除すべき額とする。 しかし、乙は、現行法の課税単位の原則である稼得者個人課税の原則に反するうえ、乙、丙とも、扶養親族の所得を常に一円まで正確に把握しなければならないという徴税事務上の難点があるため、結局、立法者は、現行法のとおり、甲の扶養親族の範囲を先ず定め、これがある場合、一定の扶養控除額を所得控除として認める仕組を採用した。 3 そうすると、甲の仕組を制度として採用する限り、扶養されるべき親族は、所得が全く無い者のほか、これが少ない者も含むわけであるが、所得の少ない者の範囲を定めるにあたつて、理論的には、一定額を超える所得がある親族と一定額以下の所得がある親族との間に扶養という観点において質的差異を認めて、「所得の無い者又は一定額以下の所得しか有しない者」と規定することは、機能的には渋該親族に多少の所得があつても徴税上これを追求しないという政策上の考慮と、先に述べた、多少の所得の有無を確定する手続的煩瑣をはぶくという徴税事務上の考慮とを同時に満足させるもので、合理的な方法であり、これによつて、課税が画一的になるのである。 4 他方、前掲各証拠によると、 べた、多少の所得の有無を確定する手続的煩瑣をはぶくという徴税事務上の考慮とを同時に満足させるもので、合理的な方法であり、これによつて、課税が画一的になるのである。 4 他方、前掲各証拠によると、次のことが認められる。 扶養親族の範囲に入るかどうかをきめる親族の所得額の上限額までの所得については、現行法制によると、この所得を課税の対象外に置くとともに、納税者本人の所得から扶養控除額として差し引くという方式によることになるから、結局家族単位でみた場合、二つの金額の合計額が課税の対象外になる結果をもたらす。 そこで、右上限額をいくらにするかは、扶養控除額をいくらにするかの関連のなかで、扶養すべき親族のない家庭など他の家庭との衡平を考慮するほか、国民の所得水準、生活水準、物価水準、貯蓄水準、所得階層分布、納税人員の推移、財政事情等諸々の資料を勘案して検討され、決められてきた。すなわち、昭和二五年以来、扶養親族の所得上限額と扶養控除額とは、別表三のとおり、引き上げられたが、双方が同一額であつたときもあれば、そうでないときもあり、また、双方が常に同時に引き上げられたわけではない。 5 まとめ以上のことから、結論として次のことがいえる。すなわち、法二条一項三四号及びこれが引用する同項三三号が、扶養控除の対象となる扶養親族を定めるにあたつて、給与所得等以外の所得がある親族の場合、金一〇万円以下の所得がある者に限つた目的は、人的控除制度を、稼得者個人課税の原則や徴税事務上の能率を犠牲にすることなく達成することにあり、このことは、方法としての合理性に欠けるところがない。したがつて、結果として、金一〇万円を超える給与所得等以外の所得がある親族のある家族の主たる所得者が、所得税の課税において、扶養控除が受けられないという差別的取扱いを受けることになるが、この がない。したがつて、結果として、金一〇万円を超える給与所得等以外の所得がある親族のある家族の主たる所得者が、所得税の課税において、扶養控除が受けられないという差別的取扱いを受けることになるが、この差別的取扱いが明らかに不合理なものであるとは到底いえない筋合である。 6 原告の主張に対する判断(1) 原告は、甲の仕組は、「多くの税負担をした者の税引後所得が、税負担の少ない者の税引換所得より多くなければならない」という原則に反する結果を招く、と主張する。 しかし、同一の所得を有する者の間で、一方がより多く税負担をすれば、税引後の所得は、他方より少くなるわけであるから、原告の主張する原則自体正確ではない。同一の所得がある者の間で税負担が異ることがあること、、また、より多い所得がある者が、より多く税負担をした結果、より少い税引後所得しか手に入らないことがあることこそ、まさに、既述の人的控除制度のねらいとしたところである。 原告の主張は、あるいは「所得がより多くなれば、税引後所得も、より多くならなければならない」という趣旨にも解される。しかし、右は控除額等が一定の場合における課税単位となる本人の基本所得と税引後所得との関係については妥当するかもしれないが、本件のように控除の対象として親族の所得が考慮され加味される場合には、妥当しないのである。 (2) 次に、原告は、現行法制が家族単位の「課税最低限」に著しい較差を生ぜしめると主張する。 確かに、現行規定によると、子に金一〇万円の配当所得があつた場合と金一〇万〇、〇〇一円の配当所得があつた場合とではわずか一円の差があるにすぎないが、その結果、金二九万円の扶養控除が受けられるかどうかの差が生じ、子の人数が増えるに従い、家族間のこの較差は拡大するという結果をもたらす。 しかし、現行規定の趣旨は、前述のよう の差があるにすぎないが、その結果、金二九万円の扶養控除が受けられるかどうかの差が生じ、子の人数が増えるに従い、家族間のこの較差は拡大するという結果をもたらす。 しかし、現行規定の趣旨は、前述のように、金一〇万円の配当所得がある子と金一〇万〇、〇〇一円の配当所得がある子との間に、扶養という観点から質的な差異を見出したものと解されるのであつて、これが、ひいては家族間の課税最低限に較差を生ぜしめる結果になつているのである。 この扶養についての質的差異や徴税事務上の便宜など合理的な側面のあることを総合勘案するとき、右較差があることから、直ちに現行制度が、明らかに不合理であると断ずることはできない。 (3) 原告は、更に、現行規定は、金一〇万円を一円でも超える給与所得等以外の所得のある子を持つ家庭の主たる所得者にとつて、人的控除制度の趣旨に反する不合理な結果をもたらしている(現行法制によると、夫が家庭の収入源である場合、扶養控除額、配偶者控除額及び基礎控除額の合計金額並びに妻、子の金一〇万円以下の給与所得等以外の所得又は金二〇万円以下の給与所得等の金額は課税の対象とならない。これに対し子の取入が一円でも右基準を超えると、たちまち扶養控除額は否定されてしまうことになる。つまり、家族単位では、わずか一円の所得の増加で一人当り金二九万円の扶養控除がなく、それだけ高い課税最低限が設定されていることになるのであつて、人的控除制度の意図した課税最低限が守られなくなる)と主張する。 しかし、前述したとおり、現行法制は、一定金額以下の所得のある子とこれを超える金額の所得のある子とを扶養の観点において質的に異つたものとみたわけであるから、一定金額以下の所得しかない子を持つ家族の課税最低限よりこれを超える金額の所得のある子を持つ家族の課税最低限が低くなつても、そのこ のある子とを扶養の観点において質的に異つたものとみたわけであるから、一定金額以下の所得しかない子を持つ家族の課税最低限よりこれを超える金額の所得のある子を持つ家族の課税最低限が低くなつても、そのことが直ちに不合理であるとまではいえない。 (4) また、原告は、当該法条の存在により、納税者数を増加させ、かつ、所得の低い階層の累進度の緩和を妨げていると主張する。 確かに、扶養控除の対象としての扶養親族を定義するにあたつて、所得の上限を低く押えず、少くとも扶養控除額まで引き上げるとするならば、納税者数は減少し、累進度は緩和されることにはなる。しかし、そうだからといつて、そのことを理由に、当該法条の合理性を否定しうるものではない。 (5) なお、原告は、扶養控除額の上限から扶養親族の所得額あるいはこれから一定額を差し引いた額を控除した残額を扶養控除額とすべきであると主張する。このねらいは、家族単位でみて、扶養親族の所得と主たる所得者の受ける扶養控除額との合計を一定に保ち、もつて、課税の対象外となる親族の所得額を一定にしようということにある。しかし、そのことが一義的に合理性を有すると断定し難いとともに、この仕組では、徴税事務が煩瑣になるという難点もあるのであつて、いずれにせよ、右制度がより合理的かどうかの判断が、現行制度の違憲判断における合理性の判断と直接結びつくものではない。 (五) 次に、法二条一項三四号及びこれが引用する同項三三号が、扶養控除の対象となる扶養親族を定めるにあたつて、給与所得等がある親族に比べ、給与所得等以外の所得がある親族の所得上限を低くしている点について検討する。 1 前掲乙第一四号証及び弁論の全趣旨によると、次のことが認められる。 別表第三のとおり、昭和四一年までの所得税制では、扶養親族を定めるにあたつて、給与所得等がある親 低くしている点について検討する。 1 前掲乙第一四号証及び弁論の全趣旨によると、次のことが認められる。 別表第三のとおり、昭和四一年までの所得税制では、扶養親族を定めるにあたつて、給与所得等がある親族とそれ以外の所得がある親族との取扱いは同一であつた。 しかし、昭和四一年当時、家族が家庭の生活水準維持のため、世帯主の収入の一助として勤労に従事し所得を得る事例が多くなり、右所得が、それまでの上限である金五万円を超える場合が出た結果、世帯主が扶養控除を受けられなくなる事態が生じたため、法改正によつて、給与所得等の上限を内職所得の水準等を勘案して金一〇万円に引き上げたが、その際給与所得以外の所得の上限については、その所得が家庭の生活水準維持を直接の動機としない、不労所得であるという所得の性格にかんがみ、金五万円に据え置いた。 その後、双方の上限金額とも引き上げる法改正が行われたが、両者には差が残されている。そして、右引上げにあたつては、国民の所得水準等前記(四)4であげた諸々の資料が考慮にいれられた。 2 右認定事実によると、給与所得等とそれ以外の所得とが、扶養控除で異つた取扱いを受けることは、給与所得等以外の所得の性格が不労所得であることに帰因する政策上の合理的な考慮に基づくものである。そして方法としての合理性に欠けるところが認められないから、右異なつた取扱いが、明らかに不合理なものであるとは到底いえない筋合である。 3 原告の主張に対する判断原告は、現行法制によつて、給与所得等がある子を持つ家族と給与所得等以外の所得がある子を持つ家族との間の課税最低限に著しい較差が生じ、不合理である旨主張する。 しかし、前述したところから明らかなように、現行法制は、給与所得等がある子を持つ家族と給与所得等以外の所得がある子を持つ家族とを課税対象外に置くべき 低限に著しい較差が生じ、不合理である旨主張する。 しかし、前述したところから明らかなように、現行法制は、給与所得等がある子を持つ家族と給与所得等以外の所得がある子を持つ家族とを課税対象外に置くべき金額をとらえることにおいて別に扱うことにしたことには、合理性があるのであるから、原告の主張は、理由がない。 4 まとめ扶養控除の対象となる扶養親族を定めるにあたつて、給与所得等がある親族の場合と給与所得等以外の所得がある親族との場合に差別的な取扱いをしたことには、明らかに不合理なところはないとしなければならない。 (六) 法九八条四項が、合算対象世帯員の社会保険料を本人の社会保険料控除としうるかどうかについて、合算対象世帯員の給与から社会保険料が控除される場合とそうでない場合とで区別して取り扱つている点について検討する。 1 法は、所得の稼得者個人を課税単位とすることを原則としているが、この原則を資産所得(利子所得・配当所得・不動産所得)に貫くと、資産の家族への分散等の方法によつて、所得を家族構成員間に分配し、もつて高い累進税率の適用を排除して租税の回避をはかる傾向が弊害として現われる。そこで、法九六条以下は、家族構成員の一定額を超える資産所得を主たる所得者の所得と合算して課税する制度を設けることによつて、右弊害を防止したのである。そうすると、合算対象世帯員に関する雑損控除、医療控除等の所得控除についても、主たる所得者について行われる仕組をとることが合理的である。合算対象世帯員の支払う社会保険料が、主たる所得者の社会保険料として控除されるのも、この理由に基づく。 2 しかし、立法時(昭和三二年)において合算対象世帯員の支払う社会保険料のうち、これが同世帯員の給与から差し引かれる形をとつているものについては、合算対象世帯員の給与所得から控除するこ に基づく。 2 しかし、立法時(昭和三二年)において合算対象世帯員の支払う社会保険料のうち、これが同世帯員の給与から差し引かれる形をとつているものについては、合算対象世帯員の給与所得から控除することが合理的であると考えられた。その理由は次のとおりである。 (1) 合算対象世帯員の給与収入自体は、資産合算の対象とならないものであるところ、社会保険料は、給与収入から、給与額に対応して直接差し引かれるものである。 (2) 給与を支払う雇用者が、社会保険料の一部を負担するなど給与と支払保険料とが技術的に密接な関連性がある。 3 まとめ当裁判所は、右(1)、(2)の理由から、合算対象世帯員の所得から社会保険料を控除することには合理的理由があると考える。したがつて、合算対象世帯員の給与から差し引かれる社会保険料とそうでない社会保険料が、主たる所得者の所得控除において異つた取扱いを受けることになつても、そのことが、明らかに不合理なものであるとは、到底いえない筋合である。 (七) まとめ以上の次第で、扶養控除の対象となる扶養親族の範囲を定めた法二条一項三四号及びこれが引用する限りでの同項三三号並びに合算対象世帯員の支払つた社会保険料の主たる所得者における所得控除の有無を定める法九八条四項は、いずれも憲法一四条一項に違反するものではないとしなければならない。 四 (一)Aら三名は、原告の扶養親族でないことになるから、原告は、減税臨時措置法三条、四条一項、一一条によつて右三人分の特別減税を受ける場合にあたらない。したがつて、被告がした本件更正処分は、すべて適法である。 (二) 原告の提出した申告書の確定申告額は過少であり、かつ、それについて正当な理由を窺わせる事情が認められないから、原告には、国税通則法六五条に従い、過少申告加算税が課せられるべきである。し る。 (二) 原告の提出した申告書の確定申告額は過少であり、かつ、それについて正当な理由を窺わせる事情が認められないから、原告には、国税通則法六五条に従い、過少申告加算税が課せられるべきである。したがつて、本件賦課決定処分は適法である。 第三むすび原告の本件請求は失当であるから棄却することとし、行訴法七条、民訴法八九条に従い、主文のとおり判決する。 (裁判官古崎慶長孕石孟則寺田逸郎)別表三(省略)
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