- 1 -主文 被告国は,原告に対し,次の各金員を支払え。 ( )63億1634万2673円及び内金63億1634万円に対する平成 19年1月1日から支払済みまで,平成19年1月1日から同年12月31日までについては年4.4パーセント,平成20年1月1日以降については年7.3パーセントの割合又は租税特別措置法93条1項に規定する特例基準割合(ただし,当該特例基準割合に0.1パーセント未満の端数があるときは,これを切り捨てる)のいずれか低い割合による金員。 ( )12億2740万1355円 被告麹町税務署長が平成14年8月30日付けで原告に対してした平成12年1月分から平成13年6月分までの源泉徴収による所得税の各納税告知処分のうち45億1288万4022円を超える部分及び各不納付加算税賦課決定処分を取り消す。 訴訟費用は被告らの負担とする。 事実 及び理由第1請求主文と同旨第2事案の概要等本件は,原告が,アメリカ合衆国(以下「米国」という。)所在の子会社を代理人として,外国法人である各取引先との間で平成11年12月から平成13年6月まで行った各取引において,同各取引先から受け入れた金額と交付した金額との差額につき,同各取引先に対して支払った同差額が所得税法161条6号の「国内において業務を行なう者に対する貸付金(これに準ずるものを含む」の「利子」に該当するので,同法6条,212条1項,2項に基づき,。)原告には当該差額に係る所得税を源泉徴収し,納付する義務があるとして,被告麹町税務署長において,平成14年8月30日付けで上記各取引に係る源泉- 2 -徴収による所得税の各納税告知処分及び各不納付加算税賦課決定処分を行ったことから,原告において,同各処分に基づく金員を納付したものの,上記各差 成14年8月30日付けで上記各取引に係る源泉- 2 -徴収による所得税の各納税告知処分及び各不納付加算税賦課決定処分を行ったことから,原告において,同各処分に基づく金員を納付したものの,上記各差額は同法161条6号に該当せず,同法6条,212条1項,2項の源泉徴収義務がなく,また,同各処分が憲法84条及び同法14条に反する違法・違憲な処分であるから,上記納付した金員は法律上の原因に基づかない納付であるとして,その返還及び還付加算金の支払を求めるとともに,上記各処分(ただし,上記各納税告知処分については,原告が還付を受けた額を超える部分)の取消しを求めた事案である。 関連法令( )所得税法(昭和40年3月31日法律第33号) ア所得税法6条所得税法6条は,同法4編1章から6章まで(源泉徴収)に規定する支払をする者は,この法律により,その支払に係る金額につき源泉徴収をする義務があると定めている。 イ所得税法161条6号(ただし,平成14年法律第15号による改正前のもの)所得税法161条6号は,外国法人に対する支払の際にその支払者に源泉徴収義務が生じ得る国内源泉所得として「国内において業務を行なう,者に対する貸付金(これに準ずるものを含む)で当該業務に係るものの。 利子(政令で定める利子を除く」を挙げている。 。)ウ所得税法212条所得税法212条1項は,非居住者に対し,国内において同法161条1号の2から12号まで(国内源泉所得)に掲げる国内源泉所得の支払をする者又は外国法人に対し,国内において,同条1号の2から7号まで若しくは9号から12号までに掲げる国内源泉所得の支払をする者が,その支払の際に,これらの国内源泉所得について所得税を徴収し,その徴収の- 3 -日の属する月の翌月10日までに,これを国に納付 で若しくは9号から12号までに掲げる国内源泉所得の支払をする者が,その支払の際に,これらの国内源泉所得について所得税を徴収し,その徴収の- 3 -日の属する月の翌月10日までに,これを国に納付しなければならないと定めている。 所得税法212条2項は,同条1項に規定する国内源泉所得の支払が国外において行われる場合において,その支払をする者が国内に住所若しくは居所を有し,又は国内に事務所,事業所その他これらに準ずるものを有するときは,その者が当該国内源泉所得を国内において支払うものとみなして,同項の規定を適用することとし,同項の「翌月10日まで」とあるのは「翌月末日まで」とすると定めている。 エ所得税法213条1項1号所得税法213条1項1号は,同法212条1項に規定する国内源泉所得のうち,同法161条6号の利子につき,その金額に100分の20の税率を乗じて計算した金額を所得税の額とすると定めている。 ( )所得税法全部改正前の所得税法(昭和22年3月31日法律第27号。以 下「旧所得税法」という。)等ア昭和37年法律第44号による改正前の旧所得税法(以下「昭和37年改正前の旧所得税法」という。)等(ア)昭和37年改正前の旧所得税法1条2項7号は,非居住者(旧所得税法の施行地に住所を有する,又は1年以上居所を有する個人に該当しない個人)に所得税納付義務が発生する場合につき「この法律の施行,地において事業をなす者に対する貸付金で当該者のこの法律の施行地にある事業に係るものの利子の支払を受けるとき」と定めている。 また,同項9号において「第2号乃至前号に規定する場合の外,資,産をこの法律の施行地にある事業の用に供することに因りその対価として支払を受ける所得その他のその源泉がこの法律の施行地にある所得で命令で定めるものを有 いて「第2号乃至前号に規定する場合の外,資,産をこの法律の施行地にある事業の用に供することに因りその対価として支払を受ける所得その他のその源泉がこの法律の施行地にある所得で命令で定めるものを有するとき」と定めている。 (イ)昭和37年改正前の旧所得税法に係る所得税法施行規則(以下「昭和- 4 -37年改正前の旧所得税法施行規則」という。)は,1条の2第2号において「法第1条第2項第6号〔工業所有権・著作権等の使用料等〕及,び第7号〔貸付金の利子〕並びに前号に規定する所得を除くほか,法施行地において業務をなす者から支払を受ける同項第6号若しくは前号に規定する資産の使用料又は貸付金の利子でその者の法施行地における業務に係るもの」と定めている。 イ昭和37年法律第44号による改正以後の旧所得税法(以下「昭和37年改正以後の旧所得税法」という。)等(ア)昭和37年改正以後の旧所得税法は,1条2項において,非居住者であっても法律の施行地に源泉がある所得については所得税納税義務があるとし,同条3項7号において,法律の施行地に源泉がある所得として「施行地において事業をなす者に対する貸付金で当該者のこの法律,の施行地にある事業に係るものとして命令で定めるものの利子」を挙げている。 (イ)昭和37年改正以後の旧所得税法に係る所得税法施行規則(以下「昭和37年改正以後の旧所得税法施行規則」という。)は,1条の5第1項において「法1条第3項第7号〔貸付金の利子〕に規定する命令で定,める貸付金は,法施行地において事業(中略)をなす者に対する貸付金で,その者の法施行地における当該事業に係るもの(以下本条において国内事業に係る貸付金という)とする」と定め,同条第2項1号にお。 ,,,,いて第1項の債権について後掲の同号イロで規 で,その者の法施行地における当該事業に係るもの(以下本条において国内事業に係る貸付金という)とする」と定め,同条第2項1号にお。 ,,,,いて第1項の債権について後掲の同号イロで規定する債権のうちその発生の日からその債務を履行すべき日までの期間が6月を超えるものを国内事業に係る貸付金に該当すると定め,同号イとして「法施行,地において事業をなす者に対して行なう資産の譲渡又は役務の提供の対価に係る債権」を,同号ロとして「イに規定する対価の決済に関し,,金融機関が法施行地において事業をなす者に対して有する債権」を各定- 5 -めている。 昭和37年改正以後の所得税法施行規則1条の6第2号は,昭和37年改正以後の所得税法1条3項6号(工業所有権・著作権の使用料等)及び7号(貸付金の利子)並びに前号(法施行地において事業をなす者から支払を受ける機械,装置,車両,工具,器具又は備品の使用料でその者の法施行地にある事業に係るもの)に規定する所得を除くほか,法施行地において業務をなす者から支払を受ける同法1条3項7号に規定する貸付金に準ずる貸付金の利子でその者の法施行地における業務に係るものについて同項9号に定める法施行地において源泉がある所得資,(産所得)に該当すると規定している。 ( )所得税法施行令(昭和40年3月31日政令第96号) 所得税法施行令283条1項は,所得税法161条6号に規定する「政令で定める利子」につき「国内において業務を行なう者に対してする資産の,譲渡又は役務の提供の対価に係る債権(所得税法施行令283条1項1」号「前号に規定する対価の決済に関し,金融機関が国内において業務を),行なう者に対して有する債権(同項2号)のうち,その発生の日からその」債務を履行すべき日までの期間が6月を 83条1項1」号「前号に規定する対価の決済に関し,金融機関が国内において業務を),行なう者に対して有する債権(同項2号)のうち,その発生の日からその」債務を履行すべき日までの期間が6月を超えないものの利子とする旨定めている。 ( )租税特別措置法(昭和32年3月31日法律第26号。ただし,平成1 8年法律第10号による改正前のもの)租税特別措置法42条の2第1項は,外国金融機関等が,平成14年4月1日から平成18年3月31日までの間において開始した所得税法161条6号に掲げる国内源泉所得の基因となる一定の債券の買戻又は売戻条件付売買取引として政令で定めるものにつき,特定金融機関等から同号に掲げる利子の支払を受ける場合には,その支払を受ける利子については,所得税を課さない旨規定している。 - 6 - 前提事実(当事者に争いのない事実及び顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)( )当事者 原告は,大阪市に本店を置く,銀行業務,信託業務等を営む株式会社である。P1銀行は,1987年に米国ニューヨーク州銀行法に基づき,原告が100パーセント出資をして設立した銀行兼信託会社であったが,2002年(平成14年)5月,米国ニュージャージー州の法人であり,原告が100パーセント出資して設立した法人に吸収合併された(なお,同法人は吸収合併後,P1銀行と同じ商号に変更している。 。)( )原告とP1銀行との間の契約関係 Managedア原告は,P1銀行との間で,平成11年12月3日付けで「(代理人運用口座契約)と題する契約書をもっAgencyAccountAgreement」て,P1銀行が原告の代理人として米国債又はドイツ国債の売買及び再売買取引(一般に「」と呼ばれる取引(以下 理人運用口座契約)と題する契約書をもっAgencyAccountAgreement」て,P1銀行が原告の代理人として米国債又はドイツ国債の売買及び再売買取引(一般に「」と呼ばれる取引(以下「レポ取RepurchaseTransaction引」という)を行うことを内容とする契約(以下「本件代理契約」と。)いう)を締結した(乙1。 。 )イレポ取引(一般論)(ア)意義レポ取引とは,有価証券取引の一類型であり,一般的には,当初売買する有価証券と同種・同量の有価証券を将来一定価格で再売買するとの条件の下で,当該有価証券を売買し,その後に当該有価証券と同種・同量の有価証券を当該一定価格で再売買する取引をいう(レポ取引は,より広範な意味に用いられることもあるが,本判決においては,上記の意味で用いることとする。 。)(イ)取引の一般的な流れ及び用語レポ取引の対象となる有価証券(以下「対象債券」という)を必要。 - 7 -とする買主売買時の買主であり再売買時の売主となる以下単に「買(。 ,主」という。)は,潜在的な複数の売主に対し,対象債券の保有状況,再売買価格等を問い合わせて売主を見つけ,又は,対象債券の売主(売買。 ,」),時の売主であり再売買時の買主となる以下単に「売主という。は潜在的な複数の買主を見つける。 こうして見つかった売主及び買主は,あらかじめ,次のような点につき合意をする。まず,買主は売主に対し,当初行う売買(以下「スタート取引」という)日において,対象債券の同日の相場額に応じた価格。 (以下「譲渡価格」という)で対象債券を譲渡することを定める。さ。 らに,再売買(以下「エンド取引」という)の日又は要求があったと。 きにおいて,対象債券と同種・同量の債券を,譲渡価格に一定の 。 (以下「譲渡価格」という)で対象債券を譲渡することを定める。さ。 らに,再売買(以下「エンド取引」という)の日又は要求があったと。 きにおいて,対象債券と同種・同量の債券を,譲渡価格に一定の率(以下「レポレート」という)を乗じて決定された価格(以下「再譲渡価。 」。 「」。)格というこの再譲渡価格と譲渡価格の差額をレポ差額というで譲渡することを定める。 ウ原告は,P1銀行との間の本件代理契約において,次の各条項に同意した(乙1。 )(ア)原告総合資金部は,資金調達の目的にとって必要と考えるときに,P1銀行に対し,原告総合資金部が原告α支店に貸し付けた有価証券を対象とし,特定の期間,P1銀行がその独自の裁量によって選んだ取引相手とレポ取引を行うよう指図する(4条。 )(イ)P1銀行は,レポ取引に関して受領したすべての資金を原告総合資金部に預託する(5条。 )(ウ)レポ取引の終了時に,それぞれのレポ取引に関連してP1銀行が受領して本口座に保管されているすべての金銭は,本口座からレポ取引のそれぞれの契約相手方に対して,それに係る上記有価証券の返還と引換えに譲渡され,当該有価証券は本口座に貸方記入される(8条。 )- 8 -(エ)レポ取引から生じるすべての損失及び収益は,原告α支店の計算及び危険負担とする(9条。 )(オ)P1銀行は,その役務の報酬として,預託金の運用によって得られた純利益の80パーセントに相当する金額(収益が得られなかった場合には300ドル)を受け取る(13条。 )(カ)P1銀行は,他の者と本件代理契約と同様の契約を締結することができ,また,自身の資格において他のいかなる者ともレポ取引を行うことができ,それらのレポ取引について原告に対する報告義務を負わない(15条。 )( ) 者と本件代理契約と同様の契約を締結することができ,また,自身の資格において他のいかなる者ともレポ取引を行うことができ,それらのレポ取引について原告に対する報告義務を負わない(15条。 )( )P1銀行と各取引先との間の契約関係 アP1銀行は,本件代理契約に基づき,原告の代理人として,各取引先との間で,レポ取引に係る基本契約書(米国法人との間ではP2が作成した「(以下「MRA」という)に依拠し,英国MasterRepurchaseAgreement」。 法人との間ではP3が作成した「(以GlobalMasterRepurchaseAgreement」下「GMRA」という)をもってそれぞれ基本契約を締結した(以下。)「本件各基本契約」という。 。)イP1銀行は,原告(総合資金部)からの指図を受けて,本件各基本契約に基づき,原告(売主)の代理人として,別表1-1及び同1-2記載のとおり,各取引先(買主)との間で,平成11年12月4日から平成13年6月28日までの間,合計330件のレポ取引を約定し,別表1-1及び同1-2記載の内容でこれを実行した(以下「本件各レポ取引」という。 。)ウ本件各基本契約の内容(甲10,14,乙29)本件各基本契約においては,次の各条項を定めている(ただし,条項の表現自体は,MRAの条項を基本とし,GMRAについては特に注記すべきもの以外については,同じ内容を定めた条項の番号のみを示すこととす- 9 -る。 。)(ア)適用,適用範囲(MRA1条,GMRA1条)本契約の両当事者は,随時,一方当事者が,他方当事者に対して,証券その他の資産を,買主による資金の移転と引換えに譲渡することに同意し,これと同時に,買主が,売主に対して,かかる有価証券を,所定の日又は要求があ 事者は,随時,一方当事者が,他方当事者に対して,証券その他の資産を,買主による資金の移転と引換えに譲渡することに同意し,これと同時に,買主が,売主に対して,かかる有価証券を,所定の日又は要求があり次第,売主による資金の移転と引換えに譲渡することに同意するところの取引を締結することができる(MRA1条,GMRA1条。 )(イ)開始,確認,終了(MRA3条,GMRA3条)a本件取引を約定する合意は,口頭で,又は開始時における買主又は売主の作成する文書により行うことができる。本件取引の購入日に,購入有価証券は,売主の口座への購入価格の譲渡と引換えに,買主又はその代理人に譲渡されるものとする。 b本契約に基づく本件取引の締結の合意をした際には,合意するところに従い,買主又は売主(あるいは双方)が,各本件取引に関する書面による確認を相手方に速やかに交付するものとする。確認書は,購入有価証券を記載し,買主と売主を特定し,Ⅰ購入日,Ⅱ入価格,Ⅲ本件取引が請求により終了できるものでない限り,買戻日,Ⅳ本件取引に適用されるプライシングレート又は買戻価格,Ⅴ本契約に抵触しない追加の取引条件を記載するものとする。確認書及び本契約は,かかる確認書が関連する本件取引について,その受領後速やかに明示の異議が申し立てられない限り,買主及び売主の間で合意された条件の確定的証拠を構成するものとする。当該確認書の条件と本契約が抵触する場合,本契約が優先するものとする。 c請求により終了することができる本件取引の場合,かかる請求は,買主又は売主により,市場慣行において慣例的な時間までに,電話等- 10 -により,終了が効力を生じる営業日の当日又はそれ以前に行われるものとする。かかる請求で指定された日,又は期間の定めのある本件取引の場合には終了する日として て慣例的な時間までに,電話等- 10 -により,終了が効力を生じる営業日の当日又はそれ以前に行われるものとする。かかる請求で指定された日,又は期間の定めのある本件取引の場合には終了する日として定められた日に,本件取引の終了は,買主の口座への買戻価格の譲渡と引換えに,購入有価証券及びこれに関して買主が受領した収入金を売主又はその代理人に対して譲渡することによって効力を生じる。 (ウ)マージン管理(マージン・コール条項(MRA4条,GMRA4)条)aいずれかの時点において,本契約の特定の当事者が買主であるすべての本件取引の対象となるすべての購入有価証券の市場価格の総額が,かかるすべての本件取引の買主マージン額の総額を下回る場合,,,,買主は売主に対する通知をもってかかる本件取引の売主に対して売主の選択により,現金又は買主が合理的に受け入れられる追加の有価証券を買主に譲渡し,その結果,現金及びかかる追加購入有価証券を含む購入有価証券の市場価額の総額が,かかる買主マージン額の総額以上とするように要求することができる。 bいずれかの時点において,本契約の特定の当事者が売主であるすべての本件取引の対象となるすべての購入有価証券の市場価額の総額が,その時点におけるかかるすべての本件取引の売主マージン額の総額を上回る場合,売主は,買主に対する通知をもって,かかる本件取引の買主に対して,買主の選択により,現金又は購入有価証券を売主に譲渡し,その結果,係る現金又は譲渡された購入有価証券の控除後の購入有価証券の市場価額の総額が,かかる売主マージン額の総額を超過しないように,要求することができる。 (エ)収入金の支払(MRA5条,GMRA5条)売主は,有価証券に関して支払われたか,又は交付されたすべての収- 11 -入金であって売 ジン額の総額を超過しないように,要求することができる。 (エ)収入金の支払(MRA5条,GMRA5条)売主は,有価証券に関して支払われたか,又は交付されたすべての収- 11 -入金であって売主が別途受領していないものに相当する金額を,有価証券が買主に売却されていなかったならば売主が受領できた最大の範囲で,受領することができるものとする。買主は,本件取引に関して当事者が合意するところに従い,かかる収入金が支払われるか,又は交付される日に,(Ⅰ)かかる本件取引の対象となる購入有価証券に関するかかる収入金を,売主に譲渡する,又は売主の勘定に貸記するか,あるいは(Ⅱ)現金で支払われた収入金に関し,収入金の支払を,当該本件取引の終了時に売主が買主に譲渡する金額がある場合には,当該金額を減額するために充当するかの,いずれかを行うものとする。買主は,( )売主Aが,当該行為に先立ち,又はこれと同時に,当該マージン不足を解消するのに十分な現金又は追加購入有価証券を買主に対して譲渡しない限り,当該行為の結果としてマージン不足が生じることになる限度において,又は( )売主に関して債務不履行事由が発生し,これが当該収入金Bの支払又は交付の時点で継続している場合には,前段に従い行為すべき義務を負わないものとする。 (オ)担保権(MRA6条(ただし,GMRAにおいては,対応する条)項はない)。 当事者は,本契約に基づくすべての本件取引が売買であってローンではないことを意図している。にもかかわらず,かかる本件取引がローンとみなされた場合には,売主は,本契約におけるすべての本件取引に関する一切の購入有価証券並びにそのすべての収入金及びその他の代わり金を,各本件取引に基づく売主の義務の履行の担保として買主に対して差し入れたものとみなし,かつ,それ 契約におけるすべての本件取引に関する一切の購入有価証券並びにそのすべての収入金及びその他の代わり金を,各本件取引に基づく売主の義務の履行の担保として買主に対して差し入れたものとみなし,かつ,それらの上に買主のために担保権を設定したものとみなす。 (カ)購入有価証券の分別(MRA8条,GMRA6条(g))適用がある法律により必要な範囲で,売主が占有するすべての購入有- 12 -価証券は,売主の占有する他の有価証券とは分別され,かつ,本契約の対象であるものとして特定されるものとする。分別は,金融仲介者,証券仲介者又は決済会社を含むところの所持人の帳簿及び記録上での適切な特定によって,行うことができる。 購入有価証券に対する売主のすべての権利は,購入日に買主に移転するものとし,買主及び売主との間で別段の合意がなされない限り,本契約のいかなる規定も,買主が,購入有価証券を用いてのレポ取引をはじめ,購入有価証券の売却,譲渡,質権設定若しくは担保供与を行うことを妨げないものとする。ただし,いかなる当該取引も,買主の,本契約3条,4条若しくは11条に基づき購入有価証券を売主へ譲渡する義務又は本契約5条に基づく収入金を売主に貸記若しくは支払,又は売主の義務へ収入金を充当する義務を免除するものではない。 (キ)差替え(MRA9条,GMRA8条)売主は,買主の同意及び受諾を前提として,他の有価証券をもって購入有価証券と差し替えることができる。かかる差替えは,当該他の有価証券を買主に譲渡し,当該購入有価証券を売主に譲渡することによって行われるものとする。差替後は,差し替えられた有価証券は,購入有価証券とみなされるものとする。 (ク)表明(MRA10条Ⅱ,GMRA9条(Ⅱ))買主及び売主は,それぞれ,相手方に対し,自らが,レポ取引を,本人として 差替後は,差し替えられた有価証券は,購入有価証券とみなされるものとする。 (ク)表明(MRA10条Ⅱ,GMRA9条(Ⅱ))買主及び売主は,それぞれ,相手方に対し,自らが,レポ取引を,本人として(他方当事者が本契約の付属書の様式により事前に書面で合意,),している場合には開示された本人の代理人として行うことを表明し保証する。 (ケ)債務不履行事由(一括清算(MRA11条,GMRA10条))(Ⅰ)該当する購入日に,売主が購入有価証券を譲渡しないか,又は買主が購入有価証券を購入しない場合,(Ⅱ)該当する買戻日に,売主が購- 13 -入有価証券を買い戻さないか,又は買主が購入有価証券を譲渡しない場合,(Ⅲ)売主又は買主が本契約4条を遵守しない場合,(Ⅳ)買主が,1営業日前の通知を受けた後も,本契約5条を遵守しない場合,(Ⅴ)支払不能行為が売主又は買主に関して発生した場合,(Ⅵ)売主又は買主による表明が,それが行われ,若しくは繰り返され,又はそれが行われ若しくは繰り返されたとみなされる時点において,いずれかの重要な点について不正確であるか又は真実ではなかった場合,又は(Ⅶ)売主又は買主が,本契約に基づく義務を履行できないこと又は履行する意思がないことを,相手方に対して認めた場合,以下に従うものとする。 (a)非債務不履行当事者は,その選択により,本契約上債務不履行事由が発生したことを宣言することができ,かかる選択権の行使又はみなし行使の時点をもって,本契約に基づく各本件取引の買戻日は,それが未到来の場合には,直ちに到来したものとみなす(ただし,いずれかの本件取引の購入日がかかる行使又はみなし行使の日現在で到来していない場合,かかる本件取引は直ちに取り消されたものとみなす。非債務不履行当事者は,可能な限り速やかに,当該選択権 (ただし,いずれかの本件取引の購入日がかかる行使又はみなし行使の日現在で到来していない場合,かかる本件取引は直ちに取り消されたものとみなす。非債務不履行当事者は,可能な限り速やかに,当該選択権の。)行使について債務不履行当事者に通知するものとする。 (b)債務不履行当事者が売主であるすべての本件取引において,非債務不履行当事者が本条(a)項にいう選択権を行使するか又は行使したとみなされる場合,(Ⅰ)かかる本件取引において,債務不履行当事者が,本条(a)項に従い決定された買戻日においてその買戻価格で,すべての有価証券を買い戻す義務は,直ちに期限が到来するものとし,(Ⅱ)かかる行使又はみなし行使後に支払われるすべての収入金は,非債務不履行当事者により留保されて,本契約に基づき債務不履行当事者が負担する未払の買戻価格の合計及びその他の金額に充当されるものとし,かつ,(Ⅲ)債務不履行当事者は,債務不履行当事者の占有又- 14 -,,は支配下にある当該本件取引の対象であるところの購入有価証券を直ちに非債務不履行当事者に交付するものとする。 (c)債務不履行当事者が買主であるすべての本件取引において,非債務不履行当事者によるかかるすべての本件取引の買戻価格総額の支払提供をもって,当該本件取引の対象であるすべての購入有価証券に関する一切の権利,権原,及び権益並びに受給権は,非債務不履行当事者に譲渡されたものとみなされ,債務不履行当事者は,非債務不履行当事者に対してすべての購入有価証券を交付するものとする。 (コ)単一契約(MRA12条,GMRA13条)買主及び売主は,本契約に基づくすべての本件取引が,単一の取引上及び契約上の関係を構成し,かつ,相互に約因とし約定されていることを確認し,また,かかる事実を約因とし,かつ,これに依拠 MRA13条)買主及び売主は,本契約に基づくすべての本件取引が,単一の取引上及び契約上の関係を構成し,かつ,相互に約因とし約定されていることを確認し,また,かかる事実を約因とし,かつ,これに依拠して本契約を締結したものであり,また,本契約に基づく各取引を締結するものである。 エ本件各レポ取引における付属書P1銀行は,本件各レポ取引における各取引先との間で,本件各基本契約に更に付属書による合意をした(乙3。 )(ア)追加の表明(付属書Ⅳ1条)基本契約10条に述べた表明に加え,本件代理人は本書により以下を表明し,それらの表明はいずれかの本件取引の期間中継続する。本件本人は,本件本人に代わって基本契約を締結し交付する権限を正式に本件代理人に授与したものであり,本件代理人に対してそのように授権し,基本契約で企図した本件取引を始め,当該本件取引に基づき(場合に応じて)売主又は買主としての義務を履行する権能を有しており,本件代理人によるかかる締結及び交付並びに本件代理人によるかかる遂行の権限を授与するために必要なすべての措置を講じた。 - 15 -(イ)本人の特定(付属書Ⅳ2条)本件代理人は,(a)両当事者が基本契約に基づきいずれかの本件取引を始めるとして合意する日より前に,本件代理人が代理人を務める予定の本件本人の書面のリストを他方当事者に提供し(かかるリストは,他方当事者の承諾を得た上で随時書面で修正することができる,(b)あ)る本件取引を始めるとして口頭で合意した翌営業日の業務終了時より前に,当該本件取引に関連して本件代理人が代理するところの特定の本件本人についての通知を他方当事者に提供することに同意する。(Ⅰ)本件代理人が当該翌営業日の業務終了時より前にかかる本件本人を特定しなかった場合,又は(Ⅱ)他方当事者がその単独 するところの特定の本件本人についての通知を他方当事者に提供することに同意する。(Ⅰ)本件代理人が当該翌営業日の業務終了時より前にかかる本件本人を特定しなかった場合,又は(Ⅱ)他方当事者がその単独の裁量で,本件代理人によって特定されたいずれかの本件本人を受け入れることはできないと判断した場合,他方当事者は,当該本件本人とのいずれかの本件取引を拒絶し破棄し,先に他方当事者に移転された(場合に応じて)買入証券又は買入価格の一部を本件代理人に返還し,当該本件取引に基づくその後の履行を拒絶することができる。本件代理人は,当該本件取引に関連して先に本件代理人に移転された(場合に応じて)買入価格の一部又は買入証券を直ちに他方当事者に返還する。ただし( )他方当事者が,当該本A件取引を拒絶し破棄するという自らの決定を速やかに(いかなる場合も1営業日以内に)本件代理人に通知し,( )他方当事者によって拒絶さBれた本件取引に基づきいずれかの当事者が何らかの履行を提供した範囲について,その当事者が,当該本件取引が拒絶されなかったならば当該履行に関してその当事者に支払われるべきものとなったはずの価格差その他の額を受け取る権利を持ち続けるこということを条件とする。他方当事者は,本件代理人がその本件本人の財政状態に関する秘密情報を他方当事者に提供する義務を負わないということを認める。ただし,本件代理人は,他方当事者が正当に要求する本件代理人の本件本人の財務状- 16 -態に関するかかる情報をかかる本件本人から入手するに当たり他方当事者を援助することに同意する。 ( )本件各レポ取引の概要 ア本件各レポ取引の開始(ア)原告(総合資金部)は,P1銀行に対し,レポ資金調達要求書をファクシミリ送信し,対象証券,額面金額,表面利率,満期日やスタート 。 ( )本件各レポ取引の概要 ア本件各レポ取引の開始(ア)原告(総合資金部)は,P1銀行に対し,レポ資金調達要求書をファクシミリ送信し,対象証券,額面金額,表面利率,満期日やスタート取引の日とエンド取引の日,譲渡価格を示し,レポ取引を開始するよう依頼した(乙4の1。 )(イ)P1銀行は,原告から示された条件に適合する最も有利な条件の取引先を選定し,同取引先との間で,レポ取引の約定をし,原告(総合資金部)に対して,約定したレポ取引の内容を現金担保確認書によりレポ取引の約定日,取引期間,相手方の名称,レポレート,他の業者が提示したレポレートとその業者名,レポ取引の約定日の調達資金利率及びスタート取引額(譲渡価格)を報告した(乙4の2,5。 )イスタート取引時の合意内容P1銀行は,スタート取引において,原告(売主)の代理人として,別表1-1及び同1-2の「取引先」欄記載の相手方(買主)との間で,本件各基本契約書及び付属書Ⅳに定める契約を締結し「売買日(スター,」),「」(),「」,「」,ト取引の日再売買日エンド取引の日債権銘柄売買代金「再売買代金」各欄記載の事項を合意した。 ウ本件各レポ取引における代金決済(乙6)本件各レポ取引における代金決済は,本件各レポ取引の取引先が米国法人の場合にはP4・β支店に,取引先が英国法人の場合はP5銀行γ支店に,それぞれ原告が開設していた原告(δ営業部)名義の各口座,各支店にP1銀行が開設していたP1銀行名義のカストディ取引決済用口座及びレポ・レンディング業務用の口座並びにP1銀行に原告が開設していた原- 17 -告(α支店)名義の口座を使用して次のとおり行われた。 まず,スタート取引においては,P1銀行が,取引先からP1銀行名義のカストディ取引決済用口座に譲 びにP1銀行に原告が開設していた原- 17 -告(α支店)名義の口座を使用して次のとおり行われた。 まず,スタート取引においては,P1銀行が,取引先からP1銀行名義のカストディ取引決済用口座に譲渡価格相当額の入金を受け,これを,レポ・レンディング業務用口座に振り替えた後,原告(α支店)名義の口座を経由して,原告(δ営業部)名義の各口座に預託する。 他方,エンド取引時においては,原告(δ営業部)名義の各口座から再譲渡価格相当額の金員を原告(α支店)名義の各口座を経由してP1銀行名義のレポ・レンディング業務用口座に送金し,同銀行名義のカストディ取引決済用口座に振り替えた上で,各取引先に送金する。 エなお,原告は,上記ウの本件各レポ取引においての譲渡価格相当額の金員の受入れにつき「その他負債」の勘定科目を用いて仕訳処理をし,エ,ンド取引におけるレポ差額に相当する金額を「その他の支払利息」の勘定科目に仕訳処理をしていた(乙7。 )( )本件各レポ取引に対する課税経緯 ア本件各レポ取引においては,別表1-1及び同1ー2記載のとおり,それぞれレポ差額が生じ(以下「本件各レポ差額」という。),これを平成12年1月から平成13年6月までの各月に分けると別表2の支払額欄記載のとおりとなったが,原告は,本件各レポ差額について,いずれも,源泉徴収による所得税(以下「源泉所得税」という。)を徴収していなかった。 イ被告麹町税務署長は,平成14年8月30日付けで,原告に対し,平成12年1月分から平成13年6月分までの本件各レポ差額(別表2の「支払額」欄記載の額)について,源泉所得税の各納税告知処分(合計90億2576万7893円)及び各不納付加算税賦課決定処分(合計9億0256万8000円(以下,上記各納税告知処分及び各不納付加算税賦課)決定 載の額)について,源泉所得税の各納税告知処分(合計90億2576万7893円)及び各不納付加算税賦課決定処分(合計9億0256万8000円(以下,上記各納税告知処分及び各不納付加算税賦課)決定処分を併せて,「本件各処分」という。)を行った(甲1。 )ウ原告は,平成14年8月30日に本件各処分に係る源泉所得税及び不納- 18 -付加算税の合計99億2833万5893円を,同年9月30日に延滞税3億9945万9400円を各納付した(甲2,3の1~18。 )エ原告は,本件各レポ取引の相手方を代理して,租税条約の実施に伴う所得税法,法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の施行に関する省令2条に基づき,所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約(昭和47年条約第6号。 以下「日米租税条約」という。)及び所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の条約(昭和45年条約第23号。以下「日英租税),,条約」という。における軽減税率の適用を申請し同軽減税率適用の結果平成15年4月21日,上記ウで納付した源泉所得税のうち,45億1288万4022円の還付を受けた(甲7の1~24。 )オ原告は,納付した源泉所得税に係る求償権の不行使によるいわゆるグロスアップの発生を受け,平成15年4月30日,源泉所得税合計5億0143万1402円を納付した(甲8の1・2。 )( )本件訴訟に至る経緯 ア原告は,平成14年10月29日,本件各処分を不服として,麹町税務署長に対し,異議申立てをしたが,麹町税務署長は平成15年1月29日付けで上記異議申立てを棄却する旨の決定をし,そのころ,原告に対して通知した(甲5。 ) 月29日,本件各処分を不服として,麹町税務署長に対し,異議申立てをしたが,麹町税務署長は平成15年1月29日付けで上記異議申立てを棄却する旨の決定をし,そのころ,原告に対して通知した(甲5。 )イ原告は,平成15年2月27日,国税不服審判所長に対し,審査請求をしたが,国税不服審判所長は,平成17年2月22日,上記審査請求を棄却する旨の裁決をし,同月23日付けで原告に対しその旨通知した(甲6。 )ウそこで,原告は,平成17年3月31日,本件訴訟を提起した。 争点(争点に対する摘示すべき当事者の主張は,別紙「争点に対する当事者- 19 -の主張」記載のとおりである)。 ( )本件各レポ差額が所得税法161条6号の「貸付金(これに準ずるもの を含む」の「利子」に該当するか否か。 。)( )本件各レポ差額の支払につき原告が所得税法212条1項2項の支 ,,「払をする者」に該当するか否か。 ( )原告α支店及びP1銀行が原告の恒久的施設に該当するか否か。 ( )不納付加算税賦課決定処分について,国税通則法67条1項ただし書の 「正当な理由があると認められる場合」に該当する事由があるか否か。 第3当裁判所の判断 争点( )(本件各レポ差額が所得税法161条6号の「貸付金(これに準ず るものを含む」の「利子」に該当するか否か)について。)。 ( )法令において用いられた用語がいかなる意味を有するかを判断するに当 たっては,まず,当該法文自体及び関係法令全体から用語の意味が明確に解釈できるかどうかを検討することが必要である。その上で,なお用語の意味を明確に解釈できない場合には,立法の目的,経緯,法を適用した結果の公平性,相当性等の実質的な事情を検討の上,その用語の意味を解釈するのが相当である 討することが必要である。その上で,なお用語の意味を明確に解釈できない場合には,立法の目的,経緯,法を適用した結果の公平性,相当性等の実質的な事情を検討の上,その用語の意味を解釈するのが相当である。以下においては,この手順を念頭におきながら検討を加えることとする。 ( )所得税法161条6号にいう「貸付金(これに準ずるものを含む」の 。)「利子」の意義ア所得税法は「利子」について定義を設けていないものの,租税関係法,令の用例にかんがみれば,利息(民法404条等)と同義であるといえることから「利子」とは,元本債権から定期的に一定の割合で発生する法,定果実を指すと解される。この意義自体を巡っては,当事者間に争いがあるわけではなく,本件において問題となるのは,あくまでも所得税法161条6号にいう「貸付金(これに準ずるものを含む」の意義について。)- 20 -であるといえる。 イ(ア)被告らは,貸付金(これに準ずるものを含む)は,いわゆる固有。 概念であるから,その意義は,所得税法施行令283条1項,租税特別措置法42条の2等の規定を考慮して,私法上の性質に左右されることなく,租税法規の趣旨・目的に照らし,その経済的実質に着目してその意義を租税法独自の見地から解釈しなければならないとして「貸付金,(これに準ずるものを含む」とは,債務者に対して信用を供与する。)目的で弁済期日まで一定期間が設けられた金銭債権であり,その金銭債()。 権から果実利子ないし利息が発生し得る元本債権をいうと主張する(イ)他方,原告は,所得税法161条6号「貸付金」が,私法上の貸付金という概念を租税法に借用した概念であって,金銭消費貸借契約に基づく貸金を指すとし「貸付金(これに準ずるものを含む」とは,金,。)銭消費貸借の対象金 法161条6号「貸付金」が,私法上の貸付金という概念を租税法に借用した概念であって,金銭消費貸借契約に基づく貸金を指すとし「貸付金(これに準ずるものを含む」とは,金,。)銭消費貸借の対象金銭(若しくはその前提となる債権)又は準消費貸借など金銭消費貸借と同様若しくは類似の法律関係の目的である金銭(若しくはその前提となる債権)に限られる旨主張する。 ウそこで検討するに,まず,税法の解釈において使用される用語の用法が,,通常の用語の用法に反する場合当該税法が客観性を失うことになるため納税者の予測可能性を害し,また,法的安定性をも害することになることからすれば,税法中に用いられた用語が法文上明確に定義されておらず,他の特定の法律からの借用した概念であるともいえない場合であっても,その用語は,特段の事情がない限り,言葉の通常の用法に従って解釈されるべきである。 そして,貸付金という言葉自体は,民商法等の私法において,明確に定義されている用語ではないまた所得税法161条6号は貸付金こ。 ,,「(れに準ずるものを含む」と規定しているところ,その法文からすれば,。)貸付金として一般的に理解されている概念に,更に「これに準ずるものを- 21 -含む」と貸付金以外のものを付け加えた概念をもって「貸付金(これに。 準ずるものを含む」と規定している。したがって,同条における「貸。)付金(これに準ずるものを含む」は,一般的に理解されている貸付金。)という概念に加えて,一般的には貸付金そのものとは理解されていないがこれに準ずるものという限度において広がりをもつものが含まれるという趣旨で規定されたものといわざるを得ない。なお,ここでいう「貸付金」は「利子」との関係において,金銭自体というよりも金銭債権を指すも,のと理解 のという限度において広がりをもつものが含まれるという趣旨で規定されたものといわざるを得ない。なお,ここでいう「貸付金」は「利子」との関係において,金銭自体というよりも金銭債権を指すも,のと理解されるので,以下,金銭債権を意味するものとの前提で述べることとする。 更に進んで「貸付け」という用語は,各種金融関係法規に散見される,(銀行法2条,利息制限法改正附則(平成18年12月20日法律第115号)66条,67条等)が,明確にその意義を定めた規定はなく,これらの貸付けについては,当事者の一方が金銭その他の物又は有価証券を相手方に交付し,後日同種のものの返還を受ける有償の契約を指しているという意味で消費貸借契約を基本として解釈されるが,必ずしも要物契約である民法の消費貸借そのものに限らないとみることができ,貸金業の規制等に関する法律(昭和58年法律第32号)の「貸付け」は,金銭の貸付け,金銭の貸借の媒介,手形の割引,売渡担保その他これらに類する方法によってする金銭の交付又は当該方法によってする金銭の授受の媒介をすべて含むと規定しており(同法2条1項,これらのことからすれば,社)会一般において,そもそも「貸付け」という用語が,消費貸借契約に基づいて貸し付けられた場合にのみ限定して用いられるとの共通した認識があるとはいえない。 エ所得税基本通達161-16は,所得税法161条6号の「これに準ずるもの」につき「( ) 売買,請負,委任の対価又は物若しくは権利の貸, 付け若しくは使用の対価に係る延払債権「( ) ( )に定める対価に代わ」, - 22 -る性質を有する損害賠償金等に係る延払債権」を挙げているところ,延払債権とは延払の合意が付された債権であり,このような合意は代金支払時期の条件又は期限を定める附款にすぎない , - 22 -る性質を有する損害賠償金等に係る延払債権」を挙げているところ,延払債権とは延払の合意が付された債権であり,このような合意は代金支払時期の条件又は期限を定める附款にすぎないことからすれば,当該附款の存在によって売買,請負若しくは委任の対価又は損害賠償金としての性質が失われるとはいえず,同通達は「貸付金(これに準ずるものを含む」,。)について,消費貸借契約以外の典型契約に基づいて発生した債権ではあるものの,消費貸借契約に基づく貸付債権を基本としつつ,その性質,内容等がこれとおおむね同様ないし類似の債権を含む前提で定められているとみることができる。そして,通達の規定内容が法規の解釈を覊束するわけではないが,一つの手懸かりになるということは否定できない。 オなお,原告は,所得税法161条6号が,昭和40年に現行所得税法へ全部改正された際に規定されたものであり,同条の「貸付金(これに準ずるものを含む」という表現が,昭和37年改正以後の旧所得税法施行。)規則1条の6第2号に規定されていた「貸付金に準ずる貸付金の利子」を組み入れて規定する意味を有するものにすぎないところ同号の定める貸,「付金に準ずる貸付金の利子」との規定が定められた趣旨が,国内源泉所得となる貸付金の利子の範囲を事業に対する貸付金の利子(昭和37年改正以後の旧所得税法1条3項7号)から事業とまでは認められない業務に係る貸付金の利子に拡大することにあったことからすれば,昭和37年改正以後の旧所得税法施行規則1条の6第2号の「貸付金に準ずる貸付金の利子」とは,貸付金として通常理解される範囲のもののみを対象と想定しているのであって,その範囲を超えた概念を含む趣旨で規定されていたものではない旨主張する。 ,,しかしながら昭和37改正以後の旧所得 」とは,貸付金として通常理解される範囲のもののみを対象と想定しているのであって,その範囲を超えた概念を含む趣旨で規定されていたものではない旨主張する。 ,,しかしながら昭和37改正以後の旧所得税法1条3項7号においては国内源泉所得の対象となる所得の要件につき「この法律の施行地におい,て事業をなす者に対する貸付金で当該者のこの法律の施行地にある事業に- 23 -係るものとして命令で定めるものの利子」と定めるところ,同条の「貸付金」については,昭和37年改正以後の旧所得税法施行規則1条の5第1項において「法1条第3項第7号に定める貸付金は,法施行地において,事業(中略)をなす者に対する貸付金で,その者の法施行地における当該事業に係るもの(以下本条において国内事業に係る貸付金という)とす。 る」と定めていた。さらに,同条の5第2項1号において,第1項の債権につき,後掲の同号イ,ロで規定する債権のうち,その発生の日からその債務を履行すべき日までの期間が6月を超えるものを国内事業に係る貸付金に該当すると定め,同号イとして「法施行地において事業をなす者に,対して行う資産の譲渡又は役務の提供の対価の債権」を,同号ロとして,「イに規定する対価の決済に関し,金融機関が法施行地において事業をなす者に対して有する債権」を各定めていた。これらの昭和37年改正以後の旧所得税法及び同法施行規則の規定からすれば,昭和37年改正以後の旧所得税法1条3項7号の「貸付金」には,同法施行規則1条の5第2項における法施行地において事業をなす者に対して行う資産の譲渡又は役務の提供の対価の債権や,対価の決済に関し,金融機関が法施行地において事業をなす者に対して有する債権といった,消費貸借契約に基づく貸付債権以外の債権を含むと解するのが相当である。 また,昭和37 役務の提供の対価の債権や,対価の決済に関し,金融機関が法施行地において事業をなす者に対して有する債権といった,消費貸借契約に基づく貸付債権以外の債権を含むと解するのが相当である。 また,昭和37年改正に係る法律案等の立案担当者が,昭和37年改正前の旧所得税法1条3項7号「貸付金」につき,商取引に伴って短期・長期の融資がなされるようなものについても「貸付金」に含まれるかどう,かという問題があったが,履行期間が6か月を超える程度のものでなければ,このような金員を源泉徴収の対象に含まないと考えていたとして,6か月を超える部分については貸付金の利子と考えることを前提とした旨説明しており(甲28,この点からも上述した昭和37年改正以後の旧所)得税法の解釈の正当性が裏付けられるといえる。 - 24 -したがって,所得税法161条6号「貸付金(これに準ずるものを含む」は,昭和37年改正以後の旧所得税法1条3項7号において国内。)源泉所得の対象とされた「貸付金」の範囲と同様,消費貸借契約に基づく貸付債権以外の債権を含む趣旨で規定されたものであると解するのが相当であり,原告の上記主張は採用できない。 カ以上検討したところによれば,所得税法161条6号「貸付金(これに準ずるものを含む」の「利子」とは,消費貸借契約に基づく貸付債権。)を基本としつつ,その性質,内容等がこれとおおむね同様ないし類似の債権の利子ということができる。したがって,付帯する合意いかんでは資産の譲渡や役務の提供の対価として発生する債権に付随して発生した利益をも含むと解する余地があるといえ,その意味で,原因となる法律行為の法(,形式のみからその適用の有無を判断できるものではないこの点において原告の主張は採用できない)が,他方,社会通念上,私法上の消費貸借。 契約に があるといえ,その意味で,原因となる法律行為の法(,形式のみからその適用の有無を判断できるものではないこの点において原告の主張は採用できない)が,他方,社会通念上,私法上の消費貸借。 契約における貸付債権とその性質,内容等がおおむね同様ないし類似するか否かが問題となる。その意味において,その法形式等を全く考慮することなく,経済的効果のみに着目して,同条号の「貸付金(これに準ずるものを含む」の「利子」に該当するか否かを判断することもできない(こ。)の点において,被告らの主張も採用できない)というべきである。 。 そうであるとすれば,結局のところ,本件各レポ取引(正確にはこれに基づくエンド取引時における売買代金債権)が所得税法161条6号「貸付金(これに準ずるものを含む」に該当するか否かは,本件各レポ取。)引の法形式及び経済的効果を踏まえ,本件各レポ取引のエンド取引における売買代金債権が,上述したように,消費貸借契約における貸付債権とその性質,内容等がおおむね同様ないし類似するか否かによって判断するのが相当であると解する。 ( )本件各レポ取引についての具体的検討 - 25 -上記( )において述べたことを前提として,本件各レポ差額が所得税法1 61条6号「貸付金(これに準ずるものを含む」の「利子」に該当する。)か否かを検討するに,その前提として,本件各レポ取引の内容,性質等を明らかにする必要がある。 ア本件各基本契約の沿革本件各レポ取引は,本件各基本契約に基づいてなされている。そこでまず,本件各基本契約の沿革について,証拠(甲16,乙35の3)によると,次のとおり認められる。そして,これらによれば,本件各基本契約に基づく本件各レポ取引においては,いわゆる倒産隔離を達成するため,売買及び再売買という法形式を選 ,証拠(甲16,乙35の3)によると,次のとおり認められる。そして,これらによれば,本件各基本契約に基づく本件各レポ取引においては,いわゆる倒産隔離を達成するため,売買及び再売買という法形式を選択したことに極めて重要な意味があったことが認められる。 (ア)レポ取引は,もともと,米国連邦準備銀行が金融政策を実施するに当たり,公開市場操作を行う方法として1918年に導入されたもので。 ,,ある中央銀行においては手形を対象にして貸付けを行う権限がなくそのため,売買・再売買の法律構成をとることにより,経済的には証券を担保として資金貸付けを行う効果を与えることで,市場の調整を行っていた。 1970年以降になると,金融機関,証券会社,更に私企業が,レポ取引を行うようになり,市場が急成長した。これには,レポ取引が,売買・再売買という法形式をとることにより,貸付けと別に担保の設定事務手続を行う煩を免れるという利点があることも影響していた。日本においても,証券に関する通常の決済手続を経ることなく与信行為を行うことができ,ごく短期間の与信行為を行う場合に対象債券自体の信用力を活用することができ,さらに,譲渡担保権の設定が不要である点において,レポ取引が便宜であった。 (イ)初期のレポ取引においては,本件各基本契約において定められてい- 26 -るような種々の特約が付されず,比較的単純な売買・再売買という法的構成のみが定められていた。その後,レポ取引が,資金調達方法として利用され,その市場が拡大するに従い,よりレポ取引の特性を強調した特約が考えられ,基本契約に期間中の果実について売主に帰属させる特約,マージンコール条項等の特約が付されるようになり,金融的な側面が強くなっていった。 (ウ)米国においては,1982年に中堅証券会社が倒産し,その 基本契約に期間中の果実について売主に帰属させる特約,マージンコール条項等の特約が付されるようになり,金融的な側面が強くなっていった。 (ウ)米国においては,1982年に中堅証券会社が倒産し,その清算手続において,同証券会社が顧客との間で締結していたレポ取引(債券の売買と再売買(買戻)とを内容とする契約)の法的性質が問題となった際,同国の裁判所が,担保付貸付けと判断したことから,上記のようなレポ取引契約において売主となる者に,相手方が倒産した場合に当該債券を直ちに処分して投下資本を回収することができなくなるリスク,担保の実行手続という煩雑な手続が必要となるリスク,同手続が終了するまでの間当該債券の価格変動のリスクなどが生じるおそれが出てきた。 そこで,レポ取引に関与する市場関係者から,いわゆる倒産隔離を念頭に,担保付貸付けと判断されないよう,統一的な標準契約書を作成する動きが起こり,その結果1986年にMRAが作成され,その後,改正等がされ,本件各レポ取引において使用されているMRAが1996年に作成された。 (エ)英国においては,1992年にGMRAが作成され,1996年には,英国国債のオープン・レポ・マーケット開設において導入された。 英国法においては,担保権の登録制度が採用されていることから,レポ取引の法的性質が担保付貸付けと評価されると,登録を経ていないことから,スタート取引の時点において当該債券の完全な所有権移転がなされておらず,かつ,担保権も設定されていないという疑義を生じさせることになるため,倒産隔離を確保するべく,レポ取引が法形式的に売買- 27 -であるということを明確にする必要があった。 イ本件各基本契約書の内容(ア)本件各レポ取引は,本件各基本契約を使用しているところ,本件各基本契約は,米国法人との間で 法形式的に売買- 27 -であるということを明確にする必要があった。 イ本件各基本契約書の内容(ア)本件各レポ取引は,本件各基本契約を使用しているところ,本件各基本契約は,米国法人との間ではMRAに,英国法人との間ではGMRAに依拠しており,その処分証書たる契約書の条項においても売買及び再売買という法形式による契約類型を選択し採用することが明確に規定されているといえる(前記前提事実( )ウ参照。 )すなわち,MRA1条及びGMRA1条においては,取引の当事者を買主,売主として表示しているほか,当該取引の目的につき,当事者の一方が当該財産権の所有権を移転し,その対価として代金が支払われることを内容としており,また,MRA12条及びGMRA13条は,標準様式による各取引が,単一の取引,契約を構成することを明示し,MRA3条及びGMRA3条は,スタート取引においては,買主の代金支払と引換えに,対象債券が買主へ譲渡される旨定め,さらに,MRA8条及びGMRA6条( )項が,対象債券の権利が(特段の合意のない限gり)買主に移転することを定めており,これらのMRA及びGMRAの各条項は,MRA及びGMRAに基づきなされるレポ取引が,売買及び再売買という法形式が採用されていることを明らかにしているものである。 (イ)この点,被告らは,本件各レポ取引には,①マージン・コール条項が定められており,買主が対象債券の価格変動によるリスクを負わず,エンド取引において再譲渡価格を確実に取得できること,②収入金支払条項により売主に対象債券に生じた収入金を受領する権利が留保されており,買主に対象債券の完全な所有権が移転していないこと,③担保権条項において,担保権付貸付けと評価された場合,売主は,対象債券及びその収入金をエンド取引における義務の 金を受領する権利が留保されており,買主に対象債券の完全な所有権が移転していないこと,③担保権条項において,担保権付貸付けと評価された場合,売主は,対象債券及びその収入金をエンド取引における義務のために担保権を設定したもの- 28 -とみなすとされており,本件各レポ取引の本質が対象証券を担保とする与信行為であることを示していること,④一括清算条項により,一方当事者に債務不履行のリスクが生じた場合にはすべての契約を一括して清算できるとされ,当事者の信用リスクを最小限に抑えることができるようになっていること,⑤単一契約条項が定められ,相互に約因として約,,定されレポ取引が単一の取引上及び契約上の関係を構成するものとしスタート取引とエンド取引とが一体のものとして評価されるべきであることからすれば,エンド取引に係る売買代金債権のうちスタート取引の譲渡価格相当額の部分が信用供与の対価としての利子を生じさせる元本債権に当たるというべきであることから,本件各レポ取引が,買主から原告に対して一定期間信用を供与する取引であると主張する。 確かに,レポ取引に参加する売主は,一般にレポ取引を資金調達の比較的簡単な方法として利用しようとするものであり,特に,証券会社にとってレポ取引は,証券備蓄を利用して,低廉な金融費用で,かつ,少ない危険で融資を受けることができるのであるとともに,買主にとってもレポ取引は,比較的安全な貸付形態の一つとして,特に短期運用で利益を得られる点で余剰資金を持つ者にとっての効果的な運用方法の一つとなっており,被告らの主張する本件各基本契約の各条項は,上記レポ(,取引の金融的な特長を活かすために整備されたものである乙35の336。 )しかしながら,被告らの指摘する上記各条項を踏まえても,本件各レポ取引が売買及び再売買を本 契約の各条項は,上記レポ(,取引の金融的な特長を活かすために整備されたものである乙35の336。 )しかしながら,被告らの指摘する上記各条項を踏まえても,本件各レポ取引が売買及び再売買を本質とするものであると解するのが相当である。すなわち,まず,マージン・コール条項(上記①の主張)についてみると,同条項は,両当事者がエンド取引の不履行による損害を被らないために,エンド取引における対象債券と再譲渡価格の対価的均衡を維持し,もってエンド取引の履行を確保するための担保的条項にすぎない- 29 -とみることができる。次に,収入金支払条項(上記②の主張)は,対象証券の所持人に対して収入金が支払われた場合において,レポ取引の買主が,その収入金を受領したか否かに関係なく売主に対して当該収入金相当額を支払うことを定めていること(前記前提事実( )ウ(エ))から すれば,同条項の存在と対象債券の所有権の帰属とは切り離されている。 ,(),といわざるを得ないそして担保権条項上記③の主張については同条項が,その文言に照らして,レポ取引がその意図した法的構成により解釈されない場合に備えて設けられた条項であること(前記ア)からすれば,同条項を根拠としてレポ取引自体の法的性質に影響を与えるものではない。また,一括清算条項(上記④の主張)については,当事者の一方の債務不履行によるリスクを最小限に抑えられることになるとしても,当事者間に複数の契約関係がある場合に,リスクを回避するため各契約において債務不履行を原因とする期限の利益の喪失特約を定めることは特段不自然なことはなく,一括清算条項の存在が本件各レポ取引の法的性質を判断する上で重要であるとはいえない。さらに,単一契約条項(上記⑤の主張)については,本件各基本契約に基づくレポ取引に ることは特段不自然なことはなく,一括清算条項の存在が本件各レポ取引の法的性質を判断する上で重要であるとはいえない。さらに,単一契約条項(上記⑤の主張)については,本件各基本契約に基づくレポ取引においては,前記アに照らせば,複数存在する契約関係の一つの不履行が他の契約関係においても影響することを明らかにすることにより,倒産等の場合に,管財人によって複数存在する契約関係の一部のみの履行を迫られることを防止するものであって,スタート取引とエンド取引とを一体の契約として解釈することを意味する条項ではないとみることができる。 (ウ)また,被告らは,本件各レポ差額がレポレートを譲渡価格に乗じ,スタート取引からエンド取引までの実日数に応じ,1年を360日とする日割計算により求められるものであることから,元本債権である譲渡価格に対して一定の割合であるレポレートにより取引期間に応じて発生- 30 -する法定果実であって,エンド取引の弁済があるまでの間のスタート取引において提供された譲渡価格相当額の金員の利用可能性の対価,すなわち,レポ取引期間における信用供与の対価としての性質を有すると主張する。 確かに,本件各基本契約においては,レポ差額を決定するための年率をレポレートとし,レポ差額の算出方法につき,レポレートを譲渡価格に乗じ,1年を360日(又は当事者の合意により365日)として日割計算して得られる額をスタート取引の日からエンド取引の日までの期(,,間の実日数について合計した額としているMRA2条(l)(m)GMRA2条( ),( )。甲10,14,乙29。 tu)しかしながら,レポ差額の算出は,エンド取引における再譲渡価格の算出の前提となるものであるところ,将来の一時点であるエンド取引の日における再譲渡価格を算定するに当たっ 0,14,乙29。 tu)しかしながら,レポ差額の算出は,エンド取引における再譲渡価格の算出の前提となるものであるところ,将来の一時点であるエンド取引の日における再譲渡価格を算定するに当たって,現在の市場価格(譲渡価格)を基礎に将来の一時点までの期間に伴う負担と利益を加味した一定(),,の率レートを使用して当該期間に応じて代金額を決定することは履行期限を将来の一時点とする売買取引において相応の合理性を有するといえる。したがって,本件各レポ取引におけるエンド取引の再譲渡価格がスタート取引の日に合意する契約である以上,その再売買時の代金(,),額の決定すなわちエンド取引における再譲渡価格の決定において当該合意時点の市場価格に一定のレートや期間という要素を用い,その価格決定方法が契約条項として明確に定められているとしても,そのことから直ちに当該エンド取引における代金債権の本質が売買によるものであることに影響を与えるものではない。 ウ上記ア及びイの本件各基本契約の沿革及び内容からすれば,本件各基本契約は,倒産隔離を果たすため,契約条項において売買及び再売買により構成されることを明確に定めたものであって,他方,金融的取引の側面が- 31 -存在し,それを示唆するかのような条項の存在によっても,その法的性質を変容させるまでのものとはいえない。本件各基本契約に基づく本件各レポ取引は,売買・再売買を一つの契約で実行する複合的な性格を有する契約であると解するのが相当である。 したがって,本件各レポ取引において,買主がエンド取引において有する再譲渡価格相当額の代金債権は,あくまでエンド取引時において,売主(原告又はP1銀行)に対して対象債券と同種・同量の債券の移転することと引換えに再譲渡価格相当額の代金の支払を請求 取引において有する再譲渡価格相当額の代金債権は,あくまでエンド取引時において,売主(原告又はP1銀行)に対して対象債券と同種・同量の債券の移転することと引換えに再譲渡価格相当額の代金の支払を請求する権利を意味するということになる。 そうであるとすれば,本件各レポ取引のエンド取引における売買代金債権が消費貸借契約における貸付債権とその性質,内容等がおおむね同様ないし類似するとはいえない。換言すれば,被告らが主張するように,買主は,売主に対し,エンド取引の日までの信用を供与する目的で譲渡価格相,,当の金員を交付したものであってこれらの契約関係を一体としてみるとエンド取引における再譲渡価格のうち,上記譲渡価格相当額の部分は,その部分から果実が発生し得る債権に当たるので所得税法161条6号貸,「付金(これに準ずるものを含む」に該当し,当該レポ差額が「利子」。)に該当すると解することはできない。 ( )このように,本件各レポ差額は所得税法161条6号「貸付金(これに 準ずるものを含む」の「利子」に該当するとはいえず,同号に基づく所。)得に当たらないのであるから,原告が,本件各レポ差額に係る所得について源泉所得税の徴収義務を負わない。 したがって,原告が本件各レポ差額に係る所得について源泉所得税の徴収義務を負うとの判断を前提としてなされた各納税告知処分及び各不納付加算,,税賦課決定処分はその余の点について判断するまでもなく違法であるからいずれも取消しを免れない(なお,原告は,上記各納税告知処分のうち,4- 32 -5億1288万4022円を超える部分の取消しを求めるものであるが,上記取消しを求めていない部分が既に租税条約に基づく軽減手続により原告に還付された金員に対応する部分であることからすれば,原告の主張は,上記各 万4022円を超える部分の取消しを求めるものであるが,上記取消しを求めていない部分が既に租税条約に基づく軽減手続により原告に還付された金員に対応する部分であることからすれば,原告の主張は,上記各納税告知処分のすべてが取り消されるべきものであることを前提とした上で,上記各納税告知処分を取り消す範囲について還付された金額を超える部分に限定したものと解される。 。)また,原告が納付した金員のうち,既に還付された45億1288万4022円を除いた63億1634万2673円については,その基礎となる源泉所得税が納税義務の成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定するものであるところ,その徴収義務がないのにもかかわらず納付された,法律上の原因を欠く税額に対する納付であって,誤納金であるといえるから,原告は,被告国に対し,その還付を求めることができる。さらに,,,,それとともに当該還付金に係る還付加算金として租税特別措置法95条93条1項に基づき各年の特例基準割合(ただし,当該特例基準割合に0. 1パーセント未満の端数があるときは,これを切り捨てる。以下同じ)で。 ある4.1パーセントの割合を,平成14年8月31日から同年9月30日までは99億2833万円に乗じた金額(3457万2349円,同年1)0月1日から平成15年4月21日までは103億2779万円に乗じた金額(2億3550万1907円,同年4月22日から同月30日までは5)8億1491万円に乗じた金額(587万8635円)及び同年5月1日から平成18年12月31日までは63億1634万円に乗じた金額(9億5144万8464円)の合計12億2740万1355円並びに平成19年1月1日から支払済みまでは,63億1634万円に対して,平成19年1月1日から同年12月3 3億1634万円に乗じた金額(9億5144万8464円)の合計12億2740万1355円並びに平成19年1月1日から支払済みまでは,63億1634万円に対して,平成19年1月1日から同年12月31日までは年4.4パーセントの,平成20年1月1日以降については年7.3パーセントの割合又は同項に規定する各年の特例基準割合のいずれか低い割合を乗じた金額の支払を求めることができる。 - 33 -第4 結論 よって,原告の請求はいずれも理由があるから,これら認容することとし,訴訟費用につき,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,65条1項本文を適用し,仮執行宣言の申立てについては,その必要がないものと認めこれを却下することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部裁判長裁判官大門匡裁判官小島清二裁判官吉田徹は,差し支えのため,署名押印することができない。 裁判長裁判官大門匡- 34 -(別紙)争点に対する当事者の主張 争点( )(本件各レポ差額が所得税法161条6号の「貸付金(これに準ず るものを含む」の「利子」に該当するか否か)について。)。 (被告らの主張)「(。)」「」( )所得税法161条6号貸付金これに準ずるものを含むの利子 の意義ア基本的考え方同条号にいう「貸付金」は,租税法におけるいわゆる固有概念であるから,その意義は,所得税法施行令283条1項,租税特別措置法42条の2等を考慮し,租税法独自の見地から決すべきであって「貸付金(これ,に準ずるものを含む」とは,債務者に対して信用を供与する目的で弁。)済期日まで一定期間が設けられた金銭債権で,その金銭債権から果実(利子ないし利息)が発生し得る元本債権をいうものであり,私法上の金銭消費貸借契約による は,債務者に対して信用を供与する目的で弁。)済期日まで一定期間が設けられた金銭債権で,その金銭債権から果実(利子ないし利息)が発生し得る元本債権をいうものであり,私法上の金銭消費貸借契約によるものに限らない。したがって,本件各レポ取引が同条号にいう「貸付金」の発生原因事実となるか否かは,本件各レポ取引における「現金の授受」及び「債券の授受」が私法上いかなる契約類型に該当するかにかかわらない。 なお,同条号にいう「利子」とは,元本債権から定期的に一定の割合で発生する法定果実であって,弁済があるまでの間の元本の利用可能性の対価,すなわち当該期間における信用供与の対価という性質を有するものをいう。 以上について具体的に説明すれば,次のイのとおりであるとともに,後記ウの同条号の改正経緯とも齟齬はない。 イ租税関係法規等による裏付け(ア)所得税法施行令283条1項- 35 -所得税法施行令283条1項は,所得税法161条6号「政令で定める利子」につき「一国内において業務を行なうに対してする資産の,譲渡又は役務の提供の対価に係る債権」又は「二前号に規定する対価の決済に関し,金融機関が国内において業務を行なう者に対して有する債権」のうち,その発生日からその履行日までの期間が6か月を超えないものの利子とする旨規定し,その前提として,上記各債権が所得税法161条6号「貸付金(これに準ずるものを含む」に該当し得ると。)いう解釈がなされているといえる。 (イ)租税特別措置法42条の2(平成14年度税制改正)新現先取引及び欧米型レポ取引が所得税法161条6号の国内源泉所得の基因となる取引に当たることを前提として,一定の要件を満たすものについては,所得税を課さない旨規定している。 (ウ)所得税基本通達161-16同通達は,所得税法1 税法161条6号の国内源泉所得の基因となる取引に当たることを前提として,一定の要件を満たすものについては,所得税を課さない旨規定している。 (ウ)所得税基本通達161-16同通達は,所得税法161条6号の「これに準ずるもの」を例示(。)列挙しているところ,その例(( )勤務先に対する預け金,( )取引先等 に対する保証金,( )売買・請負・委任の対価又は物若しくは権利の貸 付け若しくは使用の対価に係る延払債権,( )( )に定める対価に代わる 性質を有する損害賠償金等に係る延払債権)を広く定めており「貸付,金(これに準ずるものを含む」を広く解釈することを認めていると。)いえる。 (エ)法人税基本通達20-1-19法人税法138条6号は,所得税法161条6号と同様の規定を定めているところ,法人税基本通達20-1-19は貸付金に法人税法138条6号「これに準ずるもの」として,( )預け金,( )保証金,敷金。 その他これに類する債権,( )前渡金その他これに類する債権,( )他人 のために立替払をした場合の立替金( )取引の対価に係る延払債権( ),, - 36 -保証債務を履行したことに伴って取得した求償金,( )損害賠償金に係 る延払債権,( )当座貸越に係る債権を例示しており,いずれもその経 済的実質において貸付金に準ずるものということができると説明されている。 ウ所得税法161条6号の改正経緯昭和37年改正以後の旧所得税法1条3項7号及び同法施行規則1条の5第2項の立法担当者による改正趣旨の解説においては,昭和37年の税制改正において,売買代金に利子を付して賦払にする場合や,手形の割引の場合など,金銭消費貸借とは異なる融資的・金融的な商取引に基づく債権であっても, 者による改正趣旨の解説においては,昭和37年の税制改正において,売買代金に利子を付して賦払にする場合や,手形の割引の場合など,金銭消費貸借とは異なる融資的・金融的な商取引に基づく債権であっても,旧所得税法1条3項7号に規定する「貸付金」に該当し得るものと整理した上で,源泉徴収の技術的困難さという便宜的・政策的な観点から,履行期間がおおむね6か月未満のものについては「貸付金」と取り扱わないものとした通達の定めに対して手当てを施したものであると説明されている。 したがって,昭和37年改正以後の旧所得税法1条3項7号の規定を受け継いだ所得税法161条6号の概念についても,私法の分野における消費貸借や準消費貸借等の概念を借用したものとは解し難く,むしろ,租税法規の趣旨・目的に照らし独自の見地から判断されるべきものである。 そして,昭和40年改正において「貸付金」に「これに準ずるもの,(を含む」との文言が付されたのは「貸付金」の概念が,消費貸借の目。),的とされた金銭に限られるものではなく,金銭消費貸借とは異なる融資的・金融的な商取引に基づく債権を含むことを確認的に明示する趣旨であったものと解するのが相当である。 ( )本件各レポ差額へのあてはめ 上記( )を前提とすれば,本件各レポ差額は,所得税法161条6号「貸 付金(これに準ずるものを含む」の「利子」に該当するというべきであ。)- 37 -る。以下において,問題となる点について述べる。 ア本件各レポ取引の各条項の解釈本件各レポ取引は,債券の売買及び再売買の形式が採用されている。しかしながら,本件各基本契約をみると,①マージン・コール条項により,買主はエンド取引において,対象債券の価格変動によるリスクを負担しないこと,②収入金条項により,取引期間中の対象債券の果実を る。しかしながら,本件各基本契約をみると,①マージン・コール条項により,買主はエンド取引において,対象債券の価格変動によるリスクを負担しないこと,②収入金条項により,取引期間中の対象債券の果実を売主が取得すること,③担保権条項により対象債券が担保権を設定したことと同様の意味を有する特約が存在すること,④一括清算条項により当事者は信用リスクを最小限に抑えられること,⑤単一契約条項の存在によりスタート取引とエンド取引は相互に約因する一体の契約であるといえることからすれ,,,ば本件各レポ取引が原告に対して一定期間信用を供与する取引であり本件各基本契約に基づくレポ取引が二つの売買という法形式を採用していることが,エンド取引における買主の代金債権のうち譲渡価格相当額の部分が「貸付金(これに準ずるものを含む」に該当することに影響する。)ものではない。 イ本件各レポ取引のエンド取引の買主の代金債権のうち,譲渡価格相当額の部分が所得税法161条6号「貸付金(これに準ずるものを含む」。)に該当し,本件各レポ差額がその「利子」に該当すること本件各レポ取引においては,売主(原告)において,スタート時の譲渡価格相当額の金員につき,その消費を含む利用を行った上で,一定のレポ取引期間が経過した後にエンド取引において,譲渡価格相当額の金額にスタート取引からエンド取引までの期間に比例して算定されるレポ差額を加算した再譲渡価格相当額の金銭を買主に移転するという要素がある。そして,売主(原告)が本件各レポ取引に参加する目的は,資金調達をすることにある。とすれば,スタート取引の時点において,買主はエンド取引日にエンド取引金額を支払うという売主の約束が履行されるという信頼を有- 38 -し,売主は,エンド取引日に支払をする旨の約束が信頼されるという受 れば,スタート取引の時点において,買主はエンド取引日にエンド取引金額を支払うという売主の約束が履行されるという信頼を有- 38 -し,売主は,エンド取引日に支払をする旨の約束が信頼されるという受信能力を有しているのであり,ここに信用が形成されるのであるから,本件各レポ差額は,売主(原告)に信用供与の対価として発生したものということができる。なお,本件各レポ取引においては,売主の個性が重視されていないが,これは本件各基本契約の各条項により売主の信用力が担保されていることによるものにすぎず,本件各レポ取引において与信行為がないという理由にはならない。 また,レポ取引が,信用供与による回収不能のリスクがほとんどないことは,対象証券の有する価値と本件各基本契約の条項とが相まって,売主の信用力を担保していることによるものにすぎず,これらの事項もレポ取引が売主に信用を供与している性質を有していることを前提とするものである。なお,原告は,レポレートが理論的には負の値になる可能性があることから,レポ取引が信用供与ではない旨主張するが,このような例外的な場合が存在するからといって,レポ差額が,取引間における譲渡価格相当額の金員の使用の対価としての性質を有しないということはできない。 そして,本件各基本契約のリスクコントロール条項は,エンド取引の債務不履行による対象証券の市場価格が減少するリスクに備えて設けられているのであるから,買主にとってみれば,エンド取引において,譲渡価格相当額の金員全額を確実に回収することができるために不可欠な条項であり,売主への信用供与によるリスクの発生を防止する極めて重要な条項である。 したがって,本件各レポ取引は,売主である原告に対して一定期間信用を供与する取引であって,エンド取引における買戻代金債権のうち,譲渡価格相 供与によるリスクの発生を防止する極めて重要な条項である。 したがって,本件各レポ取引は,売主である原告に対して一定期間信用を供与する取引であって,エンド取引における買戻代金債権のうち,譲渡価格相当額の部分は,そこから果実(利子又は利息)が発生し得る元本債権に当たるから「貸付金(これに準ずるものを含む」に該当し,本件。)各レポ差額が「利子」に該当する。 - 39 -( )原告の主張に対する反論 ア旧現先取引本件各レポ取引は,旧現先取引とは明らかにその内容及び性質を異にしている。旧現先取引は,基本的には,リスクコントロール条項及び一括清算条項がなく,スタート取引時の譲渡価格とエンド取引時における再譲渡価格の算定方法につき,繰上げ償還の場合の買戻金額が一定のレートによる日割計算が定められている以外には定められていないため,旧現先契約書による規定のみでは利子を生じさせる元本債権を前提とする約定がないといえ,元本債権の存在を前提として,これから利子としての国内源泉所得を発生する取引形態であるとはいえない。 イ所得税法161条6号「貸付金」の「利子」の意義「貸付金」は,民法,商法規定においてその用例がなく,貸金業の規制「」,「,等に関する法律2条1項は金銭の貸付けの意義につき手形の割引売渡担保その他これらに類する方法によってする金銭の交付を含む」と。 規定している。また,法令用語辞典等によれば「貸付金」を「なお「貸,,付け」の語が金融機関の与信について用いられているような場合には,与信の総称としても用いられる」とされたり「貸付け」については,金。 ,銭消費貸借契約を連想させるものの,貸付取引の多様性から,必ずしも消,,,費貸借ではなく貸付取引の種類により法的性格は一様ではなく貸付け借入れ,金融,融資等 り「貸付け」については,金。 ,銭消費貸借契約を連想させるものの,貸付取引の多様性から,必ずしも消,,,費貸借ではなく貸付取引の種類により法的性格は一様ではなく貸付け借入れ,金融,融資等はいずれも銀行による与信取引を表現するために用いる経済上の概念であるが,法律的には,更に取引の実体に応じてこれを分類し,個別的に評価することが必要であり,可能でもあると説明されたりしていることからすれば「貸付金」という用語が明確な意味内容を与,えられているとはいい難い。 また「利子」については,元本債権から一定の割合で発生する法定果,実をいうものであって,被告らの主張によっても,別段その意義を広く解- 40 -しているわけではない。 ウ所得税法施行令283条の改正経緯昭和37年改正においては,所得税法施行令283条1項の前身である旧所得税法施行規則1条の5第2項1号の債権のうち,資産の譲渡又は役務の提供の対価のうち履行期間が発生から6か月を超えないものの利子については,源泉徴収の対象とするには技術的な不都合があるために除外されたにすぎず,当該債権が「貸付金」に該当し得ることは,当然の前提とされていたということができる。そうであれば,所得税法施行令283条1項の定めにおいても,資産の譲渡又は役務の提供の対価に係る債権等が所得税法161条6号「貸付金(これに準ずるものを含む」に該当し。)得ることを当然の前提としているというべきである。 なお,同種の債権について6か月を超えるか超えないかで源泉徴収の対象にするか否かを分けたのは専ら便宜的・政策的判断によるものであると解され,6か月経過により準消費貸借としての性質を持つに至るという原告の説明には合理性がない。 エ源泉徴収の対象とならない本件各レポ取引と類似するとされる金融取引の取扱いと 判断によるものであると解され,6か月経過により準消費貸借としての性質を持つに至るという原告の説明には合理性がない。 エ源泉徴収の対象とならない本件各レポ取引と類似するとされる金融取引の取扱いとの関係以下に述べるとおり,被告らの主張は,原告が本件各レポ取引と類似すると主張する他の金融取引との比較においても,所得税法上の諸規定と矛盾するものではない。 まず,租税特別措置法41条の12にいう「割引債の償還差益」は,規定上元本債権から定期的に一定の割合で発生する法定果実とはされていな,「(。)」。 いのであるから貸付金これに準ずるものを含むには該当しない所得税法174条6号に規定する「金その他の貴金属の買入れ及び売戻し()」,,の取引現先取引と本件各レポ取引とは目的物が異なるだけでなく期間に応じて一定の割合の差益を生じさせるような定めが置かれておら- 41 -ず,リスクコントロール条項等に相当するような,買入金額の返還義務を担保する定めや利子を生じるような元本債権を前提とした定めも置かれていない点で異なる。所得税法174条7号,同法施行令298条4項に掲「」,げる先物為替予約付き外貨建て定期預金の元本部分に係る為替差益は外貨建て定期預金の預入れが,正に預金契約に基づく外貨預金元本の預入れであって,その元本部分に係る為替差益は原告の主張するような売買及,,,び再売買から生じる利益ないし差益には該当せずまた当該為替差益は,,法文上その外国為替先物取引予約自体によって生じる利益にほかならず何らかの元本債権から期間に応じて一定の割合で生じる法定果実(利子),。 ,ではあり得ず上記為替差益も本件各レポ差額と性質を異にするさらに「為替スワップ取引」は,原告が定義するような内容によれば,当該取引が,利子 期間に応じて一定の割合で生じる法定果実(利子),。 ,ではあり得ず上記為替差益も本件各レポ差額と性質を異にするさらに「為替スワップ取引」は,原告が定義するような内容によれば,当該取引が,利子を生ずるような元本債権を前提とした約定が設けられているとはいえず,本件各レポ取引と単に目的物が異なるだけということはいえないから,原告の主張はその前提を欠いている。 オ租税法律主義(課税要件明確主義)違反及び平等主義違反について所得税法161条6号の「貸付金(これに準ずるものを含む」の「利。)子」の意義については,関係法令の定め及びその趣旨に照らし,前記( ) アにおいて述べたとおりに解するのが相当であって,その解釈はあいまいでも不明確でもないから,被告麹町税務署長において,このような解釈に基づいて,本件各レポ差額が「利子」に該当すると認定し,本件各処分を行ったことは,何ら課税要件明確主義ないし憲法84条に反するものではない。国際取引に係る源泉徴収につき,源泉徴収制度が有する利点にかんがみれば,殊更限定的に解釈する理由もない。 さらに,既に述べたとおり,本件各レポ取引が旧現先取引と内容及び性質を異にしている以上,本件各レポ取引が旧現先取引に相当する取引であるとする前提を欠いている。また,本件各レポ取引と同様の事実関係であ- 42 -れば,レポ差額に係る源泉徴収義務がその支払の時に成立し,これと同時に課税処分等の特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定するのは当然であるから,被告麹町税務署長が原告を狙い撃ちにして課税徴収義務を課したものでないことは明らかであるし,そのような事実もないから,憲法14条違反をいう原告の主張も失当である。 (原告の主張)「(。)」「」( )所得税法161条6号貸付金これに準ずるものを含む いことは明らかであるし,そのような事実もないから,憲法14条違反をいう原告の主張も失当である。 (原告の主張)「(。)」「」( )所得税法161条6号貸付金これに準ずるものを含むの利子 の意義ア基本的考え方「貸付金」とは,私法上の概念の借用概念であるから,消費貸借契約を中核とする概念としてとらえられなければならず,金銭消費貸借契約に基づく貸金を指すというべきである「準ずる」とは,あるものと同様又は。 類似の性質,内容,要件等を有している別のものについて,そのあるものと同じ取扱い,処理をする場合に使用される語である。したがって「貸,付金(これに準ずるものを含む」とは,金銭消費貸借の対象金銭(若。)しくはその前提となる債権)又は準消費貸借など金銭消費貸借と同様若しくは類似の法律関係の目的である金銭(若しくはその前提となる債権)に限られる。 また「利子」とは,金銭消費貸借及び準消費貸借など金銭消費貸借と,。 ,同様ないし類似している法律関係から生ずる利子に限られる租税法令上利子に準ずるものを含む場合,その旨記載されていることからすれば,利子に準ずるものを含まないと解すべきである。 イ租税法律主義及び課税要件明確主義との関係憲法84条による租税法律主義の下では,課税要件について一義的に明確でなければならない。また,多様化・複雑化している現代の取引社会において,租税の負担が大きなものとして認識されており,租税法律主義が- 43 -課税に関する予測可能性を与え,法的安定性を確保する重要な機能を有している。このような租税法律主義の下では,租税法規の解釈は文言に即して厳格になされなければならない。 さらに,自動確定方式を採用する源泉徴収による租税が問題となっている場合とりわけ国際取引においては,源泉徴収義務 うな租税法律主義の下では,租税法規の解釈は文言に即して厳格になされなければならない。 さらに,自動確定方式を採用する源泉徴収による租税が問題となっている場合とりわけ国際取引においては,源泉徴収義務者の不利益や経済活動の萎縮効果を考慮すると,その課税要件は,一層明確に規定されていることが必要である。 ウ所得税法161条6号の立法経緯所得税法161条6号「貸付金(これに準ずるものを含む」と規定。)されたのは,昭和40年の全文改正において,課税対象の実質を改正するという趣旨でなされたのではなく,昭和37年改正以後の旧所得税法施行規則1条の6第2号に規定されていた「貸付金に準ずる貸付金の利子」を組み入れて規定する際に,このような表現として整理されたものにすぎな。 ,,「」いそして昭和37年改正以後の旧所得税法1条3項7号では事業に対する「貸付金の利子」のみを国内源泉所得として規定していたことから,事業を行っていない国や公益団体等が非居住者等に支払う利子が国内源泉所得に含まれないことになってしまうので,昭和37年改正以後の旧所得税法施行規則1条の6第2号において「同項7号に規定する貸付金に準ずる貸付金の利子でその法施行地における業務に係るもの」と定め,事業ではない業務に係る貸付金の利子を国内源泉所得と定めることとしたものである。とすれば,所得税法161条6号の沿革からも「貸付金(これに準ずるものを含む」とは,通常貸付金として理解される範囲のもの。)のみを想定しているのであり,信用供与の対価としての果実が発生し得る元本債権を広く含む趣旨の規定ではない。 なお,所得税法161条6号の括弧書きが付された趣旨は,昭和37年改正後の旧所得税法施行規則1条の5第2項において定められている債権- 44 -が「貸付金」の範囲を逸脱す 含む趣旨の規定ではない。 なお,所得税法161条6号の括弧書きが付された趣旨は,昭和37年改正後の旧所得税法施行規則1条の5第2項において定められている債権- 44 -が「貸付金」の範囲を逸脱する疑念があったことから「これに準ずるも,のを含む」との文言を挿入したものであり,その意味からすると,昭和。 37年改正後の旧所得税法施行規則1条の5第2項の債権は,当事者間において準消費貸借と同様の法律関係を認定できる場合のみを対象とする趣旨であったと理解するほかなくその意味で所得税法161条6号のこ,,「れに準ずるものを含む」とは,当事者間において準消費貸借契約と同様。 の法律関係が認定できる場合を含める意味であると理解される。 ( )本件各レポ差額へのあてはめ 上記( )を前提とすれば,本件各レポ取引は,売買と再売買によって構成 される取引であるから,所得税法161条6号「貸付金(これに準ずるものを含む」には該当しないし,本件各レポ差額が,その「利子」に該当す。)ることもない。これを更に以下のとおり敷衍して述べる。 ア類似の金融商品の取扱い「売買による差額」と「利子」の概念は明確に区別して取り扱われており,売買及び再売買から生じる「利益」又は「差益」は所得税法161条6号の「貸付金(これに準ずるものを含む」の「利子」に含まれない。 。)このことは,割引債の償還差益や金現先取引の差額,先物為替予約付外貨建て定期預金の為替差益など,本件各レポ取引のレポ差額と同一の構造を有する新しい金融商品の「利益」又は「差益」が,所得税法161条6号の所得ではなく,他の所得税法等の改正を経て課税対象とされた経緯からも裏付けられている。 所得税法161条6号も「利子に準ずるもの」と規定されているのではなく,準ずるとの文言が「貸付金」にか 条6号の所得ではなく,他の所得税法等の改正を経て課税対象とされた経緯からも裏付けられている。 所得税法161条6号も「利子に準ずるもの」と規定されているのではなく,準ずるとの文言が「貸付金」にかかっており,経済的な意味で「利子」の性質又は機能を有するもののすべてを包含するために付されているわけではない。所得税法161条6号が適用されるのは,貸付金又は貸付金に準ずるものの利子,すなわち金銭消費貸借の利子と,準消費貸借など- 45 -金銭消費貸借と同等の法的性質を有する金銭債権から生じる利子に限られ,本件各レポ差額のような売買及び再売買から生じる差額には適用される余地がない。 イ旧現先取引の取扱い旧現先取引は,大蔵省証券局長通達により金銭の貸付け又は貸借とみなすのではなく,売買として取り扱うこととされ,その後,税務上有価証券取引税の対象とされる取扱いがなされていた。 本件各基本契約に基づくレポ取引は,旧現先取引と契約内容が酷似している。旧現先取引においては,本件各基本契約と異なりマージン・コール条項,収入金支払条項,担保権条項,一括清算条項,単一契約条項,サブスティテューション条項が定められていないが,これらの条項によって,本件各基本契約に基づくレポ取引が売買契約であるという性質には影響しない以上,本件各基本契約に基づくレポ取引と旧現先取引が違う取引であるという理由にはならない。 ウ当事者は,私法上の法律行為につき,私的自治の原則に基づき,いかなる法律行為を行うかを自由に選択することができる。つまり,当事者は,同一の経済的効果を得られる複数の法律行為から一つの法律行為を選択することができる。 他方,課税庁が,上記当事者の意思を無視して,その選択した法律行為以外の法律行為を擬制し,擬制した法律行為が課税要件に該当することを理由に 複数の法律行為から一つの法律行為を選択することができる。 他方,課税庁が,上記当事者の意思を無視して,その選択した法律行為以外の法律行為を擬制し,擬制した法律行為が課税要件に該当することを理由に課税することはできない。 被告らは,本件各レポ取引が私法上いかなる契約類型に該当するかとは無関係に,私法上の契約類型や法律関係を検討することなく,経済的効果,,に殊更に注目して所得税法161条6号を適用できるとするものでありこのような解釈は,当事者間でなされた私法上の契約類型を全く無視しており,租税法律主義に反している。 - 46 -エ平等主義違反旧現先取引から生じる売買差益は「貸付金」の「利子」ではないが,旧現先取引と有意的な差のない本件各レポ取引から生じる売買差益は「貸付金」の「利子」に該当するとして,源泉徴収義務の存否について別異に取り扱うことは,法の下の平等を定めた憲法14条に反する。 また,レポ取引は,欧米で一般的な取引であり,原告が本件各レポ取引を行っていたころでも,原告のみならず,本邦国内銀行を含めた多数の金融機関が米国に所在するP6(投資家のために証券を保護預りする保管機関)を通じてレポ取引を行っており,そうであるからこそ,課税当局がレポ取引に対して源泉徴収課税方針を打ち出したことが大きな問題とされたのである。仮に被告らの主張するように,レポ取引から生じる売買差額が「貸付金」の「利子」に該当するのであれば,原告のみならず,他の本邦国内銀行を含めた多数の金融機関も同様の課税処分を受けるべきものである。にもかかわらず,本件処分は,恣意的に原告のみを狙い撃ちして対象としたものであり,法の下の平等を定めた憲法14条に反する。 オ市場への影響所得税法161条6号の「貸付金(これに準ずるものを含む」の「利。)子」を拡張する 恣意的に原告のみを狙い撃ちして対象としたものであり,法の下の平等を定めた憲法14条に反する。 オ市場への影響所得税法161条6号の「貸付金(これに準ずるものを含む」の「利。)子」を拡張する解釈は,現在グローバルな金融市場において行われている同種の金融取引にも重大かつ多大な混乱を招き,日本の税制上の一事案にとどまらない深刻な事態を招くことになる。 ( )被告らの主張に対する反論 ア所得税法161条6号「貸付金(これに準ずるものを含む」の「利。)子の意義についての被告らの主張では利子を発生するものが貸付金こ」,(れに準ずるものを含む)であると定義する一方,元本から発生するもの。 が利子であると定義するものであって,トートロジーになっており,租税法律主義(憲法84条)に反する。 - 47 -所得税法は,売買差額のような売買の「利益・差益」として生じる」「所得を所得税法161条6号に定める「利子」として生じる所得とは厳然と区別している。このことは,割引債の償還差益や金現先取引の差額,先物為替予約付外貨建て定期預金の為替差益など,本件各レポ取引のレポ差額と同一の構造を有する新しい金融商品の「利益」又は「差益」が,所得税法161条6号の所得ではなく,他の所得税法等の改正を経て課税対象とされた経緯からも明らかである。 また,租税法規においては「利子」のみを適用対象とする規定と「利,,子」のほかに「利子に準ずるもの」を含めて適用対象とする規定とが区別されている(消費税法施行令48条4項,法人税法施行令21条,租税特別措置法施行令39条の13第1項等参照)ことからすれば,所得税法161条6号にいう「貸付金(これに準ずるものを含む」の「利子」を。)広く解釈することはできない。 イ所得税法施行令283条1項との関係昭 令39条の13第1項等参照)ことからすれば,所得税法161条6号にいう「貸付金(これに準ずるものを含む」の「利子」を。)広く解釈することはできない。 イ所得税法施行令283条1項との関係昭和40年改正による所得税法施行前に「貸付金の利子」であったものが,標記の施行令によって創設的に除外されたものではなく,資産の譲渡又は役務の提供の対価のうち,履行期間が発生から6か月を超えないものについて発生するものが所得税法161条6号の「利子」に該当しないことを明文で明らかにしたものにすぎない。 そして,所得税法施行令283条1項は,債権の履行期限間が発生してから6か月を超えるものに限っては,6か月以下の短期のものと異なり,当事者間において準消費貸借契約と同様の法律関係を認定できる場合があることから「貸付金(これに準ずるものを含む」に該当するとしてい,。)るにすぎないのであって被告らの主張を裏付けるどころかかえって貸,,「付金(これに準ずるものを含む」の「利子」とは,金銭消費貸借か,。)準消費貸借など金銭消費貸借と同等の法的性質を有する金銭債権が生じる- 48 -,。 ものに限られ売買取引から生じる差益が含まれないことを裏付けているなお,仮に被告らの主張によるならば,被告らのいう本件各レポ取引における「弁済期まで」の「一定の期間」とはスタート取引からエンド取引までの期間を指すはずであるが,本件各レポ取引では,その期間がいずれも6か月以下であるから,結局「利子」に当たらないことになる。 ウ所得税基本通達161-16,法人税基本通達20-1-19との関係所得税法161条6の法令解釈に当たり,通達を根拠に行うことは論理的順序として誤っている点はさておくとし,これらの通達において列挙されているものを見ても,金銭消費貸借と同様又 20-1-19との関係所得税法161条6の法令解釈に当たり,通達を根拠に行うことは論理的順序として誤っている点はさておくとし,これらの通達において列挙されているものを見ても,金銭消費貸借と同様又は類似の法律関係を生ずるに足りる取引や事実を列挙しているにとどまり,経済的な意味における金融取引,又は取引の相手方に信用を供与する取引を包括的に列挙しているとはいえない。 エ信用供与の不存在レポ取引における当事者には「信用供与」がなく,被告らの主張は事実。 ,,,誤認であるすなわちレポ取引における買主は資金運用だけではなく債券調達,金融調節など様々な動機と目的で取引を行うのであり,レポ取引がことごとく取引の相手方に信用を供与する目的で行われているものではない。 このことは,レポレートが,譲渡価格相当額の信用供与に伴うリスクを勘案して決定されるものではなく,対象債券の需要(転売可能性)に応じて決定されることからも裏付けられる。市場動向によってネガティブ・レポレート(レポレートが負の数値になる場合)が発生し得ることからも,信用供与の対象とはならないことが明らかである。 また,本件各レポ取引は,スタート取引において,売主が証券その他資産を買主による資金の移転と引換えに譲渡し,エンド取引において,買主が証券その他資産を売主による資金と引換えに譲渡する契約である。その- 49 -ために,資金の移転と証券その他資産の移転とは同時履行の関係にあり,スタート取引及びエンド取引は,資金の移転,すなわち代金支払については,即時の決済がされているのであって,信用を供与するという要素は存在しない。さらに,レポ取引においては,買主のリスクは,エンド取引時における対象債券の時価が下落した場合にその時価と再譲渡価格との差額について存するのであって,スタ て,信用を供与するという要素は存在しない。さらに,レポ取引においては,買主のリスクは,エンド取引時における対象債券の時価が下落した場合にその時価と再譲渡価格との差額について存するのであって,スタート取引における譲渡価格相当額の金員。 ,,,について存在しているのではない加えてレポ取引においては買主も対象債券の時価が上昇した場合,その時価と再売買代金との差額については,リスクを負担することになるのであって,貸付けによるリスクとは全く異質のものであることが明らかである。 そして,被告らは,法的に一個の債権である買主(エンド取引の売主)のエンド取引における代金債権を,譲渡価格部分とそれ以外の部分とで分けている点で不当である。また,リスクコントロール条項は,スタート取引における譲渡価格の回収を担保するためのリスクコントロールではなく,エンド取引における再譲渡価格の支払と対象債券の引渡しを確実に履行させることを目的としたものにすぎない。 オ租税特別措置法42条の2の位置付け租税特別措置法42条の2は,一定の取引に課税しない旨定めているにすぎず「債券の買戻又は売戻条件付売買取引として政令で定めるもの」,が所得税法161条6号に掲げる国内源泉所得に該当することを定めた規定ではない。また,仮に租税特別措置法42条の2が,本件各基本契約に基づくレポ取引におけるレポ差額を所得税法161条6号に掲げる国内源泉所得に該当することを前提として規定したとしても,同規定が制定される以前に遡って,上記レポ差額に課税することが正当化されるものではない。 さらに,租税特別措置法42条の2は,課税庁が,平成12年10月に- 50 -P7が欧米型レポ取引を基に作成した基本契約書に基づく現先取引(新現先取引)の差額につき,所得税法161条6号の所得に当た らに,租税特別措置法42条の2は,課税庁が,平成12年10月に- 50 -P7が欧米型レポ取引を基に作成した基本契約書に基づく現先取引(新現先取引)の差額につき,所得税法161条6号の所得に当たる旨の解釈を示したところ,これに反対する意見が証券会社等から出され,結局,名を捨てて実をとる形で源泉徴収の対象とならないことを確保する目的で制定されたものであり,同条を根拠として同条制定前の所得税法161条6号の解釈を根拠付けることはできない。 争点( )(本件各レポ差額支払につき,原告が所得税法212条1項,2項 の「支払をする者」に該当するか否か)について。 (被告らの主張)( )所得税法212条1項,2項の「支払をする者」の意義 所得税法212条1項,2項の「支払をする者」とは,支払対象となる国内源泉所得の支払義務を自ら負う者を指す。 そもそも,本来の支払義務者から所得税法212条1項所定の国内源泉所得の支払を委任された代理人は,あくまで本来の支払義務者のために,本来の支払義務者を代理して本来の支払義務者に帰属する債務について支払行為を行うにすぎず,その効果も本来の支払義務者が代理人に支払を委任した場合にはその代理人が「支払をする者」に該当し,本来の支払義務者は「支払をする者」に当たらないという解釈を採るとすれば,国内源泉所得の支払について所得税法212条1項及び2項に規定する源泉徴収義務を負う者は,その支払を代理人に委任することによって容易に自己の源泉徴収義務を免れ,これを代理人に転嫁することが可能であるのみならず,国内に事務所等を有しない者を代理人に選任し,かつ,国外において支払を行わせることにより,当該代理人源泉徴収義務を生じることをも回避し,同条による源泉徴収制度そのものを完全に潜脱することが可能になってしまうので を有しない者を代理人に選任し,かつ,国外において支払を行わせることにより,当該代理人源泉徴収義務を生じることをも回避し,同条による源泉徴収制度そのものを完全に潜脱することが可能になってしまうのである。このような解釈は,税負担の不平を著しく害するものであって,到底許容することができないというべきである。 - 51 -,,,そしてこのことは所得税法212条1項所定の国内源泉所得について本来の支払義務者から支払の委任を受けた代理人がその支払の相手方である非居住者又は外国法人に対し自ら支払債務を履行すべき義務を負担する約定が存在する場合であっても変わることはない。 上記のような場合仮に本来の支払義務者のみならず当該代理人も支,,,「払をする者」に当たると解した場合,当該国内源泉所得に係る源泉所得税がその法定納期限までに完納されなかった際の不納付加算税の賦課決定処分や滞納処分の対象者を本来の支払義務者と代理人のいずれとするべきかという問題が生じ得ることになるが,所得税法は,そのような事態の発生を予定していないというべきである。 したがって,所得税法212条1項の国内源泉所得について,本来の支払義務者から支払の委任を受けた代理人が非居住者又は外国法人に対し,自ら支払義務を負う約定が存在する場合であっても「支払をする者」とは,本,来の支払義務者と指すのであり,当該代理人はこれに当たらないと解すべきである。 ( )準拠法 本件においては,原告が所得税法212条1項,2項の「支払をする者」に該当するか否か,すなわち租税法規の規定の解釈適用が問題となっているところ,当該規定が公法に分類されるものであることが明らかである。そして,我が国租税法規の固有概念は我が国私法を前提として規定されたものであり,納税者と課税庁との租税法 の解釈適用が問題となっているところ,当該規定が公法に分類されるものであることが明らかである。そして,我が国租税法規の固有概念は我が国私法を前提として規定されたものであり,納税者と課税庁との租税法規に基づく法律関係の前提をなす当事者間の権利又は法律関係についても,我が国の私法を前提にしてこれに相当する経済的効果をもたらす事実関係があるか否かを評価すれば足りるのであって,当事者間の契約に定められた準拠法によらなければならないとする必然性はない。借用概念に関しても,租税訴訟で直接に問題となるのは納税者と課税庁との間における租税法規に基づく法律関係であり,加えて,租税法に- 52 -おける借用概念とは,日本の民商法等の分野で用いられている用語を借用したものであって,当該借用概念の解釈適用に当たって適用されるべき法規範は,日本の民商法等以外にはないのであるから,固有概念であるか借用概念,。 であるか関係なく租税法規の解釈に当たり準拠法が問題となることはないしたがって,所得税法212条1項,2項「支払をする者」の解釈適用に当たり,その支払に係る私法上の法律関係を検討する必要のある場合が生じ得るとしても,そこにおいて前提とされるべき私法とは,あくまでも日本の民商法等の私法であり,日本の私法を前提として,これに相当する経済的効果をもたらす事実関係といえるか否かを評価すれば足りる。 なお,仮に準拠法が問題となる場合,支払義務者を決定するためには,原告又はP1銀行が本件各レポ差額を含むエンド取引時の代金支払義務を負担するかに当たり,P1銀行と取引相手方との間の契約効果が誰に帰属するかという点の問題を避けられないところ,代理行為の効果帰属については,国際法上定説がなく,代理行為自体の準拠法による見解,代理行為地法によるとする見解,授権行為の準拠法に 間の契約効果が誰に帰属するかという点の問題を避けられないところ,代理行為の効果帰属については,国際法上定説がなく,代理行為自体の準拠法による見解,代理行為地法によるとする見解,授権行為の準拠法によるのを原則として内国が代理行為地である場合には,法例3条2項を類推適用する見解などがあり,これらのいずれの見解が正当であるかは困難な問題である。 ( )本件各レポ取引については原告が「支払をする者」に該当すること ア上述したとおり,原告が所得税法212条1項,2項「支払をする者」に該当するか否かを判断するに際しては,日本の民商法等の私法を前提として,本件事実関係の下で原告又はP1銀行が各取引先に対し,本件各レポ差額の支払義務を負担するか否かによって決すれば足りる。 本件においては,原告が本件各レポ取引の取引先に対し,レポ差額の支払義務を負担するのであって,また,原告が代理人として本件各レポ取引を行ったにすぎないP1銀行が所得税法212条1項2項に規定する支,「」,「」払をする者に該当する余地はないのであるから原告が支払をする者- 53 -に当たることは明らかである。 なお,原告らの主張するように,自ら支払義務を負担する代理人が支払行為を行った場合に,その者が「支払をする者」に該当するという解釈を採用すると,当該代理人と非居住者又は外国法人との間の合意により,容易にその本人の源泉徴収義務を潜脱することが可能になり不当である。 イ他方,本件では,P1銀行が本件各レポ取引を実行しているが,代理契約に基づき,原告の代理人として,各取引先との間で本件各基本契約を締結し,本件各レポ取引を行ったにすぎない。 この点,原告は,P1銀行は,本件各レポ取引を行うに当たり,相手方に対し,原告のために本件各レポ取引を行うことを明示していない 引先との間で本件各基本契約を締結し,本件各レポ取引を行ったにすぎない。 この点,原告は,P1銀行は,本件各レポ取引を行うに当たり,相手方に対し,原告のために本件各レポ取引を行うことを明示していないとするが,本件各基本契約においては,P1銀行は顧客の代理人として契約をすることを明示しており,取引先に対して送付した通知書によれば,原告が本人であることを明示して本件各レポ取引を行ったと認められる。この通知書について,原告は,複数の顧客を示したものであり,特定の本人を通,,「」,知したものではないと主張するが上記通知書にはP8銀行株式会社「P8銀行株式会社(信託口座-年金基金「P8銀行株式会社(信託)」,口座-融資信託」と記載され,各信託財産が独立した法人格を有するも)のではないことからすれば,レポ取引におけるP1銀行が代理する本件各レポ取引の本人が原告であることを明らかにするものといえる。 また,原告は,P1銀行が問屋又は準問屋であると主張するが,本件各基本契約書においては,P1銀行が代理人としての地位で契約を行っていることが明記されており,商法上の問屋には該当せず,また,本人のために行為することを示している以上,準問屋とも認められない。 さらに,原告とP1銀行との間の契約によると,原告α支店の口座に保管されている金銭が,有価証券と引換えにレポ取引の相手方に移転することが定められており,原告がレポ取引の相手方に直接エンド取引における- 54 -代金の支払義務を負担することを前提としている。 ウ本件におけるP1銀行が,各取引先に支払義務を負担するか否かについて検討すると,本件各レポ取引には商法の適用があるところ,商法504条は顕名を不要とし,同条ただし書において,取引の相手方が善意無過失の場合に限り代理人に履行の請求を認めて 務を負担するか否かについて検討すると,本件各レポ取引には商法の適用があるところ,商法504条は顕名を不要とし,同条ただし書において,取引の相手方が善意無過失の場合に限り代理人に履行の請求を認めているところ,P1銀行が顧客の代理人としてレポ取引を行っていることは本件各基本契約から明らかであ,,り当該取引の相手方が善意無過失であるとは認められないのであるから日本の民商法においては,P1銀行がレポ取引の相手方に対して支払義務を負担することはない。 (原告の主張)( )所得税法212条1項,2項の「支払をする者」の意義 標記については,支払対象となる国内源泉所得の支払義務を自ら負う者と解される。そして,P1銀行は,適用される準拠法上,本件各レポ取引の相手方に対して,レポ取引のエンド取引の日において自らレポ差額の支払義務を負うことになる。このような場合,現実に所得の支払行為を行った支払義務者のみが「支払をする者」に当たる。 ( )準拠法 ,,課税権は私法によって規律される私的取引の行われる私的部門の外側に第三者として存在する国家が行使するものである。所得課税は,指摘部門において行われる経済取引によってもたらされる経済的成果に対して課税されるものであるが,この経済的成果を納税者に対してもたらすのは基本的に私法である。したがって,所得課税の対象は,当事者により契約の準拠法とされた外国法を含めた私法によりもたらされる経済的成果であるはずである。 そして,本件各レポ取引は,P1銀行が,ニューヨーク州法及び英国法を準拠法とする本件各基本契約書に基づいて行ったものであり,本件各レポ取引における支払義務者の検討において日本法が適用される余地はない。 - 55 -また,被告らは,準拠法を問題にする必要がない旨主張するが,本件各レポ取引の支 に基づいて行ったものであり,本件各レポ取引における支払義務者の検討において日本法が適用される余地はない。 - 55 -また,被告らは,準拠法を問題にする必要がない旨主張するが,本件各レポ取引の支払義務者が誰かを確定するには,準拠法の問題が生じ得る。本件各レポ取引は,ニューヨーク州法及び英国法を準拠法として定める本件各基本契約に基づいてなされるところ,支払義務の帰属については,当該準拠法に基づいて規律される。そして,日本の租税法規の適用に当たり,前提となる私法上の債権債務関係については,日本の民商法によるのではなく,外国実質法が適用されるべき場合があるのであって,租税法規中の課税要件に取り込まれた私法上の概念を解釈するときは,必ず日本の私法が適用されるということが是認されるものではない。このような問題の決定に当たっては,通常の契約解釈と同様,準拠法が問題となるものと解される。本件各レポ取引において,当事者としては,いずれも準拠法であるニューヨーク州法及び英国法以外の法令が適用されるとは想定していないのにもかかわらず,日本法を適用するのは,当事者が意図せず,また,現実に発生していない私法上の法律行為に対して課税をすることを意味し,明らかに租税法規の適用範囲を逸脱するものである。 ( )本件各レポ取引についてはP1銀行が「支払をする者」に該当すること アP1銀行は,本件各レポ取引を行うに当たり,原告のために本件各レポ。 ,(),取引を行うことを取引相手方に明示していないなおMRA10条Ⅱ別紙Ⅳ第1項,別紙Ⅳ第2項では,P1銀行が顧客の代理人として本件各レポ取引を行ったことを示すものにとどまり,顧客のうち誰のために当該レポ取引を行っているのかは明示したことを示すものではない。むしろ,本件各レポ取引当時,レポ取引の相手方に対し, 代理人として本件各レポ取引を行ったことを示すものにとどまり,顧客のうち誰のために当該レポ取引を行っているのかは明示したことを示すものではない。むしろ,本件各レポ取引当時,レポ取引の相手方に対し,代理人が本人を特定して通知するという方法は用いられておらず,本人を特定することなく,レポ取引を行うことが通例であった。P1銀行においても,本件各レポ取引において,取引相手方に対し,本人を通知していない。したがって,MRA4条に定めるマージン管理については,原告ではなく,P1銀行が行って- 56 -いた。 イ本件各レポ取引においては,P1銀行が,取引相手方に対し,原告を本人であるということを通知せずにレポ取引を行っているところ,このような場合,準拠法であるニューヨーク州法及び英国法によると,取引の相手方はP1銀行に対して契約の履行(支払義務の履行)を請求できることからすれば,P1銀行も,当該レポ取引について支払義務を負担することになる。 原告及びP1銀行の双方が,本件各レポ取引の支払義務者となるが,所得税法212条1項,2項は,現実に当該所得の支払行為を行った者,すなわち,現実に債務の弁済行為を行って自ら債務を消滅させた者こそが,源泉所得税を徴収する機会のある支払義務者として「支払をする者」に,当たると解される。このように解しないと,源泉所得税を天引きする機会がなく,かつ,支払の際に当該国で源泉徴収がされたか否かを覚知することができない者が「支払をする者」に当たるとして源泉徴収義務を負担,することになり,源泉所得税の基本的構造や明確性に反することになる。 そして,本件各レポ取引においては,支払額の計算,未決済取引に係る,,,債権債務額の計算対象債券の時価相当額の算定請求金額の検証につきP1銀行が行っていたのであり,各取引先との間 ことになる。 そして,本件各レポ取引においては,支払額の計算,未決済取引に係る,,,債権債務額の計算対象債券の時価相当額の算定請求金額の検証につきP1銀行が行っていたのであり,各取引先との間における引渡義務,支払義務の履行,決済は,いずれもP1銀行が,P1銀行名義の証券口座・資金口座を用いていたのであるから,本件各レポ取引に係る一連の支払手続は,原告ではなく,P1銀行が行っていたといえる。 したがって,本件各レポ取引における「支払をする者」は,P1銀行である。 ウ加えて,本件各レポ取引の「支払をする者」がP1銀行であるという解釈は,本件各レポ取引の相手方の意図にも合致する。すなわち,レポ取引は短期間に大量かつ多額の取引が実行されるので,取引を行う期間が限ら- 57 -れるのであり,レポ取引担当者は,電話等で連絡を取り合い,取引条件の提示や約定を行っているところ,当該担当者らは,米国法人であるP8銀行との間での取引を行っており,その本人が米国外の法人であることを認識していない場合もまれではない。本件各レポ取引における相手方も,原告を認識しておらず,このような場合に日本の源泉所得税が課税されることを全く予想していなかったものである。仮にレポ差額が日本において源泉徴収義務の対象となるとすれば,取引の相手方が課税リスクを負担することになるが,レポ取引における利ざやが非常に小さなことからすれば,レポ取引自体を避けられるようになる可能性が高い。このように,レポ取引本件各レポ取引のレポ差額に源泉徴収義務を課することは,レポ取引市場の円滑かつ健全な発展を阻害するものであり許容することができない。 エ仮に本件各レポ取引について日本法を適用した場合であっても,P1銀行が支払義務を負担することになる。すなわち,本件各レポ取引においては,本人を な発展を阻害するものであり許容することができない。 エ仮に本件各レポ取引について日本法を適用した場合であっても,P1銀行が支払義務を負担することになる。すなわち,本件各レポ取引においては,本人を明示しない限り,P1銀行が履行義務を負担する特約がある。 また,P1銀行は,代理ではなく,問屋又は準問屋であると解されることからすれば,本件各レポ取引に係る支払義務を負担するのはP1銀行であって原告ではない。なお,P1銀行から取引相手方に対してなされた通知は,原告以外に複数の顧客が記載されており,当該取引において特定の本人を通知したものではなく,また,その他の取引においてすべて通知がなされたことの立証にはならない。 争点( )(原告α支店及びP1銀行が原告の恒久的施設に該当するか否か) 。 について(被告らの主張)( )租税条約の定め 日米租税条約6条( )本文及び日英租税条約12条( )本文の定めによれ ば,これらの条約の適用上,利子は原則としてその支払者の居住地国に所得- 58 -の源泉地があるとする支払者基準が採用され,所得税法161条6号の定める使用地基準が修正されている。 本件各レポ取引においては,原告がその法律効果の帰属する契約当事者で,,,あってレポ差額の支払者に該当するから本件各取引におけるレポ差額は所得税法161条6号の国内源泉所得に当たる。 ,「」(,ただし利子の支払者が締結国内に恒久的施設日米租税条約9条( ) 日英租税条約6条( ))を有する場合,その利子の支払の基因となった債務 が,当該恒久的施設において生じ,かつ,その利子を当該恒久的施設が負担するとき(日米租税条約6条( )ただし書(a),日英租税条約12条( )ただ し書,あるいは,利子の支払者の一方が締結国の居住 当該恒久的施設において生じ,かつ,その利子を当該恒久的施設が負担するとき(日米租税条約6条( )ただし書(a),日英租税条約12条( )ただ し書,あるいは,利子の支払者の一方が締結国の居住者であり,かつ,両)締結国以外の国に当該恒久的施設を有する場合において,その利子の支払の基因となった債務が当該恒久的施設について生じ,かつ,その利子を当該恒久的施設が負担するとき(日米租税条約6条ただし書(b))には,その利子は,当該恒久的施設が存在する国の源泉から生じたものとされる。 ( )原告α支店が「支店」に当たらないこと ア日米租税条約及び日英租税条約においては「恒久的施設」につき,事,業を行う一定の場所であって,企業がそれを通じて産業上又は商業上の活,,「」動を行っているものと定め事業を行う一定の場所の一つとして支店を定めており(日米租税条約9条( )(a),日英租税条約6条( )b,原 )告のα支店が上記「支店」に該当するかが問題となる。 OECDモデル租税条約草案によると「支店」とは,①事業の場所,,,,,すなわち建物等の設備が存在すること②①の事業の場所が一定であるすなわちある程度恒久的に明確な場所に設けられていること,③この事業を行う一定の場所を通じて企業の事業が行われること,すなわち,様々な形で従属的な者(職員)が,その一定の場所が存在する国でその企業の事業を行うことの各要件をみたす必要があるものと解される。 - 59 -また,上記各要件の解釈においては,上記OECD租税条約に付されているコメンタリーを参照する必要がありOECD租税条約に規定する恒,「久的施設」に該当するためには,Ⅰ建物又は機械若しくは設備のような施「」,「」設といった事業を行う場所を有することⅡ事業 タリーを参照する必要がありOECD租税条約に規定する恒,「久的施設」に該当するためには,Ⅰ建物又は機械若しくは設備のような施「」,「」設といった事業を行う場所を有することⅡ事業を行う場所が一定であること,Ⅲこの事業を行う一定の場所を「通じて」企業の事業が行われることが必要条件となる。 そして,当該コメンタリーの各コメントによれば,ある場所が「事業を行う場所に該当するか否かの判断においてはある場所が当該企業の自」,「由になる」といえるか否かが重視されているということができる。 イ原告α支店は,現地に郵便私書箱を置くのみで,電話連絡先もなく,郵便のあて先が「P8銀行国際営業企画部気付」とされており,事務所などの物理的施設も存在しなかったのであって,何らの設備も従業員も業務実態も有していなかった。 したがって,原告が,ケイマン諸島において,自己の事業施設の中に,自由に利用することができる一定の広さの場所(建物,設備,装置等)と「」。 ,しての事業を行う場所を有していなかったことは明らかであるまたそれが恒久的に明確な場所にあったともいえない。さらに,ケイマン諸島には,原告従業員が存在しないことからすれば,原告α支店の業務はすべて日本国内の原告の国際営業企画部等が担当し,現地での業務実態はないと推認できるから,原告の従業員等がケイマン島において原告の事業を行っていなかったことも明らかである。 なお,このような結論は,いわゆるオフィス・サービス業者の事務所が「恒久的施設」に該当しないと解されていることとの整合性からも裏付けられる。 ( )P1銀行が「支店」に該当しないこと ア日米租税条約9条( )及び日英租税条約6条( )は,一定の要件を満たす - 60 -代理人をその本人の恒久的施設とする も裏付けられる。 ( )P1銀行が「支店」に該当しないこと ア日米租税条約9条( )及び日英租税条約6条( )は,一定の要件を満たす - 60 -代理人をその本人の恒久的施設とする旨定めているが,日米租税条約9条( )及び日英租税条約6条( )が適用される独立の地位を有する代理人を除 く旨定めている。 OECDモデル租税条約草案によると,独立の地位を有する代理人の要件としては,①法的にも経済的にも本人から独立していること及び②その代理人としての業務を自己の事業の通常の過程で行動することであるとされる。 イP1銀行は,米国ニューヨーク州に本店を置く外国法人であり,原告の子会社であるものの,本件各レポ取引を行うに当たり,独自の裁量により最も有利なレポレート等の条件を提示した者を取引の相手方として選定し,エンド取引における再譲渡価格を決定しており,本件各レポ取引を行うに当たり原告から一定の裁量を付与され,それに応じた責務を負担していたこと,その活動が原告からの詳細な指示や包括的管理に従って行われているものとはいえないこと,本件各レポ取引によりよる利益の大部分を報酬として受領していることからすれば,原告に従属する地位にある代理,。 人と解することはできず独立した地位を有する代理人というべきである(原告の主張)( )原告のα支店は恒久的施設に当たること OECD租税法条約の解釈に当たり,OECDコメンタリーで紹介された具体例から,抽象的な規範を導く手法は正しくない。 原告は,ケイマン諸島において,記帳施設としての機能を有する海外支店を設置することを計画し,そのため,現地顧客に対する営業を行うために必要な設備を置かず,ケイマン諸島に所在するP9と業務運営契約を締結し,同社の有する施設を原告α支店が使用している施設 する海外支店を設置することを計画し,そのため,現地顧客に対する営業を行うために必要な設備を置かず,ケイマン諸島に所在するP9と業務運営契約を締結し,同社の有する施設を原告α支店が使用している施設であることが分かるよう,同社の有する施設にネームプレートを付し,かつ,同所を原告α支店として使用していた。また,原告は,P9を通し,原告α支店としてケイマン- 61 -金融当局との連絡事務等にあたらせ,原告α支店の通常の営業行為において必要となる記録・会計帳簿や日本及びケイマン諸島法の法令を遵守するために必要な記録・会計帳簿を作成・管理し,これらの記録・会計帳簿を保管するための設備も有していた。P9の担当者が原告α支店の現地スタッフとして常駐しており,実際にこのような対外的な連絡活動や記録・会計帳簿の作成・管理・保管を行っていた。 とすれば,原告α支店は,事業を行う場所として一定の量(広さ)のあるP9の施設の一角を,原告α支店の使用する場所として有し,記帳施設としての設置目的を果たすために必要な設備内容を有していたといえる(恒久的施設としての事業の場所として認定されるためには,それが事業に使用されていることが必要であるにとどまり,特定の法的権利関係(施設の所有・貸借)の存在まで必要とされていない。また,原告α支店は,設置以来閉。)鎖まで20年近くの間,原告の記帳施設としての機能を果たしていたといえる。さらに,原告は,ケイマン諸島における当局への届出等につき,原告α支店従業員でもあるP9の従業員によって行っており,一定の場所を通じて原告の事業が行われていたといえる。 したがって,原告α支店は恒久的施設であり,本件各レポ差額は,国外源泉所得に当たる。 被告らは,電話連絡先がなく,郵便物のあて先が日本にある原告本社の部署となっていたことから 行われていたといえる。 したがって,原告α支店は恒久的施設であり,本件各レポ差額は,国外源泉所得に当たる。 被告らは,電話連絡先がなく,郵便物のあて先が日本にある原告本社の部署となっていたことから,原告α支店には実態がなく,恒久的施設ではないと主張するが,租税条約上の「恒久的施設」に該当するか否かは,OECD,,租税法条約に定められた3要件により決せられるべきであり上記のとおり原告α支店はこれを満たし,対外的業務も行っていたのであるから,原告α支店に実態がないという主張は事実に反する。 また,OECDコメンタリーにおいては「自由になる」一定量の場所が,あれば足りるとしており,固有の事務所などの物的施設があることを要求し- 62 -ているものではないから,事務所等の物的施設がない場合であっても,自由になる場所がないということはない「事業を行う場所」といえるかどうか。 の判断は,当該事業の種類とその事業を行うためにいかなる設備が必要かという点にあり,原告がα支店で行っていた業務は,金融取引であるから,原告α支店に従業員が常駐する必要はない。 ( )P1銀行は代理人恒久的施設に該当する P1銀行は,原告の代理人恒久的施設に該当する。 独立代理人とは,一般に法的にも経済的にも本人から独立している代理人,,,をいいその典型は問屋であって自己の名で法律行為をする者であるからP1銀行が独立代理人に当たるとは考えられない。とりわけ,仮にP1銀行が,レポ差額の支払義務者ではないという被告らの主張を前提とすれば,P1銀行は,従属代理人となる。 争点( )(不納付加算税賦課決定処分について,国税通則法67条1項ただ 「」。)し書の正当な理由があると認められる場合に該当する事由があるか否かについて(原告の主張)原告に本件レ 争点( )(不納付加算税賦課決定処分について,国税通則法67条1項ただ 「」。)し書の正当な理由があると認められる場合に該当する事由があるか否かについて(原告の主張)原告に本件レポ差額に係る源泉徴収義務があることを前提としてなされた各不納付加算税賦課決定処分も違法である。 そして,仮に,原告に本件各レポ差額に係る源泉徴収義務があるとしても,被告らは,旧現先取引を始め,売買及び再売買から生じる売買差額を利子所得と取り扱ってきたことはなく,むしろ,売買及び再売買であることを前提として有価証券取引税を課税してきたのであるから,原告が本件各レポ取引の売買差益による所得に源泉徴収が不要であると判断したことには,不納付加算税を賦課すべきでない正当な理由がある。 (被告らの主張)国税通則法67条1項ただし書の「正当な理由があると認められる」場合と- 63 -は,真に源泉徴収義務者の責めに帰することのできない客観的な事情があり,不納付加算税の趣旨に照らしても,なお,源泉徴収義務者に不納付加算税を賦課することが不当又は酷になる場合をいうものと解するのが相当であって(最),高裁平成18年4月20日第一小法廷判決・判例時報1939号12頁参照法定納期限までの不納付の事実が単に源泉徴収義務者の法律の不知あるいは錯誤に基づくというのみでは,同法67条1項ただし書にいう「正当な理由」には当たらないというべきである。そして「正当な理由」の主張立証責任は源,泉徴収義務者の側にあるものと解すべきである(最高裁平成11年6月10日第一小法廷判決・判例時報1686号50頁参照。 )本件では,P7等から提出された要望書には,本件各基本契約書によるレポ,,取引が源泉徴収の対象となると考えられることが指摘されていたこと原告は,「」本件各レポ取 1686号50頁参照。 )本件では,P7等から提出された要望書には,本件各基本契約書によるレポ,,取引が源泉徴収の対象となると考えられることが指摘されていたこと原告は,「」本件各レポ取引のスタート日において本件各レポ差額をその他の支払利息の勘定科目を仕訳処理をしていたことからすれば,本件各レポ差額が所得税法161条6号(利子)に該当し,源泉徴収の対象となることが一般の納税者のみならず,原告自身にとっても,明確性及び予測可能性を欠くものではなかった。 したがって,原告においては,本件各レポ差額に係る源泉所得税を法定納期限までに納付しなかったことについて,国税通則法67条1項ただし書にいう「正当な理由」は認められない。
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