平成14(わ)2268 道路交通法違反,危険運転致死,覚せい剤取締法違反被告事件

裁判年月日・裁判所
平成15年4月18日 名古屋地方裁判所
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判決文本文3,940 文字)

主文 被告人を判示第1の罪について懲役2月に,判示第2ないし第4の罪について懲役7年に処する。 未決勾留日数中140日を判示第2ないし第4の罪の刑に算入する。 理由 (犯罪事実)被告人は,第1 酒気を帯び,呼気1リットルにつき0.25ミリグラム以上のアルコールを身体に保有する状態で,平成13年5月14日午前1時35分ころ,佐賀市a町ⅰ番ⅱ号付近道路において,普通貨物自動車を運転し,第2 法定の除外事由がないのに,同14年8月25日ころから同年9月3日ころまでの間,愛知県内又はその周辺部において,覚せい剤であるフェニルメチルアミノプロパンを自己の身体に摂取し,もって覚せい剤を使用し,第3 酒気を帯び,血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム以上のアルコールを身体に保有する状態で,同年9月3日午前1時5分ころ,愛知県春日井市b町ⅲ丁目ⅳ番地付近道路において,普通乗用自動車を運転し,第4 上記第3の日時ころ,上記車両を運転し,上記場所先の信号機により交通整理の行われている交差点をc町方面からb町ⅴ丁目方面へ向かい直進するにあたり,対面信号機が赤色の灯火信号を表示しているのを同交差点入口の停止線から手前約109.2メートルの地点で認め,直ちに制動措置を講じれば同停止線の手前で停止することができたにもかかわらず,交通閑散なことに気を許し,目的地への到着を急ぐあまり,これを殊更に無視し,重大な交通の危険を生じさせる速度である時速約100キロメートルの速度で自車を運転して同交差点内に進入したことにより,折から,左方道路から青色信号に従って同交差点内に進入してきたA(当時32歳)運転の普通乗用自動車の右側部に自車の前部を衝突させ,その衝撃により北西に逸走させたA運転車両の左側後部を同交差点北西角のガードレールに衝突させ,よ に従って同交差点内に進入してきたA(当時32歳)運転の普通乗用自動車の右側部に自車の前部を衝突させ,その衝撃により北西に逸走させたA運転車両の左側後部を同交差点北西角のガードレールに衝突させ,よって,同人に脳挫傷等の傷害を負わせ,同人をして,同日午前2時28分ころ,同市町ⅵ丁目ⅶ番地のⅷ所在の甲市民病院において,同傷害により死亡させた。 (証拠)(括弧内の甲乙の番号は証拠等関係カードにおける検察官請求証拠の番号を示す。)全部の事実について 1 被告人の公判供述第1の事実について 1 被告人の検察官調書(乙4) 2 道路交通法違反事件捜査報告書(甲26),酒酔い・酒気帯び鑑識カード(甲38)第2の事実について 1 被告人の検察官調書(乙8,9),警察官調書(乙5ないし7) 2 捜索差押調書(甲27),鑑定嘱託書謄本(甲28),捜査報告書謄本(甲35) 3 鑑定書(甲29)第3,第4の事実について 1 被告人の検察官調書(乙2,3),警察官調書(乙1) 2 B(甲19),C(甲20)の検察官調書 3 D(甲18)の警察官調書第3の事実について 1 鑑定嘱託書謄本(甲15) 2 鑑定書(甲16)第4の事実について 1 E(甲21),F(甲22)の検察官調書 2 実況見分調書(甲1ないし6,8,9,11),捜査報告書(甲7),検討結果報告書(甲10) 3 死亡診断書(甲12)(確定裁判)被告人は,平成14年3月7日名古屋地方裁判所で詐欺罪により懲役1年4月(4年間執行猶予,保護観察付き)に処せられ,その裁判は同月23日に確定したものであり,その事実は前科調書(乙12)によって認められる。 (法令の適用)罰条第1の行為平成13年法律第51号による改正前の道路交通法119条1項7号の2,65条1項,平成14年政令第2 ,その事実は前科調書(乙12)によって認められる。 (法令の適用)罰条第1の行為平成13年法律第51号による改正前の道路交通法119条1項7号の2,65条1項,平成14年政令第24号による改正前の同法施行令44条の3第2の行為覚せい剤取締法41条の3第1項1号,19条第3の行為道路交通法117条の4第2号,65条1項,同法施行令44条の3第4の行為刑法208条の2第2項後段,同条1項刑種の選択第1,第3 それぞれ懲役刑併合罪の処理第1 刑法45条後段,50条(まだ確定裁判を経ていない第1の罪について更に処断)第2ないし第4 刑法45条前段,47条本文,10条(最も重い第4の罪の刑に同法14条の制限内で法定の加重)未決勾留日数の算入刑法21条訴訟費用の不負担刑事訴訟法181条1項ただし書(量刑の理由) 1 本件は,判示のとおりの,危険運転致死(第4),2件の酒気帯び運転に係る道路交通法違反(第1,第3)及び覚せい剤の使用に係る覚せい剤取締法違反(第2)の事案である。 2(1) まず,判示第3の酒気帯び運転及び判示第4の危険運転致死についてみるに,被告人は,飲食店において,自己が所属する暴力団の組員らと多量の飲酒をした後に,運転する車が盗難車両であることを知りつつ,同車両に乗り込んで運転を開始し,制限速度が時速40キロメートルと指定されている事故現場付近道路を時速約80キロメートルで走行している最中に,対面の信号が赤色であることに気づき,制動措置を講じれば停止線の手前で十分停止が可能であったにもかかわらず,停止しようとしないばかりか,さらに時速約100キロメートルにまで加速して走行し,そのまま左右の見通しが良くない交差 に気づき,制動措置を講じれば停止線の手前で十分停止が可能であったにもかかわらず,停止しようとしないばかりか,さらに時速約100キロメートルにまで加速して走行し,そのまま左右の見通しが良くない交差点内に進入して被害者運転の車両に衝突した。事故現場付近道路に至るまでの間にも,被告人は,前方の信号を何ら確認することなく右折するなどして車両を疾走させており,その運転行為は,他人の生命や身体に対する危険を何ら省みない無謀なものというほかない。 被告人は,所属する暴力団の目上の幹部を待たせるわけにはいかないと考えたことや,飲食していた店で携帯電話をなくして頭にきていたことなどから,かかる無謀な運転行為に及んだと述べるが,全くもって身勝手な理由であり,何ら斟酌の余地はない。 かかる重大な事故を起こしたにもかかわらず,被告人は,自車から救出された直後に逃走を図り,目撃者に取り押さえられている。犯行直後の情状も芳しいものではない。 被害者は,青色信号を遵守して走行しており,何らの落度もなかった。近々再婚する予定があり,明るい将来を期待していたであろうさなか,突如として生命を絶たれた被害者の無念の思いは察するに余りある。遺族らの悲嘆は大きく,被告人に対する処罰感情は厳しい。さらに,被告人運転の車両が盗難車両であったため,いまだに保険による損害の填補を含めて被害弁償は一切なされておらず,その見通しは全く立っていない。 加えて,危険運転致死傷罪は,悪質な自動車運転によって引き起こされた人の死傷について,事案の実態に即した処分を行うべく,罰則強化の一環として創設された犯罪類型であるところ,量刑にあたっては,かかる法の趣旨をも考慮に入れる必要がある。 (2) 次に,判示第1の酒気帯び運転についてみるに,被告人は,平成12年2月に酒酔い運転を 環として創設された犯罪類型であるところ,量刑にあたっては,かかる法の趣旨をも考慮に入れる必要がある。 (2) 次に,判示第1の酒気帯び運転についてみるに,被告人は,平成12年2月に酒酔い運転を犯して免許取消処分を受けたにもかかわらず,免許再取得後,1か月も経たないうちに当該犯行に及んだことに加え,犯行後警察署への出頭を何度も要請されながら,一度も出頭することなく転居したことなどに鑑みると犯情は悪い。被告人は,平素から,危なくなければいいのだ,検挙されたとしたらそれは運が悪かったのだというような考えの下で,速度違反,信号無視,酒気帯び運転等の交通違反を繰り返していたことがうかがわれるのであって,交通法規に対する遵法精神は,これ以上ない程に鈍磨している。 (3) さらに,判示第2の覚せい剤の使用についてみるに,被告人は18歳で,初めて覚せい剤を使用し,その後も断続的に使用していたものであり,覚せい剤に対する親和性が認められる。 (4) これらの事情に,被告人は,平成14年3月に保護観察付き執行猶予の言渡しを受け,社会内での更生の機会を与えられながら,保護司のもとに一度も行くことなく,その執行猶予期間中に,判示第2ないし第4の各犯行に及んでいることをも併せ考えると,被告人の遵法意識の乏しさは目に余るものがある。被告人の刑事責任は重い。 3 そうすると,危険運転致死については,被害者の遺族に対して謝罪をし,被害弁償をする意思を有していること,逮捕直後より各犯行を認め,当公判廷において反省の弁を述べていること,本件をきっかけに暴力団から脱会した旨述べていること,服役に至った前科はないことなど被告人にとって酌むべき諸事情を十分に考慮しても,被告人を主文掲記の刑に処するのが相当である。 (求刑・懲役2月及び懲役9年)平成15年4月18日名古 べていること,服役に至った前科はないことなど被告人にとって酌むべき諸事情を十分に考慮しても,被告人を主文掲記の刑に処するのが相当である。 (求刑・懲役2月及び懲役9年)平成15年4月18日名古屋地方裁判所刑事第4部裁判長裁判官沼里豊滋裁判官加藤員祥裁判官安達拓

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