昭和32(ネ)52 約束手形金請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和34年6月2日 札幌高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件控訴を棄却する。      控訴費用は控訴人の負担とする。          事    実  控訴代理人は「原判決を取消す、被控訴人は控訴人に対し金六十二万四千円及び これ

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判決文本文2,880 文字)

主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実 控訴代理人は「原判決を取消す、被控訴人は控訴人に対し金六十二万四千円及びこれに対する昭和三十一年六月二十六日から支払ずみとなるまで年六分の割合による金員の支払をせよ、訴訟費用は第一、二審共被控訴人の負担とする」との判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。 当事者双万の事実上の主張は原判決事実摘示の通りであるからここにこれを引用する。 証拠として、控訴代理人は甲第一及び第二号証、第三号証の一乃至四、第四乃至第六号証を提出し、原審証人A、同B、当審証人Cの各証言を援用し、乙号各証の成立を認め、被控訴代理人は乙第一乃至第四号証を提出し、原審並に当審証人D、原審証人E、同F及び当審証人Gの各証言並に当審における被控訴本人の訊問の結果を援用し、甲第一号証は表面は記名捺印部分の成立は認めるがその余の部分の成立は否認する、裏面の成立は不知、同第二号証の成立は否認する、その余の甲号各証の成立は認めると述べた。 理由 被控訴人は甲第一号証の本件約束手形の表面のうち振出人の記名捺印部分のみの成立を認めその余の部分の成立を否認し、本件手形は北日本漁業資材株式会社において偽造したものであると主張するにつき、この点につき考えるに、原審並に当審証人D、原審証人E及び当審証人Gの各証言並に当審における被控訴本人の訊問の結果を綜合すると、被控訴人は従来個人として或いは又合資会社北村海産物商会の代表者として、北日本漁業資材株式会社より昆布等の海藻類を買受けていたが、その買付を同会社の取締役をしている実兄Eに任せ、同人に本件のような振出人欄に被控訴人の記名捺印のみをした手形用紙を控を附したまま送付しておき、取引の成 材株式会社より昆布等の海藻類を買受けていたが、その買付を同会社の取締役をしている実兄Eに任せ、同人に本件のような振出人欄に被控訴人の記名捺印のみをした手形用紙を控を附したまま送付しておき、取引の成立した場合には新助において被控訴人を代理して金額満期等の文言を記載して手形を振出し、その都度控に金額等を記入して被控訴人に送り手形振出の事実を報告する方法を採つてきたものであり、その後昭和二十八年中右北日本漁業資材株式会社の代表者G及び右E等において函館昆布海藻協同組合を設立して、海藻類の販売は右協同組合が行い北日本漁業資材株式会社では海藻類の販売を取扱わなくなつたため、被控訴人も右函館昆布海藻協同組合との間で取引をし、北日本漁業資材株式会社とは取引しなくなつたのであるが、被控訴人は昭和三十一年四月上旬頃海藻類買付の便誼上本件手形用紙中に前記の如く振出人欄に記名捺印をし、その余は空白としてその実兄Eにこれを預けて、後日右買付契約成立のとき右新助をして爾余の手形要件の記入をさせ被控訴人に代つてこれを振出させるため、これを封筒に入れ普通郵便によつて北日本漁業資材株式会社内Eなる宛名で送付したが、新助が当時不在であつたためその入手するところとならなかつたところ、同会社の監査役であり事実上同会社の計理を担当していた訴外Dがたまたまこれを入手し、同会社の従業員Hと共謀し当時多額の債務を負担していた同会社の窮状を打開するため被控訴人及び右Eに無断で右控訴人の記名捺印を冒用して同人名義の手形を振出すことを企て、右Hをして昭和三十一年四月十七日頃擅に右手形用紙の金額欄に金六十二万四千円、支払期日欄に昭和三十一年六月二十五日、受取人欄に北日本漁業資材株式会社、支払地、振出地いずれもa町、支払場所として北国銀行I支店、振出日昭和三十一年四月十七日なる文言を記入 欄に金六十二万四千円、支払期日欄に昭和三十一年六月二十五日、受取人欄に北日本漁業資材株式会社、支払地、振出地いずれもa町、支払場所として北国銀行I支店、振出日昭和三十一年四月十七日なる文言を記入せしめ、よつて被控訴人振出名義の本件約束手形一通を偽造し、かつ当時被控訴人と右会社間には何等の商取引がなかつたにもかかわらず、昭和三十一年四月十七日右会社が被控訴人に対し総代金六十二万四千円に相当する浜中長切昆布及び日高長切昆布を売渡し、右代金決済のため右金額に相当する手形一葉を受取つた旨仮空の事実を記載した虚偽の精算書一通を右会社の従業員岩佐たかしをして作成せしめ、昭和三十一年五月十一日右偽造手形及び虚偽の精算書を控訴人Jに示して、同控訴人に対し、恰も右会社から被控訴人に真実右昆布を売渡しその代金決済のため本件手形を受取りたる如く申しいつわり、右手形の割引買取方を申出で、控訴人をしてその旨誤信せしめ、右手形を北日本漁業資材株式会社名義で裏書し、これを控訴人に譲渡すると共に、右手形割引金名下に現金四十一万七千七百四十円を控訴人から騙取した事実を認めることができる。右認定に反する何等適切の証拠がない。 <要旨第一>控訴人は右偽造の事実を否認し、本形手形は有効に振出された手形であると主張するけれども、前掲証拠に</要旨第一>よれば被控訴人は本件記名捺印した約束手形用紙を将来の取引の便誼のため、単に実兄Eに預けるために発送したにすぎないことが認められるのであつて、元来白地手形の補充権は振出人と受取人との契約により発生するものであるところ、被控訴人と新助との間には右手形の白地補充につき何等の具体的契約の見るべきものがなかつたのみならず、右手形用紙はついに前記の如く新助において受取ることが不能となつたのであるから、第三者であるD等がこれを冒用する際に 間には右手形の白地補充につき何等の具体的契約の見るべきものがなかつたのみならず、右手形用紙はついに前記の如く新助において受取ることが不能となつたのであるから、第三者であるD等がこれを冒用する際には右は未だ白地手形としての性質を具えない振出未完成<要旨第二>の手形用紙にすぎないものと認めるべきであつて、かかる場合に第三者が不法に入手して、擅に金額等の重要</要旨第二>な文言を記載し使用した場合には、たといその者において振出人の署名を偽造しなくても、なお手形を偽造したものと言うことができるから控訴人の右主張は採用しない。然らば本作手形は前記の如く訴外D等において金員騙取の手段として偽造したものと認められるから、被控訴人は何人に対しても本件手形にもとずく手形金支払の義務を負わないものといわなくてはならない。 よつて控訴人の被控訴人に対し本件手形金の支払を求める本訴請求は失当といわなければならないから、原判決理由中本件手形が訴外合資会社北村海産物商会の振出に係るものと認めた点は失当であるけれども、結局控訴人の本訴請求を棄却した原判決は相当であると認め、民事訴訟法第三百八十四条に則り本件控訴を棄却すべく、控訴費用の負担について同法第九十五条第八十九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官羽生田利朝裁判官雨村是夫裁判官今村三郎)

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