令和3(ワ)14272 登録ドメイン名使用権確認請求事件

裁判年月日・裁判所
令和5年4月28日 東京地方裁判所
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令和5年4月28日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和3年(ワ)第14272号登録ドメイン名使用権確認請求事件口頭弁論終結日令和5年2月16日判決原告株式会社メディライン 同訴訟代理人弁護士小泉妙子被告スイスラスティック・アクチェンゲゼルシャフト ・ザンクト・ガレン同訴訟代理人弁護士十河陽介 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求原告が株式会社日本レジストリサービスに登録するドメイン名「venosanshop. jp」を使用する権利を有することを確認する。 第2 事案の概要等 1 事案の要旨本件は、株式会社日本レジストリサービス(以下「JPRS」という。)にドメイン名「venosanshop.jp」(以下「本件ドメイン名」という。)を登録してい る原告が、被告の申し立てたJPドメイン紛争処理手続において本件ドメイン名の登録を取り消せとの裁定が下されたことから、同裁定に基づいて本件ドメイン名の取り消される事態を回避するため、本件ドメイン名を使用する権利を有することの確認を求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲各証拠(以下、書証番号は 特記しない限り枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実) 当事者ア原告は、医薬品、医薬部外品、化粧品の販売並びに輸出入及び輸出入代行業務等を目的とする株式会社である。原告は、平成20年3月25日、「有限会社スペクトラム」が「株式会社スペクトラ 当事者ア原告は、医薬品、医薬部外品、化粧品の販売並びに輸出入及び輸出入代行業務等を目的とする株式会社である。原告は、平成20年3月25日、「有限会社スペクトラム」が「株式会社スペクトラム」に商号変更したことにより設立され、同年8月29日、現商号に変更した(甲1)。 原告代表者は、原告、株式会社ディーピーシー(以下「ディーピーシー」という。)及び株式会社ベノサンジャパン(以下「ベノサンジャパン」という。)の一人株主であり、ディーピーシー及びベノサンジャパンの代表取締役も務めている。 イ被告は、「VENOSAN」とのブランド名を用いて医療用弾性ストッキ ング等の製造等を行うスイス法人である。 当初、スイス法人であるSalzmannAGSt.Gallen(以下「ザルツマン」という。)が「VENOSAN」ブランドの医療用弾性ストッキング等の製造等の事業を行っていたが、平成27年頃、被告が当該事業を引き継いだ。 「汎用JPドメイン名登録等に関する規則」(以下「本件規則」という。)の定め本件ドメイン名は、汎用JPドメイン名であるところ、汎用JPドメイン名の登録等については、JPRSが定める本件規則が適用される。なお、汎用JPドメイン名とは、「汎用JPドメイン名登録等に関する技術細則」に定 める文字種別及び文字列その他の技術的要件に従って本件規則に基づいて登録されるJPドメイン名をいう(乙17)。 本件規則において、汎用JPドメイン名の登録をした者(以下「登録者」ということがある。)は、その登録に係る汎用JPドメイン名について第三者との間に紛争がある場合には、一般社団法人日本ネットワークインフォメー ションセンター(以下「JPNIC」という。)が定 ということがある。)は、その登録に係る汎用JPドメイン名について第三者との間に紛争がある場合には、一般社団法人日本ネットワークインフォメー ションセンター(以下「JPNIC」という。)が定める「JPドメイン名紛 争処理方針」(以下「紛争処理方針」という。)に従った処理を行うことに同意し、JPRSはJPNICが認定する紛争処理機関(以下「認定紛争処理機関」という。)の裁定に従った処理を行う旨が定められている(25条の2、37条)。 紛争処理方針の定め(甲7) ア 4条a項JPドメイン名紛争処理手続においてドメイン名の移転又は取消しを求める申立人は、以下の3項目の全てを立証しなければならない。 「(ⅰ) 登録者のドメイン名が、申立人が権利または正当な利益を有する商標その他表示と同一または混同を引き起こすほど類似していること (ⅱ) 登録者が、当該ドメイン名に関係する権利または正当な利益を有していないこと(ⅲ) 登録者の当該ドメイン名が、不正の目的で登録または使用されていること」イ 4条b項 特に以下の事情(ただし、これらに限定されない。)があれば、4条a項(ⅲ)号に関し、「当該ドメイン名の登録または使用は、不正の目的である」と認めなければならない。 「(ⅰ)登録者が、申立人または申立人の競業者に対して、当該ドメイン名に直接かかった金額(書面で確認できる金額)を超える対価を得るた めに、当該ドメイン名を販売、貸与または移転することを主たる目的として、当該ドメイン名を登録または取得しているとき(ⅱ) 申立人が権利を有する商標その他表示をドメイン名として使用できないように妨害するために、登録者が当該ドメイン名を登録し、当該登録者がそのような妨害行為を複数回行っているとき しているとき(ⅱ) 申立人が権利を有する商標その他表示をドメイン名として使用できないように妨害するために、登録者が当該ドメイン名を登録し、当該登録者がそのような妨害行為を複数回行っているとき (ⅲ) 登録者が、競業者の事業を混乱させることを主たる目的として、当 該ドメイン名を登録しているとき(ⅳ)登録者が、商業上の利得を得る目的で、そのウェブサイトもしくはその他のオンラインロケーション、またはそれらに登場する商品及びサービスの出所、スポンサーシップ、取引提携関係、推奨関係などについて誤認混同を生ぜしめることを意図して、インターネット上のユ ーザーを、そのウェブサイトまたはその他のオンラインロケーションに誘引するために、当該ドメイン名を使用しているとき」ウ 4条c項特に以下の事情(ただし、これらに限定されない。)があれば、4条a項(ⅱ)号の反対事実、すなわち「登録者は当該ドメイン名に関係する権利ま たは正当な利益を有している」と認めなければならない。 「(ⅰ)登録者が、当該ドメイン名に係わる紛争に関し、第三者または紛争処理機関から通知を受ける前に、商品またはサービスの提供を正当な目的をもって行うために、当該ドメイン名またはこれに対応する名称を使用していたとき、または明らかにその使用の準備をしていたとき (ⅱ) 登録者が、商標その他表示の登録等をしているか否かにかかわらず、当該ドメイン名の名称で一般に認識されていたとき(ⅲ) 登録者が、申立人の商標その他表示を利用して消費者の誤認を惹き起こすことにより商業上の利得を得る意図、または、申立人の商標その他表示の価値を毀損する意図を有することなく、当該ドメイン名を 非商業的目的に使用し、または公正に使用しているとき」エ 4条k項 とにより商業上の利得を得る意図、または、申立人の商標その他表示の価値を毀損する意図を有することなく、当該ドメイン名を 非商業的目的に使用し、または公正に使用しているとき」エ 4条k項「いずれの当事者も、このJPドメイン名紛争処理手続の開始前、係属中または終結後のいずれの段階においても、当該ドメイン名の登録に関して裁判所に出訴することができる」。紛争処理機関の「パネルが、登録者の ドメイン名登録の取消…の裁定を下した場合には、JPRSはパネルの裁 定の実施を、紛争処理機関からの裁定の通知から10日間…の間、保留する。もしこの10日間の間に、JPRSに対し、登録者から申立人を被告として…管轄裁判所に出訴したことを証する書面…の提出がなければ、JPRSはその裁定を実施する。…もしこの10日間の間に、登録者から出訴したことを証する書面の提出があったときには、JPRSはその裁定結 果の実施を見送る。また、(ⅰ)公正証書による当事者間での和解契約書、(ⅱ)登録者が提訴した当該訴訟についての訴えの取下書及び申立人の同意書、または(ⅲ)当該訴訟を却下もしくは棄却する、あるいは登録者は当該ドメイン名を継続して使用する権利がないとの裁判所による確定判決またはそれと同一の効力を有する書面の写しを、申立人または登録者からJP RSが受領するまで、JPRSはパネルの裁定の実施に関わるいかなる手続も行わない。」ザルツマン及び被告とディーピーシーとの間の販売権付与契約アザルツマンとディーピーシーは、平成21年6月、ザルツマンが、ディーピーシーに対し、日本における「VENOSAN」ブランドの医療用ス トッキング等(ただし、一部の製品を除く。甲18・付録Ⅰ)の独占的販売権を付与する旨の契約をした(以下「本件販売契 が、ディーピーシーに対し、日本における「VENOSAN」ブランドの医療用ス トッキング等(ただし、一部の製品を除く。甲18・付録Ⅰ)の独占的販売権を付与する旨の契約をした(以下「本件販売契約1」という。)。 本件販売契約1には、以下の条項が設けられていた。 (ア) 販売権が付与される「ディーピーシー」は、ディーピーシー及びその関連会社を意味する(1.3条)。 (イ) 「関連会社」とは、その過半数の所有権が、本件販売契約1のいずれかの当事者の過半数の所有権と直接的又は間接的に共通している組織を意味する(1.4条のⅲ)。 (ウ) ディーピーシーは、自社名と自費で製品の配布を促進することに同意する。ディーピーシーは、ザルツマンの名前で又は代理として、いかな る点においても契約や約束を締結してはならない(3条)。 (エ) マーケティング戦略や販売及び広告は、ディーピーシーの独自の裁量で、地域の市場状況を考慮に入れて行われる。その費用は、本件販売契約1に他の特定の事項が含まれていない限り、ディーピーシーが負担する(6.1条)。 (オ) 当事者は、インターネットを介して製品を宣伝及び販売してもよい (7.1条)。 (カ) 本件販売契約1の6条の規定は、当事者のインターネットプロモーションに適用されるものとする(7.3条)。 イ被告とディーピーシーは、平成29年6月12日、被告が、ディーピーシーに対し、日本における「VENOSAN」ブランドの医療用ストッキ ング等の独占的販売権を付与する旨の契約をした(以下「本件販売契約2」という。)。本件販売契約2においても、前記ア(ア)ないし(カ)と同旨の条項が定められていた。 ウ被告は、令和元年12月6日及び同月9日、ディーピーシーに対 旨の契約をした(以下「本件販売契約2」という。)。本件販売契約2においても、前記ア(ア)ないし(カ)と同旨の条項が定められていた。 ウ被告は、令和元年12月6日及び同月9日、ディーピーシーに対し、本件販売契約2を終了させる旨を通知した。これにより、本件販売契約2は、 令和2年6月30日をもって終了した。 原告による本件ドメイン名の登録原告は、平成23年9月23日、本件ドメイン名をJPRSに登録した。 その後、本件ドメイン名を用いたウェブサイト(以下「本件サイト」という。)が開設され、本件サイトにおいて「VENOSAN」ブランドの被告の 商品などが販売されていた。 ディーピーシーの商標権アディーピーシーは、別紙原告側商標権目録1記載の商標について、平成24年5月2日に商標登録出願をし、同年12月7日に設定の登録を受けた(以下「本件原告側商標権1」という。甲20)。 イディーピーシーは、別紙原告側商標権目録2記載の商標について、平成 31年1月7日に商標登録出願をし、令和2年1月7日に設定の登録を受けた(以下「本件原告側商標権2」という。甲29)。 被告は、令和3年3月11日、本件原告側商標権2に係る商標登録について、商標法53条の2所定の商標登録取消審判を請求したところ、特許庁は、これを取り消す旨の審決をし、その後、同審決は確定した(甲29、 弁論の全趣旨)。 被告の商標権被告は、別紙被告商標権目録1ないし3記載の各商標権(以下、番号に従って「本件被告商標権1」などといい、各商標権に係る登録商標を「本件被告商標1」などという。)を有している。 日本知的財産仲裁センター紛争処理パネルの裁定被告は、令和3年3月8日、認定紛争処理機関である日本知的財産仲裁 、各商標権に係る登録商標を「本件被告商標1」などという。)を有している。 日本知的財産仲裁センター紛争処理パネルの裁定被告は、令和3年3月8日、認定紛争処理機関である日本知的財産仲裁センターに対し、原告を相手方として、本件ドメイン名の登録を取り消せとの裁定を求める申立てをした(以下「本件申立て」という。)。 日本知的財産仲裁センター紛争処理パネルは、本件申立てについて、同年 5月21日、紛争処理方針4条a項(ⅰ)ないし(ⅲ)号の各要件を満たすとして、本件ドメイン名の登録を取り消せとの裁定をした。 本件訴えの提起原告は、令和3年6月3日、被告に対し、本件訴えを提起した。 これにより、前記(8)の裁定結果の実施は見送られている(弁論の全趣旨)。 紛争処理方針4条a項(ⅰ)号の要件の充足本件ドメイン名は、本件被告商標1ないし3と同一であるか、又は混同を引き起こすほど類似している。 3 争点紛争処理方針4条a項(ⅱ)号の要件を満たすか(争点1) 紛争処理方針4条a項(ⅲ)号の要件を満たすか(争点2) 4 争点に関する当事者の主張争点1(紛争処理方針4条a項(ⅱ)号の要件を満たすか)について(被告の主張)ア紛争処理方針の解説によれば、①登録者の氏名又は法人名とドメイン名との不一致、②ドメイン名と一致する登録者の日本における登録商標の不 存在及び③ドメイン名に関するライセンスの不存在(以下、番号に従って「要件①」などということがある。)が立証された場合、登録者が紛争処理方針4条c項(ⅰ)ないし(ⅲ)号の各事情の主張立証責任を負うとされている。 イ(ア) 本件において、①本件ドメイン名は、原告の現在の商号の要部である 「メディライン」とも、 が紛争処理方針4条c項(ⅰ)ないし(ⅲ)号の各事情の主張立証責任を負うとされている。 イ(ア) 本件において、①本件ドメイン名は、原告の現在の商号の要部である 「メディライン」とも、設立時の商号の要部である「スペクトラム」とも一致していないし、②原告は日本において本件ドメイン名と一致する登録商標を有していない。また、③本件申立ての前に、本件販売契約2は終了しているから、原告が本件ドメイン名に関して被告からライセンスを受けていることはない。 したがって、原告が紛争処理方針4条c項(ⅰ)ないし(ⅲ)号の各事情の存在を立証しない限り、紛争処理方針4条a項(ⅱ)号は満たされることになる。 (イ)この点、原告は、紛争処理方針4条c項(ⅰ)号所定の事情があると主張する。 しかし、原告は、本件販売契約2の終了後、日本知的財産仲裁センターから本件申立てに係る通知を受ける前に、本件サイトにおいて、「VENOSAN」及び「ママライン」との標章を付して被告の医療用弾性ストッキングを販売していただけでなく、本件ドメイン名とは関係のない「FOOTNURSE」及び「コットンプレミアム」とのブランド名の 商品などを多数販売していた。 被告が「ママライン」との標章を付して販売していた商品は、「VENOSAN」ブランドの商品の一つで「LEGLINE」と称されるものである。本件販売契約2では、「VENOSAN」ブランドの被告の商品をそれ以外の名称で販売することを禁止していたから、本件販売契約2の存続期間中であっても、本件サイトにおいて当該商品を「ママライン」 との名称で販売することは、本件販売契約2に基づく正当な行為に当たらない。 したがって、原告は、自らの商品又はサービスの提供についての正当な目的 、本件サイトにおいて当該商品を「ママライン」 との名称で販売することは、本件販売契約2に基づく正当な行為に当たらない。 したがって、原告は、自らの商品又はサービスの提供についての正当な目的をもって、本件ドメイン名を使用していないから、紛争処理方針4条c項(ⅰ)号所定の事情があることが立証されているとはいえない。 (ウ) このほか、紛争処理方針4条c項(ⅱ)及び(ⅲ)号所定の事情があることについても立証されているとはいえない。 (エ) 以上のとおり、紛争処理方針4条c項(ⅰ)ないし(ⅲ)号の各事情があることは立証されていないから、紛争処理方針4条a項(ⅱ)号の要件を満たす。 ウ仮に紛争処理方針の解説所定の各要件のいずれかが認められないとしても、以下の事情に照らせば、原告が本件ドメイン名に関係する権利又は正当な利益を有していないことは明らかである。 前記イ(ア)のとおり、本件ドメイン名は、原告の現在の商号の要部である「メディライン」とも、設立時の商号の要部である「スペクトラム」とも 一致していない。また、被告は、原告に対し、本件ドメイン名の登録及び使用について許諾したことはない。 そもそも、被告が本件申立てをした時点で、本件販売契約1及び2はいずれも終了していたから、ディーピーシーとザルツマン及び被告とが本件販売契約1及び2を締結していたことは、原告が本件ドメイン名に関する 権利又は正当な利益を有していることの根拠とならない。 エしたがって、紛争処理方針4条a項(ⅱ)号の要件を満たす。 (原告の主張)ア紛争処理方針の解説所定の要件①ないし③が認められないこと(ア) 被告が主張するとおり、本件ドメイン名は原告の商号又はその要部と一致していない。 を満たす。 (原告の主張)ア紛争処理方針の解説所定の要件①ないし③が認められないこと(ア) 被告が主張するとおり、本件ドメイン名は原告の商号又はその要部と一致していない。 しかし、原告、ディーピーシー及びベノサンジャパンは、いずれも原告代表者が代表取締役を務め、かつ、同人が一人株主であることから、本件ドメイン名をこの3社のいずれに取得させるかについて同人の経営判断によって決めることができた。原告代表者は、ザルツマンから購入する「VENOSAN」ブランドの医療用弾性ストッキングを含む医療 用弾性ストッキング、着圧ストッキング及び着圧ソックス等を取り扱う販売会社としてベノサンジャパンを位置付け、ベノサンジャパンが取り扱う商品を販売するウェブサイトの一つである本件サイトの運営会社として原告を位置付けた上、ベノサンジャパンが取り扱う商品を販売するウェブサイトに使用する目的で本件ドメイン名を原告名義で取得した。 ベノサンジャパンの商号の要部は「ベノサン」、本件ドメイン名の要部は「venosan」であるから、実質的に見れば、本件ドメイン名の実際の使用者であるベノサンジャパンの商号の要部のアルファベット表記と、本件ドメイン名の要部とは、いずれも「venosan」で一致していることになる。 (イ) また、ディーピーシーは、日本において本件原告側商標権1及び2を 有していたから、実質的に見れば、本件ドメイン名の要部と一致する登録商標を有していたといえる。 (ウ) さらに、被告は、本件ドメイン名に関し、原告にライセンスを付与する権原を有しないし、そのような立場にもないのであるから、そもそも原告が被告から本件ドメイン名についてライセンスを付与されること自 体あり得えない。したがって、本件において ライセンスを付与する権原を有しないし、そのような立場にもないのであるから、そもそも原告が被告から本件ドメイン名についてライセンスを付与されること自 体あり得えない。したがって、本件において、要件③は検討を要しない。 (エ) したがって、紛争処理方針の解説所定の要件は認められない。 イ紛争処理方針4条c項(ⅰ)号所定の事情があること(ア) 仮に紛争処理方針の解説所定の各要件のいずれもが認められるとしても、原告は、以下のとおり、本件申立てがされる前に、本件販売契約1及び2が定める債務の履行である「VENOSAN」ブランドの医療用 弾性ストッキングの販売を正当な目的をもって行うために、本件ドメイン名を使用しており、かつ、その正当性は本件販売契約2の終了後も存続しているから、紛争処理方針4条c項(ⅰ)号所定の事情がある。 (イ) 被告は、原告が、本件サイトにおいて、「VENOSAN」及び「ママライン」との標章を付して被告の医療用弾性ストッキングを販売してい ただけでなく、本件ドメイン名とは関係のない「FOOTNURSE」及び「コットンプレミアム」とのブランド名の商品などを販売していたことを指摘して、紛争処理方針4条c項(ⅰ)号所定の事情がないと主張する。 本件サイトにおいて、「VENOSAN」ブランドの商品以外の商品の 販売が制約されるということは、本件販売契約1及び2にも、紛争処理方針にも記載されていない。また、自らの費用と裁量で取得した本件ドメイン名を用いたウェブサイトで販売できる商品を、特定の商品の販売元にすぎない被告が制約できるはずがない。そもそも、ドメイン名には、通常、それを用いるウェブサイトの運営会社の名称やその略称などが用 いられることが多いところ、当該ウェブサイトにおい 品の販売元にすぎない被告が制約できるはずがない。そもそも、ドメイン名には、通常、それを用いるウェブサイトの運営会社の名称やその略称などが用 いられることが多いところ、当該ウェブサイトにおいて社名等と同じ名称の商品及びサービスしか取り扱っていないという例外的な場合を除き、当該ウェブサイトで販売及び提供される全ての商品及びサービスの名称が、当該ウェブサイトのドメイン名と関連しているということはほとんどない。原告は、本件販売契約1及び2に基づいて、実際の販売行為を 行う会社であるベノサンジャパンの略称である「ベノサン」のアルファ ベット表記に「店」を意味する平易な英単語を組み合わせた本件ドメイン名を採用し、本件サイトにおいて、「VENOSAN」ブランドの商品及びベノサンジャパンが取り扱う他の商品を販売しているのであって、このようなごく当たり前の経済活動が、「商品またはサービスの提供を正当な目的をもって行うため」(紛争処理方針4条c項(ⅰ)号)に該当しな いと判断されることは著しく不当である。 (ウ) したがって、紛争処理方針4条c項(ⅰ)号所定の事情があることが立証されているから、原告は本件ドメイン名に関係する権利又は正当な利益を有していると認められなければならない。 ウ原告は本件ドメイン名に関係する権利又は正当な利益を有していること 仮に紛争処理方針4条c項(ⅰ)号所定の事情が認められないとしても、以下の事情に照らせば、原告が本件ドメイン名に関係する権利又は正当な利益を有していることは明らかである。 (ア) 紛争処理方針の解説によれば、紛争処理方針4条a項(ⅱ)号所定の「ドメイン名に関係する権利または正当な利益」を有するか否かの判断 に当たって問題とされるべきは、そのドメイン名の選 (ア) 紛争処理方針の解説によれば、紛争処理方針4条a項(ⅱ)号所定の「ドメイン名に関係する権利または正当な利益」を有するか否かの判断 に当たって問題とされるべきは、そのドメイン名の選択が妥当といえるだけの独立の利益を有しているか否かであるとされている。 本件販売契約1の1.3条及び1.4条によれば、原告は、ディーピーシーの関連会社に当たる。そして、本件販売契約1の6.1条、7. 1条及び7.3条は、原告が、独自の裁量に基づいて、マーケティング 戦略及びインターネット上での製品販売に関するインターネットプロモーションを行うと定め、かつ、同3条は、その販売促進を自社名と自費で行うと定めていた。これに対し、本件販売契約1には、原告が「VENOSAN」の語を含むドメイン名を取得することを制限したり、被告が原告に当該ドメイン名の取得を許諾したりする権原を有することを認 める定めはない。そうすると、原告が、独自の裁量に基づくマーケティ ング戦略の一環として、本件ドメイン名を登録及び使用することは、本件販売契約1により許容されていた行為である。したがって、原告は、「VENOSANの店」との意味を表す本件ドメイン名を選択し、これを登録及び使用することについて、独立した利益を有している。 また、被告とディーピーシーが締結した本件販売契約2においても上 記各条項は維持されていたから、原告が本件ドメイン名を使用することは本件販売契約2により許容されていた行為であって、原告は本件ドメイン名を登録及び使用することについて、引き続き独立した利益を有している。 (イ) 本件販売契約2は、契約終了後の原告による本件ドメイン名の使用を 禁止していないから、本件ドメイン名の選択が妥当といえるだけの原告の独立した 続き独立した利益を有している。 (イ) 本件販売契約2は、契約終了後の原告による本件ドメイン名の使用を 禁止していないから、本件ドメイン名の選択が妥当といえるだけの原告の独立した利益が、本件販売契約2の終了に伴って当然に失われることにはならない。 また、原告が、本件販売契約2の終了後に、本件サイトにおいて「VENOSAN」ブランドの被告の商品を販売する行為は、本件販売契約 2の終了について何の帰責性もなく、被告から何の補償も得られていない原告が、在庫品の購入費用及び諸経費、在庫品販売によって得られたはずの利益の喪失等に相当する経済的損失が生ずることを回避するために行うものであるから、原告は当該行為について正当な利益を有している。 エしたがって、紛争処理方針4条a項(ⅱ)号の要件を満たすとはいえない。 争点2(紛争処理方針4条a項(ⅲ)号の要件を満たすか)(被告の主張)原告は、本件サイトにおいて、各種の商品を販売しているから、「商業上の利得を得る目的」で本件ドメイン名を使用していること(紛争処理方針4条 b項(ⅳ)号)は明らかである。 また、原告は、本件サイトにおいて、被告の医療用弾性ストッキングのみならず、「FOOTNURSE」ブランドなどの被告以外の商品も取り扱っている。本件サイトでは、被告の医療用弾性ストッキングが「ベノサン」又は「VENOSAN」との表現を用いて紹介されている上、「ベノサンオンラインショップ」、「世界のトップブランドベノサンショップ」、「ベノサンカスタ マーサポート」などの記載がされていたことからすると、これらの記載を見た需要者は、「FOOTNURSE」ブランドの商品なども、被告の商品であると誤信したり、本件サイトが被告、被 ベノサンカスタ マーサポート」などの記載がされていたことからすると、これらの記載を見た需要者は、「FOOTNURSE」ブランドの商品なども、被告の商品であると誤信したり、本件サイトが被告、被告の正規販売代理店又は被告と提携する者などによって運営されていると誤信する。したがって、原告は、「そのウェブサイト」「に登場する商品及びサービスの出所」「について誤認混同を 生ぜしめることを意図して、インターネット上のユーザーを、そのウェブサイト」「に誘引するために」、本件ドメイン名を使用している(紛争処理方針4条b項(ⅳ)号)ことは明らかである。 したがって、紛争処理方針4条b項(ⅳ)号所定の事情があるから、紛争処理方針4条a項(ⅲ)号の要件を満たす。 なお、現時点において本件サイト上の記載が修正されているとしても、本件申立てがされた時点までに紛争処理方針4条a項(ⅲ)号所定の「不正の目的」で本件ドメイン名が登録又は使用されていれば足りるから、上記の結論を左右しない。 (原告の主張) 原告が「商業上の利得を得る目的」で本件ドメイン名を使用していることは認める。もっとも、前記(1)(原告の主張)ア(ア)のとおり、本件サイトにおいて各種の商品を販売しているのは、原告ではなく、ベノサンジャパンである。 このように、本件サイトは、ベノサンジャパンが取り扱う商品を販売する ためのサイトであることから、サイト上では本来「ベノサンジャパン」と記 載すべきところ、令和3年2月当時、「ベノサン」と「ベノサンジャパン」との使い分けが適切にできていなかったため、誤って「ベノサン」と記載していた。しかし、現在は適切な記載に修正されているから、この事実は紛争処理方針4条b項(ⅳ)号の事情があることを裏付ける根拠に 」との使い分けが適切にできていなかったため、誤って「ベノサン」と記載していた。しかし、現在は適切な記載に修正されているから、この事実は紛争処理方針4条b項(ⅳ)号の事情があることを裏付ける根拠にならない。そもそも、「VENOSAN」という名称は被告のブランドとして日本国内で認知さ れていないから、原告が日本国内で認知されていない被告の商品との誤認混同を生ぜしめることを意図すること自体あり得ないし、日本国内で認知されていない「VENOSAN」の語を含む本件ドメイン名を使用しても、インターネット上のユーザーをして、本件サイト又はその他のオンラインロケーションに誘引することもできない。 したがって、紛争処理方針4条b項(ⅳ)号所定の事情は認められない。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(紛争処理方針4条a項(ⅱ)号の要件を満たすか)について判断枠組みについて証拠(乙6の1)によれば、紛争処理方針の解説には、申立人により要件 ①ないし③のいずれもが立証されたときは、登録者が、紛争処理方針4条c項(ⅰ)ないし(ⅲ)号に例示されている事情があるなどとして、「ドメイン名に関係する権利または正当な利益」を有することを主張立証すべきと記載されていることが認められる。これは、紛争処理方針4条a項(ⅱ)号が、申立人に、登録者における「ドメイン名に関係する権利または正当な利益」の不存 在の立証を要求していることを踏まえ、登録者に「ドメイン名に関係する権利または正当な利益」があることを基礎付ける典型的な事情として、①登録者の氏名又は法人名とドメイン名とが一致すること、②ドメイン名と一致する登録者の日本における登録商標とが一致すること及び③ドメイン名を用いることについて登録者が申立人から許諾を得ていることを挙げ、これ の氏名又は法人名とドメイン名とが一致すること、②ドメイン名と一致する登録者の日本における登録商標とが一致すること及び③ドメイン名を用いることについて登録者が申立人から許諾を得ていることを挙げ、これらの各 事情がいずれもないことを申立人が立証すれば、登録者が紛争処理方針4条 c項(ⅰ)号ないし(ⅲ)号に例示されている事情があることなどを指摘して反証しない限り、登録者が「ドメイン名に関係する権利または正当な利益」を有しないことが推定されるとの解釈を示すものであるところ、かかる解釈は紛争処理方針4条a項(ⅱ)号の要件該当性の判断枠組みとして相当なものと解される。 紛争処理方針の解説所定の要件①ないし③の存否についてア原告の現商号のうち、「株式会社」の部分は、会社の種類を表す普通名称であるから、原告の現商号の要部は「メディライン」であると認められる。 他方、本件ドメイン名のうち、「.jp」の部分は、日本を示す国コードトップレベルドメインであり、「shop」の部分は、「店」を意味する一般的な英 単語であるから、本件ドメイン名の要部は「venosan」であると認められる。 そうすると、原告の現商号の要部と本件ドメイン名の要部とは一致していないというべきである。このほか、原告の現商号や本件ドメイン名をどのように対比しても両者は一致しないし、原告の過去の商号である「有限会社スペクトラム」及び「株式会社スペクトラム」についても同様である。 したがって、紛争処理方針の解説所定の要件①が立証されているといえる。 また、本件全証拠によれば、原告は、本件ドメイン名又はその要部と一致する登録商標に係る商標権を有していないと認められるから、紛争処理方針の解説所定の要件②が立証されているといえる。 さらに、原告 、本件全証拠によれば、原告は、本件ドメイン名又はその要部と一致する登録商標に係る商標権を有していないと認められるから、紛争処理方針の解説所定の要件②が立証されているといえる。 さらに、原告は、被告が、本件ドメイン名に関し、原告にライセンスを 付与する権原を有しないと主張していること、本件販売契約1及び2は既に終了していると認められること(前提事実(4)ウ、弁論の全趣旨)からすると、原告は、被告から、本件ドメイン名を用いることについて許諾を得ていないと認められるから、紛争処理方針の解説所定の要件③が立証されているといえる。 イ以上によれば、紛争処理方針の解説所定の要件①ないし③のいずれもが 立証されているといえるから、原告による反証のない限り、原告が、本件ドメイン名について、「ドメイン名に関係する権利または正当な利益」を有しないことが推定されるといえる。 紛争処理方針4条c項所定の各事情の有無ア証拠(乙1ないし5)によれば、本件販売契約2の終了後である令和3 年2月8日当時、本件サイトにおいて、ヘッダー部分に本件サイトを運営する会社又は店舗の名称と解し得る態様で「ベノサン」との標章を付した上で、「VENOSAN」ブランドの被告の医療用弾性ストッキングが販売されていたことが認められる。 本件被告商標1及び3と「ベノサン」との標章を対比すると、両者は外 観上相違するものの、称呼上同一であるといえる。また、「VENOSAN」も「ベノサン」も造語と解され、通常、何かしらの意味を有する語であると理解できないから、いずれも特定の観念を生じない。これらの事情を総合考慮すると、「ベノサン」との標章は本件被告商標1及び3と類似する。 そうすると、本件被告商標1及び3と類似する「ベノサン」との標 と理解できないから、いずれも特定の観念を生じない。これらの事情を総合考慮すると、「ベノサン」との標章は本件被告商標1及び3と類似する。 そうすると、本件被告商標1及び3と類似する「ベノサン」との標章を 使用して、医療用弾性ストッキングである「VENOSAN」ブランドの被告の商品を販売することは、本件被告商標権1及び3を侵害するものとみなされる行為に当たる(商標法37条)。 したがって、原告は、正当な目的をもって本件ドメイン名を使用していたとはいえず、紛争処理方針4条c項(ⅰ)号所定の事情があるとは認めら れない。 イこのほか、本件全証拠によっても、紛争処理方針4条c項(ⅱ)号及び(ⅲ)号所定の事情があると認めることはできない。 原告の主張についてア原告は、本件ドメイン名の要部は、実質的に見れば、本件ドメイン名の 実際の使用者であるベノサンジャパンの商号の要部のアルファベット表記 と一致しており、また、ディーピーシーが有する本件原告側商標権1及び2と一致しているから、紛争処理方針の解説所定の要件①及び②は認められないと主張する。 しかし、ドメイン名の登録者と資本関係や人的関係のある他者が、実質的に当該ドメイン名を使用している場合に、当該登録者に「ドメイン名に 関係する権利または正当な利益」があるか否かを判断するためには、資本関係や人的関係の態様及び目的のほか、当該登録者が当該他者にドメイン名を使用させている態様及び目的などの様々な事情を総合考慮する必要がある。そうすると、登録者と資本関係や人的関係のある他者が実質的にドメイン名を使用しているとの事情は、それのみによって当該登録者に「ド メイン名に関係する権利または正当な利益」があると判断できるものではなく、「ドメイン名に関 や人的関係のある他者が実質的にドメイン名を使用しているとの事情は、それのみによって当該登録者に「ド メイン名に関係する権利または正当な利益」があると判断できるものではなく、「ドメイン名に関係する権利または正当な利益」を基礎付ける典型的な事情であるとはいえない。 このことは、ドメイン名の登録者と資本関係や人的関係のある他者が有する登録商標と当該ドメイン名とが一致しているという事情についても、 同様に当てはまる。 以上のとおり、原告が指摘する事情は、紛争処理方針4条c項各号所定の事情や「ドメイン名に関係する権利または正当な利益」を基礎付ける事情となり得る余地があるとしても、登録者に「ドメイン名に関係する権利または正当な利益」があることの典型的な事情であるとはいえないから、 紛争処理方針の解説所定の要件①及び②が認められないとはいえない。 イ(ア) 原告は、仮に紛争処理方針4条c項(ⅰ)号所定の事情の存在が認められないとしても、本件ドメイン名に関係する権利又は正当な利益を有していると主張する。 そこで検討すると、登録者が紛争処理方針4条a項(ⅱ)号所定の「ド メイン名に関係する権利または正当な利益」を有するというためには、 そのドメイン名の選択が妥当といえるだけの独立の利益を有していることが必要と解される。 本件ドメイン名は、前記(2)アのとおり、原告の商号とも原告が保有する登録商標とも一致しない。また、本件証拠上、原告及びその関連会社が事業の遂行に当たって「ベノサン」との語を初めて使用したのは、デ ィーピーシーとザルツマンが本件販売契約1を締結する直前の平成21年5月1日にメディラインジャパン有限会社がベノサンジャパンに商号を変更した時であると認められ(甲9)、それよりも前に原告及 デ ィーピーシーとザルツマンが本件販売契約1を締結する直前の平成21年5月1日にメディラインジャパン有限会社がベノサンジャパンに商号を変更した時であると認められ(甲9)、それよりも前に原告及びその関連会社が事業の遂行に当たって「ベノサン」又は「VENOSAN」との語を使用していたと認めるに足りる証拠はない。さらに、ブランド名 をそのまま含むドメイン名は、当該ブランド名を用いた商標と同様の出所表示機能や顧客吸引力を有すると考えられるところ、本件ドメイン名の要部である「venosan」と被告の商品のブランド名である「VENOSAN」とは、大文字か小文字かの違いを除いて同一であるから、本件ドメイン名は「VENOSAN」ブランドに係る出所表示機能や顧客吸引 力を有すると考えられる。 このように、原告は、「ベノサン」又は「VENOSAN」を含む商号及び登録商標を有しておらず、かつ、本件販売契約1の締結より前にこれらの語を使用していなかった以上、そのような原告において、「VENOSAN」ブランドに係る出所表示機能や顧客吸引力を有する本件ドメ イン名を選択することが妥当といえるだけの独立の利益が認められるとすれば、本件販売契約1により、ディーピーシー及びその関連会社に対して日本における「VENOSAN」ブランドの被告の商品(ただし、一部の商品を除く。)に係る独占的販売権が付与されたことを前提として、本件ドメイン名を用いたウェブサイトにおいて被告の商品を販売すると の目的のために、本件ドメイン名を登録及び使用しているという点にそ の根拠を求めざるを得ない。本件販売契約1が締結された後、本件サイトにおいて、実際に「VENOSAN」ブランドの被告の商品が販売されていたこと(前提事実(5))に鑑みれば、実際に、 にそ の根拠を求めざるを得ない。本件販売契約1が締結された後、本件サイトにおいて、実際に「VENOSAN」ブランドの被告の商品が販売されていたこと(前提事実(5))に鑑みれば、実際に、原告も上記の目的のために本件ドメイン名を登録及び使用していたものと解される。 そうすると、本件販売契約1と実質的に同内容の本件販売契約2の終 了に伴って、原告及び原告の関連会社が日本における「VENOSAN」ブランドの被告の商品に係る独占的販売権を失ったことにより、本件ドメイン名が有する出所表示機能及び顧客吸引力を利用して被告の商品を販売するという目的もその必要性も失われたのであるから、原告において本件ドメイン名を選択することが妥当といえるだけの独立の利益も失 われたというべきである。 (イ) これに対し、原告は、本件販売契約2において、契約終了後に原告が本件ドメイン名を使用することを禁止していないから、本件ドメイン名の選択が妥当といえるだけの原告の独立した利益が、本件販売契約2の終了によって当然に失われることにはならないと主張する。 しかし、本件販売契約2において、同契約終了後も原告に本件ドメイン名の使用を許諾する旨の定め等が存在したというのであれば格別、契約終了後に原告が本件ドメイン名を使用することを禁止する趣旨の定めが明示的に設けられていないからといって、前記(ア)の独立の利益の喪失に係る判断が左右されるものではない。 (ウ) また、原告は、本件販売契約2の終了後に本件サイトにおいて「VENOSAN」ブランドの被告の商品を販売する行為は、本件販売契約2の終了について何の帰責性もなく、被告から何の補償も得られていない原告が、在庫品の購入費用及び諸経費、在庫品販売によって得られたはずの利 SAN」ブランドの被告の商品を販売する行為は、本件販売契約2の終了について何の帰責性もなく、被告から何の補償も得られていない原告が、在庫品の購入費用及び諸経費、在庫品販売によって得られたはずの利益の喪失等に相当する経済的損失が生ずることを回避するために 行うものであるから、原告は当該行為について正当な利益を有している と主張する。 しかし、本件販売契約2の当事者はディーピーシーと被告であり、仮に本件販売契約2の終了により、ディーピーシーに損害が生じたのであれば、ディーピーシーと被告との間でその損害の補償についての協議を行ったり、ディーピーシーが被告に対してその賠償を求めたりなどの手 段が講じられるべきであり、また、被告の故意又は過失により原告の権利又は法的利益が侵害されたというのであれば、不法行為に基づく損害賠償請求をするなどの手段が講じられるべきである。そうではなく、原告が本件ドメイン名の登録及び使用を継続し、本件サイトにおいて「VENOSAN」ブランドの被告の商品を販売する行為を継続するのは、 上記の損害の発生回避や填補ないし賠償のための手段として正当であるとはいえず、そのような行為について原告が正当な利益を有しているということもできない。 ウしたがって、原告の前記各主張を採用することはできない。 小括 以上によれば、原告は本件ドメイン名に関係する権利又は正当な利益を有していないと認められるから、紛争処理方針4条a項(ⅱ)号の要件を満たす。 2 争点2(紛争処理方針4条a項(ⅲ)号の要件を満たすか)について当事者の主張に沿って、紛争処理方針4条b項(ⅳ)号所定の事情の有無について検討する。 商業上の利得を得る目的の有無について原告が「商業上の利得を得る目 件を満たすか)について当事者の主張に沿って、紛争処理方針4条b項(ⅳ)号所定の事情の有無について検討する。 商業上の利得を得る目的の有無について原告が「商業上の利得を得る目的」で本件ドメイン名を使用していることは当事者間に争いがない。 商品の出所について誤認混同を生ぜしめることを意図して、インターネット上のユーザーを本件サイト等に誘引するために、本件ドメイン名を使用し ているか否かについて ア証拠(乙1ないし5)によれば、本件販売契約2の終了後である令和3年2月8日当時、本件サイトにおいて、「VENOSAN」ブランドの被告の商品が販売されていたことが認められる。 そして、本件サイトには、当該商品の商品名として「VENOSAN5000」、「VENOSAN6000」、「VENOSAN7000」などと 記載されるとともに(乙1・1頁、乙2・6頁、乙3・1頁)、当該商品に関連して、「スイス医療ブランド」(乙3・4頁)、「スイスのデザイン力」(乙3・4頁)、「区分スイス製・一般医療機器(医療機器届出番号13B3X10094000001)」(乙3・6頁)、「最新の弾性ストッキングがスイスから上陸しました。」(乙4・2頁)と記載されていたことが認め られる。 イ(ア) 加えて、令和3年2月8日当時、本件サイトにおいて、次の記載がされていたことが認められる(乙5)。 「2020年、ベノサンから新しくFOOTNURSEが誕生します!」「FOOTNURSEは、医療用着圧ソックスとして大ブレイクし た『ベノサン』から新しく誕生したブランドです。もともと『医療用』に開発されていたベノサンの着圧ソックスが、このたび『健康な女性用』に新たなブランドを立ち上げました。」(イ) また、 た『ベノサン』から新しく誕生したブランドです。もともと『医療用』に開発されていたベノサンの着圧ソックスが、このたび『健康な女性用』に新たなブランドを立ち上げました。」(イ) また、令和3年9月22日当時、ベノサンジャパンが開設していたウェブサイトには、次の記載がされていたことが認められる(乙13)。 「FOOTNURSEは、…一般医療機器としてもしっかり認定されています(医療機器届出番号13B3X10094000001)。」(同3枚目)、「その点FOOTNURSEは、創業1883年の医療用弾性ストッキングを50年以上にわたって製造している着圧ソックスの本場『SWISSLASTIC社』と、『ベノサン・ジャパン』が企画力・技 術力を結集させて、丁寧に編み込まれていますので…」(同4枚目)。 (ウ) そして、原告は、令和3年9月3日当時、被告と関係のない「FOOTNURSE」ブランドの商品をインターネット上のオンラインストアで販売していたことが認められる(乙7)。 ウ前記アにおいて認定した本件サイトの記載を見た需要者は、「VENOSAN」という標章は、本件サイトで販売されている医療用弾性ストッキン グについてのスイス所在の製造元又は同製造元が使用するブランド名を示すものと理解するのが通常と考えられる。また、「ベノサン」は「VENOSAN」の日本語読みに相当することからすると、前記イ(ア)の記載を見た需要者は、「FOOTNURSE」ブランドの商品についても、「VENOSAN」ブランドの医療用弾性ストッキングと同じ製造元の商品であると 理解するといえる。また、前記1(3)アにおいて認定したとおり、本件サイトのヘッダー部分に本件サイトを運営する会社又は店舗の名称と解し得る態様で「ベノサン」 キングと同じ製造元の商品であると 理解するといえる。また、前記1(3)アにおいて認定したとおり、本件サイトのヘッダー部分に本件サイトを運営する会社又は店舗の名称と解し得る態様で「ベノサン」との標章が付されていたことも考慮すると、上記記載を見た需要者は、「FOOTNURSE」ブランドの商品も、「VENOSAN」ブランドの医療用弾性ストッキングと同じ製造元の商品であると誤 信したり、本件サイトが当該製造元、当該製造元の正規販売代理店又は当該製造元と提携する者などによって運営されていると誤信するおそれがあると認められる。 そして、前記イ(イ)のとおり、「FOOTNURSE」ブランドの商品は被告と何ら関係がないにもかかわらず、ベノサンジャパンが開設していた ウェブサイトに、「FOOTNURSE」ブランドの商品に被告が関与していると理解できる程度の記載がされていることからすると、本件サイトの前記イ(ア)の記載は、原告が、「FOOTNURSE」ブランドの商品の出所について誤認混同を生ぜしめることを意図して掲載したものと認めるのが相当である。 エ以上によれば、原告は、「FOOTNURSE」ブランドの商品の出所に ついて誤認混同を生ぜしめることを意図して、インターネット上のユーザーを本件サイト又はベノサンジャパンが開設していたウェブサイトに誘引するために、本件ドメイン名を使用していると認められる。 原告の主張についてア原告は、令和3年2月当時、本件サイトにおいて「ベノサン」と「ベノ サンジャパン」との使い分けが適切にできていなかったにすぎないと主張する。 しかし、前記イ(イ)のとおり、「FOOTNURSE」ブランドの商品は被告と何ら関係がないにもかかわらず、ベノサンジャパンが開設していた との使い分けが適切にできていなかったにすぎないと主張する。 しかし、前記イ(イ)のとおり、「FOOTNURSE」ブランドの商品は被告と何ら関係がないにもかかわらず、ベノサンジャパンが開設していたウェブサイトに、「FOOTNURSE」ブランドの商品に被告が関与して いると理解できる程度の記載がされていることからすると、本件サイトの前記イ(ア)の記載が単なる使い分けに関する過誤によるものであるとは考え難い。 イまた、原告は、「VENOSAN」という名称が被告のブランドとして日本国内で認知されていないから、原告が日本国内で認知されていない被告 の商品との誤認混同を生ぜしめることを意図すること自体あり得ないなどと主張する。 しかし、本件サイトを見た需要者が、「FOOTNURSE」ブランドの商品の出所は被告であると具体的に認識しなくとも、「VENOSAN」ブランドの医療用弾性ストッキングと同じ製造元の商品であると理解するこ とになれば、商品の出所について誤認混同が生ずることになるから、「VENOSAN」との名称が被告のブランドとして日本国内で認知されている必要があるとはいえない。 ウしたがって、原告の前記各主張を採用することはできない。 小括 以上によれば、紛争処理方針4条b項(ⅳ)号所定の事情があると認められ るから、その余の点について判断するまでもなく、紛争処理方針4条a項(ⅲ)号の要件を満たす。 第4 結論以上によれば、原告の請求は理由がないから、これを棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 國分 り判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 國分隆文 裁判官 間明宏充 裁判官小川暁は、転補につき、署名押印することができない。 裁判長裁判官 國分隆文 (別紙)原告側商標権目録1 商標 登録番号第5541032号出願日平成24年5月2日登録日平成24年12月7日商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務第25類ポリウレタン製の弾性糸を使用したキャミソール、その他のキャミソール、ポリウレタン製の弾性糸を使用したノースリーブシャツ、その他のノースリーブシャツ、ティーシャツ、コルセット、その他の下着、弾性ストッキング(医療用のものを除く。)、ポリウレタン製の弾性糸を使用したストッキング、その他のストッキング、ウォームアップタイツ、スポーツタイツ、トレーニングタイツ、その他のタイツ、靴下、ポリウレタン製の弾性糸を使用した手袋、その他の手袋、腕カバー、腰保護用サポーター、弾性スリーブ、腕保護用サポーター、手首保護用サポーター、腕及び手首保護用サポーター、保温用サポーター、ゲートル以上 (別紙)原告側商標権目録2 商標ベノサン(標準文字)登録番号第6 サポーター、腕及び手首保護用サポーター、保温用サポーター、ゲートル以上 (別紙)原告側商標権目録2 商標ベノサン(標準文字)登録番号第6213216号出願日平成31年1月7日登録日令和2年1月7日商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務第25類ストッキング、タイツ、靴下以上 (別紙)被告商標権目録1 商標 国際登録番号第562687号登録日(国内) 平成15年2月7日商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務 10 Medicalcompressionstockingsforsickpersonssufferingfromlegpain.商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務(訳)第10類脚の痛みに苦しむ病人用の医療用圧迫ストッキング以上 (別紙)被告商標権目録2 商標 国際登録番号第1403960号登録日(国内) 令和2年2月28日商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務 10 Orthopedicarticles; medicalcompressionstockings; medicalsupporttights; graduatedcompressionhosieryformedicaluse; medicalcompressionhosiery; stockingsforvaricoseveins; hosieryformedicaluse; medicalsupporthosiery;ela ssionhosiery; stockingsforvaricoseveins; hosieryformedicaluse; medicalsupporthosiery;elasticstockingsforsurgicaluse; orthopedickneebandages; socksfordiabetics; elasticbandages; compressiongarments; supporttightsformedicaluse; orthopedicbandagesforjoints; orthopedicbelts; orthopedicsupports;orthopedicsupportbandages; orthopediccastpadding;embolicprotectiondevices; elasticstockingsformedicaluse.商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務(訳)第10類整形外科用品、医療用の圧迫ストッキング、医療用サポートタイツ、医療用の段階的な圧迫靴下、医療用の圧迫用メリヤス下着及び靴下、静脈瘤用のストッキング、医療用の靴下、医療用支持用靴下、外科用弾性ストッキング、整形外科用の 膝用包帯、糖尿病患者用靴下、弾性包帯、医療用圧迫衣服、医療用の支持用タイツ、整形外科用の関節用包帯、整形外科用ベルト、整形外科用サポーター、整形外科用の支持包帯、整形外科用のギプス用パッド、塞栓保護装置、医療用の弾性ストッキング以上 (別紙)被告商標権目録3 商標 国際登録番号第1404648号登録日(国内) 令和2年2月14日商品 護装置、医療用の弾性ストッキング以上 (別紙)被告商標権目録3 商標 国際登録番号第1404648号登録日(国内) 令和2年2月14日商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務 10 Orthopedicarticles; medicalcompressionstockings; medicalsupporttights; graduatedcompressionhosieryformedicaluse; medicalcompressionhosiery; stockingsforvaricoseveins; hosieryformedicaluse; medicalsupporthosiery;elasticstockingsforsurgicaluse; orthopedickneebandages; socksfordiabetics; elasticbandages; compressiongarments; supporttightsformedicaluse; orthopedicbandagesforjoints; orthopedicbelts; orthopedicsupports;orthopedicsupportbandages; orthopediccastpadding;embolicprotectiondevices; elasticstockingsformedicaluse.商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務(訳)第10類整形外科用品、医療用の圧迫ストッキング、医療用サポートタイツ、医療用の段階的な圧迫靴下、医療用の圧迫用メリヤ caluse.商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務(訳)第10類整形外科用品、医療用の圧迫ストッキング、医療用サポートタイツ、医療用の段階的な圧迫靴下、医療用の圧迫用メリヤス下着及び靴下、静脈瘤用のストッキング、医療用の靴下、医療用支持用靴下、外科用弾性ストッキング、整形外科用の膝用包帯、糖尿病患者用靴下、弾性包帯、医療用圧迫衣服、医療用の支持用タイツ、整形外科用の関節用包帯、整形外科 用ベルト、整形外科用サポーター、整形外科用の支持包帯、整形外科用のギプス用パッド、塞栓保護装置、医療用の弾性ストッキング以上

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