平成15年(行ケ)第315号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成16年9月30日判決原告積水化成品工業株式会社訴訟代理人弁理士藤本昇同鈴木活人同薬丸誠一同中谷寛昭同大中実同岩田徳哉被告株式会社ジェイエスピー訴訟代理人弁理士細井勇 主文 1 特許庁が無効2002-35239号事件について平成15年6月10日にした審決中,特許第1956854号の請求項1に係る発明についての特許を無効とするとの部分を取り消す。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 1 原告の請求(1) 主文1項と同旨。 (2) 訴訟費用は被告の負担とする。 2 当事者間に争いのない事実(1) 特許庁における手続の経緯原告は,発明の名称を「熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡体の製造方法」とする特許第1956854号の特許(平成1年10月20日特許出願(以下「本件出願」という。),平成7年8月10日設定登録,以下「本件特許」という。請求項の数は1である。)の特許権者である。 本件特許に対し,請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)につき,無効審判の申立てがあり,特許庁は,この申立てを,無効2002-35239号事件として審 ある。)の特許権者である。 本件特許に対し,請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)につき,無効審判の申立てがあり,特許庁は,この申立てを,無効2002-35239号事件として審理した。原告は,この審理の過程で,平成14年9月17日,本件特許の出願に係る願書に添付した明細書の訂正の請求をした。特許庁は,上記事件につき審理し,その結果,平成15年6月10日,この訂正を認めた上で(以下「本件第1訂正」という。),「特許第1956854号の請求項1に係る発明についての特許を無効とする。」との審決をし,同年6月20日にその謄本を原告に送達した。 (2) 審決の理由要するに,本件発明は,本件出願日前の他の特許出願であって,本件出願後に出願公開がされた特許出願の願書に最初に添付した明細書に記載された発明と同一であるから,特許法29条の2第1項の規定に該当し,無効とされるべきものである,ということである。 (3) 訂正審判の確定原告は,本訴係属中に,本件特許の出願に係る願書に添付した明細書の訂正をすることについて審判を請求した。特許庁は,これを訂正2004-39047号事件として審理し,その結果,平成16年8月6日に訂正(以下「本件第2訂正」という。)をすることを認める旨の審決(以下「本件訂正審決」という。)をし,これが確定した。 3 本件第1訂正後の本件特許の特許請求の範囲「【請求項1】発泡した直後の高温の熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡体を樹脂のガラス転移点以下に急冷して,結晶化度を30%以下とし,その後このポリエステル系樹脂発泡体を60℃以上に加熱して二次発泡させることを特徴とする,二次発泡の倍率が137%以上に発泡した熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡体の製造方法。」 4 本件第2訂正後の の後このポリエステル系樹脂発泡体を60℃以上に加熱して二次発泡させることを特徴とする,二次発泡の倍率が137%以上に発泡した熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡体の製造方法。」 4 本件第2訂正後の本件特許の特許請求の範囲(下線部が本件第1訂正後のものと比較した場合の訂正箇所である。)【請求項1】発泡剤として加熱すると熱可塑性ポリエステル系樹脂内で気化するブタンの液体を含む熱可塑性ポリエステル系樹脂を発泡させ,発泡した直後の高温の熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡体を樹脂のガラス転移点以下に急冷して,結晶化度を30%以下とし,その後このポリエステル系樹脂発泡体を60℃以上に加熱して137%以上の倍率で二次発泡させることを特徴とする,熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡体の製造方法。」 5 当裁判所の判断上記当事者間に争いのない事実によれば,本件第2訂正前の特許請求の範囲(本件第1訂正後の特許請求の範囲)の請求項1の記載に基づき,その発明を認定し,これを前提に,特許法29条の2第1項の規定に違反して登録された特許であることを理由に,請求項1に係る発明につき本件特許を無効とした審決の取消しを求める訴訟の係属中に,当該特許に係る特許請求の範囲の減縮を含む訂正の審判が請求され,特許庁が,これを認める審決(本件訂正審決)をし,これが確定したということができる。 審決は,これにより,結果として,上記請求項1について判断の対象となるべき発明の要旨の認定を誤ったことになり,この誤りが審決の結論に影響を及ぼすことは明らかである。したがって,審決は,上記請求項1につき,取消しを免れない。 6 以上によれば,本訴請求は理由がある。そこで,これを認容し,訴訟費用の負担については,原告に負担させるのを相当と認め,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法6 上記請求項1につき,取消しを免れない。 主文 以上によれば,本訴請求は理由がある。そこで,これを認容し,訴訟費用の負担については,原告に負担させるのを相当と認め,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法62条を適用して,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所知的財産第3部 裁判長裁判官佐藤久夫 裁判官設樂隆一 裁判官若林辰繁
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