⚖️ 判例マッチング
ホーム判例一覧裁判所裁判官解析 / 仮想裁判
🏠ホーム📋判例一覧📄解析⚖️仮想裁判
ホーム›裁判情報一覧›昭和36(オ)952 所有権移転登記手続等請求

昭和36(オ)952 所有権移転登記手続等請求

裁判所

昭和38年8月23日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 仙台高等裁判所

👤裁判官プロフィール機能は近日公開予定
全文PDFダウンロード

4,355 文字

主文 本件上告を棄却する。上告費用は上告人の負担とする。理由 上告代理人大川修造、同勝本正晃の上告理由第一点について。原審の確定したところによれば、上告人Aと被上告人B1および被上告人B2の先代D間の判示共有物現物分割調停事件について昭和一九年四月四日、「被上告人B1およびDは、上告人Aに対し、被上告人B1らの第一審判決添付第四目録記載の土地八筆に対する各持分六万六、五二四分の一万八、二六二を代金一万五、〇〇〇円ずつ合計三万円で譲渡すこと、上告人Aは、被上告人B1らに対し、右代金をそれぞれ昭和一九年七月四日限り支払うこと、被上告人B1らは前記土地八筆について抵当権その他何等の負担のないことを確保し、右代金の受領と同時に上告人Aに対し前記各持分の移転登記手続をすること」(条項第一項)その他判示のような条項の調停の合意が成立したのであるが、右調停条項第一項末段の「抵当権その他何等の負担のないことを確保し」云々の趣旨は被上告人B1らの各持分について抵当権その他何等の負担のないことを確保する趣旨にすぎないものであつたところ、昭和一九年四月三〇日上告人Aと被上告人B1らが持分売買代金を授受し持分の移転登記手続をするため遠野区裁判所釜石出張所に出頭した際、前記調停条項第一項末断の趣旨に関する双方の意見が対立し、被上告人B1らにおいて代金の受領自体を拒んだわけではないが、代金の授受もなく、持分移転登記もなされず、その後、上告人Aは昭和一九年九月二八日盛岡供託局遠野出張所に持分売買代金として三万円を供託し、被上告人B1らに対しその旨の供託の通知をしたというのである。原審は、右事実関係のもとにおいては、仮りに上告人Aが前記釜石出張所において被上告人B1らに対し代金を携帯していることを告げ、ま 供託し、被上告人B1らに対しその旨の供託の通知をしたというのである。原審は、右事実関係のもとにおいては、仮りに上告人Aが前記釜石出張所において被上告人B1らに対し代金を携帯していることを告げ、また、右代金を呈示して- 1 -支払うべきことを告げたとしても、その際上告人A主張のように、まず、同上告人の持分に対する抵当権の設定登記を抹消すべきことを要求してなしたものであるとすれば、右上告人Aの代金の提供は債務の本旨に従う履行の提供とはいえないから、被上告人B1らにおいて、右上告人の持分に対する抵当権の設定登記の抹消に応じなかつたため結局代金の授受にいたらなかつたとしても、被上告人B1らが弁済の受領を拒んだものということができず、現に代金の受領自体を拒否した事跡も窺いえず、したがつて、上告人Aのした前示供託は供記原因を欠き債務弁済の効力を生じないと判断したのであり、右判断は正当として是認できる。 供は債務の本旨に従う履行の提供とはいえないから、被上告人B1らにおいて、右上告人の持分に対する抵当権の設定登記の抹消に応じなかつたため結局代金の授受にいたらなかつたとしても、被上告人B1らが弁済の受領を拒んだものということができず、現に代金の受領自体を拒否した事跡も窺いえず、したがつて、上告人Aのした前示供託は供記原因を欠き債務弁済の効力を生じないと判断したのであり、右判断は正当として是認できる。されば、原審が本件供託がたとえ有効であつたとしても、上告人Aの本件供託金取戻請求権に対する転付命令に基づいて、訴外Eに対して本件供託金が支払われた以上、右供託が弁済と同一の効力を発生したものとなすに由ないと判示した部分の当否を云為する所論は、判決に影響を及ぼさない無用の論議であるのみならず、所論のごとく、供託金取戻請求権の転付を受けた執行債権者が該権利を行使するにあたり債権者債務者の同意を要すると解すべき法律上の根拠はない。いずれにしても、所論は採用できない。同第二点について。所論は要するに、上告人Aがした供託の本来的効力(すなわち債務免脱の効力)が供託金の取戻によつて消滅したとしても、該供託が有する弁済提供の効力(民法四九二条)は失われず、該供託は、同上告人をして、債務不履行より生ずる一切の責を免れしめるものであり、この点を看過した 力)が供託金の取戻によつて消滅したとしても、該供託が有する弁済提供の効力(民法四九二条)は失われず、該供託は、同上告人をして、債務不履行より生ずる一切の責を免れしめるものであり、この点を看過した原判決は違法であるというにある。しかし、右は原審において主張判断を経ていない事項に基づいて原判決を非難するものであつて、失当であるのみならず、一般に、債務者が供託をし、債権者に通知した場合には、その供託としての本来的効力を生じないときでも、なお、弁済の準備の通知・受領の催告にあたるものとして、債務者をして債務不履行より生ずる- 2 -責任を免れさせる効力、すなわち言語上の提供の効力を有すると認むべき場合があるとしても、右言語上の提供の効力を有するためには、「債権者カ予メ其受領ヲ拒ミ又ハ債務ノ履行ニ付キ債権者ノ行為ヲ要スルトキ」という前提要件を具備しなければならないこと民法四九三条の規定上明らかであるところ、本件において、原審が確定したところによれば、被上告人B1らは、持分売買「代金の受領は望むところでこそあれ、これを拒否すべき事情もなく、現に代金の受領自体を拒否した事跡も窺い得ない」というのであるから、右前段の「債権者カ予メ其受領ヲ拒」んだ場合にあたらず、また、持分売買代金債務が後段にいう「履行ニ付キ債権者ノ行為ヲ要スル」ものに該当するものとも認められないから、前示法条の要件を欠き、したがつて、本件供託によつて上告人Aが持分売買代金債務の不履行により生ずべき責任を免かれたものというに由なく、いずれにしても所論は採用し難い。 もなく、現に代金の受領自体を拒否した事跡も窺い得ない」というのであるから、右前段の「債権者カ予メ其受領ヲ拒」んだ場合にあたらず、また、持分売買代金債務が後段にいう「履行ニ付キ債権者ノ行為ヲ要スル」ものに該当するものとも認められないから、前示法条の要件を欠き、したがつて、本件供託によつて上告人Aが持分売買代金債務の不履行により生ずべき責任を免かれたものというに由なく、いずれにしても所論は採用し難い。同第三点について。本件供託にあたり供託書に反対給付として持分権を記載したほかなんらの条付も付さなかつたとの所論の点は原審において認定しないところであるのみならず、たとえ所論のとおりであるとしても、その一事によつて供 本件供託にあたり供託書に反対給付として持分権を記載したほかなんらの条付も付さなかつたとの所論の点は原審において認定しないところであるのみならず、たとえ所論のとおりであるとしても、その一事によつて供託が有効となる筋合いのものでないこと明白である以上、所論の点は判決に影響を及ぼすべき事項ではない。所論は採用できない。同第四点について。一ないし三について。所論もまた判決に影響のない原審の説示を攻撃するもので失当であり、しかも、供託金取戻請求権の転付を受けた執行債権者が該権利を行使して供託金の取戻をしたときは、供託者自身が供託金を取り戻した場合と等しく、民法四九六条一項により、供託は初めに遡つて効力を失うと解すべく、これに反する見解に立つ所論はあたらない。所論はいずれにしても採用できない。- 3 -四について。所論のごとく本件供託金取戻請求権が時効により消滅したこと、原判示転付命令の基本となつた執行債権が弁済によつて消滅したことは原審において主張判断を経ていないところであり、所論はその前提を欠き、採用できない。同第五、七点について。原判決が引用する第一審判決認定の本件調停成立までの実情に関する事実関係のもとにおいては、右調停条項一項末段に「抵当権その他何等の負担のないことを確保し」云々とあるのは、右調停条項に用いられた所論のごとき文言にかかわらず、被上告人B1らの各持分について抵当権その他何等の負担のないことを確保する趣旨であると解釈した原審の判断は正当であつて、所論のような違法は認められない。されば、上告人Aが昭和一九年四月三〇日釜石出張所で被上告人B1らに持分売買代金を提供したとしても、その際上告人A主張のように、まず同上告人の持分に対する抵当権の設定登記を抹消すべきことを要求してなしたものであるとすれば、とうて とき文言にかかわらず、被上告人B1らの各持分について抵当権その他何等の負担のないことを確保する趣旨であると解釈した原審の判断は正当であつて、所論のような違法は認められない。されば、上告人Aが昭和一九年四月三〇日釜石出張所で被上告人B1らに持分売買代金を提供したとしても、その際上告人A主張のように、まず同上告人の持分に対する抵当権の設定登記を抹消すべきことを要求してなしたものであるとすれば、とうて 三〇日釜石出張所で被上告人B1らに持分売買代金を提供したとしても、その際上告人A主張のように、まず同上告人の持分に対する抵当権の設定登記を抹消すべきことを要求してなしたものであるとすれば、とうてい債務の本旨に従つた履行の提供ということはできないとした原審の判断もまた正当として是認できること所論第一点に対する説示のとおりである。所論は、原審の認定しない事実を援用し、独自の見解に立脚して原審の右各判断を非難するものであつて、採用できない。同第六点について。所論の点につき、原審は被上告人B1らが供託通知を受けた後の昭和一九年中に供託所から供託金を受けとろうとしたが、供託書を持参しなかつたため、結局現実に供託金の交付を受けられなかつたとの事実を認定したうえ、供託が第三者のためにする寄託契約たる性質を有するものであるとしても、被上告人B1らが現実に供託金の交付を受けなかつたにかかわらず、右の被上告人B1らの行為によつて本件三万円の債務の弁済と同一の効果が発生したものと解すべき法律上の根拠はないと- 4 -判断したのである。右判断は正当であり、また、上告人Aの主張の趣旨を誤解してなされたものとは認められない。所論は独自の見解に立つて原判決に所論の違法あるごとくいうものであり、採用できない。よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官奥野健一裁判官山田作之助裁判官草鹿浅之介裁判官城戸芳彦裁判官石田和外- 5 - 裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 石田和外

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る