平成9(行ウ)6 公費違法支出差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成13年3月15日 静岡地方裁判所 住民訴訟
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判決文本文43,160 文字)

主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告静岡県知事は,運輸大臣が平成8年7月26日空管第82号をもって設置許可した静岡空港の開設事業に関する一切の公金を支出してはならない。 2 被告Aは,静岡県に対し,217億円及びこれに対する平成9年6月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,静岡県の住民である原告らが,①被告静岡県知事に対し,同知事が,静岡空港の開設事業に関し公金を支出するのは,地方自治法138条の2(誠実義務)に違反し,違法であるとして,同法242条の2,1項1号に基づき,その公金の支出の差止めを求めるとともに,②被告Aに対し,同被告が平成8年度に空港対策費として217億円(実際の支出額160億5701万7000円)を支出したのは上記誠実義務に違反し違法であり,静岡県に対し損害を与えたとして,同項4号に基づき,静岡県に代位して,既に支出された空港対策費相当額の損害賠償を求めた事案(住民訴訟)である。 1 争いのない事実(1) 空港開設の計画被告静岡県知事(以下「被告知事」という。)は,昭和62年1月29日,静岡県新総合計画(乙1)において,静岡県内に空港(以下「静岡空港」という。)を開設する計画があることを公表し(なお,当時の被告知事は,Bであり,被告Aは,平成5年8月1日に被告知事に就任した。),同年12月16日,同空港の建設予定地をα(島田)地区と決定した。そして,昭和63年10月から現地調査に着手するとともに,平成元年12月15日,静岡空港のおおよその全体像を明らかにした静岡空港基本計画案(乙2)を公表した。その後,平成4年1月の「新総合計画中期発展プラン」(乙4)において,静岡空港の整備 するとともに,平成元年12月15日,静岡空港のおおよその全体像を明らかにした静岡空港基本計画案(乙2)を公表した。その後,平成4年1月の「新総合計画中期発展プラン」(乙4)において,静岡空港の整備を静岡県の「21世紀へのみちを拓く21のプロジェクト」の第1番目に位置づけた。 (2) 予算措置等静岡空港は,平成3年11月29日の閣議において決定された第6次空港整備5箇年計画(平成3年度から平成7年度までの5箇年にわたる国の空港整備の基本計画)の運輸省資料において,空港計画の熟度(空域,就航率),費用負担(用地造成費の地元負担方法)等に関する様々な課題について,なお,調査検討が求められる事業(予定事業)として位置づけられた後,平成5年8月25日,その課題の解決の見通しが立ったとされる事業(新規事業)に組み入れられ,平成6年2月15日,平成6年度政府予算案において,実施設計調査に要する経費として5000万円が計上された。 (3) 空港設置許可申請上記予算措置が講じられたことを受けて,被告知事は,平成7年12月19日,運輸大臣に対し,航空法38条に基づき,静岡空港設置許可申請(空整第60号。 以下「本件申請」という。)を行った。 (4) 空港設置許可処分運輸大臣は,平成8年2月21日,航空法38条3項の規定に基づき,静岡空港につき,位置,範囲などを告示し,関係地方公共団体を通じて当該告示を現地において掲示した上,同年3月27日,同法39条2項の規定に基づき,静岡空港設置に関し,静岡県島田市において公聴会を開催するなどし,同年7月26日,静岡空港が航空法39条1項1号ないし5号の各要件に該当するとして,静岡空港設置を許可する旨の処分(空管第82号。以下「本件許可処分」という。)を行った。そして,同年8月7日,静岡空港を第三種空港に指定する が航空法39条1項1号ないし5号の各要件に該当するとして,静岡空港設置を許可する旨の処分(空管第82号。以下「本件許可処分」という。)を行った。そして,同年8月7日,静岡空港を第三種空港に指定する,空港整備法施行令の一部改正が閣議決定された。 (5) 公金の支出被告知事である被告Aは,平成8年度予算の空港対策費として,同年度中に160億5701万7000円の経費を支出し(以下「本件公金支出」という。),今後も,被告知事は,空港建設費として公金を支出する予定である(以下併せて「本件財務会計行為」という)。 (6) 監査請求原告らは,平成9年4月2日,静岡県監査委員に対し,静岡空港対策費として公金を支出することに関し監査請求を行ったが,同監査委員は,原告らに対し,同月26日,監査請求を却下する旨の通知をした。 第3 争点 1 被告知事が,空港建設費として公金を支出することは,執行機関としての誠実義務(地方自治法138条の2)に違反し,違法となるか。 2 被告Aが,本件公金支出をしたことは,執行機関としての誠実義務(同条の2)に違反し,違法であり,静岡県に対する不法行為にあたるか。 第4 争点に対する当事者の主張(原告らの主張) 1 地方公共団体が,公共事業に経費を支出するにあたっては,自ずから経費支出の基準があり,その執行機関は,その基準を守り,その事務を,自らの判断と責任において,誠実に管理し及び執行する義務(以下「誠実義務」という。)を負う(地方自治法138条の2)ところ,以下に述べる事情を総合すれば,被告知事及び被告Aは執行機関として,この誠実義務に違反しており,本件財務会計行為は,違法である。 また,本件申請及び本件許可処分は,本件財務会計行為に向けた一連の行為として把えるべきであるから,公金の支出行為の時点でのみ把えてそれ自 の誠実義務に違反しており,本件財務会計行為は,違法である。 また,本件申請及び本件許可処分は,本件財務会計行為に向けた一連の行為として把えるべきであるから,公金の支出行為の時点でのみ把えてそれ自体に財務会計法規上の義務違反があったか否かをみることは妥当ではない。しかも,本件においては,原因行為たる先行行為(本件申請)と後行行為である本件財務会計行為の各行為者が同一(被告知事)であるから,各行為の違法を個別に判断することは相当でなく,この点からも,一連の行為と把えてその違法性を判断すべきである。仮に本件財務会計行為の時点においてそれ自体に義務違反があったか否かをみるとしても,本件申請及び本件許可処分については,次に述べるとおり,著しく合理性を欠きそのために予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵のあることが明らかであり,これを前提としてなされた本件財務会計行為は違法というべきである。 (1) 非民主的な静岡空港開設の計画地方自治体の運営の基本原則は,「民主的にして効率的な行政の確保を図る」こと(地方自治法1条)にあるというべきところ,被告らは,本件空港設置計画を策定し,推進する過程において,この基本原則を著しく蹂躙してきた。すなわち,被告知事は,地域住民から直接意見を聞くこともなく,かつ,地域住民を納得させる理由もないまま,静岡空港建設予定地を決定した。 また,被告知事は,地域住民に対し,一応,説明会を開催したものの既定の事実に関する形式的な説明しか行っていない上,静岡空港の建設に反対する地域住民で組織された「空港ノー」β町民の会(会長C,以下「β町民の会」という。)が,平成7年7月,現予定地を一時凍結して円卓会議を開催することを提案したのに,これを拒否し,さらに,同年10月に申し入れた公開討論も拒否するなど,地域住民との対話 C,以下「β町民の会」という。)が,平成7年7月,現予定地を一時凍結して円卓会議を開催することを提案したのに,これを拒否し,さらに,同年10月に申し入れた公開討論も拒否するなど,地域住民との対話を拒否し続けている。このように静岡空港の計画の策定及び推進の過程は,著しく非民主的であり,原告らを含む地権者その他関係地域住民の納得が得られていない。 (2) 違法な本件申請ア被告知事は,本件申請前,飛行場敷地予定地の地権者のほぼ100パーセントの同意が必要であると公言し,また,運輸省の担当官は,原告Cに対し,100パーセント未満であってよいのは地権者の所在不明,相続未了等の場合に限られ,それ以外は100パーセントであることを必要とする旨を表明していた。それにもかかわらず,被告知事は,本件申請当時において,共有地権者を除外した約96パーセントの同意率をもって本件申請を行った(なお,この同意率は,地方空港の設置許可申請において,過去最低である。)。そもそも,被告知事が,地権者から得た同意書は何ら法的拘束力を持たないものである。また,空港本体部分又は障害切土部分の所有者である原告Dほか54人は,運輸大臣に対し,平成8年7月9日から同月18日までの間に「静岡空港建設用地の不提供に関する通知」を郵送し,静岡県に対し,静岡空港の飛行場敷地予定地を今後絶対に譲渡その他一切の使用権原も認めないとの意思を表示した。被告知事は,原告らが,その所有する土地を静岡県に譲渡する意思も,使用させる意思も全くないことを知りながら本件申請を行い,混乱を恐れる運輸省幹部を恫喝して,航空法39条1項5号(飛行場にあっては,申請者が,その敷地について所有権その他の使用の権原を有するか,又はこれを確実に取得することができると認められること)に反する違法な本件許可処分を誘発した ,航空法39条1項5号(飛行場にあっては,申請者が,その敷地について所有権その他の使用の権原を有するか,又はこれを確実に取得することができると認められること)に反する違法な本件許可処分を誘発した。なお,被告知事が運輸大臣に提出した「責任をもって全用地を取得する」旨の確約書なるものは,法が定める「用地取得の確実性」を何ら客観的に証明できるものではなく,もはや土地収用法で強制収用しない限り敷地について確実に取得できないが,土地収用法の適用要件は存在しない。 イさらに,静岡空港が建設されると,同空港建設予定地に存在するスズカカンアオイ,シロバナクサナギオコゲ,オオタカ,カワセミ等の稀少で重要な動植物に重大な影響を及ぼすほか,生態系が破壊されて,原告ら静岡県民の自然権,環境権が侵害される。また,静岡空港の立地は,航空機の離着陸にあたって,人口約2万7000人を擁し,確実に市街化が進行しつつあるβ町の上空を,約250メートルから約500メートルの低い高度で飛行するものであり,騒音,振動,大気汚染,木規模な洪水,落下物,墜落事故発生の可能性等により地域住民の生活上の利益が著しく侵害されるところ,被告知事は,このような事情を知りながら本件申請を行い,航空法39条1項2号(当該飛行場又は航空保安施設の設置によって,他人の利益を著しく害することとならないものであること)に反する違法な本件許可処分を誘発した。 (3) 静岡県財政に与える影響静岡空港には,後述するとおり,採算性はないことが明らかであり,その建設には1900億円以上の巨費がかかるところ,静岡県の財政は,次に述べるとおり,危機的状況にある。にもかかわらず,静岡空港開設の計画は,静岡県の財政負担能力を無視した不合理かつ非効率的なものである。 静岡県の県税収入は,平成3年度をピークとしてそれ 財政は,次に述べるとおり,危機的状況にある。にもかかわらず,静岡空港開設の計画は,静岡県の財政負担能力を無視した不合理かつ非効率的なものである。 静岡県の県税収入は,平成3年度をピークとしてそれ以降減収を続けており,歳入における税収入の割合は,同年度が48.4パーセントであったのに対し,平成8年度には35.8パーセントにまで落ち込んでいる。一方,歳入における県債の割合は,平成3年度は8.3パーセントであったのに,平成8年度には19.4パーセントと急激に上昇しており,県財政は明らかに借金依存体質になりつつある。 また,県の普通会計予算に占める公債費の比率は,平成3年度は7.6パーセントにとどまっていたが,平成8年度には12.4パーセント(1127億円)とほぼ倍増しており,県財政は危機的状況にある。かかる静岡県財政の危機的状況等の下において,静岡空港開設の計画は,静岡県民に無用な負担を強いるほか,静岡県財政をますます崩壊に導くものである。 (4) 静岡空港開設計画の粗雑性静岡空港開設計画は,以下の点において粗雑であり,かつ,無責任なものである。 ア総事業費について,被告知事は,1900億円と称しているがこれは他の空港建設に比較して著しく高額であるばかりか,その明細は不明であり,今後,大幅に膨張する可能性が高い。 イ旅客需要予測を年間約178万人(1日当たり約5000人)と称しているが,同予測の基礎となった経済成長率は実際には達成されておらず,経済の実態を無視した数字であり,このような不便かつ機能貧弱な空港に上記予測の利用者が集まるとは到底考えられない。そして,現に,静岡県は,平成12年2月28日,上記年間約178万人の予測数字を約133万人から約156万人と下方修正して発表した。 ウ静岡県は,新幹線新駅を設置することを前提に静岡空 えられない。そして,現に,静岡県は,平成12年2月28日,上記年間約178万人の予測数字を約133万人から約156万人と下方修正して発表した。 ウ静岡県は,新幹線新駅を設置することを前提に静岡空港を設置しようと計画していたが,東海旅客鉄道株式会社(以下「JR東海」という。)は,新駅設置は不可能である旨度々表明しており,新幹線新駅構想の実現性は全くない。 エ空港建設に伴う移動土砂量の数量について,静岡県は,基本計画発表時には2000万立法メートルとしていたが,環境影響評価実施時には2400万立方メートルに変更し,現在では2700万立方メートルとしているように二転三転している。そして,上記移動土砂量の増加により,本体工事費は約2倍に膨張してもおかしくないのに,総事業費に変更がないのは不審である。 オその他,路線開設予定が不合理であること,経済波及効果の試算根拠が曖昧であり,2.45倍から1.57倍に変更されたこと,いずれのルートも用地買収の目途がたっておらずアクセス道路の実現性がないこと,盛土に使用する土砂(岩石)の土質に関する認識が不正確であること,空港直下を通過している東海道新幹線第1高尾山トンネル(以下「高尾山トンネル」という。)について大規模な防護工事を実施しなければならないが,防護工事計画が未確定であること,調整池の貯水能力が不足していること,周辺河川の改修計画が杜撰であること,代替農地のアルカリ度が高く耕作に不適であること,買収計画の前途が不透明であること,静浜飛行場との間の空域調整が未了であること,離陸後急旋回するなど飛行ルートが危険であること等様々な点において,静岡空港開設計画は粗雑である。 (5) 静岡空港開設計画の無意義性ア静岡県は,東海道新幹線,在来の東海道線,東名高速道路,計画中の第二東名高速道路が東西に貫通 危険であること等様々な点において,静岡空港開設計画は粗雑である。 (5) 静岡空港開設計画の無意義性ア静岡県は,東海道新幹線,在来の東海道線,東名高速道路,計画中の第二東名高速道路が東西に貫通しており,交通至便である。また,静岡空港は第3種空港であるが,そのようなローカル空港が効果的に機能するためには,成田,羽田,大阪,関西国際等の大規模空港との間に定期路線が開設されていることが必須の条件であり,事実他の第3種空港はほとんど全部この条件を具備しているところ,静岡空港にはこれらの大規模空港と結ぶ路線は1本も予定されておらず,滑走路の長さ(2500メートル)からして長距離国際路線の開設も不可能である。したがって,静岡空港開設は,その必要性がない。 イまた,静岡空港開設についての地域住民の合意も得られておらず,原告らは,地域住民ぐるみの反対運動を今後とも継続強化していく方針である。最近では,静岡県民全体も,静岡空港開設に対して批判的であり,現に,平成9年の県知事選挙において,空港反対を鮮明に掲げた候補者が確たる組織も持たないのに多数の有権者に支持された。 ウ各航空会社が不採算路線を休止あるいは廃止し,各地の地方空港が経営難に苦しんでいるところ,静岡空港も先に述べたとおり,採算性はないから,事業そのものに意義が乏しい。 エ政府は,平成10年度から公共事業再評価制度(時のアセスメント)を導入し,不要な公共事業の見直しをする姿勢を示し,空港整備についても同制度が適用されている中で,静岡空港開設は,このような社会経済情勢に逆行するものである。 2 以上によれば,静岡空港開設計画は,著しく非民主的な過程を経てなされたものであり,また,被告知事は,用地取得の確実性がないのであるから,本件申請を控えるべきであり,かつ,政治的恫喝で本件許可処分を引 以上によれば,静岡空港開設計画は,著しく非民主的な過程を経てなされたものであり,また,被告知事は,用地取得の確実性がないのであるから,本件申請を控えるべきであり,かつ,政治的恫喝で本件許可処分を引き出すべきでなかったばかりか,静岡県財政の危機的状況の下において,粗雑で無意義な計画を進めようとするものである。 したがって,本件財務会計行為は,地方自治法138条の2にいう誠実義務に違反し,違法なものであるから,原告らは,被告知事に対し,静岡空港の開設事業に関する一切の公金の支出をしないよう求めるとともに,被告Aに対し,静岡県に代位して,違法に支出された平成8年度の空港対策費相当額の損害賠償金217億円及びこれに対する平成9年6月25日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める。 (被告らの主張) 1 原告らは,本件財務会計行為の違法事由として種々主張するが,原告らの主張する事由は,個別的あるいは総合的に検討しても,本件財務会計行為を違法とするものではない。 (1) 非民主的な静岡空港開設の計画について航空法等には,地方公共団体が空港を開設するにあたり地域住民の納得を得ることが必要であるとの規定はなく,原告らの主張は,政治的・行政的責務を述べるにすぎない。なお,静岡空港の建設予定地が3候補地に絞られた段階で各地元における議論も活発となり,昭和62年10月から11月にかけて,榛原町議会空港対策特別委員会(全議員),ι町議会,焼津市議会,島田市議会,κ町議会,λ町議会,μ町議会,藤枝市議会,静岡市議会が現建設地への空港誘致を決議した(ι町,λ町,μ町は意見書の採択)。そして,静岡県をはじめ,各関係市町は,法令で要求されていない各種説明会を多数回にわたり実施している。 (2) 違法な本件申請につ が現建設地への空港誘致を決議した(ι町,λ町,μ町は意見書の採択)。そして,静岡県をはじめ,各関係市町は,法令で要求されていない各種説明会を多数回にわたり実施している。 (2) 違法な本件申請についてア原告らの主張は,結局のところ,本件申請及び本件許可処分の違法をいうものにすぎないと解される。 ところで,本件許可処分は,いわゆる行政処分に該当するから,公定力を有し,行政事件訴訟法3条2項の取消訴訟により取り消されない以上,あくまで有効なものとして取り扱われる。したがって,本件許可処分の違法をいうためには,その取消しが必要であるところ,本件許可処分は,いまだ取り消されていないから,その違法を前提とする原告らの主張は失当である。 しかも,本件許可処分のような先行する財務会計上の行為以外の行為(非財務行為)の違法を理由に,これに伴う財務会計上の行為(財務会計行為)を違法とすることはできず,財務会計行為自体に違法があることを要し,例外的に,先行する非財務行為に「予算執行上,看過し得ない著しい不合理」が存し,これを前提として財務会計上の行為をすることが,財務会計法規上の義務に違反すると評価されるときに限り,違法となるものである。本件についていえば,本件許可処分によって,個別具体的な公金支出義務が法律上当然に生ずるものではないから,本件財務会計行為は上記処分を当然の前提としてなされたものではなく,また,後述するとおり,本件許可処分が適法であることは明らかであり,予算執行上看過し得ない著しい不合理や当然無効となるべき事由は存しない。したがって,本件許可処分の違法を理由とする原告らの主張は失当である。 イそもそも本件許可処分は,次に述べるとおり,航空法39条1項5号及び2号に違反しない。 (ア) 静岡空港の予定面積は,約189万3361平方メー 処分の違法を理由とする原告らの主張は失当である。 イそもそも本件許可処分は,次に述べるとおり,航空法39条1項5号及び2号に違反しない。 (ア) 静岡空港の予定面積は,約189万3361平方メートルであるところ(その内訳は,国有地約4万6367平方メートル,県有地約1万7986平方メートル,市町有地約52万3441平方メートル,民有地約130万5567平方メートル),このうち,国,県,市町有地は,それぞれ譲渡等により静岡県が確実に取得することができる。また,地権者(共有地権者を除く。)が全体で284人であるところ,本件許可処分時点においては,このうち274人から用地取得の同意を得ていた。そして,同意書を提出した地権者は適正な価格での土地売渡しに同意しているのであって,静岡県による用地の任意取得の蓋然性が極めて高いことは明らかである。これは地権者のうち,世帯数の97.2パーセント,地権者数の96.5パーセント,面積の97.3パーセントを占めるものである。そして,被告知事は,同意を得られていない地権者に対し,今後とも静岡空港開設の計画について繰り返し説明して理解を求めていき,その所有地を譲り受けることができるよう誠心誠意努力していくことから,任意買収により用地を取得できる見込みがある。仮に同意が得られなかった場合でも,空港建設事業の公共性に基づき,土地収用法の適用が可能である。したがって,本件許可処分は,航空法39条1項5号に反しない。 (イ) また,原告らは,航空法39条1項2号の「利益」は,「自然権」や「環境権」を意味することを前提として,本件許可処分が同号に違反する旨主張するが,「自然権」や「環境権」の内容が明らかでない上,同項2号の「他人の利益を著しく害することとならない」との規定は,主として,進入表面,転移表面及び水平表面( 本件許可処分が同号に違反する旨主張するが,「自然権」や「環境権」の内容が明らかでない上,同項2号の「他人の利益を著しく害することとならない」との規定は,主として,進入表面,転移表面及び水平表面(いわゆる制限表面)等による私権制限の対象となる私人の財産権に対して配慮すべきことを定めたものであると解される(東京地裁平成8年5月14日判決・判例時報1576号27頁)ところ,本件許可処分は,これに反しない。すなわち,①飛行場を設置しようとする者は,航空法38条2項により「当該施設について,位置,構造等の設置の計画,管理の計画,工事完成の予定期日その他運輸省令で定める事項及び飛行場にあっては公共の用に供するかどうかの別を記載した申請書」を提出することになっており,同項を受けて,航空法施行規則(以下「規則」という。)76条1項は,飛行場設置許可申請書の記載事項を詳細に規定し,また,同条2項は,同中請書の添付書類及び図面を規定している。しかしながら,申請書の記載事項及びその添付書類,図面のいずれにおいても原告らの主張するような自然環境等に関する利益に関連する項目,資料はないのであり,運輸大臣が飛行場の設置許可申請を審査する際に,自然環境等に関する利益を考慮することを義務づけようとしたことを窺わせる規定は存在しない。②航空法38条3項は,「飛行場の位置及び範囲,公共の用に供するかどうかの別,着陸帯,進入区域,進入表面,転移表面,水平表面,供用開始の予定期日その他運輸省令で定める事項」を告示,掲示する旨規定している。しかしながら,その告示,掲示すべき事項は,制限表面及び飛行場の概要等に関する事項であって,原告らの主張するような自然環境等に関する利益に関連する事項はなく,公聴会においても,自然環境等に関する利益についての意見聴取を予定していないものと考 限表面及び飛行場の概要等に関する事項であって,原告らの主張するような自然環境等に関する利益に関連する事項はなく,公聴会においても,自然環境等に関する利益についての意見聴取を予定していないものと考えられる。また,公聴会の実施を具体化した規則80条は,航空法39条2項の利害関係を有する者について「飛行場の区域,進入区域又は転移表面,水平表面,延長進入表面,円錐表面若しくは外側水平表面の投影面内の区域」内に土地又は建物の所有権等の財産権を有する者(2号及び3号)と規定しており,制限表面等により財産権の制限を受ける者を利害関係を有する者としている。以上のとおりであり,運輸大臣が飛行場の設置許可申請を審査する際,自然環境等に関する利益を考慮することを義務づけようとしたことを窺わせる規定は存在しない。③航空法43条1項は,飛行場について重要な変更を加える場合に,運輸大臣の許可を受けなければならないとし,同条2項は,その申請書の記載事項,審査事項等についての規定を準用しているが,設置許可申請の場合の告示,掲示に関する規定,公聴会に関する規定については「飛行場の範囲,進入表面,転移表面又は水平表面に変更を生ずる場合に限り準用する」と規定し,新たに制限表面等に財産権の制限を生じない場合には,これらの告示,掲示,公聴会の開催手続を不要としている。④以上のことからすれば,航空法39条1項2号の「他人の利益を著しく害することとならない」との規定は,主として,制限表面等による私権制限の対象となる私人の財産権に対し配慮すべきことを定めたものであって,原告らの主張するような自然環境等に関する利益を個別具体的に保護する趣旨の規定と解することはできない。 そして,静岡空港の制限表面の投影面内には,人口,建物が密着し土地が高度に利用されている市街地はなく,民家が集っ うな自然環境等に関する利益を個別具体的に保護する趣旨の規定と解することはできない。 そして,静岡空港の制限表面の投影面内には,人口,建物が密着し土地が高度に利用されている市街地はなく,民家が集って集落を形成している地域の建物もおおむね低層建築物であり,集落以外の地域は,山林,茶園などとして利用されていることからして,重大な私権制限が生じるとは言えず,他入の利益を著しく害することとならない。 したがって,本件許可処分は,航空法39条1項2号に反しない(なお,仮に原告らの主張が,原告らを含む県民に対する権利侵害の違法をいうものであれば,国家賠償請求訴訟において問題とすべきものである。)。 ウまた,原告らは,本件許可処分の違法をもって,本件申請が違法である旨主張するだけで,本件申請固有の違法を主張しないから,本件申請が違法であるとの原告らの主張も失当である。なお,仮に本件申請が違法であるとしても,その場合には不許可処分がなされるだけである。そして,本件では許可処分がなされているのであるから,本件申請を違法な行為と評価することはできない。 したがって,本件申請の違法に関する原告らの主張は,いずれも失当である。 (3) 静岡県財政に与える影響についていかなる経費でいかなる施策を実施するかは,地方公共団体の広範な裁量に委ねられており,その判断は,経済的見地のみならず,広く社会的,政策的見地から総合的になされるべきものである。 被告知事は,航空需要がますます増大し,本格的な空の時代を迎える中で,年間113万人の国内航空利用客(平成3年度乗降客べース)を抱える静岡県の発展にとって不可欠であるとの判断から,静岡空港を開設することにした。 また,静岡県の経常収支比率は,平成9年度決算べースで全国都道府県平均が88.3のところ87.5であり(全国 )を抱える静岡県の発展にとって不可欠であるとの判断から,静岡空港を開設することにした。 また,静岡県の経常収支比率は,平成9年度決算べースで全国都道府県平均が88.3のところ87.5であり(全国24位),静岡県の財政調整基金残高は,平成9年度決算ベースで146億8100万円である(全都道府県中10位)から,静岡県の財政が健全であることは明らかである。 さらに,静岡空港開設にあたっては,静岡県は,平成11年度までにおよそ860億円の予算措置を講じており,平成18年の開港予定までの残り7年間で単純平均すると,平成12年度以降開港まで1年あたり約150億円程度の予算規模となるところ,静岡県の過去10年間の投資的事業の予算額は,年間約4300億円規模であるから,静岡空港の開設によって,静岡県の財政が破綻することはない。 静岡空港は,着陸料に限定しても年間約8億9000万円の収入があり,他方,支出は滑走路等の管理費,照明施設の保守管理費等年間約5億2000万円と見込まれ,黒字が予想される。 以上を総合すれば,静岡空港の開設計画には,原告らが主張する静岡県財政への影響はなく,また,静岡空港開設にあたり,被告知事に裁量権の濫用逸脱もない。 原告らの主張は,結局のところ,政策の当否をいうものにすぎない。 (4) 静岡空港開設計画の粗雑性について原告らの主張は,いかなる意味で違法となるのか全く不明であり,それ自体失当である。一般に,ある一定の事業における総事業費の増減の可能性は,長期にわたる大規模工事を伴う事業では予測できないものであり,そのことによって,本件公金支出が違法となるものではない。なお,用地買収面積が本体部でも4分の3を超え,工事もかなり進捗してきた現時点で見れば,今後,総事業費が原告らが主張するように大幅に膨張するということはあり得な 件公金支出が違法となるものではない。なお,用地買収面積が本体部でも4分の3を超え,工事もかなり進捗してきた現時点で見れば,今後,総事業費が原告らが主張するように大幅に膨張するということはあり得ない。また,旅客需要予測は,その時々の経済状況の捉え方により差異が出るものであるが,その差異をもって,本件公金支出が違法となるものではなく,また,同予測は犠牲量モデルにより行っており,合理的なものである。静岡空港と自衛隊静浜飛行場との間の空域調整は,高度が競合する空域を平面的に分割することにより安全を確保することになっており,この点については,平成5年6月21日,防衛庁,運輸省,静岡県の3者合意により基本的に合意されている。経済波及効果や新幹線新駅構想は,これらを理由として空港を設置することとしたものではないので,これらが実現しなくとも,本件公金支出が違法となるものではない。また,移動土砂量の変動は,事業の進捗状況に応じてその時点で取りうる最善の手段を用いて適正に算出した結果である。代替農地については,土地改良,排水改良などにより耕作に適するものとして整備されており,耕作に不適であるとはいえない。さらに,未確定な計画部分(新幹線トンネル防護工事計画,空域調整)や事業実施上の個別的な問題点は,事業遂行と平行して解決していけば足りるのであり,未確定であることで,本件公金支出が違法となるものではない。 (5) 静岡空港開設計画の無意義性について原告らの主張は,政策の当否をいうものにすぎず,失当である。 地方公共団体の行う公共事業は,公益性,公共性を有しなければならないが,その公益性,公共性の存否判断は,地方公共団体の広範な裁量に委ねられており,その判断については,著しい不公正若しくは法令違反が伴わない限り,これを尊重すべきものであり,それが地方自 ればならないが,その公益性,公共性の存否判断は,地方公共団体の広範な裁量に委ねられており,その判断については,著しい不公正若しくは法令違反が伴わない限り,これを尊重すべきものであり,それが地方自治の精神に合致する所為というべきである(福岡高裁昭和53年3月29日判決・行裁集29巻3号453頁)。 これを静岡空港開設の計画についてみると,現在,静岡県内には空港がないため,県内の国内航空利用者は,新東京国際空港,名古屋空港,大阪国際空港等を利用せざるを得ない状況にあり,静岡空港の設置により県民の交通利便に寄与することは明らかである上,静岡空港の設置については,県議会も昭和62年度以降毎年予算議決により承認している。また,平成10年7月に朝日新聞が実施した県民意識調査では,空港周辺において賛成派54パーセント,反対派25パーセントの結果になっており,地元地域住民の静岡空港に寄せる期待は強い。さらに,主要地方空港(15空港)の国内旅客は,平成元年度から平成9年度まで年4.8パーセント(東京便,大阪便,名古屋便,離島便を除けば年7.6パーセント)と高い伸び率を示しており,地方空港の今後の発展可能性は大きい上,静岡空港には首都圏第3空港の補完機能も期待されている。静岡空港について,平成11年度に,公共事業再評価制度に基づく検討が行われたが,建設コストに大きな変動はなく,事業採択以来最大路線に係る空港背後圏の流動等は順調に推移していることから,事業は継続との結論が出された。 したがって,静岡空港開設の計画は,無意義なものではなく,また,同計画にあたり,被告知事に裁量権の逸脱はない。 第5 争点に対する判断 1 前記第2,1の争いのない事実,証拠(各事実の末尾に掲記)及び弁論の全趣旨によれば,静岡空港の開設計画から本件公金支出等に至る経緯について ,被告知事に裁量権の逸脱はない。 第5 争点に対する判断 1 前記第2,1の争いのない事実,証拠(各事実の末尾に掲記)及び弁論の全趣旨によれば,静岡空港の開設計画から本件公金支出等に至る経緯について以下の事実が認められる。 (1) 静岡空港開設計画の端緒昭和60年5月,静岡県中部及び西部の政財界人を集めて静岡県民間空港開設研究会が設立された。その設立の趣旨は,静岡県は全国でも数少ない民間空港の空白県であり,このままでは,着々と進む全国の航空ネットワークの枠外に置かれ,県の振興発展が阻害されるおそれがあるため,個々別々にではなく,全県下の有志が一本化して空港の設置を真剣に研究していこうというものであった。このような動きのもとで,静岡県は,同年9月,補正予算に初めて空港調査費を計上した。そして,昭和61年,静岡県は,21世紀の県土づくりにおいて,航空ネットワークの役割が大きいと考えて空港設置の検討を行うため,航空利用の実態,航空路線の成立可能性,空港立地条件,経済効果などについて基礎調査を実施し,昭和62年1月29日,21世紀に向けた新しい静岡県づくりを進めるための以後10年間の指針として静岡県新総合計画を決定し,同計画において,総合的な交通・情報ネットワークの柱の一つとして空港整備構想の推進を掲げ,空港整備構想の早期策定,空港等の整備,空港周辺地域の開発・整備という政策の方向性を示した(甲6,153,乙1,22,証人F)。 (2) 静岡空港建設地の決定に至る経緯昭和62年4月,静岡県は,空港建設の基本的な方向づけとその行政上の課題を検討するため,県庁内に空港建設推進会議(委員長は,副知事)を設置し,同年5月には,空港建設候補地の選定のための専門的な調査検討を行うため,航空専門家等の学者,有識者15名からなる静岡空港建設検討専門委員 ため,県庁内に空港建設推進会議(委員長は,副知事)を設置し,同年5月には,空港建設候補地の選定のための専門的な調査検討を行うため,航空専門家等の学者,有識者15名からなる静岡空港建設検討専門委員会(以下「専門委員会」という。)を設置した。専門委員会は,まず,陸上域について,県内全域を1平方キロメートル四方に細かく区切り,そのうち,7203地区について,起伏状況,都市的施設の有無,農用地面積等の現況を調査し,候補地として37か所を選出し,海上域については,水深の状況,河口・港湾施設の回避可能状況から4地区を選出し,既存の4施設(富士川滑空場,三保場外離発着場,自衛隊静浜飛行場,自衛隊浜松基地)と合わせて合計45地区を候補地として選出した(1次選出)。次いで,同年6月16日,専門委員会は,上記45地区について,5万分の1の地形図を用いてジェット空港としての空港用地確保の可能性,進入表面確保の可能性,ILS(計器を使用した着陸援助装置,以下「ILS進入方式」という。)の設置の可能性等から検討を行った結果,14地区を選定した。さらに,同年7月21日,地方空港としての事業実施の可能性,自衛隊との短期間での調整,家屋移転・農地転用の多寡,地域住民の生活・産業活動への影響等を検討し,5地区を選定した。そして,更に,この5地区について,現地調査を実施して,運航空域条件,建設条件,既存公共施設及び既存開発計画との関連などからの検討を行い,最終的に,γ町の海岸部(以下「γ案」という。),掛川市の小笠山北部(以下「掛川案」という。)及び島田市とα町の行政境にある高尾山の周辺部(以下「α,もしくはα案」という。)の3地区を候補地として選定して,これら3地区について,更に詳細に検討することとした。 そして,この候補地の絞り込みの経過については,同年7月に静岡 尾山の周辺部(以下「α,もしくはα案」という。)の3地区を候補地として選定して,これら3地区について,更に詳細に検討することとした。 そして,この候補地の絞り込みの経過については,同年7月に静岡県議会内に設けられた総合交通対策特別委員会において,同年9月28日に了承された。その後,空港誘致についての各地元における議論も活発になり,同年10月から11月にかけて,榛原町議会空港対策特別委員会(全議員),ι町議会,焼津市議会,島田市議会,κ町議会,λ町議会,μ町議会,藤枝市議会,静岡市議会が,それぞれαへの空港誘致を決議(ι町,λ町,μ町は,意見書の採択)した。 その後,専門委員会は,①運航空域条件(ILS進入方式が設定できることなど),②建設条件(用地買収面積,概算工事費がなるべく縮減できることなど),③土地利用条件(空港用地内の土地利用状況において農地,市街地や家屋数がなるべく少ないこと),④環境条件(航空機騒音影響範囲図を作成,その範囲内に含まれる家屋数がなるべく少ないことなど),⑤空港への県民のアクセス条件(静岡空港を県民にとって利便性の高い空港とするため,全県から一定時間で空港ヘアクセスできる人口ができるだけ多いことなど)等の諸条件について,特に留意して調査検討した結果,同年12月14日,α案とγ案を空港適地として被告知事に答申した(なお,掛川案は,隣接地の市議会で空港反対決議が採択されたこともあり,答申に盛られなかった。また,この答申には,空港の建設は,静岡県全体の発展にとって不可欠であり,県民の理解を深めながら推進することが望ましいという強い意見があったことが付記されていた。)。 この両候補地案を比較すると,γ案は,建設条件における概算工事費はα案に比べ割安であり,航空機騒音対策の対象戸数及び農地・宅地・工場の潰地において いという強い意見があったことが付記されていた。)。 この両候補地案を比較すると,γ案は,建設条件における概算工事費はα案に比べ割安であり,航空機騒音対策の対象戸数及び農地・宅地・工場の潰地においてもα案に比べ比較的少ないが,原子力発電所との位置関係からILS進入方式の利用率が低くなり,外洋であるため波浪等により工事の難航が予想され,県民の中の90分以内でアクセスできる人口がα案に比べ約2割程度減少するとの問題点があり,他方,α案は,逆に,建設条件における概算工事費がγ案に比べ割高であるが,年間の卓越風向に一致したILS進入方式の設備の設置が可能であり,定期便としてジェット機が就航する空港にふさわしく,県民の中の90分以内でアクセスできる人口がγ案に比べ2割程度多いという利点があった。 この答申を受けて,被告知事は,同年12月16日,県議会各派代表者会議の席上において,静岡空港の建設予定地をαと決定する旨発表し,同月24日には,県議会全員協議会において,その旨の報告を行った。また,静岡県の担当者は,昭和63年3月17日から19日にかけて,島田市議会,榛原町議会,δ町議会,関係町内会役員に対して建設予定地決定の経緯等について説明を行った(甲6,14,乙2,22,23,前掲証人)。 (3) 建設地の地元等に対する説明,地元等の対応及び静岡空港基本計画案の作成空港建設予定地が決定されたことを受けて,静岡県は,平成3年度から始まる国の第6次空港整備5箇年計画における採択を目指し,空港基本計画策定の基礎資料とするため,昭和63年10月1日から建設予定地内での現地調査(気象・測量・地質・環境影響の各調査)を開始した。 その一方で,静岡県は,空港建設の理解と協力とを地元住民から得るため,空港の必要性,候補地選定の経緯,スケジュール等に関する地 地内での現地調査(気象・測量・地質・環境影響の各調査)を開始した。 その一方で,静岡県は,空港建設の理解と協力とを地元住民から得るため,空港の必要性,候補地選定の経緯,スケジュール等に関する地元説明会を各町内会毎に合計47回開催(出席者延べ1085人)したほか,関係市町と密接な連携をとりながら地元対策を行う必要があるため合計5回の空港関係市町連絡会議を開催し,平成元年2月には,島田土木事務所内に空港対策室分室を設け,地元市町との連繋を図りつつ細やかな地元対策の推進に努めることにした。このような県主催の説明会等のほかに,各関係市町が開催する説明会も合計41回(出席者延べ996人)開催され,地元1市3町(島田市,α町,β町,δ町)では,鹿児島,岡山,高松等の他空港視察を合計15回行い,延べ736人が参加した。 静岡県は,同年8月に,空港基本計画作成に必要な現地調査を終了し,同年11月,空港の規模や事業費など空港基本計画作成についての基本方針を公表し,さらに,同年12月15日,静岡空港の位置,規模,建設に要する概算工事費等の全体像の概要を明示した静岡空港基本計画案(乙2)を作成し,これを前記地元1市3町の全世帯,県内市町村,商工会議所,商工会等に配布した。そして,静岡県は,これをもとに平成元年度に合計43回(出席者延べ1577人)の地元での説明会を開催し,また,他空港視察も合計19回(参加人員716人)実施するなど空港計画推進にむけて具体的な協力依頼を開始した。そして,平成元年10月には,県中部地区の官民が一体となって静岡空港の建設を促進するため,静岡空港建設促進協議会が設立され,この協議会には,町議会において空港誘致決議を行わなかったβ町も参加した。また,島田市,α町,δ町において,空港予定地の地権者らで組織する地権者会や地元住民代 め,静岡空港建設促進協議会が設立され,この協議会には,町議会において空港誘致決議を行わなかったβ町も参加した。また,島田市,α町,δ町において,空港予定地の地権者らで組織する地権者会や地元住民代表らによる空港対策協議会が設立されるなど,空港建設に向けた地元の協力体制が整備されていった。 このような状況下において,静岡県は,平成2年3月19日,空港の建設とこれに関連する事業に要する経費に充てるための基金として静岡空港建設基金を設置した。 上記のほか,静岡県が,平成2年度から同4年度にかけて実施した地元説明会及び他空港視察等は,次のとおりである。平成2年度,主に静岡空港基本計画案の説明会合計41回(出席者延べ1125人),平成3年度,地元説明会・住民懇談会合計84回(出席者延べ2236人,農業対策及び後記第6次空港整備5箇年計画への組入れを中心に説明),平成4年度,地元説明会合計81回(出席者延べ1479人,農業対策を中心に説明)であり,他空港視察は,平成2年度合計17回(参加人員701人),平成3年度合計6回(参加人員111人),平成4年度合計9回(参加人員222人)であった(甲6,乙2,22,前掲証人)。 (4) 第6次空港整備5箇年計画への組入れ及び予算措置等静岡県の空港計画の推進を踏まえて,静岡空港は,平成3年11月29日に閣議決定された第6次空港整備5箇年計画の運輸省資料において予定事業として組み入れられた。そして,静岡県は,前記(1)の静岡県新総合計画を一層推進するために,平成3年度から平成7年度までの5年間の県づくりの指針として平成4年1月28日に計画決定した「静岡県新総合計画中期発展プラン」(乙4)において,静岡空港の整備を静岡県の「21世紀へのみちを拓く21のプロジェクト」の第1番目に位置づけた。 静岡県は,防 て平成4年1月28日に計画決定した「静岡県新総合計画中期発展プラン」(乙4)において,静岡空港の整備を静岡県の「21世紀へのみちを拓く21のプロジェクト」の第1番目に位置づけた。 静岡県は,防衛庁,運輸省,県の3者による空域調整が,平成5年6月21日に決着したことから,同年8月,前記静岡空港基本計画案について,滑走路方位の変更等を行い,新たな空港整備計画を策定した。同月25日,静岡空港は,第6次空港整備5箇年計画の「予定事業」から「新規事業」に格上げされ,運輸省は,平成6年度予算の概算要求において,静岡空港の実施設計調査費として5000万円を計上した。静岡県は,これに合わせて新しい空港整備計画について,地元の議会や住民代表などを対象に説明会を開催するとともに,空港用地取得範囲(約530ヘクタール)を確定し,平成5年10月20日,該当する地権者に対し,その所有地が買収予定地であることを告知する文書を送付した。また,静岡県は,同年11月9日の島田市ε地区を皮切りに,地権者を対象として用地補償の考え方や交渉の進め方などの基本的事項について説明し,地権者会の組織化や測量等のための所有地立入りについての承諾を要請した。そして,平成6年4月19日には,被告知事が地元α町を訪問して地権者ら地元関係者と知事懇談会を開催し,同年7月から8月にかけて後記環境影響評価準備書についての関係住民への説明会を開催した。さらに,平成7年2月,静岡県は,長さ2500メートル幅60メートル(着陸帯等級B級)の滑走路を持つ第3種空港の新設を骨子とする「静岡空港整備基本計画」を公表した(甲6,69,乙4,5,8,22,前掲証人)。 (5) 静岡空港設置に伴う各種調査,予測及び計画等ア環境影響評価等について静岡県は,空港の建設に先立ち,空港の建設・利用が環境に及ぼ 公表した(甲6,69,乙4,5,8,22,前掲証人)。 (5) 静岡空港設置に伴う各種調査,予測及び計画等ア環境影響評価等について静岡県は,空港の建設に先立ち,空港の建設・利用が環境に及ぼす影響について調査をし,これをもとに予測及び評価を行って,周辺地域の環境保全をより適切に実施するため,①「環境影響評価実施要綱」(昭和59年8月28日閣議決定)に基づく「運輸省所管の大規模事業に係る環境影響評価実施要綱」(昭和60年4月26日運環第25号運輸省通達),②静岡県環境影響評価実施要綱(平成4年7月15日静岡県告示第634号)に基づいて,現況調査を実施(昭和63年度から開始)して環境への影響を評価し,環境影響評価準備書を作成した。そして,同準備書の地元住民等に対する公告・縦覧及び説明会の開催を行った上で,地元住民及び被告知事の各意見についての事業者の見解を記載した環境影響評価書を作成し,平成7年1月31日に同評価書を公告し,同日から同年3月3日まで縦覧した。また,静岡県は,空港建設地に生息している貴重な動植物の保全を図るため,平成6年度までの環境影響評価の実施に引き続き,平成7,8年度には,県内の動植物に精通した専門家による自然環境保全対策調査を実施し,貴重な動植物の具体的な保全法や地形改変地域の復元についての調査・検討を行った。そして,その過程において,平成8年に空港建設地内でオオタカの営巣が確認されたことから,猛禽類専門家が参加した静岡空港オオタカ保護対策検討委員会を設置し,オオタカの保護対策(営巣可能林の育成,採餌環境の改善など)についでの提言を受けて,その保全対策を検討してきた。更に,平成9年9月には,工事に伴う環境保全対策を検討するため静岡空港環境監視機構を設置し,自然環境専門家や地元住民代表,地元市町の担当者等の各委員 いでの提言を受けて,その保全対策を検討してきた。更に,平成9年9月には,工事に伴う環境保全対策を検討するため静岡空港環境監視機構を設置し,自然環境専門家や地元住民代表,地元市町の担当者等の各委員から,貴重な動植物の移植等の自然環境保全方針について意見を聞き,その保全(移植,増殖)や郷土の樹種による緑化などを空港建設の工事に合わせて実施している。静岡県は,空港周囲部については,平成9年度に空港周囲部環境整備基本計画を策定し,地形改変地域や本体部法面等に郷土の樹種を植栽し,現存植生の復元をめざすことにした(甲6,乙15,17,18,22,50,52,74,前掲証人)。 イ静岡空港建設事業費について平成元年12月に作成された静岡空港基本計画案においては,同空港本体部の概算工事費(造成・排水・舗装・照明の各工事費用)は約400億円と積算され,その後,総事業費約2000億円,平成15年秋開港予定としてきた。 しかし,平成10年2月,静岡県は,主要プロジェクトの見直し,変更を行い,開港前に全て整備する予定にしていた3ルートの空港へのアクセス道路について,その区間を限定するとともに,その道路幅員を縮小するなどして総事業費を1900億円(その内訳は,①空港本体事業費500億円,②周囲部等整備事業費665億円,③関連事業費385億円,④生活生業・地元対策費350億円。)に圧縮することに決定した。その財源の内訳は,国庫補助(本体工事費の2分の1)250億円,起債930億円,一般財源660億円,受益者負担60億円であり,併せて,空港の開港予定も平成18年春に延期することにした(乙2,22,24,26,前掲証人)。 ウ需要予測について(ア) 静岡県は,以下のような方法により,平成6年3月に航空需要の予測を行い,静岡空港の使用を開始する平成15年の航空 期することにした(乙2,22,24,26,前掲証人)。 ウ需要予測について(ア) 静岡県は,以下のような方法により,平成6年3月に航空需要の予測を行い,静岡空港の使用を開始する平成15年の航空旅客需要を約178万人と推計した。まず,「JR」等を用いた場合に,静岡空港まで3時間30分以上の所要時間を有する23道県を対象として,平成元年度及び3年度の1日の動態調査(航空旅客動態調査)に基づいて,上記対象道県の全航空旅客数のうち静岡県発着旅客の占める割合を計算し,その割合に,年間の動態調査(旅客地域流動調査)の対象道県の全航空旅客を乗じて,平成3年度に静岡県と国内遠隔地との間において年間約113万人の国内航空利用客があったと推計し,次に,平成3年度の旅客地域流動調査により,静岡県と対象道県との間の「JR」旅客数合計約144万人を求め,上記国内航空利用客約113万人と合算した上,平成3年度の県間流動量を約257万人とし,経済成長率見込み(平成12年まで年平均4パーセント,平成13年以降3パーセント)や需要弾力値(0.9192,沖縄は1.7153)を勘案して,平成15年の県間旅客流動量を約394万人と想定した。そして,この県間旅客流動量について,現在の旅客流動量などの諸条件を勘案して,静岡空港との間に路線開設可能性が高いと考えられる17空港(千歳,青森,花巻,山形,富山,小松,広島,宇部,高松,松山,高知,福岡,長崎,熊本,大分,鹿児島,那覇)を選定し,また,静岡県を6地域に分割し,それぞれの空港勢力圏の人口が,当該同県の人口に占める割合を各々求めた上,平成15年の空港勢力圏旅客流動量を約352万人と推計した。さらに,この空港勢力圏旅客流動量について,犠牲量モデル(ある区間を移動する旅客は,利用できる交通機関の運賃とその交通機関を利用した た上,平成15年の空港勢力圏旅客流動量を約352万人と推計した。さらに,この空港勢力圏旅客流動量について,犠牲量モデル(ある区間を移動する旅客は,利用できる交通機関の運賃とその交通機関を利用した場合の所要時間の貨幣換算量の和,つまり,旅客が負担する金額換算の総和(犠牲量)が最小となる交通機関を選ぶと考えるモデル)により推計された航空分担率を用いて,上記17空港別の旅客数を推計し,その中で,路線成立の目安(小型ジェット機で年間11万人)を満たす路線は,平成15年において7路線(千歳,松山,高知,福岡,熊本,鹿児島,那覇)となることから,当該7空港の合計値約178万人を平成15年の静岡空港の航空旅客需要と推計した(乙5,22,前掲証人)。 (イ) 静岡県は,平成12年から,平成18年の空港開港時における国内線及び国際線の両方について,空港利用者見込みの試算作業を進めている。その手法は,前記犠牲量を更に厳密にした数値を用いるパラメーター方式(四段階推定法)と呼ばれる最新の手法を用い,試算の前提条件には,国の空港整備計画等で想定している経済成長率等を用いて,複数のケースにより行った。これによると,新幹線新駅がない場合の概算数値として,国内線では,前記7路線を対象とした場合約133万人から約156万人,現状の需要予測と同様の路線成立条件を考慮した場合約114万人から約134万人の利用者が見込め,国際線では,ソウル,上海,ホノルル等9路線で約38万人から約46万人の利用者が見込めると試算された(甲147,乙63,前掲証人)。 エ新幹線新駅設置について静岡県は,県民及び空港利用者の利便を図るため,東海道新幹線静岡空港駅設置期成同盟会を結成し,JR東海に対し,新幹線新駅の設置を働き掛けてきた。これに対し,JR東海は,平成8年7月,「ダイヤ上,現 静岡県は,県民及び空港利用者の利便を図るため,東海道新幹線静岡空港駅設置期成同盟会を結成し,JR東海に対し,新幹線新駅の設置を働き掛けてきた。これに対し,JR東海は,平成8年7月,「ダイヤ上,現時点では無理」との考えを示し,更に,静岡県が地下駅を選定した平成12年7月時点においても「高密度の列車運行の中であり,新駅設置は現状では不可能」との考えを示している。しかしながら,静岡県は,平成15年に品川新駅が設置され,線路容量が現在の1時間11本から15本に増加することから新幹線新駅の設置の可能性はあるとして,今後も,JR東海に対し強く働き掛けをしていくとしている(甲118,178,179,乙22,30,前掲証人)。 オ移動土砂量について静岡県は,移動土砂量について,前記静岡空港基本計画案発表時には,市町が作成した全図の1万分の1の地図をもとに図面から測定して約2000万立法メートルとしていた。しかし,その後の環境影響評価実施時において,航空測量に基づき2400万立法メートルと算出し,現在は,実際に現地測量を行なった上で,2700万立法メートルと算出している(甲120,乙22,前掲証人)。 カ経済波及効果について静岡県は,平成元年度に,建設省の一般分類建設部門投入係数表や産業連関表等を用いて,静岡空港建設による経済波及効果を建設投資総額も含めて2.45倍と試算していたが,その後の平成8年度調査では,その効果を建設投資総額の1.57倍と試算し,発表した(甲156,乙22,前掲証人)。 キアクセス道路について静岡県は,静岡空港へのアクセス道路として,①ξδルート,②αβICルート,③島田ルートの3ルートを計画しており,そのうち,島田ルートの一部は,開港後に整備を行なうこととし,他の2ルートについては,開港時に道路を開設する予定で 道路として,①ξδルート,②αβICルート,③島田ルートの3ルートを計画しており,そのうち,島田ルートの一部は,開港後に整備を行なうこととし,他の2ルートについては,開港時に道路を開設する予定で,その詳しい計画について精査している。そして,静岡県は,道路についての設計を具体化した段階で地元関係者とも十分調整を行い,道路整備設計をし,その上で円滑な事業執行が行なえるよう地元説明や用地買収交渉を進めていく予定である(乙22,前掲証人)。 ク新幹線トンネルの防護工事について静岡県は,空港建設地の直下に高尾山トンネルがあり,空港建設工事の一環として大規模な用地造成工事を行なうことにより,高尾山トンネルに影響を与える可能性があることから,防護対策を検討し,昭和63年からJR東海をはじめとする関係者との調整や使用材料,工法等の検討を行なってきた。そして,静岡県は,平成7年度には,学識経験者を交えた第1回目の「東海道新幹線第1高尾山トンネル防護工検討会」を開催し,平成10年12月開催の第6回検討会までの間に,主に使用材料についての検討を進めてきたが,更に,平成11年2月には,防護工事の施行などについても審議を進めるため,第1回目の「東海道新幹線第1高尾山トンネル防護工技術委員会」を開催し,以後,防護工事の材料や構造などについて検討を継続し,平成12年3月,その設計が完了した。その結果,基本的な構造は,トンネルの上部の土被りの薄い沢部に軽量で高い強度を持つ気泡モルタルによる厚さ約7メートルのアーチを延長約110メートルにわたって構築し,これにより,その上部にある盛土や滑走路からの荷重を受け止め,トンネル自体に直接影響しないよう防護するものとなっている。そして,その工事については,新幹線の安全運行が必須条件であることから,JR東海が施行にあたる 上部にある盛土や滑走路からの荷重を受け止め,トンネル自体に直接影響しないよう防護するものとなっている。そして,その工事については,新幹線の安全運行が必須条件であることから,JR東海が施行にあたることで基本協定(甲162の1ないし6)を締結した。その工事費は,当初の概略設計時点では,一般的な構造タイプのもので算定していたため約25億円としていたが,平成12年3月の設計完了時には,材料や施行方法が根本的に変更になったことから約95億円となった(甲162の1ないし6,167,乙22,58,63,前掲証人)。 ケ代替農地について静岡県は,空港建設に伴う買収耕地等についての代替農地などにあてるため,小規模開発農地としてζ地区(12ヘクタール),大規模開発農地としてη地区(44ヘクタール)及びθ地区(1工区・79ヘクタール)をそれぞれ新規に開発した。そして,ζ地区については,平成8年度から開発を行い,平成10年3月には基本的な造成が完成し,造成工事と並行して,各地権者への分譲を行なってきたが,地権者から土質が茶樹の育成に不十分であるなどの指摘が出された。このため,静岡県は,平成10年4月から,同地区について,排水及び土質の改良工事を行い,同工事は,平成12年3月までに完了した。同工事にあたっては,茶樹育成の専門家の意見を聴取し,厚さ1メートルの工作土を確保したり,新規に造成される農地は,既存畑に比べ,工作土中の有機物が少ないため,有機材料を10アールあたり10トンから35トン投入するなどした。そして,平成10年7月から地権者と農地の分譲交渉に入っており,同地区全30区画全てについておおむね合意が得られている。また,η,θ地区についても,ζ地区での経験を生かしながら,茶樹の育成に適した排水,土質の確保を行なってきており,平成12年3月には造成 おり,同地区全30区画全てについておおむね合意が得られている。また,η,θ地区についても,ζ地区での経験を生かしながら,茶樹の育成に適した排水,土質の確保を行なってきており,平成12年3月には造成が完了し,η地区については全90区画中87区画について,θ地区については全127区画中106区画についておおむね合意が得られた(乙22,60ないし62)。 コ治水対策について静岡県は,空港建設に伴う地形改変により雨水の流出増や流下速度が早まり一気に河川に流れこんだ場合,下級河川の流下能力を超える危険性があることなどから,「防災調整池等技術基準」に基づき水系毎に合計9か所の調節池を設置することにした。そして,各調節池の容量を定めるにあたっては,超過確率降雨量と既往最大雨量を算定し,大きな数値となる既往最大雨量を採用した。また,建設予定地内の降雨等を安全に流下させるため,坂口谷川,湯日川,勝間田川について,必要な河川改修計画を立て,順次整備を行なっている(甲69,乙22,59)。 サ空域調整について静岡空港の開設に伴う既存飛行場との空域に関する課題を解決するため,平成4年5月から,防衛庁,運輸省及び静岡県の3者による協議が開始され,平成5年6月21日,この3者間において,自衛隊静浜飛行場の場周経路を同飛行場の滑走路の北側に移設すること,静岡空港と静浜飛行場の周辺空域においてターミナルレーダー管制業務を行うこと,静岡空港に係る進入方式はILS進入方式及びVOR進入方式(超短波全方向式無線標識)とすることなどの基本的な合意がなされた。静岡空港の空域は,静浜飛行場の管制圏及び浜松基地の管制区に挟まれているものの,上記合意による静浜飛行場の場周経路の北側移設後は,静岡空港の進入出発経路は静浜飛行場及び浜松基地の空域とは重ならないものとなり,平 域は,静浜飛行場の管制圏及び浜松基地の管制区に挟まれているものの,上記合意による静浜飛行場の場周経路の北側移設後は,静岡空港の進入出発経路は静浜飛行場及び浜松基地の空域とは重ならないものとなり,平面的に分離されることになった(乙15,22,前掲証人)。 シ飛行ルートについて静岡空港の離着陸については,着陸は,東側からのILS進入方式が82パーセント,西側からの周回進入方式が18パーセント,離陸は,西側への離陸が82パーセント,東側への離陸が18パーセントと決定された。西側への離陸にあたっては,離陸後左旋回が予定されているが,この旋回半径は,飛行機の性能から通常安全を確保できる旋回半径を踏まえて設定された。また,滑走路から酉北西に約6キロメートル離れた火剣山との関係で,飛行機の最低上昇率が5パーセントと指定されるが,これは成田,伊丹など他の多くの空港と同じであり,我が国においては,一般的なものである(甲6,乙15,22)。 (6) 静岡空港建設反対運動平成6年2月,β町民の会が結成され,同会は,静岡空港建設に関し,住民不在の空港用地選定であり,空港建設の一時凍結を求める等の主張を展開した。同会は,当初,空港計画の即時撤回を求めていたが,平成7年3月,静岡県に対し,「現予定地への建設計画を一時凍結し,当初の3候補地のほか,静浜飛行場,浜松基地の民間供用化も選択肢に加えて,地元自治体,住民代表を含めた「円卓会議」を開き,同会議で合理的な結論が示されればそれに従う。しかし,いずれの選択肢も地元自治体や住民代表の同意が得られない場合,県は計画を断念すべきで,既定方針に固執して計画を進めるときは,引き続き現建設予定地への建設計画の白紙撤回を求めていく。」旨の申入書を提出した。これに対し,静岡県は,「建設地の選定にさかのぼる提案ならば,検討 念すべきで,既定方針に固執して計画を進めるときは,引き続き現建設予定地への建設計画の白紙撤回を求めていく。」旨の申入書を提出した。これに対し,静岡県は,「建設地の選定にさかのぼる提案ならば,検討の余地はない。」として,その受取りを拒否した。その後,同年10月27日,β町民の会は,被告知事に対し,公開討論の実施を依頼する文書(甲26)を提出した。その内容は,「空港建設計画自体とその進め方には,①空港建設が地元に与えるマイナスの影響を著しく軽視したこと,②予定地の決定にあたって民主的な手続きが踏まれていないこと,③経済的合理性の見地からも建設は不適当で必要性がないことなど基本的な欠陥がある。このような空港建設計画が抱える問題点を中心にして,知事と同会の代表が,双方が合意する司会者のもとで公開討論を行うことを求め,その可否を文書もって回答することを求める。」というものであった。これに対し,静岡県は,同年11月9日,「従前からの地権者の大方の者から理解を得ている状況にあり,同意した地権者が今後の生活設計に取組み始めようとしている現在の状況を考慮すると,公開討論の方法は時宜にかなったものではない。」との考えを伝え,代わって,空港建設推進局との話し合いを提案した。しかし,β町民の会は,この提案を受け入れず,以後,一切,静岡県との接触を絶つことにして,静岡県が提案した同年12月の副知事との話し合いも拒否した。そして,これに先立つ,平成7年9月には,共有地運動が起こり,同年12月末までに,α町内の3人の地権者が,その所有する土地5筆(3719平方メートル,いずれも山林)を63人に譲渡(共有持分50分の1から30分の1)した。また,平成8年6月には,「空港はいらない静岡県民の会」が発足した(甲24ないし28,30,33,154,乙16,22)。 (7 いずれも山林)を63人に譲渡(共有持分50分の1から30分の1)した。また,平成8年6月には,「空港はいらない静岡県民の会」が発足した(甲24ないし28,30,33,154,乙16,22)。 (7) 本件申請に至る経緯空港の設置許可申請を行うためには,できるだけ多くの地権者の同意を得る必要があることから,静岡県は,前記(4)のとおり,平成6年4月19日にα町において被告知事と地元代表者等との懇談会を開催したのをはじめ,各種地元説明会を開催し,平成6年度開催の説明会は,合計199回を数えた。これらの地元説明会では,用地補償に伴う「土地価格水準」等の補償概要及び代替地対策の基本方針などの説明がなされ,代替地についての意向調査等も行われた。また,上記許可申請には,空港用地取得の確実性の証明書(規則76条2項2号の2)の添付が必要であることから,静岡県は,飛行場敷地予定地の各地権者から同意書を取得することでこれに当てることとし,まず,地権者会の了解を得た上で,県職員が各地権者宅を個別訪問して同意書に署名捺印してもらうとの方針を立てた。そして,静岡県は,平成7年4月17日までに全ての地権者会との間で同意書の取得に関する覚書を取り交わしたのを受けて,翌18日から県職員による各地権者宅への個別訪問を開始し,併せて地権者の理解を得るため,同年8月12日には,「地権者の皆様と知事との懇談会」を島田市内等3か所で開催した(出席者延べ224人)。そして,空港整備法5条の規定に基づき,同条にいう関係地方公共団体である静岡県,島田市,榛原町,δ町,β町及びν町の各議会は,平成7年10月13日から11月6日までの間に,静岡空港を設置,管理する地方公共団体を静岡県とすることについて議決し,更に,同月10日,上記各関係地方公共団体間において同様の協議が成立した。 会は,平成7年10月13日から11月6日までの間に,静岡空港を設置,管理する地方公共団体を静岡県とすることについて議決し,更に,同月10日,上記各関係地方公共団体間において同様の協議が成立した。 静岡県は,設置許可を申請するには,限りなく100パーセントに近い地権者の同意が必要である旨を議会等で説明してきた。しかし,平成7年12月現在,建設予定地の決定以来8年が既に経過していること,既に96パーセントを超える地権者からの同意を得,同意した地権者は空港の建設を前提とした生活設計に取り組み始めていること,空港周辺の市長,町長,地権者会,空港対策委員会等から静岡空港の早期設置許可申請を求める強い要請が県及び運輸省にあったことなどを総合的に勘案した上,同月19日,本件申請を行った。この申請時点における空港敷地の用地取得の同意率は,地権者数で96.1パーセント,世帯数で96.7パーセント,面積で97.2パーセントであった(空港敷地内の地権者284人のうち同意者273人,未同意者7世帯11人)。なお,この数字は,静岡空港に反対する共有地権者(申請時点で53人)を除外して算定したものであるが,この算定方法は,過去の他の空港設置許可事例を参考にして,運輸省に報告の上で採用された。 そして,同月20日,国の平成8年度政府予算案が内示され,運輸省の要求どおり静岡空港建設事業費として26億5000万円が認められた(乙22,前掲証人)。 (8) 本件許可処分に至る経緯等平成8年2月21日,航空法38条3項の規定に基づき,静岡空港の設置許可申請の内容が運輸大臣により告示(運輸省告示88号)され,同時に航空法39条2項の規定による公聴会を開催する旨の公示がなされた。その公示内容は,「平成8年3月27日13時に,島田市総合施設プラザおおるりにおいて,運輸省 により告示(運輸省告示88号)され,同時に航空法39条2項の規定による公聴会を開催する旨の公示がなされた。その公示内容は,「平成8年3月27日13時に,島田市総合施設プラザおおるりにおいて,運輸省航空局飛行場部管理課長を主宰者として,静岡空港の設置に関する公聴会を開催すること,公述しようとする利害関係人は,公述申込書及び公述書を平成8年3月13日12時までに主宰者あて提出すること」というものであった。そこで,静岡県は,公聴会が開催される旨の公告を平成8年2月23日付けの県公報に掲載し,同月25日付けの「空港だより」(静岡県空港対策課発行)で紹介したほか,3月1日発行の「県民だより」においてもこの記事を載せ,関係市町も公示を掲示板に掲示する等の措置をとった。そして,公聴会は,予定どおり,同月27日午後1時から開催され,まず主宰者から公聴会にかかわる事案の概要説明があった後,申請者である県から副知事はじめ合計64人が,それぞれの立場から各自5分程度の公述を行った。この公聴会について,「空港に反対する地権者・住民の会」,「空港に反対するαオオタカの森トラストの会」,「空港建設に反対する自治体議員・地権者の会」,「空港断固阻止・β町地権者の会」は,本件申請自体が認められないから,それに基づいて実施される公聴会に参加する意義はないとして欠席した。また,β町民の会と「静岡空港を考える周辺住民の会」は,当事者の県を公述人から除くことや公述人の数を推進派と反対派それぞれ同数とすることなどを要望していたが,公聴会当日は,β町民の会の原告Cらが空港反対の立場から公述した。公聴会が終了したのを受けて,静岡県は,平成8年5月13日,島田市において,地権者会長や空港対策協議会長らと被告知事とによる「静岡空港知事懇談会」を開催する一方,運輸省に対し早期設置許可 公述した。公聴会が終了したのを受けて,静岡県は,平成8年5月13日,島田市において,地権者会長や空港対策協議会長らと被告知事とによる「静岡空港知事懇談会」を開催する一方,運輸省に対し早期設置許可の要請をした。また,静岡県は,同年7月22日付けで県の責任において最終的には全ての用地を取得する旨の被告知事名の確約書(甲66)を運輸省航空局長に提出した。他方,空港本体部分ないし障害切土部分の所有者である原告Dら55名は,運輸大臣に対し,同年7月10日付けで,「静岡空港建設用地不提供に関する通知」(原告C名義,甲51)を郵送して,この中で,今後,静岡県に対しては,静岡空港の飛行場敷地予定地を絶対に譲渡その他一切の使用権原を認めないとの意思を表明した。 用地取得については,本件申請後,未同意地権者中の1人から同意を得られたことにより,結局,本体部において213世帯,284人の地権者のうち207世帯,274人から同意を得られたことになり,本件許可処分時の同意率は,地権者数で96.5パーセント,世帯数で97.2パーセント,面積で97.3パーセントである。 そして,同月26日,運輸大臣により,本件許可処分がなされた(甲50ないし52,乙22,前掲証人)。 (9) 本件公金支出等本件許可処分を受けて,静岡県は,平成8年8月6日,地権者との用地取得の個別交渉に入る前に,地権者代表会議を開催し,茶樹,みかん,用材林等の補償価格を盛り込んだ用地補償協定案を提示した。静岡県は,同年10月31日開催の地権者代表会議において,補償協定最終案が了承されたのを受けて,同年11月9日,1市2町(島田市,α町,δ町)の地権者会との間で「静岡空港整備事業に伴う損失補償に関する協定書」を取り交わし,各地権者との用地交渉を開始した。 そして,被告Aは,被告知事として, 同年11月9日,1市2町(島田市,α町,δ町)の地権者会との間で「静岡空港整備事業に伴う損失補償に関する協定書」を取り交わし,各地権者との用地交渉を開始した。 そして,被告Aは,被告知事として,平成8年度予算の空港対策費として,同年度中に160億5701万7000円の経費を支出した。その後,静岡県は,平成9年12月には,空港本体準備工事として,場外搬入用道路工事に着手し,平成10年10月には,本体盛土工事に着手するとともに,同年11月20日,静岡空港建設の起工式を行った(乙22,前掲証人)。 (10) 静岡県の財政状況以上のような経緯により静岡空港建設計画は進行してきたが,その間の静岡県の財政状況の推移は,以下のとおりである。 まず,歳入のうち県税収入は,平成元年度は4506億円(歳入における税収入の割合は47.0パーセント)であっだが,平成3年度は5257億円(同48. 0パーセント)となり,これを最高値として,以後減収となり,平成7年度は4630億円(同34.9パーセント),平成8年度は4742億円(同35.4パーセント),平成11年度(当初見込み)は4340億円(同32. 1パーセント)であり,県債は,平成元年度は688億円(県債残高5198億円),平成3年度は905億円(同5861億円),平成7年度は2605億円(同1兆1532億円),平成8年度は2563億円(同1兆3516億円),平成11年度(当初見込み)は1721億円(同1兆8087億円)である。また,歳出のうち,公債費(県債の償還に充てる資金)は,平成4年度は842億円(公債費比率7.6パーセント),平成8年度は1132億円(同12.4パーセント),平成10年度は1393億円(同15.6パーセント(但し,見込み))である。さらに,経常収支比率は,平成4年度は73.0パ 費比率7.6パーセント),平成8年度は1132億円(同12.4パーセント),平成10年度は1393億円(同15.6パーセント(但し,見込み))である。さらに,経常収支比率は,平成4年度は73.0パーセント(全国22位),平成8年度は83.9パーセント(全国26位),平成9年度は87.5パーセント(全国24位),平成10年度(見込み)は96.4パーセント(全国39位)である。そして,財政調整基金は,平成9年度は約146億8100万円,平成10年度は約4億2900万円であり,財政調整的な7基金(財政5基金,社会環境基盤整備基金,空港建設基金)の総額は,平成5年度は2135億円,平成8年度は2144億円,平成11年度(見込み)は736億円である。なお,空港建設基金は,平成7年度に最大364億円まで積み立てられ,平成11年度(見込み)には179億円となった(甲86,141,142,153,157,158,乙22,前掲証人)。 2 ところで,一般に,地方公共団体の事務の執行を行う執行機関は,その権限に属する事務を自らの判断と責任において,誠実に管理し及び執行する財務会計法規上の義務を負担しているというべきである(地方自治法138条の2)。しかしながら,地方公共団体が,本件空港建設計画のような国の空港整備計画にも関係する公共事業を計画する場合,当該事業をどのよう、な規模の事業として計画するのか,事業費としてどの程度の経費を支出するのかについては多分に政治的決断を要する政策の問題というべきであり,当該地方公共団体の合理的な裁量に委ねられているというべきで,その逸脱または濫用がない限り違法とはならないというべきである。 そこで,以上の観点から,前記第5,1で認定した事実を前提に,本件財務会計行為が誠実義務に反し違法であるか否かについて検討する。 ( その逸脱または濫用がない限り違法とはならないというべきである。 そこで,以上の観点から,前記第5,1で認定した事実を前提に,本件財務会計行為が誠実義務に反し違法であるか否かについて検討する。 (1) 静岡空港開設計画への民意の反映についてア航空法等には,地方公共団体が空港を開設するにあたり地域住民の納得を得ることが必要であるとの特別な規定はない。しかしながら,空港の建設は,その建設予定地域における環境問題や農業政策等にとどまらず,地域住民の健康や生活上の利益にも少なからぬ影響を及ぼすものである。したがって,一般論として,空港を建設しようとする者は,建設予定地選定の段階で関係省庁間や関係地方公共団体等と調整を十分行った上で,環境に対する影響の評価及び調和等を考慮した計画案の策定に配慮すべきであり,これを関係地域へも開示し,地域住民や地権者らとの話し合いを十分に行い,相互理解及び信頼関係を形成すべきであり(甲7),これは,国際空港等の大規模空港の建設に限るものではないというべきである。 イところで,静岡空港の建設予定地の決定にあたっては,前認定のとおり,航空専門家等からなる専門委員会が全県をくまなく対象として専門的,技術的な調査検討を経た上,候補地を3地区に絞り込み,その段階で静岡県議会総合交通対策特別委員会の了承を得ていること,隣接地の市議会で空港反対決議が採択されたため,掛川案は答申に盛られなかったこと,榛原町議会空港対策特別委員会(全議員),島田市議会,静岡市議会をはじめとする地元議会が空港誘致を決議したこと,また,静岡県は,建設予定地をαと決定した後も,県議会全員協議会及び地元1市3町の議会への報告,説明をしたのは勿論,地元の理解と協力を得るため,昭和63年度以来,多数回にわたり各種説明会を開催し,また,他空港視察も多数の参 地をαと決定した後も,県議会全員協議会及び地元1市3町の議会への報告,説明をしたのは勿論,地元の理解と協力を得るため,昭和63年度以来,多数回にわたり各種説明会を開催し,また,他空港視察も多数の参加者を得て多数回実施していること,地元のβ町も参加して静岡空港建設促進協議会が発足したのをはじめ,島田市,α町,δ町において地権者会や地元住民代表等による空港対策協議会が設立されたこと,県議会において空港関連の予算が議決されていることなどが認められる。 以上によれば,静岡空港開設計画の策定,推進の過程において,地域ないし地元住民への報告,説明は十分尽くされ,民意を反映して計画を進めてきたことが認められる。 原告らは,被告知事が,地域住民から直接意見を聞くこともなく,かつ,地域住民を納得させる理由もないまま,空港建設予定地を決定したと主張するが,被告知事は,地域住民を代表する議会の意思を十分尊重して決定手続を行ったことは,上記から明らかである。また,原告らは,被告知事は,地域住民に対し,説明会を開催したものの既定の事実に関する形式的な説明しか行っていない上,β町民の会が提案した円卓会議及び公開討論の開催を拒否するなど,地域住民との対話を拒否し続けていると主張するが,そもそも,静岡県の担当者が上記のとおり昭和63年度以来多数回にわたり各種の説明会を行い地域住民の理解と協力を得るように努めている以上,更に被告知事が直接に原告らが求めるような説明会等において説明することの合理性は認められないし,前認定のとおり,平成6年4月19日には,被告知事が地元を訪問して地元関係者らと知事懇談会を開催してもいる。また,β町民の会の提案した円卓会議や公開討論の開催についての静岡県ないし被告知事の対応は,空港建設に関する立場や考え方の相違によるものであって,一方 問して地元関係者らと知事懇談会を開催してもいる。また,β町民の会の提案した円卓会議や公開討論の開催についての静岡県ないし被告知事の対応は,空港建設に関する立場や考え方の相違によるものであって,一方的に合理的な理由もなく拒否しているとはとうてい認められない。 したがって,原告らの主張は理由がない。 (2) 本件申請の違法性についてア本件財務会計行為は,本件申請及びそれに対する本件許可処分を前提に行われているところ,原告らは,これらを本件財務会計行為に向けた一連の行為として把えて本件申請の違法性を判断すべきであると主張するが,本件申請(及び本件財務会計行為)と本件許可処分とはその権限主体を異にするのであり,一連の行為とみることはできず,原告らの主張は,独自の見解というべきで採用できない。 ところで,地方自治法242条の2,1項4号に基づき,当該職員の財務会計上の行為をとらえてその責任を問うことができるのは,たとえこれに先行する原因行為に違法事由が存する場合であっても,その原因行為を前提としてなされた当該職員の行為自体が財務会計法規上の義務に違反する違法なものであるときに限られると解するのが相当である(最高裁平成4年12月15日第3小法廷判決・民集46巻9号2753頁。なお,同項1号に基づき当該執行機関に対する当該行為の差止めを求める場合も同様に解すべきである。)。ところで,飛行場の設置許可を受けた者は,許可申請書に記載した工事完成期日までに工事を完成しなければならず(航空法41条1項),その期日までに工事を完成しないときは,運輸大臣は飛行場設置許可を取消すことができる(同法48条1号)とされているので,地方公共団体の長は,事実上,飛行場設置許可を得た上は,空港建設費を支出すべき立場に置かれている。このことにかんがみると,地方公共団体 置許可を取消すことができる(同法48条1号)とされているので,地方公共団体の長は,事実上,飛行場設置許可を得た上は,空港建設費を支出すべき立場に置かれている。このことにかんがみると,地方公共団体の長としては,設置許可処分が著しく合理性を欠き,そのためこれに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵の存する場合でない限り,当該処分に基づき財務会計行為を行ったとしても誠実義務に反し違法となることはないというべきである。 イそこで,以下,本件許可処分が著しく合理性を欠き,そのためこれに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存するか否かを検討する。 (ア) 運輸大臣の飛行場設置許可の適合要件として,航空法39条1項5号は「申請者が,その敷地について所有権その他の権原を有するか,又はこれを確実に取得することができると認められること」と規定している。そして,飛行場敷地の権原取得の時期や方法については明確な定めがないが,申請者自身が飛行場の敷地所有権その他の使用権原を有している場合だけでなく,申請者が将来これを確実に取得できると認められる場合であっても,この要件を満たすことはその文言から明らかであり,また,いかなる,場合に「確実に取得することができる」と認められるかについてはあらかじめ画一的な基準をもって判定することは困難であり,その認定につき運輸大臣に裁量権が認められるというべきである。 証拠(乙22)及び弁論の全趣旨によれば,運輸大臣は地権者数の96.1パーセント,面積の97.2パーセントを占める地権者が本件申請時において既に用地提供に同意していること,本件許可処分直前の時点でも依然同意を得られない地権者らが存在するものの,不同意地権者らに対しては精力的に折衝を続け,その同意を得ていくことにより責任をもって用地取得にあたることを被告 していること,本件許可処分直前の時点でも依然同意を得られない地権者らが存在するものの,不同意地権者らに対しては精力的に折衝を続け,その同意を得ていくことにより責任をもって用地取得にあたることを被告知事が対外的に書面で確約したことなどの事情を総合して考慮し,静岡県において全力で任意買収交渉に当たり任意買収によって敷地を確実に取得できる見込があるものと認め,また,仮に任意買収が不可能であっても,静岡空港の設置事業は土地収用法3条12号に該当する事業であり,同法の適用も可能であると認めたことなどから本件申請が航空法39条1項5号の要件を満たすと判断したことが認められる。 (イ) また,運輸大臣の飛行場設置許可の適合要件として,航空法39条1項2号は「当該飛行場又は航空保安施設の設置によって,他人の利益を著しく害することとならないものであること」と規定している。そして,飛行場設置許可申請書の記載事項(規則76条1項)及び同中請書の添付書類,図面(同条2項)のいずれにおいても自然環境等に関する利益に関連する項目,資料がないこと,航空法38条3項により告示,掲示すべき事項には自然環境等に関する利益に関連する事項はなく,公聴会においても自然環境等に関する利益についての意見聴取を予定していないこと,規則80条は,制限表面等により財産権の制限を受ける者を航空法39条2項の利害関係を有する者としていること,航空法43条2項によって準用される同法39条1項2号によれば,飛行場施設の変更によって「他人の利益を著しく害することとならない」ことが要件とされているが,飛行場の範囲あるいは制限表面の変更を伴わない施設変更の場合には,利害関係人に意見を述べる機会を与えるべき旨を定めた同法39条2項の規定の準用が除外されていること(同法43条2項ただし書)などを考えると 場の範囲あるいは制限表面の変更を伴わない施設変更の場合には,利害関係人に意見を述べる機会を与えるべき旨を定めた同法39条2項の規定の準用が除外されていること(同法43条2項ただし書)などを考えると,「他人の利益を著しく害することとならない」との規定は,主として,制限表面等による私権制限の対象となる私人の財産権に対し配慮すべきことを定めたものであって,これをもって,直ちに原告らが主張するような飛行場周辺の個々の住民の自然権,環境権などを個別具体的に保護する趣旨の規定と解することはできない。 これを本件についてみると,静岡空港の制限表面の投影面内には,人口・建物が密集し土地が高度に利用されている市街地はなく,民家が集って集落を形成している地域の建物もおおむね低層建築物であり,集落以外の地域はおおむね山林,茶園として利用されていることが認められる(乙8,22)。したがって,空港周辺の土地建物の所有者等にとってその利益を著しく害され酷となるような重大な私権制限が生じるものとは認められない。 (ウ) これらの事情にかんがみると,航空法39条1項5号及び2号の規定に関して,本件許可処分が著しく合理性を欠き,そのためこれに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存するとはとうてい認められない。 その他,本件において,本件申請及び本件許可処分が著しく合理性を欠き,そのためこれに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存するとの特段の事情は認められない。 (3) 静岡県財政に与える影響についてア静岡空港の建設事業費については,前認定のとおり,平成元年に作成された静岡空港基本計画案において空港本体部の概算工事費は約400億円とされ,その後総事業費約2000億円とされてきた。ところが,平成9年度に,静岡県は,国等と並んで財政状況が厳しいこ 元年に作成された静岡空港基本計画案において空港本体部の概算工事費は約400億円とされ,その後総事業費約2000億円とされてきた。ところが,平成9年度に,静岡県は,国等と並んで財政状況が厳しいことを背景に県の主要事業の見直しを行い(乙24),その中の1つとして,静岡空港についても総事業費を1900億円に縮減し,開港時期も平成15年から平成18年に変更した。そして,その財源の内訳は,本体工事費の2分の1である250億円が国庫補助される他はおおむね静岡県の負担であることは前認定のとおりである。 イところで,前認定のとおり,確かに,静岡県の県税収入は,平成3年度以降減少しており,平成10年度の県税は平成8年度並みであり,平成11年度税収は昭和63年度(4461億円)水準以下にまで落ちると見込まれ(甲141),県債残高は,バブル崩壊後の平成4年9月以降急増し,この県債の償還に充てる資金となる公債費も平成4年度以降に増発した県債の本格的な償還時期を迎えて,年々増加している(甲141)。そして,前認定のとおり,一般財源(県税や国からの地方交付税など)に対して,人件費や公債費など簡単に削減できない経常的な経費の占める割合を示す経常収支比率も平成4年度には全国22位であったが,平成9年度には全国24位となり,平成10年度には全国39位になる見込みであって,財政に弾力性がなくなっていることが明白である。また,財政調整基金(7基金)残高についても,平成3年度末から平成9年度末までは約2000億円を維持していたが,平成10年度末では,予算の財源不足の補填として403億円を取り崩すこととしたため1605億円になり,平成11年度には,更に890億円を取り崩すこととしているため年度末には約736億円になる見込みである(甲141)。更に,空港建設基金も平成11 03億円を取り崩すこととしたため1605億円になり,平成11年度には,更に890億円を取り崩すこととしているため年度末には約736億円になる見込みである(甲141)。更に,空港建設基金も平成11年度には179億円となり,平成7年度の約2分の1となることが認められる。 以上によれば,静岡県の財政状況は,税収の減少等により,厳しい状況下にあることが明らかであり,最近の社会経済情勢に照らすと,この状況が近い将来において早急に好転するか否かは不透明であるというべきである。したがって,静岡空港の建設事業費の額からみて,これが静岡県財政に一定の影響を与えることは避けられないというべきであり,全く無視できない問題であることは原告らの指摘するとおりである。 ウしかしながら,静岡空港の収入は,(着陸料に限定しても)需要予測で想定している便数からすると年間約8億9000万円,支出は,滑走路の管理費等年間約5億2000万円と見込まれ,黒字が確保できる旅客数はおおむね100万人と認められる(乙22,28)ところ,静岡県は,平成12年に,現状の需要予測と同様の路線成立条件を考慮した場合,国内線で約114万人から約134万人の旅客利用者が見込まれると試算していること,総事業費1900億円からすると,今後開港まで1年あたり150億円程度の予算規模となると考えられるところ,財政健全化計画(甲149)によれば,県の投資的経費は年間3000億円と計画されていること,前認定のとおり,空港建設基金が約179億円積み立てられていることなどの事情を総合して考慮すると,空港の建設事業費が静岡県の財政に直ちに相当過大な負担を強いるものとは認め難く,一概に,静岡空港の建設によって県の財政が著しく悪化するとまでは認められない。 しかも,そもそも地方公共団体が空港建設計画を立案し 業費が静岡県の財政に直ちに相当過大な負担を強いるものとは認め難く,一概に,静岡空港の建設によって県の財政が著しく悪化するとまでは認められない。 しかも,そもそも地方公共団体が空港建設計画を立案し,これを実施するため空港建設費としていかなる額をいつ支出するかといった問題は,多分に政治的判断を要するものであり,経済的見地のみならず,社会的,政策的見地から諸般の事情を総合して判断されるべきで,被告らの合理的な裁量に委ねられているというべきである。したがって,たとえ,上記のような財政状況を前提に考慮したとしても,上記各事情及び前認定の各事実に照らすと,本件財務会計行為に裁量権の逸脱,濫用があったものとは認められない。 (4) 静岡空港開設計画の粗雑性についてア原告らは,静岡空港建設の総事業費1900億円が著しく高額であり,その詳細も不明で,大幅に膨張する可能性があると主張するが,上記総事業費に変更した経緯,その内訳及び財源の内訳は前認定のとおりであり,空港建設という大規模で,かつ,長期継続を要する公共事業にあっては,その間の様々な事情,特に経済的な要因により総事業費が変動することは避けられない面があることは事実であり,これをもって直ちに本件財務会計行為が違法となるとはいえない。しかも,他空港の事例と比較して,上記事業費が著しく不合理な額とも認められない(甲95)。 また,必要な移動土砂量については,空港基本計画作成時には図面から測定していたものを,その後の航空測量や現地測量により変更したものであることは前認定のとおりである。そして,長期間を要する大規模建設工事において,その事業の進捗状況に応じて,その各時点でとり得る最善の手段を用いて適正に算出したもの(乙22)であって,特段不合理なものとは認められない。 更に,原告らは,静岡県が平成 る大規模建設工事において,その事業の進捗状況に応じて,その各時点でとり得る最善の手段を用いて適正に算出したもの(乙22)であって,特段不合理なものとは認められない。 更に,原告らは,静岡県が平成6年にした空港開港時(平成15年)における航空需要予測約178万人について,実態を無視した数字であると主張する。確かに,静岡県が上記旅客需要予測を行った際に用いた経済成長率見込み値(平成12年まで年平均4パーセント,平成13年以降3パーセント)は,その後,下降し,国内の実質の成長率は,平均すると1パーセントに満たない(甲145)もので,予想された経済成長率は達成されていないことが認められ,また,静岡県は,平成12年から進めている空港利用者見込みの試算作業において,前記年間需要予測約178万人を約133万人から約156万人に変更したことも前認定のとおりである。しかしながら,その経済成長率は,第6次空港整備5箇年計画に組入れられた全ての空港で採用された数値であって(原告E本人),静岡県が恣意的に採用したものではないこと及び上記利用者見込みの変更は,国の経済審議会答申等で想定している経済成長率等を用いて最新の手法により試算した結果であることなどをあわせ考慮すると,県の推計した旅客需要予測の方法,結果が著しく不合理なものであるとは認められない。 なお,原告Eは,自らした推計(甲160)を根拠に旅客需要予測は78万人と述べている(同本人)が,この推計は航空分担率等が客観的根拠に基づいていないなど問題点があり,直ちに採用することはできない。 イ原告らは,新幹線新駅の実現性がないことを指摘して,空港開設計画の粗雑性を主張する。確かに,新幹線新駅についてのJR東海の対応は厳しいものであることは前認定のとおりであり,静岡県としては,今後とも運輸省やJR東海に 新駅の実現性がないことを指摘して,空港開設計画の粗雑性を主張する。確かに,新幹線新駅についてのJR東海の対応は厳しいものであることは前認定のとおりであり,静岡県としては,今後とも運輸省やJR東海に対し粘り強く新駅の設置を働きかけていく(乙22,30)としているものの品川新駅の設置についての認識等も含めその現状認識は甘いと評価せざるを得ない。しかし,静岡空港開設計画は,新幹線新駅の設置を前提に立てられたものではない上,旅客需要予測の際にも,むしろ新幹線新駅がない前提で予測したもので,静岡県としては,新幹線新駅の設置は,空港の機能を一層高める要素であると考えていることが認められ(前掲証人),新幹線新駅の設置の見込みが不透明であることをもって,空港開設計画全体が粗雑であるとは認められない。 ウその他,原告らが,空港建設計画が粗雑である理由として種々指摘する点について検討する。 原告らは,路線開設予定が不合理であると主張するが,路線開設予定は,小型ジェット機での路線成立の目安の人数をもとに算出したものであり(乙22),日本航空株式会社をはじめ国内の各航空会社の静岡営業支店長が定期便の就航に意欲を持っていること(乙19)などに照らせば,路線開設予定が著しく不合理なものとは認められない。 経済波及効果については,確かに,前認定のとおり,平成元年度は建設投資総額を除けば1.54倍,平成8年度は1.57倍と算定(変更)されている。しかし,その算定方法は,前認定のとおり,建設省の一般分類建設部門投入係数表や産業連関表を用いるという一般的な方法を採用しており,著しく不合理なものとは認められない上,この数値は,他の地方空港や地方公共団体における公共事業に伴う経済波及効果に比較して著しく不合理なものとも認められない(乙29)。 原告らは,アクセス道路 り,著しく不合理なものとは認められない上,この数値は,他の地方空港や地方公共団体における公共事業に伴う経済波及効果に比較して著しく不合理なものとも認められない(乙29)。 原告らは,アクセス道路の実現性がないと主張するが,アクセス道路については,静岡県は,平成12年1月末現在,買収予定面積25.6ヘクタールのうち18.9ヘクタールを既に取得(取得率73.9パーセント)しており(乙22),買収予定地の取得作業は順調に進捗していると認められ,原告らの主張は理由がない。 原告らは,被告知事は盛土に使用する土質に関する認識が不正確であると主張するが,土質については,静岡空港基本計画案(乙2)作成時に静岡空港建設技術委員会で詳細な検討を重ねていることが認められ(乙55ないし57),原告らの主張は理由がない。 原告らは,高尾山トンネルの防護工事計画が未確定であると主張するが,前認定のとおり,高尾山トンネルの防護工事については,昭和63年からJR東海をはじめとする関係者との協議を重ね,平成12年3月に設計が完了し,静岡県とJR東海との間に基本協定が結ばれており,原告らの主張は理由がない。 原告らの指摘する治水対策については,前認定のとおり,既往最大雨量を基準に調節池の容量を定め,また,河川改修計画に基づいて河川の改修を進めていることが認められ,治水対策が著しく不合理であったとは認められない。 代替農地についても,前認定のとおり,平成10年4月から排水及び土質の改良工事を行い,また,土質が茶樹の成育に適するように有機材料を投入するなどしたことが認められる。そして,代替農地において茶樹が順調に成育していることが認められ(乙60ないし62),代替農地が耕作に不適であるとの原告らの主張は理由がない。 用地取得面積の状況は,平成12年3月15日現在, る。そして,代替農地において茶樹が順調に成育していることが認められ(乙60ないし62),代替農地が耕作に不適であるとの原告らの主張は理由がない。 用地取得面積の状況は,平成12年3月15日現在,空港本体部で94・5パーセント,総面積で82.3パーセントであることが認められる(前掲証人)。そして,未同意地権者は強硬に空港建設に反対しており,その未同意地権者(共有地権者)の中には,日本環境法律家連盟所属の弁護士12名もいる(甲154)ことなどからすると,用地買収計画の前途は必ずしも楽観できるものではなく,むしろ,相当厳しいものであると認められる(弁論の全趣旨)。しかしながら,静岡県は,今後とも未同意地権者と円満な話し合いの努力を続けて用地買収計画を進めていくとしており(前掲証人),現時点において,上記のような未同意地権者がいることをもって,直ちに,空港開設計画が粗雑であると断定することはできない。 空域調整については,前認定のとおり,平成5年6月21日に静浜飛行場との間で基本的合意が整っており,静浜飛行場との間の空域調整が未了であるとの原告らの主張は理由がない。原告らは,離陸後急旋回するなど飛行ルートが危険であると主張するが,前認定のとおり,西側への離陸にあたっての旋回半径は,飛行機の性能から通常安全を確保できる旋回半径を踏まえて設定されており,予定される飛行ルート(甲6)は急激に旋回するというものではない(乙22)から,原告らの主張は理由がない。 その他,静岡空港の開設計画が著しく不合理で粗雑であるとの事情は認められない。 (5) 静岡空港開設計画の無意義性について原告らは,静岡県は,本来交通至便であり,長距離国際路線の開設も不可能なローカル空港の開設は必要がなく,地域住民の合意もなく,反対運動が強化されている中で,採算性のない 開設計画の無意義性について原告らは,静岡県は,本来交通至便であり,長距離国際路線の開設も不可能なローカル空港の開設は必要がなく,地域住民の合意もなく,反対運動が強化されている中で,採算性のない空港開設の計画は,社会経済情勢に逆行し無意義であると主張する。 確かに,静岡県は,他の地方都市に比べ鉄道及び一般道路の状況ともに便利であることが認められ,また,根強い空港建設反対運動があることも既にみたとおりである。しかしながら,前認定の各事実,特に静岡県の空港整備構想の理念及び建設に向けての各種の取り組み,静岡市議会ほか県内市町議会の空港誘致の決議,官民一体となった空港建設促進協議会及び地元地権者らによる空港対策協議会の設立,第6次空港整備5箇年計画への新規事業組入れなどの事情に加え,静岡県議会も毎年静岡空港関連の予算を議決していること(弁論の全趣旨),主要地方空港(15空港)の国内旅客は,平成元年度から平成9年度まで年4.8パーセント(東京便,大阪便,名古屋便,離島便を除けば年7.6パーセント)と高い伸び率を示していること(乙21)静岡空港について,平成8年12月13日に閣議決定された第7次空港整備5箇年計画においても「一般空港等について継続事業を中心として整備を進める」とされたこと(乙41),前認定のとおり,平成11年度に行われた政府の公共事業再評価制度に基づく検討においても「建設コストに大きな変動はなく,事業採択以来最大路線に係る空港背後圏の流動等は順調に推移」として事業は継続(再評価しない)との結論が出されたことが認められる(甲45)ことなどを総合して考慮すると,静岡空港開設計画が不合理で無意義なものであると断定することはできない。 (6) 結語以上によれば,原告らの指摘する各点について,個別具体的に検討した結果によっても,被 などを総合して考慮すると,静岡空港開設計画が不合理で無意義なものであると断定することはできない。 (6) 結語以上によれば,原告らの指摘する各点について,個別具体的に検討した結果によっても,被告Aが静岡空港の空港対策費として平成8年度に公金を支出したこと及び被告知事が空港建設費として公金を支出することは,いずれも,地方公共団体の事務の執行機関としての誠実義務に違反し,違法なものであるとは認められず,また,上記各点を総合的に判断したとしても,誠実義務に違反し,違法であるとは認められない。 3 よって,原告らの本訴請求は,理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 静岡地方裁判所民事第2部裁判長裁判官田中由子裁判官今村和彦裁判官宮本聡

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