平成16(行ウ)27 更正請求棄却取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成17年12月6日 千葉地方裁判所 租税
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判決文本文12,905 文字)

主文 原告の請求のうちの後記第1の通知処分のうち総所得金額1711万6936円及び納付すべき税額322万0600円を超えない部分の取消しを求める部分の請求に係る訴えを却下する。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求被告が平成15年6月30日付けで原告に対してした原告の平成14年分の所得税に係る更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の通知処分(平成15年10月28日付けでされた減額処分後のもの)のうち,総所得金額1143万8851円及び納付すべき税額151万7200円を超える部分を取り消す。 第2事案の概要本件は,原告が,原告の平成14年分の所得税(以下「本件所得税」という。)につき,減価償却資産の償却費として不動産所得の金額の計算上必要経費に算入する金額(以下「減価償却費算入額」という。)の計算に当たり,減価償却資産である相続により取得した建物について償却の方法として定額法を選定した上,総所得金額を2962万3529円,納付すべき税額を768万5700円とする確定申告をした後,減価償却費算入額の計算に当たり,前記建物について償却の方法として定率法によると,総所得金額は1711万6936円,納付すべき税額は322万0600円になるとして更正の請求をしたが,被告から更正をすべき理由がない旨の通知処分を受けたため,その取消しを求めている事案である。 なお,原告は,本訴において,更正の請求の理由以外の理由によっても,減価償却費算入額を過少計上しているとして,前記第1のとおり,更正の請求に 係る総所得金額及び納付すべき税額を下回る総所得金額1143万8851円及び納付すべき税額151万7200円を主張して,前記通知処分につき各同額を超える部分の取消しを求めて とおり,更正の請求に 係る総所得金額及び納付すべき税額を下回る総所得金額1143万8851円及び納付すべき税額151万7200円を主張して,前記通知処分につき各同額を超える部分の取消しを求めている。 法令等の定め(1)所得税法(以下「法」という。)49条は,減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法について,同条1項で,「居住者のその年12月31日において有する減価償却資産につきその償却費として第37条(必要経費)の規定によりその者の不動産所得の金額,事業所得の金額,山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額は,その者が当該資産について選定した償却の方法(償却の方法を選定しなかつた場合には,償却の方法のうち政令で定める方法)に基づき政令で定めるところにより計算した金額とする。」と規定し,同条2項で,「前項の選定をすることができる償却の方法の種類,その選定の手続その他減価償却資産の償却に関し必要な事項は,政令で定める。」と規定している。 (2)所得税法施行令(以下「令」という。)120条は,減価償却資産の償却の方法(以下「減価償却方法」という。)について,同条1項で「減価償却資産の償却費(法49条1項(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)の規定による減価償却資産の償却費をいう。以下この款において同じ。)の額の計算上選定をすることができる償却の方法は,次の各号に掲げる資産の区分に応じ当該各号に定める方法とする。」と規定し,同項1号で,建物について,同号イとして「平成10年3月31日以前に取得された建物」については,「定額法」又は「定率法」が,同号ロとして「イに掲げる建物以外の建物」については,「定額法」が,それぞれ選定できる減価償却方法である旨規定している。 前提となる事実(末尾に証拠等の掲 については,「定額法」又は「定率法」が,同号ロとして「イに掲げる建物以外の建物」については,「定額法」が,それぞれ選定できる減価償却方法である旨規定している。 前提となる事実(末尾に証拠等の掲記のない事実は,当事者間に争いがないか,明らかに争わない事実である。) (1)原告は,本件所得税の法定申告期限内である平成15年3月11日,被告に対し,本件所得税につき,減価償却費算入額の計算に当たり,減価償却資産である平成14年1月4日にAから相続により取得した建物(以下「本件建物」という。)について,減価償却方法として定額法を選定した上,別表1「確定申告」欄記載のとおりの確定申告書を提出した。 (2)原告は,平成15年4月14日,被告に対し,本件所得税につき,減価償却費算入額の計算に当たり,本件建物について,減価償却方法として定率法によると,別表1「更正の請求」欄記載のとおりとなるとして,更正の請求(以下「本件更正請求」という。)をした(甲1の1)。 (3)被告は,同年6月30日付けで,原告に対し,本件更正請求につき,更正すべき理由がない旨の通知処分(以下「本件通知処分」という。)をした。 (4)原告は,同年8月26日,国税不服審判所長に対し,本件通知処分を不服として審査請求をした。 (5)被告は,同年10月28日付けで,本件所得税につき,別表1「更正処分」欄記載のとおり,納付すべき税額等を減額する更正処分をした。 (6)国税不服審判所長は,平成16年3月8日付けで,前記(4)の審査請求を棄却する旨の裁決をした。 (7)原告は,同年6月4日,当庁に本件訴訟を提起した(本件訴訟記録上明らかな事実)。 (8)税額の算出過程,算出根拠等ア原告本件訴訟において,原告の主張する,本件所得税に係る納付すべき税額の算出過程,算出根拠等 4日,当庁に本件訴訟を提起した(本件訴訟記録上明らかな事実)。 (8)税額の算出過程,算出根拠等ア原告本件訴訟において,原告の主張する,本件所得税に係る納付すべき税額の算出過程,算出根拠等は,別表2の「原告の主張」欄に記載のとおりである。 イ被告本件訴訟において,被告の主張する,本件所得税に係る納付すべき税額 の算出過程,算出根拠等は,別表1の「更正処分」欄に記載のとおりである。 争点 (1)原告の請求のうちの本件通知処分のうち,総所得金額1711万6936円及び納付すべき税額322万0600円を超えない部分の取消しを求める部分の請求(以下「本件追加減額請求」という。)に係る訴え(以下「本件追加減額の訴え」という。)の適法性(2)令120条1項1号イにいう「取得」に相続による承継取得が含まれるか。 (3)相続によって減価償却資産(不動産)を取得した場合,その減価償却方法は,当該資産について被相続人が選定していた減価償却方法を承継し得るか。 (4)本件通知処分は,租税法律主義(法的安定性,予測可能性)に違反するか。 争点についての当事者の主張(1)争点(1)(本件追加減額の訴えの適法性)について(原告)ア原告が,本件追加減額請求をしている理由は,以下の(ア),(イ)のとおり,本件更正請求においては,減価償却費算入額を過小計上しており,この過小計上は,審査請求の過程で争点とならなかったからである。 (ア)平成14年1月4日の相続により取得した減価償却資産の平成14年中の償却期間は12か月であるところ,本件更正請求においては,償却期間を11か月として計上した。 (イ)租税特別措置法14条の規定する優良賃貸住宅等の割増償却等によれば55パーセント相当額の割増償却が計上でき,これにより原告が平成14年の 請求においては,償却期間を11か月として計上した。 (イ)租税特別措置法14条の規定する優良賃貸住宅等の割増償却等によれば55パーセント相当額の割増償却が計上でき,これにより原告が平成14年の不動産所得に係る減価償却費算入額は541万3894円で あるところ,本件更正請求においては同減価償却費算入額を204万7128円とした。 イ本件追加減額請求に係る部分の税額の争いは,不当利得返還訴訟又は抗告訴訟の義務付けの訴えによるべきであるとの考えもありうるが,訴訟を2分することになり,複雑化するので,本件追加減額請求は本件訴訟において審理されるべきである。 (被告)更正の請求が,納税者の側から自己の利益に申告を是正する唯一の方法として法定されている以上,本件所得税のうち本件更正請求に係る額を超えない部分については,納税者の側からもはやこれを是正する途はなく,納付すべき税額は申告により確定しているものというべきである。 したがって,本件追加減額の訴えは,訴えの利益を欠き,不適法なものである。 (2)争点(2)(令120条1項1号イにいう「取得」に相続による承継取得が含まれるか。)について(原告)ア法49条は,減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法について,令120条に委任しているところ,同条1項1号の建物については,そのロで,平成10年4月以後に取得した建物について減価償却方法は定額法によるべき旨が規定されている。しかし,同号の「取得」に相続による取得を含むか否かは記載されておらず,もし含むのであれば法律又はその委任を受けた政令に規定することが必要であるところ,そのような規定はなく,所得税基本通達(以下「通達」という。)に定めがあるのみであるから,同号の「取得」には,相続による取得は含まれない。 イ特定の事業用資産の買い 規定することが必要であるところ,そのような規定はなく,所得税基本通達(以下「通達」という。)に定めがあるのみであるから,同号の「取得」には,相続による取得は含まれない。 イ特定の事業用資産の買い換えの特例の対象となる買換資産の「取得」には,交換,贈与又は代物弁済による取得を含まないとされ,当然,相続に よる取得も含まれない。したがって,「取得」といえば,相続による取得を含むということはできないから,同号の文理解釈からは,同号の「取得」に相続による取得を含むとはいえない。 ウ登録免許税については,所有権の移転の登記の場合,相続等による移転の登記は,不動産の価額の1000分の4,その他の原因による移転の登記は,不動産の価額の1000分の20となっている。また,不動産取得税については,地方税法73条の15の規定により,不動産取得税の標準税率は,100分の4とするとなっているところ,同法73条の7第1号の規定により,相続(包括遺贈及び被相続人から相続人に対してなされた遺贈を含む。)に因る不動産の取得に対しては,不動産取得税は課すことはできないとされている。このように,登録免許税や不動産取得税について,相続による不動産の取得が,形式的な所有権の移転等にあたるにもかかわらず,一般的な原因による不動産の取得と異なって,軽減税率又は非課税となっている場合もあるから,相続による建物の取得が,一般的な原因による建物の取得と直ちに同一になるとはいえない。 エ前記イ,ウのように,令120条1項1号の文理解釈からは,同号の「取得」に相続による取得を含むとは解されないから,規定の趣旨目的に照らしてその意味内容を明らかにしなければならないところ,従来,減価償却方法として定率法が選定されていた賃貸用建物については,相続が発生したときに,賃借人にできるだけ低 れないから,規定の趣旨目的に照らしてその意味内容を明らかにしなければならないところ,従来,減価償却方法として定率法が選定されていた賃貸用建物については,相続が発生したときに,賃借人にできるだけ低価で提供するという趣旨から,相続人は賃借人に賃料の値上げを要求することは通常できないにもかかわらず,当該建物の減価償却方法として定額法しか選定できないというのは不合理であるから,同号の「取得」に相続による取得は含まれないと解すべきである。 (被告)アそもそも,不動産の取得とは,その所有権の取得にほかならず,民法上, その取得原因(取得方法)として,売買や贈与などの契約及び相続等の承継取得並びに時効取得等の原始取得について規定しているところ,通達49-1の定めは,令120条1項1号における「取得」について民法上の規定を法が借用していることにつき,その確認の意味において,通達として定められているものであり,当該通達は「取得」の概念を定めたものではないと解される。 イまた,令126条2項において,贈与,相続又は遺贈により取得した減価償却資産の取得価額について規定し,相続が取得原因となることを明らかにしている。 (3)争点(3)(相続によって減価償却資産を取得した場合,その減価償却方法は,当該資産について被相続人が選定していた減価償却方法を承継し得るか。)について(原告)法60条及び令126条2項の規定によれば,相続(限定承認に係るものを除く。)の事由により取得した資産の譲渡については,被相続人の取得価額及び取得時期をそのまま承継するのであるから,不動産を相続により取得した場合には,減価償却方法も承継が認められるべきである。もし,減価償却方法について,相続による取得を譲渡による取得と同じ次元で捉えるのであれば,法律又はその委任を受けた ら,不動産を相続により取得した場合には,減価償却方法も承継が認められるべきである。もし,減価償却方法について,相続による取得を譲渡による取得と同じ次元で捉えるのであれば,法律又はその委任を受けた政令にその旨規定すべきであるところ,その旨の規定はない。 したがって,減価償却資産である不動産を相続により取得した場合,当該減価償却資産の減価償却方法は,当該資産について被相続人が選定していた減価償却方法を承継することになる。 (被告)法60条1項の規定は,単純承認に係る相続による資産の移転について,被相続人がその資産を保有していた期間中に発生した値上がり益を相続人の 所得として課税しようとする趣旨のもので,相続人の譲渡所得の金額の計算上控除すべき取得費について,被相続人がその資産を取得した時から相続人がその資産を取得していたものと擬制して取得費の計算を行うために設けられたものである。 そして,減価償却資産の取得価額について規定した令126条2項において,相続により取得した減価償却資産について相続人が被相続人の取得価額を引き継ぐ旨規定しているが,この規定は,相続により取得した減価償却資産について被相続人が選定していた償却の方法を相続人が引き継ぐことまで規定したものではなく,減価償却方法は,令120条が規定するとおりである。 (4)争点(4)(本件通知処分は,租税法律主義に違反するか。)について(原告)本件通知処分は,租税法律主義の法的安定性及び予測可能性に違反し,憲法30条,84条及び憲法の関連規定に違反している。 租税法律主義の原則からは,法律が命令に委任する場合には,委任の目的,内容,程度等が明らかにされていることが必要であり,租税法律主義を規定したとされる憲法84条のもとにおいては,基本的事項のみでなく,課税要件はもとより,賦課 律が命令に委任する場合には,委任の目的,内容,程度等が明らかにされていることが必要であり,租税法律主義を規定したとされる憲法84条のもとにおいては,基本的事項のみでなく,課税要件はもとより,賦課,納付,徴税の手続もまた,法律により規定すべきものである。 ア法49条2項は,減価償却方法については命令(政令)に一般的委任をし,減価償却方法について定める令120条1項1号には,同号にいう「取得」に相続による取得を含むか否かは規定されていないから,同号にいう「取得」に相続による取得は当然には含まれず,もし含むのであれば,法律又はその委任を受けた政令に規定することが必要であるところ,そのような規定はなく,通達に「相続による承継取得も一般の取得に含まれる」と定めているのみである。このような減価償却方法についての一般的 委任は,憲法に規定されている租税法律主義の範囲を逸脱しており違法である。 イ法49条の委任を受けた令120条1項1号の規定では,建物の減価償却方法は,取得時期の区分によって権利を侵害する規定ぶりになっているが,法律自体に取得時期の区分によって権利を侵害することを明らかにした上で政令に委任すべきである。 ウ法60条1項が「取得」について規定するのと同様に,令120条1項1号の「取得」の意義を法律又はその委任を受けた政令において明らかにするように規定すべきであるし,令126条2項が法60条1項各号(贈与等により取得した資産の取得費等)に掲げる事由により取得した減価償却資産の取得価額について規定するのと同様に,法律又はその委任を受けた政令において相続により取得した減価償却資産の償却方法について規定すべきである。 エ法49条1項には,「その者が当該資産について選定した償却の方法」との規定があるが,平成10年4月1日以降に取得し 政令において相続により取得した減価償却資産の償却方法について規定すべきである。 エ法49条1項には,「その者が当該資産について選定した償却の方法」との規定があるが,平成10年4月1日以降に取得した建物については,令120条1項1号ロの規定により定額法が強制適用されるのであるから,減価償却方法を当該資産について選択することはできない。これは,法律が適正に政令に委任しているとはいえず,憲法84条の規定にいう租税法律主義に反し,憲法73条6号ただし書の政令の制定の規定及びそれを受けた内閣法11条の政令の限界の規定にも反している。 (被告)原告の主張は争う。 第3当裁判所の判断 争点(1)(本件追加減額の訴えの適法性)について原告は,本件訴訟において,本件追加減額請求をしているが,前記第2の2(2)のとおり,総所得金額を1711万6936円,納付すべき税額を322 万0600円として本件更正請求をしているのであって,更正の請求が,納税者の側から自己の利益に申告を是正する唯一の方法として法定されている以上,本件所得税のうち本件更正請求において減額を求めていなかった前記本件更正請求に係る額を超えない部分について減額を求める本件追加減額請求に係る訴えは,当該部分について更正の請求を経ずに減額を求めるものとして不適法というべきである。 したがって,本件追加減額の訴えは,不適法である。 争点(2)(令120条1項1号イにいう「取得」に相続による承継取得が含まれるか。)について(1)前記第2の2(1)のとおり,本件建物は,原告が平成14年1月4日に相続により取得したものである。 そうすると,令120条1項1号イにいう「取得」に,建物の相続による承継取得が含まれるならば,本件建物は,同号イの「平成10年3月31日以前に取得された建物」に 日に相続により取得したものである。 そうすると,令120条1項1号イにいう「取得」に,建物の相続による承継取得が含まれるならば,本件建物は,同号イの「平成10年3月31日以前に取得された建物」には当たらず,同号ロの「イに掲げる建物以外の建物」に該当し,本件所得税につき,減価償却費算入額の計算に当たり,本件建物について選定できる減価償却方法は,同号ロに定める定額法ということになるところ,同号イにいう「取得」に相続による承継取得が含まれない旨の明文の規定はなく,民法上も相続は不動産の取得原因の一つとされており,文理解釈上「取得」には,相続による承継取得も含まれると解される上,同号イにいう「取得」に,相続による承継取得が含まれないと解すべき合理的理由も認められない。 したがって,同号イにいう「取得」には,相続による承継取得が含まれるというべきである。 (2)アこの点,原告は,同号にいう「取得」に,相続による取得を含む旨の法律又はその委任を受けた政令はなく,通達に定めがあるのみであるとして,同「取得」に相続による取得は含まれない旨主張するが,前記(1)の とおり,文理解釈上「取得」には,相続による承継取得も含まれると解されるのであるから,「取得」に相続による承継取得が含まれない場合に,その旨規定する必要があるという主張であればともかく,「取得」に相続による承継取得が含まれる場合に,特にその旨定めなければならないということはできず,通達の定めは,注意的・確認的に相続による承継取得が含まれる旨を規定したものにすぎないといえる。 イまた,原告は,買換資産の「取得」には,相続等による取得が含まれないから,「取得」といえば,相続による取得を含むということはできず,同号の文理解釈からは,同号の「取得」に相続による取得を含むとは解されない旨主張 買換資産の「取得」には,相続等による取得が含まれないから,「取得」といえば,相続による取得を含むということはできず,同号の文理解釈からは,同号の「取得」に相続による取得を含むとは解されない旨主張する。原告の主張の趣旨は,必ずしも明らかではないが,買換資産の取得に,相続による承継取得が含まれないのは,「買換資産」の取得に該当しないからであって,そのことから,建物の「取得」を規定する同号イの文理解釈上,同号イの「取得」に,相続による承継取得が含まれないとはいえず,前記(1)のとおり,同号イの文理解釈上は,同号イの「取得」に,相続による承継取得が含まれるというべきである。 ウさらに,原告は,相続による不動産の取得等を,それ以外の原因による不動産の取得と異なる取扱いがなされている場合があることをもって,相続による建物の取得が,一般的な原因による建物の取得と直ちに同一になるとはいえない旨主張する。しかし,相続による不動産の承継取得と,それ以外の原因による不動産の取得とを,別個に規定して取扱いを異にしている場合があるからといって,そのことから,そのような個別の取扱いをする旨の規定のない同号の場合に,同号イにいう「取得」に,相続による承継取得が含まれないということにはならない。 エ原告は,相続による取得の際に,建物の賃料との関係で,定額法しか選定できないのは不合理である旨主張するが,原告の主張する事情は,それをもって,同号イの「取得」に相続による承継取得が含まれないと解すべ きであるというようなものではない上,同様のことは,相続による承継取得のみならず,売買による承継取得にも生じることであるから,原告の主張する理由によって,同号イの「取得」に相続による承継取得が含まれないということはできない。 オしたがって,原告の争点(2)に関する主張 ならず,売買による承継取得にも生じることであるから,原告の主張する理由によって,同号イの「取得」に相続による承継取得が含まれないということはできない。 オしたがって,原告の争点(2)に関する主張はいずれも理由がない。 争点(3)(相続によって減価償却資産を取得した場合,その減価償却方法は,当該資産について被相続人が選定していた減価償却方法を承継し得るか。)について(1)法60条1項の規定は,単純承認に係る相続等による資産の移転について,被相続人等がその資産を保有していた期間中に発生した値上がり益を相続人等の所得として課税しようとする趣旨のもので,相続人等の譲渡所得の金額の計算上控除すべき取得費について,被相続人等がその資産を取得した時から相続人等がその資産を取得していたものと擬制して取得費の計算を行うために設けられたものといえる。 また,減価償却資産の取得価額について規定した令126条2項において,相続等により取得した減価償却資産について相続人等が被相続人等の取得価額を引き継ぐ旨規定しているが,この規定は,相続等により取得した減価償却資産について被相続人等が選定していた償却の方法を相続人等が引き継ぐことまで規定したものではなく,減価償却方法は,令120条が規定するとおりである。 (2)原告は,相続により取得した資産の減価償却方法について,相続により取得した資産の譲渡の場合における取得価額及び取得時期と同様に承継が認められるのではなく,譲渡による取得の場合における減価償却方法と同様に扱うのであれば,その旨規定すべきであるがそのような規定はない旨主張するが,相続により取得した資産の減価償却方法について,減価償却資産の譲渡の場合における取得価額及び取得時期と同様に扱うべき根拠が明らかでな い上,減価償却資産については,相続に 定はない旨主張するが,相続により取得した資産の減価償却方法について,減価償却資産の譲渡の場合における取得価額及び取得時期と同様に扱うべき根拠が明らかでな い上,減価償却資産については,相続により取得した場合も含めて,同条の規定が設けられているのであるから,争点(3)に関する原告の主張は理由がない。 (3)したがって,相続によって減価償却資産である不動産を取得した場合,その資産について選定することができる減価償却方法は,その相続による承継取得の時期に応じて,同条1項1号イ又はロによって定まるというべきであって,当該資産について被相続人が選定していた減価償却方法を承継するとはいえない。 争点(4)(本件通知処分は,租税法律主義に違反するか。)について(1)法49条2項は,政令への委任事項を,選定をすることができる減価償却方法の種類,その選定の手続その他減価償却資産の償却に関し必要な事項に限定し,令120条1項1号は,前記委任事項の範囲で,選定をすることができる減価償却方法について定めているのであって,このように減価償却方法の種類等について政令で定めることを委任することが,租税法律主義に反するものということはできない。 (2)アこの点,原告は,令120条1項1号には,同号にいう「取得」に相続による取得を含むか否かは規定されていないとして,減価償却方法についてのこのような一般的委任は,租税法律主義の範囲を逸脱しており違法である旨主張するが,同号イにいう「取得」に相続による承継取得が含まれることは,前記2(1)のとおりであり,法49条及び令120条1項1号は減価償却方法について一般的に委任するものではない。 イまた,原告は,令120条1項1号の規定では,建物の減価償却方法は,取得時期の区分によって権利を侵害する規定の仕方となっ び令120条1項1号は減価償却方法について一般的に委任するものではない。 イまた,原告は,令120条1項1号の規定では,建物の減価償却方法は,取得時期の区分によって権利を侵害する規定の仕方となっているが,法律自体に取得時期の区分によって権利を侵害することを明らかにした上で政令に委任すべきであると主張するが,前記(1)のとおり,法が減価償却方法の種類等に限定して政令で定めることを委任することが,租税法律主義 に反するものということはできず,令120条1項1号のように規定する場合に,選定をすることができる減価償却方法の種類について,建物の取得時期によって異なる種類を定めることができることまで法律に規定しなければならないとはいえない。 ウさらに,原告は,法60条1項が規定するのと同様に,令120条1項1号の「取得」の意義を法律等において明らかにするように規定すべきである旨主張するが,法60条1項各号が資産の取得原因等について規定しているのは,「取得」と規定するのみでは,あらゆる取得が含まれてしまうので,同項各号の取得原因等以外により「取得」した場合を除外する必要があるためであるのに対し,令120条1項1号が「取得」について,相続による承継取得を含む旨を明文で規定していないのは,特に相続による承継取得を除外する旨規定しなければ,文理解釈上相続による承継取得も含まれることになるから,あえて相続による承継取得を含む旨を明文で規定する必要がないからであり,原告の主張はこのような相違を考慮しないものとして失当である。 また,原告は,令126条2項が減価償却資産の取得価額について規定するのと同様に,相続により取得した減価償却資産の償却方法について規定すべきであると主張するが,まさに,相続により取得した場合も含めて建物の減価償却方法について定 減価償却資産の取得価額について規定するのと同様に,相続により取得した減価償却資産の償却方法について規定すべきであると主張するが,まさに,相続により取得した場合も含めて建物の減価償却方法について定めているのが,令120条1項1号であって,相続により建物を承継取得した場合について個別的,明示的に減価償却方法を定めていないことが租税法律主義に反することにはならない。 エ原告は,平成10年4月1日以降に取得した建物については,令120条1項1号ロの規定により定額法が強制適用されるとして,法49条1項にいう減価償却方法の選択の余地がなく,法律が適正に政令に委任しているとはいえず,租税法律主義等に反する旨主張するが,同項は「当該資産について選定した償却の方法」と規定し,同条2項は,「前項の選定をす ることができる償却の方法」に関する事項を政令に委任しているのであり,平成10年4月1日以降に取得した建物については,選定をすることができる減価償却方法が定額法のみであるということであって,選定の対象となる減価償却方法が複数ではないからといって,減価償却方法の選定をすることができないということにはならないから,原告の主張はその前提を欠くものとして,失当である。 オしたがって,争点(4)に関する原告の主張は,いずれも理由がない。 その他,原告は,裁判例を引用するなどしてるる主張するが,いずれも本件とは関係ないものか,あるいは,独自の見解に基づくものであって,理由がない。 以上によれば,本件所得税につき,減価償却費算入額の計算に当たり,本件建物について選定し得る減価償却方法は令120条1項1号ロにより定額法ということになるから,本件建物の減価償却方法として定額法を選定することを前提すると,原告が,令126条2項の規定により,相続により取得した て選定し得る減価償却方法は令120条1項1号ロにより定額法ということになるから,本件建物の減価償却方法として定額法を選定することを前提すると,原告が,令126条2項の規定により,相続により取得した建物の取得価額は被相続人から承継することになるのに,被相続人の取得価額とせずに取得価額を過小計上したこと,及び,確定申告において平成14年1月4日の相続により取得した減価償却資産の平成14年中の償却期間は12か月であるのに,11か月として計上したことを考慮しても,本件所得税に係る納付すべき税額が,前記第2の2(5)の更正処分による減額後の本件通知処分に係る総所得金額及び納付すべき税額を下回ると認めることはできない。 したがって,本件更正請求は理由がないから,本件更正請求に理由がない旨の本件通知処分は適法である。 第4 結論 よって,本件追加減額の訴えは,不適法であるからこれを却下し,原告のその余の請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 千葉地方裁判所民事第3部 裁判長裁判官山口博裁判官佐々木清一裁判官武田美和子は,転補につき,署名押印することができない。 裁判長裁判官山口博

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