昭和22(れ)267 偽造公文書行使、詐欺、贈賄

裁判年月日・裁判所
昭和23年3月16日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 札幌高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。          理    由  弁護人河上市平上告趣意第一点は「原判決は理由不備の違法があると思われる原 判決は理由の第二に於て「被告人Aは被告人Bより

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判決文本文2,148 文字)

主    文      本件上告を棄却する。          理    由  弁護人河上市平上告趣意第一点は「原判決は理由不備の違法があると思われる原 判決は理由の第二に於て「被告人Aは被告人Bより同人が前記の如く偽造した引揚 者用配給券十八枚をその頃その情を知り乍ら受取りその都度三回に亘り……C配給 統制組合に持参して情を知らない同組合係員に対して真正な配給券なるかの如く装 ふて前示九枚二枚七枚を各一括して提出して行使し同係員をそのように誤信させ之 と引換へに各外套十三枚(外中略)の配給品を交付させて騙取し」たる事実を認定 し之を認めた証拠として列挙するところは 一、被告人両名の当公廷に於ける同趣 旨供述 二、証人Dに対する予審訊問調書 三、C配給統制組合提出の始末書 四、 証人Eに対する予審訊問調書五、被告人両名が短期間内に反覆した事実の五点であ るが此の内被告人の行使した配給券が偽造公文書なることを認識したことに対する 証明は詢不十分である即ち被告人自身の供述は別として原審に於ける相被告人Bの 供述は固より右列挙書類中に被告人に偽造公文書行使の犯意の有無を証明する資料 は全然含まれてゐない記録に因れば被告人が原審の相被告人Bに対して「配給品を 少し余分に呉れないか」との依頼をなした事実は肯定し得るが被告人は公文書の偽 造を教唆したものでもなく又配給券が如何にして作成せられるか更に又受領した配 給券が偽造であるかどうかを認識してゐない。仮に被告人が配給品の不正受配の認 識を持つてゐたとしても之は直に偽造公文書の行使の認識あるものと断定する訳に はいかない被告人の自己に不利益な供述のみを以て証拠とすることは出来ないし、 又叙上の点は法律上の推定若くは公知の事実として証明を要しない事項でもないか ら結局原判決は証拠に依らずして裁判を為したものと謂わねばならない従つて判決 益な供述のみを以て証拠とすることは出来ないし、 又叙上の点は法律上の推定若くは公知の事実として証明を要しない事項でもないか ら結局原判決は証拠に依らずして裁判を為したものと謂わねばならない従つて判決 に理由を附せず又は理由に齟齬ある場合に該当する」というのである。 - 1 -  しかし原審は被告人の自白のみならず其他挙示の各証拠を綜合して判示事実を認 定したのであり原審挙示の証拠を綜合すれば被告人が判示配給券の偽造であること を知りながらこれを行使した事実を認定するに足るものであるから原判決に所論の 様な違法が有るとはいえない。  同第二点は「原判決は法令の適用を誤りたる違法あるものと思われる原判決は理 由の第三に於て「被告人Aは同年九月下旬頃北見市役所裏で被告人Bに対し前記の 如く被告人Bがその職務を利用して配給券九枚を偽造して渡して呉れた不正行為に 対する謝礼の趣旨で金三千円を交付して公務員である同被告人の職務に関し賄賂を 供与し」たることを認め之に対し刑法第百九十八条を適用して有罪の認定をしてゐ るなるほど一応は刑法第百九十八条の構成要件を充足する事実ではあるが被告人が 原審に於ける相被告人Bに交付した金三千円の金員は詐欺の結果犯罪行為に因り得 たるものであるから所謂「贓物」である而して原審の相被告人Bはその贓物性を認 識して受領したとすれば贓物の収受罪を構成するかも知れないが提供者である被告 人は贓物の交付に因りて処罰を受けるものではない一般に犯罪に因つて得た贓物の 処分行為は不可罰的事後行為であるから偶々収受者が公務員の地位にあつたからと て別に賄賂提供罪を構成するものではなく此の場合には違法性がないと謂うべきで ある従つて原判決は罪とならざる事項に有罪の認定をし法令の適用に誤りあるもの である」というのである  しかし刑法第百九十七条の罪が成立する為めには公務員 のではなく此の場合には違法性がないと謂うべきで ある従つて原判決は罪とならざる事項に有罪の認定をし法令の適用に誤りあるもの である」というのである  しかし刑法第百九十七条の罪が成立する為めには公務員が収受した金品が贓物で あつても差支へない(贓物と知りながら収受した場合は収賄罪と贓物収受罪との二 罪が成立するわけである。)(大審院明治四四年(れ)第三四九号同年三月三十日 言渡判決参照)されば本件に於て被告人か原審相被告人Bに其職務上の不正行為に 対する謝礼として交付した金員が仮令所論のように贓物であつたとしても之が為め に贈賄罪の成立に少しも影響を及ぼすことはない原判決には所論の様な違法は無く - 2 - 論旨は理由がない。  仍て刑事訴訟法第四百四十六条に従ひ主文の如く判決する。  以上は裁判官全員一致の意見である。  検察官宮本増蔵関与   昭和二十三年三月十六日      最高裁判所第三小法廷          裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎             裁判官    井   上       登             裁判官    庄   野   理   一             裁判官    島           保 - 3 -

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