主文 一原判決を次のとおり変更する。 二被控訴人が、控訴人に対して、平成元年七月一〇日付けでなした平成元年度の国民健康保険税(被保険者均等割額及び世帯別平等割額)五万九八八〇円のうち二万七八〇〇円を超える部分及び平成二年四月一〇日付けでなした平成元年度の国民健康保険税(所得割額)一万二四〇〇円の各賦課処分は無効であることを確認する。 三控訴人のその余の請求を棄却する。 四訴訟の総費用は、これを五分し、その一を被控訴人の、その余を控訴人の負担とする。 事実及び理由 第一当事者の求めた裁判一控訴人 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人が控訴人に対して、平成二年四月二七日付けでなした昭和六三年度の国民健康保険税(所得割額)一万二〇〇〇円、平成元年七月一〇日付けでなした平成元年度の国民健康保険税(被保険者均等割額及び世帯別平等割額)五万九八〇〇円、平成二年四月一〇日付けでなした平成元年度の国民健康保険税(所得割額)一万二四〇〇円、及び平成二年七月一一日付けでなした平成二年度の国民健康保険税(被保険者均等割額及び世帯別平等割額)二万五八〇〇円の各賦課処分は無効であることを確認する。 3 訴訟の総費用は被控訴人の負担とする。 二被控訴人 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 第二事案の概要一原判決五頁五行目の「に基づき生活費」を「一八条に規定する雇用対策法一三条に基づく職業転換給付金として、大阪府労働部から昭和六三年に合計六四万〇八四七円(以下「本件職業転換給付金」という。)」と改め、同七行目の「禁じられているし、」の次に「雇用対策法一七条により、本件職業転換給付金については、これを標準として課税することが禁止されており、」を加えるほか、原判決の「第二事案の概要」記載のとおりであるから、 じられているし、」の次に「雇用対策法一七条により、本件職業転換給付金については、これを標準として課税することが禁止されており、」を加えるほか、原判決の「第二事案の概要」記載のとおりであるから、これを引用する。 二当審における被控訴人の予備的主張控訴人が昭和六三年の給与収入として被控訴人に申告した一〇〇万円の中に本件職業転換給付金が含まれていると仮定した場合、平成元年度(昭和六三年の申告を前提とする。)の国民健康保険税の税額は、次のとおりとなる(なお、控訴人の昭和六三年の収入が本件職業転換給付金のみであるとしても同様である。)。 すなわち、国民健康保険税は、所得割額+均等割額+平等割額によって算出されるが、①所得割額については、当時の所得税法二八条二項及び三項の規定による給与所得控除が五七万円であるところ、控訴人の給与収入が一〇〇万円-六四万〇八四七円=三五万九一五三円で、控除額を下まわるところから、所得割額は〇円となり、次に、②均等割額については、二万五四四〇円(乙一一の一〇三条)×一人=二万五四四〇円となり、さらに、③平等割額は、三万四四四〇円(乙一一の一〇四条)となり、税額は五万九八八〇円(=二万五四四〇円+三万四四四〇円)となるところ、給与所得が〇円の場合、地方税法七〇三条の五、地方税法施行令五六条の八九第二号、大東市市税条例一一〇条一号(乙二七)の適用によって、前年度分である昭和六三年度の国民健康保険税にかかる均等割額及び平等割額の六割、具体的には、昭和六三年度の均等割額二万二二〇〇円(乙一〇の一〇三条)×〇・六=一万三三二〇円、平等割額三万一二〇〇円(乙一〇の一〇四条)×〇・六=一万八七二〇円、合計三万二〇四〇円が前記税額五万九八八〇円より減額されることになり、最終的に二万七八〇〇円(=五万九八八〇円-三万二〇四〇円 円、平等割額三万一二〇〇円(乙一〇の一〇四条)×〇・六=一万八七二〇円、合計三万二〇四〇円が前記税額五万九八八〇円より減額されることになり、最終的に二万七八〇〇円(=五万九八八〇円-三万二〇四〇円で、一〇〇円未満端数切捨て)が確定税額となる。 したがって、本件課税処分による課税額のうち、七万二二〇〇円-二万七八〇〇円=四万四四〇〇円が過処分額ということになる。 第三当裁判所の判断原判決の「第三争点に対する判断」一、二記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、次のとおり付加訂正する。 一原判決六頁一行目の「乙三」の前に「甲一ないし三号証、七号証、八号証の一ないし三、」を加え、同三行目の「二四号証」を「二七号証(乙六、七号証、八号証の一中、控訴人作成名義部分については、その名下の署名及び押印が控訴人のものであることについては争いがないので、真正に成立したものと推定する。)、証人A」と、同九頁六行目の「七、」を「七」とそれぞれ改める。 二同九頁九行目の次に行を改め、次のとおり加える。 「3 控訴人は、昭和六三年以前に交通事故による傷害を負い、それまで従事してきた設計士としての仕事に制限を受けることになったため、昭和六三年一〇月ころから、雇用保険法一五条の規定に基づいて職業訓練を受けるとともに、大阪府労働部から、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律一八条に規定する手当である本件職業転換給付金の支給を受けた。 なお、控訴人は、同年一一月七日に再度交通事故に遭い、左足関節捻挫、頸部捻挫の傷害を負った。」三同九頁一〇行目の「3」を「4(一)」と改め、同一〇頁二行目の次に行を改め、次のとおりそれぞれ加える。 「(二) 他方、控訴人が、昭和六三年の給与収入として申告した一〇〇万円の中に本件職業転換給付金が含まれていたとした場合、前記第 )」と改め、同一〇頁二行目の次に行を改め、次のとおりそれぞれ加える。 「(二) 他方、控訴人が、昭和六三年の給与収入として申告した一〇〇万円の中に本件職業転換給付金が含まれていたとした場合、前記第二の二のとおり、平成元年度の控訴人に対する国民健康保険税額は、所得割額が〇円、均等割額及び平等割額の合計が二万七八〇〇円となる。」四同一〇頁三行目の「4」を「5」と改め、同一一頁八行目の「本件賦課処分」の次に「のうち、昭和六三年度及び平成二年度の国民健康保険税(所得割額、均等割額及び平等割額)の賦課処分」を加え、同九行目、同一二頁八行目及び九行目の「本件賦課処分」をいずれも「右賦課処分」と改める。 五同一二頁一〇行目の次に行を改め、次のとおり加える。 「 しかしながら、前記一3認定事実に照らせば、控訴人が昭和六三年の給与収入として申告した一〇〇万円の中に、雇用対策法一七条においてこれを標準として課税することができないと規定されている本件職業転換給付金が含まれていた可能性を否定し得ないところ、控訴人が、昭和六三年に、本件職業転換給付金とは別に、国民健康保険税の課税標準の対象となる所得である給与収入として一〇〇万円を得たこと、及び被控訴人が右給与収入の存在を前提に、控訴人に対して平成元年度の国民健康保険税を賦課したことを認めるに足りる的確な証拠はないから(乙二四号証及び証人Aによるも、右事実を認めることができない。)、本件賦課処分のうち、被控訴人が、控訴人に対して、平成元年七月一〇日付けでなした平成元年度の国民健康保険税(被保険者均等割額及び世帯別平等割額)五万九八八〇円のうち二万七八〇〇円を超える部分及び平成二年四月一〇日付けでなした平成元年度の国民健康保険税(所得割額)一万二四〇〇円の各賦課処分は、いずれも課税標準の対象となる所得があった 割額)五万九八八〇円のうち二万七八〇〇円を超える部分及び平成二年四月一〇日付けでなした平成元年度の国民健康保険税(所得割額)一万二四〇〇円の各賦課処分は、いずれも課税標準の対象となる所得があったとはいえないのに、これがあるものとしてなされたもので、法令にのっとって適法にされたものであるということはできないから、右各賦課処分は無効であるというべきである。 したがって、右各賦課処分の無効確認を求める控訴人の請求部分は理由がある。」第四結論よって、本件控訴に基づいて、原判決を変更し、行政事件訴訟法七条、民事訴訟法六七条、六一条、六四条を適用して、主文のとおり判決する。 (平成一一年一月二七日口頭弁論終結)大阪高等裁判所第一民事部裁判長裁判官熊谷絢子裁判官神吉正則裁判官亀田廣美
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