平成26年3月27日判決言渡同日判決原本交付裁判所書記官平成24年(ワ)第13709号損害賠償等請求事件口頭弁論終結日平成26年2月6日判決 原告株式会社パナバック 同訴訟代理人弁護士碩省三 同紺谷宗一 被告株式会社德岡 同訴訟代理人弁護士中島宏治 同乕田喜代隆 同稲田堅太郎 同高橋昌子 同西田敦 主文 1 被告は,原告に対し,197万0457円及びこれに対する平成24年12月23日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用はこれを4分し,その1を被告の負担とし,その余を原告の負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は,原告に対し,943万2959円及びこれに対する平成24年12月23日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 2 被告は,原告に対し,別紙謝罪広告目録記載1の謝罪広告を同目録記載2の要領に従い,同目録記載3の新聞及び掲載場所並びに掲載回数で掲載せよ。 第2 事案の概要 1 前提事実(証拠等の掲記のない事実は当事者間に争いがない。) (1)当事者原告は,清涼飲料水等の輸出入,国内販売 同目録記載3の新聞及び掲載場所並びに掲載回数で掲載せよ。 第2 事案の概要 1 前提事実(証拠等の掲記のない事実は当事者間に争いがない。)(1)当事者原告は,清涼飲料水等の輸出入,国内販売等を目的とする株式会社である。 被告は,酒類,食料品等の輸出入,卸小売販売等を目的とする株式会社である。 (2)登録商標原告は,以下のアからウまでの登録商標(以下それぞれを「本件商標1」などという。)に係る商標権(以下それぞれを「本件商標権1」などという。)を有している。 ア本件商標1登録番号第3272479号登録商標別紙商標目録記載1のとおり出願年月日平成6年10月21日登録年月日平成9年3月12日更新登録平成19年5月1日商品及び役務の区分第32類指定商品ビール,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料イ本件商標2登録番号第5385550号 - 3 -登録商標別紙商標目録記載2のとおり出願年月日平成22年6月18日登録年月日平成23年1月21日商品及び役務の区分第32類指定商品ビール,清涼飲料ウ本件商標3登録番号第5216613号登録商標別紙商標目録記載3のとおり出願年月日平成20年1月23日登録年月日平成21年3月19日商品及び役務の区分第32類指定商品ビール,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料(3)被告の行為等ア原告商品の仕入れ被告は,平成23年11月,ドイツ連邦共和国を本店所在地とする 菜ジュース,乳清飲料(3)被告の行為等ア原告商品の仕入れ被告は,平成23年11月,ドイツ連邦共和国を本店所在地とする (以下「カイザードーム社」という。)から,別紙正面視商品写真掲載のノンアルコールビール(以下「原告商品」という。)7110カートン(1カートン24缶,計17万0640缶)を仕入れた(乙5)。 これら原告商品は,元々原告がカイザードーム社へ発注したものであったが,原告がこれを受領しなかった後,カイザードーム社からの要請を受け,被告が購入するに至った。 イ被告商品の販売被告は,アのとおり仕入れた原告商品につき,別紙正面視商品写真の正面部分はそのままとする一方,輸入者が原告であることのほか品名・原材料などが記載 - 4 -された側面表示部分に,輸入者が被告であることなどを記載したシールを貼付し(以下,シール貼付後の商品を「被告商品」という。),さらにその梱包ケースの原告会社名などが記載された部分に被告会社名及び本店所在地を記載したシールを貼付の上,5130カートンを,平成23年12月12日から平成24年3月22日に販売を中止するまでの間,以下のとおり販売した(甲3~5,乙5)。 (ア)店舗販売 1カートン当たり999円にて2958カートン(イ)卸販売 1カートン当たり957.6円にて1440カートン(ウ)通販サイト販売 2カートン当たり2980円にて732カートン別紙側面視商品写真は,左側がシール貼付前の原告商品,右側がシール貼付後の被告商品であり,また,別紙梱包ケース写真は,左側が原告商品を梱包したシール貼付前の梱包ケースであり,右側が被告商品を梱包したシール貼付後の梱包ケ 左側がシール貼付前の原告商品,右側がシール貼付後の被告商品であり,また,別紙梱包ケース写真は,左側が原告商品を梱包したシール貼付前の梱包ケースであり,右側が被告商品を梱包したシール貼付後の梱包ケースである。 ウ指定商品の範囲被告商品(ノンアルコールビール)は,本件商標1,同2及び同3の指定商品の範囲に含まれる。 エ原告による原告商品の販売原告は,被告が被告商品を販売した当時,原告商品を販売していた(甲23,弁論の全趣旨)。 2 原告の請求原告は,被告による被告商品の販売が本件商標権1,同2及び同3を侵害するものであるとして,商標権侵害の不法行為に基づき,943万2959円の損害賠償(訴状において原告の請求した損害賠償額は798万7075円であったが,平成25年4月22日送達の準備書面1において787万9960円に減縮し,さらに平成25年9月3日送達の請求の趣旨拡張申立書において943万2959円に拡張した。)及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成24年12月23日から支払済みまで民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払を求 - 5 -めている。 3 争点(1) 本件商標権1,同2及び同3侵害の有無等 (争点1)(2) 原告の損害 (争点2)(3) 信用回復措置(商標法39条,特許法106条)の必要性(争点3)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(本件商標権1,同2及び同3侵害の有無等)について【原告の主張】(1)本件商標権1及び同2の侵害被告は,本件商標1及び同2が付された被告商品を販売し,本件商標権1及び同2を侵害した。 被告は,「」の欧文字からなる商標に関する事情を縷々主張するが,他の商標に関す 2の侵害被告は,本件商標1及び同2が付された被告商品を販売し,本件商標権1及び同2を侵害した。 被告は,「」の欧文字からなる商標に関する事情を縷々主張するが,他の商標に関する事情が,本件商標権1及び同2の侵害の成否を左右するものではない。 (2)本件商標権3の侵害被告は,被告商品の梱包ケースについて,本件商標3の付された部分をシールで貼付し,これを見えなくした上で被告商品を販売しているが,これも本件商標権3を侵害するものといえる。 【被告の主張】(1)本件商標権1及び同2の侵害被告商品には,「PRIMESELECT」及び「」の欧文字のほか,「」の欧文字からなる商標が使用されているが,同商標は,カイザードーム社が1980年に当時の西ドイツで商標登録し,1983年以降,世界規模で販売を拡大してきた商品に付されていたものである。そのため,被告商品を他商品と識別する際に最も重要な商標は,「」である。その一方,「PRIMESELECT」及び「」の文字は他のノンアルコールビール - 6 -にも類似商標が使用されており,独自の識別性を持たず,あくまで「」という商品の特徴を補完して説明するにすぎない。そして,被告は,製造元であるカイザードーム社から被告商品を輸入し,販売するものであるから,並行輸入として許容され,商標権侵害には当たらない。 また,原告は「PROSTEL」の商標も商標登録していたが,カイザードーム社からの無効審判請求において,不正の目的(商標法4条1項19号)によるものと認定の上で無効とされている。原告が,同商標登録につき,不正の目的があったとして無効とされていながら,同商標を付した被告商品について,他の商標に いて,不正の目的(商標法4条1項19号)によるものと認定の上で無効とされている。原告が,同商標登録につき,不正の目的があったとして無効とされていながら,同商標を付した被告商品について,他の商標に係る権利を行使することは権利の濫用というべきである。 (2)本件商標権3の侵害争う。 2 争点2(原告の損害)について【原告の主張】(1)商標法38条1項又は同条2項によって算定される損害額商標法38条1項又は同条2項のいずれか高く算定される金額が被告商品の販売によって原告の被った損害の額である。 ア商標法38条2項による算定(ア)被告が,被告商品5130カートンを販売して得た金額は,店頭販売分295万5042円(999円×2958カートン),卸販売分137万8944円(957.6円×1440カートン)及び通販サイト販売分109万0680円(1490円×732カートン)の計542万4666円である。 他方,被告は,被告商品を1カートン当たり2.82ユーロで仕入れたものであり,当時の為替レートである1ユーロ=105.16円で計算すると,これら5130カートンの仕入れ総額は152万1307円となる。 そのため,被告が被告商品の販売によって得た利益は,販売金額542万4666円から仕入れ額152万1307円を控除した390万3359円であり, - 7 -商標法38条2項により,同額が原告の被った損害といえる。 (イ)被告の主張する他の費用については争う。【被告の主張】欄(2)ア①のうち,シール貼付作業代金について,被告は見積書(乙20)を提出するのみで,費用支出の証拠はない。また,同②から⑧までの費用についても,見積書(乙21,22)が提出されるにとどまっている上,その作成日は ,シール貼付作業代金について,被告は見積書(乙20)を提出するのみで,費用支出の証拠はない。また,同②から⑧までの費用についても,見積書(乙21,22)が提出されるにとどまっている上,その作成日は平成22年10月及び11月であり,被告による被告商品の販売時期とは異なっている。 イ商標法38条1項による算定原告商品1缶当たりの利益は,19.09円(売値56.45円-仕入原価35.31-配送費2.05円)であるため,これに被告の販売数量である12万3120缶(24缶×5130カートン)を乗じた235万0360円が,商標法38条1項によって算定される損害額である。 (2)値下げにより被った損害額原告は,平成24年2月2日,はまゆう物産株式会社(以下「はまゆう物産」という。)から,原告商品約4000ないし6000カートンの購入を打診されて代金交渉に入ったが,同月16日,はまゆう物産から,被告が1缶15円から20円での販売を申し入れている旨抗議を受け,さらに被告が1缶10円に下げてきた,被告の提示額以下にするなら買ってもよい旨連絡があったため,結局1缶20円まで値下げして原告商品6400カートンを販売せざるを得なかった。 原告商品の販売価格は1缶当たり平均約56円であるため,1缶当たり36円値下げして販売することを余儀なくされたもので,その合計は6400カートン(15万3600缶)分の552万9600円である。これは原告商品の販売交渉中に,被告が被告商品の安売りを原告の得意先に働きかけたことによるものであり,被告商品の販売による商標権侵害と因果関係のある損害といえる。 この点,被告は3分の1ルール,つまり,賞味期限との関係による値下げであった旨主張するが,食品業界の一部にしか通用しないルールであり,原告商品には全く適用がない 害と因果関係のある損害といえる。 この点,被告は3分の1ルール,つまり,賞味期限との関係による値下げであった旨主張するが,食品業界の一部にしか通用しないルールであり,原告商品には全く適用がない。現に原告は,はまゆう物産への販売以降も,はまゆう物産 - 8 -以外に対しては,1缶当たり約50円で原告商品を販売しており,3分の1ルールによる値下げがなかったことは明らかである。 (3)寄与度減額の主張に対する反論原告は,10年以上にわたって,本件商標1を付したノンアルコールビールを次々と発表し,相当な時間と費用を費やして広告,販売をしてきた上,中でも特に高品質なノンアルコールビールに本件商標2を付加し,原告商品を作り出したものである。被告は,被告商品にとって最も重要な商標は,「」である旨主張するものの,同商標の付されたノンアルコールビールはドイツでは一定の評価を得ているかもしれないが,日本の市場では全く認知されていない。 したがって,被告商品の顧客吸引力は,本件商標1及び同2に由来することが明らかであり,他の要素による減額を考える余地はない。 (4)小括したがって,原告は,上記(1)アと(2)をあわせた943万2959円(=390万3359円+552万9600円)の損害を被ったものであり,また,上記(1)イによる損害算定を前提にしても,787万9960円(=235万0360円+552万9600円)の損害を被ったといえる。 【被告の主張】(1)損害の不発生及び寄与度減額原告は,被告商品の元になった原告商品をカイザードーム社から引き取らなかったのであるから,原告がこれら商品を追加販売することはあり得ず,また,「」の商標登録が無効とされたのであるから,被告の行為いかんに関わらず,原告が販 カイザードーム社から引き取らなかったのであるから,原告がこれら商品を追加販売することはあり得ず,また,「」の商標登録が無効とされたのであるから,被告の行為いかんに関わらず,原告が販売利益を得ることはなかったのであり,原告に損害は発生していないし,商標法38条1項又は同条2項適用の前提を欠いている。 また,仮に損害が発生するとしても,前記1【被告の主張】欄(1)記載の事情や,原告が被告商品の元となった原告商品を販売できなくなった原因が原告の側にあるという点においても,被告の行為の結果への寄与度は極めて小さく, - 9 -後記(2)での算定額から大幅な減額がされるべきといえる。 (2)商標法38条1項又は同条2項に基づく損害算定について原告の主張する損害額を争う。 ア商標法38条2項による算定被告商品の販売に当たっては,その仕入額である152万1307円のほか,以下の費用が発生した。 ① シール製作代金及びシール貼付作業代金被告は,原告商品に輸入者が被告であることなどが記載されたシールを貼付して被告商品としたものであるが,そのシール製作代金として17万4163円,シール貼付作業代金として108万0720円の合計125万4883円を要した。 ② 外貨運送申請料 1万5300円(=5100円×3コンテナ)③ コンテナ運送料 6万0000円(=2万円×3コンテナ)④ 通関手数料 3万5400円(=1万1800円×3コンテナ)⑤ 取扱手数料 4万5000円(=1万5000円×3コンテナ)⑥ 食品届出手数料 6000円⑦ コンテナ出入出庫料 5万6880円(=8円×7110カートン)⑧ 保管料 14万2220円(=5円 5000円×3コンテナ)⑥ 食品届出手数料 6000円⑦ コンテナ出入出庫料 5万6880円(=8円×7110カートン)⑧ 保管料 14万2220円(=5円×4期×7110カートン)⑨ 店舗販売分配送料金 11万8201円(=単価39.96円×2958カートン)⑩ 通販サイト配送料金 18万3000円 - 10 -(=単価250円×732カートン)⑪ 積み戻した1980カートン分の被告商品に要した費用輸出手数料 3万1791円保管料 11万8800円(=5円×12期×1980カートン)輸出通関料 5900円取扱手数料 1万0000円バンニング料 5万9400円(=30円×1980カートン)ラッシング料 3万0000円コンテナ運送料 1万9000円したがって,被告が被告商品の販売によって得た利益は,売上げの総額である542万4666円から,仕入額152万1307円のほか,上記費用を控除して算定すべきであり,これが商標法38条2項による損害額である。 イ商標法38条1項による算定原告商品の販売価格,費用及び単位数量当たりの利益は知らない。 (3)値下げによる損害について被告がはまゆう物産に対し,被告商品の販売を申し入れたことはなく,1缶当たり15円から20円との条件を提示したことも,さらに1缶当たり10円へと値下げしたこともない。仮にそのような事実があれば,はまゆう物産は1缶20円で原告と取引するのではなく,1缶10円に下げた被告と取 15円から20円との条件を提示したことも,さらに1缶当たり10円へと値下げしたこともない。仮にそのような事実があれば,はまゆう物産は1缶20円で原告と取引するのではなく,1缶10円に下げた被告と取引したものと思われる。 また,原告とはまゆう物産との交渉経過については知らないが,仮に原告の主張するような値下げがされたのだとしても,それは食品流通業界におけるいわゆる3分の1ルール,すなわち,製造日から賞味期限までの3分の2の時点(販売期限)が近づいていたことを主たる要因とするもので,被告の行為に起因するも - 11 -のではない。 したがって,原告商品の値下げ分を商標権侵害による損害とする原告の主張は理由がない。 3 争点3(信用回復措置(商標法39条,特許法106条)の必要性)について【原告の主張】原告は,被告による商標権侵害の結果,被告商品を原告商品と誤認混同して購入した多数の消費者から苦情を受けるなど,業務上の信用を著しく害されたため,その信用を回復するのに必要な措置として,別紙謝罪広告目録記載1の謝罪広告を同目録記載2の要領に従い,同目録記載3の新聞及び掲載場所並びに掲載回数で掲載する必要がある。 【被告の主張】争う。 第4 当裁判所の判断 1 争点1(本件商標権1,同2及び同3侵害の有無等)について(1)本件商標権1及び同2侵害の有無ア本件商標1は,「PRIMESELECT」の欧文字を上段に,これと称呼及び観念を同じくする「プライムセレクト」の片仮名文字を下段に横書きしてなる商標であり,また,本件商標2は,「ピュアアンドフリー」の片仮名文字を上段に,これと称呼及び観念を同じくする「」の欧文字を下段に横書きしてなる商標である。 そして,別紙正面視商品写真のとおり,被 本件商標2は,「ピュアアンドフリー」の片仮名文字を上段に,これと称呼及び観念を同じくする「」の欧文字を下段に横書きしてなる商標である。 そして,別紙正面視商品写真のとおり,被告商品の缶表面には,本件商標1のうち上段の「PRIMESELECT」と同一の欧文字からなる標章(以下「被告標章1」という。)及び本件商標2のうち下段の「」と同一の欧文字からなる標章(以下「被告標章2」という。)が付されている。 したがって,被告による被告商品の販売は,本件商標1と同一又は類似する文 - 12 -字商標である被告標章1,及び本件商標2と同一又は類似する文字商標である被告標章2を,その指定商品について使用するものであり,本件商標権1及び同2を侵害するというべきである。 イ被告は,被告商品にとって最も識別力の強い商標は,缶表面の「 !」の上部に付された「」の欧文字からなる商標であり,これについて原告は商標権を有していない旨主張するが,損害論に係る寄与度の主張としてはともかく,本件商標権1及び同2の侵害を否定すべき事情ではない。 また,被告の主張は,被告標章1及び同2について,独自の識別力を発揮しておらず,商品の特徴を補完して説明するにすぎないとする点において,商標的使用を否定する趣旨と解されなくもないが,別紙正面視商品写真のような被告標章1及び同2の外観及びその位置,大きさなど,さらに被告標章1については,原告が,平成14年以降,「 !」又は「プライムセレクト」の文字商標が付されたノンアルコールビールを継続的に販売してきた(枝番を含めて甲6~10,26)という取引の実情からして,商標的使用であることを否定すべき理由はない。 いずれにせ セレクト」の文字商標が付されたノンアルコールビールを継続的に販売してきた(枝番を含めて甲6~10,26)という取引の実情からして,商標的使用であることを否定すべき理由はない。 いずれにせよ,商標権侵害を否定する被告の主張は採用できない。 ウまた,被告は,原告が当初「」の欧文字も商標登録していたが,カイザードーム社からの無効審判請求において,不正の目的(商標法4条1項19号)によるものと認定の上で無効とされていることから,本件商標権1及び同2の権利行使は権利の濫用に当たる旨主張する。しかし,別商標に関する事情により,本件商標権1及び同2の権利行使が制限される理由はなく,その主張は失当である。 (2)本件商標権3侵害の有無本件商標3は,「"#"$"!」の欧文字を横書きしてなる商標である。 この点,別紙梱包ケース写真のとおり,被告商品の梱包ケースには,元々本件 - 13 -商標3と同一の文字標章が付されていたが,原告自身が主張するとおり,被告が被告商品を販売するに際しては,同標章部分にシールが貼付され,需要者が視認することはできない状態にあったのであるから,シールを貼付した後は,同標章を使用したとはいえない。 他に被告が被告商品の販売において,本件商標3と同一又は類似する商標を使用したと認めるに足りる証拠はなく,本件商標権3の侵害があったとする原告の主張は採用できない(なお,被告がカイザードーム社から原告商品を購入したことが輸入に当たるとしても,同行為により,原告が主張する損害が発生するわけではなく,原告自身,被告がシール貼付後の販売行為による損害を主張している。)。 2 争点2(原告の損害)について(1)商標法38条1項又は2項によって算定される損害原告は,被告が本件商標権1及び同2の 自身,被告がシール貼付後の販売行為による損害を主張している。)。 2 争点2(原告の損害)について(1)商標法38条1項又は2項によって算定される損害原告は,被告が本件商標権1及び同2の侵害品である被告商品5130カートンを販売したことによる損害額につき,商標法38条1項又は同条2項による算定のうち,いずれか高い額による旨主張するので,以下双方の算定をする。 なお,被告は,原告において,原告商品を追加的に販売することができる状況にはなかったため,損害発生の前提を欠くかのような主張をするが,被告が被告商品を販売していた当時も,原告は原告商品を販売していた(甲11の8・9,23)のであるから,かかる主張は採用できない。 また,被告は,「」の商標登録が無効とされたことから,原告が販売利益を得ることはなかったと主張をするが,上記商標だけが,被告商品を識別するものとしてあるわけではなく,後記ア(オ)のとおり,本件商標1,2による識別力がある以上,かかる主張も採用できない。 ア商標法38条2項(ア)収入前記前提事実記載のとおり,被告商品5130カートンの販売によって被告の - 14 -得た収入は,店頭販売分295万5042円(999円×2958カートン),卸販売分137万8944円(957.6円×1440カートン)及び通販サイト販売分109万0680円(1490円×732カートン)の計542万4666円である。 (イ)仕入証拠(甲24)によれば,被告は,平成23年11月,被告商品を1カートン当たり2.82ユーロで仕入れたものであることが認められ,同月当時の為替レートである1ユーロ=105.16円(甲25)で計算すると,被告の販売した5130カートン分の仕入総額は152万1307円となる(被告もこ 2ユーロで仕入れたものであることが認められ,同月当時の為替レートである1ユーロ=105.16円(甲25)で計算すると,被告の販売した5130カートン分の仕入総額は152万1307円となる(被告もこの算定額を特段争うものではない。)。 (ウ)その他の費用被告が被告商品を販売するに当たっては,以下の①から③までの費用も生じたことが認められるが,これら費用はいずれも売上数量に伴って変動する性質のものといえるため,その合計額である108万8421円(=12万5661円+77万9760円+18万3000円)は,被告が被告商品の販売によって得た利益を算定するに当たって控除するのが相当である。 ① シール製作代金別紙側面視商品写真及び別紙梱包ケース写真のとおり,被告は,原告商品を仕入れた後,輸入者が被告であることなどが記載されたシールを貼付して被告商品とすると共に,その梱包ケースにも被告の会社名などが記載されたシールを貼付したものであるが,そのシール製作代金として17万4163円(乙18,19)を支出した。 ただし,これは被告商品7110カートン分に係る支出額であるため,販売に至った5130カートン分に対応する費用は,12万5661円(=17万4163×5130÷7110,1円未満切捨て)である。 ② シール貼付作業代金 - 15 -証拠(甲4,5,乙20)及び弁論の全趣旨によれば,被告は,上記①記載のシール貼付作業を外注し,その代金として1カートン当たり152円の費用を負担したものと認められ,販売に至った被告商品5130カートン分としては,77万9760円(=152円×5130カートン)を支出したといえる。 ③ 国内での配送料金被告は,通販サイト販売分につき,その配送料金として18万3000円(=単価250円×7 分としては,77万9760円(=152円×5130カートン)を支出したといえる。 ③ 国内での配送料金被告は,通販サイト販売分につき,その配送料金として18万3000円(=単価250円×732カートン)を負担した旨主張する。この点,被告がかかる配送料金を負担したことを直接示す証拠は提出されていないが,被告が開示する通販サイト販売分に係る2カートン当たりの販売代金2980円(1カートン当たり1490円)は,送料込みの価格とされており(乙5),被告が配送料を支払ったと認めるのが合理的である。そのため,前記(ア)のとおり,通販サイト販売分に係る収入を1カートン当たり1490円として計算する以上,被告が配送料金18万3000円(1カートン当たり250円)を負担したとするのが整合的かつ相当といえる。 一方,被告は,店舗販売分についても,配送料金11万8201円(=単価39.96円×2958カートン)を負担した旨主張するが,被告がかかる配送料金を負担したことを示す証拠はない上,一般に配送料金を売主と買主のいずれが負担するかは両者間の合意内容によるものであり,被告がこれを負担したかは定かでない。よって,店舗販売分の配送料金も費用として控除すべき旨の被告の主張は採用できない。 (エ)被告の主張するその他の費用① 外貨運送申請料,コンテナ運送料,通関手数料,取扱手数料及び食品届出手数料被告は,被告商品の元になった原告商品7110カートンを仕入れるに当たり,標記の費用として,それぞれ1万5300円,6万円,3万5400円,4万5000円及び6000円の合計16万1700円(実際に販売された5 - 16 -130カートン分に対応する額としては11万6669円)を負担した旨主張し,上記費用を直接証明する証拠がないため,代わりに別の機 6000円の合計16万1700円(実際に販売された5 - 16 -130カートン分に対応する額としては11万6669円)を負担した旨主張し,上記費用を直接証明する証拠がないため,代わりに別の機会の見積書(乙21)を提出する。 しかし,一般に飲料品を輸入するに当たって,被告の指摘するような費用が生じることは確かである一方,これを売主と買主のいずれが負担するかは両者間の合意内容によるといえるから,原告商品についても,買主である被告が負担したかは定かではない。 そのため,被告が上記各費用を負担したと認めることはできず,被告の主張は採用できない。 ② コンテナ出入出庫料及び保管料被告は,被告商品のコンテナ出入出庫料として1カートンにつき8円,保管料として1カートンにつき20円(=5円×4期分)を負担した旨主張する。 しかし,被告商品の数量などからして,一般には,コンテナ出入出庫料及び保管料が発生するであろうことはうかがわれるものの,被告は,その費用の負担者及び額を直接証する証拠を一切提出せず,代わりに別の機会の見積書(乙22)を提出するのみである。このことに加え,被告が,カイザードーム社からの要請を受けて被告商品を引き取った経緯(乙5)を考慮すれば,被告が上記費用を負担していない可能性も否定できず,他に,これを認める証拠はない。 ③ 積み戻した1980カートン分の被告商品に要した費用被告は,原告からの警告を受けて,カイザードーム社に積み戻した被告商品1980カートン分に係る輸出手数料(乙23),保管料等の費用も控除すべきである旨主張する。 しかし,被告自身が主張するとおり,それら費用は,被告が実際に販売して収入を得た被告商品5130カートン分に要した費用ではないから,被告が被告商品の販売によって得た利益を算定するに 旨主張する。 しかし,被告自身が主張するとおり,それら費用は,被告が実際に販売して収入を得た被告商品5130カートン分に要した費用ではないから,被告が被告商品の販売によって得た利益を算定するに当たり,控除するのが相当でないことは明らかであり,被告の主張は採用できない。 - 17 -(オ)寄与度減額被告は,被告商品を識別する際に最も重要な商標は,「」の文字商標であるから,本件商標1及び同2の寄与度は極めて小さく,損害額の算定に当たっては大幅な寄与度減額がされるべき旨主張する。 この点,被告商品における「」の文字標章は,その外観,位置,大きさなどに加え,登録商標を意味する「®」が付されていることから,商標的に使用されているといえる。そして,「」は,日本国内における被告商品の需要者にとって,特定の観念を生じさせるものではなく,相応の識別力を有していること,原告も原告商品の宣伝広告において,商品名を「プロシュテルピュアアンドフリー」とし,「」の片仮名表記を含めていたこと(枝番を含めて甲11)も考慮すれば,一定の寄与度減額をすべき必要性は否定できない。 しかし,「」の商標が,日本の需要者の間で広く認知されていたことを認めるに足りる証拠はなく,その需要喚起の程度は定かではない。一方,別紙正面視商品写真のとおり,被告商品において,正面中央に最も大きく,目立つ態様で商標的に使用されているのは,「」の文字標章ではなく,被告標章2である。また,原告は,平成14年以降,合計7種類の外国産ノンアルコールビールを継続的に販売しているが(そのうち「」の標章を付したものは原告商品を含めた2種類である。),いずれの商品にも本件商標1を構成する 成14年以降,合計7種類の外国産ノンアルコールビールを継続的に販売しているが(そのうち「」の標章を付したものは原告商品を含めた2種類である。),いずれの商品にも本件商標1を構成する「 !」又は「プライムセレクト」の文字商標を付しており(枝番を含めて甲6~10,26),本件商標1は,被告商品の需要者の間で相応の認知度を有していたといえる。 このような事情に照らせば,被告商品において,「」の文字標章が商標的に使用されていることを理由に大幅な減額をすべきではなく,30%の減額が相当である。 (カ)小括 - 18 -以上より,被告が本件商標権1及び同2の侵害品である被告商品の販売によって得た利益は,売上げの542万4666円から,仕入額152万1307円及びその他の費用108万8421円を控除した281万4938円であり,同額からその30%に当たる84万4481円(1円未満切捨て)の寄与度減額をした197万0457円が,商標法38条2項により算定される原告の損害額である。 イ商標法38条1項原告は,被告商品の競合品である原告商品の単位数量当たり利益は19.09円であり,これに被告商品の販売数量である12万3120缶(=24缶×5130カートン)を乗じた235万0360円が,商標法38条1項によって算定される損害額である旨主張する。 しかし,前記ア(ウ)で検討したところによれば,商標法38条1項による算定においても,30%の寄与度減額は避けがたいため,原告商品の単位数量当たりの利益について原告の上記主張を前提にしても,原告の損害額は164万5252円となる。 ウ小括以上によれば,原告商品の単位数量当たりの利益に関する原告の主張の採否にかかわらず,商標法38 の利益について原告の上記主張を前提にしても,原告の損害額は164万5252円となる。 ウ小括以上によれば,原告商品の単位数量当たりの利益に関する原告の主張の採否にかかわらず,商標法38条2項によって算定された197万0457円の方が,同条1項の算定額よりも高くなるため,197万0457円をもって,被告による被告商品の販売によって生じた損害額と認められる。 (2)値下げによる損害原告は,被告商品の販売による前記(1)の損害のほか,被告が原告の得意先であるはまゆう物産に対し,被告商品を1缶15円から20円,さらには10円での取引を働きかけたため,平成24年2月16日,当時,原告商品の販売単価が平均56円であるにもかかわらず,はまゆう物産に対しては,20円まで値下げして計6400カートンを販売せざる得なくなったとし,同値下げ分も商標権侵 - 19 -害によって原告が被った損害である旨主張する。 しかし,被告がはまゆう物産に対してそのような働きかけをしたとの主張に沿う証拠は,はまゆう物産の代表取締役からその旨聞いたという原告代表者の陳述書(甲26)があるにとどまる。しかも,前記(1)で検討したところによれば,被告は被告商品12万3120缶(=24缶×5130カートン)につき,260万9728円(=仕入額152万1307円及びその他の費用108万8421円)の費用を負担しており,1缶当たりの費用は約21円であるところ,はまゆう物産に対し,当初からその費用を下回る単価での取引を働きかけたとは考えにくい。 また,仮に原告の主張するような事実関係があったとしても,原告は,はまゆう物産との取引があったとする平成24年2月16日の前後を通じ,他の業者に対しては,平均して50円程度の単価で原告商品の販売を継続しており(甲23) るような事実関係があったとしても,原告は,はまゆう物産との取引があったとする平成24年2月16日の前後を通じ,他の業者に対しては,平均して50円程度の単価で原告商品の販売を継続しており(甲23),原告商品の市場価格そのものが下がったわけではないし,また,直ちに原告商品を売り切らなければならないような特別な事情も認められないのであるから,被告の行為と原告が単価20円で原告商品を販売したこととの因果関係を認めることはできず,はまゆう物産が大口の取引先であることがこの判断を左右するものではない。 したがって,値下げ分も被告の商標権侵害による損害とする原告の主張は採用できない。 (3)まとめしたがって,被告の商標権侵害によって原告が被った損害の額は,前記(1)で算定した197万0457円である。 3 争点3(信用回復措置(商標法39条,特許法106条)の必要性)について本件商標権1及び同2を侵害して販売された被告商品の数量や前記2で認定の損害額に加え,被告が原告からの警告書受領後,比較的短期間に被告商品の販売 - 20 -を中止したこと(乙2~5)など,本件における諸般の事情を考慮すると,損害の賠償に加えて,信用回復措置(商標法39条,特許法106条)を命じる必要性は認められない。 第5 結論以上の次第で,原告の請求は主文掲記の限度で理由があるから,これを認容し,その余の請求はいずれも理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第26民事部 裁判長裁判官山田陽三 裁判官松川充康 裁判官西田昌吾 - 21 -別紙謝罪広告目録 1 掲載の内容謝 陽三 裁判官松川充康 裁判官西田昌吾 - 21 -別紙謝罪広告目録 1 掲載の内容謝罪広告当社は,株式会社パナバック(__________________________ )所有の「PRIMESELECT プライムセレクト」登録商標(登録番号第3272479号)及び「ピュアアンドフリー 」登録商標(登録番号5385550号)の登録商標を付したノンアルコールビールテイスト飲料を平成23年12月から輸入して販売しましたが,その際上記製品の梱包ケースに付された「"#"$"!」登録商標(登録番号第5216613号)部分を覆い隠して販売し,株式会社パナバックの上記商標権を侵害すると共に,同社の製造販売にかかる「PRIMESELECT プライムセレクト」登録商標及び「ピュアアンドフリー」登録商標を付したノンアルコールビールテイスト飲料と誤認混同を生じさせ,株式会社パナバックの業務上の信用を害する結果となりました。 当社の不注意から株式会社パナバックに多大な御迷惑をおかけしたことは誠に申しわけなく,ここに謹んでお詫び申し上げます。 平成年月日 株式会社德岡 - 22 - 2 掲載の要領(1)広告の大きさ縦2段幅15センチメートル(2)使用活字表題(見出し) 18級(12ポ)ゴシック体活字名義人・名宛人 16級(11ポ)ゴシック体活字本文 13級(9ポ)明朝体活字日付・住所 12級(8ポ)明朝体活字 18級(12ポ)ゴシック体活字名義人・名宛人 16級(11ポ)ゴシック体活字本文 13級(9ポ)明朝体活字日付・住所 12級(8ポ)明朝体活字なお,広告文中空欄となっている年月日については新聞掲載日を表示する。 3 掲載の新聞及び掲載場所並びに掲載回数 名称日本経済新聞全国版広告欄 所在東京都中央区 発行者株式会社日本経済新聞社 掲載回数1回以上 商 標 目 録 以上
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