昭和26(う)782 強姦致死殺人被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和27年2月13日 仙台高等裁判所 棄却
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【DRY-RUN】主    文      本件控訴を棄却する。      当審における未決勾留日数中百日を本刑に算入する。          理    由  主任弁護人片山昇の陳述した控訴趣意は記録に編綴の弁護人片山昇

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判決文本文2,942 文字)

主文 本件控訴を棄却する。 当審における未決勾留日数中百日を本刑に算入する。 理由 主任弁護人片山昇の陳述した控訴趣意は記録に編綴の弁護人片山昇、同渡辺大司及被告人作成名義の各控訴趣意書記載りとおりであるから茲に之を引用する。 渡辺弁護人の控訴趣意第一、四点について所論は要するに原審が弁護人に於て検察官作成の検証調書のうち被告人の指示供述記載部分を証拠にすることに同意しないのに拘らず右検証調書は勿論その調書中の被告人の供述記載部分をも証拠に引用しているが右は証拠能力のない証拠によつて事実を認定した違法があるというのであるが、証拠とすることに同意すると否とは書面の一部又は供述の一部についてもそれが可分的である限り許さルるところ、原審第一回公判調書によると弁護人は検察官作成の検証調書中被告人の指示供述記載部分を除き其の余は証拠とすることに同意した旨の記載があり、また右検証調書によれば右被告人の供述記載は被告人に不利益な事実の承認を内容とするものであるから刑事訴訟法第三百二十二条により被告人又は弁護人において証拠とすることに同意しない場合でも証拠とすることができるのみならず、検察官に於て被告人の取調べに当り被告人に対し、あらかじめ供述を拒むことができる旨を告知したことは被告人の検察官に対する第一回供述調書の記載により明らかであり法は取調べの都度供述拒否権のあることを告知することを要求してはいないのである、その他被告人の右供述記載を被告人に読聞けたところ誤りのない旨申立て署名指印したことは右検証調書の記載により明白であるから、いずれも完全な証拠能力を有するものと認められるから、原審がこれを証拠に引用したからとて所論の如く証拠能力のないものによつて事実を認定したものということは出来ない、論 調書の記載により明白であるから、いずれも完全な証拠能力を有するものと認められるから、原審がこれを証拠に引用したからとて所論の如く証拠能力のないものによつて事実を認定したものということは出来ない、論旨はいずれも理由がない。 同上第二点についてしかし証拠の取捨選択は原審裁判官の自由な判断に委せられて居り其のいずれを真実に合致するものとして採用すべきかは裁判官の裁量によるべきものである、記録を査閲するに原審が被告人の原判示犯行を認定するに当り被告人に対する検察官作成の第一回供述調書を証拠として引用して居ることは所論のとおりであるが右供述調書が弁護人主張の如く強制、拷問又は誘導に基き作成されたものであつて任意に為された供述に基き作成管られたものでないとの点については本件記録並びに原審裁判所にむいて或調べた証拠に現われている事実に徴するも之を認め難く、却つて右供述調書の内容を検討すれば逐一詳細に当時の事情を供述して居り毫も強制、拷問又は誘導により為された供述とは認めることが出来ない、従つて右供述調書は証拠能力に於て何等欠くるところなく、原審が之を罪証に供した点につき経験則に反する違法も存しない、所論は結局原審の証拠の取捨を論難し、又は原審の引用しない証拠に基き原判決の事実認定を攻撃するもので採用することはてきない、論旨は理由がない。 同上第三点について記録を調査するに原裁判所はその第二回公判において検察官の請求を容れて被告人の検察官に対する供述調書の任意性を確めることも兼ね検察官の被告人に対する質問及び、これに対する供述を録音した録音テープを録音機にかけて、これを再現聴取したことは所論のとおりであるが、録音テープを証拠書類と認めるか証拠物と解するかを決するの要は録音された供述の内容を証拠とする場合に、その取調方法をいかにするかに、か 録音機にかけて、これを再現聴取したことは所論のとおりであるが、録音テープを証拠書類と認めるか証拠物と解するかを決するの要は録音された供述の内容を証拠とする場合に、その取調方法をいかにするかに、かかるものと思惟される、そこで刑事訴訟法は通常予想される証拠方法について単に典型的な取調方式として証拠書類については朗読、証拠物については之を示すことを、規定したに過ぎないので録音された供述内容を明らかにするには朗読や展示では不可能で、その録音テープを録音機にかけて、それを再現する以外に方法はない<要旨>のであつて刑事訴訟法はこの方法による取調べを禁ずる趣旨でないと解するを相当とすべきである。次に検察</要旨>官の面前における被告人の供述を録音した録音テープを証拠とすることにつき被告人並びに弁護人の同意を必要とするか否かの点について案ずるに、その内容が被告人に不利益な事実の承認を内容とするものである限り刑事訴訟法第三百二十二条の規定の趣旨に鑑み之に準じて同意がない場合でも取調べができるものと解するのが相当である、また被告人の供述が任意にされたものであるか否かを調査するには、全く事実承審官において適宜の方法により之を為し得べきものであるところ、その調査方法の一として被告人の検察官の面前でなした供述を録音した録音テープを再現して聴取するは洵に当を得たものというの外はない、何となれば録音テープに表現された部分については其の供述者によりそのとおりの供述がなされたことは一点の疑を挟む余地がないからである。なお右録音テープについて供述者たる被告人が任意にされた真の供述であるか否かの点については被告人は原審第二回公判において検察官の取調に当つて強制拷問等が行われなかつた旨陳述して居り記録を調査するも任意性を疑うべき事由は毫も存しない、されば原審が右録音テープ 述であるか否かの点については被告人は原審第二回公判において検察官の取調に当つて強制拷問等が行われなかつた旨陳述して居り記録を調査するも任意性を疑うべき事由は毫も存しない、されば原審が右録音テープそのものを罪証に引用したわけではなく、前示のごとく主として被告人の自白の任意性の調査方法として証拠調をしたものであることが窺われる本件の場合においては弁護人所論のような違法があるとは認められない、論旨は理由がない。 渡辺弁護人の控訴趣意第五点、片山弁護人の控訴趣意並びに被告人の控訴趣意について所論は要するに原判決は証拠によらないで事実を認定し又予断偏見による鑑定人の鑑定の結果を罪証に供した違法或は事実誤認の違法があるというのであるが、原判示事実はその挙示する証拠を総合して優に認定可能であり、原判決挙示の証拠のうち証人Aの原審公判廷における供述は科学的立場から供述したものと認められるし同人作成の鑑定書四通もまた記録を精査検討するにいずれも予断偏見等によるものとは認め難い、所論はいずれも弁護人の独断或は控訴趣意として判断を与える価値のないもので採用の限りでない、その他原判決には事実誤認を疑うべき事由は毫も存しないから論旨はいずれも理由がない。 よつて刑事訴訟法第三百九十六条に従い本件控訴を棄却すべく刑法第二十一条により当審における未決勾留日数中百日を本刑に算入することとし主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官大野正太郎裁判官松村美佐男裁判官蓮見重治)

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