平成21(行ウ)46 墓地経営許可処分取消等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成22年4月16日 東京地方裁判所 警察関係
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判決文本文34,255 文字)

主文 原告の訴えのうち墓地経営許可処分の取消しを求める部分を却下する。 A 原告その余の原告らの請求をいずれも棄Aのその余の訴えに係る請求及び却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1請求 練馬区保健所長が,宗教法人Bに対し,平成20年10月24日付けでした別紙物件目録記載の各土地における墓地経営許可処分を取り消す。 被告は,原告らに対し,各10万円及びこれらに対する平成20年10月24日から支払済みまで各年5分の割合による各金員を支払え。 第2事案の概要本件は,練馬区保健所長が宗教法人B(以下「B」という)に対し平成2。 0年10月24日付けでした別紙物件目録記載の各土地(以下併せて「本件土地」という)における墓地経営許可処分(以下「本件処分」という)につい。 。 て,本件土地の周辺に居住し,又は住宅を有する原告らがその取消しを求めるとともに,本件処分により精神的損害を被ったとして被告に対し国家賠償法1条1項に基づく損害賠償とその遅延損害金の支払を求めた事案である。 関係法令等の定め(1) 墓地,埋葬等に関する法律(以下「墓埋法」という)。 ア1条この法律は,墓地,納骨堂又は火葬場の管理及び埋葬等が,国民の宗教 的感情に適合し,且つ公衆衛生その他公共の福祉の見地から,支障なく行われることを目的とする。 イ10条1項墓地,納骨堂又は火葬場を経営しようとする者は,都道府県知事の許可を受けなければならない。 (2) 「墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例(昭和59年東京都」条例第125号。以下「本件条例」という)。 ア1条この条例は,墓地,埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号。以下「法」という)第10条の規定による経営の許可等に係る墓地,納骨。 都」条例第125号。以下「本件条例」という)。 ア1条この条例は,墓地,埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号。以下「法」という)第10条の規定による経営の許可等に係る墓地,納骨。 堂又は火葬場(以下「墓地等」という)の構造設備及び管理の基準並び。 に事前手続その他必要な事項を定めるものとする。 イ6条1項墓地の設置場所は,次に定めるところによらなければならない。 1号当該墓地を経営しようとする者が,原則として,所有する土地であること(地方公共団体が経営しようとする場合を除く。 。)2号河川,海又は湖沼から墓地までの距離は,おおむね20メートル以上であること。 3号住宅,学校,保育所,病院,事務所,店舗等及びこれらの敷地(以下「住宅等」という)から墓地までの距離は,おおむね100メー。 トル以上であること。 4号高燥で,かつ,飲料水を汚染するおそれのない土地であること。 ウ6条2項専ら焼骨のみを埋蔵する墓地であつて,知事が,公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がないと認めるものについては,前項第2号及び第3号の規定は,適用しない。 エ7条1項墓地の構造設備は,次に掲げる基準に適合しなければならない。 1号境界には,障壁又は密植した低木の垣根を設けること。 2号アスファルト,コンクリート,石等堅固な材料で築造され,その幅員が1メートル以上である通路を設けること。 3号雨水又は汚水が滞留しないように適当な排水路を設け,下水道又は河川等に適切に排水すること。 4号ごみ集積設備,給水設備,便所,管理事務所及び駐車場を設けること。ただし,これらの施設の全部又は一部について,当該墓地を経営しようとする者が,当該墓地の近隣の場所に墓地の利用者が使用できる施設を所有する場合において,知事が,公衆衛生その他公共の 場を設けること。ただし,これらの施設の全部又は一部について,当該墓地を経営しようとする者が,当該墓地の近隣の場所に墓地の利用者が使用できる施設を所有する場合において,知事が,公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がないと認めるときは,当該施設に関しては,この限りでない。 。 ,5号墓地の区域内に規則で定める基準に従い緑地を設けることただし知事が,公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がないと認める場合は,この限りでない。 オ12条墓地等の管理者は,次に定める措置を講じなければならない。 1号及び2号(略)3号墓地等を常に清潔に保つこと。 4号(略)カ16条1項第4条第1項又は第2項の許可を受けて墓地等を経営しようとする者又は墓地の区域若しくは墳墓を設ける区域を拡張しようとする者(以下「申請予定者」という)は,当該許可の申請に先立つて,墓地等の建設等の。 計画について,当該墓地等の建設予定地に隣接する土地(隣接する土地と同等の影響を受けると認められる土地を含む)又はその土地の上の建築。 物の所有者及び使用者(以下「隣接住民等」という)への周知を図るた。 め,規則で定めるところにより,当該建設予定地の見やすい場所に標識を設置し,その旨を知事に届け出なければならない。 キ16条2項知事は,申請予定者が,前項の標識を設置しないときは,当該標識を設置すべきことを指導することができる。 17条1項ク申請予定者は,当該許可の申請に先立つて,説明会を開催する等の措置を講ずることにより,当該墓地等の建設等の計画について,規則で定めるところにより,隣接住民等に説明し,その経過の概要等を知事に報告しなければならない。 ケ17条2項知事は,申請予定者が,前項の規定による説明を行わないときは,当該 説明を行うべきことを指導 るところにより,隣接住民等に説明し,その経過の概要等を知事に報告しなければならない。 ケ17条2項知事は,申請予定者が,前項の規定による説明を行わないときは,当該 説明を行うべきことを指導することができる。 18条1項コ知事は,隣接住民等から,第16条の標識を設置した日以後規則で定める期間内に,当該墓地等の建設等の計画について,次に掲げる意見の申出があつた場合において,正当な理由があると認めるときは,当該墓地等に係る申請予定者に対し,隣接住民等との協議を行うよう指導することができる。 1号公衆衛生その他公共の福祉の観点から考慮すべき意見2号墓地等の構造設備と周辺環境との調和に対する意見3号墓地等の建設工事の方法等についての意見サ18条2項申請予定者は,規則で定めるところにより,前項の規定による指導に基づき実施した隣接住民等との協議の結果を知事に報告しなければならない。 (3) 墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例施行規則(昭和60年東京都規則第17号。以下「本件規則」という)。 ア5条条例第7条第1項第5号の規則で定める基準は,墓地の敷地の総面積に占める緑地の割合が15パーセント以上あるものとする。 イ6条条例第14条第1項の規定により知事が指定する土葬を禁止する地域は,特別区の存する区域(中略)とする。 前提事実本件の前提となる事実は,次のとおりである。証拠及び弁論の全趣旨により容易に認めることができる事実等は,その旨付記した。その余の事実は,当事者間に争いがない。 等(1) 当事者ア原告らは,本件土地からの距離が約4.5メートルから約127.5メートルまでの範囲内の地域に居住し,又は住宅を有する者である。原告ら,「」,,,,のうち本件条例16条1項の隣接住民等 らは,本件土地からの距離が約4.5メートルから約127.5メートルまでの範囲内の地域に居住し,又は住宅を有する者である。原告ら,「」,,,,のうち本件条例16条1項の隣接住民等に当たる者はCDEF,G,H,I,J,K及びLであり,これら10名の原告が所有し,又は使用する土地又は土地上の建築物は,いずれも幅員約4.38メートル以上の公道を挟んで本件土地と接している。なお,本件土地周辺は,都市計画法上の第1種低層住居専用地域である。 イBは,昭和28年8月15日に設立された宗教法人法4条2項の宗教法人であり,東京都新宿区α×番地に主たる事務所を置き寺院を有するが,本件土地及びその周辺には寺院を有していない。なお,Bの代表役員であるMは,本件土地に隣接する東京都練馬区β×番3号に住所を有する者である(甲1,弁論の全趣旨)。 ウ墓埋法10条1項及び本件条例4条1項の規定による墓地等の経営の許可に係る事務処理は,東京都においては,特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例(平成11年東京都条例第106号)2条の表40ロにより,特別区が処理することとされているが,被告においては,練馬(),区保健所長委任規則昭和50年練馬区規則第58号1条(23)エにより 練馬区保健所長に委任されている。 (2) 本件処分の経緯等アBは,本件土地に560区画を有する専ら焼骨のみを埋蔵する墓地を建設して経営することを計画し(以下,この計画を「本件計画」といい,本件計画に係る墓地を「本件墓地」という,平成16年8月17日,本件。)墓地の経営の許可の申請に先立ち,本件計画について本件土地の隣接住民等への周知を図るため,本件土地上に,本件墓地の計画概要等を記載した標識を設置した。なお,Bは,本件土地につき,同18年 本件。)墓地の経営の許可の申請に先立ち,本件計画について本件土地の隣接住民等への周知を図るため,本件土地上に,本件墓地の計画概要等を記載した標識を設置した。なお,Bは,本件土地につき,同18年2月17日,同月2日売買を原因とする所有権移転登記を経由した(甲2から6まで,。 乙7)イBは,隣接住民等に対し,平成16年8月29日,本件墓地の経営の許可の申請に先立ち,本件計画に関する説明会を開催した。その後も,本件計画についての説明会等が,同17年1月から同19年5月まで,多数回にわたり開催された(甲40,乙8,45,46,弁論の全趣旨)。 ウ練馬区保健所長は,Bに対し,平成19年8月10日付けで,本件計画に関する隣接住民等との協議を行うよう指導した。これを受けて,Bは,同年9月1日,隣接住民等との協議を行った。しかし,原告らは,同協議に参加しなかった(甲12,40,乙46,弁論の全趣旨)。 エBは,練馬区保健所長に対し,平成19年11月8日,本件墓地の経営の許可を申請した(乙1)。 オ練馬区保健所長は,Bに対し,平成20年10月24日付けで,本件処分をした(乙1)。 カ原告らは,平成21年2月2日,本件処分の取消しを求めるとともに,損害賠償を求める訴えを提起した(当裁判所に顕著な事実)。 争点 (1) 原告らは,本件処分の取消しを求める訴えの原告適格を有するか。 (2) 原告らは,本件処分の取消しを求める訴えの利益を有するか。 (3) 本件処分は適法であるか。 (4) 本件処分につき国家賠償法上の違法があるか。 (5) 本件処分と因果関係のある原告らの損害の有無及び損害額。 当事者の主張の要旨(1) 争点(1)(原告適格)について(原告らの主張)以下のとおり,墓埋法及び本件条例の趣旨及び目的並びに本件処分にお 件処分と因果関係のある原告らの損害の有無及び損害額。 当事者の主張の要旨(1) 争点(1)(原告適格)について(原告らの主張)以下のとおり,墓埋法及び本件条例の趣旨及び目的並びに本件処分において考慮されるべき原告らの利益の内容及び性質を考慮すれば,原告らが本件処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有すること,すなわち,原告適格を有することは明らかである。 ア墓埋法の趣旨及び目的墓埋法10条1項は,墓地を経営しようとする者は,都道府県知事の許可を受けなければならないものとしている。これは,墓地の管理が,近隣地域における公衆衛生を始めとする公共の福祉の見地から支障なく行われるようにするという同法の目的(1条)を実現するための規定であり,墓地の設置及び運営と公衆衛生の確保や近隣住民の生活環境との適切な調整を都道府県知事の許可制に求めた趣旨と解される。 墓埋法10条1項は,その許可の要件については何も規定していない。 これは,墓地の経営が全国一律的な基準による規制になじまないため,都道府県知事の判断にゆだねようとする趣旨である(最高裁平成10年(行ツ)第10号同12年3月17日第二小法廷判決・裁判集民事197号661頁。以下「平成12年最高裁判決」という)。 したがって,墓埋法は,墓地経営に関する許可や管理について各地方の実情に応じて別段の規制がされることを予定しているものというべきである。また,墓地等の経営許可に関する事務は,昭和58年法律第83号による墓埋法等の改正により,それまでの都道府県知事に対する機関委任事務(現在の法定受託事務)から都道府県に対する団体委任事務(現在の自治事務)に改められている。その趣旨は,墓地等の経営が高度の公益性を有するとともに,国民の習俗習慣,宗教活動,各地方の地理的条件等国による一律的な裁 事務)から都道府県に対する団体委任事務(現在の自治事務)に改められている。その趣旨は,墓地等の経営が高度の公益性を有するとともに,国民の習俗習慣,宗教活動,各地方の地理的条件等国による一律的な裁量基準になじみ難く,これまでの許可事務の運用の在り方に照らしても,各地方ごとの判断にゆだねることがより合理的であるとされたためである。 このような趣旨及び経緯からすれば,法は,都道府県が当該地域の実情に応じて,条例をもって,公益に加えて個々人の個別的利益をも保護することを目的とした規定を定めることを許容しているというべきである。 イ本件条例の趣旨及び目的(ア) 距離制限規定(本件条例6条1項3号)本件条例6条1項3号は「住宅,学校,保育所,病院,事務所,店,舗等及びこれらの敷地(以下「住宅等」という)から墓地までの距離。 は,おおむね100メートル以上であること」と定めている(以下「本件距離制限規定」ともいう。 )本件距離制限規定は,墓地が一般には付近に設置されることが歓迎されない施設(いわゆる嫌忌施設)であることから,墓地の近隣に在る住宅等の所有者及び使用者の生活環境に係る利益を個別具体的に保護する趣旨であることが明らかである。すなわち,墓地が住宅等の周辺に設置されれば,住民等が相応の精神的苦痛を受け,更には周辺の地価が下落するなどの被害が当然に予想される。そして,そのような被害を直接的に受けるのは,墓地周辺の一定範囲の地域に居住する住民等に限られ,その精神的苦痛等は,墓地に近接すればするほど強くなる関係にある。 それゆえ,本件距離制限規定は,嫌忌施設であるがゆえに生じる精神的苦痛等から免れるべき周辺住民等(墓地からおおむね100メートル以内に居住等する者)の利益を個別的利益として保護する趣旨と解すべきである。 なお,本件距離 規定は,嫌忌施設であるがゆえに生じる精神的苦痛等から免れるべき周辺住民等(墓地からおおむね100メートル以内に居住等する者)の利益を個別的利益として保護する趣旨と解すべきである。 なお,本件距離制限規定は,専ら焼骨のみを埋蔵する墓地であって,知事(処分行政庁)が公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がないと認めるものについては適用しないものとされている(本件条例6条2項。しかし,そうであるからといって,本件距離制限規定が設けられ)ている意義や本件距離制限規定が周辺住民等の個別的利益を保護する趣旨を併せ持つことが否定されるわけではない。また,処分行政庁は,この適用除外規定を適用するかどうかを判断するに当たっては,本件距離制限規定が設けられた趣旨を踏まえて慎重に検討する必要があるという べきである。 (イ) 墓地構造設備基準(本件条例7条1項)本件条例7条1項は,墓地の構造設備基準を規定している。 墓地の境界に障壁又は密植した低木の垣根を設けることは,周辺地域から墓地内部が見通せたりして,周辺住民等の生活環境や平穏な感情が害されることがないようにする趣旨であることが明らかである。また,墓地に適当な排水路を設置したり,ごみ集積設備や緑地などを設けることも,周辺の住環境を損なわないようにする趣旨及び目的であることが明白である。 墓地がこれらの設備を欠くことによって被害を受けるのは,周辺住民等に限られており,その被害は墓地に近くなればなるほど強くなる関係にある。したがって,本件条例の墓地構造設備基準は,周辺住民等の個別的利益を具体的に保護する趣旨に出たものと解すべきである。 (ウ) 標識の設置,説明会の開催等,事前協議の指導(本件条例16条から18条まで)本件条例は,墓地経営の申請予定者に対し,隣接住民等への建設計画の周知のための標 趣旨に出たものと解すべきである。 (ウ) 標識の設置,説明会の開催等,事前協議の指導(本件条例16条から18条まで)本件条例は,墓地経営の申請予定者に対し,隣接住民等への建設計画の周知のための標識の設置や説明を義務付けた上で,隣接住民等から墓地の構造設備と周辺環境との調和に対する意見等が提出された場合には,処分行政庁が,事前協議をするよう申請予定者を指導できるとしている(本件条例16条から18条まで。これらの規定は,一般に嫌忌)施設とされる墓地の建設によって良好な住環境や生活環境に悪影響が及ぼされることが当然に予想されるところ,そのような悪影響等の被害を 最も直接的に受けるのは隣接住民等であることを踏まえて,このような悪影響を防止し,良好な生活環境を保全するために,隣接住民等の意見を墓地建設計画に反映させる趣旨であるものと解され,隣接住民等の個別具体的な生活環境保持の利益を保護するものである。 ウ本件処分に当たって考慮されるべき利益の内容及び性質前記の墓埋法及び本件条例の趣旨及び目的からすれば,本件処分に当たって考慮されなければならないのは,周辺住民等の良好な生活環境の保全の利益,そして,嫌忌施設である墓地の近隣で生活することから生じる精神的苦痛や地価下落等の財産的損害から免れるべき利益である。 ,,,,,一般に墓地及びその周辺では殺人性犯罪自殺等が多発しておりこれらの犯罪等が誘発されるおそれが高い。また,墓地からの排水,供物等に集まる烏,鼠及び蚊の発生等により周辺の衛生環境が破壊されること。 ,,は周知の事実であるさらに墓参等のために自動車等の交通量が増加し児童等の交通安全が脅かされる危険がある。墓地の設置による住環境の悪化を嫌って,本件土地周辺の賃貸物件から賃借人の流出が相次いでいる。 周辺住民等は であるさらに墓参等のために自動車等の交通量が増加し児童等の交通安全が脅かされる危険がある。墓地の設置による住環境の悪化を嫌って,本件土地周辺の賃貸物件から賃借人の流出が相次いでいる。 周辺住民等は,生活環境の急激な変化や将来への不安感等から多大な精神的苦痛を受け,これによるストレスで体調を崩した者も多い。 墓埋法や本件条例の趣旨及び目的に照らして相当とはいえない墓地の設置及び経営が許可された場合,そのような墓地に起因する被害を直接的に受けるのは,墓地周辺の一定の範囲に居住する住民等に限られ,その被害,。 の程度は居住地等が墓地に接近するにつれて増大するという性質を持つまた,被害を反復継続して受けた場合,ストレス等の健康被害,生活環境 の変化,不安感,精神的苦痛等の著しい被害に至らざるを得ない。個々の周辺住民等のこのような具体的な被害を受けない利益は,一般的公益の中に吸収解消されることは困難である。 本件土地周辺は,都市計画上,第一種低層住居専用地域とされており,低層住宅の良好な住居の環境が保護されなければならないものとされている。現に,原告らは,本件墓地ができるまでは閑静で良好な住環境を保持していた。このような住環境が,本件墓地の出現によって根底から破壊されることから生じる精神的苦痛等の不利益は甚大なものがある。 エ平成12年最高裁判決について平成12年最高裁判決は,墓埋法及び大阪府条例の規定の趣旨,目的等を検討して,周辺住民の原告適格を否定したものであるが,同判決は,平成16年の行政事件訴訟法改正前の事案であり,同改正とこれを受けた最高裁平成16年(行ヒ)第114号同17年12月7日大法廷判決・民集(「」。)59巻10号2645頁以下平成17年最高裁大法廷判決というが出された今となっては,本件の先例とはならない 高裁平成16年(行ヒ)第114号同17年12月7日大法廷判決・民集(「」。)59巻10号2645頁以下平成17年最高裁大法廷判決というが出された今となっては,本件の先例とはならない。また,当該事件が係争中であった同10年ないし12年当時の大阪府条例には,本件条例とは異なり隣接住民等への周知を図るための標識の設置,説明会の開催,行政庁の指導などの規定は存在しなかったのであり,その意味でも本件の参考にはならない。 (被告の主張)ア墓地経営許可の取消訴訟の原告適格本件処分は,墓埋法10条1項に基づく墓地経営許可処分であるから, 原告らの原告適格の有無を判断するについては,同項が,全体としての国民の利益ないし国民全体の利益すなわち公益の保護を目的としているのか,あるいは,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的法益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含んでいるのかを,同法の趣旨及び目的や本件処分において考慮されるべき利益の内容等を参酌するとともに,墓埋法と目的を共通にする関係法令があるか否か,関係法令がある場合には,その趣旨及び目的を参酌し,更には本件許可により原告らが受ける被侵害利益の有無及び程度も勘案し,総合的観点から判断されることとなる。 イ墓埋法の趣旨及び目的墓埋法1条の文言からは,墓地等の管理及び埋葬等の行為が,①国民の宗教的感情に適合すること,②公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障を生じないことが同法の目的であり,同法は,この2つの目的に沿って,墓地等の管理及び埋葬等の行為が行われるよう,各種の規制措置を講じようとするものであると解される。 そして,墓埋法が,①「国民の宗教的感情に適合すること」を目的としているのは,墓地の設置や埋葬等の 墓地等の管理及び埋葬等の行為が行われるよう,各種の規制措置を講じようとするものであると解される。 そして,墓埋法が,①「国民の宗教的感情に適合すること」を目的としているのは,墓地の設置や埋葬等の行為が国民の宗教的感情に根ざすものであって,それらが宗教的平穏の中で行われることが必要とされるからであり,この「国民の宗教的感情に適合する」とは,墓地の設置等の行為そ「」,れ自体がもともと国民全体の宗教的感情に根ざすものであることからその趣旨を最大限尊重すべきことを要請するものにほかならないと解すべきである。そうすると,ここでいう「国民の宗教的感情」とは,千差万別 な個々の国民の宗教的感情でなく,一般的な全体としての国民の宗教的感情を指すものと解される。 また,墓埋法が,②「公衆衛生その他公共の福祉の見地から,支障なく行われること」を目的としているのは,火葬若しくは埋葬等の行為又はこれらに係る施設の設置は,国民の宗教的感情に基づき社会慣習として行われているが,その取扱いのいかんによっては,公衆衛生その他公共の福祉の見地からの制約を加えることが必要とされる場合があるからであると解される。 以上の点からすれば,墓埋法1条が定める同法の趣旨は,全体としての国民の利益ないし国民全体の利益すなわち公益の保護を目的としているものと解され,国民の個別的な利益を保護することは目的としていないものと考えられる。 ウ墓埋法10条1項墓埋法10条1項は,許可の要件その他許可基準を特に定めていない。 これは,墓地等の経営が,高度の公益性を有するとともに,国民の風俗習慣,宗教活動,各地方の地理的条件等に依存する面を有し,一律的な基準による規制になじみ難いためであると解されることから,墓埋法は,都道府県知事が同法10条1項の許可をするに当たって,同法1条の 俗習慣,宗教活動,各地方の地理的条件等に依存する面を有し,一律的な基準による規制になじみ難いためであると解されることから,墓埋法は,都道府県知事が同法10条1項の許可をするに当たって,同法1条の目的の実現を知事の裁量的判断にかからしめるという限度で統一的規制をし,その許可基準については,当該地域における特殊性に照らして具体的に妥当な裁量判断を行うことを知事に期待し,これにゆだねる趣旨で同法上特に規定しなかったものと解される(平成12年最高裁判決参照。 ) したがって,墓埋法10条1項は,同規定そのものにおいて,また,同法1条とあいまって,公益実現のための墓地等の経営に関する許可の判断,,を知事の広範な裁量にゆだねる規定と解すべきであるから同項の許可も全体としての国民の利益ないし国民全体の利益すなわち公益の保護を目的としているものと解すべきである。 エ本件条例本件条例は,墓埋法によって都知事にゆだねられた裁量権の行使の基準を定める委任条例ということができるから,本件条例の各規定を根拠に,一般的公益以上に個々人の個別的利益が保護されていると解することはできない。仮に,本件条例の各規定を根拠に,個々人の個別的利益が保護されていると解するならば,それは墓埋法によりゆだねられた条例制定権の範囲を超えるものであるから,墓埋法に抵触して違法,無効といわざるを得ない。 本件条例6条1項3号,7条1項,16条1項,17条1項及び18条1項の各規定を個別にみても,以下のとおり,原告らに本件処分の取消しを求める訴えの原告適格を認める根拠とはならない。 (ア) 本件条例6条1項3号本件条例6条1項3号の規定を墓地からおおむね100メートル以内に居住する周辺住民の個別的な利益を保護する規定と解するならば,それは墓埋法に反する無効な規定といわざ 。 (ア) 本件条例6条1項3号本件条例6条1項3号の規定を墓地からおおむね100メートル以内に居住する周辺住民の個別的な利益を保護する規定と解するならば,それは墓埋法に反する無効な規定といわざるを得ない。 また,墓地からの距離100メートルを境として,墓地周辺に居住する者の法律上保護された利益の有無を分ける合理的な理由を見いだすこ とはできない。本件条例6条1項3号の規定自体「おおむね100メートル」というように極めて曖昧であり,取消訴訟の原告適格の有無を峻別する基準とするには,あまりにも漠然としていて不明確である。そして,同号において墓地等からおおむね100メートルの距離を保つべきであるとされた施設は「住宅,学校,保育所,病院,事務所,店舗」,などと多種多様であり,そこに在住,在校等する者の属性も千差万別であるにもかかわらず,包括的に規定していること,しかも「住宅…店,舗等」とされており,この「等」といった概括的規定が置かれているような,広範かつ漠然としていて希薄な規定からする限り,同号がある特定の施設の設置者等の個別的利益を保護していると解することは困難である。 さらに,本件条例6条1項3号の適用については,同条2項により,焼骨のみを埋蔵する墓地については,許可権者が公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がないと認めるものについては適用しないとされているところ,このように同条1項3号の規定が公益的見地からのみ解除が許されていることからも,同規定がある特定の施設の設置者等の個別的利益を保護しているとは解し難い。 加えて,練馬区は土葬禁止地域とされていて,本件墓地は焼骨のみを埋蔵する墓地であるところ,本件墓地の周辺は上下水道が整備されており,公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がないと認められることが明らかであるから は土葬禁止地域とされていて,本件墓地は焼骨のみを埋蔵する墓地であるところ,本件墓地の周辺は上下水道が整備されており,公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がないと認められることが明らかであるから,仮に,本件条例6条1項3号の規定が周辺住民等の個別的利益の保護を目的とすると解する余地があったとしても,本件 墓地に適用されないこととなるから,いずれにしても,同規定を根拠に原告らに本件処分の取消しを求める訴えの原告適格を認めることはできない。 したがって,同規定は,許可権者が,墓埋法1条の公益の保護の観点から墓地経営についての許否を判断するに当たり,当該判断の際の一応の目安として存在し,許否審査の便宜に供し,行政の適正な運用,確実な実施,正当性の担保等のための手続的規定にすぎないと解するべきである。 (イ) 本件条例7条1項について東京都が墓地条例の運用上の解釈等について定めた「墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例の運用について(昭和60年3月2」8日付け59衛環環第964号保健所長あて衛生局長通知。以下「本件」。),(),通知というによれば本件条例7条1項1号障壁又は垣根はみだりに人畜が出入りすることを防ぐとともに,墓地の静寂な環境を保持しようとするものであるとされ,同項2号(通路)は,墓地の利用者等の利便及び良好な施設環境の保持を考慮したものであるとされ,同項3号(排水路)は,環境衛生の保持及び墓地の利用者等の利便に供するためであるとされ,同項4号(ごみ集積設備,給水設備等)は,施設の維持管理,墓地の利用者の利便性のために定めたものであるとされ,同項5号(緑地)は,墓地の景観や良好な環境の保持,周辺の環境との調和を図るためであるとされ,このうち同項4号の管理事務所,ごみ集積設備,給水設備,便所 用者の利便性のために定めたものであるとされ,同項5号(緑地)は,墓地の景観や良好な環境の保持,周辺の環境との調和を図るためであるとされ,このうち同項4号の管理事務所,ごみ集積設備,給水設備,便所及び駐車場については,墓地の維持管理,利用者 の利便性に支障がない場合等は設けなくても良いとされている。これらのことからすれば,同項各号が定める基準は,墓埋法1条の目的のために,墓地の維持管理,墓地の利用者の利便性を考慮したものであって,周辺住民の個別的利益の保護を目的としたものでないことは明らかである。 (ウ) 本件条例16条1項,17条1項及び18条1項についてこれらの規定は,墓地等がいわゆる嫌忌施設であると一般的に認識されており,墓地等が設置されるとなると,隣接住民等の中には,不快な感情を抱く者が少なからず存在することが容易に想定されるため,墓地等の経営に当たっては,このような隣接住民等に対し,情報を提供し,意見調整を図ることなどを墓地の経営者に義務付けるなどすることで,墓地経営者と隣接住民等との間の相互理解が得られ,墓地経営が円滑に行われることとなり,これによって,墓地行政の適正な運用,確実な実施,正当性等が担保されることを目的としていると解される。したがって,これらの規定は,上記のような行政の適正な運用等のための手続的規定にすぎず,トラブル防止のための規定であると解するほかない。本件通知においても「事前周知制度は,墓地開発をめぐる隣接住民等とのあつれきを未然に防止することを目的としている」としており,このことからも,これらの規定がトラブル防止のための規定であることは明白である。 オ原告らの主張する被侵害利益の内容及び侵害の程度について原告らが主張する被侵害利益の内容をみると,いずれも本件処分によっ て直ちに発生する損 ラブル防止のための規定であることは明白である。 オ原告らの主張する被侵害利益の内容及び侵害の程度について原告らが主張する被侵害利益の内容をみると,いずれも本件処分によっ て直ちに発生する損害ではない。そのうち,殺人,性犯罪等が誘発される危険性が高くなること,墓参等のために自動車等の交通量が増加し,児童等の交通安全が脅かされる危険があること,及び周辺の良好な生活環境が著しく侵害され,住環境の悪化を嫌って,賃貸物件から賃借人の流出が相次いでいることの各点は,墓埋法1条の目的である「国民の宗教的感情」及び「公衆衛生その他公共の福祉」のいずれの点とも関係がないものである。 また,本件墓地が特に犯罪の発生する蓋然性の高い施設であるという点につき,何ら具体的な証拠が示されていない。 墓地からの排水については,原告らに何らかの被害が生じるとは考えられず,供物等に集まる烏,鼠及び蚊の発生等についても,墓地ゆえに生じる問題ではないし,仮に何らかの問題が生じても,墓地管理の中で対応できる問題である。 墓参等による自動車等の交通量の増加は,1年を通じてもごく限られた期間の合計でも10日間程度であり,その程度の日数の交通量の増加は,墓地特有の問題とはいえない。 ,。 周辺住民の精神的苦痛による健康被害についても客観的な証拠はない以上のとおり,原告らの主張する被侵害利益の内容及び侵害の程度は,全くないか,あったとしても極めて低いというべきであるから,原告らの原告適格を基礎付けるものでないことは明らかである。 (2) 争点(2)(狭義の訴えの利益)について(原告らの主張) 本件処分が取り消されれば,事業者は,本件墓地の経営行為(新たに施設や墳墓を設置すること,墓地区画の利用権を設定すること,焼骨を埋蔵させること等の管理運営に当たる行為)ができなく 告らの主張) 本件処分が取り消されれば,事業者は,本件墓地の経営行為(新たに施設や墳墓を設置すること,墓地区画の利用権を設定すること,焼骨を埋蔵させること等の管理運営に当たる行為)ができなくなるのであって,原告らの不利益の更なる拡大を防止できる。のみならず,新たな管理運営行為ができなければ,既存の墓地についても埋葬をそのまま継続することは事実上不可能となり,本件墓地は早晩廃業せざるを得なくなる。 よって,本件処分を取り消すことにより原告らの利益侵害に関係する事実状態を解消させることができるのであるから,本件訴訟が狭義の訴えの利益を欠くことにはならない。 (被告の主張)本件墓地の造成工事は既に完了し,第三者たる墓地区画購入者に対して墓地区画の使用権の設定がされており,平成21年9月6日時点で120区画が売却済みで,焼骨が埋蔵された区画は28区画であり,順次墳墓の設置及び焼骨の埋蔵が進んでいる。墓埋法には,原状回復命令やその代替措置に係る規定はなく,行政庁が職権で墓地を廃止し,自ら原状回復をすることができる旨の規定もないから,本件処分が取り消され,本件墓地の経営ができなくなったとしても,これによって原告らのいう権利利益である嫌忌施設からの自由や地価下落による財産的損害を被らない利益が法的に回復される関係。 ,,,にはないしたがって本件訴えのうち本件処分の取消しを求める部分は狭義の訴えの利益がなく,不適法である。 (3) 争点(3)(本件処分の適法性)について(原告らの主張) ア手続違反Bは,練馬区保健所長から事前協議の指導を受けたにもかかわらず,その指導に沿う事前協議を行わなかった。練馬区保健所長は,Bに対し,何らの指導もせず,不十分であることを認めていながら,漫然と本件処分をした。 原告らは,練馬区保健所のN生活 受けたにもかかわらず,その指導に沿う事前協議を行わなかった。練馬区保健所長は,Bに対し,何らの指導もせず,不十分であることを認めていながら,漫然と本件処分をした。 原告らは,練馬区保健所のN生活衛生課長(以下「N課長」という)。 が約束した説明会,意見照会及び事前協議の進め方,すなわち,隣接住民等に限定することなく,周辺住民等により構成された「O」という団体が主体的に関与するやり方を守ってほしいと要請していた。ところが,N課長の後任のP生活衛生課長(以下「P課長」という)はその約束を一方。 的に反故にしており,違法である。 ほごイ距離制限違反本件墓地は住宅地の真ん中に建設されており,本件距離制限規定に違反することは明らかである。 本件距離制限規定は,近隣住民等の福祉や利益の関係で支障がある場合には,適用除外とすることは許されない。練馬区保健所長は,本件条例6条2項の規定する適用除外の要件があるかどうか慎重に調査検討をすべきであるのに,全く調査検討をしないまま,本件距離制限規定を適用しないものと決め付けて本件処分をしており,違法である。 ウ粗略な境界垣根,,本件墓地の境界には垣根が設けられているが密植しているとはいえず墓地の敷地外から墓地内が丸見えとなっている。また,墓地側から原告ら の住居内も丸見えである。このような粗略な境界垣根は,周辺の住環境及び生活環境を著しく侵害し,また,本件条例違反でもある。明白な条例違反を見逃してされた本件処分は不合理である。 エ裁量権の逸脱又は濫用(ア) 一般に,墓地及びその周辺では,殺人,性犯罪,自殺等が多発しており,本件墓地の周辺でもこれらの犯罪等が誘発されるおそれは高い。また,墓地からの排水,供物等に集まる烏,鼠及び蚊の発生等により周辺の衛生環境が破壊されることは周知の事実で 性犯罪,自殺等が多発しており,本件墓地の周辺でもこれらの犯罪等が誘発されるおそれは高い。また,墓地からの排水,供物等に集まる烏,鼠及び蚊の発生等により周辺の衛生環境が破壊されることは周知の事実である。さらに,墓参等のために自動車等の交通量が増加し,児童等の交通安全が脅かされる危険がある。 本件土地周辺は,都市計画上,第一種低層住居専用地域であり,良好な生活環境が確保されていたが,本件墓地の設置により,その良好な生活環境が著しく侵害されている。住環境の悪化を嫌って,既に,本件土地周辺の賃貸物件からは,賃借人の流出が相次いでいる。 周辺住民等は,生活環境の急激な悪化や将来への不安感等から多大な精神的苦痛を受け,これによるストレスで体調を崩した者も多い。そして,練馬区保健所長は,これらの被害の申告を受けていたにもかかわらず,これを考慮せず本件処分をした。 (イ) Bにおいて本件墓地の用地取得資金のために3億8270万円余りの寄付収入があったかどうか極めて疑わしく,裏付け調査も行われておらず,資金計画書も杜撰である上,その資金計画によれば,11億円余りずさんの多額の利益を予備費として計上しており,露骨な営利目的の墓地経営 である。また,Bが公益事業として墓地経営を行うことに関する規則変更について東京都知事の認証を受けたのは平成20年10月28日であり,本件処分当時,上記規則変更の認証は未了であった。本件処分に当たっての審査手続は,これらについての適切な調査を欠いている。 (ウ) 本件処分は,上記のような考慮すべき事情を考慮せずにされたものであり,かつ,社会的相当性を著しく欠くものであって,裁量権の逸脱又は濫用である。 (被告の主張)ア本件処分の適法性練馬区保健所長は,Bが提出した墓地等経営許可申請書の記載事項及びこれに添付された り,かつ,社会的相当性を著しく欠くものであって,裁量権の逸脱又は濫用である。 (被告の主張)ア本件処分の適法性練馬区保健所長は,Bが提出した墓地等経営許可申請書の記載事項及びこれに添付された各関係書類に対する審査や,工事進行状況の確認等の現地調査により,墓埋法10条1項所定の墓地の経営許可の要件として本件条例が定めている経営主体の基準(本件条例3条,設置場所の基準(同)6条)及び構造設備基準(同7条1項)等をいずれも満たしていると認めて本件処分をしたものであって,適法である。 イ手続違反の不存在練馬区保健所長は,Bの行った平成19年9月1日の事前協議を十分なものとせず,Bに対し,欠席した隣接住民等に対して意見の申出を求めるよう指導し,これを受けて,Bは,欠席した隣接住民等に対し,事前協議の報告をするとともに,意見や要望の申出を求めている。また,意見の申出や説明会の開催等隣接住民等に対する配慮に係る手続は尽くされ,それに加え,補足説明会等が数多く行われ,かつ,当初の標識の設置から3年 近く経過していたという状況も合わせて考慮すれば,事前協議は十分尽くされたと評価でき,練馬区保健所長が,Bの不十分な事前協議を黙認したということはない。 また,原告らの主張するN課長との約束はないし,P課長は,本件条例に忠実に事務遂行したものであるから,この点から違法と評価される余地はない。 ウ距離制限規定の不適用本件墓地は焼骨のみを埋蔵する墓地であり,かつ,本件墓地の敷地は高燥で,その周辺は上下水道が100パーセント普及している地域であるから,本件距離制限規定の趣旨に照らし,公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障を発生させる事情がないと認められることも明らかである。したがって,本件墓地に本件距離制限規定は適用されない。 エ境界垣根の存 本件距離制限規定の趣旨に照らし,公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障を発生させる事情がないと認められることも明らかである。したがって,本件墓地に本件距離制限規定は適用されない。 エ境界垣根の存在本件墓地の境界に設けられた垣根は,密植した低木の垣根であり,本件条例7条1項1号の基準を満たしている。そして,本件通知によれば,同号の規定は,みだりに人畜が出入りすることを防ぐとともに,墓地の静寂な環境を保持しようとするための規定であるから,敷地外から墓地内が見えること等をもって,直ちに同規定に違反することにはならない。 オ原告らのその他の主張について前記のとおり,本件墓地が特に犯罪の発生する蓋然性の高い施設であるという証拠はなく,墓地からの排水によって原告らに何らかの被害が生じるとは考えられず,墓参等により自動車等の交通量が増加するのはごく限 られた期間である。また,原告らの主張する精神的苦痛や健康被害は,いずれも具体性がない。さらに,練馬区保健所長は,寄付の事実を証する書類を確認し,基本財産等についても確認して,墓地経営に支障がないことを確認しており,資金計画書に不自然なところはない。 そして,本件処分時において,墓地の経営を行うことに関してBの規則変更がされる見込みがあったし,本件処分後の平成20年10月28日に上記規則変更の認証がされたものであるから,この点についても瑕疵があるということはできない。 したがって,本件処分について裁量権の逸脱又は濫用がある旨の原告らの主張は失当である。 (4) 争点(4)(国家賠償法上の違法の有無)について(原告らの主張)本件処分は,前記(3)の原告らの主張のとおり,処分行政庁の裁量の範囲を逸脱した違法なものである。 (被告の主張)本件処分に違法性がないことは,前記(3)の被告の主張のとおり いて(原告らの主張)本件処分は,前記(3)の原告らの主張のとおり,処分行政庁の裁量の範囲を逸脱した違法なものである。 (被告の主張)本件処分に違法性がないことは,前記(3)の被告の主張のとおり明らかである。 また,国家賠償法1条1項の違法とは,公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務違背をいうものと解される。しかるに,本件処分は,墓地経営許可申請者に対し,それが法令の基準に適合するか否かを審査して判断し,適合すると認められた場合は,これを許可するというものであり,本件処分に当たり,原告らに対し,直接法令上の義務を負っているというも のではない。これは,仮に墓埋法の一部の規定が,直接近隣住民等の権利利益を個別的に保護するものであったとしても異なるところではない。したがって,仮に,本件処分に当たり,被告(練馬区保健所)の職員に職務上の義務違反があったとしても,これをもって直ちに,原告らに対する国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任の根拠とすることはできない。 (5) 争点(5)(本件処分と因果関係のある原告らの損害の有無及び損害額)について(原告らの主張)本件墓地の設置により,原告らの生活環境は著しく悪化し,これに伴い重大な精神的苦痛やストレス等による健康被害を受けている。本件処分がなければ,本件墓地の経営が開始されることはなかったから,原告らの損害は,違法な本件処分により引き起こされたものである。これを慰謝する慰謝料は原告1人当たり10万円を下らない。 (被告の主張)争う。違法な本件処分に基づくと原告らが主張する損害については,何ら具体的,客観的な立証はされていない。 第3当裁判所の判断 争点(1)(原告適格)について行政事件訴訟法9条1項にいう「法律上の利益を有する者」とは,当該処(1)分により自己の権 ては,何ら具体的,客観的な立証はされていない。 第3当裁判所の判断 争点(1)(原告適格)について行政事件訴訟法9条1項にいう「法律上の利益を有する者」とは,当該処(1)分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的,,に侵害されるおそれのある者をいうのであり当該処分を定めた行政法規が不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめ ず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には,このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり,当該処分によりこれを侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者は,当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。そして,処分の相手方以外の者について上記の法律上保護された利益の有無を判断するに当たっては,当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく,当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮すべきであり,この場合において,当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては,当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌し,当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては,当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案すべきものである(同条2項参照(以上に)つき,平成17年最高裁大法廷判決参照。 )上記の見地に立って,原告らが本件処分の取消しを求める訴えの原告適格を有するか否かについて検討する。 (2) 墓埋法10条1項は,墓地等を経営しようとする者は,都道府県知事の許可を受けなければならない旨規定するのみで,その許可の要件につ 取消しを求める訴えの原告適格を有するか否かについて検討する。 (2) 墓埋法10条1項は,墓地等を経営しようとする者は,都道府県知事の許可を受けなければならない旨規定するのみで,その許可の要件について特に。 ,,,規定していないこれは墓地等の経営が高度の公益性を有するとともに国民の風俗習慣,宗教活動,各地方の地理的条件等に依存する面を有し,一律的な基準による規制になじみ難いことを考慮して,墓地等の経営に関する許否の判断を都道府県知事の広範な裁量にゆだねる趣旨に出たものであっ ,,,,て墓埋法は墓地等の管理及び埋葬等が国民の宗教的感情に適合しかつ公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障なく行われることを目的とする法の趣旨に従い,都道府県知事が,第1次的には公益的見地から,墓地等の経営の許可に関する許否の判断を行うことを予定しているものと解される。 ところで,本件条例は,墓埋法10条の規定による経営の許可等に係る墓地等の構造設備及び管理の基準並びに事前手続その他必要な事項を定めることを趣旨とするものであり(本件条例1条,墓埋法と目的を共通にする関)係法令ということができる。 本件条例は,墓地等の設置場所の基準として,6条1項2号において,河川,海又は湖沼から墓地までの距離は,おおむね20メートル以上であること,同項3号において,住宅等から墓地までの距離は,おおむね100メートル以上であること,同項4号において,高燥で,かつ,飲料水を汚染するおそれのない土地であることを定めている。そして,同条2項において,専ら焼骨のみを埋蔵する墓地に限り,公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がないと認めるものについて,同項2号及び3号の規定は適用しないものと定められており,土葬が行われる墓地については,住宅等から墓地までの,。 , 地に限り,公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がないと認めるものについて,同項2号及び3号の規定は適用しないものと定められており,土葬が行われる墓地については,住宅等から墓地までの,。 ,距離はおおむね100メートル以上であることが必須とされているまた,。 同項4号については公共の福祉の見地からの適用除外は認められていないそして,本件条例7条1項3号は,墓地の構造設備基準として,雨水又は汚水が滞留しないように適当な排水路を設け,下水道又は河川等に適切に排水することを,同項4号はごみ集積設備等の設置を定め,さらに,本件条例12条3号は,墓地等の管理者の講じなければならない措置として,墓地等を 常に清潔に保つことを規定している。これらの規定は,いずれも墓地等の周辺地域の飲料水の汚染等の衛生環境の悪化を防止することを目的としているということができる。 加えて,本件条例16条1項及び17条1項は,墓地経営の許可の申請予定者は,申請に先立って,隣接住民等に対し,標識の設置や説明会の開催等によって墓地等の建設計画を周知して説明しなければならない旨規定し,本件条例18条1項は,隣接住民等は,公衆衛生その他公共の福祉の観点から考慮すべき意見,墓地等の構造設備と周辺環境との調和に対する意見及び墓地等の建設工事の方法等についての意見の申出ができ,知事は,正当な理由があると認めるときは,申請予定者に対し隣接住民等との協議を行うよう指導することができるとされ,本件条例は,隣接住民等に対して,墓地経営許可に係る手続への関与を認めている。 そして,墓埋法10条1項及び本件条例に基づく墓地経営の許可は,本件条例6条以下の基準に適合することを要件としてされるものであると解されるところ,上記墓埋法の規定に加えて,本件条例の規定の趣旨及び目的をも参酌し, 0条1項及び本件条例に基づく墓地経営の許可は,本件条例6条以下の基準に適合することを要件としてされるものであると解されるところ,上記墓埋法の規定に加えて,本件条例の規定の趣旨及び目的をも参酌し,併せて本件条例において,上記のように墓地等の周辺地域の飲料水の汚染等の衛生環境の悪化を防止することを目的とした規定があり,隣接住民等に対して墓地経営許可に係る手続への関与を認めた規定があることをも考慮すれば,墓地経営許可に関する墓埋法及び本件条例の規定は,墓地の経営に伴う衛生環境の悪化等によって,墓地の周辺地域に居住する住民に健康又は生活環境の被害が発生することを防止し,もって良好な衛生環境を確保し,良好な生活環境を保全することをも,その趣旨及び目的とするものと解 される。 (3) 本件条例の規定に違反した違法な墓地の経営が許可された場合には,そのような墓地の経営に起因して,周辺地域の飲料水ともなる地下水の汚染,土壌の汚染,雨水や汚水の滞留,供物等の放置による悪臭又は烏,鼠及び蚊の発生及び増加,排水設備の不備による周辺への浸水などが生じるおそれがあ。 ,,,,るそして周辺住民等すなわち墓地の周辺の一定範囲の地域に居住し又は住宅を有する者は,上記のような衛生環境の悪化による被害を直接受けるおそれがあり,その被害の程度は,住宅の場所が墓地に接近するにつれて増大するものと考えられる。また,周辺住民等がそのような被害を反復,継続して受けた場合には,それは,周辺住民等の健康や生活環境に係る著しい被害にも至りかねないものである。そして,墓埋法10条1項の許可をする際に考慮すべき基準等を定める本件条例の各規定は,周辺住民等に対し,条例違反の墓地の経営による墓地周辺の衛生環境の悪化により健康又は生活環境に係る著しい被害を受けないという具 10条1項の許可をする際に考慮すべき基準等を定める本件条例の各規定は,周辺住民等に対し,条例違反の墓地の経営による墓地周辺の衛生環境の悪化により健康又は生活環境に係る著しい被害を受けないという具体的利益を保護しようとするものと解されるところ,そのような被害の内容や性質,程度等に照らせば,この具体的利益は,一般的公益の中に吸収解消させることが困難なものといわざるを得ない。 そして,墓埋法は,前記のとおり,墓地等の管理や埋葬が公衆衛生の見地からも支障なく行われることも目的としており,また,墓地等の経営が国民の風俗習慣,宗教活動,各地方の地理的条件等に依存する面を有し,一律的な基準による規制になじみ難いことから,墓地等の経営の許否について都道府県知事に広い裁量を与えており,各地方の実情に応じた判断の基準を各都 道府県の条例によって定めることを予定しているということができる。そうすると,墓埋法は,各地方の実情に応じて,条例において違法な墓地の経営による墓地周辺の衛生環境の悪化による健康又は生活環境に係る著しい被害を受けないという具体的利益を墓地の周辺住民等の個別的利益として保護することも予定しているというべきであり,墓埋法10条1項は,第1次的には公益的見地からの規制を予定しているものの,それとともに周辺住民等の健康又は生活環境に係る著しい被害を受けないという利益を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を有すると解するのが相当である。 したがって,周辺住民等のうち,違法な墓地経営に起因する墓地周辺の衛生環境の悪化により健康又は生活環境の著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は,墓地経営許可の処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,その取消しの訴えにおける原告適格を有するというべきである。 (4) ところで 境の著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は,墓地経営許可の処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,その取消しの訴えにおける原告適格を有するというべきである。 (4) ところで,本件条例6条1項3号は,原則として住宅等から墓地までの距離はおおむね100メートル以上であることとしており,おおむねその範囲内の地域に居住し,又は住宅を有する周辺住民等については前記のような被害が直接及び得ることを想定していると考えられるところ,証拠(甲41の1,42から53まで)及び弁論の全趣旨によれば,原告Aについては,本件墓地からその居住地までの距離が約127.5メートルであって,おおむね100メートルの範囲内とは認め難いが,それ以外の原告らについては,本件墓地からおおむね100メートルの距離の範囲内の地域に居住し,又は住宅を有する者と認められ,本件墓地周辺の衛生環境の悪化による健康又は 生活環境の著しい被害を直接受けるおそれがある者ということができるから,本件処分の取消しを求める法律上の利益を有する者であると認めることができる。 したがって,原告Aを除く原告らは,いずれも本件処分の取消しの訴えの原告適格を有するというべきである。 争点2(狭義の訴えの利益の有無)について被告は,本件処分が取り消されても,原状回復命令等はできず,墓地が廃止されない限り,原告らの主張する不利益がなくなるわけではないなどとして,原告らには狭義の訴えの利益がない旨主張する。 しかしながら,本件処分が取り消されれば,事業者は本件墓地の経営が許されなくなるという法的効果が発生するのであるから,本件墓地の経営が開始されており,原状回復命令等ができないからといって,本件処分の取消しを求める訴えの利益がなくなるとはいえない。 よって,原告らには本件処分の取消し 法的効果が発生するのであるから,本件墓地の経営が開始されており,原状回復命令等ができないからといって,本件処分の取消しを求める訴えの利益がなくなるとはいえない。 よって,原告らには本件処分の取消しを求める狭義の訴えの利益があるというべきである。 争点3(本件処分の適法性)について(1) 認定事実前記第2の2の前提事実(以下「前提事実」という)に加え,証拠(各。 事実の後に付記する)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めるこ。 とができる。 アBは,平成16年8月17日,本件条例16条1項に基づき,本件墓地の建設計画に係る標識を設置し,同日,練馬区保健所長に対し,同標識を 設置した旨の届出をした。なお,この届出の際には,墓地等経営許可申請予定日は,同年11月18日とされていた(乙7)。 イBは,本件条例17条1項に基づき,平成16年8月29日,隣接住民等に対する本件墓地の建設計画に係る説明会を開催し,本件規則が規定している説明事項について説明を行い,同年9月14日,練馬区保健所長に対し,同説明会を開催した旨の報告をした。この説明会には,本件条例上の「隣接住民等」に該当しない周辺住民等も多数参加し,質問や意見が出された(乙8)。 ウ本件墓地予定地の周辺住民等から練馬区議会に対し,平成16年9月7日,本件墓地設置計画反対の請願が出された。なお,この請願は,同月15日,練馬区議会に付託され,練馬区議会保健福祉委員会は,同年12月3日,趣旨を了として採択すべきものと決定し,同月10日,練馬区議会本会議で承認された(乙45)。 エ周辺住民等からの要望により,練馬区は,平成16年10月29日,周辺住民等との本件墓地に関する意見交換会を開催した。意見交換会に出席した練馬区保健所のN課長は,本件条例の規定する意見の申出及び協 エ周辺住民等からの要望により,練馬区は,平成16年10月29日,周辺住民等との本件墓地に関する意見交換会を開催した。意見交換会に出席した練馬区保健所のN課長は,本件条例の規定する意見の申出及び協議の対象は隣接住民等であるが,隣接住民等も含めて周辺住民等の会が作られていて,その代表者が隣接住民等であるとすれば,隣接住民等の協議の中で周辺住民等の意見も反映して協議ができるという趣旨の発言をした。このように,練馬区保健所としては,本件条例に定める「隣接住民等」以外の周辺住民等を完全に排除するという対応はしておらず,隣接住民等に該当する者が周辺住民等の意見を代弁することは妨げないという対応をして いた。そして,練馬区と周辺住民等との意見交換会は,その後も同17年1月8日,同年3月13日,同年6月4日,同年11月13日,同18年2月26日,同年5月7日,同年12月2日及び同19年4月15日にも開催され,合計9回行われた(甲40,乙45,46)。 オ本件条例に基づく意見の申出の期限である平成16年10月18日まで,,に隣接住民等10名及びそれ以外の周辺住民等26名の合計36名からBに対し意見の申出がされた。N課長は,協議により解決を図ることは困難な状況にあると判断し,Bと住民との話合いの場を設ける必要があると考え,両者に住民代表とBの打合せ会を提案し,同打合せ会は,同年11月20日,同月27日,同年12月11日,同17年1月29日,同年2月26日,同年6月26日,同年10月30日及び同年12月18日の合計8回行われた。なお,N課長は,同年3月31日に異動し,その後は,後任のP課長が練馬区保健所の担当者として対応することとなった(乙。 45,46)カ平成16年11月18日は当初の本件墓地の経営許可申請予定日であったが,Bは,同 3月31日に異動し,その後は,後任のP課長が練馬区保健所の担当者として対応することとなった(乙。 45,46)カ平成16年11月18日は当初の本件墓地の経営許可申請予定日であったが,Bは,同日には上記申請をしなかった(乙1,7,45,弁論の。 全趣旨)キBは,練馬区保健所長の指導により,平成17年1月15日,同年3月26日及び同18年1月29日に,補足説明会を行った。これらの補足説,。(,,明会の出席者は隣接住民等に限定されてはいなかった乙45 弁論の全趣旨)ク原告Cが代表者である「O(以下「O」という)が本件墓地の設置に」。 ,,反対する内容の陳情を練馬区議会に対してしていたところ練馬区議会は平成18年4月18日,練馬区がBと住民らとの間の仲介をするようにとの意見を出した。そこで,練馬区は,区主催の説明会を,同年7月1日,同年9月2日,同年11月19日,同19年1月21日,同年3月17日及び同年5月12日の合計6回開催した。これらの説明会の出席者は,隣接住民等に限定されてはいなかった(甲19,乙46,弁論の全趣旨)。 ケ練馬区保健所長は,平成19年6月29日付けで,Bに対し,意見の申出の再受付をするよう指導した。Bは,この指導に従って,同年7月6日付けで隣接住民等に対して「お願い書」を送付し,同年8月6日までに練馬区保健所に意見申出書を出すよう連絡し,同日までに隣接住民等10名及びそれ以外の周辺住民等10名の合計20名から意見が出された。練馬区保健所長は,同月10日付けで,本件条例18条1項に基づき,Bに対し,隣接住民等との協議を行うよう指導した(甲12,乙46)。 コBは,平成19年8月18日付けで,隣接住民等に対し「事前協議についてのご案内」を送付し,同年9月1日に事前協議を開催す き,Bに対し,隣接住民等との協議を行うよう指導した(甲12,乙46)。 コBは,平成19年8月18日付けで,隣接住民等に対し「事前協議についてのご案内」を送付し,同年9月1日に事前協議を開催することを連絡し,同日,事前協議を行い,同月13日,練馬区保健所長に対し,事前協議の結果報告をした。これに対し,練馬区保健所長は,上記事前協議に出席しなかった隣接住民等に対する対応について,Bに対し指導し,これを受けて,Bは,同月15日付けの文書で,上記事前協議に出席しなかった隣接住民等に対し,上記事前協議の結果を報告するとともに,練馬区保健所から指導された協議すべき事項について,意見,要望等があれば,同月26日までに文書で出すよう連絡した(甲14,乙10,11,46)。 サこれに対し,隣接住民等のうち原告C及び原告FからBに対して,平成19年9月24日付けで意見が出されたが,それ以外の意見は出されなかった。上記各意見は,主として,事前協議の進め方が住民の意向を取り入れておらず,事前協議とは認められない,意見に対する回答も住民の意見に答えたものではない等の内容であり,本件条例18条1項各号に規定された意見とはいえないものであった(甲15,乙11,46)。 シBは,練馬区保健所長に対し,平成19年11月8日,本件墓地の経営の許可の申請(以下「本件申請」という)をし,同20年4月8日,墓。 地建設工事に着手した。練馬区保健所職員は,本件墓地経営許可申請書類を審査するとともに,同年10月14日に本件墓地建設工事の現地確認をするなどの調査をして,本件条例に適合しているか否かを検討し,本件申請を許可して支障ないものと認める旨の調査報告書を作成し,これを受けた練馬区保健所長は,同月24日,本件条例の規定する基準をいずれも満たすと認めて,本件 本件条例に適合しているか否かを検討し,本件申請を許可して支障ないものと認める旨の調査報告書を作成し,これを受けた練馬区保健所長は,同月24日,本件条例の規定する基準をいずれも満たすと認めて,本件処分をした(乙1,9,46)。 ス本件申請について調査を行った練馬区保健所環境衛生監視員に対し,東京都の宗教法人担当者は,Bの活動状況について特に問題は認められない旨報告している。また,本件申請の審査において,Bが本件墓地の敷地である本件土地を購入した代金3億8270万8480円については,売主からBに対し全額寄付されたこと,平成19年10月18日現在のBの普通預金残高は7001万円余りあり,資金計画や墓地の管理運営計画を有していること,Bが公益事業として墓地を経営しようとする場合の規則変更の認証手続を進めていることが確認されている。なお,東京都知事は, 同20年10月28日,上記規則変更の認証をした(乙1,36の1及。 び2,37の1及び2,38,40の1及び2),,。 ,セ本件墓地は河川海又は湖沼から20メートル以上離れているまた本件墓地の敷地は,高燥な土地であり,その周辺地域は上下水道が100パーセント完備しており,井戸水を飲料水にしている住宅はない。本件墓地には,雨水及び汚水が滞留しないように雨水桝や排水路が設けられてお,。(,,,り排水は下水道等に流されるようになっている乙14 29,原告C本人)ソ本件墓地の周囲には,密植された高さ約2メートルの常緑の生け垣が設けられている。本件墓地内には幅1メートル以上の透水性インターロッキング舗装による通路が設置されている(乙9,13,19,20)。 タ本件墓地には,ごみ集積設備,給水設備,便所,管理事務所及び12台分の駐車場が設置されている。上記 トル以上の透水性インターロッキング舗装による通路が設置されている(乙9,13,19,20)。 タ本件墓地には,ごみ集積設備,給水設備,便所,管理事務所及び12台分の駐車場が設置されている。上記ごみ集積設備は,蓋付きの堅牢なもので,容量も大きい。本件墓地内には,その敷地面積の約22.7パーセントに相当する約359平方メートルの緑地が設けられている(乙9,1。 3,24の1及び2,25,44)(2) 本件処分に至る手続の適法性についてア前提事実及び前記(1)の認定事実によれば,本件墓地の経営許可申請に先立って,Bは,本件条例16条1項に基づく標識の設置をし,同17条1項に基づく説明会を実施し,さらに,同18条1項に基づく練馬区保健所長の指導により隣接住民等との協議を実施したことが認められる。そして,練馬区及び練馬区保健所は,本件条例16条から18条までに規定さ れている手続を形式的に行えば足りるとしたものではなく,本件墓地計画について墓地建設予定地の周辺住民等の理解を得られるようBに対し補足説明会を行うことなどを指導し,また,練馬区と住民との意見交換会や練馬区主催の補足説明会を行うなどし,さらに,平成19年9月1日の協議,,に墓地設置反対の立場の隣接住民等が出席しなかったことからBに対しそれらの者に再度意見又は要望を提出する機会を与えるように指導するなど,本件条例で求められている手続が形式的なものとならないように繰り返し指導をし,Bと住民との間の相互理解のために尽力していたことが認められ,Bもその指導に従っていたことが認められる。したがって,本件処分に係る申請に至る手続は,本件条例の定めに従い,かつ,その趣旨どおりに行われたということができ,その手続における練馬区並びに練馬区保健所長及び同保健所職員の対応に違法とすべき 。したがって,本件処分に係る申請に至る手続は,本件条例の定めに従い,かつ,その趣旨どおりに行われたということができ,その手続における練馬区並びに練馬区保健所長及び同保健所職員の対応に違法とすべき点は認められない。 イこの点,原告らは,N課長が,事前協議の対象者について,本件条例が規定する隣接住民等に限定しないことを確約した旨主張し,後任のP課長らがこれを反故にし,不十分な事前協議を黙認したものであり,違法である旨主張する。 しかし,前記認定事実のとおり,平成16年10月29日のN課長の発言は,隣接住民等に該当する者が反対住民の会の周辺住民等の意見を代弁してそれが協議に反映されることは構わないという趣旨のものにすぎず,原告らの主張するような協議の対象者を隣接住民等に限定しないことを確約したものとは認められない。また,同17年3月13日のN課長の発言(甲40の資料4)についても,隣接住民等以外の住民を事前協議の対象 とするなどという発言をしていないことは明らかであり,原告ら主張のような確約をしたものとはいうことはできない。したがって,N課長が事前協議の対象者について隣接住民等に限定しないことを確約したとの事実を前提とする原告らの主張は,その前提を欠くものであって,いずれも採用することができない。 そして,そもそも本件条例18条1項の規定する意見の申出や協議の対象は「隣接住民等」と明確に規定されており,P課長が本件条例どおりの対応をしたことが違法であるということはできない。また,実際には,本件墓地に関して繰り返し行われた説明会の対象者は隣接住民等に限定されておらず,周辺住民等も参加して意見交換が行われていること,練馬区保健所は,平成19年6月29日付けで,Bに対し,意見の申出の再受付をするように指導し,意見の再受付が実施されたとこ 住民等に限定されておらず,周辺住民等も参加して意見交換が行われていること,練馬区保健所は,平成19年6月29日付けで,Bに対し,意見の申出の再受付をするように指導し,意見の再受付が実施されたところ,隣接住民等10名ばかりでなく,隣接住民等に該当しない周辺住民等10名からも意見の申出がされていること,原告Cは,隣接住民等に該当する者であって,意見の申出も事前協議への参加もすることができる者であるとともに,Oの代表者でもあるから,Oに属する周辺住民等の意見をこれらの手続に反映させることができたのであって,そのような方法によって周辺住民等の意見が反映されることについて,練馬区保健所は何ら否定していなかったことが認められる。そうすると,本件処分に係る申請に至る手続において,実,,際には本件条例の規定する隣接住民等に限らず周辺住民等が意見を述べ事業者と協議をする機会は十分に保障されていたものであり,事前協議が不十分であるという原告らの主張は採用することができない。 (3) 本件処分の適法性についてア原告らは,本件墓地は住居等から100メートル以上離れておらず,本件距離制限規定に違反しているから,本件処分は違法である旨主張する。 ,,,しかしながら本件条例6条2項は焼骨のみを埋蔵する墓地であって公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がないと認める場合は,本件距離制限規定は適用しないものと規定しているところ前提事実及び前記(1),の認定事実によれば,本件墓地は焼骨のみを埋蔵する墓地であって,次のような事実が認められる。 (ア) 経営主体であるBは,都内に事務所を有する宗教法人法4条2項の宗教法人であり,本件墓地の敷地である本件土地を所有しており,その宗教法人としての活動や墓地運営のための財政基盤,資金計画及び管理運営計画に特 体であるBは,都内に事務所を有する宗教法人法4条2項の宗教法人であり,本件墓地の敷地である本件土地を所有しており,その宗教法人としての活動や墓地運営のための財政基盤,資金計画及び管理運営計画に特に問題は見当たらない。 (イ) 本件墓地の設置場所は,河川,海又は湖沼から20メートル以上離れており,その敷地は,高燥な土地であり,その周辺地域は上下水道が100パーセント完備しており,井戸水を飲料水などとして利用している住宅はない。 (ウ) 本件墓地には,雨水及び汚水が滞留しないような排水路が設けられており,排水は下水道等に流されるようになっている。 (エ) 本件墓地内には幅1メートル以上の透水性インターロッキング舗装による通路が設置され,堅牢で容量も大きいごみ集積設備,給水設備,便所及び管理事務所が設置されている。 (オ) 本件通知第7条関係(四)によれば,駐車場の台数は墳墓の区画数の2 パーセント程度を設置目途とするとされているところ,本件墓地の総区画数560区画に対し約2.1パーセントに当たる12台分の駐車場が設置されている。 (カ) 本件墓地の周囲には,密植された高さ約2メートルの常緑の生け垣が設けられている。また,本件規則では墓地の敷地の総面積に占める緑地の割合が15パーセント以上と規定されているところ,本件墓地の敷地面積の約22.7パーセントに相当する緑地が設けられている。 このように本件墓地の経営主体やその財政基盤等に特に問題は見当たらず,本件墓地の敷地や構造設備は,本件条例の基準をいずれも満たしており,本件墓地の経営が周辺の衛生環境を悪化させ,周辺住民の健康又は生活環境の著しい被害を及ぼすようなものではないと認められることからすれば,これらの事実を総合して,練馬区保健所長において,公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がな を悪化させ,周辺住民の健康又は生活環境の著しい被害を及ぼすようなものではないと認められることからすれば,これらの事実を総合して,練馬区保健所長において,公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がないと判断し,本件距離制限規定を適用し,,ないこととして本件処分をしたことはその合理的裁量の範囲内であって適法ということができる。 イ原告らは,本件墓地の境界は,垣根となっているが密植しておらず,本件条例違反であり,周辺環境を著しく害していると主張する。 しかし,本件条例7条1号は,墓地の境界に密植した垣根を設けることにより,みだりに人畜が出入りすることを防ぐとともに,墓地の静寂な環境を保持しようとするものであるところ(本件通知第7条関係,前記認)定事実のとおり,本件墓地の境界の垣根は,この目的に適合する程度に常緑の低木が密植されていると認められるから,原告らの主張は採用するこ とができない。 ウ原告らは,墓地周辺では犯罪等が多発し,犯罪が誘発されるおそれが高いこと,墓地からの排水,供物等に集まる烏,鼠及び蚊の発生等により,周辺の衛生環境が破壊されること,墓参のため交通量が増加し,児童等の交通安全が脅かされること,本件土地周辺は都市計画法上の第1種低層住,,居専用地域であり良好な住環境及び生活環境が確保されていたことからこのような地域における墓地の経営を許可することは著しく妥当性を欠き,裁量権を逸脱ないし濫用するものであると主張する。 しかしながら,特に墓地周辺に限って犯罪が多発し,犯罪が誘発されるおそれが高いとの事実を認めるに足る証拠はない。また,本件墓地には,前記のとおり,排水設備やごみ集積設備があり,さらに,Bは,墓地の運営管理に当たって,供物等の持ち帰りを指導し,管理人において,花立ての水を入れ替えるなどして,蚊の発生 はない。また,本件墓地には,前記のとおり,排水設備やごみ集積設備があり,さらに,Bは,墓地の運営管理に当たって,供物等の持ち帰りを指導し,管理人において,花立ての水を入れ替えるなどして,蚊の発生を防ぐとしており(乙10,烏,)鼠及び蚊の発生等により周辺の衛生環境を著しく悪化させるものとは認められない。さらに,墓参者が自動車で来訪することで交通量がある程度増加することは想定されるが,それは盆,彼岸等の一定の時期に限られるものと考えられ,そのことで直ちに児童等の交通安全が脅かされるとまでいうことはできない。そして,第1種低層住居専用地域に墓地を建設することができないとする法的根拠は見当たらない。そうすると,練馬区保健所長が,前記アのとおりの本件墓地の設置場所の状況,本件墓地の構造設備等を総合考慮し,本件処分をしたことが,著しく妥当性を欠き裁量権を逸脱ないし濫用するものであるとはいえない。 エ原告らは,住環境の悪化を嫌って本件墓地周辺の賃貸物件から賃借人が流出していること,周辺住民は生活環境の急激な悪化や将来への不安感等から多大な精神的苦痛を受け,これによるストレスで体調を崩した者も多いこと,これらの被害を練馬区保健所長に申告していたのに,このような事情を考慮せずにされた本件処分は,裁量権の逸脱又は濫用であると主張する。 しかしながら,本件墓地周辺の賃貸物件の賃借人が本件墓地による住環境の悪化を嫌って流出しているとの事実や,本件墓地の設置によって周辺住民の体調が悪化したことを認めるに足る客観的証拠はない。また,前記(1)の認定事実によれば,練馬区及び練馬区保健所長は,原告ら周辺住民等の意見を考慮して,長期間にわたり,Bに対し補足説明会の実施等を繰り返し指導し,練馬区と住民の意見交換会,練馬区主催の説明会等を多数回にわたり実施 れば,練馬区及び練馬区保健所長は,原告ら周辺住民等の意見を考慮して,長期間にわたり,Bに対し補足説明会の実施等を繰り返し指導し,練馬区と住民の意見交換会,練馬区主催の説明会等を多数回にわたり実施するなどして,相互理解を深められるような努力をしてき,,,たものであり処分行政庁である練馬区保健所長は本件処分に当たって周辺住民等の事情を何ら考慮せずに本件処分をしたものということはできない。 なお,原告らの中には,自らの住居周辺に墓地が設置されることについて強い嫌悪感を持ち,精神的苦痛を感じている者があることが認められるところ,本件墓地が死者の焼骨を埋葬する施設であることから,そのような心情は理解できないではない。しかしながら,我が国では,人は皆,死亡すれば墓地に埋葬されるのが通常であって,墓地は極めて公益性の高い施設であるということができるところ,墓埋法は,墓地等の管理及び埋葬 等が,国民の宗教的感情に適合し,かつ,公衆衛生その他公共の福祉の見地から,支障なく行われることを目的としており,これは,墓地の設置や埋葬等の行為がそもそも国民の宗教的感情に根ざすものであり,それらが国民の宗教的平穏の中で行われることが必要であること,また,そのような国民の宗教的感情に基づき社会慣習としておこなわれる埋葬等の行為や墓地の設置が,公衆衛生その他公共の福祉の見地からの制約を加えることが必要な場合があることからであると解される。そして,本件条例はこの墓埋法に基づく墓地経営許可の基準等を規定しているものであって,本件通知の第18条関係(事前協議の指導)は「地価が下落する,嫌悪感を,覚える等,墓地等が迷惑施設であるかのような意見については,協議指導の対象として取り扱わない」としている。そうすると,周辺住民等の墓。 地に対する嫌悪感若しくは嫌悪感 「地価が下落する,嫌悪感を,覚える等,墓地等が迷惑施設であるかのような意見については,協議指導の対象として取り扱わない」としている。そうすると,周辺住民等の墓。 地に対する嫌悪感若しくは嫌悪感から生じる精神的苦痛,又は墓地周辺の地価の下落,賃借人の流出等の財産的被害を,墓埋法及び本件条例が個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むと解することはできないといわざるを得ない。そして,都市への人口集中が進んでいる中で,都市における墓地の必要性やその公益性の高さ,本件墓地が本件条例の定める各種の基準に適合しており,前記のとおり周辺の衛生環境を著しく悪化させるようなものではないと認められることなどからすれば,本件墓地の周辺に居住する原告らの中に本件墓地に対する嫌悪感又は精神的苦痛を感じている者があり,また,仮に本件墓地を理由として原告らの管理する賃貸物件から賃借人が流出したなどという事情があるとしても,そのことから,本件処分が裁量権の範囲を逸脱又は濫用したものとして違法で あるということにはならないというべきである。 オ原告らは,Bにおいて本件墓地の用地取得資金のために3億8270万円余りの寄付収入を受けたかどうか極めて疑わしく,資金計画書も杜撰である上,多額の利益を予備費として計上しており,露骨な営利目的の墓地経営であること,本件処分当時,Bが公益事業として墓地経営を行うことに関する規則変更について東京都知事の認証を受けていなかったことなどを主張し,本件処分に係る審査手続は,これらについての適切な調査を欠いていた旨主張する。 しかし,前記認定事実のとおり,本件土地の売買代金3億8270万8480円は,売主からBに寄付されたことが認められ,練馬区保健所長において,Bから提出された書面によりその事実を確認しており,また, しかし,前記認定事実のとおり,本件土地の売買代金3億8270万8480円は,売主からBに寄付されたことが認められ,練馬区保健所長において,Bから提出された書面によりその事実を確認しており,また,Bの預金残高についても確認して,墓地経営に支障がないことを確認していることが認められる。そして,資金計画書についても,特に不正確な点や不備があるということはできない。 また,証拠(乙35)によれば,本件墓地の収入は,永代使用料収入が大部分を占めており,想定より収入が少なくなることもあり得るところ,資金計画上,墓地経営の安定性及び永続性の観点から予備費が多くなることもやむを得ないと考えられるのであって,その金額をもって露骨な営利目的の墓地経営であるということはできない。 さらに,規則変更の認証の取扱いについては,本件通知4条関係第8号において「宗教法人法所管部署による規則の認証手続上,許可申請時に添付できない場合には,宗教法人法所管部署と協議し,規則変更の認証の状 況を確認の上,手続を行うものとする」とされており,調査報告書(乙。 1)にも「規則変更の認証手続を進めている」との記載があること,ま。 た,Bの規則変更が,本件処分の4日後の平成20年10月28日に認証されていることからすると,本件処分時点においては,規則変更の見込みが立っており,その確認の上,本件処分がされたものと認めるのが相当である。 よって,これらの点についての原告らの主張はいずれも採用することができない。 争点(4)(国家賠償法上の違法の有無)について前記3のとおり,本件処分は適法であり,国家賠償法上違法とする理由も認められない。したがって,原告らの被告に対する国家賠償請求は,いずれも理由がない。 第4 結論 よって,原告の訴えのうち墓地経営許可処分の取消しを求め 分は適法であり,国家賠償法上違法とする理由も認められない。したがって,原告らの被告に対する国家賠償請求は,いずれも理由がない。 第4 結論 よって,原告の訴えのうち墓地経営許可処分の取消しを求める部分は不適AAのその余の訴えに係る請求及法であるから,これを却下することとし,原告その余の原告らの請求は,いずれも理由がないからこれらを棄却することとびし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民訴法61条,65条1項本文を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部 杉原則彦裁判長裁判官波多江真史裁判官裁判官家原尚秀は,転補につき,署名押印することができない。 杉原則彦裁判長裁判官

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