平成21(ワ)1083 販売店地位確認等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成23年3月15日 福岡地方裁判所
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判決文本文43,583 文字)

平成23年3月15日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成21年(ワ)第1083号販売店地位確認等請求事件口頭弁論終結日平成22年12月7日判決 当事者の表示別紙1当事者目録記載のとおり 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求める裁判 1 請求の趣旨(1) 原告が,別紙2図面太線枠内の区域内において,被告が発行する新聞及びその他の刊行物を,被告の販売店として販売する旨の新聞販売契約上の地位にあることを確認する。 (2) 被告は,原告に対し,本判決確定の日の翌日から,被告が発行する別紙3商品目録記載の新聞等の各商品につき,各供給数記載の部数を各発行ごとに供給せよ。 (3) 被告は,原告に対し,1000万円及びこれに対する平成21年3月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (4) 上記(3)につき仮執行宣言 2 請求の趣旨に対する答弁(1) 主文第1項と同旨(2) 仮執行免脱宣言第2 事案の概要 本件は,被告と新聞販売店契約(以下「本件販売店契約」という。内容については後記のとおり。)を締結し,Y新聞販売店(以下,単に「販売店」ということがある。)を経営していた原告が,正当な理由なく被告から本件販売店契約の更新を拒絶され,新聞の供給を停止されることで,原告の本件販売店契約上の地位を侵害されたと主張して,被告に対し,①原告が従前の販売区域において契約上の販売店たる地位にあることの確認,②かかる地位に基づく新聞等の商品の供給,並びに③債務不履行又は不法行為による損害賠償請求権に基づき,慰謝料1000万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成21年3月26日から ことの確認,②かかる地位に基づく新聞等の商品の供給,並びに③債務不履行又は不法行為による損害賠償請求権に基づき,慰謝料1000万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成21年3月26日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払をそれぞれ求める事案である。 1 前提事実(証拠掲記のない事実は争いがない。)(1) 当事者等ア原告は,Y新聞販売店O(以下「O店」という。)を経営していた者である。 イ被告は,Y新聞の名称で,日刊新聞紙の発行等を業とする新聞社である。 被告は,平成14年7月1日に株式会社Aが分社化したことに伴い,同社の元西部本社管内の営業を包括的に承継した会社である。(以下,被告の前身の会社も含め,単に「被告」という。)Bは,被告の従業員であり,販売局販売第2部に所属し,平成13年1月から筑後地区のY新聞販売店を担当していた者である。 Cは,平成12年6月から平成14年6月まで,被告販売局販売第2部長の地位にあった者である。 ウ D会は,筑後地区において,Y新聞販売店を経営する店主をもって組織する団体である。 (2) 販売店契約の締結原告は,平成2年11月1日,被告との間で,原告が被告の発行するY新 聞その他の刊行物を,被告の販売店として,福岡県八女郡広川町付近の所定の特定区域(別紙2記載太線枠内)において販売する旨の本件販売店契約を締結し,平成8年8月1日に同内容で再度契約を締結し,現在に至っている。 本件販売店契約の内容は,要旨,以下のとおりである(甲イ4,乙2。なお,以下の各条項中,甲は被告を指し,乙は原告を指す。)。 1条甲と乙は,乙が甲の発行する新聞等(甲の発行する新聞以外の刊行物を含む。以下同じ)を販売区域において,甲の販売店として販売することを契約す 下の各条項中,甲は被告を指し,乙は原告を指す。)。 1条甲と乙は,乙が甲の発行する新聞等(甲の発行する新聞以外の刊行物を含む。以下同じ)を販売区域において,甲の販売店として販売することを契約する。 2条乙は,甲の販売計画に従い,新聞等の普及に努め,購読者に対して定価をもって販売し,かつ敏速,正確に戸別配達をする。 11条乙が次の各号の一に該当する場合は,甲は催告を要せず直ちに本契約を解除することができる。 1 甲の名誉又は信用を害し,あるいはその他甲に損害を及ぼす行為があったとき 1 不配遅配等の行為により戸別配達の完全が期待できないおそれが生じたとき 1 甲の示唆があるにもかかわらず販売成績,経営努力が認められないとき 1 Y新聞系統店との協調を欠くなど,同系統店に著しい迷惑を及ぼす行為があったとき 1 乙が営業上順守すべき諸法規に違反したとき 1 乙が配達その他業務一般につき購読者から不信を被り,または甲の販売方針に違背したとき 1 甲又は甲が承認する第三者機関に対し虚偽の申告を行ったとき16条本契約の期間は,成立の日から3年間とする。ただし,期間満了1か月以前に各当事者から何らの意思表示のないときは,契約は更 新されたものとする。 更新後の契約期間は1年間とし,以降も前項の例にならって自動的に更新するものとする。 本件販売店契約は,同契約16条の自動更新条項により,平成13年まで契約が更新され続けてきた。 なお,通常,新聞販売店契約は,テリトリー制という特徴があり,テリトリーにおける営業,販売,配達活動は,販売店が独占しており,新聞社は,第三者にこれを行わせてはならないこととなっている。 (3) 販売店の業務態勢等(本項につき甲イ10の1・2,甲イ10 り,テリトリーにおける営業,販売,配達活動は,販売店が独占しており,新聞社は,第三者にこれを行わせてはならないこととなっている。 (3) 販売店の業務態勢等(本項につき甲イ10の1・2,甲イ105,弁論の全趣旨)ア販売店は,被告に対し,原則として毎月4日,当月度の業務報告書の「今月の定数」欄に必要とする新聞の部数を記入して,当月分の被告発行の新聞紙等を注文する。「定数」とは,販売店から被告に対する注文部数を指し,「実配数」とは,販売店が被告に対して新聞等の実際の配達部数として報告する数であり,「予備紙」とは,定数と実配数の差であり,本来は,①新聞紙の破損等に備えた予備及び②読者に対するサービス又は宣伝用として販売店が無料で配布するものであることが予定されている。定数を増やすことを「増紙」,減らすことを「減紙」ともいう。 イ販売店の業務は,毎日1回ないし2回の戸別配達,新聞代金を定期的に集金する業務,及び購読者増加に向けられた営業活動が中心である。 原告の経営するO店のような販売店の収入は,新規読者の勧誘,獲得による新規購入契約の締結と,止押(とめおし)と呼ばれる既存の購読者に対する契約期間の更新ないし延長に大別される。これら営業活動は,販売店自体が行う場合と,販売店が,新聞販売の営業活動を専門とするセールス会社(セールス団ともいう。なお,以下,セールス会社のスタッフを「セールススタッフ」という。)に報酬を約して委託して行う場合がある。な お,セールス会社に対する報酬支払は,契約カードの購入という形で行われる。 被告においては,その契約する販売店が,新規読者の勧誘をセールス会社に委託することについては,販売店所長の団体であるY会や統一精算会を通じて補助金を出すなどしている一方,止押業務については,セールス会 においては,その契約する販売店が,新規読者の勧誘をセールス会社に委託することについては,販売店所長の団体であるY会や統一精算会を通じて補助金を出すなどしている一方,止押業務については,セールス会社に委託しないよう指導している。 ウ被告は,販売店に対し,各種の補助金を支出している。その主要な補助金の内容及び性格は,以下のとおりである。(甲イ105,乙47)(ア) 制度補助各販売店の毎月の定数と,各担当地域の世帯数に基づいて計算された基数に応じて,共通の基準により算出される補助金で,全ての販売店に対し支給される。 (イ) 特定補助経営状態の悪い販売店から申告のあった場合に,当該販売店の収支が赤字にならないようにする目的で支給される補助金であり,このうち「増紙補助」は,経営状態が極端に悪い販売店から申告があった場合に,被告が当該販売店の経営状況や増紙意欲,経営姿勢等を調査・確認した上で,支出の必要があり,支給による経営の改善可能性がある場合に限って支給されるものであり,「臨時補助」及び「従業員充実補助」は,増紙補助より緩やかな基準で支給されるものである。 (ウ) 規定補助販売店の申請により,一定の基準に基づいて支給される補助金で,基準を満たしていても,経営状態が極めて良好な販売店や,増紙に対する意欲の乏しい販売店に対しては支給されないこともあり得るが,実際上ほとんど全ての販売店に支給されている。 また,被告は,販売店がD会を通じてセールス会社に新規購読者の勧誘 業務を委託した場合,当該セールス会社に対し,補助金を支払っている。 (甲イ13)エ被告は,販売店に対し,定期的に業務報告を求めており,具体的には①業務報告書(毎月2回,4日と20日),②個人揚げカード報告書(各店の個人別新規勧誘者数及び 助金を支払っている。 (甲イ13)エ被告は,販売店に対し,定期的に業務報告を求めており,具体的には①業務報告書(毎月2回,4日と20日),②個人揚げカード報告書(各店の個人別新規勧誘者数及び止押数と内容を記載したもの。毎月1回),③拡張カード引継報告書(セールス業者から新規契約のカードを購入した旨とその内容を記載したもの。)の提出を求めている。 また,被告は,販売店に対し,販売地区の区ごとに,手板(配達員別に日々読者の移動を記載し配達部数を確認したもの。),読者一覧表(区域ごとの各読者名と購読種別等を記載したもの。),発証明細表(区域ごとに購読種別の売上枚数と金額を記載したもの。),増減表(毎月の新規購読者と契約切れの読者の一覧表。)を毎月作成し,店舗に常備し,被告が閲覧を求めたときに速やかに提示するよう求めている。 さらに,被告の販売担当員は,毎月2回ほど,各販売店を訪問し(以下,「訪店」というときは,かかる販売店への訪問を指す。),上記各書類を見てその店の販売状況を把握した上で,販売店に本社の販売方針を伝え,販売の努力を促すとともに,販売店からの相談があれば相談に乗り,販売店の成績が不振の場合には,その原因を指摘して努力を求めるなどしている。 (4) 訴訟に至る経緯ア平成12年4月に当時の被告の担当員がO店を訪店した際,業務報告書では7部とされていた予備紙が,実際には39部であることが判明した。その結果,原告は,同年5月18日付けで,「4月度業務報告書では,予備紙7部と報告していましたが,実際は約40部でした,虚偽の報告をしていた事を深く反省し今後も本社指示に従い増紙に励んでいくこと約束致すものであります」との誓約書とともに,「平成12年 10月目標増紙計画表」を作成し,被告の販売局長に提出した。 報告をしていた事を深く反省し今後も本社指示に従い増紙に励んでいくこと約束致すものであります」との誓約書とともに,「平成12年 10月目標増紙計画表」を作成し,被告の販売局長に提出した。 被告は,平成13年5月中旬頃,Bを通じて,原告に対し,原告の販売区域である広川地区世帯数5100世帯のうち,約1500世帯に相当する区域をO店から切り離して被告に返還するよう申し入れた。 原告は,同月29日,被告の販売局長であるE(以下「E局長」という。)に対し,上記申入れを拒否する旨回答したが,その際,「平成13年5月業務報告書に予備紙7部と記載しているが,それは嘘で実際は20部です。」と虚偽報告していたことを申告した。 さらに,その直後である平成13年6月25日にBがO店を訪店したところ,配達区域の一つとされる「26区」に不審な点があることに気づき,確認したところ,同区自体が架空区であり,その購読者とされている132人も架空読者であることが判明した。 イ被告は,平成13年6月28日,原告に対し,原告の努力不足が認められることや,部数実態報告に虚偽があることなどを理由に,O店の担当区域から一部区域を返還し,同地域の読者台帳を同月末までに引き渡すべきことを申し入れた。そして,原告がこれに応じない場合には,新聞販売店契約は同年7月末日をもって期間満了とし,更新しない旨を通知した。 原告は,同年7月25日,福岡地方裁判所小倉支部に対し,販売店の地位を仮に定めることを求める仮処分の申立てを行った(同庁平成13年(ヨ)第182号)。上記仮処分申立てについて,同年10月29日,原告が被告に対し,同年8月1日から本案第1審判決言渡しの日までの間,広川地区において,新聞等販売店契約上の地位にあることを仮に定める旨の決定がなされた。(以下「前 立てについて,同年10月29日,原告が被告に対し,同年8月1日から本案第1審判決言渡しの日までの間,広川地区において,新聞等販売店契約上の地位にあることを仮に定める旨の決定がなされた。(以下「前件仮処分」という。)ウ前件仮処分を受け,被告は平成13年11月,Bを原告の販売店に訪問させた。Bは,被告販売局宛ての第1期増紙計画表及び被告宛ての 誓約書を持参して,原告に対し,これらへの署名を求めた。 第1期増紙計画表は,同年12月から平成14年7月まで8か月間で合計110部(月平均約14部)の増紙を目標とする増紙計画を記載したものであった。また,誓約書の内容は,業務報告書の記載内容の明記,帳票類の完備・提示等,販売部数の透明性を厳守すること,上記計画表のとおり8か月計画を達成し,回収率目標150%以上を継続的に達成することなどのほか,これらにつき不履行があった場合,取引を中止されても異議を申し立てないというものであった。 これに対し,原告は,110部の増紙は達成不可能であるなどと言って,上記誓約書等への署名を拒否した。 すると,Bは,平成13年12月7日,原告に対し,①今後新聞供給は注文部数自由増減の下で継続するが,増紙業務は依頼しないこと,②D会の活動には不参画とすること,③業務報告は不要であるし,Bら担当員も訪店しないこと,④平成14年1月から増紙支援をしないこと,⑤所長年金積立は中止し,従業員退職金の補助等をしないこと,⑥セールス団関係は原告が直接処理すべきこと,⑦特別景品等は辞退されたいことなどを申し渡した。 (5) 地位確認等の訴えの提起原告は,平成14年9月25日,地位確認及び不当な更新拒絶による慰謝料の支払を求め,本案訴訟を福岡地方裁判所久留米支部に提起した(同庁平成14年(ワ)第276号)。そ ) 地位確認等の訴えの提起原告は,平成14年9月25日,地位確認及び不当な更新拒絶による慰謝料の支払を求め,本案訴訟を福岡地方裁判所久留米支部に提起した(同庁平成14年(ワ)第276号)。そして,平成18年9月22日,同裁判所において,被告の原告に対する前記更新拒絶には正当理由がなく,更新拒絶は無効であるとの第1審判決が下された。これに対し,原告と被告の双方が福岡高等裁判所に控訴した(同庁平成18年(ネ)第868号)が,平成19年6月19日には上記判断に加え,同更新拒絶が原告に対する不法行為を構成することを認める控訴審判決が下された。 これに対し,被告は最高裁判所に上告受理申立てを行った(平成19年(受)第1463号)が,同年12月25日,不受理決定により上記高裁判決が確定した。(以下,当該訴訟を総称して「前訴」という。)(6) 原告の担当区域におけるY新聞の普及率等そもそも,新聞販売業においては,読者獲得に向けた他紙との争いが熾烈である。 また,新聞購読契約においては,購読者との信頼関係は,些細なことで容易に喪失し,購読中止・購読継続拒否につながるが,他方,それを回復すること,あるいは他紙から自紙へ購読者の拡大を図ることは極めて困難であり,多大な資力・労力を必要とする。 本件訴訟提起時において,原告の担当地域におけるY新聞の普及率は,以前と比較しても,また,筑後地区の他の販売店の担当地域と比較しても,低率に至っている。 (7) 新D会の設立原告は,新たな販売店の団体として,「新D会」を設立しようとしたが,これに対し,被告は,「Y」商標の無許諾使用禁止警告を発するなどした。 (8) 別件訴訟原告は,平成20年5月28日,被告,被告の取締役ら(取締役であった者を含む。)及びD会を被告として,福岡地 に対し,被告は,「Y」商標の無許諾使用禁止警告を発するなどした。 (8) 別件訴訟原告は,平成20年5月28日,被告,被告の取締役ら(取締役であった者を含む。)及びD会を被告として,福岡地方裁判所に損害賠償請求訴訟(同庁平成20年(ワ)第3139号。以下「別件訴訟」という。)を提起した。 (9) 本件販売店契約の更新拒絶被告のF法務室長とBは,平成20年6月27日,O店を訪店し,G部長名義の「通知書」を手渡して,原告に対し,同年7月末日をもって本件販売店契約を更新しない旨の意思表示をし(以下「平成20年更新 拒絶」という。),同時に,購読者名簿等の引渡しを求めた。これに対し,原告は,同年7月7日付け文書を送付して,同月18日までに更新拒絶を撤回するよう求めたが,同日までに被告から連絡はなかった。 平成20年更新拒絶では,原告の著しい成績不良と努力懈怠,更に原告による被告及び被告の取締役に対する損害賠償請求訴訟(別件訴訟)の提起等により,両者間の信頼関係が完全に破綻したことが理由とされていた。 さらに,被告は,平成20年更新拒絶以降も原告が被告への攻撃・中傷を行っており,原告と被告との間の信頼関係が破壊されたとして,平成22年5月18日,原告に対し,再度,本件販売店契約を更新しない旨の意思表示をした(乙46の1・2。以下「平成22年更新拒絶」という。)。 (10) 本件訴訟原告は,平成21年3月11日,本件訴訟を提起し,同月25日に訴状が被告に送達された。(当裁判所に顕著) 2 争点(1) 本件販売店契約の更新拒絶における正当理由の要否及び程度(2) 本件販売店契約の更新拒絶に正当理由が存在するか。 (3) 新聞等の供給請求の可否(4) 慰謝料請求の可否(5) 慰謝料額 3 争点に 契約の更新拒絶における正当理由の要否及び程度(2) 本件販売店契約の更新拒絶に正当理由が存在するか。 (3) 新聞等の供給請求の可否(4) 慰謝料請求の可否(5) 慰謝料額 3 争点に対する当事者の主張(1) 争点(1)(本件販売店契約の更新拒絶における正当理由の要否及び程度)について(被告の主張)ア新聞販売店契約の本質は,新聞社が,販売店に対して新聞販売店として 一定の販売区域において購読者に新聞等の刊行物を販売するという事務を遂行することを委託し,販売店がこれを受託することを基本的な内容とするものであり,本来は新聞社自身が直接販売・配達する業務を販売店に委託した契約であって,法律行為でない事務を委託するものとして準委任(民法656条)に当たる。 そして,準委任には民法の委任の規定が適用されるところ,各当事者がいつでも委任契約の解除をすることができるとする民法651条1項の適用があり,これは,解除と同じく,契約終了の一場面である更新拒絶の場合にも当てはまる。 そうすると,委任者である被告は,委任の本旨に基づき,正当理由の存否に関わらず,受任者である原告との間の本件販売店契約の更新を拒絶することができる。 イまた,継続的契約の解消に関する従来の裁判例においても,正当理由等が認められない場合であっても,相当の予告期間を与え,あるいは損失補償をした場合には,契約解消が認められてきた。 本件においては,被告の平成20年更新拒絶は,1か月以上の予告期間を設けて行われており,この1か月間は,契約当事者が契約解消のための予告期間として十分なものと判断して合意した期間であるから,これを満たすことで契約解消が当然に認められるべきである。仮に1か月間では足りないとしても,その後の係争期間中に2年という期間 解消のための予告期間として十分なものと判断して合意した期間であるから,これを満たすことで契約解消が当然に認められるべきである。仮に1か月間では足りないとしても,その後の係争期間中に2年という期間が経過した平成22年の時点では,相当な予告期間を満たしているのであるから,平成22年更新拒絶は有効なものとして,本件販売店契約が終了する。 ウ仮に,更新拒絶に正当理由が必要であるとしても,本件販売店契約においては,最初の更新時以降の契約期間は1年間と定められ,更新拒絶を制限する特約も締結されていない。 そして,一般的に契約の解消事由としての「更新拒絶」と「解約」につ き何らかの制限を認める場合でも,更新拒絶の場合には契約が期間満了によって終了することが前提となることを重視すべきであり,解約の場合と同一に解することはできない。 したがって,仮に,契約解消に何らかの制限が課せられるとしても,本件では,より緩やかな制限にとどめられることは明らかである。 (原告の主張)ア新聞販売店契約の性質は,単純に典型契約の一種である準委任契約ととらえられるものではなく,様々な側面を有している複合的な継続的無名契約である。そして,様々な要素の中でも,その本質は,いわゆる「再販制度」と言われるとおり,個別の顧客に再販売するために,販売店が,新聞社から毎日新聞を購入するという継続的な売買契約である。 そして,販売店は,その経営開始の前後にわたって様々な費用投資を必要とするものであって,新聞社と販売店とは,長期にわたって人的・物的・経済的に互いに深く関与している。 そうすると,契約の存続性を尊重することが重要となる。当該契約を解除するためには,委任に準じて民法651条によるのではなく,販売店が販売店契約を締結した趣旨に著しく反し,信頼関係 関与している。 そうすると,契約の存続性を尊重することが重要となる。当該契約を解除するためには,委任に準じて民法651条によるのではなく,販売店が販売店契約を締結した趣旨に著しく反し,信頼関係を破壊したことにより,販売店契約を存続していくことが困難であると認められるような事情が存することが必要である。 イ被告は,相当の予告期間を与え,あるいは損失補償をした場合には,契約解消が認められる旨主張する。 しかし,被告が根拠としていると思われる裁判例は,いずれも損害賠償請求事件であり,補償があれば契約解除が認められるのは当然である。また,予告期間ないし損失補償が与えられれば,その間に他の取引先を探すなどして損害を回避し,廃業を免れることができるものであって,本件とは事案を異にする。 また,被告の原告に対する優越的地位も勘案すれば,本件販売店契約の更新拒絶には正当理由が必要である。 ウまた,どの程度の正当理由が必要であるかについて,被告は,本件販売店契約が契約書の文言上,当初が3年,その後は1年ごとに更新される契約とされ,この契約期間の満了時の更新拒絶であることを強調して,更新拒絶の有効性は緩やかに解されるべきである旨主張する。 しかし,そもそも新聞販売店契約の契約期間は極めて長期間継続することが当然に予想されているものであり,原告と被告との間には,契約書の文言上の期間を超えて契約を継続させる合意があったものと解することが合理的である。 そうすると,本件販売店契約において,形式上,契約期間の定めがあり,この期間満了に伴う更新拒絶の形式が採られたことをもってしても,本件販売店契約の更新拒絶について緩やかに解すべきであるとする理由にはならない。 (2) 争点(2)(本件販売店契約の更新拒絶に正当理由が存在するか 伴う更新拒絶の形式が採られたことをもってしても,本件販売店契約の更新拒絶について緩やかに解すべきであるとする理由にはならない。 (2) 争点(2)(本件販売店契約の更新拒絶に正当理由が存在するか。)について(被告の主張)ア原告の著しい成績不良と努力懈怠前訴開始時点(平成13年7月)では原告の定数(被告に対する新聞の注文部数)は1660部(ただし,このうち少なくとも約8パーセントは原告が架空の区域を作出する等して虚偽報告した数値であったため,実際には多くとも1528であった。)であったが,平成20年7月時点でのそれは550部と,7年間で約3分の1に激減していた。 また,原告が平成9年から平成19年までに支出した拡張販促費の推移を見るに,原告は,平成9年以降,拡張販促費をほぼ一貫して削減しており,前訴係属中だった平成16年以降は更に大幅に減らしている。 これは,原告がいかに普及努力義務を懈怠していたかを如実に示している。 イ信頼関係の破壊(ア) 別件訴訟の提起a 原告は,被告に対し,事前に何らの話し合いも求めず,まして誰のどのような行為によって,原告にどのような損害が生じたのかについては全く明らかにすることなく別件訴訟の提起に至っている。 また,原告は,前訴確定からわずか1か月ほどしか経過していない平成20年1月31日の訪店時から,被告に対する訴訟提起をほのめかしていた。さらに,別件訴訟の訴状は,提訴日である平成20年5月29日には外部メディア「MyNewsJapan」に掲載・公表されたが,その時点では被告に送達すらされていなかった。同メディアには原告本人の写真やコメントまで掲載されており,別件訴訟が原告の被告攻撃のキャンペーンに使われていることを示している。 b 別件訴訟の被告には,本件 は被告に送達すらされていなかった。同メディアには原告本人の写真やコメントまで掲載されており,別件訴訟が原告の被告攻撃のキャンペーンに使われていることを示している。 b 別件訴訟の被告には,本件訴訟の被告以外に,その新旧取締役やD会まで含まれている。原告が真に販売店たる地位及び経済的利益を維持することを望んでいたのであれば,本件訴訟の被告の新旧取締役を別件訴訟の被告に加える必要は全くない上,D会まで被告にするということは周辺販売店を敵に回すことを意味するのであって,到底まともに販売店を経営していく意思があったとは思われない。 被告に損害賠償請求との関係で資力があることは明らかであり,取締役ら個人に訴訟を提起する必要は全くない。そうであるにもかかわらず,取締役ら個人を被告としていることは,同人らに苦痛を与えるとともに,特定の取締役を攻撃するキャンペーンを行うため に他ならない。 c 別件訴訟の内容は,前回の契約更新拒絶がなされた平成13年から平成20年までの営業損害,販売店の価値減少分,慰謝料等として,9269万8940円という異常に高額な損害賠償請求をするものである。しかし,その請求に関連する事実は,全て前訴の口頭弁論終結前に生じたものであり,まさに6年以上にわたって審理された前訴の紛争を不当に蒸し返すものである。 (イ) 新D会の設立原告は,平成20年2月23日,被告に何らの事前の協議・連絡をすることなく,他の販売店5店を巻き込んで,従前から存在するD会と並立する「新D会」を設立し,同会の会長に就任した。 Y会は,各地区のY新聞販売店主らによって構成される団体であり,販売店主の親睦,相互扶助,組織的な増紙対策の実施,Y新聞の発展向上等を目的とするものである。そして,筑後地区に設立されたD会と被告は協力 は,各地区のY新聞販売店主らによって構成される団体であり,販売店主の親睦,相互扶助,組織的な増紙対策の実施,Y新聞の発展向上等を目的とするものである。そして,筑後地区に設立されたD会と被告は協力関係にあったが,原告によって,突如として新D会が設立されたことにより,筑後地区に存するY新聞販売店同士の団結力・組織力が分散されることは明らかであり,これによって被告の販売政策に損害を生じさせるおそれがある。 もともと,被告は,この直前,D会への復帰を求める原告に対し,参加希望があればD会に申し出るよう提案していた。被告のこのような意向を完全に無視し,しかも被告に何らの事前連絡もなしに,新たな新D会を設立することが大きな混乱を招くことは当然に予測された。それにも関わらず,筑後地区のY新聞販売店の協働を無視する新D会の設立は,Y新聞系統店との協力義務を定めた本件販売店契約(11条10号)に反するものである。 (ウ) 外部メディア等と連携しての被告攻撃 自称フリージャーナリストのHは,自ら管理・運営するウェブサイト「新聞販売黒書」で,被告に対して不当な誹謗中傷を繰り返す一方,被告と対立しているという観点から,原告を支援することを明言している。原告は,前訴係属中にHと知り合い,Hや原告弁護団と協力して,被告を攻撃する運動を展開している。 原告の関わる裁判の経過等は,直ちに「新聞販売黒書」や「MyNewsJapan」に掲載される。また,原告は,Hがコーディネーターや司会を務めたシンポジウムや報告会に積極的に参加して発言もしている。 取引の一方当事者が,その相手方当事者を誹謗中傷して攻撃する運動に積極的に協力し,しかも相手方当事者の営業秘密を漏洩しながら,その契約当事者としての地位を求めたり,裁判や攻撃・中傷を止めてほ 取引の一方当事者が,その相手方当事者を誹謗中傷して攻撃する運動に積極的に協力し,しかも相手方当事者の営業秘密を漏洩しながら,その契約当事者としての地位を求めたり,裁判や攻撃・中傷を止めてほしければ巨額の金銭を支払うよう求めたりすることは,一企業に対する脅迫に他ならない。このような行為は被告との信頼関係を根底から破壊するものである。 (エ) 被告担当者訪店時の原告の言動被告と原告の間には,平成13年7月に被告が原告との間の新聞販売店契約の更新を拒絶したことに端を発して,同月から平成19年12月まで裁判で争った経緯があるが,被告は,その決着後の平成20年1月15日から同年6月12日までの間,正常な取引を求めて,担当員を原告が経営していたO店に8回訪問させた。しかし,原告は,この8回の訪店において,当該担当員に対して,挑発的,侮辱的,脅迫的言動を繰り返した上,同年1月31日の2回目の訪店から別件訴訟の提起をちらつかせるなど,まともに販売店を経営していくという姿勢が全く見られなかった。 (オ) その他の被告に対する攻撃行動 平成20年6月以降も,原告は,被告を攻撃・中傷するビラやパンフレットを,その内容を虚偽であると知りながら公衆に配布したり,原告の著書の中で被告を含むY新聞社の攻撃・中傷を続けたりしている。 (カ) 小括以上のような事情からすれば,原告と被告との間の信頼関係は著しく破壊されており,被告が,このような原告を信頼し,対象地区における読者拡大を委ねることができないことは明らかである。 ウそうすると,被告が原告に対してした,本件販売店契約の平成20年更新拒絶は,仮に正当理由が必要であるとしても,上記各事情から正当理由が優に認められるというべきである。 また,仮に平成20年更新拒絶が有 ると,被告が原告に対してした,本件販売店契約の平成20年更新拒絶は,仮に正当理由が必要であるとしても,上記各事情から正当理由が優に認められるというべきである。 また,仮に平成20年更新拒絶が有効と認められないとしても,その後も原告は被告への攻撃及び中傷を繰り返している上,平成20年更新拒絶から約2年の相当期間を提供したといえることから,平成22年更新拒絶は有効となるというべきである。 (原告の主張)ア被告による本件販売店契約の更新拒絶の理由は,①原告の著しい成績不良と努力懈怠,②被告攻撃を目的としているとしか考えられない原告の異常な言動により両当事者の信頼関係が完全に破綻したことの2点である。 しかし,上記①②のいずれの事実も存在せず,したがって更新拒絶における正当理由とはならない。 イ ①について(ア) 被告から,新聞等の供給以外の役務提供を受けられない状況になった原告が,平成13年以降普及率を回復することができず,平成20年の段階では普及率をかなり低下させた状況に置かれたことは,原 告も否定しない。 (イ) しかし,被告は,原告に対して他店と同様の扱いをすべき義務があったのであり,それにも関わらず,被告は当該義務を尽くしていない。原告の成績不良は,被告の当該義務の不履行によって生じたことは明らかである。 そして,前訴においても,原告の成績不良の原因は,被告が,専門のセールススタッフの派遣を行わないことを初め,新聞紙を供給する以外の役務を提供しないということによるものであると認定されている。 (ウ) また,そもそも被告は,平成13年11月17日に,原告に増紙業務を依頼しない旨申し渡し,それ以降,平成20年2月6日に撤回するに至るまで,原告に営業努力義務はないと申し向けている。そうすると,その期 た,そもそも被告は,平成13年11月17日に,原告に増紙業務を依頼しない旨申し渡し,それ以降,平成20年2月6日に撤回するに至るまで,原告に営業努力義務はないと申し向けている。そうすると,その期間における販売成績の落込みは,契約更新拒絶の理由とはなり得ないはずである。 (エ) 以上からすれば,成績の不良について,原告に責められるべき普及努力義務の懈怠はないし,ましてや,そのことが信頼関係を破壊するものでないことは明らかである。 ウ ②について(ア) 別件訴訟の提起被告は,原告は別件訴訟を提起する前に,話し合いを求めるべきであった旨主張している。しかし,前訴の係属中,裁判所から金銭解決を含めた和解の打診を受けたことがあり,その際,被告は,原告とは絶対に和解による解決はしない旨裁判官に明言したという経緯がある。そのため,原告は,話し合いによらずに訴訟を提起せざるを得なかったのである。 また,訴状の公開については,言論・報道の自由が確立している我 が国では,裁判の訴状がインターネットで公開されても何ら問題はないと考える。なお,被告は,被告が公表を避けたい訴訟資料に関して,裁判所に対し,第三者に対する記録の公開の禁止を求めているが,その際にも,証拠以外の訴状等の書面は非公開の対象とはされていない。 別件訴訟における被告選定についても,被告の社内で,原告に対する区域分割の申入れや,それを拒否されたことによる契約更新拒絶や,再度の契約更新拒絶の方針の決定やその実行に関して,取締役がどのように関与しているか明らかにする意図を持って,取締役らを被告に加えたものであり,D会についても同様である。したがって,別件訴訟における被告の選定が不当であることはない。 (イ) 新D会の設立被告は,新D会の結成は,既存のD会と被 って,取締役らを被告に加えたものであり,D会についても同様である。したがって,別件訴訟における被告の選定が不当であることはない。 (イ) 新D会の設立被告は,新D会の結成は,既存のD会と被告との協力関係に悪影響を及ぼすから許されないと主張するが,D会から排除された原告らが,自らの利益を守るために新しい会を作るのは当然許されることである。別組織を作っても,被告に何らかの具体的被害を及ぼすことにはならない。 (ウ) 外部メディア等と連携しての被告攻撃東京で活動するフリージャーナリストのHと原告訴訟代理人弁護士らとは,自然発生的に生まれた協力関係に基づき,相互に情報交換や資料提供をする関係にある。 被告は,販売店が多量の押し紙(新聞社が販売店に対し,実際の読者数を上回る数の読者がいるとの虚偽の報告をさせ,それに基づいて,販売不可能な数の新聞を販売店に購入させるもの)を抱えて経営に呻吟している実態を十分認識しながら,対外的には全国で1000万部のY新聞購読者を抱えているかのような誤解を与える発表を続けている。 被告は,日本最大の発行部数を誇る新聞社の名誉にかけて,各社の先頭に立って押し紙の実態を調査し,押し紙の解消に努めるべきであるにもかかわらず,本件における被告の主張は,それとは反対に,販売店を続けたいのであれば,押し紙問題を世間に公表してはならないと原告に迫るものである。 (エ) 平成20年1月以降の原告の言動や対応原告は,増紙に対して十分な意欲を有していた。むしろ,増紙に対して具体的な方策を採ろうとしていなかったのはBであった。Bは,前訴確定後の被告側の責任者として,謝罪をしなかった上,前訴確定判決を無視して,何ら原告との取引関係の正常化に努めなかった。 そればかりか,取引関係の正常化を求め いなかったのはBであった。Bは,前訴確定後の被告側の責任者として,謝罪をしなかった上,前訴確定判決を無視して,何ら原告との取引関係の正常化に努めなかった。 そればかりか,取引関係の正常化を求めて真摯に訴える原告の感情を逆なでするような発言を繰り返した。原告において,時に字面の上では行き過ぎた発言があったとしても,それは,原告を侮蔑しているとしか受け取ることができないBの発言に触発されたにすぎない。 被告の主張は,こうした事実を全く無視し,原告の発した言葉の端々だけを故意に誇張してとらえたものにすぎない。 したがって,被告の指摘する原告の各発言は,原告の増紙に対する意欲の欠如を示しているものではないし,両者の信頼関係を破壊するものとも到底いえない。むしろ,原告との真の信頼関係を回復しようとしない被告の態度こそ,問題とされるべきである。 エ以上によれば,本件販売店契約の更新拒絶において,正当理由は存在しない。 (3) 争点(3)(新聞等の供給請求の可否)について(原告の主張)原告には,本件販売店契約に基づく契約上の地位が認められるから,被告は,原告を他の販売店と同様に扱い,別紙3記載の新聞等を供給す る債務を負う。 (被告の主張)原告には,もはや本件販売店契約に基づく契約上の地位は認められないから,契約上の地位にあることを前提とした原告の請求は失当である。 なお,原告は,請求の趣旨(2)において,被告が発行する別紙3商品目録記載の新聞等の各商品について,その供給を求めているが,同商品目録記載の商品のうち,被告が発行するのは「セット版」及び「統合版」だけであり,その余の商品は,被告以外の第三者によって発行されているものである。 したがって,仮に供給請求が認められるとしても,それは「セット版」及び 告が発行するのは「セット版」及び「統合版」だけであり,その余の商品は,被告以外の第三者によって発行されているものである。 したがって,仮に供給請求が認められるとしても,それは「セット版」及び「統合版」に限られ,その余の商品については理由のないことが明らかである。 (4) 争点(4)(慰謝料請求の可否)について(原告の主張)前訴において,原告の新聞販売店契約上の地位と被告の不法行為を認める判決が確定したものであるが,今回,被告は,前訴からの原告販売店の経営状況等を理由に,再度,原告との契約更新を拒絶した(平成20年更新拒絶)。また,前回とは異なり,今回は平成20年更新拒絶後,原告に対する新聞の供給をも一切拒絶した。 しかしながら,上記平成20年更新拒絶は,前訴に勝訴した原告を確実に廃業に追い込むために,周到に仕組まれたものともいうべき悪質極まりない行為であって,そのことは更新拒絶に至る経緯及び更新拒絶後の状況に鑑みても明らかである。 したがって,被告は,原告に対し,債務不履行責任及び不法行為責任を負う。 (被告の主張) 争う。 前記のとおり,被告による平成20年更新拒絶は適法かつ有効であり,仮に原告に精神的損害が生じていたとしても,被告は何ら責任を負うものではない。 (5) 争点(5)(慰謝料額)について(原告の主張)平成20年更新拒絶及び平成22年更新拒絶の悪質性と,これにより陥った原告の精神的・経済的苦境に鑑みれば,原告の被った苦痛を慰謝するのに必要な慰謝料は,少なく見積っても1000万円を下らないことは明らかである。 (被告の主張)争う。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前記前提事実,証拠(各項掲記のほか,甲イ10の1・2,甲イ47,62,72,甲ロ1,乙72, 下らないことは明らかである。 (被告の主張)争う。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前記前提事実,証拠(各項掲記のほか,甲イ10の1・2,甲イ47,62,72,甲ロ1,乙72,73)及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められる。 (1) 販売店の状況ア近年,テレビ,ラジオはもとより,パソコンや携帯電話等のニュースメディアの普及,若者の活字離れ,不景気などを原因として,新聞の読者離れが進んでいる。このため,筑後地区でも,Y新聞の販売店48店舗の平均普及率は平成2年11月に31.1%であったものが,平成13年の7月には30.16%になり,その後も,平成19年7月に28.32%,平成20年7月には26.31%と,継続的な漸減傾向にある。(乙8)イ一般に,新聞社は,販売店に新聞を販売する代金と新聞に掲載される広告の広告料を主な収入としているため,新聞の販売部数が収入の増減に直 結することから,販売部数にこだわらざるを得ない状況にある。そのようなところから,拡販競争の異常さが取り沙汰され,読者の有無とは無関係に販売店に押し付けられる「押し紙」なるものの存在も,一部週刊誌や書籍で公然と取り上げられ問題視されている。(甲イ20,37の1ないし7,甲イ42,43)販売部数にこだわるのは被告も例外ではなく,被告は極端に減紙を嫌う。 被告は,発行部数の増加を図るために,販売店に対して,増紙が実現するよう営業活動に励むことを強く求め,その一環として毎年増紙目標を定め,その達成を販売店に求めている。このため,「目標達成は全YCの責務である」,「増やした者にのみ栄冠があり,減紙をした者は理由の如何を問わず敗残兵である,増紙こそ正義である。」などと記した文書を販売店に対して配布し,また,定期的に販売会議を開いて 成は全YCの責務である」,「増やした者にのみ栄冠があり,減紙をした者は理由の如何を問わず敗残兵である,増紙こそ正義である。」などと記した文書を販売店に対して配布し,また,定期的に販売会議を開いて,増紙のための努力を販売店に求めている。Cら被告関係者は,被告の新聞販売店で構成するY会の会合において,「Y新聞販売店には増紙という言葉はあっても,減紙という言葉はない。」とも述べている。 これに対して,販売店も,被告から新聞を購入することで代金の支払が発生するので,予備紙を購入することは当然負担にはなるが,その新聞に折り込む広告の広告料が別途収入となり,それは定数を基準に計算されるので,予備紙が全て販売店の負担となるわけではない。ただ,その差は販売店側に不利な計算となる。 (2) O店の営業の推移ア(ア) 平成2年11月から平成13年6月までの広川地区の世帯数,原告の報告した定数及び実配数は,別紙4のとおりである。 これによれば,原告が,前販売店店主であるIからO店の販売区域を譲り受け,開業した平成2年11月頃,同原告の販売区域の世帯数は4125世帯で,定数1520部,実配数は1476部,普及率は36. 8パーセントであった。なお,その当時,筑後地区の48店の地区普及率は,31.1パーセントであった。その後,O店は,実配数が減少し,平成3年5月には1301部となり,平成4年1月,1209部となり,同年12月には1149部となったが,その後増加に転じ,平成5年10月には1209部となり,他方,同月,定数が1320部に減紙された。同年12月,実配数は1240部となり,定数は1400部に増紙された。平成6年1月には実配数は1321部となり,その後も平成7年6月には実配数が1411部になり,平成10年には,1600部前後にま 同年12月,実配数は1240部となり,定数は1400部に増紙された。平成6年1月には実配数は1321部となり,その後も平成7年6月には実配数が1411部になり,平成10年には,1600部前後にまで増加した。 (イ) 原告は,この間,被告から,平成8年度年間目標達成賞,平成9年度年間目標早期達成賞及び平成9年度地区三傑との表彰を受けた。(甲イ63の1ないし3)(ウ) O店は,平成12年4月及び同年5月の筑後地区47店舗中,自店での回収率(当月における成立契約数を止め数で除したもの。全店平均19.5パーセント)が22.6パーセントで14位,セールス団による回収率(全店平均71.9パーセント)が140.9パーセントで5位,総回収率(全店平均91.4パーセント)が163.4パーセントで4位とされている。 (エ) O店では,平成12年6月,普及率(全店平均30.2パーセント)が32.4パーセントで18位,実配目標差(47店全店合計-2325,なお,全店がマイナスである。)が-73で38位である。これを引継当時の平成2年11月と比較すると,平成12年6月時点では,同地区の世帯数は5023世帯と898世帯増加したのに対し,定数は1625部と105部の増加にとどまり,普及率は4.4パーセント低下している。 (オ) O店の平成10年から平成13年までの折込広告収入は,いずれも 年間2100万円を超えている。 イ(ア) 平成13年1月から平成20年7月までの,原告の報告した定数及び実配数は,別紙5のとおりである。(乙8,50)これによれば,O店は,平成13年8月の定数が1660部(後に明らかとなった虚偽の実配数134部を控除すると1526部),普及率は32.55パーセント(定数を1526部とすると29.92パーセント)であった ば,O店は,平成13年8月の定数が1660部(後に明らかとなった虚偽の実配数134部を控除すると1526部),普及率は32.55パーセント(定数を1526部とすると29.92パーセント)であったが,同月以降徐々に減少し,平成20年7月には,定数が550部,普及率が9.42パーセントであった。 なお,O店の平成20年7月の普及率は,筑後地区のY新聞販売店47店の中で最低の値であった。(乙52)(イ) 本件販売区域を含む筑後地区全体では,平成13年8月には定数が8万0004部,普及率は30.16パーセントであったが,同月以降徐々に減少し,平成20年7月には定数が7万5169部,普及率は26.31パーセントであった。(乙8)ウ原告が,営業のために支出した「拡張促進費」の推移は,以下のとおりである。(乙9の1ないし11)平成9年 378万4848円平成10年 280万9403円平成11年 191万4080円平成12年 254万4976円平成13年 101万5928円平成14年 153万5181円平成15年 102万6877円平成16年 34万3427円平成17年 52万1957円平成18年 42万8789円 平成19年 24万6798円エ被告は,平成13年7月以降も,平成20年7月に至るまで,原告に対し,制度補助,開発補助及び年金補助等の名目で,合計1500万円以上の補助金を支出した。(乙24)(3) 被告の原告に対する経営指導とこれに対する原告の対応(本項につき,甲イ65,乙64)ア Cは,平成12年6月に被告の販売局第2部長に就任したが,前記(2)アの事情を踏まえて,同月16日にO店を訪問し,直近4か月の平均止押数が平均6.5部であって, 項につき,甲イ65,乙64)ア Cは,平成12年6月に被告の販売局第2部長に就任したが,前記(2)アの事情を踏まえて,同月16日にO店を訪問し,直近4か月の平均止押数が平均6.5部であって,約1600部という部数と比較して非常に少なく,新規購読契約及び購読継続契約(止押)数が悪い,所長(原告)自身の努力不足であり,その他の従業員の営業成績も悪いなどと指摘して,原告の努力を促した。 イ原告は,平成12年8月8日頃,期間を同年9月1日から10年間として店舗用の建物を新たに賃借した上,500万円ほどかけて同建物を増改築するなどした。(甲イ34)ウ平成12年12月16日,筑後地区増紙対策会議が開催された。原告も同会議に出席し,増紙目標を提出した。これに対し,Cは,目標値が低過ぎるとして,原告に上方修正するよう求めた。原告はこれを拒否したが,他方で,平成13年3月,それまでの定数1625部を1645部とし,更に同年4月には1660部とした。 エ CあるいはBは,平成13年4月末頃から同年5月中旬頃まで,数回,O店を訪問し,業務報告書について区域別定数実態表(毎月の区域別の実配数,入り,止め等を記載するもの)を記載することなどの改善を求めるとともに,原告の長男について,将来,被告の販売店として独立するために,他店で研修することを提案し,また,広川地区において世帯増に比して部数が伸びていないことなどを指摘して,区域分割を申し入れた。 なお,被告は,原告に対して返還を求めた一部区域を,販売区域が隣接する上津店を経営していたJに引き継がせた上,同人から同人が併せ経営する黒木店の返還を受ける予定であった。(甲イ84,92)オ原告は,Bに対し,平成13年5月17日,一旦は上記区域分割の申入れを了承し,BはCに,更 Jに引き継がせた上,同人から同人が併せ経営する黒木店の返還を受ける予定であった。(甲イ84,92)オ原告は,Bに対し,平成13年5月17日,一旦は上記区域分割の申入れを了承し,BはCに,更にCはE局長に,その旨報告した。 ところが,原告は,同月29日,被告の本社を訪ね,E局長に対し,区域分割には応じられない旨伝えた。E局長は,その場では態度を留保したが,その後,Cに対して,既に社で決まったことで再考の余地はない,被告は分割することで準備を進めているとして,方針どおり話を進めるよう指示した。Bは,原告に対し,その旨伝えた。 カ CとBは,平成13年6月12日,O店を訪問し,通常業務の後,原告の増紙計画が進んでいないこと,熱心な取組みがないことを指摘し,業務報告書について以前の指導後も区域ごとの明細がないので,次回から配達区ごとの入り,止めを記入し,手板と照合すること等を求めた。その上で,Cは,原告に対し,原告の現在の努力状況では,現担当地域を前提にしては増紙は期待できない,長男の別地域での所長独立を援助するので,一部区域返還のことはもう一度考え直してもらいたい,どうしても返還に応じないならば,販売契約更新もできなくなるが,それは被告も望まない,などと述べて再考を促した。 キ Bは,平成13年6月19日,O店を訪問し,原告に対し,帳票類の提示を求めたが,原告はこれを拒否した。そこで,同月22日,原告代理人K弁護士事務所で,同弁護士及び原告夫妻とBとの話し合いが持たれた結果,通常業務範囲内での帳票類提出に応じることが確認され,Bの調査がなされた。 ク平成13年6月25日,BがO店を訪問し,原告の帳票類を確認(原告は,同月22日,帳票等の提示は協力するようにとK弁護士からアドバイ スを受けていた。)した際,多数 調査がなされた。 ク平成13年6月25日,BがO店を訪問し,原告の帳票類を確認(原告は,同月22日,帳票等の提示は協力するようにとK弁護士からアドバイ スを受けていた。)した際,多数の読者が存在するにもかかわらず,読者数の増減がないなど,不自然な配達区域(26区)があることを発見した。 そして,その後の調査を通じて,この26区は実在しない架空区であり,そこに属するとされた132人の読者も,現実には存在しない架空読者であることが明らかになった。 ケ被告は,平成13年6月28日,原告に対し,区域分割及び帳票類の引渡しを求めるとともに,これに応じない場合には,同年7月31日をもって,本件販売店契約を期間満了として更新しない旨通知した。 (4) 前件仮処分以降の経緯(本項につき,甲イ65)ア原告は,平成13年7月から10月にかけて,毎月マイナス2桁の入り止め差が生じ,4か月で合計85部の実配数が減少した旨の業務報告書を提出した。また,同年10月には,定数を1660部とし,実配数については記載していないが,前月の実配数及び当月の入り止め差から実配数1566部と算出できる業務報告書を提出していたところ,前件仮処分決定後の同年11月には,定数を1450部,実配数を1428部とする業務報告書を提出した。原告としては,この際に実配数につき26区の架空読者分ほか134部を削減し,定数もこれに合わせたものである。 イ Bは,平成13年12月7日,O店を訪問し,被告販売局宛ての第1期増紙計画書(甲イ6)及び被告宛ての誓約書(甲イ7)を持参して,原告に対し,これらへの署名を求めた。第1期増紙計画書は,同年12月から平成14年7月まで8か月間で合計110部(月平均約14部)の増紙を目標とする増紙計画を記載したものである。また,誓約書の内 ,原告に対し,これらへの署名を求めた。第1期増紙計画書は,同年12月から平成14年7月まで8か月間で合計110部(月平均約14部)の増紙を目標とする増紙計画を記載したものである。また,誓約書の内容は,①業務報告書の記載事項の明記,帳票類の完備・提示等,販売部数の透明性を厳守すること,②上記第1期増紙計画表のとおり8か月計画を達成し,回収率目標150%以上を継続的に達成することなどを通して減紙を早期に復元・挽回すること,③その他現在の読者へのサービス等の業務を履行 すること,④今後,虚偽の報告及びセールスの目的外使用(止押等)を一切しないことを誓約し,これらにつき不履行があった場合,取引を中止されても異議を申し立てないというものである。 しかし,原告は,これらに対する署名を拒否した。 これを受けて,Bは,平成13年12月7日,原告に対し,①今後,新聞供給は継続すること,②注文部数その他につき自由に増減できること,③増紙業務は依頼しないこと,④D会活動には不参画とすること,⑤業務報告は不要であるし,Bら担当員も訪店を遠慮すること,⑥平成14年1月からは増紙支援をしないこと,⑦セールス団関係は,原告が直接処理すべきこと,⑧特別景品等は可能な限り辞退されたいことなどを申し渡し,上記の申渡し事項を記載したメモ(以下「Bメモ」という。)を交付した。 (甲イ8)ウ遅くとも平成14年7月20日以降平成20年に至るまで,O店へはBその他の被告担当者の訪店がされなかった。また,原告は,D会を通じて従前受けていた以下の各制度を利用できなくなった。(甲イ82,83の1・2)(ア) セールススタッフの派遣販売店がセールススタッフの派遣を受けたい場合,まず店主は被告の担当員が販売店を訪れた際に,セールス派遣の要請を出す。これを受 た。(甲イ82,83の1・2)(ア) セールススタッフの派遣販売店がセールススタッフの派遣を受けたい場合,まず店主は被告の担当員が販売店を訪れた際に,セールス派遣の要請を出す。これを受けて,担当員は各販売店主の派遣要請を取りまとめ,D会に対し,その日程調整等を依頼する。そして,D会が具体的な派遣の日程や人員の調整を行い,セールス業者に対して具体的な業者の派遣を依頼する。この際,被告は,セールス業者に対し,その実績に応じて補助金を出すことにより,販売店の営業活動を援助している。 また,D会は,統一精算会として,依頼したセールス業者と販売店との精算をD会が取りまとめて処理する仕組みを構築し,セールスに関す る精算手続を簡易・迅速に行えるようにしている。 しかし,前記のとおり,遅くとも平成14年7月20日以降,O店にセールス業者からのセールススタッフ派遣の日程が組まれることがなくなってしまった。(甲イ80,81)(本項につき甲イ13,50の2,甲イ58,59,103の1ないし3)(イ) 拡材の共同購入拡材の購入は,D会が,年に数回程度,各販売店の必要個数をまとめた上で共同購入を決めている。共同購入により,大量一括購入で単価が下がり,各販売店の経費節減に資することとなる。 (ウ) 各種イベントチケット各種イベントチケットは,通常,D会が被告から配布を受けた上で,販売店に配っているものである。販売店は,これを新聞購読の新規勧誘等に利用する。 (エ) 新聞中入れ新聞中入れは,D会が各販売店の必要部数を集計した上で,被告に制作と配布を委託するものである。具体的には,赤ちゃん新聞(こどもの日や七五三の時に,読者の申込みに応じて作成する,子供の写真入り新聞をいう。ちびっこ新聞も同様。)や,新 部数を集計した上で,被告に制作と配布を委託するものである。具体的には,赤ちゃん新聞(こどもの日や七五三の時に,読者の申込みに応じて作成する,子供の写真入り新聞をいう。ちびっこ新聞も同様。)や,新聞休刊日を告知するチラシなどである。 (5) 前訴確定後の経緯(本項につき,甲イ73)ア Bの訪店(本項につき,甲イ25)前訴における最高裁決定が出される前の平成19年12月13日,Bは,O店に電話し,訪店したい旨申し入れた。 そして,前訴によって,原告の新聞販売店としての契約上の地位が確認された後,Bは,平成20年1月15日から同年6月12日までの間,O 店を8回訪店した。その間の事実経緯は以下のとおりである。(乙48)(ア) 第1回訪店(平成20年1月15日,甲イ44,乙10の1)前訴が確定したことに伴い,被告販売局のBがO店を訪問したが,その際,原告の息子がBをビデオカメラで録画していた。 Bは,原告及び原告の妻に対し,「何もいいことはありませんから,割り切ってやりましょう。」などと述べ,以後の具体的な営業方針等について話し合いを持とうとした。 また,Bは,「増やしたい内容を逆に言ってください。勝手にセールスに入られたら,困るでしょ。」「入るなら,入る。どのチームがいいとか。一つ一つ相談するしかないでしょ。」などと,セールススタッフの派遣等についても具体的な話し合いに入ろうとした。 しかし,それに対し,原告は,「お前,なんばいいよっとや。」,「決着はついとらんやろ,お前。」,「まず,謝罪をせんか。」,「他の人連れてきてよ。連絡ぐらいできるでしょ。」などと述べ,謝罪やO店の訪店担当者の変更を求め,以後の具体的な営業方針等については特に話をしなかった。また,原告は,激昂して机を蹴るような場面もあった。 人連れてきてよ。連絡ぐらいできるでしょ。」などと述べ,謝罪やO店の訪店担当者の変更を求め,以後の具体的な営業方針等については特に話をしなかった。また,原告は,激昂して机を蹴るような場面もあった。 (イ) 第2回訪店(平成20年1月31日,乙10の2)Bは,原告が第1回訪店時に尋ねたことの回答をし,書面で送付する旨述べた。 また,セールススタッフの派遣について,Bは,「何でしたら,こちらから団に言ってもいいですから。」「SP部といううちの会社の子会社もありますが,ご指名であれば,ここはうちの言うことをききますから。」などと積極的に協力する意向を示した。しかし,原告は,Bの上記提案に応じようとしなかった。 さらに,越境販売については,Bが「分かったら,すぐ対応しますよ。」と述べたのに対し,原告は,まだBに報告していない越境販売があるこ とを示唆し,Bが「あるなら,おっしゃってくださいよ。」と述べても,原告は「訴訟になれば,それは証拠として。」などと述べた。また,原告は,「とにかくさ,法廷の場で白黒つけようや。まず,もう一回。そういう風に,私,もう連絡来ているから。」と述べ,新たな訴訟提起を考えている旨ほのめかした。 一方,被告が,O店の担当をBから代えないことについて,原告は,「それでも,行けっち言われた?」,「まあ,いいやいいや。しばらくは,面白くなるよ。」などと述べた。 (ウ) 第3回訪店(平成20年2月18日,乙10の3)Bは,原告に対し,原告のD会への復帰については被告からも申入れをしている旨伝えた後,「普通どおり,販売にいそしんでもらうしかないですよ。」,「こちらもできることはするし,(原告)所長の方も,どういう営業努力ができるか。あるいは一緒になってどうしたらいいのか。」などと述べ,以後の具 普通どおり,販売にいそしんでもらうしかないですよ。」,「こちらもできることはするし,(原告)所長の方も,どういう営業努力ができるか。あるいは一緒になってどうしたらいいのか。」などと述べ,以後の具体的な営業方針等について再度話し合いを持とうとした。 それに対し,原告は,「だから,全部営業入れて,拡材入れて,やってください。本社で。私が配達集金します。その部数になるまでは。」,「配達所でいいですよ,しばらくは。1000部くらいになったら,私がまた元に戻す。それまでは,投資する余力がありません。今の現状では。」などと述べ,自分では増紙に向けての取組を行わないかのような態度を取った。 (エ) 第4回訪店(平成20年3月15日,乙10の4)Bが,「ところで,まず,越境の件なんだけど。」と述べたのに対し,原告は,「越境はね。これはね,法廷でちゃんとしよう。」などと述べ,具体的な問題について言及を避けた。 また,Bが「野球の券が,ぼちぼち,オープン戦から始まりますから。」 「現実として,今の中で,販促材を使っていこうとすれば,経営が大変だということは,こちらも当然理解せねばいかんことで,(中略)できることは,そういうときは,おっしゃってもらえれば結構です。あと,あの,一般的なチラシとかY旅行とかいろいろありますから。」と拡材や新聞中入れの具体的な要望を原告から出してもらえれば,積極的に協力したいとの意向を示した。しかし,原告は,上記Bの提案も,まともに取り合おうとしなかった。 (オ) 第5回訪店(平成20年4月19日,乙10の5)Bは,花の種やティッシュ,PR情報誌等の宣伝ものの小品を数点持参し,必要があれば申しつけてほしい旨原告に申し入れたが,原告は「景品ではもうとれんもん」などと,関心を示さなかった。 また, Bは,花の種やティッシュ,PR情報誌等の宣伝ものの小品を数点持参し,必要があれば申しつけてほしい旨原告に申し入れたが,原告は「景品ではもうとれんもん」などと,関心を示さなかった。 また,原告がパソコン教室などを本業にすることを考えているなどとほのめかしたので,Bは「(原告)さん,私はね,紙を,復元する話をしたくて,来ているんです」と述べた。 また,セールスをどうやって入れるかについて原告の妻から尋ねられると,Bは,「直接電話なさったら。来ると思いますよ。」と述べた。 (カ) 第6回訪店(平成20年5月9日,乙10の6)Bは,O店の経営実態,増紙計画,経営努力等を被告としても把握する必要があるので,業務報告書の必要事項をすべて記入して提出してほしい旨原告に求めた。 Bは,「こちらも,真摯になってね。やろうということで,お願いしているわけですよ。そのへん,分かってくださいよ。言い争いに,わざわざ来るわけじゃないですから。」「お店をやる以上,ともかく,利益になってもらわないといかんわけだから。」,「別にもう,争っている状態でもないわけで。関連の方にも,火がつき次第,一つ一つしますので。お互いそこは,もう,紳士にやりましょう。あとは,越境問題の読 者を教えてもらいたいと。」などと述べたが,原告は,増紙ないし購読者獲得に向けての具体的相談をBに持ちかけようとはせず,越境販売が問題となっている読者に具体的に言及することもなかった。 かえって,原告は,「私も区切りをつけるべき考えを,一つをもっていますからね。これはまた,争いになると思いますので。」「忙しか。 俺は。」,「裁判もせにゃんし。」などと述べ,新たな提訴が間近に迫っていることを再三にわたり示唆した。 (キ) 第7回訪店(平成20年5月23日,乙10の7) いになると思いますので。」「忙しか。 俺は。」,「裁判もせにゃんし。」などと述べ,新たな提訴が間近に迫っていることを再三にわたり示唆した。 (キ) 第7回訪店(平成20年5月23日,乙10の7)原告は,セールスを入れるにも資金的に厳しいと繰り返したため,Bは,原告に対し,「資金繰りの問題で,応援をもらいたいということであれば,それはそれなりに,帰ってこちらも相談します。」と,協力の意向を示し,原告も「なら,そうして。」と応じた。 しかしその後,D会の話題となり,Bが,Gを通じてD会に話はつけてあるが,自分の訪店の目的は増紙の打合せでD会とは無関係である旨述べると,原告は,「なーんも役に立たんやん。増紙の打合せって,増紙になってないやん。」,「なーんの役にも立たんで,何をしに来よるの。花咲かしに来よるの。」「じゃましかしよらん。」などと述べ,Bを揶揄するような態度をとった。 (ク) 第8回訪店(平成20年6月12日,乙10の8)原告は,Bに対し,「本当に,Bさんが今,想像しとる以上のことが,今後,活発化してくると思います。それの鍵を握っているのは,私かもしれない。ひょっとしたら。準備できて,どんどんどんどん,進んでいるんだ。一つだけ言うならば,ふふふ。言っていいか分からんけど。NPO団体がいろいろありますよね。その団体が,もうすでに,7月には私に講演を依頼してきましたので。その団体が,ひょっとしたら,Y新聞の前で,デモ行進する可能性も出てくる。これは,私の意識ではあり ません。はっきり言っておくけど。もう,非常に準備が,事が進んでいることは確か。それも,いくつもあるんです。まだ団体。一つだけ言いましたが。」,「うちの弁護士がですね,有明問題とか,水俣訴訟とか,中国残留孤児問題とかやっているんですよ。それも全部, 事が進んでいることは確か。それも,いくつもあるんです。まだ団体。一つだけ言いましたが。」,「うちの弁護士がですね,有明問題とか,水俣訴訟とか,中国残留孤児問題とかやっているんですよ。それも全部,福岡なんですよ。」などと述べて,被告に不利な状況が発生しつつあることをほのめかした。 上記のような原告の言動を目にしたBは,増紙に向けた相談等の訪店の目的を果たすことは到底できないと断念し,「(原告)さん,帰ります。争いの話を,訪店して,そういうつもりで来ているんじゃないから。」「残念です。お世話になりました。帰ります。」と言って,O店をあとにした。 イところで,Bによる第1回訪店の際,原告から,Bメモの内容について,被告において現時点でどのように対処するのかという質問が出されたため,Bは第2回訪店の際に書面で回答する旨答えていたところ,その後,被告は,平成20年2月8日付けで,①今後は他の販売店と同様に,通常どおり契約に沿って取引を行い,原告に増紙活動も行ってもらう,②業務報告書,年2回の従業員実体調査表についても提出をお願いする,③セールスは希望があれば対応する,④D会関係については,参加希望等があれば同会に申し出てほしい,⑤積立金,従業員登録については希望があれば手続を行う,⑥休刊日チラシ,各種ポスター,ちびっ子新聞(旧赤ちゃん新聞),ペット新聞,情報開発者からの新商品案内等については担当が持参するか,被告から送付する旨を回答する「ご通知」と題する文書を原告に送付した。 (甲イ15)ウ原告は,平成20年2月23日,ほかの販売店5店の経営者と共に,新D会を設立し,同会の会長に就任した。(甲イ16の1ないし3,乙13の2ないし4) そのうち,3店の経営者(原告は含まれていない。)は,従前,D会の会員であったが, の経営者と共に,新D会を設立し,同会の会長に就任した。(甲イ16の1ないし3,乙13の2ないし4) そのうち,3店の経営者(原告は含まれていない。)は,従前,D会の会員であったが,同月25日,D会に対し,同月末日をもって同会を脱退する旨を通告した。(乙13の1)これに対し,被告は,同年3月5日付けで,原告代理人に対し,被告において新D会の活動に関与したり協同することはないことを宣明し,同団体とD会が並立することは徒に混乱を招くものであり,販売店及び被告の発展向上に資するものではないとの見解を示した上,新D会の呼称は,Y新聞東京本社の有する登録商標である「Y」を無断使用するものであるとして,使用しないよう警告した。(甲イ17,乙19)エ原告は,平成20年5月28日,別件訴訟を提起したが,その訴状は,同月29日に,「MyNewsJapan」と題するウェブサイト内の,Hが執筆した記事の中で公開された。(乙18)オ被告は,平成20年8月1日,本件販売区域の近隣区域において被告との新聞販売店契約に基づいて販売店(P店)を経営していたLとの間で,本件販売区域を販売区域とする新聞販売店契約を締結した。(乙51)そして,被告は,同日以降,O店に対する新聞等の供給を停止し,本件販売区域においては,上記Lが経営する販売店Q店によって被告の発行する新聞等の配達が行われている。(乙22の1ないし13)カ原告は,原告訴訟代理人であるK弁護士と共著で,平成21年2月頃,「新聞販売の闇と戦う販売店の逆襲」との題名で著書を出版した。(甲イ20) 2 事実認定に関する補足説明(BのO店訪問の際のやりとりについて)(1) BがO店を訪れた際の,原告との間のやりとりは,前記1(5)アのとおりであると認められるが,これに対 た。(甲イ20) 2 事実認定に関する補足説明(BのO店訪問の際のやりとりについて)(1) BがO店を訪れた際の,原告との間のやりとりは,前記1(5)アのとおりであると認められるが,これに対し,原告は,乙10の1ないし8は,録音内容を不正確に反訳したものであって,信用性に乏しいものである旨主張する。 この点,原告は,平成20年1月15日のBのO店訪問について,反訳書を作成し,甲イ44として提出している。そして,原告は,上記反訳書によれば,乙18の1の内容は事実と異なる点が数多く見られ,被告の提出する反訳は不正確である旨主張する。 (2) 確かに,原告の提出する反訳書(甲イ44)と,被告の提出する反訳書(乙10の1)を比較対照すると,異なる部分が散見される。しかし,その差異は,主に語尾や,ニュアンス,その他意味内容を大きく変化させないような部分に多く見られ,乙10の1の全体としての記載内容の信用性を損なうものとはいえないというべきである。また,その後のBのO店訪店の際の反訳書(乙10の2ないし8)についても,同様であって,仮に反訳の不正確な部分があるとしても,それは枝葉末節の部分であると考えられ,かかる書証ないしそこに見られる当事者の発言内容の信用性を減殺するものではないというべきである。なお,原告は,乙10の2ないし8が信用できないものであることをるる述べるが,かかる会話の一方当事者であるにもかかわらず,どの部分が信用できないかについて具体的に言及していないのであって,そのような点からしても,乙10の1ないし8は,Bの訪店時の録音された会話を反訳したものとして,少なくともその意味内容は正確なものと認めるべきである。 (3) したがって,Bと原告との間のやりとりは,前記1(5)アのとおりであると認められ,この点 店時の録音された会話を反訳したものとして,少なくともその意味内容は正確なものと認めるべきである。 (3) したがって,Bと原告との間のやりとりは,前記1(5)アのとおりであると認められ,この点に関する原告の主張は採用することができない。 3 争点に対する判断(1) 争点(1)(本件販売店契約の更新拒絶における正当理由の要否及び程度)についてア正当理由の要否(ア) 新聞販売店契約は,新聞の宅配という重要な役割を特定の個人に独占的に委託することから,被告においても,それなりに信頼できる 者を選定して締結しているはずである。そして,前記前提事実及び前記1の認定事実によれば,本件販売店契約は,契約書において当初3年,その後は1年ごとに自動的に更新される契約とされていること,原告は,平成2年11月に,約1200万円の代償金を支払って,被告と新聞販売店契約を締結し,その後も更新を続けていたことがそれぞれ認められるから,被告は,当該契約時及び契約の各更新時において,原告について,販売店を経営する者として適任であると判断していたといえる。 他方,原告としても,その後も店舗確保のために新たに建物賃貸借契約を締結し,当該建物の増改築に資金を投下したりしていること,また,O店の経営のために従業員を雇用し,セールススタッフ利用の際にはその報酬を支払い,販売拡大のために景品等を提供するなど,相当多額の投資をしてきたことが認められ,長年にわたり販売店の経営を生活の基盤としてきたことが明らかである。 そうすると,被告が継続的契約である原告との本件販売店契約の更新をしないというためには,正当理由,すなわち原告が本件販売店契約を締結した趣旨に著しく反し,信頼関係を破壊したことにより,同契約を継続していくことが困難と認められるような事 との本件販売店契約の更新をしないというためには,正当理由,すなわち原告が本件販売店契約を締結した趣旨に著しく反し,信頼関係を破壊したことにより,同契約を継続していくことが困難と認められるような事情が存在することが必要であるというべきである。 (イ) この点,被告は,本件販売店契約は準委任契約(民法656条)に該当し,民法651条1項の規定に基づき,各当事者はいつでも契約を解除できると主張する。 しかしながら,本件販売店契約は,原告が被告から継続的に新聞等を購入し,それを個別の顧客に売却することによって収益を上げる趣旨の契約であって,被告が主張するような,被告が原告に新聞の配達等を委託し,その対価を支払うといった内容の契約でないことは,そ の契約書の記載(甲イ4)からも明らかであるから,この点に関する被告の主張は理由がない。 また,被告は,相当の予告期間を与えるか,損失補償をした場合であれば,正当理由がなくとも,継続的契約の解消が認められる旨主張する。 確かに,継続的契約であるといっても,予告期間や損失補償を与えれば,それにより何らかの手当てができるものがあり,そのような場合であれば契約の解消を認めてよいものと思われる。しかし,契約を解消される側の一方当事者が,継続的契約に基づいた販売店経営を生活の基盤としており,かかる継続的契約を解消することが生活の基盤を失うことを意味するような場合については,予告期間を与えられたとしてもその期間内に相応の措置を講じることが困難であるし,十分な損失補償を観念できるとしてもそれはかなり高額とならざるを得ない。そのような場合については,十分な損失補償がなされているような場合は別段,そうでない限り,仮に予告期間の付与があったとしても,正当理由なしに契約の解消は認められないと解すべ 高額とならざるを得ない。そのような場合については,十分な損失補償がなされているような場合は別段,そうでない限り,仮に予告期間の付与があったとしても,正当理由なしに契約の解消は認められないと解すべきである。 そして,本件においては,被告によって,原告に対する十分な損失補償がなされているというような事情は本件証拠上見受けられない。この点に関する被告の主張は理由がないというべきである。 イ正当理由の程度(ア) 原告は,契約の性質上,極めて長期間継続することが当然に予想されているとして,原告と被告の間には,契約書の文言上の期間を超えて契約を継続させる合意があったと解すべきであると主張する。 しかしながら,当初,本件販売店契約を締結した時点で,契約書の文言を超えた合意があるとして,契約書上明記されている期間の定めを無視するのは相当とは考え難い。この点に関する原告の主張は採用 の限りでない。 もっとも,前記ア(ア)記載のとおり,本件販売店契約には自動更新条項が定められており,実際に同条項に基づいて契約更新が繰り返されてきたのであるから,原告の本件販売店契約の継続に対する期待は大きいということができる。さらに,販売店を始めるに当たり,代償金の支払や店舗等に係る資本投下に加え,経営中には継続的にセールススタッフを用いるなどして読者獲得のための資本投下が必要であることや,資金をかけて獲得した読者に,実際に新聞を販売して投下資本を回収することができるのが数年後になることもあるといった販売店及び本件販売店契約の性質も勘案すると,同契約の更新をしないためには,原告に顕著な背信行為があるなど,契約関係の継続を著しく困難にするような事情が要求されるというべきである。 (イ) この点について,被告は,解約の場合と異なり,更新拒絶の場合は をしないためには,原告に顕著な背信行為があるなど,契約関係の継続を著しく困難にするような事情が要求されるというべきである。 (イ) この点について,被告は,解約の場合と異なり,更新拒絶の場合は契約が期間満了によって終了することが前提であるから,より緩やかな制限にとどめられるべきである旨主張する。 確かに,上記(ア)記載のとおり,本件販売店契約には期間の定めがあり,この定めを無視するのは妥当とはいい難いのであって,契約期間の中途での解約の場合と,期間満了時の更新拒絶の場合を全く同一であるということはできないと解される。しかしながら,このことは,更新拒絶に必要な事情を緩やかに解する理由とはならず,むしろ,本件販売店契約を期間内に中途解約するために必要な事情は,上記(ア)で検討したような場面よりも更に厳しく限定されることとなると解すべきである。したがって,上記被告の主張を採用することはできない。 ウ小括以上のとおり,被告が,原告との間の本件販売店契約の更新を拒絶す るためには,原告に顕著な背信行為があるなど,契約関係の継続を著しく困難にするような事情の存在が必要であると解するのが相当である。 (2) 争点(2)(本件販売店契約の更新拒絶に正当理由が存在するか。)についてア争点(1)で検討したとおり,被告が,原告との間の本件販売店契約の更新を拒絶するためには,原告に顕著な背信行為があるなど,契約関係の継続を著しく困難にするような事情があることが必要であるところ,かかる事情として,被告は,原告の①成績不良及び努力懈怠,②信頼関係を破壊するような行為を挙げる。 そこで,それぞれについて,本件販売店契約の更新拒絶を可能にするようなものといえるかについて,以下検討する。 イ成績不良及び努力懈怠について(ア) 頼関係を破壊するような行為を挙げる。 そこで,それぞれについて,本件販売店契約の更新拒絶を可能にするようなものといえるかについて,以下検討する。 イ成績不良及び努力懈怠について(ア) 前記前提事実及び上記1認定事実(2)によれば,O店における原告の販売成績(定数及び実配数等)は,別紙4及び別紙5のとおりであると認められる。 これによれば,原告の経営するO店においては,平成13年頃から平成20年に至るまで,ほぼ継続的に定数及び実配数が減少しており,平成20年時点では,平成13年当時のおよそ3分の1にまで減少しているのであって,それは原告も認めるところである。そして,平成20年7月時点のO店の普及率は,筑後地区のY新聞販売店47店の中で最低であったというのである。 原告は,かかる成績不良の原因は,被告が原告を他の販売店と同様に扱わず,他の販売店と同様の,通常の販売活動ができなかったことに起因するものであると主張する。 (イ)a この点,上記のような成績不良の原因は様々なものが考えられるものの,そのうち最も主要なのは,O店の担当地域において,販売の拡張(セールス)が十分に行われなかったこと及び止押に成功 していないことであると解される。 b そのうち,止押についてはセールススタッフを利用して行うことが禁止されており(甲ロ1),原告及びO店の従業員によって行われるものである。そして,止押に際して,被告やD会との関係で関連性があると考えられるのは,新聞中入れの受領,各種イベントチケットや拡張材料の共同購入といった点に限られるところ,新聞中入れは,原告の販売店独自に対応することができないものも含まれ,それが止押に影響することは否めないところである。一方,各種イベントチケットや拡張材料の共同購入については,原告自ら れるところ,新聞中入れは,原告の販売店独自に対応することができないものも含まれ,それが止押に影響することは否めないところである。一方,各種イベントチケットや拡張材料の共同購入については,原告自ら購入することができると解されるものの,被告ないしY新聞関連のイベントチケットが被告の協力拒否によって原告において容易に入手することが困難となり,サービス低下による購読者減の一因になり得るものと考えられる。 ちなみに,乙54,55では,O店の近隣のY店の販売店主が,原告が周辺の販売店と非協力的で,なかなか連絡をとることもできなかった旨が記載されているが,このことから原告が止押の努力を懈怠していたと直ちに認めることはできない。また,乙57の購読予定者とのトラブルは前訴確定後のことである。そして,その他,O店の止押が有効に機能しなかったことについて,少なくとも前訴確定時までは,原告の努力不足が主たる要因であることを認めるに足る証拠はない。 c 一方,セールススタッフによる販売拡張を行うことができなかった点については,原告と被告及びD会との関係に大きな影響を受けるものと考えられる。実際に,原告は,Bメモ(甲イ8,乙40)の内容を告知され,同メモを交付された後,D会を通じたセールススタッフの派遣を受けられなくなっている。D会を通じたセールス スタッフの派遣では,被告ないしその関連会社がセールススタッフを専門的に教育,育成し,Y新聞の販売拡大に有効な人員を集中的に利用できる上,被告からの補助金が受けられる制度になっているのであるから,それが利用できなくなるのは,販売店の経営上相当に不利益に働くものと解される。 この点,被告は,原告が自ら販売拡大のための人員を雇用すること,あるいは被告を通すことなく直接セールス会社にセールススタッ 用できなくなるのは,販売店の経営上相当に不利益に働くものと解される。 この点,被告は,原告が自ら販売拡大のための人員を雇用すること,あるいは被告を通すことなく直接セールス会社にセールススタッフの派遣を依頼することは,何ら妨げられるものではないとるる主張する。 たしかに,原告が自ら販売拡大のための人員を雇用することは,何ら妨げられるものではない(現に原告は,かつて止押用の営業専門の従業員を雇っていたことがある。)。また,Bメモの記載は,Y会の活動を経ることなくセールス団への依頼を行うことが可能であることを前提にしていること(甲イ8,乙40),Bも別件訴訟の証人尋問において,販売店がY会を通じずにセールススタッフの派遣を受けることが可能であると証言していること(乙73),D会を脱会していたMが,平成14年頃,同会を介することなくセールススタッフの派遣を受けており,それを原告も知っていたこと(甲イ54,甲ロ1),原告は,本件訴訟に先行する仮処分手続において,セールス派遣を要望する場合に必ずしもY会を介する必要はないが,Y会を介さなければ多額の費用がかかる旨主張していること(乙42)等に鑑みれば,原告が直接セールス会社に依頼してセールススタッフの派遣を受けることも全く不可能というわけではなかったと思われる。 しかしながら,前記のとおりD会を通じて依頼するセールススタッフを利用した場合,セールススタッフないしその所属するセールス 会社に対し,被告会社から統一精算会を通じて補助金が支払われることとなっており,その分,販売店からセールス会社等に支払うべき金員は低額に抑えることができたと容易に推認できるから,販売店を経営する原告にとって,営業活動の手段としてD会を通じてセールススタッフの派遣を受ける方が有利であったことは明 ールス会社等に支払うべき金員は低額に抑えることができたと容易に推認できるから,販売店を経営する原告にとって,営業活動の手段としてD会を通じてセールススタッフの派遣を受ける方が有利であったことは明らかである(販売店がD会を通すことなく独自にセールススタッフ派遣を依頼した場合にも,被告会社から補助金が支払われたことを認めるに足る証拠はない。)。 また,被告会社においては,セールス関連の精算事務は,株式会社Nと業務取引契約をしたセールス団が,各地区のY会単位で結成された統一精算会を通じて,Y新聞統一カード料制度(甲イ3)により運営してきているのであり,この構築されているシステムは相当強固なものであり,かつそのようなものとして関係者全般に認識されていたものと認められる(Bの陳述書(甲イ58,59)には,Y会会員でない者は,統一精算会のルールでセールススタッフを利用することは考えられず,セールスチームも規定に違反したことになり個別取引はできないとの記載があるが,これらは少なくとも関係者が上記認識を確固たるものとして有していたことの証左といえる。)。 そして,そうである以上,自前のセールスチームを組織できるような一部有力な販売店主は格別,一般の販売店が統一精算会の制度を利用することなくセールススタッフの派遣を受け続けることは困難なものといわざるを得ない。証拠(甲イ98ないし101,102の1ないし3)及び弁論の全趣旨によると,原告は,平成13年更新拒絶後,一度だけ個人的に依頼してセールススタッフの派遣を受けたものの,その後は一切セールススタッフの派遣を受けていないが,その理由が原告主張のような被告会社による妨害によるものか否かはさておき, その事実自体,上記困難さを裏付けるものというべきである。 (ウ) 以上検討してきたと ッフの派遣を受けていないが,その理由が原告主張のような被告会社による妨害によるものか否かはさておき, その事実自体,上記困難さを裏付けるものというべきである。 (ウ) 以上検討してきたところによると,前訴が確定した平成19年12月までのO店の成績不良については,被告ないしD会がセールススタッフの派遣等を拒否したことが相当大きく影響しており,原告の努力懈怠によるものと直ちに判断することはできない。 (エ) しかしながら,前訴が確定した後の平成20年1月以降は,前記のとおり,Bが同年6月までの約半年間,再三にわたってO店を訪店し,セールススタッフの派遣を初めとする種々の協力を被告においても行う旨申し入れて,原告に増紙に向けた前向きの取組を促しているにもかかわらず,原告は一切これに応じようとしていない(原告が明確に関心を示したのは,Bが,被告において原告への資金援助を検討する用意があることを示唆したときくらいである。)。この点,原告はるる弁明を試みているが,いずれも採用の限りでない。 そうすると,本件販売店契約上,原告は,被告の指導・援助を受けつつ販売成績を向上させるべく経営努力をしていく,本件販売店契約上の義務を負っていたにもかかわらず,少なくとも前訴確定後の平成20年1月以降については,これに違反しているというべきであって,上記原告の努力懈怠については,本件販売店契約11条の被告の示唆があるにもかかわらず販売成績,経営努力が認められないときに該当し,更新拒絶の正当理由の内容として考慮すべきである。そして,本件販売店契約では,被告は,1つの販売店に特定の地域における新聞の販売権を独占的に付与していることから,新聞販売の努力懈怠や成績不良が認められる場合,被告が同契約の継続によって損害を被ることを意味するから,それは正当 告は,1つの販売店に特定の地域における新聞の販売権を独占的に付与していることから,新聞販売の努力懈怠や成績不良が認められる場合,被告が同契約の継続によって損害を被ることを意味するから,それは正当理由として大きな意味を有するが,とりわけ努力懈怠が認められる場合,それは原告の故意によるものであるから,契約を継続し難いような顕著な背信行為であるといわざるを 得ない。 ウ信頼関係の破壊について(ア) 別件訴訟の提起a 前記前提事実及び前記1認定事実(5)によれば,原告は,平成20年5月28日,被告,被告の取締役及びD会を被告として,合計9000万円余りの損害賠償を求める訴訟(別件訴訟)を提起したこと,かかる別件訴訟の提起に当たり,原告が被告と事前の話合いを持たなかったこと,別件訴訟提起の日の翌日にはインターネットのウェブサイト上に別件訴訟の訴状が公開されたことがいずれも認められる。 b まず,被告は,原告の別件訴訟の提起について,話合いを前置しなかった点や,前訴終了後すぐに別件訴訟をほのめかしたことなどを指摘し,原告の別件訴訟提起は,被告との信頼関係を破壊するものである旨主張する。 しかし,別件訴訟は,販売店としての地位が認められた前訴の結果を踏まえて,これに係る損害賠償を求めるものであるから,前訴確定後に別件訴訟の提起を被告に対してほのめかしていたからといって,それが直ちに不当であるなどということにはならない。また,別件訴訟の前に,原告と被告との間で事前の話合いがなかった点についても,そのこと自体,別件訴訟提起が不当なものであることを窺わせる事情であるとはいえない上,前訴でも和解についての話し合いがされたものの被告がこれに応じるに至らなかったことが窺われるから,原告が被告との話合いを経ずに訴訟提起に至ったと ものであることを窺わせる事情であるとはいえない上,前訴でも和解についての話し合いがされたものの被告がこれに応じるに至らなかったことが窺われるから,原告が被告との話合いを経ずに訴訟提起に至ったとしても不合理とはいえないから,この点に関する被告の主張は採用できない。 c また,別件訴訟は,原告が,被告から新聞販売店契約の更新拒絶 を不当にされたとして,かかる更新拒絶によって生じた営業損害,販売店の価値減少等についての損害賠償及び慰謝料を請求するものである。 被告は,かかる損害賠償請求に関連する事実はいずれも前訴の口頭弁論終結前に生じたもので,前訴を不当に蒸し返すものである旨主張する。 しかし,前訴において,中心的に争われたのは,新聞販売店契約の更新拒絶が有効であるか否かであって,更新拒絶が無効な場合に,それにより被った損害まで詳細に填補することを求める主張がなされていたわけではないから,別件訴訟が前訴の蒸し返しであるということはできない。 d さらに,被告は,別件訴訟の被告には,被告の取締役やD会まで含まれているが,その必要は全くないことや,インターネット上に別件訴訟の訴状に加えて原告の写真やコメントまで記載されていることから,別件訴訟が原告が被告を攻撃するキャンペーンの一環である旨主張する。 しかし,原告は,契約更新拒絶への被告取締役らやD会の関与を明らかにするために,被告として選定した旨主張しており,これは,別件訴訟の内容を考え合わせれば,直ちに不当であることが明らかであるとはいえない。 また,訴状の公開や,それに伴う原告の写真やコメント等があったからといって,別件訴訟が不当な目的で提起されたものであるとまでは認めるに足りない。 その他,別件訴訟の提起が不当な目的に基づくものであることを窺わせる それに伴う原告の写真やコメント等があったからといって,別件訴訟が不当な目的で提起されたものであるとまでは認めるに足りない。 その他,別件訴訟の提起が不当な目的に基づくものであることを窺わせる事情はない。 e 以上によれば,別件訴訟において原告の請求が認容されるか否か については措くとしても,直ちに別件訴訟が前訴の不当な蒸し返しであるとか,不当な被告攻撃のキャンペーンの一環であるということはできず,濫用的な訴訟であるとはいえない。したがって,別件訴訟提起自体は,被告との信頼関係を破壊する事情にはならないというべきである。 (イ) 新D会の設立前記前提事実及び前記1認定事実(5)によれば,原告が,他の販売店5店とともに,平成20年2月23日,新D会を設立し,同会の会長に就任したこと,同会の設立に際し,原告は,事前に被告に情報提供をしたり,相談したりしようとしなかったことが認められる。 この点,Y会とは,Y新聞販売店を経営する店主らによって,親睦・相互扶助を目的として,地区ごとに組織された団体であり,D会は,筑後地区において,Y新聞販売店を経営する店主をもって組織されたY会である。そして,同会は,会員相互の親睦を図り,販売店及び被告の発展向上を目的とし,当該目的のために,販売経営に関する研究会の開催,強固な販売網作りのための諸施策の研究・実行等を行うこととしている(甲2の1・2)。 もっとも,D会について,被告は,強制加入の団体ではないとしているが,平成14年改正前の会則によると,Y新聞専売所長は必ず入会しなければならないとされており(16条),筑後地区のY新聞販売店主全員で構成されることを前提にしていたものと解される。また,前記のとおり,被告においては,セールス関連の精算事務は,株式会社Nと業務取引契約をし ないとされており(16条),筑後地区のY新聞販売店主全員で構成されることを前提にしていたものと解される。また,前記のとおり,被告においては,セールス関連の精算事務は,株式会社Nと業務取引契約をしたセールス団が,各地区のY会単位で結成された統一精算会を通じて,Y新聞統一カード料制度により運営してきている。また,新聞中入れ,拡材の共同購入及び各種イベントチケットについては,D会が取りまとめているが,その販売店との取り次ぎは,販売店を訪店す る被告の担当員が行っているのであって,これらは,D会と被告が密接な関係を有し,その協力の下,購読者数増大に向けた様々な施策を採っていることを示すものである。そして,そうである以上,同一地域内に,被告と関連する同一内容の組織を新たに設立すべき必要性は認められず,新組織の設立は,既存の被告とD会の関係をいたずらに混乱させ,両者の協力の下進めてきた施策の障害となるものといえる。 しかるに,原告は,前訴判決確定後,Bから,原告のD会復帰については同会に対し被告の方からも話を付けてある旨申入れがあったにもかかわらず,原告自身はD会に連絡を入れるなど同会復帰に向けた積極的姿勢を一切示さず(このことは原告も自認している。),かえって,被告への事前連絡なしに,D会に加入している販売店主3名を同会から脱会させて,新D会を結成させているのであって,かかる原告の行動に接した被告において,原告に不信感を抱いたとしても,まことにやむを得ないところというべきである。 したがって,新D会の設立についても,本件販売店契約の更新拒絶の正当理由として考慮し得る(本件販売店契約11条所定のY新聞系統店との協調を欠くなど,同系統店に著しい迷惑を及ぼす行為があったときに該当すると思われる。)ものというべきである。 (ウ) 新拒絶の正当理由として考慮し得る(本件販売店契約11条所定のY新聞系統店との協調を欠くなど,同系統店に著しい迷惑を及ぼす行為があったときに該当すると思われる。)ものというべきである。 (ウ) メディア等を用いての被告攻撃前記前提事実及び前記1認定事実(5)によれば,原告ないし原告訴訟代理人弁護士らは,フリージャーナリストのHと協力関係にあり,情報交換や資料提供を行っており,「MyNewsJapan」と題するウェブサイトや,「新聞販売黒書」と題するHの管理するウェブサイトには,被告に批判的な内容が繰り返し掲載されていることが認められる。 確かに,原告の主張するとおり,押し紙というような問題があるの であれば,それを世間に公表してはならないということはない。しかし,一方で,被告も,販売店を利用して,自社の新聞を販売する必要があるところ,かかる役割を担う販売店が公に被告の批判をするとなれば,被告発行の新聞の売上等を初めとして,被告の経営にも影響が懸念されるところである。そうすると,原告等の販売店による被告の批判は,過度のものについては,販売店と被告の双方が利益を得られるように取引を継続していくという本件販売店契約の趣旨を害するものであるといわざるを得ない。 したがって,原告の被告に対する批判は,これが一般に許されないわけではないものの,原告と被告の本件販売店契約の趣旨及び性質に鑑み,相当性を逸脱しない程度のものに限定されるというべきであって,その限度を超過すれば,本件販売店契約の趣旨に反するものとなると解される。 これを本件について見るに,被告の指摘するHの記事等では,別件訴訟における原告の主張の他,被告が押し紙を販売店に押し付け,それが大きな問題となっていることや,被告の経営体制を批判している。 そして, これを本件について見るに,被告の指摘するHの記事等では,別件訴訟における原告の主張の他,被告が押し紙を販売店に押し付け,それが大きな問題となっていることや,被告の経営体制を批判している。 そして,それをジャーナリストのHが,記事として公開しているものであり,それが的確な取材に基づいて執筆されたものであるかのような印象を与えるということができる。また,その内容は,被告に対して過度に攻撃的かつ侮辱的なものも含まれるところ,これは,原告と被告の本件販売店契約の趣旨及び性質に鑑み,相当性を逸脱したものといわざるを得ない。さらに,そのような記事は,原告ないし原告代理人によって提供された情報や資料等に基づいて執筆されたことを窺わせるものも多数見られる上,Hは継続的にそのような記事の執筆を行っていることからすれば,原告や原告代理人も,上記のような記事の執筆に利用されることを認識,認容しながら情報や資料等の提供 を行ったことが窺われるというべきである。 以上によれば,原告の,メディア等を用いての被告攻撃は,本件販売店契約11条所定の,被告の名誉又は信用を害するときに該当するものと思われ,本件販売店契約の更新拒絶事由の一つとして考慮すべきである。 (エ) 被告担当者訪店時の原告の言動被告の担当者であるBが,平成20年1月から同年6月にかけて,O店を訪れた際,前記1(5)ア記載のとおりのやりとりがあったことが認められる。 そして,かかるやりとりについて,被告は,原告が侮辱的,脅迫的言動を繰り返しており,まともに販売店を経営していくという姿勢が全く見られなかった旨主張し,これに対し,原告は,原告との真の信頼関係を回復しようとしない被告の態度こそ,問題とされるべきであって,原告の態度は経営への意欲に欠けるものでも,信頼関係を破壊する が全く見られなかった旨主張し,これに対し,原告は,原告との真の信頼関係を回復しようとしない被告の態度こそ,問題とされるべきであって,原告の態度は経営への意欲に欠けるものでも,信頼関係を破壊するものでもない旨主張する。 この点,原告は,O店の担当としてBが訪店していた平成13年に,区域分割の申入れを受けたり,本件販売店契約の解除を言い渡されたりしていた経緯がある。かかる経緯からすると,前訴確定後のO店の訪店担当をBとし,原告が担当者の交替を求めたにもかかわらず,その後も担当者を交替させなかった被告の判断は,必ずしも適切であったとはいい難い面がある。また,上記経緯からすると,Bの訪店を受けた原告が,一時的に感情的になることも致し方ない面があったといえる。 しかしながら,Bが,前訴の確定後に訪店を重ねる中で,再三にわたり,O店の将来の営業方針の相談や,増紙に向けた支援について原告と建設的な話し合いを持とうとしていることが窺われるにもかか わらず,原告は,そもそも話し合いに応じる姿勢を示さず,Bの些細な言動を茶化したり,別件訴訟の提起を示唆して被告を脅したりするなどしている。被告の担当員は,各販売店を訪店して販売店主らと直接接し,販売店に対する被告のいわば窓口となり,営業方針の相談や増紙に向けた取組等の意見交換を行うのであり,同人と建設的な協議ができなければ,販売店と被告との協力関係を再構築することは不可能である。しかるに,上記Bが訪店した際の原告の一連の言動については,前記のような事情をある程度酌んでも,被告と協力関係を再構築し継続していかなければならない者のとるべき真摯な態度とは到底いえないことが明らかである。 なお,原告は,原告が増紙に対して十分な意欲を有していたのに,Bは増紙の具体的方策を採ろうとしなかった 築し継続していかなければならない者のとるべき真摯な態度とは到底いえないことが明らかである。 なお,原告は,原告が増紙に対して十分な意欲を有していたのに,Bは増紙の具体的方策を採ろうとしなかったと主張する。しかしながら,前記の認定事実記載のとおり,Bが再三にわたり,セールススタッフの派遣等,増紙に向けた必要な方策等について具体的に打ち合わせようとしているにもかかわらず,原告はそれに応じようとしていない。そうすると,原告が増紙に対して十分な意欲を有していたことは到底認め難いところであり,かえって,いたずらに被告との対決姿勢を強めようとしていたことが認められるから,原告の上記主張は理由がない。 以上によれば,被告担当者訪店時の原告の言動(増紙に向けた努力懈怠と評価されるものは前記イのとおりであるので,それを除いた点についてである。)も,本件販売店契約の更新拒絶の正当理由を基礎づける事情の一つとして考慮すべきである。 エ小括以上のとおり,原告には,少なくとも前訴確定後,増紙に向けた努力懈怠が認められ,これは本件販売店契約の継続を著しく困難にする事由 であるというべきである。 また,前記のような,新D会の設立や,相当性を逸脱した種々の被告批判,Bが訪店した際の言動等からすると,様々な点において原告の被告に対する背信行為が認められ,原告に本件販売店契約の本旨に沿った形で販売店を経営していく意思があるかは疑問であると見られても仕方がないというべきである。そうすると,平成20年6月の時点では,もはや被告が信頼関係に基づいて原告との継続的契約関係を続けていくことは著しく困難になっていたといわざるを得ない。 したがって,平成20年更新拒絶には正当な理由があり,有効であるというべきである。これに反する原告の主張はいずれも との継続的契約関係を続けていくことは著しく困難になっていたといわざるを得ない。 したがって,平成20年更新拒絶には正当な理由があり,有効であるというべきである。これに反する原告の主張はいずれも採用の限りでない。 (3) 争点(3)(新聞等の供給請求の可否)及び争点(4)(慰謝料請求の可否)について原告は,被告による本件販売店契約の更新拒絶が認められず,原告が本件販売店契約上の地位を有することを前提に,被告に対する新聞等の供給請求(請求の趣旨(2))及び慰謝料請求(請求の趣旨(3))を行っている。 しかしながら,前記(1)及び(2)で検討したとおり,原告の上記契約上の地位は平成20年更新拒絶によって失われたというべきであるから,原告の被告に対する新聞等の供給請求はその前提を欠き,認められないことは明らかである。 また,原告の被告に対する慰謝料請求についても,原告が債務不履行ないし不法行為に当たるとるる主張する事由は,いずれも,本件販売店契約の更新拒絶が契約の趣旨に反するものであるか又は違法であることを前提に,上記更新拒絶が債務不履行ないし不法行為に該当すると主張するものであるから,前記(1)及び(2)で検討したとおり,本件販売店契約の更新拒絶(平成20年更新拒絶)が有効かつ適法であると認められる本件においては,上記更 新拒絶に係る被告の行為が債務不履行ないし不法行為になるとはいえず,原告の慰謝料請求は理由がないこととなる。 第4 結論以上の次第で,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がなく,これを棄却すべきである。 よって,主文のとおり判決する。 福岡地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官西井和徒 裁判官圓道至剛 裁判官益 主文 これを棄却すべきである。 よって,主文のとおり判決する。 福岡地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官西井和徒 裁判官圓道至剛 裁判官益留龍也 別紙省略

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