- 1 -令和6年12月19日宣告令和6年(わ)第191号判決 主文 1 被告人両名をそれぞれ禁錮2年に処する。 2 被告人両名に対し、この裁判が確定した日から3年間それぞれその刑の執行を猶予する。 理由 【罪となるべき事実】被告人両名は、令和6年5月15日午前0時19分頃、静岡県焼津市(住所省略)所 在のC南南西約180m付近の岸壁において、当時、同所は暗く、同岸壁に接する海中は水深約6.6m、海面から岸壁上端までの高さは約0.95mであり、衣服上下及び靴を着用したD(当時20歳)を着衣したまま海中に投げ入れれば、同人が溺水する事態が生じることは容易に予見できたのであるから、同人を海中に投げ入れる行為を差し控えることはもとより、あえて海中に投げ入れるのであれば、同人が溺水した場合には 直ちに救助することができるように準備するなどして、その生命に危険が及ぶ事態を未然に防止すべき注意義務があるのにこれを怠り、事前に被告人両名の友人らが着衣したまま自ら海中に入水していたことなどから、上記状態の上記Dを着衣したまま海中に投げ入れても、同人が溺水しないものと軽信し、直ちに同人を救助することができるように準備をせず、漫然、上記状態の同人を着衣したままその身体を持ち上げて岸壁から少 なくとも約1.4m離れた海中に投げ入れた重大な過失により、同人を溺水させ、よって、同日午前4時43分頃、同市道原1000番地所在の焼津市立総合病院において、同人を溺死させた。 【証拠の標目】省略 【法令の適用】(被告人両名) - 2 - 1 主刑⑴ 罰条被告人両名の判示所為はいずれも刑法211条後段に該当する。 ⑵ 同人を溺死させた。 【証拠の標目】省略 【法令の適用】(被告人両名) - 2 - 1 主刑⑴ 罰条被告人両名の判示所為はいずれも刑法211条後段に該当する。 ⑵ 刑種の選択判示の罪について、いずれも禁錮刑を選択する。 ⑶ 宣告刑の決定後記量刑の理由により、所定刑期の範囲内で被告人両名をそれぞれ禁錮2年に処する。 2 刑の執行猶予後記量刑の理由により、刑法25条1項を適用して、被告人両名に対し、この裁判 が確定した日から3年間それぞれその刑の執行を猶予する。 3 訴訟費用の不負担訴訟費用は、刑訴法181条1項ただし書を適用して被告人Aに負担させない。 【量刑の理由】当裁判所が被告人両名に対する刑を定めるに当たって重視した事情は以下のとおりで ある。すなわち、深夜で周囲が暗く、海面から相応の高さがある岸壁において、長袖、長ズボンの衣服上下及び靴を着用した被害者の上半身と下半身を2名でそれぞれ持ち、何ら救護の準備等をせずに海中に投げ入れる被告人両名の判示の行為は、衣服、靴の抵抗や着水後の精神的負荷等によって、被害者が溺水する可能性が高い非常に危険な行為であったといえる。しかるに、被告人両名は、被害者が溺水する可能性を全く考慮するこ となく、極めて軽率に判示の行為に及んだものであり、被告人両名の過失の程度は著しい。このような被告人両名の重過失の結果、被害者が溺死するという重大な結果が生じており、突然我が子を失った被害者の両親の心情は察するに余りある。他方で、被告人両名が判示の行為に及んだ経緯をみると、友人らが着衣したまま自ら海中に入水していたことに加え、被害者が海中に入水することを嫌がったり、拒絶したりしていなかった との事情があり、この で、被告人両名が判示の行為に及んだ経緯をみると、友人らが着衣したまま自ら海中に入水していたことに加え、被害者が海中に入水することを嫌がったり、拒絶したりしていなかった との事情があり、このような事情を考慮すれば、被告人両名にとって被害者の溺水を具 - 3 -体的に予見することが非常に容易であったとまではいえない。以上に加え、被告人両名が自身の重過失を認めた上で、被害者及びその両親に謝罪の言葉を述べるとともに、被告人Bにおいては、被害者の両親に100万円を支払った上で毎月10万円積み立て、被告人Aにおいては、合計145万円を積み立て、それぞれ今後の被害弁償を約するなどして反省の態度を示していること、被告人両名に前科前歴がないこと、被告人両名の 両親がそれぞれ支援監督を誓約していることなどの被告人両名にとって酌むべき事情が認められる。以上の事情をも考慮すれば、被告人両名を直ちに禁錮刑の実刑に処するのが相当とはいえず、被告人両名に対しては、それぞれ、主文の刑に処した上でその刑の執行を猶予するのが相当である。 (検察官の求刑被告人両名につきそれぞれ禁錮2年6月) (弁護人らの意見執行猶予付きの判決)令和6年12月27日静岡地方裁判所刑事第1部 裁判官益子元暢
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