主文 一被告は、原告P1に対し、金一八三五万一〇〇〇円及びこれに対する平成九年七月二五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 二被告は、原告P6に対し、金一七一一万五〇〇〇円及びこれに対する平成一〇年一〇月六日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 三被告は、原告P7に対し、金二一一一万七〇〇〇円及びこれに対する平成一○年一○月六日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 四原告らのその余の請求を棄却する。 五訴訟費用は、これを三分し、その二を原告らの負担とし、その余を被告の負担とする。 六この判決は、原告ら勝訴の部分に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第一請求一被告は、原告P1に対し、金六一二〇万円及びこれに対する平成九年七月二五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 二被告は、原告P6に対し、金六一二〇万円及びこれに対する平成一〇年一〇月六日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 三被告は、原告P7に対し、金六一二〇万円及びこれに対する平成一○年一○月六日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 第二事案の概要本件は、被告の従業員であった亡P2、亡P4及び亡P5。なお、亡P2、亡P4及び亡P5を含め、以下「亡P2ら」という。)の各妻が、被告が亡P2らを被保険者として訴外日本生命保険相互会社ほか八社との間で締結した団体定期保険契約に基づき、亡P2らの死亡によって被告が支払を受けた生命保険金について、それが遺族である各妻に支払われるべきものであるとして、被告に対し、それぞれ保険金全額に相当する金員の支払を請求した事案である。 一争いのない事実等(証拠を示した部分以外は争いがない。) 1 当事者(一) 亡P2(昭和一四年七月一日 ものであるとして、被告に対し、それぞれ保険金全額に相当する金員の支払を請求した事案である。 一争いのない事実等(証拠を示した部分以外は争いがない。) 1 当事者(一) 亡P2(昭和一四年七月一日生)は、昭和三八年に被告に臨時工として入社し、約一年後に正社員となって以降、被告の従業員として勤務していたところ、平成六年六月一三日、脳梗塞により死亡した(死亡時満五四歳)。 (二) 亡P4(昭和一八年四月二八日生)は、昭和三八年に被告に臨時工として入社し、約一年半後に正社員となって以降、被告の従業員として勤務していたところ、平成六年七月一〇日、膵臓癌により死亡した(死亡時五一歳)。 (三) 亡P5(昭和一七年五月三一日生)は、昭和四七年に被告に正社員として入社して以降、被告の従業員として勤務していたところ、平成六年一二月二一日、肝臓癌により死亡した(死亡時五二歳)。 (四) 被告は、アルミ、銅等の非鉄金属部品の製造、販売を業とする株式会社であり、資本金は一四二億七八九七万八八七八円、従業員は約三二〇〇人である。 2 団体定期保険契約の締結(一) 被告は、次のとおり、生命保険会社九社(以下「本件各保険会社」という。)との間で、それぞれ団体定期保険契約を締結していた(以下「本件各団体定期保険契約」という。)。 (1) 日本生命保険相互会社(以下「日本生命」という。)関係昭和四八年一二月一日に初めて同社との間で団体定期保険契約を締結し、以後、毎年契約を更新していたところ、亡P2らの死亡当時、保険契約者兼保険金受取人を被告、被保険者を役員、相談役及び顧問を除く従業員全員とする団体定期保険契約を締結していた。(甲七〇の1、七一の1ないし5、七五の1ないし14)(2) 太陽生命保険相互会社(以下「太陽生命」という。)関係昭和四八年一二月一日に初めて同社 従業員全員とする団体定期保険契約を締結していた。(甲七〇の1、七一の1ないし5、七五の1ないし14)(2) 太陽生命保険相互会社(以下「太陽生命」という。)関係昭和四八年一二月一日に初めて同社との間で団体定期保険契約を締結し、以後、毎年契約を更新していたところ、亡P2らの死亡当時、保険契約者兼保険金受取人を被告、被保険者を従業員全員とする団体定期保険契約を締結していた。(甲七九ないし八九)(3) 第百生命保険相互会社(以下「第百生命」という。)関係昭和四八年一二月一日に初めて同社との間で団体定期保険契約を締結し、以後、毎年契約を更新していたところ、亡P2らの死亡当時、保険契約者兼保険金受取人を被告、被保険者を従業員全員とする団体定期保険契約を終結していた。(甲一一一、一一八ないし一二四)(4) 日産生命保険相互会社(以下「日産生命」という。)関係昭和四八年一二月一日に初めて同社との間で団体定期保険契約を締結し、以後、毎年契約を更新していたところ、亡P2らの死亡当時、保険契約者兼保険金受取人を被告、被保険者を五五歳以下の役員及び従業員全員とする団体定期保険契約を締結していた。(甲一三六の1、一三七ないし一四一の各1)(5) 日本団体生命保険株式会社(以下「日本団体生命」という。)関係昭和四九年一月一日に初めて同社との間で団体定期保険契約を締結し、以後、毎年契約を更新していたところ、亡P2らの死亡当時、保険契約者兼保険金受取人を被告、被保険者を従業員全員とする団体定期保険契約を締結していた。(甲一二六の1ないし7、一二七の1ないし9)(6) 住友生命保険相互会社(以下「住友生命」という。)関係昭和五一年三月一日に初めて同社との間で団体定期保険契約を締結し、以後、毎年契約を更新していたところ、亡P2らの死亡当時、保険契約 9)(6) 住友生命保険相互会社(以下「住友生命」という。)関係昭和五一年三月一日に初めて同社との間で団体定期保険契約を締結し、以後、毎年契約を更新していたところ、亡P2らの死亡当時、保険契約者兼保険金受取人を被告、被保険者を従業員全員とする団体定期保険契約を締結していた。(甲五一、五二の1ないし4、五五ないし六八)(7) 第一生命保険相互会社(以下「第一生命」という。)関係昭和六〇年一二月一日に初めて同社との間で団体定期保険契約を締結し、以後、毎年契約を更新していたところ、亡P2らの死亡当時、保険契約者兼保険金受取人を被告、被保険者を役員及び従業員全員とする団体定期保険契約を締結していた。 (甲一○○の1、一〇二の1ないし4、一〇九の1ないし3)(8) 協栄生命保険株式会社(以下「協栄生命」という。)関係平成二年一二月一日に初めて同社との間で団体定期保険契約を締結し、以後、毎年契約を更新していたところ、亡P2らの死亡当時、保険契約者兼保険金受取人を被告、被保険者を一八歳以上五五歳以下の従業員全員とする団体定期保険契約を締結していた。(甲九四の1、九五)(9) 明治生命保険相互会社(以下「明治生命」という。)関係平成三年一二月一日に初めて同社との間で団体定期保険契約を締結し、以後、毎年契約を更新していたところ、亡P2らの死亡当時、保険契約者兼保険金受取人を被告、被保険者を従業員全員(五五歳以下とし、かつ、パートを除く。)とする団体定期保険契約を締結していた。(甲一三一の1、一三二の1)なお、被告は、本件各団体定期保険契約の締結についての被保険者の同意として、従業員分に関しては、亡P2らを含む被告従業員によって結成される労働組合である訴外住友軽金属労働組合(以下「訴外組合」という。)の同意を得ていたものであり、また、保険 ついての被保険者の同意として、従業員分に関しては、亡P2らを含む被告従業員によって結成される労働組合である訴外住友軽金属労働組合(以下「訴外組合」という。)の同意を得ていたものであり、また、保険料はいずれの契約についても従業員の負担部分はなく、被告においてその全部を負担していたものであった。 3 死亡保険金被告は、亡P2らの死亡により、本件各団体定期保険契約に基づき、本件各保険会社より、死亡保険金としてそれぞれにつき合計六一二〇万円の支払を受けた。なお、内訳は、別紙保険目録記載のとおりである。 なお、亡P5の死亡当時、同人を被保険者とする生命保険金の総額は、合計六六八○万円であった(平成六年一二月一日をもって増額された。)と考えられるところ、当事者間では、合計六一二〇万円として請求原因事実に争いがないものである。 4 原告らが亡P2らの死亡により被告から支給を受けた金員(甲三一、三二)(一) 亡P2(原告P1)関係(乙一二、弁論の全趣旨)退職金一〇九三万四〇〇〇円(遺族一時金を含む。)葬祭料六五万六〇〇〇円慶弔金五万○○○○円(他に供花一対)合計一一六四万○○○○円なお、この他に、健康保険組合から埋葬料三六万円が支給されている。 (二) 亡P4(原告P6)関係(乙一三、弁論の全趣旨)退職金一一九六万四〇〇〇円(遺族一時金を含む。)葬祭料八七万一〇〇〇円慶弔金五万○○○○円(他に供花一対)合計一二八八万五〇〇〇円なお、この他に、健康保険組合から埋葬料五〇万円が支給されている。 (三) 亡P5(原告P7)関係(乙一四、弁論の全趣旨)退職金七三六万八〇〇〇円(遺族一時金を含む。)葬祭料 なお、この他に、健康保険組合から埋葬料五〇万円が支給されている。 (三) 亡P5(原告P7)関係(乙一四、弁論の全趣旨)退職金七三六万八〇〇〇円(遺族一時金を含む。)葬祭料七一万五〇〇〇円慶弔金五万○○○○円(他に供花一対)遺児福祉年金七五万円(平成七年一月から平成八年三月)合計八八八万三〇〇〇円なお、この他に、健康保険組合から埋葬料三八万円が支給されている。 5 相続関係(一) 亡P2関係亡P2の相続人は、妻である原告P1、子である訴外P3及び訴外P11の三名であるところ、右三名は、平成九年七月ころ亡P2を被保険者とする本件各団体定期保険契約による保険金に関する一切の権利を原告P1に取得させる旨の合意をなし、平成一〇年一月五日その旨の遺産分割協議書を作成した。(甲二一一、二七九の1、2)(二) 亡P4関係亡P4の相続人は、妻である原告P6、子である訴外P12及び訴外P13の三名であるところ、右三名は、平成一〇年九月ころ亡P4を被保険者とする本件各団体定期保険契約による保険金に関する一切の権利を原告P6に取得させる旨の合意をなし、平成一二年八月八日その旨の遺産分割協議書を作成した。(甲二八〇、二八一)(三) 亡P5関係亡P5の相続人は、妻である原告P7、子である訴外P14、訴外P15、訴外P16及び訴外P17の五名であるところ、右五名は、平成一〇年九月ころ亡P5を被保険者とする本件各団体定期保険契約による保険金に関する一切の権利を原告P7に取得させる旨の合意をなし、平成一二年八月一〇日その旨の遺産分割協議書を作成した。(甲二八二の1ないし4、二八三)二争点 1 保険金の全部又は相当部分の支払の合意の存否 2 仮に、被告と亡P2らとの労働契約 の合意をなし、平成一二年八月一〇日その旨の遺産分割協議書を作成した。(甲二八二の1ないし4、二八三)二争点 1 保険金の全部又は相当部分の支払の合意の存否 2 仮に、被告と亡P2らとの労働契約関係において、本件各団体定期保険契約による保険金の全部又は相当部分の支払の合意がないことにより、被告において、右保険金の全部又は相当部分を被保険者の遺族に支払うことなく、自ら取得して他の用途に使用するという取扱いが既成事実となっていたとした場合、かかる取扱いの公序良俗違反性の有無 3 信義則上の支払義務の存否 4 準共有の成否 5 不当利得返還請求権の存否(本件各団体定期保険契約における保険金受取人指定部分の有効性) 6 被告が亡P2らの遺族に対して支払うべき金額第三争点についての当事者の主張一保険金の全部又は相当部分の支払の合意の存否 1 原告らの主張(一) 亡P2らは、被告が本件各保険会社との間で本件各団体定期保険契約を締結するについてその被保険者となることに同意するに際し、被告との間で、保険金受取人を被告とするが、亡P2人らが死亡して被告に死亡保険金が支払われた場合には、その保険金の全部又は相当部分を被告は被保険者である亡P2らの相続人に弔慰金等として支払う旨の合意をなした。 本件各団体定期保険契約の締結については、亡P2らが加入していた訴外組合の委員長が一括して同意を与えていたものであるところ、商法六七四条一項本文が、他人の生命についての保険契約において被保険者の同意を必要としている趣旨は、①不当な利得(不労の利得ともいう。)を得る目的に利用されることの防止、②故意に被保険者の生命に危険を加える事態を誘発することの防止、③他人の生命を無断で経済的に評価して取引の対象とすることに伴う人格権の侵害の防止などにあり、かつ、団体定期保険 利用されることの防止、②故意に被保険者の生命に危険を加える事態を誘発することの防止、③他人の生命を無断で経済的に評価して取引の対象とすることに伴う人格権の侵害の防止などにあり、かつ、団体定期保険契約が従業員の遺族の生活保障を目的としたものであることからすれば、被告が本件各団体保険契約の締結について同意を求めた行為は、被告が本件各団体定期保険契約を締結し、これらの契約により被告が本件各保険会社より保険金の支払を受けたときにはこれを被保険者の遺族に生活保障として支払うことの申出の意思表示と理解すべきであり、訴外組合の委員長による同意はその承諾の意思表示と理解すべきである。 (二) 仮に、亡P2と被告との間で右のような合意を明示的になしたことはなかったとしても、次の(1)ないし(6)の事情からすれば、亡P2らと被告との間において、本件各団体定期保険契約から支払われる保険金の全部又は相当部分を被告は亡P2らの相続人に弔慰金等として支払う旨の黙示的な合意があったものと推認するのが相当であり、また、被告の社内規定との関係でいえば、従業員が死亡した場合には本件各団体定期保険契約から支払われる保険金の全部又は相当部分をその相続人に支払う旨の規定が黙示的に制定されたものと認めるのが相当である。 なお、被告は、本件各団体定期保険契約について、訴外組合に委員長を含む執行部が被告が保険金受取人になることに同意したと主張するが、この同意は、外形的に本件各保険会社との関係で被告が保険金受取人となることについて同意したにとどまるものであって、保険会社から支払われる保険金を最終的に被告が取得して自由に使用することまで同意したものではなく、あくまで団体定期保険契約の本来の趣旨に従った運用がされることを前提とした同意として理解されるべきものである。 (1) 団体定期保 最終的に被告が取得して自由に使用することまで同意したものではなく、あくまで団体定期保険契約の本来の趣旨に従った運用がされることを前提とした同意として理解されるべきものである。 (1) 団体定期保険契約への加入開始当時の団体定期保険約款の内容団体定期保険制度は、従業員の不慮の死亡の場合において当該従業員の遺族の生活保障を図るという理念のもとに創設されたものであり、創設当初の団体定期保険約款においては、保険契約者である使用者が保険金の受取人になることを禁止する条項が置かれていたところ、被告において団体定期保険契約に初めて加入した昭和四八年から昭和四九年にかけてのころにおいても、太陽生命、第百生命、日産生命及び日本団体生命の各団体定期保険約款では、いずれも保険契約者である使用者が保険金の受取人となることを原則として禁止し、使用者は、保険会社から支払を受ける保険金の全額を社内規定に基づいて被保険者の遺族に交付する場合にのみ、例外的に保険金の受取人となることが認められていたにすぎないものであった。 したがって、被告は、右のような約款の内容を認識して団体定期保険契約への加入を開始したものであり、団体定期保険契約によって保険会社から支払われる死亡保険金についてはその全額を被保険者の遺族に交付すべきものであることを認識していたことは明らかである。 (2)団体定期保険契約の契約申込時において明示された被告の意思内容昭和五三年に大蔵省は、団体定期保険制度の本来の趣旨に則り、団体定期保険による保険金が被保険者の遺族に対して弔慰金等として支払われるよう行政指導を行ったところ、保険会社の業界団体である社団法人生命保険協会(以下「生命保険協会」という。)においても、団体定期保険による保険金が本来の趣旨どおりに被保険者の遺族に対する弔慰金等に充てられるよ 導を行ったところ、保険会社の業界団体である社団法人生命保険協会(以下「生命保険協会」という。)においても、団体定期保険による保険金が本来の趣旨どおりに被保険者の遺族に対する弔慰金等に充てられるよう申合せがなされ、昭和五三年四月以降、団体定期保険契約の申込時に、契約申込書に契約申込の趣旨及び被保険者の同意の方式を明示させるとともに、保険会社と保険契約者との間で契約の趣旨を合意した協定書ないし覚書(以下「協定書等」という。)を取り交わすこととされた。 ① 被告は、本件各団体定期保険契約について、昭和五三年四月以降の新規契約時に差し入れた契約申込書及び契約更新時に差し入れた契約変更申込書(以下「契約申込書等」という。)において、「契約の趣旨」を記入しているところ、次の契約申込書等には、いずれも被保険者の遺族に支払われる弔慰金制度との関係で申し込む旨の記入をしている。 ア日本団体生命関係昭和五五年一二月一日付契約申込書(甲一二七の1)昭和五六年一二月一日付契約申込書(甲一二七の2)昭和五七年一二月一日付契約申込書(甲一二七の4)昭和五八年一二月一日付契約申込書(甲一二七の5)昭和五九年一二月一日付契約申込書(甲一二七の6)昭和六〇年一二月一日付契約申込書(甲一二七の7)昭和六二年一二月一日付契約申込書(甲一二七の8)昭和六三年一二月一日付契約申込書(甲一二七の9)平成元年一二月一日付契約申込書(甲一二七の3)イ協栄生命関係平成二年一二月一日付契約申込書(甲九四の1)平成六年一二月一三日付契約変更申込書(甲九五)ウ明治生命関係平成三年一二月一日付契約申込書(甲一三一の1)エ日産生命関係平成三年一二月一日付契約申込書(甲一三七の1)オ第一生命関係平成六年一二月一日付契約変更申込書(甲一〇二の1 明治生命関係平成三年一二月一日付契約申込書(甲一三一の1)エ日産生命関係平成三年一二月一日付契約申込書(甲一三七の1)オ第一生命関係平成六年一二月一日付契約変更申込書(甲一〇二の1)なお、日本団体生命関係の右一連の契約申込書の「契約の趣旨」欄には、「弔慰金制度」以外に、「退職金制度」「その他( )」の選択肢が設けられていたが、「弔慰金制度」のみが選択され、「その他( )」欄にも何の記入もされていない。協栄生命関係の平成六年一二月一三日付契約変更申込書には、「弔慰金」以外に、「死亡退職金」「遺族・育英年金」「労災上乗せ補償金」「その他( )」の選択肢が設けられ、「注」として、「その他( )欄は、企業の経済的な損失を補填する目的がある場合はその金額をご記入願います。」と記載されていたにもかかわらず、「弔慰金」のみが選択され、「その他( )」欄にも何の記入もされていない。第一生命関係の平成六年一二月一日付契約変更申込書には、「①弔慰金制度」以外に、「②死亡退職金制度」「③遺族育英年金制度」「④労災上乗せ補償金制度」「⑤その他(上記①~④以外の場合ご記入願います。)」の選択肢が設けられていたが、「①弔慰金制度」のみが選択され、「⑤その他(上記①~④以外の場合ご記入願います。)」欄にも何の記入もされていない。 ② 被告は、本件各団体定期保険契約について、本件各保険会社との間で協定書等を取り交わしているところ、協栄生命との間の平成二年一二月一日付協定書においては、契約締結の趣旨につき、「本契約は甲(被告)における福利厚生制度との関連において締結したものであり、甲(被告)は本契約における保険金の全部または一部を弔慰金制度に則り支払う金額に充当することとする。」と定め、団体定期保険による保険金を被保険者の遺族に対する弔慰金の支払に おいて締結したものであり、甲(被告)は本契約における保険金の全部または一部を弔慰金制度に則り支払う金額に充当することとする。」と定め、団体定期保険による保険金を被保険者の遺族に対する弔慰金の支払に充てることが明記されており、明治生命との間の平成三年一二月一日付協定書においても、右同様の規定が明記されている。また、第一生命との間の昭和六〇年一二月一日付覚書においても、契約の趣旨につき、「本契約は甲(被告)における福利厚生制度に基づく給付に充当することを目的として締結したものであり、甲(被告)は本契約における保険金等の全部または一部を弔慰金制度・退職金制度規程に則り支払う金額に充当することとする。」と定めている。 これらの協定書等は、個人保険における「生命保険契約の付保に関する規定」と同様の意義を持つものであり、団体定期保険による保険金が本来の趣旨どおり弔慰金制度との関連において運用され、保険契約者である使用者が不労の利得を得ることを防止するために大蔵省の行政指導と生命保険協会の申合せによって取り交わされるようになったものである。 ③ 右のとおり、被告においても、本件各団体定期保険契約の新規加入時及び契約更新時に差し入れた契約申込書等にも、また、本件各保険会社との間で取り交わした協定書等においても、被保険者の遺族に対して支払う弔慰金に充てるために契約を締結したものであることを明示していたものであり、保険契約者において、右のような契約関係書類に明示した契約の趣旨を遵守するのはむしろ当然のことである。 (3) 団体定期保険についての本件各保険会社のパンフレット等の内容本件各保険会社が団体定期保険のPRと勧誘の目的で顧客に配布するために作成したパンフレット類等においても、団体定期保険の趣旨・目的が、従業員の遺族の生活保障にあることを明らかに ンフレット等の内容本件各保険会社が団体定期保険のPRと勧誘の目的で顧客に配布するために作成したパンフレット類等においても、団体定期保険の趣旨・目的が、従業員の遺族の生活保障にあることを明らかにし、従業員の在職中の補償制度の確立を掲げている。 例えば、第一生命のパンフレットには、「社長の思いやりが『カタチ』になります」という見出しのもと、従業員の遺族の生活保障へのサポートが第一に挙げられており、企業経営から見た団体定期保険導入の理由としても、「従業員の遺族の生活保障」が五七・一パーセントを占めていることが紹介され、また、「しっかり働いている人にはしっかりとした保障をしてやりたい」という企業ニーズに応えて「遺族生活保障」を目的とするものであることがアピールされており、日本生命のパンフレットでも、「業務外事由による死亡、疾病、傷害に対して、企業が何らかの形で補償制度を導入しているのは実に九〇・三%と、極めて高い割合となっています。また、どの補償制度をとっても七割以上の高い実施率となっています。」との説明がされている。 住友生命のパンフレットでは、「スミセイが提案する確かな生活補償」「従業員に万一のことがあった場合、国から補償として国民年金、厚生年金による遺族年金等がありますが、遺族が安心して暮らせる生活資金を確保するには必ずしも充分とは言えず、企業福祉制度による遺族補償の充実を図ることが求められています。 『住友のグループ保険』はこのような企業福祉の一環としての遺族補償を割安な保険料負担で実現するものです」「いま従業員の万一の保障のために」などと説明されており、「業務上・業務外を問わず二四時間保障」「従業員とその家族への思いやり」「二四時間保障(労災以外も保障)」という点が強調されているのは、各保険会社にほぼ共通している。 このよう と説明されており、「業務上・業務外を問わず二四時間保障」「従業員とその家族への思いやり」「二四時間保障(労災以外も保障)」という点が強調されているのは、各保険会社にほぼ共通している。 このような団体定期保険についてのパンフレット類の記載からも、団体定期保険が、業務上業務外を問わず、従業員の死亡の場合において遺族の生活保障の目的で設けられた保険商品であることが明らかにされている。 保険商品は、いずれも大蔵省の認可を得て発売されるものであり、保険会社が作成して配布する募集文書及び図画(以下「募集文書等」という。)についても、「保険募集の取扱に関する法律」により、厳重な規制を受けているところ、大蔵省は、生命保険の募集文書等の取扱いについて、昭和二四年以降、通達を発して厳しい規制を行ってきており、保険会社が作成する募集文書等については、昭和四八年三月末日までは大蔵省に、同年四月一日以降は生命保険協会に届出(登録)を義務付けており、届出のされた文書には、「登録年月日」「登録番号」が明記されることになる。 被告は、本件各団体定期保険契約の新規契約及び契約更新に当たっては、本件各保険会社からパンフレット類の交付を受け、保険商品の内容を吟味した上で契約を締結してきたものであることが容易に推認されるところ、多数の保険会社との間で多数の契約を締結し、長年にわたって契約を更新してきていたことからすれば、団体定期保険の趣旨・目的が被保険者である従業員の遺族の生活保障にあることを十分に認識した上で、これを締結してきたものであったことは明らかというべきである。 (4) 本件各団体定期保険契約の締結についての被保険者の同意の態様と同意を得るについての被告の説明内容被告は、本件各団体定期保険契約を締結するに当たり、被保険者である個々の従業員の同意に代え、 (4) 本件各団体定期保険契約の締結についての被保険者の同意の態様と同意を得るについての被告の説明内容被告は、本件各団体定期保険契約を締結するに当たり、被保険者である個々の従業員の同意に代え、従業員が所属する訴外組合の同意を得ているところ、訴外組合の同意を得るに際し訴外組合に対し、保険金の使途について被保険者の遺族に対して支払う弔慰金に充当する旨説明していたものであり、訴外組合の代表者は、組合員を代表して被告から説明を受けた上、訴外組合の組合員全員が被保険者となることに同意したものであった。 なお、被告は、訴外組合に対して説明した内容について、平成五年二月九日付で訴外組合の書記長に対し、回答書(乙二)を交付しており、これには、契約の目的として、遺族補償、従業員死亡に伴う企業としての経済的損失の補填、その他の三項目に分け、更にそれぞれの項目について細分化した使途が記載されているところ、右回答書に記載された契約の目的は、契約申込書等において契約の趣旨として被告が記入した内容とは、遺族補償の中の弔慰金の一点のみが一致しているだけであって、それ以外のものは、契約申込書等の記載とは明らかに相違しているものであり、たやすく信用できないものである。右回答書が出された時期は、従業員であった訴外P8及び訴外P9といい、訴外P8及び訴外P9を含め、以下「訴外P8ら」という。)が、被告に対し、被告が加入している団体定期保険による保険金を被保険者である従業員又はその遺族に支払うよう要求していた時であり、被告においては、訴外P8らの右要求を拒絶するため、急遽「弔慰金」以外の使途を考え出し、これを回答書に記載したものと考えられるのであり、右回答書の内容は、後から付けた説明である。 商法六七四条一項において、他人の生命の保険について被保険者の同意を保険契 慰金」以外の使途を考え出し、これを回答書に記載したものと考えられるのであり、右回答書の内容は、後から付けた説明である。 商法六七四条一項において、他人の生命の保険について被保険者の同意を保険契約の有効要件としているのは、被保険者の人格権の侵害を防止するとともに、保険契約者に不労の利得を得させないことにあるのであり、被保険者が同意をした場合の保険金の帰属についての当事者の意思解釈についても、同意主義が濫用されることのないよう解釈されるべきであり、いったん同意を得たからといって保険契約者において保険金を自由に処分することが許されるわけではなく、契約締結時に自ら明示した契約の趣旨に拘束されるというべきである。 (5) 訴外P8らの要求に対する被告の対応訴外P8は、平成五年一月に被告が本件各保険会社との間で本件各団体定期保険契約を締結し、自らも被告の従業員として被保険者になっていることを知り、同年二月上旬に開催された職場集会(春闘討論集会)において契約内容等についての情報開示とともに、団体定期保険による保険金を被保険者の遺族に支払うという団体定期保険制度の本来の運用に改善することを求める発言をなして以降、訴外P9とともに、訴外組合を通じて、被告に対し、団体定期保険から支払われる保険金を被保険者である従業員の遺族に支払うよう繰り返し要求していたところ、被告は、右要求には応えようとしなかったものの、訴外組合に対しては、団体定期保険は被保険者の遺族に弔慰金を支払うためのものであるとの説明を続けた上、保険会社との間で新たに取り交わす協定書等や契約更新時等に保険会社に差し入れる契約申込書等においても、弔慰金制度との関係において団体定期保険に加入するものであるとして契約の趣旨を明示していたものである。 (6) 税法上の取扱い団体定期保険契約の保険 に保険会社に差し入れる契約申込書等においても、弔慰金制度との関係において団体定期保険に加入するものであるとして契約の趣旨を明示していたものである。 (6) 税法上の取扱い団体定期保険契約の保険料は、全額損金として計上できるものであり(法人税法基本通達九―三―五)、これが団体定期保険を保険会社が企業に売り込む際のセールスポイントにもなっている。 このように団体定期保険契約の保険料を全額損金として計上できる理由は、団体定期保険契約の趣旨が従業員の福利厚生を目的としていることにあり、企業が行う従業員の福祉面での充実は国にとっても財政が逼迫している社会保障制度を補完することになるため税制面で優遇措置が講じられているのである。団体定期保険による保険金が保険契約者である企業において自由に使用できるものであれば、このような税法上の取扱いが許されるわけはなく、企業が支払を受けた保険金を被保険者の遺族に弔慰金等として支払うことが前提となっているからこそ、損金として計上することが認められているのであり、こうした税法上の取扱いからも団体定期保険契約の趣旨は容易に理解できることであり、こうした事情を理解していたからこそ、被告においても契約の趣旨として弔慰金に充てることを明示していたものである。 2 被告の主張(一) 被告は、本件各団体定期保険契約の締結について訴外組合(具体的には委員長を含む執行部)から従業員全体を一括した同意を得ているところ、この同意は、保険契約者である被告が保険金受取人になって団体定期保険契約を締結することを前提とし、保険金は従業員全体のための福利厚生制度等の原資(財源)となるもので労働協約に基づいて定められた社内規定による給付の支払を担保するためのものであることを十分に理解した上で同意しているのであり、その保険金を社内規定の範囲 めの福利厚生制度等の原資(財源)となるもので労働協約に基づいて定められた社内規定による給付の支払を担保するためのものであることを十分に理解した上で同意しているのであり、その保険金を社内規定の範囲を超えて従業員又はその遺族に支払うことを予定したようなことは全くなく、この同意によって労働協約による定め以外に、個々の従業員又はその遺族に保険金が支払われるという認識は、被告はもとより、訴外組合にも全くなかったものであり、保険会社から支払われる保険金を被保険者の遺族に支払うということを被告が申し出たことがない以上、原告ら主張のような合意が成立する理由はない。 本件各団体定期保険契約は、従業員一人一人を個別的に保護し個々の従業員の遺族への生活保障を行うために締結しているものではなく、従業員全体の福利厚生制度を維持するための原資に充てるためのものである。 なるほど、個人保険である事業保険の場合は、保険契約の締結時に付保規定文書が作成され、これには保険契約者と被保険者の双方が署名押印するもので、内容としても、「被保険者死亡時には、保険契約者が受領した保険金の全部又は相当部分を退職金又は弔慰金として被保険者の遺族に引き渡す」旨が明記されており、このような場合には、原告ら主張のような合意が成立すると解する余地があるとしても、こうした付保規定文書を作成しない団体定期保険についてまでこれと同様に考えることはできないものである。 (二) 被告は、従業員が在職中に死亡した場合の遺族に対する給付ついては、労働協約に従い、退職金規定、業務上死亡の場合の弔慰金規定等を別途制定しており、これらとは別に団体定期保険契約から支払われる保険金を遺族に支払うという合意があった事実はなく、また、被告の社内規定は従業員の死亡の場合の給付として金額的に見ても社会的に相当な水準に達し しており、これらとは別に団体定期保険契約から支払われる保険金を遺族に支払うという合意があった事実はなく、また、被告の社内規定は従業員の死亡の場合の給付として金額的に見ても社会的に相当な水準に達していたものであって、これらの明示の規定を無視して黙示的に新たな給付規定を制定したと見る余地もないというべきである。 また、原告らは、訴外組合の委員長を含む執行部の同意について、被告が保険金受取人となることは、外形的に保険会社との関係で保険金受取人になることに同意したもので、保険金の最終的な帰属についてまで同意したものでないなどと主張するが、商法六七四条一項本文の同意は、団体定期保険契約の締結についての同意以外のものではあり得ず、「外形的」なことに限定された同意というものが存在するわけではなく、主張自体失当というべきである。 (三) 原告らが、保険金の支払についての黙示的な労使合意ないし給付規定の成立の根拠として挙げる点も、次に述べるとおり、いずれも理由がない。 (1) 団体定期保険普通約款について被告が、本件各団体定期保険契約への加入を開始した昭和四八年当時、被告が加入した団体定期保険契約は、監督官庁である大蔵省の認可を受けて、原則として保険契約者が保険料の全額を支払うと同時に保険金受取人となる保険商品として販売されていたものであり、原告の右当時の約款についての主張は誤解に基づくものである。 なるほど、日本団体生命が独占的に販売していた当時は、当時の時代状況を踏まえ、団体定期保険契約も全員加入型のみで、社会保険的性格を有していたものの、戦後、独占禁止法の施行により昭和二三年九月以降、各保険会社が団体定期保険を販売するようになって、より魅力ある商品として生まれ変わり、当初存在していた保険金受取人の制限条項も、その後の保険金額の上限の引上げに 禁止法の施行により昭和二三年九月以降、各保険会社が団体定期保険を販売するようになって、より魅力ある商品として生まれ変わり、当初存在していた保険金受取人の制限条項も、その後の保険金額の上限の引上げに伴い、企業の社内規定による給付額を超える事例を生じ、保険金の一部を社内規定による給付に充てる場合で保険料を全額保険契約者が負担していれば、保険契約者が保険金受取人になることが許容されるようになり、社内規定による給付額を超える部分は、企業の経済的損失(代替人材の採用・育成等の費用など)の補填に充てるという目的も社会的に認知されてきたのであり、昭和五一年四月に制定された統一約款にも、このような見地から、保険金受取人の制限条項は撤廃されたのである。 本件各団体定期保険契約については、保険契約者である被告が保険料の全額を負担し、従業員の福利厚生制度も完備しており、これらの契約もこうした福利厚生制度の維持のための財源の一つとして締結したものであるから、保険契約者である被告が保険金受取人になることに何の問題もないのである。 仮に、原告らの主張のように保険契約者が保険金受取人になることができない契約であったとした場合には、本件各団体定期保険契約は契約の要素に錯誤があることになり、無効となるべきものであり、保険契約者の契約締結時の意思に反した効果が発生する理由はないというべきである。 なお、団体定期保険契約が従業員の福利厚生を目的としたものであるとしても、被保険団体全体についてのことをいうのであり、個々に支払われる保険金をそのまま被保険者の遺族に支払うということまで当然に含むものではなく、福利厚生のために保険金を具体的にどのように役立てるかは、保険契約者である企業の自主的な判断に委ねられているものというべきである。 (2) 契約申込書等・協定書等の各記載 まで当然に含むものではなく、福利厚生のために保険金を具体的にどのように役立てるかは、保険契約者である企業の自主的な判断に委ねられているものというべきである。 (2) 契約申込書等・協定書等の各記載について原告らは、本件各団体定期保険契約の契約申込書等と協定書等に記載された契約の趣旨を問題にしているところ、被告としても、これらの契約を従業員全体の福利厚生制度、したがって、退職金制度、弔慰金制度等による給付の財源確保との関連で締結したものであることを否定するものでないが、その趣旨は、被告が支払を受ける保険金を労使協定によって合意されている退職金規定、弔慰金規定等による支払を確保するための財源の一つとすることにあるのであって、原告ら主張のような記載があるからといって、支払われた保険金をそのまま遺族に支払うことを意味するものでないことは明らかというべきである。 (3) 本件各団体定期保険契約についての被保険者の同意について既に述べたとおり、被告は、本件各団体定期保険契約の締結について訴外組合の委員長を含む執行部から従業員全体を一括した同意を得ているところ、この同意は、保険契約者である被告が保険金受取人になって団体定期保険契約を締結することを前提とし、保険金は従業員全体のための福利厚生制度等の原資(財源)となるもので労働協約に基づいて定められた社内規定による給付の支払を担保するためのものであることを内容とするものであり、原告らの主張するような内容のものではなかった。 こうした同意は、新規契約時だけでなく、被告においては、毎年度、本件各団体定期保険契約を更新するに当たり、訴外組合と協議を行い、前年度の保険収支と契約更新後の保険金額を説明した上、これらの保険は福利厚生制度全体を維持するための原資とする目的であることを確認し、訴外組合は、これら 契約を更新するに当たり、訴外組合と協議を行い、前年度の保険収支と契約更新後の保険金額を説明した上、これらの保険は福利厚生制度全体を維持するための原資とする目的であることを確認し、訴外組合は、これらを了承して従業員全員が被保険者となることを一括して同意していたのである。 さらに、被告は、平成五年には、訴外組合に対し、団体定期保険の趣旨(従業員全体の福利厚生制度の財源対策のほか、従業員の死亡に伴う企業としての逸失利益や代替人材の採用・育成等の費用など、企業の損失補填を趣旨として含むことを明らかにしている。)、金額、被保険者の範囲、保険金の受取人と使途、被保険者の同意等の各項目について書面を作成して交付し、これらを再確認するとともに、前年度の保険収支と更新契約の内容を説明し、従業員全員について一括して同意を得た。 したがって、訴外組合は、本件各団体定期保険契約による保険金が被保険者個人に支払うためのものではなく、従業員の福利厚生制度全体を維持し、これにより社内規定による退職金、弔慰金等の支払を担保するためのものであることは十分に認識していたのであり、これらの契約を締結することによって、社内規定に定められた給付以上のものが被保険者又はその遺族に支払われるものではないことを理解した上で同意をしていたものである。 なお、他人の生命についての保険契約において被保険者の同意が要求されているのは、モラル・リスクの回避の趣旨であるところ、本件のように、三〇〇〇人に上る従業員全員を一括付保する団体定期保険契約においては、モラル・リスクを生ずることはあり得ず、さればこそ、労働組合による一括同意で被保険者の同意として有効と解されるのであり、仮に、こうした一括同意では足りないとすれば、保険契約自体無効となるはずであり、無効行為の転換を認める余地もないもので ればこそ、労働組合による一括同意で被保険者の同意として有効と解されるのであり、仮に、こうした一括同意では足りないとすれば、保険契約自体無効となるはずであり、無効行為の転換を認める余地もないものである。 (4) 税法上の取扱い団体定期保険契約の支払保険料を全額損金計上できることは、原告ら主張のとおりであるが、このような取扱いがされているのは、団体定期保険契約には満期保険金も解約返戻金もないなど、貯蓄性がなく、その保険料は一種の金融費用的なものとみなされるためにほかならず、団体定期保険契約の趣旨が遺族の生活保障にあるということを意味しているものではないというべきである。このことは、個人保険である事業保険の場合と対比して考えれば明らかであり、養老保険を利用した事業保険の場合、保険金受取人が保険契約者であるときは保険料は資産計上し、保険金受取人が被保険者又はその遺族であるときは保険料は被保険者に対する給与となり、死亡保険金の受取人が被保険者の遺族で生存保険金の受取人が保険契約者であるときは保険料の二分の一を資産計上し、残額は損金計上することになり、また、定期保険を利用した事業保険の場合、保険料は損金計上することになるのである。 二仮に、被告と亡P2らとの労働契約関係において、本件各団体定期保険契約による保険金の全部又は相当部分の支払の合意がないことにより、被告において、右保険金の全部又は相当部分を被保険者の遺族に支払うことなく、自ら取得して他の用途に使用するという取扱いが既成事実となっていたとした場合、かかる取扱いの公序良俗違反性の有無 1 原告らの主張後記第三の五1(一)の(1)ないし(6)の事情からすれば、仮に、被告と亡P2らとの労働契約関係において、本件各団体定期保険契約による保険金の全部又は相当部分の支払の合意がないことにより らの主張後記第三の五1(一)の(1)ないし(6)の事情からすれば、仮に、被告と亡P2らとの労働契約関係において、本件各団体定期保険契約による保険金の全部又は相当部分の支払の合意がないことにより、被告において、右保険金の全部又は相当部分を被保険者の遺族に支払うことなく、自ら取得して他の用途に使用するという取扱いが既成事実となっていたとした場合、かかる取扱いは、公序良俗に違反するもので無効である。 2 被告の主張全面的に争う(その理由は、後記第五2のとおりである。)。 三信義則上の支払義務の存否(被告は、本件各団体定期保険契約による亡P2らを被保険者とする各死亡保険金の全部又は相当部分を被保険者の相続人である原告らに支払う信義則上の支払義務を負うか否か) 1 原告らの主張(一) 使用者と従業員との労働契約関係において、使用者は、従業員の生命・健康を侵害することは許されず、労働契約に付随する義務として従業員に対する安全配慮義務を負っているところ、使用者が従業員の生命を保険会社との取引材料としたり、従業員を被保険者とする団体定期保険契約を悪用して不労の利得を得ることは本来許されないものであり、使用者が自ら雇用する従業員を被保険者として団体定期保険契約の保険契約者兼保険金受取人となった場合には、労働契約に付随する信義則上の義務として、特段の事情がない限り、使用者が支払を受けた保険金を、被保険者である当該従業員又はその遺族に支払うべき義務を負うと解するのが相当である。 (二) 右のような信義上の支払義務は、団体定期保険契約の性質からも導き出されるものである。もともと生命保険は、「一人は万人のために、万人は一人のために」という言葉で象徴される相互扶助の精神を具体的な形にしたもので、人間の善意を前提とした仕組みであり、生命保険契約は人の生死と ものである。もともと生命保険は、「一人は万人のために、万人は一人のために」という言葉で象徴される相互扶助の精神を具体的な形にしたもので、人間の善意を前提とした仕組みであり、生命保険契約は人の生死という偶然的事由により一定の金額を支払うもので射倖契約の一種でありながら、生命保険が事業として認められているのは、人間の社会生活にとって生命保険が必要であることが一般に承認されているからであるが、その射倖契約としての性質から、他の契約に比べて契約者の善意と信義誠実の原則に従った行動が特に要請されているのであり、商法上も、被保険者の同意条項のほか、保険契約者による保険事故招致の場合の免責条項や告知義務違反の場合の契約解除条項などの特別な規定が置かれているのである。 団体定期保険契約について言えば、使用者が保険金を被保険者である従業員の遺族の生活保障として遺族に支払うことを予定した制度であるからこそ、社会的に必要なものとして是認されているのであり、こうした制度の趣旨に従った運用がなされるようにするため、契約締結時に、保険契約者に契約の趣旨・目的を明示させるとともに、保険会社において保険契約者との間で協定書等を取り交わすという取扱いがされているのであって、保険契約者においては、契約締結時に自ら明示した契約の趣旨・目的に従って保険金を使用すべき信義則上の義務を負っているのであり、本件においては、被告において、本件各団体定期保険契約について保険金を被保険者の遺族に対して支払う弔慰金に充てるものであることを契約の趣旨・目的として繰り返し明示していたことからすれば、亡P2らを被保険者とする死亡保険金を、相続人である原告らに弔慰金として支払うのは、信義則上も当然のことである。 2 被告の主張企業において、従業員死亡に際し退職金・弔慰金等の給付をどのようにす 亡P2らを被保険者とする死亡保険金を、相続人である原告らに弔慰金として支払うのは、信義則上も当然のことである。 2 被告の主張企業において、従業員死亡に際し退職金・弔慰金等の給付をどのようにするかは、企業と企業に所属する従業員(多くは労働組合)との交渉により決定されるものであり、被告においても、訴外組合との交渉により定まった労働協約があり、亡P2らの死亡に伴う退職金等の支払もこうした訴外組合との交渉によって定まった社内規定に基づいてなされているのであり、その水準は、他の同等規模の企業と対比しても同等の水準にあり、社会的に見て相当な金額に達しているのであって、何らかの上乗せ補償をしなければ社会正義に反するというような特段の事情は全くなく、他方、団体定期保険契約は、それぞれの企業における福利厚生制度実施の確実性を高める一種のリスク回避の手段として企業の経営判断に基づき企業の出損において締結するものであるから、財源確保のための対策の一つではあっても個々の具体的な福利厚生措置とは別物である。 したがって、特別の事情がない限り、団体定期保険契約の存在が労働協約で定まった以外の給付をする理由とはならないというべきところ、本件においては、かかる特別の事情は全く存在しないものである。 四準共有の成否(本件各団体定期保険契約による亡P2らを被保険者とする各死亡保険金が、亡P2らの相続人である各原告と被告との準共有となるものか否か) 1 原告らの主張団体定期保険契約の趣旨からすれば、保険金の全部又は相当部分は、保険契約者である使用者と被保険者である従業員との合意に基づいて被保険者の遺族に対し生活保障として支払われることが予定されているものであり、団体定期保険契約による保険金は、実質的に見れば、使用者と従業員又はその遺族との準共有となるものという との合意に基づいて被保険者の遺族に対し生活保障として支払われることが予定されているものであり、団体定期保険契約による保険金は、実質的に見れば、使用者と従業員又はその遺族との準共有となるものというべきところ、使用者と従業員の労働契約において、団体定期保険契約による保険金の全部又は相当部分を従業員又はその遺族に支払うことを明らかにした約定が存在しないことにより、死亡保険金について、被保険者の遺族に支払うべき相当部分の金額が法律的に確定できない場合には、民法二六四条の準共有の規定が適用ないし準用されるというべきところ、民法二五〇条(共有持分の割合)により、少なくとも保険金の半額分は被保険者の遺族に帰属するものと解するのが相当である。 2 被告の主張原告らは、本件各団体定期保険契約から支払われる保険金について、その全部又は相当部分は被保険者である従業員又はその遺族に帰属すべきものであるから、民法二六四条、二五〇条の準共有の規定が適用ないし準用され、少なくとも保険金の半額に相当する部分を原告らが取得すると主張するが、かかる主張は、保険金の全部又は相当部分が遺族に帰属するとの前提があってはじめて成り立つ議論であるところ、これらの契約では保険金受取人は全て被告になっており、原告らが保険金に持分を有しないことは明らかである。 五不当利得返還請求権の存否(本件各団体定期保険契約における保険金受取人指定部分が有効か否か) 1 原告らの主張(一) 被告は、本件各団体定期保険契約について保険金受取人を被告と指定しているところ、かかる保険金受取人の指定行為は、次の(1)ないし(6)の事情からして、公序良俗に違反するものであって無効というべきである。 (1) 被告と本件各保険会社との関係本件各保険会社は、被告に対する設備資金等の長期資金の大口の融資元又は の(1)ないし(6)の事情からして、公序良俗に違反するものであって無効というべきである。 (1) 被告と本件各保険会社との関係本件各保険会社は、被告に対する設備資金等の長期資金の大口の融資元又は大株主という経済的に優位な立場を利用し、被告をして本件各団体定期保険契約を締結させるとともに、保険金額を増額化させることにより、多額の保険料収入を得てきたものであり、被告においても、本件各団体定期保険契約の保険料を損金に計上することにより、法人税、法人事業税、法人市県民税の節税を図るとともに、多額の保険金を不当に利得してきたものであり、被告と本件各保険会社とは、従業員を被保険者とする本件各団体定期保険契約を締結することにより互いに長期間にわたり多額の利益を上げてきたものである。 本件各保険会社の被告に対する設備資金等の長期資金の融資状況は、被告の有価証券報告書の長期借入金明細表に記載されているところ、本件各団体定期保険契約の締結と保険金額の増額の経過は、長期資金の融資状況と密接な関係があることが明らかである。被告の本件各保険会社からの長期借入金の残高は、昭和五〇年から昭和五一年にかけて急増しているところ、同時期には、太陽生命、日本生命、日本団体生命、日産生命、第百生命も従前の保険金額を大幅に増額させており、昭和五〇年から昭和五一年にかけて保険金の総額は一一五四万円から二六八〇万円へと一挙に倍増しているほか、住友生命との関係について言えば、昭和五一年三月一日に同社との新規契約が締結されているが、昭和五一年三月期末の住友生命に対する長期借入金の残高は五〇億三四〇〇万円にも達しており、融資額は、住友信託銀行、日本興業銀行に次いで第三位に位置するに至っているものである。 住友生命と日本生命は、被告の大株主でもあり、常に被告の大株主の上位一〇社に 五〇億三四〇〇万円にも達しており、融資額は、住友信託銀行、日本興業銀行に次いで第三位に位置するに至っているものである。 住友生命と日本生命は、被告の大株主でもあり、常に被告の大株主の上位一〇社に名を連ねている。 (2) 使用者の優越的地位の濫用使用者と従業員との労働契約関係は、従業員が使用者に労働を提供し、使用者は提供された労働の対価として賃金を支払うというものであるが、継続的な契約関係のもとで、従業員は使用者の指揮命令に服して労働に従事するものであるため、経済的弱者である従業員にあっては、優越的立場にある使用者の意向に左右されやすく、従業員の形式的な同意があることによって、使用者の自由な行為が許されるとなれば、従業員の生命・人格を侵害される危険を絶えず生ずるのであり、さればこそ労働基準法等においては、従業員の形式的な同意があったとしても、従業員の置かれた従属的立場に配慮し、一定の場合には同意の法的効力を否定し、従業員の生命・人格を保護する規定を置いているのである。 団体定期保険契約について言えば、使用者が従業員の生命に保険をかけ、従業員の死亡によって支払われた保険金を従業員の遺族に支払わないということが許されるなら、使用者は、従業員に対する優越的地位を利用していかなる手段をもってしても従業員の同意を取り付けるという事態も生じかねないものである。使用者が従業員の生命・人格まで支配・利用して不労の利得を上げることは本来社会的に許されざるものであり、まして、保険会社から長期資金の融資を受けるのと引き換えに生命保険契約を締結するということは、従業員の生命・人格を保険会社との取引材料にするものである。 (3) 団体定期保険契約の趣旨・目的に対する違反団体定期保険契約の趣旨・目的が、被保険者である従業員とその遺族の生活保障にあることは、 業員の生命・人格を保険会社との取引材料にするものである。 (3) 団体定期保険契約の趣旨・目的に対する違反団体定期保険契約の趣旨・目的が、被保険者である従業員とその遺族の生活保障にあることは、制度当初から予定されてきたことであり、そのため、被保険者ないしその遺族に支払う金額分を越えて保険契約者が保険金受取人になることは歴史的にも長く禁止されてきたものである。 右のような団体定期保険契約の趣旨・目的については、本件各保険会社が作成して顧客に配布しているパンフレット類にも明記されているものであり、被告においても、本件各団体保険契約の新規契約時ないし契約更新時に本件各保険会社に差し入れた契約申込書等において契約の趣旨として弔慰金に充てるものであることを明記し、本件各保険会社と取り交わした協定書等においても団体定期保険契約の本来の趣旨・目的に従って使用することを合意しているのであり、被告において、保険金を被保険者である従業員ないしその遺族に支給することなく、自ら取得して使用するがごときは、団体定期保険契約の趣旨・目的に明らかに違反するものである。 (4) 社会通念上相当な金額を逸脱する多額の不労の利得① 被告は、亡P2らの死亡当時、本件各保険会社との間で亡P2らを被保険者として保険金総額六一二〇万円に上る本件各団体定期保険契約を締結していたのに対し、長年にわたって勤務していた亡P2らの死亡によって相続人である原告らに支払われた金員は、亡P2関係一一六四万九〇○○円(退職金一〇九四万三〇〇〇円、葬祭料六五万六〇〇〇円、慶弔金五万円)、亡P4関係一二八八万五〇〇〇円(退職金一一九六万四〇〇〇円、葬祭料八七万一○○○円、慶弔金五万円)、亡P5関係八一三万三〇〇〇円(退職金七三六万八〇〇〇円、葬祭料七一万五〇〇〇円、慶弔金五万円)であり、亡P2 八八万五〇〇〇円(退職金一一九六万四〇〇〇円、葬祭料八七万一○○○円、慶弔金五万円)、亡P5関係八一三万三〇〇〇円(退職金七三六万八〇〇〇円、葬祭料七一万五〇〇〇円、慶弔金五万円)であり、亡P2らが被保険者となったことによって被告が支払った保険料(亡P2関係二三九万五五八九円、亡P4関係一九二万〇九四八円、亡P5関係二四八万九四〇〇円)を考慮しても、本件各団体定期保険契約から支払われた亡P2らの死亡保険金によって多額の不労の利得を得ているものである。 また、亡P2らの遺族に支払われた金員にしても、退職金は従業員が在職中死亡しなかった場合にも支払われるものであり、被告にとって従業員の死亡によって生じた損失ではないのであり、死亡退職金に団体定期保険契約によって支払われた保険金を充てることは、保険契約者である被告にとつて利益を享受することであって、この分も不労の利得に当たるものである。実際にも、被告においては、従業員に支払う退職金の原資として、信託銀行に基金として積み立てをした適格退職金年金基金とともに、退職一時金(退職金の三〇パーセント相当額)の支出に備えるため法人税法による限度額を退職給与引当金として計上し、税制上の優遇措置を受けているのであり、亡P2らが死亡する直前の平成六年三月三一日の時点で、適格退職年金基金の過去勤務費用の現在額は九八億二二〇〇万円に、退職給与引当金の計上金額は一六億一三〇〇万円にそれぞれ達しており、原告らに支払われた亡P2らの死亡退職金も適格退職年金基金からの給付と退職給与引当金の取崩しによって全額賄われているのであり、本件各団体定期保険契約から支払われる保険金は退職金の原資として予定されておらず、実際にも退職金には充てられていないのであり、結局、本件各団体定期保険契約から支払われた保険金のうち、遺族である原 り、本件各団体定期保険契約から支払われる保険金は退職金の原資として予定されておらず、実際にも退職金には充てられていないのであり、結局、本件各団体定期保険契約から支払われた保険金のうち、遺族である原告らに支払われたのは、亡P2関係で七〇万六〇〇〇円、亡P4関係で九二万一○○○円、亡P5関係で七六万五〇〇〇円のみにすぎないのである。 さらに、被告が支払った亡P2らの保険料にしても、約八〇パーセントは配当金等として払い戻されているのであり、実際の負担額ははるかに少ない上、これらの保険料は損金として計上され、節税のメリットを得ているのであり、この面からも不労の利得は多額というべきである。 ② 被告は、本件各団体定期保険契約について、毎年度、被告が保険会社から支払を受けた配当金に保険金を合計した金額より、被告が支払をした従業員全員分の保険料の総額の方が多額であって、赤字にはなっていても、利得をしたことはない旨主張するけれども、かかる被告の主張は、団体定期保険契約の支分契約性を理解しない主張である。 なるほど、団体定期保険契約は、契約としては一個であり、保険料も一括で支払われているとはいえ、被保険者は従業員個々人であり、保険金も被保険者である従業員単位に当該従業員又はその遺族の生活保障に充てるために支払われるものであり、団体定期保険の趣旨・目的もまさしくその点にこそあるのであって、保険金を他の従業員の保険料に充てることが許されるのであれば、およそ団体定期保険契約の趣旨・目的は全面的に否定される結果になる上、実質的に見ても、団体定期保険契約の加入時に行われる保険料の算出に当たっては、「被保険者ごとに計算して得られる保険料」をもとに保険料の総額を算出しているのであり、平均保険料率も「被保険者ごとに計算して得られる保険料」の総額を保険金総額で除して算 れる保険料の算出に当たっては、「被保険者ごとに計算して得られる保険料」をもとに保険料の総額を算出しているのであり、平均保険料率も「被保険者ごとに計算して得られる保険料」の総額を保険金総額で除して算出されるものであり、契約期間の途中で新規採用者があった場合あるいは退職者があった場合などに平均保険料率が用いられるのはあくまで保険料計算を簡便に行うための便宜的なものにすぎないのである。 ③ 被告は、本件各団体定期保険契約から支払われる保険金は、労働協約によって定められた「退職金」「特別弔慰金」の原資に充てたり、「従業員全体の福利厚生」のために使用したり、従業員の死亡に伴って生ずる被告の「企業としての損失の補填」に充てたり、あるいは、「大規模災害」などの万一の事態における多額の出費に備えたりするためのものである旨主張するけれども、これらの主張も、団体定期保険契約の趣旨・目的を理解しない主張である。 まず、「退職金」の原資に充てるためのものであるとの主張が失当であることは、既に述べたとおりである。 また、「特別弔慰金」は、被告においては、業務上災害による死亡の場合にのみ支払われるものであるところ(労働協約付属協定)、亡P2らの場合は、いずれも業務上災害による死亡の場合ではないとされたため、特別弔慰金が支払われていないことからして、被告において被保険者の遺族である原告らに保険金の支払をしない理由とはならない上、被告は、本件各団体定期保険契約の新規契約時及び契約更新時に保険会社に差し入れた契約申込書等においても、契約の趣旨として、業務上災害による死亡の場合の遺族補償という理由を、これに沿う選択肢がある場合でさえ、全く挙げていないのであり、特別弔慰金の原資に充てるためのものであるとの主張は、被告が自ら明示した契約の趣旨とも矛盾するものである。加え 場合の遺族補償という理由を、これに沿う選択肢がある場合でさえ、全く挙げていないのであり、特別弔慰金の原資に充てるためのものであるとの主張は、被告が自ら明示した契約の趣旨とも矛盾するものである。加えて、被告においては、業務上災害による死亡と認められることはきわめて希であり、亡P2らはもとより、被告が作成した在職死亡者数の推移表によっても二三年間で業務上災害による死亡と認められたのは、わずかに二名にすぎない。さらに、本件各団体定期保険契約による保険金額と特別弔慰金の支給額を対比しても、昭和五〇年以降、保険金額の総額は特別弔慰金の支給額をはるかに上回っており、亡P2らの死亡当時でも、保険金の総額が六一二〇万円であるのに対し、特別弔慰金の支給額の上限は二八一五万円と二分の一にも満たないのであり、特別弔慰金の原資に充てるという説明は、後から理由として作り出したものであることは明らかである。 「従業員全体の福利厚生」のために使用するとの主張については、福利厚生の具体的内容が明らかにされていないだけでなく、団体定期保険契約が被保険者である従業員又はその遺族の生活保障に充てることを目的とした制度であることを否定するものである上、被告が、本件各団体定期保険契約の新規契約時及び契約更新時に本件各保険会社に差し入れた契約申込書等とも、本件各保険会社との間で取り交わした協定書等とも内容を異にしているものであり、これまた後から理由として作り出したものであることは明らかである。 「企業としての損失補填」については、被告は、従業員の死亡に伴う損失として、従業員を失ったことによる企業としての逸失利益、代替人材の採用・育成等のための経費などを挙げているところ、こうした損失の補填のために用いることは、被告が、本件各団体定期保険契約の新規契約時及び契約更新時に本件各保険 とによる企業としての逸失利益、代替人材の採用・育成等のための経費などを挙げているところ、こうした損失の補填のために用いることは、被告が、本件各団体定期保険契約の新規契約時及び契約更新時に本件各保険会社に差し入れた契約申込書等にも、本件各保険会社との間で取り交わした協定書等にも目的として全く挙げていない上、従業員の死亡により常に企業に損失が生ずるわけではなく、かえって、現在のように、リストラによる経営の合理化を推進する企業が大多数の経済状態のもとでは、むしろ企業にとっては歓迎すべき事態となることも考えられるのである。さらに言えば、損害賠償法理において、従業員が第三者の加害行為により死亡した場合に、企業が被った損害を加害者にいかなる範囲で請求し得るかが問題となるが、小規模の個人会社で代表者と会社が経済的一体をなしている場合に代表者の死亡による会社の逸失利益が損害として認められることが例外的にあり得るとしても、一般には、従業員の提供する労働と使用者の支払う賃金が対価関係にあり、従業員の死亡により賃金の支払を免れることから使用者に逸失利益は生じないと考えられているのであり、被告のような大企業において従業員の死亡による逸失利益が認められるものではなく、また、代替人材の採用・育成等の経費が損害として認められるわけではないことは明らかであり、損害賠償の場面で有責の加害者に対して賠償を求め得ないような企業の損失について、団体定期保険契約による保険金の充当を認めることは、従業員の生命をもって企業の経営上の損失を補填するに等しいものであり、従業員を企業を構成する設備機械等と同視するものであって人格無視にも甚だしいものがあるというべきである。 「大規模災害」などの万一の場合に備えるためのものであるという主張は、「特別弔慰金」の原資とする場合と同様の批判が 設備機械等と同視するものであって人格無視にも甚だしいものがあるというべきである。 「大規模災害」などの万一の場合に備えるためのものであるという主張は、「特別弔慰金」の原資とする場合と同様の批判が可能である上、大規模災害の場合であっても、保険金が被保険者である従業員の遺族に支払われるという社内規定がない以上、被告の論理からは従業員の遺族への支払がなされるわけではない。結局、被告のいう大規模災害等の場合の備えといっても、従業員が多数死亡するような大規模災害が生じた場合に企業に生じた経済的損失について、死亡した多数の従業員の多額の保険金を充てるというものにすぎず、従業員の遺族の生活保障とは全く無縁のものであって、他人の生命についての保険により不労の利得を得ることを自ら正当化しようとするものにほかならないものである。 (5) 税制の濫用団体定期保険契約については、その趣旨・目的が被保険者である従業員とその遺族の生活保障にあることから、保険料は税法上全額損金として計上することが認められている。死亡保険金が弔慰金等として死亡した従業員の遺族に支払われることを前提にしているからこそ、団体定期保険契約の保険料は全額損金として計上することが許されているのである。被告が、団体定期保険契約の保険料を全額損金として計上するという税法上の恩典を受けながら、自ら保険金を全額取得することは、租税制度を濫用する行為であるというべきである。 (6) 大蔵省による行政指導と生命保険協会による申合せへの違反団体定期保険契約については、制度創設時から契約の趣旨・目的が被保険者である従業員又はその遺族の生活保障にあるとされ、当初は保険契約者である使用者が保険金受取人になることを約款上も禁止され、その後、保険契約者が法令又は団体の規定に基づく給付に充てる目的で保険料の全 である従業員又はその遺族の生活保障にあるとされ、当初は保険契約者である使用者が保険金受取人になることを約款上も禁止され、その後、保険契約者が法令又は団体の規定に基づく給付に充てる目的で保険料の全部又は一部を負担して契約した場合にはその負担額に応じて保険契約者の保険金受取人になることができるように各保険会社の約款が改正されたところ、昭和五一年四月に団体定期保険契約約款が統一された際、保険金受取人の制限条項が撤廃されたものの、大蔵省は、団体定期保険契約が本来の趣旨・目的どおりに被保険者である従業員の遺族に対する弔慰金等の支払に使用されるよう行政指導を行ってきたものであり、昭和五三年には、前記のとおり、団体定期保険制度の本来の趣旨に則り、団体定期保険による保険金が被保険者の遺族に対して弔慰金等として支払われるよう行政指導を行ったところ、保険会社の業界団体である生命保険協会においても、団体定期保険による保険金が本来の趣旨どおりに被保険者の遺族に対する弔慰金等に充てられるよう申合せがなされ、昭和五三年四月以降、団体定期保険契約の申込時に、契約申込書に契約申込の趣旨及び被保険者の同意の方式を明示させるとともに、保険会社と保険契約者との間で契約の趣旨を合意した協定書等を取り交わすこととされた。 さらに、大蔵省は、平成三年九月と同年一一月の二回にわたり、各保険会社に対し、団体定期保険契約の本来の趣旨に沿って保険運用が行われるように、弔慰金規定を確認すること、保険金が被保険者に支払われているかどうか確認すること、保険金額の妥当性についても検討することを指導し、生命保険協会においても、同年一二月、こうした行政指導に沿った保険運用が徹底されるよう、次の四点を中心とする申合せがなされた。 ① 保険契約の申込書に契約の趣旨を明記するとともに、その裏付けになる し、生命保険協会においても、同年一二月、こうした行政指導に沿った保険運用が徹底されるよう、次の四点を中心とする申合せがなされた。 ① 保険契約の申込書に契約の趣旨を明記するとともに、その裏付けになる社内規定を確認し、規定がない場合には、社内規定を確認後に販売することを徹底する。 ② 保険金額は、社内の福利厚生制度との関係において社会通念上問題のない金額とする。 ③ 被保険者の同意の確認を徹底する。具体的には、被保険者の同意の確認を企業まかせにせず、被保険者に保険契約の内容を周知徹底するために、保険契約の締結の際には従業員に連絡文書を配布したり、社内に掲示した文書を取り寄せたり、社内規定に明記することを求めたりすることなどである。 ④ 支払保険金が被保険者の遺族に渡されているか否かの確認をする。 (二) 保険金受取人指定部分が無効である以上、本件各団体定期保険契約はいずれも受取人の指定が存在しない保険契約になることから、団体定期保険普通保険約款三五条により、被保険者である亡P2らの配偶者である原告らが保険金の受取人になるものであり、原告らは、被告に対し、不当利得返還請求権に基づいて亡P2らの死亡保険金の返還を請求することができるものというべきである。 2 被告の主張(一) 本件各団体定期保険契約は、監督官庁である大蔵省の認可を受けて、原則として保険契約者が保険料の全額を支払うと同時に保険金受取人となる保険商品として販売されているものであり、保険料の全額を負担している保険契約者が同時に保険金受取人になることが公序良俗に違反するということは考えられず、原告らが根拠として挙げる点も、次に述べるとおり、いずれも理由がない。 (1) 団体定期保険契約の趣旨・目的について原告らの団体定期保険契約の趣旨・目的についての主張は、原告らの独自の見解であって団 らが根拠として挙げる点も、次に述べるとおり、いずれも理由がない。 (1) 団体定期保険契約の趣旨・目的について原告らの団体定期保険契約の趣旨・目的についての主張は、原告らの独自の見解であって団体定期保険制度を曲解したものであり、被告においては、正しく団体定期保険契約の趣旨・目的に沿った運用をしているものである。 団体定期保険契約(Aグループ保険)は、一定以上の規模の被用者団体(被保険団体)において、被用者の死亡による危険を分散し、経済的負担を軽減する機能を持つものであり、人的集団自体を危険負担の対象(目的物)とし、その集団内部で危険分散を図るところに意味があり、経済効果が発揮されるのであって、危険選択も集団単位で行い、集団に応じて保険料(危険負担の対価)を決めることを原則としている。 企業にあっては、人的リスクの分散を含め、従業員全体の年金制度、リフレッシュ制度(保養所等の施設のほか、運動会等の企画を含む。)などの福利厚生制度を経済的に実現すべき経営上の目的があり、これらの福利厚生制度全体の運営の中で、多額の資金を伴う従業員への給付制度を充実していくためには、福利厚生制度全体の財源確保のための対策が必要であり、従業員全体のためという観点が前提として必要になる。 こうした財源対策の選択肢としては、企業内部で対処することはもちろんのこと、団体定期保険の制度を活用することが考えられるのであり、企業が団体定期保険を活用するか否か、仮に、活用するとした場合に、いかなる形で活用するかは、企業の経営思想に基づく自主的な判断の問題であり、団体定期保険自体は、企業の福利厚生制度に必然的に随伴するものではなく、また、福利厚生のみを目的としているものでもないのであって、企業が支払を受けた保険金を従業員全体の福利厚生制度を維持運営するために使用してい 体は、企業の福利厚生制度に必然的に随伴するものではなく、また、福利厚生のみを目的としているものでもないのであって、企業が支払を受けた保険金を従業員全体の福利厚生制度を維持運営するために使用していくことには何ら不合理なところはないというべきである。 被告としても、訴外組合に対し、これまで本件各団体定期保険契約の付保目的について、福利厚生制度全体の財源確保の一環である旨説明してきたものであり、保険金の全部又は一部を被保険者の遺族に支払うということなど全く説明したことはなく、被告における団体定期保険契約の運用が契約の趣旨・目的に違反しているということなどあり得ないことである。 (2) 被告に不労の利得のないことについて① 支分契約性について団体保険は、特定の共通な特性や基準により範囲が定まる人的集団を一括して単一の保険契約において付保する私保険のことと定義され、特定の共通な特性等を持つ人的集団とは、団体保険の基本的要素である集団単位での危険選択(団体選択)を適用し得る程度に明確に区画された人の集団であるとされており、団体保険の特徴として、複数の被保険者を一つの保険契約のもとで保障することが挙げられている。 団体保険の一つである団体定期保険(Aグループ保険)は、団体選択が可能な団体の所属員等のうち、一定の資格を有する者を被保険者とし、団体又は被保険団体の代表者を保険契約者とする保険期間を一年間とするもので、保険料は、多くの場合、保険契約者である企業が負担し、保険会社は企業が一年間に支払った保険料から付加保険料(保険会社の手数料)及び当該一年間に支払った保険金を控除して余剰金がある場合にはこれに一定の配当率を乗じて算定した配当金を企業に支払うことにより一年ごとに清算する仕組みとなっている死亡保険契約をいうが、年齢、性別、報酬、勤続年数 間に支払った保険金を控除して余剰金がある場合にはこれに一定の配当率を乗じて算定した配当金を企業に支払うことにより一年ごとに清算する仕組みとなっている死亡保険契約をいうが、年齢、性別、報酬、勤続年数、職階等の共通の客観的基準によって分類された団体の所属員等の全員(ただし、疾病その他の事由により正常に勤務していない者は除く。)を加入させる保険である。なお、これとは異なり、個人保険としての事業保険は、一般には、雇用主又は団体の代表者が保険契約者となり、団体の所属員である従業員一人一人について、死亡保険に加入するものであり、団体保険とは異なり、一つの契約で一人の従業員を被保険者として保障の対象とするものである。 団体保険では、団体選択の原理が適用され、被保険団体全体を一つの契約単位としてとらえ、集団としての年齢構成以外には個々の被保険者の個性は問題とされないため(年度途中における入退社による入れ替わりも問題とされない。)、被保険者一人一人の健康状態について診査を省略し、又は簡略化しており、原則として個々の被保険者単位での危険選択(個人選択)は行わず、告知も保険契約者による一括告知の方法が採られている。 原告らは、団体定期保険について支分契約性を主張するが、本来、支分契約性の意味するところは、団体定期保険の契約内容を個人保険と対比してその法的特性を把握することにあり、個々性の内包のことを指称する用語であつて、単一の契約である団体定期保険契約について、単一の保険である個人保険と全く同様に扱うことが不都合な場合を考慮し、個人保険と取扱いを異にする部分を説明する概念にすぎず、団体定期保険契約に支分性があるといっても、契約内容の要素としての意味を持つだけであり、保険者、保険契約者、被保険者、保険金額、保険料、保険金受取人、被保険者の同意の性質など、 明する概念にすぎず、団体定期保険契約に支分性があるといっても、契約内容の要素としての意味を持つだけであり、保険者、保険契約者、被保険者、保険金額、保険料、保険金受取人、被保険者の同意の性質など、保険契約の基本的枠組みに影響を及ぼすものではない。原告らは、団体定期保険契約において指定された保険金受取人の意味について、あたかも形式的な意味にすぎず、実質的には被保険者の遺族に保険金の全部又は相当部分が帰属するかのような主張をしているけれども、保険契約における保険金受取人の権利は、団体定期保険契約においても他の保険契約と等しく解釈されるべきことは当然であり、支分契約性という理由によって保険金受取人の権利を無視するというのは明らかに謬論である。 ② 退職金の原資について原告らは、被告が別途退職給与引当金を計上するとともに、適格退職年金基金に加入しており、亡P2らに対する退職金もこれらから支払われているので、保険金が全額被告の収入になっている旨主張するが、退職給与引当金は会計処理の方法であってこれからの退職金の支払は全額被告の負担となるものであり、適格退職年金基金にしても、掛金は全額被告が負担しているのであり、原資は被告が支払っているのであるから、これによる支払分も被告の負担であることには何ら変わりがないものである。 原告らの主張は、退職金の支払に保険金を充ててはならないというに等しいものであり、全く不当なものである。 ③ 保険料について団体保険では、一般に、年齢別に保険料を定めることなく、団体全体の年齢構成、保険金分布に基づいた平均保険料率を採用しているところ、こうした方式では、被保険者である団体の所属員全体を平均化し、一つのリスクと考え、そのリスクの評価に当たって、新規契約日又は契約更新日における団体の所属員の年齢と保険金額をもと 採用しているところ、こうした方式では、被保険者である団体の所属員全体を平均化し、一つのリスクと考え、そのリスクの評価に当たって、新規契約日又は契約更新日における団体の所属員の年齢と保険金額をもとに総額の保険料を算出し、これから平均保険料率が算出されているのであり、団体定期保険(Aグループ保険)においても、原則的に平均保険料率が使用されている。 平均保険料率の使用により、被保険者一人一人の性別、年齢等の属性は集団全体の中に埋没し、ここで計算される保険料は、被保険者ごとに計算された保険料の合計ではなく、集団全体についての保険料の意味しか持たないのであり、また、集団全部の保険料を支払わねば個々の被保険者についての保険金も支払われないのであり、個々の被保険者ごとに保険料を分割して考えることができるものではないのであって、原告らは、亡P2らを被保険者として支払われた保険金について、それぞれの支払保険料を算出しているが、このような算出は、保険会社が保険料計算の基礎となる数字ではあっても、実際の保険契約者による保険料の負担額を考える上では、何ら意味を持たないものというべきである。 ④ 保険収支について被告では、毎年度、支払保険料の総額が、保険会社から支払われた保険金及び配当金の合計額を超過しており、被告は、これまで本件各団体定期保険契約から何らの利益も得たことはないことはもちろん、かえって毎年度赤字を生じており、被告において持ち出しになっているのである。 ⑤ 保険金額について保険金額の増加は、当然に保険料の増額をもたらすものであり、かつ、掛け捨ての保険であるため、被告のように三〇〇〇人にも達する従業員団体を被保険団体とする大規模な加入の場合にあっては、保険金額の増額が企業の取り分の増加をもたらすわけではなく、このことは、被告において保険収 の保険であるため、被告のように三〇〇〇人にも達する従業員団体を被保険団体とする大規模な加入の場合にあっては、保険金額の増額が企業の取り分の増加をもたらすわけではなく、このことは、被告において保険収支が常に赤字となっていることからも明らかである。 ⑥ 付保目的本件各団体定期保険契約は、従業員全体の福利厚生制度を維持するための財源の一つとするため締結したものであるところ、現実には、被告が保険会社から支払を受けた保険金及び配当金は、全て支払保険料に充当しているものの、支払保険料さえ賄えていないため、いまだ福利厚生制度の財源としても機能していないものである。 このような実態でありながら、被告において、本件各団体定期保険契約に長く加入を継続しているのは、大規模災害等の万一の事態が発生し巨額の出費を必要とする場合に備えていたものであり、このような事態がいまだ発生していないのは幸いというべきである。 また、被告が使用者として従業員に対して行う福利厚生の諸施策は、労使双方の合意である労使協定において明記されているところ、被告が、労働協約を遵守すべき従業員に対する給付の原資をいかに調達するかは、使用者の裁量に委ねられている事柄であり、退職金、特別弔慰金等を含め、福利厚生制度全体の財源確保のために団体定期保険契約に加入することを禁止されるいわれはなく、保険金をこれら福利厚生制度の維持のために使用するものである限り、団体定期保険契約の目的にも合致し、訴外組合の同意にも沿うものであり、さまざまな福利厚生制度の維持運営のための支出のうち、どの部分にどの程度の保険金を充当するかは、使用者の自由な判断でなし得ることというべきである。 (3) 税制の濫用について被告では、会計処理として、毎年度、支払保険料をいったん仮払計上し、保険会社から支払を受けた保険金 金を充当するかは、使用者の自由な判断でなし得ることというべきである。 (3) 税制の濫用について被告では、会計処理として、毎年度、支払保険料をいったん仮払計上し、保険会社から支払を受けた保険金及び配当献金は仮払いの戻し処理をした上、年度末に差引き清算した残額を経費として損金計上しているもので、支払保険料全額を損金計上しているものではなく、税制を濫用しているようなことはない。 もともと団体定期保険契約の保険料は掛け捨てという性格から損金計上が認められているものであって、法人税法基本通達九-三-五は、会社が保険金受取人である場合も損金算入することを認めており、遺族に弔慰金として支払うことを前提とはしていない。 (二) 団体定期保険普通保険約款三五条の適用について団体定期保険普通保険約款三五条は、保険金受取人の指定がないか、又は指定された保険金受取人が死亡して再指定されていなかったときの規定であるところ、保険金受取人の指定は保険契約の要素になるものであり、保険金受取人の指定が公序良俗違反によって無効になるものであれば、保険契約自体、公序良俗違反となり、無効となるべきものであって、保険金受取人の指定部分のみが無効となるような扱いは認められる余地がないというべきである。 被告は、本件各団体定期保険契約について保険金受取人を被告として締結したものであり、被告以外の者を保険金の受取人とする意思はなかったことからすれば、無効行為の転換を認めるような余地もないことは明らかであり、団体定期保険普通保険約款三五条が適用される余地はないというべきである。 六被告が亡P2らの遺族に対して支払うべき金額 1 原告らの主張(一) 団体定期保険契約が被保険者である従業員の遺族の生活保障を目的としたものであり、本件各団体定期保険契約が遺族に対して支払われる弔 被告が亡P2らの遺族に対して支払うべき金額 1 原告らの主張(一) 団体定期保険契約が被保険者である従業員の遺族の生活保障を目的としたものであり、本件各団体定期保険契約が遺族に対して支払われる弔慰金の趣旨で締結されており、かつ、被告においては、社内規定上、業務上死亡の場合に特別弔慰金が支払われるのみで、業務外死亡の場合には弔慰金を支払う規定がなく、亡P2らについても業務外死亡とされ、弔慰金の支払がされていないことからすれば、本件各団体定期保険契約から支払われた保険金は、付保目的に従ってその全額が亡P2らの遺族である原告らに支払われるべきである。 (二) 仮に、本件各団体定期保険契約から支払われた保険金について、その全部が原告らに支払われるべきであるとまでは言えないとしても、少なくとも相当部分が支払われるべきであり、その金額については、団体定期保険契約が従業員の遺族の生活保障を主たる目的としたものであり、前記のとおり、実質的に見て、保険会社から支払われる保険金は使用者と従業員又はその遺族との準共有となるものであって、民法二五〇条の規定が適用ないし準用されるべきことからすれば、少なくとも保険金の二分の一が亡P2らの遺族である原告らに支払われるべきものである。 2 被告の主張被告は、亡P2らの死亡により、社内規定に基づき、亡P2につき退職金一〇九三万四〇〇〇円(一〇九四万三〇〇〇円とあるのは明らかな誤記である。)、葬祭料六五万六〇〇〇円、慶弔金五万円(他に供花一対)の合計一一六四万○○○○円(一一六四万九〇〇〇円とあるのは明らかな誤記である。)を、亡P4につき退職金一一九六万四〇〇〇円、葬祭料八七万一○○○円、慶弔金五万円(他に供花一対)の合計一二八八万五〇〇〇円を、亡P5につき退職金七三六万八〇〇〇円、葬祭料七一万五〇〇〇円、慶弔金 を、亡P4につき退職金一一九六万四〇〇〇円、葬祭料八七万一○○○円、慶弔金五万円(他に供花一対)の合計一二八八万五〇〇〇円を、亡P5につき退職金七三六万八〇〇〇円、葬祭料七一万五〇〇〇円、慶弔金五万円(他に供花一対)、遺児福祉年金七五万円の合計八八八万三〇〇〇円(遺児福祉年金の脱漏は明らかな誤記と認める。)をそれぞれ支払っており、いずれも社会的にも相当な水準に達しており、他に原告らに支払うべきものはないというべきである。 第四争点に対する判断一団体定期保険制度の沿革とその運用経過について 1 証拠によれば、次の事実が認められる。 (一)(1) 団体保険(団体生命保険)は、一九一一年(明治四四年)に初めてアメリカで生まれたものであるところ、当時のアメリカは産業革命の波によって工業化が急速に進み、大量の労働力人口が農村から都市に流入する一方、社会保障制度がいまだ十分に整備されていなかったため、一家の働き手となっている従業員が在職中に不慮の死亡を遂げたときに遺族の生活が立ち行かなくなることがあり、従業員の不慮の死亡の場合における遺族の生活保障を図るという目的で導入されたが、企業の従業員全員を無診査で被保険者とし、その遺族補償を可能な限り低廉なコストで提供するという企業家のニーズに応えるものであったことから、勤労者のための好個の生命保険として急速に普及した。この団体保険は、一年更新の定期保険で、保険料も全額を企業が負担し従業員の負担がない非拠出型契約として始まり、一九二〇年代には従業員の負担がある拠出型契約が増加したものの、第二次世界大戦中に実施された賃金凍結の対象から団体保険が除外されたこともあって、企業の福利厚生として非拠出型の普及が進み、非拠出型が大多数を占めるようになった。(甲八、九、一三、一六、二一三)アメリカでは、各州が された賃金凍結の対象から団体保険が除外されたこともあって、企業の福利厚生として非拠出型の普及が進み、非拠出型が大多数を占めるようになった。(甲八、九、一三、一六、二一三)アメリカでは、各州が独自に保険法を制定し、監督行政を行う保険庁も各州ごとに設置され、保険庁の代表者として保険監督官が任命されているが、各州間の監督行政の統一・調整を図り、保険契約者等の利益保護を図るため全米保険監督官協会(略称「NCIC」、後に「NAIC」に改称)が設立されており、一九一七年(大正六年)八月に開催された全米保険監督官会議の大会において、全ての州が団体保険の取扱いを均一にするため、団体保険の定義と基本的指導原理を採択し、全ての保険会社がこれを受託するとともに、各州の保険法のモデルとするべく団体保険のモデル法案を制定し、いくつかの州でこれに沿った保険法が制定された。(甲八、九、一六、二七、二一三)右大会で採択された団体保険の定義は、「団体生命保険は、五〇人以上の被用者を、有診査又は無診査にて雇主宛に発行する一通の保険証券により担保する保険形態であって、その保険料は雇主単独又は雇主と被用者との分担により払い込まれ、付保される被用者は一雇主に属する全員か又は雇用条件により決定される一又は数階級の全員とし、各被用者の保険金額は個別選択を排除する方式により定められ、かつ、雇主以外の者の利益のために付保されるべきである」などとされており、団体保険が被用者の遺族補償を目的としたもので、雇主の利益のためのものでないことが明確に確認されていた。(甲九、一六)(2) 我が国では、大正の後期から勤労者のための生命保険として団体定期保険の研究が行われるようなり、次第にその導入を求める声が産業界で高まり、当時、我が国で唯一の経営者団体として昭和八年一二月に設立された全国 国では、大正の後期から勤労者のための生命保険として団体定期保険の研究が行われるようなり、次第にその導入を求める声が産業界で高まり、当時、我が国で唯一の経営者団体として昭和八年一二月に設立された全国産業団体連合会(以下「全産連」という。)のもとで団体保険の企画経営がされるのが望ましいとの意見から、全産連の発起による独自の非営利事業として日本団体生命保険株式会社(日本団体生命)が商工省の認可を得て昭和九年三月に設立され、同年六月営業を開始し、我が国で初めて団体定期保険を販売するようになった。(甲八、九、一三、一六、二五、二一三)日本団体生命は、まず、五〇人以上の団体を対象とし被保険者の診査を行わずに被用者の全員加入を認め、掛け捨てで被保険者の死亡の場合のみ保険を支払うという「普通団体定期保険」を提供し、遅れて、死亡保険のほかに生存の場合の退職金を加味した「勤続給付金付団体定期保険」を提供したところ、大会社を中心に従業員の福利制度として導入されるようになり、次第に団体保険が従業員の福利制度として一般の理解を得るようになるとともに、日中戦争の勃発後、戦時下の労働力不足という事態の中で企業においても福利制度の拡充を迫られる一方、団体保険の保険料を事業主が負担した場合、統制令による賃金の範囲には含まれないとの恩典を受けたこともあって、団体定期保険が普及し、昭和一五年度には被保険者数が一一三万人を突破するに至った。(甲一三)日本団体生命の団体定期保険普通保険約款では、保険期間中に被保険者が死亡した場合には保険金を被保険者票に記載した保険金受取人に支払うものとされ、保険契約者は保険金の受取人となることを原則として禁止され、例外として、保険契約者が法令又は被保険団体の扶助若しくは給与に関する社内規定に基づく給付に充てるため保険料の全額を負担し 払うものとされ、保険契約者は保険金の受取人となることを原則として禁止され、例外として、保険契約者が法令又は被保険団体の扶助若しくは給与に関する社内規定に基づく給付に充てるため保険料の全額を負担して契約した場合においてその給付額の範囲内の金額に限り保険契約者が保険金受取人になることを認められていたものであり、また、保険会社は被保険者に被保険者票(保険証券の一部を構成する。)を発行し、保険契約者は保険会社から被保険者に対して交付すべき文書として交付を受けた被保険者票、通知書その他の文書を遅滞なく被保険者に交付する義務を負うものとされ、団体定期保険の趣旨が、被保険者の遺族の生活保障にあり、保険金は全て遺族に対する給付として支払われるものであることが徹底されていた。(甲一〇、一三、一七一、一七二、二一三、二五〇、二五一)なお、日本団体生命が販売していた団体定期保険は、企業の従業員全員を被保険者とするものであり、現在で言えば、Aグループ保険と呼ばれるものの一つであり、第Ⅰ種の被用者団体を対象とした全員加入契約(全員加入契約を締結する団体を全員加入団体といい、団体の構成員が加入するか否かを決定できる任意加入契約を締結する団体である任意加入団体と区別される。)であった。(甲一三、一五、弁論の全趣旨)(3) 団体定期保険は、制度創設以来、日本団体生命の独占事業となっていたところ、昭和二二年四月に公布された独占禁止法によって自由化され、昭和二三年九月に明治生命が団体定期保険の認可を得たのを皮切りに、昭和二三年九月から各生命保険会社(以下「保険会社」という。)が団体定期保険の分野に参入するようになったところ、契約獲得のための競争が激化し、保険契約の対象となる団体の範囲についての解釈も区々に分かれ、団体定期保険の運用に混乱を生じたため、昭和二六年八 。)が団体定期保険の分野に参入するようになったところ、契約獲得のための競争が激化し、保険契約の対象となる団体の範囲についての解釈も区々に分かれ、団体定期保険の運用に混乱を生じたため、昭和二六年八月に、大蔵省から銀行局長通達「団体生命保険運営基準」が発せられ、団体生命保険の独立採算、対象団体の範囲、最低被保険者数、加入率、保険料率、最高保険金額などの基準が定められ、これ以降、右基準に基づいて団体定期保険が運用されるようになったものの、右基準は、団体定期保険の趣旨については明示的には言及せず、保険金受取人についても格別制限を設けなかった。(甲九、一○、一三、一六)各保険会社の団体定期保険普通保険約款を見ると、昭和二八年七月一日時点のものでは、各保険会社とも、保険金受取人について、保険契約者は原則として受取人になることができず、例外的に、保険契約者が法令又はその団体の規定による給付に充てる目的で保険料の全部又は一部を負担して契約した場合にその負担額に応じて保険金受取人となることができるものとし、日本団体生命の従来の約款と比べると制限を幾分緩和したとはいえ、制限条項は存置しており、また、従前とほぼ同様に、保険会社は、被保険者に被保険者証(ただし、被保険者名簿を保険契約者に交付することで代えることがあるとされた。)を発行し、保険契約者は保険会社から被保険者に対して交付すべき文書として交付を受けた被保険者証、通知書その他の文書を遅滞なく被保険者に交付する義務を負うことが明記されていた。(甲一七三、二五〇、二五一)しかしながら、昭和四七年三月時点では、団体定期保険を取り扱う保険会社二〇社中、六社(本件各保険会社のうちでは、日本生命、協栄生命の二社が含まれている。)が、団体定期保険普通保険約款において、保険金受取人の制限規定を全く置いておら は、団体定期保険を取り扱う保険会社二〇社中、六社(本件各保険会社のうちでは、日本生命、協栄生命の二社が含まれている。)が、団体定期保険普通保険約款において、保険金受取人の制限規定を全く置いておらず、団体定期保険が被保険者の遺族の生活保障に充てられるものであるとの制度の趣旨・目的があいまいとなる傾向を生じた。(甲二五〇、二五一)これについては、昭和四一年に大蔵省の団体定期保険の運営基準についての通達が改正され、団体保険の対象分野が拡大し、対象範囲の解釈が明確になるとともに、任意加入団体の要件が大幅に緩和され、最高保険金額も大幅に引き上げられたことから、各保険会社において、任意加入団体を対象とした団体定期保険も販売するようになり、団体定期保険の対象範囲が大幅に拡大したこともその背景にあったものである。(甲一三、一六)(二)(1) 大蔵省は、昭和二六年八月に銀行局長通達「団体生命保険運営基準」によって団体定期保険が適正に運用されるよう行政指導を行うようになるとともに、団体定期保険が普及するにつれ、対象範囲の拡大に迫られ、その都度通達を改正するなどしていたところ、昭和四一年二月一○日の通達により、「団体定期保険の運営基準」と改称し、それまでの通達等を集大成し、対象範囲の解釈を明確にするとともに、任意加入団体の要件を大幅に緩和し、最高保険金額も大幅に引き上げるなどの措置を講じた。(甲九、一〇、一六、二五)こうした措置により、団体定期保険は更に普及したものの、各保険会社間の過当競争により、契約獲得のためには通達違反、事業方法書違反もやむを得ないとの風潮が生まれ、団体定期保険の本質があいまいとなるおそれを生じ、また、昭和四六年八月に行われた右運営基準の改正により、任意加入団体の加入率の特例として、「契約締結日から四年間に限り二五パーセント の風潮が生まれ、団体定期保険の本質があいまいとなるおそれを生じ、また、昭和四六年八月に行われた右運営基準の改正により、任意加入団体の加入率の特例として、「契約締結日から四年間に限り二五パーセント又は被保険者数二〇〇〇人以上とし、運営基準改正以前の契約については昭和五〇年八月末までに正規の加入率を達成する」と定め、右期限が到来したものの、なお正規の加入率に達しない団体が任意加入団体の過半数に及ぶ事態となったことから、大蔵省においては、社会における組織の多様化と団体定期保険が福祉制度の一環として広く社会のニーズに応えていくために、団体定期保険の概念とその位置づけをどうすべきかとの視点から、団体の範囲及び区分をより合理的なものとし、加入率の引上げと最低加入者数の引下げ、最高保険金額の引上げ、保険料の引下げ等について検討を重ね、昭和四九年四月及び昭和五〇年七月の二度にわたる右運営基準の改正を経て、昭和五一年二月二〇日付けで右運営基準を全面改正し、同年三月一日から実施するとともに、従来から各保険会社に作成を義務づけていた更新契約の料率適用状況票を一部改正の上で当局に報告を義務づけ、適正料率の適用状況と加入率の実態を把握することとし、さらに、これまで各保険会社において各別に定めていた団体定期保険普通保険約款を全社共通のものとするよう要請した。(甲一七七、一七八、二六五)保険会社の業界団体である生命保険協会においては、昭和四八年ころから団体定期保険約款の統一化を検討していたところ、大蔵省の右要請を受け、全社統一の約款を作成し、昭和五一年三月中に各保険会社からその申請がなされ、同年四月一日付けで認可を得た。(甲一〇、一七六の1、2)なお、団体定期保険の本質が問題となったものに、昭和四五年に波島丸という貨物船が北海道沖で沈没し、乗組員一八名が死 社からその申請がなされ、同年四月一日付けで認可を得た。(甲一〇、一七六の1、2)なお、団体定期保険の本質が問題となったものに、昭和四五年に波島丸という貨物船が北海道沖で沈没し、乗組員一八名が死亡した事故において、船会社が乗組員を被保険者として団体傷害保険に加入し、これにより保険金を受け取っていながら、これを遺族に隠して災害補償の交渉をするという事件があり、これが新聞等でも大きく報道され、また、同じころ、勤労者の一遺族から大蔵省に、会社が団体定期保険に加入し、死亡保険金一〇〇万円を保険会社から受領していながら、遺族には社内規定により一〇万円を支払っただけであり、従業員の死亡で事業主を儲けさせるようなことを保険会社が商売するのは納得できないとの訴えがなされることがあり、大蔵省においても、保険金額と遺族への支給額とが無関係となっている点、及び付保目的を事業主が従業員に周知徹底していない点で問題があると判断し、生命保険協会に改善を指導することがあった。(甲一六、三五、三六の1ないし3)(2) 昭和五一年四月一日に認可された統一約款は、保険会社二〇社の各約款の相違点を全て寄せ集め、そこから最大公約数的なものを生かしていくという姿勢のもと、全員加入契約の場合と任意加入契約の場合を区別することなく、両契約形態に共通の約款として作成されたため、約款の対象から外して各保険会社の事業方法書に委ねられた部分もあったところ、保険金受取人の制限条項、被保険者証の被保険者への交付条項などは、いずれも統一約款には盛り込まれなかった。(甲一七六の1、2)この統一約款では、保険契約者は、いつでも将来に向かってこの保険契約を解約することができるとされたものの、被保険者の脱退については、保険契約者は、任意に、この保険契約から一部の被保険者を脱退させることは、保険会 では、保険契約者は、いつでも将来に向かってこの保険契約を解約することができるとされたものの、被保険者の脱退については、保険契約者は、任意に、この保険契約から一部の被保険者を脱退させることは、保険会社が認めた場合でなければできないものとされ、死亡保険金の受取人についても、保険契約者は、被保険者の同意を得て、その受取人を指定し、又は変更することができるとされ、受取人の指定がない場合は、被保険者の配偶者、子、父母、祖父母、兄弟姉妹の順位に従って受取人の指定があったものと扱うことにするなど、団体定期保険が被保険者の利益のために締結されるものであるとの趣旨は不変であったもので、さらに、二年を超えて継続してこの保険の被保険者であった者は、この保険から脱退した場合等において、その日から一か月以内であれば、被保険者選択を受けることなく個人保険に加入できるとして、被保険者において個人保険に切り替えることも一定の場合に認められていた。(甲一七六の1、2)(3) 右のとおり、大蔵省においても生命保険協会においても、団体定期保険の本質が企業における従業員の福祉制度の一つとして位置づけられるものであるとの認識を変えたわけではなく、昭和五一年二月の運営基準の改正後も、大蔵省は、団体定期保険の第Ⅰ種の被用者団体を対象とした全員加入契約は、企業の弔慰金制度として従業員に対する福祉制度の一環として位置付けられるものであり、その運営が適正に行われるよう一貫して行政指導を続けていたものであって、こうした指導を受けて生命保険協会も、団体定期保険が本来の趣旨に沿って運用されるよう、昭和五三年九月、業界として、次のような申合せをなし(以下「昭和五三年九月申合せ」という。)、これを実施した。(甲一六、二五)① 契約申込書、協定書による付保目的の確認新規契約締結時に当該契約 昭和五三年九月、業界として、次のような申合せをなし(以下「昭和五三年九月申合せ」という。)、これを実施した。(甲一六、二五)① 契約申込書、協定書による付保目的の確認新規契約締結時に当該契約と福利厚生制度との関連を契約申込書において確認するとともに、被保険者数が一〇〇〇名以上の規模の契約については、合わせて付保目的を記載した協定書を取り交わす。 ② 保険金額等の制限(増額変更契約を含む。)ア被保険者一名当たりの保険金額の上限について年収の五倍相当額程度をガイドラインとする。 イ被保険者一名当たりの保険金額について、次の制限を設ける。 ⅰ 一社通算限度を四〇〇〇万円(運営基準に定める最高保険金額現行五〇〇〇万円)とする。 ⅱ 一社の単独、及び共同受託契約(他社受託分を含む。)の通算限度は八〇〇〇万円とする。 ウ合理的理由のない自社の単独扱いによる重複契約は締結しない。 ③ 被保険者の範囲年齢、勤続年数、職階等により意図的に被保険者を若年層に限定したり、高年齢層を除外する契約は締結しない。なお、既契約についても自粛の方向で取り組む。 ④ 名簿省略団体の取扱い名簿省略団体については、人員、平均年齢を客観的資料(社会保険料納付書、有価証券報告書、会社四季報等)により確認する。なお、既契約についても次期更新時より実施する。 この昭和五三年九月申合せにより、団体定期保険の契約申込書には、「契約の趣旨」欄を設け、「本契約は、次の一つないし複数の福利厚生制度との関連において申し込みます。」と明記し、その選択肢として、「一弔慰金制度」「二退職金制度」「三その他( 制度)」を掲げ、「被保険者同意確認」欄には、選択肢として、「一労働協約、就業規則または社内規程に基づく」「二次の周知方法により被保険者のこの保険加入についての不同意の 金制度」「三その他( 制度)」を掲げ、「被保険者同意確認」欄には、選択肢として、「一労働協約、就業規則または社内規程に基づく」「二次の周知方法により被保険者のこの保険加入についての不同意の有無の確認を行う」を設け、後者については、「掲示場における掲示」「文書による通知」「口頭による説明」「労働組合または従業員代表者に対する通知」「その他( )」の選択肢を更に設けることとされた。(甲一六、甲八〇、一二七の1)(4) こうした大蔵省の行政指導及び生命保険協会の申合せがあったものの、企業が従業員の福利厚生のためと称して団体定期保険に加入しながら、これを従業員には知らせず、従業員が死亡した場合には保険会社から支払を受けた従業員の死亡保険金を企業が全額取得し、被保険者の遺族には社内規定によりわずかな給付しかしなかったり、あるいは、企業が保険会社に自社株を購入してもらったり、社債を引き受けてもらったりすることの見返りに団体定期保険に加入し、従業員が死亡しても保険金を請求しないなど、団体定期保険を悪用したり、本来の趣旨を逸脱した利用をする事例が後を絶たなかったため、大蔵省は、平成三年九月及び同年一一月の二回にわたって各保険会社の各社長に対し行政指導を行った。(甲一六、二六、三八、三九、四一)平成三年九月の行政指導では、①団体定期保険の本来の趣旨(福利厚生)に沿って保険の運用を行うこと、②保険金の支払事由を生じた場合に保険金未請求という事態を生じないように注意することの二点が、同年一一月の行政指導では、①被保険者の同意を確認すること、②弔慰金の社内規定を確認すること、③保険金が被保険者又はその遺族に渡っているか否か確認すること、④保険金額の妥当性についても検討することの四点がそれぞれ指摘された。(甲四一)なお、国税当局においても、こう 内規定を確認すること、③保険金が被保険者又はその遺族に渡っているか否か確認すること、④保険金額の妥当性についても検討することの四点がそれぞれ指摘された。(甲四一)なお、国税当局においても、こうした団体定期保険の本来の趣旨を逸脱した加入を問題視し、保険加入の動機を調査し、株持ち合い等の目的で加入したものと認められる場合には、保険料を交際費と認定し課税する動きがあったものの、右の大蔵省の行政指導と後記の生命保険協会の申合せを受けて、保険料への課税は見送られた。(甲一六、二六、三八)(5) 生命保険協会においても、団体定期保険が本来の趣旨に沿って運用されるよう業界としても一層の徹底を図るため、平成三年一○月及び同年一二月の二回にわたり申合せ(以下「平成三年一○月申合せ」「平成三年一二月申合せ」という。)をなした。(甲一六、二五)平成三年一○月申合せの内容は、次のとおりであり、同月から実施された。(甲一六、二五)① 募集及び運営について団体定期保険(Aグループ保険)の商品の趣旨(団体の福祉厚生制度等)にかんがみ、その目的に即した募集及び運用に一層努める。 ② 募集資料等の充実についてア募集時に使用する資料において、手続の重要性を説明する。 顧客への団体保険制度提案時に使用する提案書(設計書)において、次のとおり実施し、保険金請求の重要性について注意を喚起する。 ⅰ 複数の保険金支払いケースを想定し、それぞれの実質保険料を提示するよう改定する。 ⅱ 保険金請求の重要性について新たに注意喚起できるよう改訂する。例えば、「保険事故が発生した場合には、速やかに保険金請求手続を履行し、請求漏れ等のないようご注意下さい。」旨など。 イ契約団体先への事務指導を強化する。 ⅰ 契約団体先の事務担当者向けの事務のしおり等を新規作成又は改定するとと 合には、速やかに保険金請求手続を履行し、請求漏れ等のないようご注意下さい。」旨など。 イ契約団体先への事務指導を強化する。 ⅰ 契約団体先の事務担当者向けの事務のしおり等を新規作成又は改定するとともに、次の項目を記載し、契約団体宛の事務指導に資する。 a 保険金請求の重要性についての注意喚起として「保険事故が発生した場合には、速やかに保険金請求手続を履行し、請求漏れ等のないようにご注意下さい。」旨など。 b 保険金請求漏れを防ぐために契約団体先へ照会を実施するが、その実務上の取扱いを記載する。 ⅱ 保険事故の有無確認時等に、保険金の請求漏れのないよう事務指導を行う。 a 他の保険契約での保険事故発生データb 団体の人員規模による保険また、平成三年一二月申合せの内容は、次のとおりであり、平成四年三月から実施された。(甲一六、二五)① 弔慰金等の社内規定の確認等ア次の方法により確認する。 ⅰ 契約締結時に規程を確認し、写しを取り寄せる。 ⅱ 契約申込書に弔慰金・死亡退職金等、企業の福利厚生措置の内容の記載項目を設け、契約者に記入してもらう。 イ明文化された規程のない企業に対しては、規程を明確化してもらい、その規程を確認した後に販売する。 ② 保険金額の設定右①により企業の福利厚生措置を確認し、保険金額を設定する。なお、保険金額は、福利厚生措置との関係において社会通念上問題のない金額とする。 ③ 被保険者の同意の確認従来の契約申込書による企業側の報告に基づく確認に加え、保険会社として新たに次の対応を行う。なお、契約申込書において「口頭による説明」の項目は廃止する。 ア契約締結の際、その旨の連絡文書を企業と協力して従業員に配布する。 イ掲示文書の写しを取り寄せる。 ウ就業規則等に「団体定期保険を○○制度の財源確保のため契約する」旨 る説明」の項目は廃止する。 ア契約締結の際、その旨の連絡文書を企業と協力して従業員に配布する。 イ掲示文書の写しを取り寄せる。 ウ就業規則等に「団体定期保険を○○制度の財源確保のため契約する」旨記載してもらう。 ④ 保険金の支払の確認保険会社は、新たに次のような対応を行う。 ア保険金請求書と同時に、遺族への支払(予定)の弔慰金・死亡退職金等を企業に記入してもらった文書を取り寄せて確認する。 イ契約更新時に、そのとおり実施され、支払われた保険金が福利厚生措置の目的に沿って有効に活用されていることを企業に確認する。 ウ販売活動時に、団体定期保険の趣旨を徹底する。 エ弔慰金・死亡退職金等が遺族に支払われたことの確認(領収証の写し等)を取り寄せることについて前向きに検討する。 (6) このような大蔵省の行政指導と生命保険協会による申合せを経て、ほとんどの保険会社においては、契約申込書等において、保険契約者に契約の趣旨として福利厚生制度のうち、いかなる給付制度との関係で申し込むものか明示を求めるとともに、保険契約者との間で協定書等を取り交わし、福利厚生制度に基づく給付に充てることを目的として団体定期保険契約を締結するものであり、保険金の全部又は一部を社内規定に基づいて支払う金額に充当することを確約させる取扱いをするようになり、団体定期保険契約の主たる目的が、従業員の福利厚生を目的としたもので、死亡保険金については、全部又は一部を遺族に対する給付に充てるためのものであるという運用を徹底することとされた。(甲二四、二六、四二の1ないし3、四三ないし四六、一六五、二二〇、二二一)他方で、保険会社によっては、団体定期保険契約の目的について、従業員に対する福利厚生制度に基づく給付に充てることに加え、企業の経済的損失を補完することを付加するとこ 四六、一六五、二二〇、二二一)他方で、保険会社によっては、団体定期保険契約の目的について、従業員に対する福利厚生制度に基づく給付に充てることに加え、企業の経済的損失を補完することを付加するところが現われ、付随的に企業の損失の補填に保険金を用いることも許されるとの認識を一部に生じさせることとなった。例えば、日本生命の契約申込書では、遺族に対する給付である弔慰金、死亡退職金、遺族育英年金、労災上乗せ補償金などと並べ、企業の損失である従業員死亡に伴う団体逸失利益の選択肢を設けている。このような解釈が生じてきた背景には、団体定期保険契約の保険金額の上限が時代とともに引き上げられ、かつまた、同一の企業が複数の保険会社との間で団体定期保険契約を締結する例も少なくなく、遺族補償に充当してもなお余剰が生じるような高額な加入事例が見られるようになったことも一因となっていると考えられるところである。(甲二六、七一の1ないし4)こうした影響を受けて、平成六年五月二六日の衆議院決算委員会第一分科会での質疑において、大蔵省銀行局保険部長が、団体定期保険の目的について、従業員の遺族に対する弔慰金や死亡退職金の原資を確保するなど企業の福祉制度を充実するとともに、従業員の死亡によって企業に生じる種々の損害の補填等に充当しているものであるとの答弁をなすなど、行政当局の担当者の中にも、右のような保険会社の運用を追認する見解を示す者が現われるようになった。(甲一六)しかしながら、団体定期保険契約の主たる目的が、福利厚生措置によって遺族に支払う弔慰金、死亡退職金、労災上乗せ補償金等の給付に充てることにあることは共通の基本的認識であったもので、ほとんどの保険会社においては、生命保険協会の平成三年一〇月及び同年一二月の各申合せに沿って、これまでの運用を全面的に見直し せ補償金等の給付に充てることにあることは共通の基本的認識であったもので、ほとんどの保険会社においては、生命保険協会の平成三年一〇月及び同年一二月の各申合せに沿って、これまでの運用を全面的に見直し、団体定期保険販売のための手引書などを作成し、契約更新分を含め、保険契約者に団体定期保険の本来の趣旨を周知し、保険会社から支払われる保険金が実際にも遺族に対する給付に充てられていることを確認する手続が設けられるようになった。(甲二六、四二ないし四五、一六五)(三) 保険募集については、昭和六年の保険募集規則の制定により規制が始まり、昭和二三年七月に施行された現行の「保険募集の取締に関する法律」により、保険募集行為に関する規制とともに、保険募集文書に関する規制も行われるようになったところ、募集文書図画(パンフレット類)については、長く大蔵大臣の承認を要することとされてきたが(昭和二四年三月三〇日付蔵銀第九三号、昭和三五年四月二七日付蔵銀第四八五号)、昭和四八年三月に発せられた「生命保険の募集文書図画の取扱いについて」(昭和四八年三月二四日付蔵銀第九〇六号)により、同年四月以降、保険会社の自主管理に委ねることとされ、生命保険協会による募集文書図画の届出(登録)制に変更され、団体保険については、大蔵省の指導を受けて生命保険協会において昭和五〇年六月に「団体生命保険募集文書図画の取締規程」を制定し、作成基準、作成例等も規定し、団体生命保険の販売が制度の本旨に従って適正になされるよう自主規制がなされるようになり、各保険会社においても、右取締規程に従って募集文書図画の登録を励行するようになった。右「生命保険の募集文書図画の取扱いについて」においても、保険会社に対して、国家による社会保障制度とあいまって国民福祉の向上に寄与するという生命保険の機能に対する国 図画の登録を励行するようになった。右「生命保険の募集文書図画の取扱いについて」においても、保険会社に対して、国家による社会保障制度とあいまって国民福祉の向上に寄与するという生命保険の機能に対する国民の期待が著しく高まり、他方、保険需要の変化に応じて保険商品の内容が複雑多様化してきている今日、契約者に対して正確、適切な情報を提供する上で募集文書図画の果たす役割はますます重要になっているとし、いやしくも契約者に誤解を与えたり、本来提供すべき情報を提供しなかったために、契約者の判断を誤らしめること等のないよう厳に配慮するよう要請していた。(甲一六、一五六)さらに、平成二年六月には、右「生命保険の募集文書図画の取扱いについて」が廃止され(平成二年六月一一日付蔵銀第一四一二号)、同年一○月以降、募集文書図画について生命保険協会による審査から各保険会社の自主規制に委ねられ、各社において募集文書作成基準を定め、社内登録をするようになった。(甲一六)団体定期保険についての各保険会社のパンフレット類を見ると、少なくとも生命保険協会の昭和五三年九月申合せ以降のものは、団体定期保険が従業員の福利厚生制度を充実させるためのものであることをアピールする内容となっており、平成三年一○月及び同年一二月の各申合せを経て、各社のパンフレット類において右の趣旨がより一層徹底されるようになった。(甲一六、二一、二三、二五七ないし二六三)(四) 団体定期保険に関する税金の取扱いを見ると、昭和二六年一月一日、国税庁から「所得税法に関する基本通達第一二四」が発せられ、団体定期保険の保険料について、厚生保険料の場合(同基本通達第一二二)と同様に、事業者負担分についても事業者は損金に計上して差し支えないものとされ、従業員に対しても給料所得に算入されないこととされるとともに、 の保険料について、厚生保険料の場合(同基本通達第一二二)と同様に、事業者負担分についても事業者は損金に計上して差し支えないものとされ、従業員に対しても給料所得に算入されないこととされるとともに、団体定期保険の保険金支払調書には被保険者の住所を必ず記載すべきことが指導されていたところ、このような一連の取扱いがなされたのは、団体定期保険の保険金が企業内部に留保されるものではなく、従業員の福利厚生、遺族の生活保障として社会保障制度を補完するものであると社会的にも認知されていたからであり、こうした取扱いは以後変わることがなかった(法人税基本通達九―三―五)。団体定期保険によって支払われる保険金については、保険契約者である企業が受け取れば、雑収入として益金の額に算入されるところ(給付金を含む。)、企業が被保険者の相続人に死亡退職金・弔慰金として支給した場合は損金処理ができることとされ、被保険者の相続人には相続税が課税されるものの、一定の範囲内の金額が非課税とされており、企業が社会的に相当な額を災害見舞金として被保険者に支給した場合は全額損金処理できるほか、被保険者にとっては所得税が非課税とされている。(甲一六、二三、一五九)(五) 団体定期保険(Aグループ保険)の実際の加入状況を見ると、労務行政研究所の平成元年一○月から一一月にかけて上場企業約一九〇〇社と資本金五億円以上かつ従業員五〇〇人以上の主要非上場企業約七〇〇社を対象に実施した実態調査によると、団体定期保険への加入率は七五パーセントと超えているところ、保険金の使途については、保険金の全額を遺族に支給している企業は二三・四パーセントであり、一部を支給している企業を含めても四二・四パーセントであり、遺族には全く支給しないという企業が実に五六・五パーセントに及んでおり、生命保険文化センタ 族に支給している企業は二三・四パーセントであり、一部を支給している企業を含めても四二・四パーセントであり、遺族には全く支給しないという企業が実に五六・五パーセントに及んでおり、生命保険文化センターの平成七年の調査によっても、国内企業の約六〇パーセントが団体定期保険に加入し、特に、一〇〇〇人を超える企業では七九・六パーセントに達しているにもかかわらず、同じころ労務行政研究所の行った調査によれば、保険金の使途について、「遺族には全く支給しない」と答えた企業がなお四九・七パーセントに及んでいるとの数値が出ており、加入率は極めて高いものの、団体定期保険の制度の本旨を理解しない利用がなお相当な割合に及んでいた。(甲七、八、二二五)(六) 平成八年には、全国各地で企業が団体定期保険に加入し従業員の死亡により多額の死亡保険金の支払を受けながらこれを会社が取得するのは不当であるとし、遺族が企業に対して保険金の支払を求める訴訟が提起される事例が増加してきており、中には、保険の存在を従業員にも遺族にも知らせず、企業が遺族に無断で死亡診断書を入手して保険金の支払を受けるなど、悪質な保険金隠しを行っている例もあることが全国紙で大きく報道されるようになり、週刊雑誌でも特集記事が組まれるなど、社会問題化してきたため、業界紙においても、団体定期保険の危機として取り上げられ、団体定期保険(Aグループ保険)の運用の適正化が強く叫ばれるようになってきたことを受けて、保険業界においては、団体定期保険の目的をより明確化し、利用目的に合わせた保険金額の設定ができるようにするとともに、保険金が遺族に全く支払われないという実態をなくすため、団体定期保険の内容を改定し、総合福祉団体定期保険を考案し、各保険会社とも、平成八年一一月二日から一斉に同保険商品の販売を開始し、既契約につ 、保険金が遺族に全く支払われないという実態をなくすため、団体定期保険の内容を改定し、総合福祉団体定期保険を考案し、各保険会社とも、平成八年一一月二日から一斉に同保険商品の販売を開始し、既契約については平成九年四月一日以降の契約更新から切り替えを行うことにした。 (甲一の1ないし6、二ないし四、五の1ないし4、六、七、一四四ないし一四六、二一五ないし二一八)この総合福祉団体定期保険は、①主契約、②ヒューマンバリュー特約、③災害総合保障特約からなり、主契約については、企業の従業員への給付規程にリンクさせ、死亡保険金の受取人を被保険者の同意を得て企業の指定した者とし、原則として被保険者の遺族が想定されており、ヒューマンバリュー特約とは、企業の経済的損失の補填に充てるために企業が保険金の受取人になって主契約の保険金額以下の額で付加給付を受けるというもので、被保険者一名につき二〇〇〇万円を上限としているものであり、団体定期保険の主たる目的が遺族の生活保障にあることを契約内容からも明確にしたものであった。(甲一四四ないし一四六、二一五ないし二一八)各保険会社においては、総合福祉団体定期保険の発売に合わせ、被保険者に対して保険付保の周知徹底を図るため通知文書を従業員全員に個々に配布することとし、不同意者は署名捺印のある書面の提出を受けることにより被保険者の対象外とし、保険金請求書には企業規程による給付の受給者の署名捺印を求めるとともに、支払われる保険金額は企業規程に基づく給付額を限度とし、企業規程を超えた保険金が付保され、この保険の目的に反した利用がなされるおそれがある場合には、保険会社において保険契約を解除することができるものとして、取扱いを改めた。 (甲一四四ないし一四六、二一五ないし二一八)(七) 金融監督庁の通達こうした経過を受け なされるおそれがある場合には、保険会社において保険契約を解除することができるものとして、取扱いを改めた。 (甲一四四ないし一四六、二一五ないし二一八)(七) 金融監督庁の通達こうした経過を受けて、保険会社の監督官庁である金融監督庁は、平成一○年六月に「金融監督等にあたっての留意事項について」と題する文書を発し、保険会社に対する監督事務に当たり、全員加入型の団体定期保険契約については、当該保険の目的・趣旨が従業員とその遺族の生活保障にあることを明確にし、企業の就業規則、労働協約その他これに準ずる規則に基づく遺族補償及び業務外の傷病扶助に関する規定又はこれに準ずる規定により定められた死亡退職金・弔慰金等の支払財源を保障する部分を「主契約」、従業員死亡に伴い企業が負担する代替雇用者採用・育成費用等の諸費用(企業の経済的損失)を保障する部分を「特約」として区分した上、当該保険契約の目的・趣旨に沿った業務運営がされているか、被保険者の同意確認については、保険契約者から、保険契約の目的となる遺族補償規定等の書類とともに、被保険者となることに同意した者全員の署名又は記名・押印のある名簿などを提出させて確認をし、ヒューマンバリュー特約を付帯した保険契約については、被保険者から個別に同意する旨の書面に署名又は記名・押印をすることによる確認をしているかなど、総合福祉団体定期保険が改定の趣旨に従って適正に運営されているかについて、詳細な留意事項を定めている。(甲二四九、二六五)(八)(1) アメリカにおける団体定期保険の運用を見ると、一九一七年(大正六年)のモデル法案によって示された団体定期保険の定義と目的は、その後、現在に至るまで一貫して貫かれてきており、一九八〇年(昭和五五年)に改定されたNAICのモデル法案においても、団体生命保険の定義として、 モデル法案によって示された団体定期保険の定義と目的は、その後、現在に至るまで一貫して貫かれてきており、一九八〇年(昭和五五年)に改定されたNAICのモデル法案においても、団体生命保険の定義として、雇主又は雇主が設立した基金の受託者に対して発行された保険証券であり、その雇主の雇用する従業員を保障し、雇主以外の人のための保険契約の証券であることが明記され、団体生命保険標準条項の中にも、保険者は保険証券所有者(雇主)に保険証書を発行し、保険証券所有者は被保険者各人にこれを配布するものとし、その証書には、各被保険者が受ける資格のある保険保護、保険給付の受給者、被保険者の扶養者に保障等を表示するものとされており、州によっては、法律により保険金受取人に企業(雇主)を指定することを禁止しているところもある。(甲一六、二五、二七)こうした団体保険については、連邦による法規制も強化されてきており、一九七四年(昭和四九年)に制定された従業員退職所得保障法(エリサ法)において、雇主(企業)の拠出のある団体定期保険を規制の対象とし、保険金を従業員のためだけに給付することを強制するとともに、雇主と保険会社の双方に情報の開示と被保険者の保護を要求し、保険金を削減する場合も、被保険者に対しその理由を厳格に説明する必要があり、被保険者において異論があるときは、被保険者は保険会社と雇主である企業の経営者に説明を求めることができるとされており、被保険者の保護とともに、雇主及び保険会社の責任が明確にされている。(甲一六、二七)(2) 右のようなアメリカにおける団体定期保険の趣旨についての理解は、ヨーロッパ諸国でも共通している。(甲一六、二七)イギリスにおいては、団体生命保険は従業員の福祉制度の一環として企業年金等と組み合せて実施されることが大多数であるが、こうした 旨についての理解は、ヨーロッパ諸国でも共通している。(甲一六、二七)イギリスにおいては、団体生命保険は従業員の福祉制度の一環として企業年金等と組み合せて実施されることが大多数であるが、こうした団体生命保険のほとんどは雇主により従業員のために加入され、契約形態も、保険料を雇主が負担し、従業員の死亡時にその遺族へ一時金又は年金が支払われるというものである。(甲二七)フランスにおいても、団体保険は政府が行う社会保障制度(強制加入)を補完するものとして位置づけられているが、政府の指導のもと、労働組合や企業間の組織で構成された強制加入の社会保障補足制度があるため、任意加入の社会保障再補足制度として位置づけられている団体保険の市場は従来あまり大きくなかったものの、次第に非管理職層を被保険者として市場を拡大してきているところ、-九八九年(平成元年)一二月に改正されたベレゴボア法とエヴァン法によって団体生命保険を規制し、保険契約者の被保険者に対する情報提供義務、被保険者に提供される保障の強化などを定めており、団体生命保険が本来の趣旨に従って運用されるよう措置を講じている。(甲二七) 2 団体定期保険契約(Aグループ保険)の法的性格について(一) 団体定期保険契約の目的について右認定事実からすれば、団体定期保険は、企業の従業員が在職中に不慮の死亡を遂げた場合における遺族への生活保障を図るための福利厚生措置として社会保障制度を補完する役割を担って創設された保険商品であり、企業の従業員全員を被保険者として原則として無審査で加入を認め、遺族補償の財源なる死亡保険金を低廉なコストで提供するというもので、雇主である企業が保険料の全額を負担する形態と従業員も保険料の一部を負担する形態があるが、いずれの場合も、保険契約者ではなく、被保険者である従業員ない 亡保険金を低廉なコストで提供するというもので、雇主である企業が保険料の全額を負担する形態と従業員も保険料の一部を負担する形態があるが、いずれの場合も、保険契約者ではなく、被保険者である従業員ないし従業員家族の利益のために付保されるものとして社会的にも承認されてきたものであること、戦後の団体定期保険の取扱いの自由化のもと、各保険会社間で過当競争を生じ、団体定期保険の運用に混乱を生じ、各保険会社の団体定期保険普通保険約款も統一されていなかったため、大蔵省による団体生命保険の運営基準の通達によって運用の統一化を指導したものの、十分な効果を上げられず、昭和四〇年代には団体定期保険が被保険者の遺族の生活保障に充てられるものであるとの制度の趣旨・目的があいまいとなる傾向を生じ、企業が団体定期保険に加入しながら、従業員にも遺族にも保険の存在を隠し、企業が保険会社から従業員の死亡保険金を受け取りながら、これを遺族に支払わず、企業自らが取得しようとするという事例も生じて社会的にも問題となるなどしたこと、行政当局においては、団体定期保険の主たる目的が遺族の生活保障にあり、保険契約の中でも社会的性格が強いことにかんがみ、かかる本質がゆがめられることのないよう適正な運用を保険業界に対して行政指導を繰り返し行っていたところ、こうした指導を受けて業界団体である生命保険協会においても、昭和五一年四月に統一約款を制定した上、団体定期保険が本来の趣旨・目的に沿って利用されるよう、昭和五三年九月申合せをなし、各保険会社において保険契約者との間で契約申込書等及び協定書等(ただし、協定書等は、被保険者数が一○○○名以上の規模の契約についてのみであった。)により付保目的を確認し、保険契約者に付保目的に従って保険金の全部又は一部を企業の社内規定である弔慰金等の給付に充てること 、協定書等は、被保険者数が一○○○名以上の規模の契約についてのみであった。)により付保目的を確認し、保険契約者に付保目的に従って保険金の全部又は一部を企業の社内規定である弔慰金等の給付に充てることを確約させた上で、保険契約を締結する取扱いとし、各保険会社においてもこうした申合せに沿って運用することとされたこと、しかしながら、保険会社によっては、業績の拡大を優先するあまり、右申合せに違反する販売方法を続けていたところもあり、ユーザーに団体定期保険契約の趣旨が十分には徹底されなかったこともあって、企業が従業員の福利厚生のためと称して団体定期保険に加入しながら、これを従業員に知らせず、従業員の死亡による多額の死亡保険金を企業が取得しながら、遺族には社内規定によりわずかな給付しかしなかったり、あるいは、企業が保険会社に自社株を購入してもらったり、社債を引き受けてもらったりすることの見返りとして団体定期保険に加入し、従業員が死亡しても保険金の請求もしないなど、団体定期保険を悪用したり、本来の趣旨を逸脱した利用をする事例が後を絶たなかったため、大蔵省においても、平成三年九月及び同年一一月の二回にわたり各保険会社の社長に対し団体定期保険の本来の趣旨(従業員の福利厚生)に沿って保険の運用を行うことを徹底するよう指導し、生命保険協会においても、平成三年一〇月及び同年一二月の二回の申合せにより、団体定期保険の本来の趣旨に即した募集及び運用を徹底するため、より詳細で厳格な取扱基準を定め、各保険会社においても、かかる申合せに沿って募集及び運用を徹底するため、事務取扱いの手引書を改定することはもとより、契約申込書等の様式を改定し、保険契約者に契約の趣旨として福利厚生制度のうち、いかなる給付制度との関係で申し込むものか明示を求めるとともに、保険契約者との間で 扱いの手引書を改定することはもとより、契約申込書等の様式を改定し、保険契約者に契約の趣旨として福利厚生制度のうち、いかなる給付制度との関係で申し込むものか明示を求めるとともに、保険契約者との間で協定書等を取り交わし、福利厚生制度に基づく給付に充てることを目的として団体定期保険契約を締結するものであり、保険金の全部又は一部を社内規定に基づいて支払う金額に充当することを確約させる取扱いになり、団体定期保険の募集文書等においてもこうした趣旨が明示されるようになったもので、こうした運用は遅くとも平成四年三月以降、ほぼ全ての保険会社で取り入れられるようになったことなどが認められる。 右のような団体定期保険の沿革とその運用経過、特に、本来、保険契約は、射倖契約としての性質を有するもので、公序良俗に違反する目的で悪用される危険を絶えず伴うものであり、中でも、他人の生命についての保険契約については、その危険が大きく、さればこそ、被保険者の同意を効力要件とするほか、その運用に当たっては慎重な配慮が求められているものであり、団体定期保険にあっても、こうした危険があり、実際にも、団体定期保険を悪用する事例が後を絶たず、そのため行政当局による指導が繰り返され、各保険会社においても保険協会による申合せによって取扱基準を統一し、保険契約者にも団体定期保険を本来の趣旨に従って利用することを確約させた上で、保険契約を締結する運用に改めてきたものであり、大蔵省による行政指導を受けて生命保険協会がなした平成三年一〇月及び同年一二月の二回の申合せは、これまでの運用に対する根本的反省に基づき、団体定期保険について公序良俗に違反する目的・動機で利用されることを防止するための最低限のルールを業界一致で定めたものであって、自主規範と言えるものであり、保険契約者においてもかかる 反省に基づき、団体定期保険について公序良俗に違反する目的・動機で利用されることを防止するための最低限のルールを業界一致で定めたものであって、自主規範と言えるものであり、保険契約者においてもかかる申合せに従い、契約申込書等において契約の趣旨を明示するとともに、保険会社との間で協定書等を取り交わし、福利厚生制度に基づく給付に充てることを目的として団体定期保険契約を締結するもので、保険金の全部又は一部を社内規定に基づいて支払う金額に充当することを確約して保険に加入することとなったこと、我が国における生命保険の関係法規は、専ら個人保険を念頭に制定されたものであり、団体生命保険については、法的規制が整備されなかったため、行政当局による行政指導と保険業界による自主規制によって対応せざるを得なかったものであり、平成三年の大蔵省による行政指導とこれを受けて生命保険協会がなした平成三年一○月及び同年一二月の二回の申合せによって確立された取扱基準は、保険法の分野における法の欠缺を補充する自主規範として社会的にもその遵守が期待されるものである。 そして、保険契約者において、団体定期保険契約の締結に当たり、団体定期保険の本来の目的に沿ってこれを利用することを確約しながら、本来の目的とは異なる目的又は方法で団体定期保険契約を利用することは、右のように確立した取扱基準を明らかに逸脱して団体定期保険を悪用するものであり、少なくとも各保険会社の運用がほぼ確立した平成四年三月以降にあっては、社会的相当性を逸脱し、公序良俗に違反するものであって許されないものと解するのが相当である。 しかして、団体定期保険契約の主たる目的が、企業の従業員に対する福利厚生制度に基づく給付に充てることにあり、保険金の全部又は一部を社内規定に基づいて支払う金額に充当することを確約して保険に ある。 しかして、団体定期保険契約の主たる目的が、企業の従業員に対する福利厚生制度に基づく給付に充てることにあり、保険金の全部又は一部を社内規定に基づいて支払う金額に充当することを確約して保険に加入することからすれば、公序良俗に違反しないというためには、従業員の死亡の場合に支払われる保険金について、その保険金額が従業員の死亡の場合に福利厚生制度に基づいて支払われる給付額として社会的に相当な金額の範囲内のものであれば、原則としてその全部を、保険金額が右給付額として社会的に相当な金額を超えて多額に及ぶ場合には、保険金額の少なくとも二分の一に相当する金額(右給付額として社会的に相当な金額が右二分の一に相当する金額を上回る場合には、社会的に相当な金額が基準になるというべきである。)を被保険者の相続人に対して遺族補償として支払うことが必要というべきである。 なお、被告は、団体定期保険契約の目的として、遺族補償のほかに、従業員死亡に伴う企業の逸失利益や代替人材の採用・育成等の経費などの企業としての経済的損失の補填することも認知されている旨主張し、一部の保険会社において作成している手引書等にも同趣旨の記載の見られるものがあり、行政当局の担当者にも、同趣旨の認識を窺わせるような発言が一部見られ、実際にも、平成八年一一月二日から一斉に販売が開始されている総合福祉団体定期保険においては、遺族補償を目的とする主契約に付随して特約として、右のような企業の経済的損失の補填を目的として、いわゆるヒューマンバリュー特約を被保険者の同意のもとで付することが認められるようになっているところ、従業員の死亡によって企業に経済的損失が生ずると言っても、企業としては、労働の対価たる賃金支払等の義務を全て免れることになるのであり、代替人材にしても、Aグループ保険としての団 になっているところ、従業員の死亡によって企業に経済的損失が生ずると言っても、企業としては、労働の対価たる賃金支払等の義務を全て免れることになるのであり、代替人材にしても、Aグループ保険としての団体定期保険に加入する企業は、企業規模が大きく、社内に代替人材を多く抱えている上、労働市場において比較的容易に代替人材の確保をなし得る環境にあり、また、人材の補充のための採用はルーティーンとして日頃から予定されていることでもあり、特別の出費とは言い難く、人材の育成等の経費にしても、代替人材の育成は恒常的に行われているものである上、労働の対価たる賃金についても当該従業員の能力・経験等に応じて設定されるものであることからすれば、これが当然に出費の増大をもたらすものとは必ずしも考え難く、従業員の不慮の死亡によって遺族が被る経済的損失の深刻さに比べると、全く質的にも量的にも異なるものであって同列に論じられるものではない。従業員の不慮の死亡によって被る遺族の経済的損失は、単に生計の支柱を失うというだけでなく、就労途中での死亡であるため、将来にわたって得られたはずの生涯収入を失うことによる経済的打撃は大きく、かつ、補填が困難なものであり、企業から遺族への給付にしても、こうした経済的打撃を補填するような付加給付はほとんどなされないのが通常であり、企業に比して経済的に余裕の多くない従業員にとっては予め防衛策を講ずることも容易とは言い難く、さればこそ、企業の福利厚生措置、さらには、国家の社会保障制度を補完するものとして、団体定期保険の制度が考案され、これが普及してきたのであり、こうした団体定期保険の本来の目的は、現在においてますます重要になってきているものである。したがって、仮に、被告の右主張のような目的を許容する余地があり得るとしても、少なくとも、団体定期保 であり、こうした団体定期保険の本来の目的は、現在においてますます重要になってきているものである。したがって、仮に、被告の右主張のような目的を許容する余地があり得るとしても、少なくとも、団体定期保険契約の主たる目的として許容されるものではなく、付随的な目的にとどまるものというべきであり、また、右目的は、保険の利益を被保険者以外の第三者たる企業において享受するものであるから、後述のとおり、別途、被保険者の個別的な同意があってはじめて許容されうるものである。 さらに、被告は、団体定期保険契約が従業員の福利厚生にあることをとらえ、これは、保険金を個々の被保険者又はその遺族に給付することを当然に含むというものではなく、被保険者となっている従業員全体の福利厚生のための財源として保険金を利用することも許されるとし、毎年度の従業員全員分の保険料の支出に充当することも福利厚生制度を維持するための利用形態の一つである旨の主張をしているけれども、保険金は、まさしく個々の被保険者の死亡によって支払われるものであり、被保険者の死亡によって経済的に最も大きな打撃を受けるのも、被保険者を生計の支柱として生活していたその遺族であることは明らかであり、遺族補償を抜きにして、他の従業員の福利厚生のために保険金を利用することは、死亡した従業員の生命を利用して他人が利得を得るに等しく、まして、企業が支払ってきた従業員全員分の保険料の支出に充当してしまうようなことは、本末転倒も甚だしく、福利厚生措置としての意味をおよそ無にするものであることは明らかである。 (二) 団体定期保険契約における保険会社と保険契約者との間の保険契約の趣旨(付保目的)についての合意の法的性格について平成四年三月以降、団体定期保険契約の締結に当たっては、保険契約者において契約申込書等に契約の趣旨と における保険会社と保険契約者との間の保険契約の趣旨(付保目的)についての合意の法的性格について平成四年三月以降、団体定期保険契約の締結に当たっては、保険契約者において契約申込書等に契約の趣旨として福利厚生制度との関連を明示するとともに、保険会社との間で協定書等を取り交わすことにより、福利厚生制度に基づく給付に充てることを目的として団体定期保険契約を締結するもので、保険金の全部又は一部を社内規定に基づいて支払う金額に充当することを確約する取扱いになったところ、このような保険契約の趣旨(付保目的)についての合意は、被保険者の遺族に対し、死亡保険金の全部又は一部(この「一部」の意味内容は、前記のとおりである。)を福利厚生制度に基づく給付として充当することを内容とするものであり、社内規定との関係について言えば、既存の社内規定に基づく給付額が右保険金によって充当すべき金額と一致するか、又はこれを上回るときは、既存の社内規定に基づく給付額を給付すれば足りるが、逆に、これを下回るときは、その差額分を保険金から支払うことを意味内容として含むものと解するのが相当である。 しかして、右のような保険会社と保険契約者との保険契約の趣旨(付保目的)についての合意は、第三者である被保険者のためにする契約に当たるものであり、被保険者又はその遺族においてその契約の利益を享受する意思を表示したときには、保険契約者に対し右合意に基づいて給付を請求する権利を取得するものと解するのが相当である。 (三) 団体定期保険契約における被保険者の同意について(1) 被保険者の同意の態様について団体定期保険も、他人の生命についての保険であり、被保険者の同意があることが効力発生要件となるところ、団体定期保険(Aグループ保険)にあっては、保険契約者の雇主と被保険者の従業員との労 様について団体定期保険も、他人の生命についての保険であり、被保険者の同意があることが効力発生要件となるところ、団体定期保険(Aグループ保険)にあっては、保険契約者の雇主と被保険者の従業員との労働契約関係において、雇主が従業員の死亡保険金を福利厚生制度に基づいて従業員の遺族に対する給付に充てるために締結するものであり、それ自体、福利厚生措置の一つであり、被保険者が保険金の受取人になる場合に準ずる場合であるとも言えること、被保険者資格のある従業員全員が同一条件のもとで被保険者として加入するものであり、実質的に見て、労使協定によって福利厚生制度を設ける場合と異なるところがなく、団体定期保険の契約内容からしても、かつまた、労働条件についての均等待遇の原則からしても、従業員ごとに異なる扱いは原則として予定されていないこと、労働者の過半数による統制があれば、団体定期保険が公序良俗に違反する目的で利用されることを防止するに十分であり、かつ、被保険者の人格権の保護という意味でも保護に欠けるところはないこと(なお、仮に、個々の被保険者に不同意の自由を認めるとしても、不同意者については別途配慮すれば足りる。)などからすれば、商法六七四条一項ただし書、労働基準法九〇条一項の各規定の趣旨に照らし、労働者の過半数で組織する労働組合又は労働者の過半数を代表する者の同意によって、被保険者の同意として有効と認めるのが相当である。 なお、右のように被保険者としての同意の要件が緩和されるのは、団体定期保険による死亡保険金が主として被保険者である従業員の遺族補償に充てられることに基づくものであり、いわゆるヒューマンバリュー特約のように、付保目的が被保険者以外の者の利益にある場合には、原則に戻り、被保険者の個別の同意を必要とすることは当然であり、また、一つの団体定期保 とに基づくものであり、いわゆるヒューマンバリュー特約のように、付保目的が被保険者以外の者の利益にある場合には、原則に戻り、被保険者の個別の同意を必要とすることは当然であり、また、一つの団体定期保険において、被保険者の利益のための付保目的と被保険者以外の者の付保目的とを併存させる場合には、被保険者の同意は利益享受の主体が異なる付保目的ごとに得る必要があり、これら利益享受の主体が異なる付保目的を一括して被保険者に対し同意不同意を求めることは、被保険者以外の者の利益のための契約を事実上強要する結果となるおそれさえあることからして、許されないものというべきであり、このような場合、各別に同意不同意の機会を与えられるべきである。 (2) 被保険者の同意の法的性格について保険契約者において、被保険者より、団体定期保険契約締結についての同意を得るに当たっては、団体定期保険契約の契約内容を明らかにした上で、同意の有無を聴取するものであるが、その過程で保険契約の趣旨が明らかにされ、これを含めて同意が与えられることにより、保険契約者と被保険者との間においても保険契約の趣旨(付保目的)について直接の合意が成立するのが通常であるところ、このような保険契約者と被保険者との間の合意においては、団体定期保険契約における保険会社と保険契約者との間の保険契約の趣旨(付保目的)についての合意によって生ずる被保険者の遺族の給付請求権について、これを更に具体化する合意がなされることもあり、また、保険金を充当する内訳を変更することも、もとより合意によってなし得ることであるが、被保険者の無知に乗じて、保険金の使途を福利厚生制度に基づく遺族への給付以外に変更することは、団体定期保険契約を濫用するものであって、公序良俗に違反して許されず、かかる変更合意は無効というべきである。 者の無知に乗じて、保険金の使途を福利厚生制度に基づく遺族への給付以外に変更することは、団体定期保険契約を濫用するものであって、公序良俗に違反して許されず、かかる変更合意は無効というべきである。 また、被保険者の同意について、これを労働者の過半数で組織する労働組合又は労働者の過半数を代表する者の同意によってなされたときは、その同意は、商法六七四条一項本文の同意としての効力には欠けるところはないが、団体定期保険契約によって支払われる保険金の使途についてその代理権を被保険者から授与されていない限り、右労働組合又は労働者代表において、被保険者に代わって、保険契約の趣旨(付保目的)についての合意を当然にはなし得るものではない[まして、保険会社と保険契約者との間の契約の趣旨(付保目的)についての合意を不利益に変更することは、被保険者の同意なくしてなし得ないというべきである。]。しかしながら、労働者の過半数で組織する労働組合又は労働者の過半数を代表する者が、雇主との間で、被保険者の利益のために、保険契約者である雇主が被保険者である従業員に対して保険金を財源として給付をなすことを合意することは、第三者のためにする契約としてはもちろん有効であり、この場合も、被保険者においてその契約の利益を享受する意思を表示したときは、保険契約者に対し右合意に基づいて給付を請求する権利を取得するものというべきである。 (四) 団体定期保険契約による死亡保険金の使途について(1) 付保目的の拘束力団体定期保険契約によって支払われる保険金の使途については、既に述べたとおり、保険会社と保険契約者との間の保険契約の趣旨(付保目的)についての合意、及び保険契約者と被保険者との間の保険契約の趣旨(付保目的)についての合意によって定まるものであるところ、福利厚生措置としての給付請 会社と保険契約者との間の保険契約の趣旨(付保目的)についての合意、及び保険契約者と被保険者との間の保険契約の趣旨(付保目的)についての合意によって定まるものであるところ、福利厚生措置としての給付請求権に関わる事柄であり、従業員の労働条件となるものであるから、保険契約者と被保険者との労働契約の契約内容に含まれることになるものである。 しかして、右のような合意によっていったん定まった付保目的を変更することは、労働条件の変更となるものであるから、保険契約者において、付保目的を変更することは原則としてなし得ず、特に、被保険者である従業員に不利益を及ぼす変更は、従業員の同意なくしては、なし得ないものであることは、他の労働条件の変更の場合と同様というべきである。 (2) 付保目的の特定が十分でない場合の取扱い団体定期保険契約によって支払われる保険金の使途について、企業の従業員に対する福利厚生制度に基づく給付に充てるものとし、保険金の全部又は一部を社内規定に基づいて支払う金額に充当するとの合意があるのみで、具体的にいかなる給付に、いかなる金額を充当するかについて、何らの取決めもされていないことも少なくない。 この場合、福利厚生制度についての社内規定と団体定期保険契約との関係については、保険契約の趣旨(付保目的)についての合意の趣旨からして、既に述べたとおり、既存の社内規定に基づく給付額が右保険金によって充当すべき金額と一致するか、又はこれを上回るときは、既存の社内規定に基づく給付額を給付すれば足りるものであるが、逆に、これを下回るときは、その差額分を保険金から支払う趣旨であると解すべきものであり(より詳しく言えば、社内規定に相当する分に保険金を充当することは当然であり、保険金のうち、社内規定を超える分については、保険金の使途が特定されていない 保険金から支払う趣旨であると解すべきものであり(より詳しく言えば、社内規定に相当する分に保険金を充当することは当然であり、保険金のうち、社内規定を超える分については、保険金の使途が特定されていないことになるところ、この特定されていない部分をどのように処分するかについては、当事者間で明示の合意がない以上、保険契約の趣旨についての合意を合理的に解釈して決めるほかなく、この場合、団体定期保険契約の主たる目的が被保険者の遺族の生活保障にあることからすれば、少なくともその目的に相応する分を遺族に対する給付に充てることが合意の趣旨に適うものであり、かかる合意であったと推認するのが合理的である。このような場合に保険金の使途が特定されていない部分の全額を保険契約者が当然に取得できるとする理由はなく、もし保険契約者が取得するというのであれば、保険契約の趣旨についての合意においてこれを明示し、被保険者の同意を得ることを要するものであり、また、実際になされている保険契約の趣旨についての合意の趣旨にも反するものである。)、保険会社から支払われる死亡保険金より共益費用となる当該被保険者についての保険料の既払額を差し引いた残額のうちから、被保険者の遺族に対する給付に充当すべき金額を算出し、これから、企業の福利厚生制度による社内規定によって既に給付された金額を差し引いた残額をもって、遺族への給付額にすることになる。 保険金の使途として、弔慰金制度、退職金制度、労災上乗せ補償金制度の一つ又は複数が選択されている場合も、原則的には、右の場合と同様であるが、例えば、労災上乗せ補償金制度のみが選択されている場合、業務上の災害によって死亡した場合であれば、労災上乗せ補償金が遺族に支給されることから問題はないものの、業務外の事由により死亡した場合には、労災上乗せ補償金の支給 補償金制度のみが選択されている場合、業務上の災害によって死亡した場合であれば、労災上乗せ補償金が遺族に支給されることから問題はないものの、業務外の事由により死亡した場合には、労災上乗せ補償金の支給対象外となり、予め合意された付保目的は現実化しないものの、死亡保険金は支払われるのであり、このような場合の保険金についても、使途が特定されていない場合に該当することになるのであり、この場合においても、保険会社から支払われる死亡保険金より共益費用となる当該被保険者についての保険料の既払額を差し引いた残額のうちから、被保険者の遺族に対する給付に充当すべき金額を算出し、これから、企業の福利厚生制度による社内規定によって既に給付された金額を差し引いた残額をもって、遺族への給付額とすべきものである。 二被告による本件各団体定期保険契約締結の経過等について 1 証拠によれば、次の事実が認められる。 (一) 被告は、日本生命、太陽生命、第百生命及び日産生命との間では昭和四八年一二月一日に、日本団体生命との間では昭和四九年一月一日に、住友生命との間では昭和五一年三月一日に、第一生命との間では昭和六〇年一二月一日に、協栄生命との間では平成二年一二月一日に、明治生命との間では平成三年一二月一日にそれぞれ初めて本件各団体定期保険契約を締結し、以後、毎年契約更新をしてきたもので、各保険会社ごとの経過は、次の(1)ないし(9)のとおりである。(甲一九一)(1) 日本生命との関係① 昭和四八年一二月一日に初めて団体定期保険契約に加入し、以後、毎年一二月一日に契約更新していたところ、新規契約時、被保険者は役員を除く所属員全員、保険金額四二万円であったが、平成五年一二月一日の契約更新時には、被保険者は役員、相談役及び顧問を除く従業員全員、保険金額一二七〇万円、平成六年一二 ころ、新規契約時、被保険者は役員を除く所属員全員、保険金額四二万円であったが、平成五年一二月一日の契約更新時には、被保険者は役員、相談役及び顧問を除く従業員全員、保険金額一二七〇万円、平成六年一二月一日の契約更新時には、被保険者は同様で、保倹金額一七〇〇万円に変更されていた。(甲四九の2、七〇の1ないし3、七一の2ないし5、七二の2ないし5、七五の1ないし14、七六の1ないし18、七七の2ないし12、一七五の2)。 ② 日本生命の団体定期保険普通保険約款を見ると、新規契約時には、保険金受取人について、保険契約者は、被保険者の同意を得て、保険金受取人を指定し、又は変更することができるとされ、保険契約者の権利義務一切を第三者に承継させる場合、保険会社のみならず、被保険者の同意も得ることとされ、保険契約者が将来に向かって保険契約の全部を解約する場合も、被保倹者の同意を得ることとされ、被保険者の脱退についても、保険契約者は保険期間の途中又は保険契約の更新の際に任意に被保険者を被保険団体から脱退させることはできないものとされていた。 (甲一八〇の1ないし3)昭和五一年四月以降は、生命保険協会が定めた統一約款に従い、これと同旨の約款を定めている(平成六年四月二日に改正されている。)。(甲六九)③ 被告が日本生命に差し入れた本件団体定期保険契約の契約申込書等を見ると、新規契約時の契約申込書では、災害特約、災害保障特約等の特約の申込は一切なく、契約の趣旨欄も被保険者の同意確認欄もなかったところ、大蔵省の行政指導を受けてなされた生命保険協会の昭和五三年九月申合せ後の昭和五四年一二月一日契約更新時に差し入れられた変更申込書には、契約の趣旨欄は設けられなかったものの、被保険者の同意確認の方法欄が設けられ、これには、平成三年一二月一日契約更新時までは、被 合せ後の昭和五四年一二月一日契約更新時に差し入れられた変更申込書には、契約の趣旨欄は設けられなかったものの、被保険者の同意確認の方法欄が設けられ、これには、平成三年一二月一日契約更新時までは、被告において「同意確認の方法として労働協約、就業規則又は社内規定等に基づく」との選択肢に○印を記入していたのに対し、平成四年一二月一日契約更新時からは、「掲示場における提示」の周知方法により被保険者に保険加入についての不同意の有無の確認を行うとの選択肢に記入がされるようになった。(甲七〇の1、七一の5、七五の1ないし14)また、生命保険協会の平成三年一二月申合せ実施後の平成四年一二月一日契約更新時からは、増額申込の趣旨欄が設けられ、同契約更新時の契約申込書で保険金額が一二五〇万円から一二六〇万円に増額され、増額申込の趣旨として、死亡退職金と従業員死亡に伴う団体逸失利益が選択され、死亡退職金最高金額七五五万円、従業員死亡に伴う団体逸失利益最高金額五〇五万円が記入され、平成五年一二月一日契約更新時には、保険金額が一二六〇万円から一二七〇万円に増額され、増額申込の趣旨として、死亡退職金が選択され、最高金額七五五万円が記入され、平成六年一二月一日契約更新時には、保険金額が一二七〇万円から一七〇〇万円に増額され、増額申込の趣旨として、死亡退職金と労災上乗せ補償金が選択され、死亡退職金最高金額七五五万円、労災上乗せ補償金最高金額二九〇〇万円と記入されている。(甲七一の1ないし4)④ 被告が日本生命との間で取り交わした本件団体定期保険契約についての協定書等を見ると、新規契約時の協定書では、被保険者は被告に在籍する役員を除く従業員で健康で正常に勤務中の一五歳以上五六歳までの者全員とすること、保険金受取人は保険契約者とすること、被保険者名簿は保険会社と保険契 と、新規契約時の協定書では、被保険者は被告に在籍する役員を除く従業員で健康で正常に勤務中の一五歳以上五六歳までの者全員とすること、保険金受取人は保険契約者とすること、被保険者名簿は保険会社と保険契約者の協議の上省略すること、年度途中に被保険者資格を取得した者については資格取得日から途中加入を認めること、協定書以外の事項については約款の定めによることなどが記載されているのみで、契約の趣旨についての確認条項はなく、昭和五三年以降の協定書でも、被保険者について年度途中の加入を認めないことに内容が変更されているほかは、契約の趣旨の確認条項は含まれていなかった。(甲七四の2ないし4、七七の4、七八の1ないし6)⑤ 日本生命の団体定期保険契約についてのパンフレット類を見ると、平成二年四月登録のパンフレットでも、これによって支払われる保険金等は、会社規定による死亡退職金、弔慰金、労災付加給付、見舞金等の支払に充てられるものであることが図解入りで説明されており、税法上の取扱いについて、法人が負担する保険料は全額損金として処理され、保険金等についても、会社が受け取ったときは雑収入として益金に算入されるが、会社が受け取った保険金を死亡退職金、弔慰金、災害見舞金として被保険者の相続人に支払ったときは、原則として全額損金として処理されることが記載され、平成二年七月登録のチラシにも、団体定期保険の趣旨が従業員に万一のことがあった場合、従業員とその家族への保障のためのものであることがアピールされていた。(甲二一、二五九)⑥ 昭和四八年当時、日本生命は、被告の株式のうち、二・五三パーセントを所有する株主で、株式占有率は第六順位の大株主であったが、有価証券報告書においては長期借入金の融資元として記載されていなかったところ、昭和四九年には、株式占有率が四・〇二パー 、二・五三パーセントを所有する株主で、株式占有率は第六順位の大株主であったが、有価証券報告書においては長期借入金の融資元として記載されていなかったところ、昭和四九年には、株式占有率が四・〇二パーセントに上昇し、順位も第四順位となるとともに、長期借入金の融資元として、被告に設備資金を融資するようになり、賃金の期末残高が、昭和五〇年四億円、昭和五一年五億二〇〇〇万円、昭和五二年七億七二〇〇万円、昭和五三年九億二三〇〇万円と増加し(ただし、所有株式数は減少し、占有率も二・七五パーセントまで低下し、他方、短期借入金の融資元として三億円を融資している。)、その後、増減はあるものの、高水準で推移し、平成五年当時は、株式の占有率は一・七五パーセントで第六順位、長期借入金の融資元としての期末残高は七億七八〇〇万円となっている。(甲一九六の1ないし24)(2) 太陽生命との関係① 昭和四八年一二月一日に初めて団体定期保険契約に加入し、以後、毎年一二月一日に契約更新していたところ、新規契約時、被保険者は従業員全員、保険金額は一七万円であったが、平成五年一二月一日及び平成六年一二月一日の各契約更新時は、被保険者は同様で、保険金額は二〇〇万円に変更されていた。(甲四九の3、七九ないし八九、一七五の3)② 太陽生命の団体定期保険普通保険約款を見ると、新規契約時には、保険契約者は原則として保険金受取人になることはできないとされ、例外的に、保険契約者が法令又はその団体の規定に基づく給付に充てる目的で保険料の全部又は一部を負担して契約をした場合にはその負担額に応じて保険金受取人になることができるものとされるとともに、保険契約者は、被保険者の申出により若しくはその同意を得て保険金受取人を指定若しくは変更し、又は被保険者の同意及び保険会社の承諾を得て保険契約上の 険金受取人になることができるものとされるとともに、保険契約者は、被保険者の申出により若しくはその同意を得て保険金受取人を指定若しくは変更し、又は被保険者の同意及び保険会社の承諾を得て保険契約上の一切の権利義務を第三者に承継させることができるとされ、保険契約者が将来に向かって保険契約を解除するにも被保険者の同意を得るものとされ、また、保険会社は、保険契約者に対して契約締結の際に保険証券一通を交付するとともに、各被保険者に対して契約締結又は中途加入の際被保険者票一通を交付し(ただし、被保険者一覧表を保険契約者に交付して被保険者票の交付に代えることがある。)、保険契約者は、保険会社から被保険者に交付すべき通知書その他の文書の交付を受けたときは、これを遅滞なく被保険者に交付することを要することが規定されていた。(甲一八一の1ないし3)昭和五一年四月以降は、生命保険協会が定めた統一約款に従い、これと同旨の約款を定めている。(弁論の全趣旨)③ 被告が太陽生命に差し入れた本件団体定期保険契約の契約申込書等を見ると、新規契約時の契約申込書には、被保険者の同意確認欄も契約の趣旨欄もなかったところ、昭和五五年一二月一日契約更新時に差し入れた変更申込書には、いずれの欄も設けられ、契約の趣旨については、弔慰金制度、退職金制度、その他( )のうちから弔慰金制度のみが選択されているものの、同意確認については何の記入もなく、昭和五七年、昭和六〇年、昭和六一年及び平成四年の各契約更新時に差し入れた変更申込書では、いずれの欄についても何の記入もされていなかった。(甲八〇ないし八四)④ 被告が太陽生命との間で取り交わした協定書等を見ると、昭和五八年一二月一日契約更新時に作成された協定書では、被保険者について被告が管理掌握し保険会社から申出があった場合は被保険者明 ないし八四)④ 被告が太陽生命との間で取り交わした協定書等を見ると、昭和五八年一二月一日契約更新時に作成された協定書では、被保険者について被告が管理掌握し保険会社から申出があった場合は被保険者明細を提示すること、協定書以外の事項については約款の定めによること、本協定書は、特に意思表示のない限り自動的に更新することなどが記載されているのみで、契約の趣旨の確認条項はなかったものの、亡P2らの死亡後である平成八年九月一日に作成され、同日から施行された変更協定書では、昭和四八年一二月一日に契約された本件団体定期保険契約の契約締結の趣旨について、被告における福利厚生制度との関連において締結したものであり、被告はこの契約による保険金の全部又は一部を社内規定に則り支払う金額に充当するものであることが確認されている。(甲九〇、九一)⑤ 太陽生命は、昭和四八年当時、被告の大株主でもなく、長期借入金の融資元でもなかったところ、昭和四九年には、長期借入金の融資元として設備資金を融資するようになり、期末残高が、昭和五〇年二億八〇〇〇万円、昭和五一年四億二〇〇〇万円、昭和五二年六億八九五〇万円、昭和五三年八億五四五〇万円と増加し、その後、増減を繰り返しながらも高水準で推移していたもの、平成三年には、三億七〇〇〇万円まで減少し、平成五年当時、長期借入金の融資元としての期末残高は一億七一〇〇万円となっている。(甲一九六の1ないし24)(3) 第百生命との関係① 昭和四八年一二月一日に初めて団体定期保険契約に加入し、以後、毎年一二月一日に契約更新していたところ、新規契約時、被保険者は従業員全員、保険金額八万円であつたが、平成五年一二月一日契約更新時には、保険金額一五〇万円、平成六年一二月一日契約更新時には、保険金額二〇〇万円に変更されていた。(甲四九の6一一 約時、被保険者は従業員全員、保険金額八万円であつたが、平成五年一二月一日契約更新時には、保険金額一五〇万円、平成六年一二月一日契約更新時には、保険金額二〇〇万円に変更されていた。(甲四九の6一一一、一一二ないし一一五の各1及び2、一一七の1ないし4、一一八ないし一二四、一七五の6)② 第百生命の団体定期保険普通保険約款を見ると、新規契約時には、保険契約者は原則として保険金受取人になることはできないとされ、例外的に、保険契約者が法令又はその団体の扶助若しくは給与の規定に基づく給付に充てるため保険料の全部又は一部を負担するときはその負担額に応じて保険金受取人になることができるものとされるとともに、保険契約者は、被保険者の同意を得て保険金受取人を指定又は変更することができ、被保険者の同意及び保険会社の承諾を得て保険契約上の一切の権利義務を第三者に承継させることができるとされ、また、保険会社は、保険契約者に対して契約締結の際に保険証券一通を交付するとともに、各被保険者に対して契約締結又は中途加入の際被保険者票を交付すること(ただし、被保険者一覧表を保険契約者に交付して被保険者票の交付に代えることがある。)、保険会社が被保険者に交付する被保険者票その他の文書は全て契約者を通じて交付することが規定されていた。(甲一八四の1ないし3)昭和五一年四月以降は、生命保険協会が定めた統一約款に従い、これと同旨の約款を定めている(平成六年四月二日に改正されている。)。(甲一一〇)③ 被告が第百生命に差し入れた本件団体定期保険契約の契約申込書等を見ると、新規契約時の契約申込書には、被保険者の同意確認欄も契約の趣旨欄もなかったところ、昭和五四年一二月一日契約更新時に差し入れられた変更申込書には被保険者の同意確認の方法欄が設けられ、被告において被保険者の不 約時の契約申込書には、被保険者の同意確認欄も契約の趣旨欄もなかったところ、昭和五四年一二月一日契約更新時に差し入れられた変更申込書には被保険者の同意確認の方法欄が設けられ、被告において被保険者の不同意有無の確認の方法として、昭和五四年及び昭和五五年の各契約更新時には「労働組合または従業員代表者に対する通告」が選択されていたものの、昭和五七年、昭和六〇年、昭和六二年、昭和六三年及び平成元年の各契約更新時には「口頭による説明」が選択されていた。(甲一一一、一一八ないし一二四)右のように第百生命に差し入れられた契約申込書等で証拠として提出されているものには、契約の趣旨欄もあるものはないものの、平成六年一二月一日契約更新時に被告が第百生命に提出した本件団体生命保険契約のための必要書類の中に、被告の人事部から各位宛(従業員宛と推認されるものである。)の「団体定期保険契約の制度変更について」と題する書面が含まれており、これには、第百生命との間の本件団体定期保険契約により被告が受領する保険金の全部又は一部は、被告の社内規定に基づいて支払われる労災上乗せ補償金の財源に充当するものであることが明記されていたもので、これが慶弔金協定別表などとともに保険会社に提出されていた。(甲一一七の4)④ 被告と第百生命との間で本件団体定期保険契約に関し協定書等を取り交わした形跡は窺われないが、平成六年一二月一日契約更新時に差し入れられた前記「団体定期保険契約の制度変更について」と題する書面の存在などからすると、第百生命においては、協定書等の締結に代えて、被告から契約締結の趣旨を明らかにした書面を、これに対応する社内規定とともに提出を求めていたものと推認されるところである。(甲一一七の4、弁論の全趣旨)⑤ 第百生命は、昭和四八年当時、被告の大株主でもなく、長期借 の趣旨を明らかにした書面を、これに対応する社内規定とともに提出を求めていたものと推認されるところである。(甲一一七の4、弁論の全趣旨)⑤ 第百生命は、昭和四八年当時、被告の大株主でもなく、長期借入金の融資元でもなかったところ、昭和四九年には、長期借入金の融資元として設備資金を融資するようになり、期末残高が、昭和五〇年一億円、昭和五一年一億六〇〇〇万円、昭和五二年二億九四六○万円、昭和五三年四億三三八〇万円と増加し、その後、増減を繰り返しながらも高水準で推移していたもの、平成元年には、一億三九〇〇万円まで減少し、平成五年当時、長期借入金の融資元としての期末残高は八〇〇〇万円となっている。(甲一九六の1ないし24)(4) 日産生命との関係① 昭和四八年一二月一日に初めて団体定期保険契約に加入し、以後、毎年一二月一日に契約更新していたところ、新規契約時、被保険者は従業員全員、保険金額八万円であったが、平成三年一二月一日契約更新時には、被保険者の範囲を被告のほか、子会社である住軽アルミ鋳造の役員及び従業員に拡大され、平成五年一二月一日契約更新時には、被保険者は役員及び従業員全員(住軽アルミ鋳造の被保険者は零になっている。)、保険金額一○○万円、平成六年一二月一日契約更新時には、被保険者は五五歳以下の役員及び従業員全員(出向社員を含む。)、保険金額七〇万円に変更されていた。(甲四九の9、一三六の1ないし3、一三七の1ないし3、一三八ないし一四○の各1及び2、一七五の9)② 日産生命の団体定期保険普通保険約款を見ると、新規契約時には、保険契約者は原則として保険金受取人になることはできないとされ、例外的に、保険契約者が法令又はその団体の規定に基づく給付に充てる目的で保険料の全部又は一部を負担して契約をした場合はその負担額に応じて保険金受取人 原則として保険金受取人になることはできないとされ、例外的に、保険契約者が法令又はその団体の規定に基づく給付に充てる目的で保険料の全部又は一部を負担して契約をした場合はその負担額に応じて保険金受取人になることができるものとされるとともに、保険契約者は、被保険者の申出により若しくはその同意を得て保険金受取人を指定若しくは変更し、又は被保険者の同意及び保険会社の承諾を得て保険契約上の一切の権利義務を第三者に承継させることができるとされ、保険契約者が将来に向かって保険契約を解除するにも被保険者の同意を得るものとされ、また、保険会社は、保険契約者に対して契約締結の際に保険証券一通及び被保険者名簿一冊を交付するとともに、保険契約者の請求があれば、各被保険者に対して被保険者証一通票を交付すること、保険契約者は、保険会社から被保険者に交付すべき通知書その他の文書の交付を受けたときは遅滞なくこれを被保険者に交付することが規定されていた。(甲一八七の1ないし3)昭和五一年四月以降は、生命保険協会が定めた統一約款に従い、これと同旨の約款を定めている(平成六年二月に改正されている。)。(甲一三五)③ 被告が日産生命に差し入れた本件団体定期保険契約の契約申込書等を見ると、新規契約時の契約申込書には、被保険者の同意確認欄も契約の趣旨欄もなかったところ、平成三年一二月一日契約更新時に差し入れられた契約申込書には、いずれの欄も設けられ、契約の趣旨については、弔慰金制度、退職金制度、その他( )のうちから弔慰金制度のみが選択され、同意確認の方法については、「労働協約、就業規則又は社内規定に基づく」が選択されていたものの、平成四年ないし平成六年の各契約更新時に差し入れた契約申込書では、いずれの欄についても何の記入もされていなかった。(甲一三六ないし一四〇の各1) 規則又は社内規定に基づく」が選択されていたものの、平成四年ないし平成六年の各契約更新時に差し入れた契約申込書では、いずれの欄についても何の記入もされていなかった。(甲一三六ないし一四〇の各1)④ 被告が日産生命との間で取り交わした協定書等を見ると、昭和五二年一二月一日契約更新時に協定書が作成されているところ、これには、次年度以降については特に意思表示のない限り毎年更新すること、被保険者名簿は省略すること、年度途中における被保険者資格の得喪が生じた者については処理を自動的に行うこと、保険金受取人は保険契約者とすること、協定書以外の事項については約款の定めによること、協定書の内容に変更がないときは本協定書を継続することなどが記載されているのみで、契約の趣旨の確認条項はなかった。(甲一四二)⑤ 日産生命は、昭和四八年当時、被告の大株主でもなく、長期借入金の融資元でもなかったところ、昭和五〇年には、長期借入金の融資元として設備資金を融資するようになり、期末残高が、昭和五〇年一億円、昭和五一年二億円、昭和五二年三億四四九〇万円、昭和五三年四億八四六〇万円と増加し、その後、増減を繰り返しながらも高水準で推移していたもの、平成元年には、一億九九〇〇万円まで減少し、平成五年当時、長期借入金の融資元としての期末残高は八〇〇〇万円となっている。(甲一九六の1ないし24)(5) 日本団体生命との関係① 昭和四九年一月一日に初めて団体定期保険契約に加入し、以後、毎年一二月一日に契約更新していたところ、新規契約時、被保険者は従業員全員、保険金額一〇〇万円であったが、平成五年一二月一日及び平成六年一二月一日の各契約更新時には、保険金額一一〇万円に変更されていた。(甲四九の七、一二六の1ないし7、一二七の1ないし9、一二八の2、一二九、一三〇の1ないし3、一 が、平成五年一二月一日及び平成六年一二月一日の各契約更新時には、保険金額一一〇万円に変更されていた。(甲四九の七、一二六の1ないし7、一二七の1ないし9、一二八の2、一二九、一三〇の1ないし3、一七五の8)② 日本団体生命の団体定期保険普通保険約款を見ると、新規契約時には、保険契約者は原則として保険金受取人になることはできないとされ、例外的に、保険契約者が法令又はその団体の扶助若しくは給与の規定に基づく給付に充てるため保険料の全部又は一部を負担するときはその負担額に応じて保険金受取人になることができるものとされるとともに、保険契約者は、被保険者に同意を得て保険金受取人を指定又は変更することができ、被保険者の同意及び保険会社の承諾を得て保険契約上の一切の権利義務を第三者に承継させることができ、保険契約者が将来に向かって保険契約を解除するにも被保険者の同意を得るものとされ、また、保険会社は、保険契約者に対して契約締結の際に保険証券一通を交付するとともに、各被保険者に対して契約締結又は中途加入の際被保険者票を交付すること(ただし、被保険者一覧表を保険契約者に交付して被保険者票の交付に代えることがある。)、保険会社が被保険者に交付する被保険者票その他の文書は全て契約者を通じて交付することが規定されていた。 (甲一八五の1ないし3)昭和五一年四月以降は、生命保険協会が定めた統一約款に従い、これと同旨の約款を定めている。(甲一二五)③ 被告が日本団体生命に差し入れた本件団体定期保険契約の契約申込書等を見ると、新規契約時の契約申込書には、被保険者の同意確認欄も契約の趣旨欄もなかったところ、昭和五五年一二月一日契約更新時に差し入れられた契約申込書には、いずれの欄も設けられ、契約の趣旨については、弔慰金制度、退職金制度、その他()のうちから弔慰 確認欄も契約の趣旨欄もなかったところ、昭和五五年一二月一日契約更新時に差し入れられた契約申込書には、いずれの欄も設けられ、契約の趣旨については、弔慰金制度、退職金制度、その他()のうちから弔慰金制度のみが選択され、同意確認の方法については、「労働協約、就業規則又は社内規定に基づく」が選択され、昭和五六年ないし昭和六〇年並びに昭和六三年及び平成元年の各契約更新時に差し入れた契約申込書では、契約の趣旨については右同様の選択がされ、同意確認の方法については、「口頭による説明」が選択され(なお、昭和五六年の契約更新時には別途に「被保険者同意確認書」が差し入れられている。)、昭和六二年の契約更新時に差し入れられた契約申込書にはいずれの記入もなかった。(甲一二六の1ないし7、一二七の1ないし9、一二九)④ 被告と日本団体生命との間で本件団体定期保険契約に関し協定書等を取り交わした形跡は窺われない。 ⑤ 日本団体生命は、昭和四八年当時、被告の大株主でもなく、長期借入金の融資元でもなかったところ、昭和四九年には、長期借入金の融資元として設備資金を融資するようになり、期末残高が、昭和五〇年一億五〇〇〇万円、昭和五一年二億五〇〇〇万円、昭和五二年三億四三二〇万円、昭和五三年四億七二四〇万円と増加し、その後、増減を繰り返しながらも高水準で推移していたもの、平成元年には、一億九一〇〇万円まで減少し、平成五年当時、長期借入金の融資元としての期末残高は八〇〇〇万円となっている。(甲一九六の1ないし24)(6) 住友生命との関係① 昭和五一年三月一日に初めて団体定期保険契約に加入し、以後、昭和五二年から平成三年までは毎年一○月一日に、平成四年以降は毎年一二月一日に契約更新していたところ、新規契約時、被保険者は従業員全員、保険金額九五〇万円(昭和五一年一二月 保険契約に加入し、以後、昭和五二年から平成三年までは毎年一○月一日に、平成四年以降は毎年一二月一日に契約更新していたところ、新規契約時、被保険者は従業員全員、保険金額九五〇万円(昭和五一年一二月一日に一一〇〇万円に増額された。)であったが、平成五年一二月一日及び平成六年一二月一日の各契約更新時には、保険金額三七〇〇万円に変更されていた。(甲四九の1、五一、五二の1ないし4、五三、五五ないし六八、一七五の1)。 ② 住友生命の団体定期保険普通保険約款を見ると、新規契約時には、保険契約者又はその承継人は、被保険者の申出により又はその同意を得て保険金受取人を指定し、若しくは変更し、又は被保険者の同意及び保険会社の承諾を得て保険契約上の一切の権利義務を第三者に継承させることができるとされ、保険契約者が将来に向かって保険契約を解除するにも被保険者の同意を得るものとされ、保険契約者が将来に向かって保険契約の全部を解約する場合も、被保険者の同意を得ることとされ、被保険者の脱退についても、保険契約者は保険期間の途中又は保険契約の更新の際に任意に被保険者を被保険団体から脱退させることはできないものとされていた。(甲一七九の1ないし3)昭和五一年四月以降は、生命保険協会が定めた統一約款に従い、これと同旨の約款を定めている。(甲五〇、弁論の全趣旨)③ 被告が住友生命に差し入れた本件団体定期保険契約の契約申込書等を見ると、新規契約時の契約申込書には、保険金受取人を保険契約者とし、災害特約、災害保障特約等の特約は付加しないと記入されているほか、被保険者の同意確認欄も契約の趣旨欄もなかったところ、昭和五四年一〇月一日契約更新時に差し入れられた契約申込書には、被保険者の同意確認方法の欄が設けられ、「労働組合または従業員代表者に対する通告」が選択され、昭和五五 も契約の趣旨欄もなかったところ、昭和五四年一〇月一日契約更新時に差し入れられた契約申込書には、被保険者の同意確認方法の欄が設けられ、「労働組合または従業員代表者に対する通告」が選択され、昭和五五年、昭和五九年ないし平成四年(昭和五六年は、「掲示場の掲示」が選択され、昭和五七年及び昭和五八年は明らかでない。)の各契約更新時に差し入れられた変更請求書にも同様の記入がされ、平成四年一○月、同年一二月及び平成五年一二月の各契約変更に伴って差し入れられた変更請求書には、制度変更の趣旨欄があり、死亡退職金、弔慰金、労災上乗せ補償金の選択肢と標準者の平均金額の記入ができるようになっており、注記として、遺族年金・育英年金等についてはその年金原資を死亡退職金に加えて記入するよう記載されているものの、何の記入もされていなかった。(五一、五二の1ないし4、五五ないし六八)④ 被告が住友生命との間で取り交わした協定書等を見ると、新規契約時に作成された覚書では、被保険者について被告に所属する従業員全員(新規加入者は七〇歳まで、継続加入者は八〇歳まで)とすること、保険金受取人は保険契約者とすること、被保険者名簿は被告で保管する被保険者の明細をもって代えること、覚書以外の事項については約款の定めによること、本覚書は、特に意思表示のない限り自動的に更新することなどが記載されているのみで、契約の趣旨の確認条項はなく、平成三年一○月一日及び平成四年一二月一日の各契約更新時に作成された各覚書でも、被保険者の範囲が、被告のほか、子会社である日本アルミ及び日本アルミツルマルの各株式会社に所属する従業員全員(他社への出向者を含む。)に拡大されるなどの変更はあったものの、契約の趣旨の確認条項はなかった。(甲五四の1ないし4)しかしながら、亡P2らの死亡後である平成八年九月 式会社に所属する従業員全員(他社への出向者を含む。)に拡大されるなどの変更はあったものの、契約の趣旨の確認条項はなかった。(甲五四の1ないし4)しかしながら、亡P2らの死亡後である平成八年九月一日に作成された覚書では、被保険者の範囲を子会社である日本アルミを含む従業員全員(嘱託のほか、他社への出向者を含む。)で本件団体定期保険契約への加入に同意した者とした上、本件団体定期保険契約の契約締結の趣旨について、被告における福利厚生制度との関連において締結したものであり、被告はこの契約による保険金の全部又は一部を社内規定に則り支払う金額に充当するものであることが確認されている。(甲五四の5)⑤ 住友生命の団体定期保険契約についてのパンフレット類を見ると、昭和六二年八月及び平成二年四月に各登録されたチラシには、いずれも、団体定期保険は業務上・業務外を問わず二四時間保障するもので、高度化・多様化する福利厚生制度の充実のため、遺族補償制度として利用されており、企業の実際の導入理由としても「従業員の遺族の生活保障」、「企業の社会的責任」、「従業員に安心感を与える」、「補償資金の手当て」が大多数であることが記載されており、こうした制度の趣旨が明確にアピールされていた。(甲二六〇、二六一)⑥ 昭和五一年当時、住友生命は、被告の株式のうち、四・四八パーセントを所有する株主で、株式占有率は第四順位の大株主であり、長期借入金の融資元としても被告に運転資金を融資し、期末残高が五〇億三四〇〇万円に達し、融資額は、住友信託銀行、日本興行銀行に次いで第三位であったところ、こうした緊密な関係はその後もほぼ同様であったもので、平成五年当時、株式占有率は三・九六パーセントで第五順位、長期借入金の融資元としての期末残高は二億六四四〇万円で第七位となっている。(甲一九 ろ、こうした緊密な関係はその後もほぼ同様であったもので、平成五年当時、株式占有率は三・九六パーセントで第五順位、長期借入金の融資元としての期末残高は二億六四四〇万円で第七位となっている。(甲一九六の1ないし24)(7) 第一生命との関係① 昭和六〇年一二月一日に初めて団体定期保険契約に加入し、以後、毎年一二月一日に契約更新していたところ、新規契約時、被保険者は役員及び従業員全員、保険金額一七〇万円であったが、平成五年一二月一日の契約更新時には、保険金額二四〇万円、平成六年一二月一日の契約更新時には、保険金額二八〇万円に変更されていた。(甲四九の5、一○○の1ないし3、一〇二の1ないし4、一〇三の1ないし10、一〇四ないし一〇八の各1及び2、一〇九の1ないし3、一七五の5)② 第一生命では、団体定期保険普通保険約款について、昭和五一年四月以降、生命保険協会が定めた統一約款に従い、これと同旨の約款を定めていた(平成六年四月二日に改正されている。)。(甲九九の1)③ 被告が第一生命に差し入れた本件団体定期保険契約の契約申込書等を見ると、新規契約時の契約申込書には、契約申込の趣旨欄において、弔慰金制度、退職金制度、その他( )のうちから弔慰金制度と退職金制度の二つが選択され、同意確認欄においては、同意確認の方法として、「口頭による説明」が選択され、昭和六二年ないし平成元年の各契約更新時に差し入れた変更申込書では、いずれも同意確認の方法として、右同様の記載がされ、平成三年一二月一日契約更新時に差し入れた変更申込書では、同意確認の方法として、「労働組合または従業員代表者に対する通知」が選択され、平成四年ないし平成六年の各契約更新時に差し入れた変更申込書では、いずれも変更申込の趣旨として、弔慰金制度、死亡退職金制度、遺族育英年金制度、労災上乗 合または従業員代表者に対する通知」が選択され、平成四年ないし平成六年の各契約更新時に差し入れた変更申込書では、いずれも変更申込の趣旨として、弔慰金制度、死亡退職金制度、遺族育英年金制度、労災上乗せ補償金制度、その他のうちから、弔慰金制度のみが選択され、最低三〇〇万円、最高二七〇〇万円の金額が記入され、同意確認の方法として、「掲示場における掲示」が選択されていた。(甲一○○の1、一〇二の1ないし4、一〇九の1ないし3)④ 被告が第一生命との間で取り交わした協定書等を見ると、新規契約時に作成された覚書では、契約の趣旨として、被告における福利厚生制度に基づく給付に充当することを目的として締結したものであり、被告は本件団体定期保険契約における保険金等の全部又は一部を弔慰金制度・退職金制度規程に則り支払う金額に充当するものであることが確認されていた。(甲一○一の1)さらに、亡P2らの死亡後である平成八年九月一日に平成七年一二月一日契約更新に関して取り交わされた協定書では、契約の趣旨として、被告における福利厚生制度に基づく給付に充当することを目的として締結したものであり、被告は本件団体定期保険契約における保険金等の全部又は一部を弔慰金規程に則り支払う金額に充当するものであることが確認されている。(甲一〇一の2)⑤ 第一生命の団体定期保険契約についてのパンフレット類を見ると、平成二年四月登録のパンフレットでも、団体定期保険は、従業員の生活保障を整えるためのもの、企業の死亡退職金・弔慰金制度をサポートするものであることがアピールされ、企業の実際の導入理由としても「従業員の遺族の生活保障」、「企業の社会的責任」、「従業員に安心感を与える」、「補償資金の手当て」が大多数であることが記載されており、平成三年三月登録の「第一生命からのご提案福利厚生ガ 由としても「従業員の遺族の生活保障」、「企業の社会的責任」、「従業員に安心感を与える」、「補償資金の手当て」が大多数であることが記載されており、平成三年三月登録の「第一生命からのご提案福利厚生ガイド」と題するパンフレットでも、団体定期保険が他の制度とは異なり、遺族の生活保障を目的とするものであることが明確に記載されている。(甲二三、二五七)また、第一生命において平成四年一月から三月にかけて発せられた社内通達を見ると、団体定期保険に関して、最近過労死問題等を契機としてニーズに基づかない販売が行われているとの指摘がなされており、このような指摘の一部は会社として看過できない点を含んでいるとした上、よりニーズに基づく販売を行っていくために、従業員一〇〇名以上の最高保険金額を三〇〇〇万円に引き下げること、契約先に企業の弔慰金制度があることを販売の条件とし、弔慰金制度と契約内容との関係を申込書の捕足に記入すること、被保険者の同意の確認について口頭による同意は廃止し、原則として事業所内のポスター掲示とすることに平成四年二月分から取扱いを改めるとともに、法人担当者の研修会を行うこと、保険金支払時に遺族に保険金の全部又は一部が支払われた旨の確認を行う予定で見直しを行っていることが明らかにされ、平成五年一月四日には団体定期保険の新規契約及び制度変更(契約更新時のもの)に関する事務手続を定めた基準書(昭和五九年四月制定)を改正している。(甲四一一ないし四五、一六五)⑥ 第一生命は、昭和六〇年当時から平成六年当時まで、被告の大株主でもなく、長期借入金の融資元でもなかった。(甲一九六の1ないし24)(8) 協栄生命との関係① 平成二年一二月一日に初めて団体定期保険契約に加入し、以後、毎年一二月一日に契約更新していたところ、新規契約時、被保険者は従業員全 もなかった。(甲一九六の1ないし24)(8) 協栄生命との関係① 平成二年一二月一日に初めて団体定期保険契約に加入し、以後、毎年一二月一日に契約更新していたところ、新規契約時、被保険者は従業員全員(一八歳から六〇歳まで)、保険金額二五〇万円であったが、平成五年一二月一日の契約更新時には、右と同様であったものの、平成六年一二月一日の契約更新時には、被保険者は従業員全員(一八歳から五五歳まで)、保険金額三二〇万円に変更されていた。 (甲四九の4、九四の1ないし3、九五、九六の1ないし4、九七の1ないし5、一七五の4)② 協栄生命では、団体定期保険普通保険約款について、昭和五一年四月以降、生命保険協会が定めた統一約款に従い、これと同旨の約款を定めていた(平成六年四月二日に改正されている。)。(甲九三)③ 被告が協栄生命に差し入れた本件団体定期保険契約の契約申込書等を見ると、新規契約時の契約申込書には、契約申込の趣旨欄において、弔慰金制度、退職金制度、その他( )のうちから弔慰金制度のみが選択され、その他( )欄の注記として、同欄は「企業の経済的損失を補填する目的がある場合はその金額をご記入願います。」との記載があるものの、これへの記入はなく、同意確認欄においては、同意確認の方法として、「労働協約・就業規則または社内規定等に基づく」が選択され、平成六年一二月一日契約更新時に差し入れた変更申込書では、契約申込の趣旨として、弔慰金、死亡退職金、遺族・育英年金、労災上乗せ補償金、その他()のうちから、弔慰金のみが選択され、最高・最低とも三〇〇〇万円の金額が記入され、同意確認の方法として、「掲示場における掲示」が選択されていた。(甲九四の1、九五)④ 被告が協栄生命との間で取り交わした協定書等を見ると、新規契約時に作成された協定書では、契約の 額が記入され、同意確認の方法として、「掲示場における掲示」が選択されていた。(甲九四の1、九五)④ 被告が協栄生命との間で取り交わした協定書等を見ると、新規契約時に作成された協定書では、契約の趣旨として、被告における福利厚生制度との関連において締結したものであり、被告は本件団体定期保険契約における保険金の全部又は一部を弔慰金規定に則り支払う金額に充当するものであることが確認されていた。(甲九八)⑤ 協栄生命の団体定期保険契約についてのパンフレット類を見ると、昭和六〇年七月登録のチラシにおいても、この契約から支払われる保険金は従業員の家族に弔慰金・死亡退職金として支払われるものであることが図示されており、少ない経費で従業員に大きな安心を与えられることがアピールされており、他のチラシにおいても、福利厚生制度の充実のためのもので、企業の実施理由も、「従業員の定着率が高まる」、「人材確保に役立つ」、「企業の社会的責任である」などが多数であることが紹介されている。(甲二六二、二六三)⑥ 協栄生命は、平成二年当時から平成六年当時まで、被告の大株主でもなく、長期借入金の融資元でもなかった。(甲一九六の1ないし24)(9) 明治生命との関係① 平成三年一二月一日に初めて団体定期保険契約に加入し、以後、毎年一二月一日に契約更新していたところ、新規契約時、被保険者は従業員全員(一八歳から七五歳まででパートを除く。)、保険金額一○○万円であったが、平成五年一二月一日の契約更新時には、右と同様であったものの、平成六年一二月一日の契約更新時には、保険金額は同額であったものの、被保険者は従業員全員(五五歳以下でパートを除く。)に変更されていた。(甲四九の8、一三一の1ないし3、一三二の1ないし3、一七五の7)② 明治生命では、団体定期保険普通保険約款に であったものの、被保険者は従業員全員(五五歳以下でパートを除く。)に変更されていた。(甲四九の8、一三一の1ないし3、一三二の1ないし3、一七五の7)② 明治生命では、団体定期保険普通保険約款について、昭和五一年四月以降、生命保険協会が定めた統一約款に従い、これと同旨の約款を定めていた(平成六年四月二日に改正されている。)。(甲一二、一三四)③ 被告が明治生命に差し入れた本件団体定期保険契約の契約申込書等を見ると、新規契約時の契約申込書には、契約申込の趣旨欄において、弔慰金制度、退職金制度、その他( )のうちから弔慰金制度のみが選択され、同意確認欄においては、同意確認の方法として、「口頭による説明」が選択されていた。平成六年一二月一日契約更新時には、変更通知書とともに、「被保険者同意確認書」が差し入れられているところ、これには、同意確認の方法として、「文書による通知」が選択されていた。(甲一三一の1、一三二の1、3)④ 被告が明治生命との間で取り交わした協定書等を見ると、新規契約時に作成された協定書では、契約の趣旨として、被告における福利厚生制度との関連において締結したものであり、被告は本件団体定期保険契約における保険金、給付金の全部又は一部を弔慰金制度規程に則り支払う金額に充当するものであることが確認されていた。(甲一三三)⑤ 明治生命の平成四年二月発行の「団体定期保険販売マニュアル」と題する手引書を見ると、平成三年八月から同年一○月にかけて、団体定期保険について、保険金未請求事例があり、保険料の交際費課税等が問題視されたり、過労死問題とからみ、企業が受け取った保険金を遺族に渡していないことが問題視される報道があったことを踏まえ、企業では、福利厚生措置等を財政的に裏付けるために団体定期保険を導入しているが、保険金は、従業員が死 とからみ、企業が受け取った保険金を遺族に渡していないことが問題視される報道があったことを踏まえ、企業では、福利厚生措置等を財政的に裏付けるために団体定期保険を導入しているが、保険金は、従業員が死亡した場合の弔慰金等にとどまらず、企業が受ける経済的損失を補填する目的にも活用されているとの認識を示しつつも、団体定期保険が誤解を受けることのないよう適正な運営を図り、より有効に活用されるよう、弔慰金等制度の確認、保険金額の妥当性、保険金が遺族へ支払われることの確認等を行うものであるとし、最高保険金額のAグループ保険につき五〇〇〇万円から三〇〇〇万円に減額すること、企業の福利厚生制度に関する規程等を徴求して確認すること、被保険者の同意確認の裏付資料を徴求すること、遺族への支払保険金額の確認をすること、保険金請求の必要性についてアピールすることなどに取扱いを改め、平成四年二月一日から実施することとされ、そのための事務手続が詳細に解説されている。(甲二六)⑥ 明治生命は、昭和四九年に長期借入金の融資元として被告に設備資金を融資するようになり、その期末残高が、昭和五〇年四億四四〇〇万円に達し、その後も高水準で推移していたものの、昭和五四年には二億六三〇〇万円に減少し、昭和五七年には一億円を下回り(六九〇○万円)、昭和六〇年にはこれがなくなったもので、平成三年当時から平成六年当時まで、被告の大株主でなかったことはもちろんのこと、長期借入金の融資元でもなかった。(甲一九六の1ないし24)(二)(1) 被告は、昭和四八年一二月一日及び昭和四九年一月一日に日本生命ほか四社との間で団体定期保険契約を締結しているところ、被告は、これらの保険契約締結への被保険者の同意については、最初の時期は不明であるものの、訴外組合の執行部役員に対し、労働協約に基づく従業員へ 命ほか四社との間で団体定期保険契約を締結しているところ、被告は、これらの保険契約締結への被保険者の同意については、最初の時期は不明であるものの、訴外組合の執行部役員に対し、労働協約に基づく従業員への給付制度の財源対策として、従業員全員を被保険者とし被告を保険金受取人とする団体定期保険契約に加入するという程度の説明を、口頭で簡単にしたことにより、被保険者となる従業員全員の同意に代えていたものであったが、このような訴外組合の執行部役員に対する説明をもって従業員全員を被保険者として団体定期保険契約に加入するための被保険者の同意に代えるものであるとの説明などは訴外組合の執行部役員に対してもしていなかったものであり、また、本件各団体定期保険契約の契約関係書類はもとより、パンフレット等の説明資料を交付したようなことも全くなかった。 (甲四七、四八、二〇〇、二〇九、二一○、二二二、乙六、弁論の全趣旨)被告は、毎年度、本件各団体保険契約について、各保険会社ごとに、保険会社から支払われる配当金及び保険金の収入と保険料の支払による支出についての集計表を作成し、これをもとに、訴外組合の執行部役員に対し、保険収支を説明していたものの、各従業員に対しては、何ら周知の方法を講ずることはしなかった。(甲一六三の1ないし3、二一〇、二二二、乙六、弁論の全趣旨)訴外組合の執行部役員においても、本件各団体定期保険契約については、被告から説明されたとおり、労働協約に基づく従業員への給付制度の財源対策の一つであるという程度の認識しか有せず、また、従業員全員を被保険者とする本件各団体定期保険契約の締結について被保険者の同意が必要とされているとの認識も有していなかったため、組合員の総会ではもとより、執行委員会において議題としたこともなく、まして組合員に対し周知の方法を取った 体定期保険契約の締結について被保険者の同意が必要とされているとの認識も有していなかったため、組合員の総会ではもとより、執行委員会において議題としたこともなく、まして組合員に対し周知の方法を取ったことも全くなかったため、被告の従業員においては、訴外組合の執行部役員経験者を除けば、ほとんどの者は、本件各団体定期保険契約の存在さえ知らず、まして自分らが被保険者となっていることなど全く知らなかった。(甲二一〇、二二二、乙六、弁論の全趣旨)なお、被告では、団体定期保険契約の締結(契約更新を含む。)に関する事務は、保険金額の決定を除き、人事部労政課(後に課制は廃止されている。)が担当していたところ、本件各団体定期保険契約の締結の趣旨についてはもとより、訴外組合に対する説明事項についても書類が作成されていたことはなく、事務担当者の交替時の引継ぎの書面さえない有様であった。(甲一六三の1ないし3、証人P18)(2) 生命保険協会の昭和五三年九月申合せを経て、各保険会社においても、団体定期保険契約についての契約申込書等の様式を改訂し、昭和五四年には、日本生命、第百生命及び住友生命の、昭和五五年には、太陽生命及び日本団体生命の各契約申込書等に被保険者の同意確認欄が設けられるようになったが、両年の記載を見ると、同時期であるにもかかわらず、第百生命と住友生命のものには、「労働組合または従業員代表者に対する通告」に、日本生命と日本団体生命のものには「労働協約、就業規則又は社内規定に基づく」にそれぞれ記入がされ、太陽生命のものには何の記入もされていないところ、被告において、同意を得る方法を改めたことは全くなく、右契約申込書等の記載もいい加減とも言えるものであって、従業員に対しても従前同様何ら周知の方法を講ずることもしないままであった。なお、昭和五六年以降 において、同意を得る方法を改めたことは全くなく、右契約申込書等の記載もいい加減とも言えるものであって、従業員に対しても従前同様何ら周知の方法を講ずることもしないままであった。なお、昭和五六年以降のものを見ると、同意確認の方法として「口頭による説明」が選択されているものが多くなったものの(第百生命、日本団体生命、第一生命)、「労働協約、就業規則又は社内規定に基づく」が選択されているもの(日本生命)、「労働組合または従業員代表者に対する通告」が選択されているもの(昭和五七年以降の住友生命)、「掲示場の掲示」が選択されているもの(昭和五六年の住友生命)、何の記入もされていないもの(太陽生命)もあり、一貫性を有しないものであったところ、この間も同意を得る方法を改めたようなことはなかった。(甲二一○、乙六、弁論の全趣旨)また、太陽生命と日本団体生命の契約申込書等には、昭和五五年から、契約の趣旨の確認欄が設けられるようになり、被告においては、その趣旨として、弔慰金制度、退職金制度、その他( )のうちから、弔慰金制度を選択して記入しているところ、契約申込書等に右のような記入をしていることについても訴外組合に説明したようなことは格別なかった。(甲二一○、乙六、弁論の全趣旨)(3) 生命保険協会の平成三年九月及び同年一一月の各申合せに合わせて、各保険会社においては、団体定期保険契約の契約申込書等の様式を再び改訂し、平成三年には、日産生命の、平成四年には、日本生命及び住友生命の各契約申込書等に契約の趣旨の確認欄が設けられるようになったが、日産生命については弔慰金制度が選択されているのに対し、日本生命については、平成四年には死亡退職金と団体逸失利益、平成五年には死亡退職金のみ、平成六年には死亡退職金と労災上乗せ補償金が選択され、住友生命については、何 弔慰金制度が選択されているのに対し、日本生命については、平成四年には死亡退職金と団体逸失利益、平成五年には死亡退職金のみ、平成六年には死亡退職金と労災上乗せ補償金が選択され、住友生命については、何らの記入もされていなかった。また、第一生命では昭和六〇年の新規契約時、協栄生命では平成二年の新規契約時、明治生命では、平成三年の新規契約時既に契約申込書等に契約の趣旨の確認欄が設けられていたものであり、昭和六〇年の第一生命のものが、弔慰金制度と退職金制度が選択されているものの、他の二社については弔慰金制度のみが選択され、第一生命についても、平成四年以降、弔慰金制度のみが選択されている。さらに、第百生命のものについては、契約の趣旨欄が設けられていないものの、平成六年の契約更新時に被告から労災上乗せ補償金の財源に充当する趣旨である旨の書面を保険会社に差し入れている。 しかしながら、被告においては、後記のとおり、訴外P8の要求により、訴外組合を通じて本件各団体定期保険契約についての問い合わせを受けるまでは、これらの契約の趣旨について具体的に説明したことはなかった。(甲二一〇、二二二、乙六、弁論の全趣旨)(4) 被告の従業員であった訴外P8は、昭和四二年ころ被告に入社して以降、訴外組合青年部の活動をはじめ、同僚の訴外P9などとともに、職場新聞「住軽の仲間」を企画、編集、発行し、職場の労働条件の改善を求めて様々な取り組みを行い、昭和六〇年には労働問題の研究者と労働運動の活動家が共同研究を行う愛知労働問題研究会(昭和六二年には愛知労働問題研究所となる。)に参加し、労働者の健康問題にも関心を持つようになり、「愛知働くものの健康センター」の設立にも参画していたところ、平成四年一〇月ころ団体定期保険の制度を知り、平成五年一月になって平成四年版福利厚生事情と し、労働者の健康問題にも関心を持つようになり、「愛知働くものの健康センター」の設立にも参画していたところ、平成四年一〇月ころ団体定期保険の制度を知り、平成五年一月になって平成四年版福利厚生事情という雑誌から、被告においても従業員全員を被保険者とした団体定期保険契約に加入しており、自らも被保険者となっていることを初めて知り、同年二月に開催された訴外組合の職場集会において、訴外組合の執行部に対し、本件各団体定期保険契約の契約内容等について質問し、情報の開示を求めるとともに、被告が受領した従業員の死亡保険金を遺族に支払うよう求めるべきであると主張した。(甲二〇一、二一○、二二二ないし二二五、二三二、二三三、乙六)訴外組合の当時の書記長であった訴外P10は、訴外組合として訴外P8の質問に答えるだけの情報を有していなかったため、直ちに被告の人事室長に対し、本件各団体定期保険契約の詳細と契約の趣旨等について問い合わせをした。(甲二一○、乙六)被告は、訴外P10に対し、平成五年二月九日付けの回答書により、本件各団体定期保険契約の趣旨について回答するとともに(以下「平成五年二月回答」という。)、本件各保険会社ごとの保険金額を含め、説明を補充したところ、右回答書には、昭和四五年に訴外組合に説明した内容であるとして、保険契約の目的、保険金額(ただし、金額自体は別途説明するとされた。)、被保険者の範囲、保険金の受取りと使途、被保険者の同意について説明されているところ、保険契約の目的と被保険者の同意については次のように記載されていた。(甲二一〇、乙二、六)① 保険契約の目的従業員死亡の際の会社としての具体的な出費及び人的損失を担保するものであり、具体的には、次のとおりである。 ア遺族補償弔慰金供花料死亡退職金遺児福祉年金特別 ① 保険契約の目的従業員死亡の際の会社としての具体的な出費及び人的損失を担保するものであり、具体的には、次のとおりである。 ア遺族補償弔慰金供花料死亡退職金遺児福祉年金特別弔慰金(労災付加補償)イ従業員死亡に伴う経済的損失の補填従業員死亡に伴う逸失利益代替人材の採用・育成経費等ウその他当該死亡に関連する不慮の出費の補填等② 被保険者の同意従業員全員が被保険者となるため、事前に全員について個別に同意を得ることは事実上不可能であり、訴外組合に対しその趣旨を説明の上、一括同意を得ることとし、従業員死亡の際には、遺族に説明の上、了解を得て必要書類を提出して頂くこととする。 訴外P10は、平成五年二月一九日、訴外P8に対し、右回答を伝えるとともに、各保険会社ごとの保険金額の内訳のほか、本件各保険会社九社に加入している理由としては、被告に資金がなく、設備投資等でこれらの保険会社から借入をしている関係で付き合いで加入しているものであること、したがって、本件各団体定期保険契約は福利厚生制度でないことなどを説明した。(甲一九九ないし二〇三、二一○、二二二ないし二二四、乙六、弁論の全趣旨)(5) 訴外P8は、平成五年四月に発行した「住軽の仲間」において、本件各団体定期保険契約の存在等についての記事を掲載するとともに、団体定期保険の趣旨は本来遺族補償にあるとして、保険金は遺族に渡すのが当然であり、訴外組合に対し、本来の趣旨に沿った運用をするよう被告へ申入れをしてもらうよう働きかけをすることを訴え、平成六年七月には、訴外組合の役員選挙に立候補し、公約として、団体定期保険について保険の趣旨に沿った運用に改めることを訴えるなどしたことから、被告においても訴外P8らの要求を十分に知るところとなった。(甲二〇四、二二二 外組合の役員選挙に立候補し、公約として、団体定期保険について保険の趣旨に沿った運用に改めることを訴えるなどしたことから、被告においても訴外P8らの要求を十分に知るところとなった。(甲二〇四、二二二、二三二、二三三)訴外P8は、平成八年七月一○日、被告に対し、内容証明郵便により、本件各団体定期保険契約の趣旨・目的などについて質問状を送付したところ、被告は、同月二二日付けで内容証明郵便を送付し、質問の趣旨については、昨今の新聞報道等にも取り上げられていることから、認識しているとしながらも、訴外組合に説明済みであり、今後の取扱いについては、早急に検討の上、従業員に具体的に周知する意向であるとして、訴外P8の質問には直接回答はしなかった。(甲二〇五、二〇六)(6) 被告は、平成八年七月二二日付けで、従業員各位宛として、「団体定期保険に関する件」と題する文書を社内に掲示したところ、これには、本件各団体定期保険契約(Aグループ保険)は、原則として在籍する全従業員を対象に会社が保険料を支払い会社が保険金の受取人になるもので、従業員に不慮の事態が生じた場合の退職金・遺児福祉年金に、労災事故の場合は、特別弔慰金に充て、さらには、海外における事故等の場合の不測の出費に備えることを目的としたものであること、これらの契約は、各保険会社の安定性・信頼性等を勘案の上、当社と密接な関係にある有力会社と締結していること、会社としては、これらの保険により利益を得ることが主目的ではなく、従来の実績によっても保険収支は赤字になっていることを説明した上、加入期間を、入社日から原則として満五五歳(一二月一日現在)到達までとし、当該年度の制度内容については毎年一二月一日付けで訴外組合に説明するとの取扱いを明らかにし、承諾が得られない場合には、同年八月一九日までに被告の名古 則として満五五歳(一二月一日現在)到達までとし、当該年度の制度内容については毎年一二月一日付けで訴外組合に説明するとの取扱いを明らかにし、承諾が得られない場合には、同年八月一九日までに被告の名古屋人事室まで所定の用紙により届出をするよう要請した。(甲二〇七)なお、被告において、従業員各自に対し、本件各団体定期保険契約の存在を明らかにし、契約の趣旨などを説明したのは、これが初めてのことであった。(甲一六三の1ないし3、二二二、証人P18、弁論の全趣旨)(三)(1) 被告は、団体定期保険契約の趣旨が、本来、被保険者の遺族の生活保障の意味を持つものであるとの認識を当初からあまり有せず、また、本件各団体定期保険契約によって従業員が死亡した場合に保険会社から支払われる死亡保険金を従業員の福利厚生のために役立てようとする意識にも乏しかったため、本件各団体定期保険契約から支払われる配当金はもとより、従業員の死亡によって支払われる死亡保険金についても、これを遺族に対する給付に充てたことは全くなく、漫然と保険料の支払による支出に充当し、残った支出分を損金として計上して経理処理していたものであり、こうした姿勢は、本件訴訟の提起時まで変わることがなく、被告においては、本件各団体定期保険契約については被告と密接な関係を有する保険会社に対する付き合い程度のものと考えていたと推認されるところである。(甲一六三の1ないし3、証人P18、弁論の全趣旨)(2) 被告における本件各団体定期保険契約の収支を見ると、毎年度、本件各保険会社から支払われる配当金及び保険金の全額をその年度の保険料の支払に充当していたものの、収支は常に赤字であったもので、昭和五九年一○月から平成六年一一月までの間について言えば、毎年度、配当金と保険金によって保険料の七五パーセントから九〇パ その年度の保険料の支払に充当していたものの、収支は常に赤字であったもので、昭和五九年一○月から平成六年一一月までの間について言えば、毎年度、配当金と保険金によって保険料の七五パーセントから九〇パーセント程度を賄っており、平成五年一二月から平成六年一一月までの一年間では、保険料の支払総額七億〇四〇四万〇七二八円であるのに対し、配当金三億三七九九万五三五〇円、死亡保険金三億〇六〇〇万円(死亡者五名)で、差し引き、六〇〇四万五三七八円が被告の負担額となっていた。なお、被保険者数は、住友生命分は明らかでないものの、その余の保険会社の分は、いずれも、平成五年一二月一日契約更新時四一一六名、平成六年一二月一日契約更新時三六四二名であった。(甲七一の2、3、七二の2、3、八七、八八、九五、九六の3、4、一〇二の1、2、一〇三の3ないし6、一一四の1、2、一一五の1、2、一三〇の2、3、一三二の1、2、一三九の1、2、一四〇の1、2、乙一、五の1ないし10)(3) 被告の福利厚生制度を見ると、被告においては、訴外組合との間で労働協約が締結され、その付属協定として、退職金協定、退職年金協定、慶弔金協定の各給付規定が制定されており、また、被告の社員就業規則の福利厚生の章において、遺児福祉年金の規定が定められている。(甲三一、三二)これらの社内規定によると、亡P2らの死亡当時、従業員が業務外の事由で死亡した場合には、退職協定により、死亡時の基礎基本給及び勤続年数ごとに定められた基準乗率によって算出された金額から遺族年金又はこれに代わる遺族一時金を差し引いた金額の退職金が、退職年金協定により、遺族年金又はこれに代わる遺族一時金が、慶弔金協定により、供花料五万円及び供花一対がそれぞれ支給され、従業員が業務上の事由又は通勤災害で死亡した場合は、以上のもの 金額の退職金が、退職年金協定により、遺族年金又はこれに代わる遺族一時金が、慶弔金協定により、供花料五万円及び供花一対がそれぞれ支給され、従業員が業務上の事由又は通勤災害で死亡した場合は、以上のものに加え、法定外上乗せ補償として、特別弔慰金(亡P2らの死亡当時は上限二八〇〇万円であった。)が支給され、業務外の死亡でも管理上会社に責任があると認められる場合は、遺族補償金が支給されることになっており、また、いずれの場合も、社員就業規則により、所定の条件に該当する遺児に対し遺児福祉年金が支給されることになっていた。(甲三一、三二、乙一二ないし一四)これらのうち、退職金及び遺族年金(遺族一時金の場合も同じ)(これらを含めて通常「退職金」と言われていた。)については、その引き当てとして退職給与引当金を計上するとともに、信託銀行との間で適格退職年金基金の保険契約を締結し、掛金を積み立てており、亡P2らの死亡当時、退職金の支払原資は、退職給与引当金の取崩しと適格退職年金基金の積立分で十分に賄われていたものであって、亡P2らの退職金も、次のとおりこれらによって賄われた。(甲一六三の1ないし3、証人P18、弁論の全趣旨)① 亡P2関係で支払われた退職金(遺族一時金を含む)一〇九三万四〇〇〇円のうち、退職給与引当金の取崩しによる分は三五〇万六〇〇〇円で、適格退職年金基金からの給付分は七四二万八〇〇〇円であった。(乙一二)② 亡P4関係で支払われた退職金(遺族一時金を含む)一一九六万四〇〇〇円のうち、退職給与引当金の取崩しによる分は三八三万八〇〇〇円で、適格退職年金基金からの給付分は八一二万六〇〇〇円であった。(乙一三)③ 亡P5関係で支払われた退職金(遺族一時金を含む)七三六万八〇〇〇円のうち、退職給与引当金の取崩しによる分は二三二万四〇〇〇円で、適 年金基金からの給付分は八一二万六〇〇〇円であった。(乙一三)③ 亡P5関係で支払われた退職金(遺族一時金を含む)七三六万八〇〇〇円のうち、退職給与引当金の取崩しによる分は二三二万四〇〇〇円で、適格退職年金基金からの給付分は五〇四万四〇〇〇円であつた。(乙一四)(4) 本件各団体定期保険契約の保険金額の推移を見ると、昭和四八年一二月一七五万円であったところ、昭和五〇年一二月一一五四万円、昭和五一年一二月二六八〇万円、昭和五二年一二月から平成元年一二月までは二九六〇万円から四三六〇万円まで毎年変動、平成二年二月四八六〇万円、同年一二月五二六〇万円、平成三年一二月六一二〇万円、平成六年一二月六六八〇万円と高額化しているのに対し、特別弔慰金の上限額を見ると、昭和四八年一二月八〇〇万円であったところ、昭和五〇年一二月一一〇〇万円、昭和五一年一二月一二〇〇万円、昭和五二年一二月から平成元年一二月までは一二〇〇万円から二三〇〇万円まで緩やかに上昇、平成二年一二月二五〇〇万円、平成四年一二月二八〇〇万円と上昇はしているものの、昭和五〇年一二月に保険金額とほぼ同額になった以降は、保険金額の半額程度で推移していたものであり、退職金等の他の給付を勘案しても、社内規定による給付額に比し、保険金額はその給付額をかなり上回るものであった。(甲一九一ないし一九五、弁論の全趣旨)(5) 団体定期保険契約の保険料は、平均保険料率に死亡保険金総額を乗じて求めることとされ、保険期間の中途で被保険者が一名追加加入されることとなった場合などにおいては、その被保険者の年齢、性別に関わらず、平均保険料率にその被保険者の保険金額を乗じて算出される金額相当分を保険料として増加することになる。(甲四九の1ないし9、一七五の1ないし9)しかしながら、平均保険料率は、新規契約時又は わらず、平均保険料率にその被保険者の保険金額を乗じて算出される金額相当分を保険料として増加することになる。(甲四九の1ないし9、一七五の1ないし9)しかしながら、平均保険料率は、新規契約時又は契約更新時に、保険会社の定めた保険料率に基づいて被保険者ごとに計算して得られる保険料の合計額をその時の死亡保険金総額で除して求められるものであり、被保険者の一名が死亡して保険金が支払われた場合、その被保険者のために実質的に負担された保険料としては、その被保険者について「保険会社の定めた保険料率に基づいて被保険者ごとに計算して得られる保険料」の過去の総額が、これに該当すると考えるのが、より実体に合致するものである。(甲一〇、一二、一六、五〇、九二、九三、九九の1、一一○、一二五、一三四、一三五、一四三)被告において、本件各団体定期保険契約の加入当初から亡P2らの死亡に至るまでの間に、亡P2らのために支払った保険料総額を、「保険会社の定めた保険料率に基づいて被保険者ごとに計算して得られる保険料」の過去の総額によって算出すると、亡P2につき、二三九万五五九〇円、亡P4につき、一九二万〇九四八円、亡P5につき、二四八万九四〇〇円となる。(甲四九の1ないし9、一七五の1ないし9、弁論の全趣旨)なお、本件各団体定期保険契約についても、本件各保険会社から毎年度、配当金が被告に支払われており、その還元率は年度によっても異なるものの、平均すれば四割程度で推移しており、また、死亡保険金についてもこれを遺族に支払うことはなかったことから、これをも含めると、還元率は、七五パーセントから九〇パーセント程度に達しているものであり、残額についても損金処理により節税効果も上げていることから、被告において亡P2らのために実質的に負担した額は、右計算額よりはるかに少額の 七五パーセントから九〇パーセント程度に達しているものであり、残額についても損金処理により節税効果も上げていることから、被告において亡P2らのために実質的に負担した額は、右計算額よりはるかに少額のものとなる。(乙一、五の1ないし10) 2 右認定事実からすれば、次のとおり判断される。 (一) 被告の本件各団体定期保険契約への加入の動機について右認定事実を総合すれば、被告が本件各団体定期保険契約を締結した動機は、日本生命、太陽生命、第百生命、日産生命、日本団体生命及び住友生命との契約については、これらの保険会社から設備資金等の長期借入金の融資を受けるため、その付き合いとして締結したものであり、特に、住友生命及び日本生命の両社は、被告の大株主でもあり、多額の資金を借り入れるようになったため、それぞれ高額な保険金額の契約を締結したものであると推認されるのであり、さればこそ、本件各団体定期保険契約を従業員の福利厚生のために役立てることはもとより、他の用途も含め、およそ有効に活用しようとする意識に欠け、一方で、加入する契約を増加させ、保険金額を増額させながら、他方で、本件各保険会社から支払われる配当金はもとより、死亡保険金についても、漫然と、保険料の支払による支出に充当するのみで、全く活用しないまま、徒に契約更新を繰り返し、被保険者である従業員に対しても、訴外組合の執行部役員に福利厚生制度の財源対策の一つであるとの簡単な説明をなし、毎年度、保険収支を説明したのみで、保険契約の締結の趣旨については何ら具体的な説明をせず、各従業員に対しては周知の方法さえ全く講じようとしなかったもので、本件各団体定期保険契約の締結に関する事務を担当していた部署においても、事務担当者の交替時の引継ぎの書面さえ作成せず、訴外組合に対する説明事項についても平成五年二月に保 講じようとしなかったもので、本件各団体定期保険契約の締結に関する事務を担当していた部署においても、事務担当者の交替時の引継ぎの書面さえ作成せず、訴外組合に対する説明事項についても平成五年二月に保険の存在を知った一般組合員から追及を受けた訴外組合の要求により契約の趣旨について初めて回答するまで、保険収支の集計表以外には、何ら書類を作成していなかったことが認められるのであり、平成四年以降、本件各保険会社のうち第百生命以外の各社の契約申込書等に契約の趣旨の確認欄が設けられ、また、第百生命及び日本団体生命以外の各社と協定書等を取り交わし、団体定期保険契約の趣旨が従業員に対する福利厚生制度に基づく給付に充てることにあり、保険金の全部又は一部を社内規定に基づいて支払う給付に充当することを確約するようになってからも、何ら取扱いを改めなかったのも、右のような動機を裏付けるものである。 第一生命、協栄生命及び明治生命との契約については、長期借入金の融資を受けるための付き合いという動機は窺われないものの、被告が契約の趣旨として選択している特別弔慰金(被告においては業務上災害又は通勤災害による死亡の場合にのみ支給されるもので労災上乗せ補償の性質を有する。)の支給額との関連性も窺われず、本件各団体定期保険契約についての取扱いに何らの変化も見られないことからすれば、およそ有効活用を図る意識がなかったものであることは明らかというべきである。 (二) 亡P2らの死亡当時における本件各団体定期保険契約の契約の趣旨(付保目的)についての被告と本件各保険会社との間の合意についてしかしながら、被告の動機が右のようなものであったとしても、遅くとも、平成四年三月以降は、被告においても、団体定期保険契約の主たる目的が企業の従業員に対する福利厚生制度に基づく給付に充てるこ いてしかしながら、被告の動機が右のようなものであったとしても、遅くとも、平成四年三月以降は、被告においても、団体定期保険契約の主たる目的が企業の従業員に対する福利厚生制度に基づく給付に充てることにあり、保険契約者においては、この目的に従って、保険金の全部又は一部を社内規定に基づいて支払う金額に充当すべきものであり、各保険会社に対して右の趣旨で保険を利用することを確約して契約の申込をしなければならないことを十分に認識するに至っていたものであり、実際にも、本件各保険会社との間で次のような確認をしていたことが認められるというべきである。 (1) 日本生命関係① 平成五年一二月一日契約更新時に差し入れた契約申込書等においては、増額申込の趣旨として、死亡退職金(最高金額七五五万円)のみを選択していることからすれば、同年度においては、保険金一二七〇万円のうち、七五五万円分については、死亡退職金に充当することを主たる付保目的として確約したものであるところ、その余の分については、具体的な使途が特定されていなかったものと認めるのが相当である。 ② 平成六年一二月一日契約更新時に差し入れた契約申込書等においては、増額申込の趣旨として、死亡退職金(最高金額七五五万円)と労災上乗せ補償金(二九〇〇万円)を選択していることからすれば、同年度において、保険金一七〇〇万円のうち、七五五万円分については、死亡退職金に充当することを主たる目的とし、その余の分については、特別弔慰金に充当することを主たる付保目的として確約したものであるところ、業務外の死亡の場合には、特別弔慰金への充当を保険金の使途とすることができず、この場合には、その分については具体的な使途が特定されていないことになるものというべきである。 (2) 太陽生命関係昭和五五年一二月一日契約更新時に 慰金への充当を保険金の使途とすることができず、この場合には、その分については具体的な使途が特定されていないことになるものというべきである。 (2) 太陽生命関係昭和五五年一二月一日契約更新時に差し入れた契約申込書等においては、契約の趣旨として、弔慰金制度が選択されたものの、それ以降は、趣旨についての記載がなく、平成八年九月一日に取り交わした協定書等においても、昭和四八年一二月一日に契約した本件団体定期保険契約の契約の趣旨について、被告における福利厚生制度との関連において締結したものであり、被告はこの契約による保険金の全部又は一部を社内規定に則り支払う金額に充当することを確認していることからすれば、亡P2らの死亡当時、保険金二〇〇万円については、福利厚生制度に基づく給付に充当することを主たる付保目的として確約したものというべきところ、具体的な使途は特定されていなかったものと認めるのが相当である。 (3) 第百生命関係平成六年一二月一日契約更新時に差し入れた「団体定期保険契約の制度変更について」と題する書面において、制度を従前とは変更し、本件団体定期保険契約により被告が受領する保険金の全部又は一部は被告の社内規定に基づいて支払われる労災上乗せ補償金(被告では癖別弔慰金に該当する。)の財源に充当するものであることが確認されており、これが慶弔金協定別表などとともに提出されていること、遅くとも平成四年三月以降は、第百生命との関係においても契約の趣旨を確約するようになったものと推認されることなどからすれば、① 平成五年一二月一日契約更新時においては、保険金の全部又は一部を被告の福利厚生制度に基づく特別弔慰金以外の給付の財源に充当することを主たる付保目的として確約したものであるが、具体的使途までは特定されていたとは認めるに足りず、② 平成 、保険金の全部又は一部を被告の福利厚生制度に基づく特別弔慰金以外の給付の財源に充当することを主たる付保目的として確約したものであるが、具体的使途までは特定されていたとは認めるに足りず、② 平成六年一二月一日契約更新時においては、特別弔慰金に充当することを主たる付保目的として確約し、業務外の死亡の場合については、具体的な使途は特定されていなかった、と認めるのが相当である。 (4) 日産生命関係平成三年一二月一日契約更新時に差し入れた契約申込書等においては、契約の趣旨として、弔慰金制度が選択されたものの、それ以降は、趣旨についての記載がなかったことからすると、亡P2らの死亡当時、保険金については、被告における福利厚生制度に基づく給付に充当することを主たる付保目的として確約していたものの、具体的な使途は特定されていなかったものと認めるのが相当である。 (5) 日本団体生命関係昭和五五年ないし昭和六〇年並びに昭和六三年及び平成元年の各一二月一日契約更新時に差し入れた契約申込書等において、契約の趣旨として、弔慰金制度が選択されており、亡P2らの死亡当時にも同様であったと推認されることからすれば、亡P2らの死亡当時、保険金については、特別弔慰金に充当することを主たる付保目的として確約し、業務外の死亡の場合については、具体的な使途は特定されていなかったものと推認するのが相当である。 (6) 住友生命関係平成四年一〇月一日、同年一二月一日及び平成五年一二月一日の各契約変更に伴って差し入れた契約申込書等においては、契約の趣旨の確認欄には、格別の記入はなく、平成八年九月一日に取り交わした覚書では、契約の趣旨として、被告における福利厚生制度との関連において締結したものであり、保険金の全部又は一部を社内規定に則り支払う金額に充当することが確認さ はなく、平成八年九月一日に取り交わした覚書では、契約の趣旨として、被告における福利厚生制度との関連において締結したものであり、保険金の全部又は一部を社内規定に則り支払う金額に充当することが確認されており、亡P2らの死亡当時もこれらの時と別異に解すべき事情は窺われないことからすれば、亡P2らの死亡当時、保険金については、被告における福利厚生制度に基づく給付に充当することを主たる付保目的として確約したものというべきところ、具体的な使途は特定されていなかったものと認めるのが相当である。 (7) 第一生命関係昭和六〇年一二月一日新規契約時に差し入れた契約申込書等においては、契約の趣旨として、弔慰金制度と退職金制度の二つを選択し、同一時期に取り交わした協定書でも、契約の趣旨として、被告における福利厚生制度に基づく給付に充当することを目的として締結したものであり、保険金の全部又は一部を弔慰金制度・退職金制度規程に則り支払う金額に充当することが確認されていたものの、平成五年一二月一日及び平成六年一二月-日の各契約更新時に差し入れた契約申込書等においては、契約の趣旨として、弔慰金制度のみが選択されていることからすれば、亡P2らの死亡当時、保険金については、特別弔慰金に充当することを主たる付保目的として確約し、業務外の死亡の場合については、具体的な使途は特定されていなかったものと推認するのが相当である。 (8) 協栄生命関係平成二年一二月一日新規契約時及び平成六年一二月一日契約更新時にそれぞれ差し入れた契約申込書等においては、契約の趣旨として、弔慰金制度のみを選択し、右新規契約時に取り交わした協定書でも、契約の趣旨として、被告における福利厚生制度との関連において締結したものであり、保険金の全部又は一部を弔慰金規定に則り支払う金額に充当すること 度のみを選択し、右新規契約時に取り交わした協定書でも、契約の趣旨として、被告における福利厚生制度との関連において締結したものであり、保険金の全部又は一部を弔慰金規定に則り支払う金額に充当することが確認されていたことからすると、亡P2らの死亡当時、保険金については、特別弔慰金に充当することを主たる付保目的として確約し、業務外の死亡の場合については、具体的な使途は特定されていなかったものと推認するのが相当である。 (9) 明治生命関係平成三年一二月一日新規契約時に差し入れた契約申込書等においては、契約の趣旨として、弔慰金制度のみを選択し、右新規契約時に取り交わした協定書でも、契約の趣旨として、被告における福利厚生制度との関連において締結したものであり、保険金の全部又は一部を弔慰金規定に則り支払う金額に充当することが確認されていたことからすると、亡P2らの死亡当時、保険金については、特別弔慰金に充当することを主たる付保目的として確約し、業務外の死亡の場合については、具体的な使途は特定されていなかったものと推認するのが相当である。 (三) 本件各団体定期保険契約の締結についての被保険者の同意について被告は、本件各団体定期保険契約の締結について、亡P2ら従業員全員が組合員となっていた訴外組合の執行部役員に対し、労働協約に基づく従業員への給付制度の財源対策として、従業員全員を被保険者とし被告を保険金受取人とする団体定期保険契約に加入するという程度の説明を簡単にしたことにより、被保険者となる従業員全員の同意に代えていたもので、毎年度、本件各団体定期保険契約について、各保険会社ごとに保険会社から支払われる配当金及び保険金の収入と保険料の支払による支出についての集計表を作成し、これをもとに、訴外組合の執行部役員に対し保険収支の説明をしていたこと 契約について、各保険会社ごとに保険会社から支払われる配当金及び保険金の収入と保険料の支払による支出についての集計表を作成し、これをもとに、訴外組合の執行部役員に対し保険収支の説明をしていたことが認められるところ、かかる事実は、商法六七四条一項本文の被保険者の同意として有効と認められる。 しかしながら、右のような事実からすれば、被告と訴外組合との間で本件各団体定期保険契約の保険金の使途について、これを具体的に定めることにより、被告と保険会社との間の契約の趣旨(付保目的)についての合意を補充し、あるいは、その合意を変更するような合意があったものとは、本件全証拠によっても認めるに足りないというべきである。 被告は、訴外組合の執行部から得た本件各団体定期保険契約の締結についての同意は、保険契約者である被告が保険金の受取人になることを前提とし、かつ、保険金は従業員全員のための福利厚生制度の財源となるもので、労働協約に基づいて定められた社内規定による給付の支払を担保するためのものであることを十分に理解した上でなされており、その保険金を社内規定の範囲を超えて被保険者又はその遺族に支払うことを約束したようなことはなく、労働協約による定め以外に、個々の従業員又はその遺族に保険金が支払われるという認識は、被告はもとより、訴外組合にもなかった旨主張するけれども、訴外組合の執行部役員においては、被告から、本件各団体定期保険契約について、右に認定した程度の簡単な説明を一方的に受けたのみで、保険金の使途について合意によって何らかの取決めをしたという意識があったとは、にわかに考え難い上、パンフレット類はおろか、契約申込書等も保険会社との間で取り交わした協定書等も見せられたことはなかったことが窺われ、まして、契約申込書等で確認されているに契約の趣旨についての説 、にわかに考え難い上、パンフレット類はおろか、契約申込書等も保険会社との間で取り交わした協定書等も見せられたことはなかったことが窺われ、まして、契約申込書等で確認されているに契約の趣旨についての説明も受けたことがなかったことからすれば、被告と訴外組合の執行部役員との間で被告が主張するような共通の認識があったとし、これをもって保険金の使途について法的に意味のある合意があったとは、いまだ認めるに足りないものというべきである。仮に、被告の主張のように、被告と訴外組合との執行部との間で、本件各団体定期保険契約による保険金の使途について、団体定期保険契約の主たる目的である遺族の生活保障に保険金の主要部分を充てることを否定するような合意があったすれば、少なくとも、平成四年三月以降にあっては、社会的相当性を逸脱するものであって、公序良俗に違反し、無効というべきである。被告は、従業員全員のための福利厚生制度の財源とすることは、団体定期保険契約の目的に適うものである旨主張するが、死亡保険金を専ら他人である他の従業員らの利益に用いることは、被保険者の死亡により他人である他の従業員らが不労の利得を得るに等しく、何より被保険者の遺族に保険による恩典が何ら与えられない結果となるものであり、団体定期保険契約の意義を失わしめるものである。 さらに、被告は、訴外組合に対し、平成五年二月回答(乙二)をもって、本件各団体定期保険契約の目的を、遺族補償、従業員の死亡に伴う企業としての経済的損失への補填、その他に分け、細かく項目を明らかにしており、訴外組合の執行部においても右回答に格別異議を述べていないことが認められるけれども、被告の右回答の内容は、団体定期保険契約の目的として、およそ考えうる全ての内容を企業の立場から網羅的に列挙したものにすぎず、内容的にも被告における 答に格別異議を述べていないことが認められるけれども、被告の右回答の内容は、団体定期保険契約の目的として、およそ考えうる全ての内容を企業の立場から網羅的に列挙したものにすぎず、内容的にも被告における福利厚生制度とは一致していない(右回答には、特別弔慰金以外に、弔慰金も掲げられているところ、かかる給付制度は被告には存在しない。)上、右回答の前後で作成されている契約申込書等の契約の趣旨の記載とも全く異なることからすれば、事後的に説明のために被告において一方的に作成したものにすぎず、本件各団体定期保険契約について、予め合意されていた付保目的であったとは、およそ認めるに足りないものというべきである。 (四) 亡P2らの死亡保険金と亡P2らの遺族である原告らの給付について平成五年一二月一日契約更新によって本件各団体定期保険契約の保険金は六一二〇万円になっており、これから亡P2らのために支払われた保険料総額を差し引くと、その残額は、亡P2につき、五八八〇万四四一〇円、亡P4につき、五九二七万九〇五二円、亡P5につき、五八七一万〇六〇〇円となるところ、実際に、被告の社内規定により、亡P2らの相続人である原告らに支払われた給付額の合計は、亡P2関係につき、一一六四万円、亡P4関係につき、一二八八万五〇〇〇円、亡P5関係につき、八八八万三〇〇〇円であった。 しかして、右の金額を対比すれば、原告らには、亡P2らの死亡保険金に比し、四分の一に満たない金額しか給付されていないものであり、死亡保険金の大部分は被告がなお保有しているものである。 三保険金の全部又は相当部分の支払の合意の存否について本件各団体定期保険契約については、いずれも、保険会社と保険契約者である被告との間で、前記のとおり、契約の趣旨(付保目的)についての各合意が成立しているところ、これ 部分の支払の合意の存否について本件各団体定期保険契約については、いずれも、保険会社と保険契約者である被告との間で、前記のとおり、契約の趣旨(付保目的)についての各合意が成立しているところ、これらの合意は、被保険者の死亡保険金の全部又は一部[保険金額が従業員の死亡の場合に福利厚生制度に基づいて支払われる給付額として社内的に相当な金額の範囲内のものであれば、原則としてその全部を、保険金額が右給付額として社会的に相当な金額を超えて多額に及ぶ場合には、保険金額の少なくとも二分の一に相当する金額(ただし、右給付額として社会的に相当な金額が右二分の一に相当する金額を上回る場合には、社会的に相当な金額が基準になるというべきである。)]を被保険者の遺族に対して福利厚生制度に基づく給付に充当することを内容とするものであり、既存の社内規定に基づく給付額が右保険金によって充当すべき金額と一致するか、又はこれを上回るときは、既存の社内規定に基づく給付額で足りるが、逆に、これを下回るときは、その差額分を保険金から支払うことを意味内容として含むものであり、被保険者の遺族において、右合意の利益を享受する意思を表示したときには、保険契約者に対し、右合意に基づいて給付を請求する権利を取得するものである。 しかして、原告らは、本件訴訟を提起したことにより、亡P2らの相続人として右合意の利益を享受する意思を表示していることは明らかである。 なお、原告らは、保険金の全部又は相当部分の支払の合意について、第一次的には、保険契約者である被告と被保険者である従業員らとの間の合意として主張しているものであるが、要件事実としては、保険会社と保険契約者である被告との間で契約の趣旨(付保目的)についての確認がなされていることを前提とし、被保険者がこれに同意することによって、被保険者 主張しているものであるが、要件事実としては、保険会社と保険契約者である被告との間で契約の趣旨(付保目的)についての確認がなされていることを前提とし、被保険者がこれに同意することによって、被保険者の遺族が保険契約者に保険金の全部又は相当部分の支払を請求する権利を取得する合意が成立することを主張しているものであって、右認定事実とは、要件事実としての同一性の範囲内のものと認めるのが相当である。 四被告が亡P2らの相続人である原告らに対して支払うべき金額について前記判示のとおり、本件各団体定期保険契約の保険金六一二〇万円から共益費用である亡P2らのために支払われた保険料総額を差し引いた残額の二分の一に相当する金額、又は、遺族補償として社会的にも相当な金額のうち、より多額の方が、亡P2らの相続人である原告らに遺族補償として支払われるべき金額となるところ、二分の一に相当する金額は、亡P2につき、二九四〇万二二〇五円、亡P4につき、二九六三万九五二六円、亡P5につき、二九三五万五三〇〇円となるが、他方、遺族補償として社会的にも相当な金額としては、本件に現われた一切の事情(配当金による還元があったことに加え、後述のとおり、既に原告らに支払われた給付の全額に保険金の充当が認められるものであり、かつ、その給付は、ほとんどが退職金であり、在職中の不慮の死亡に対する付加給付としては、葬祭料のほ、わずかに慶弔金五万円と原告P7につき遺児福祉年金七五万円が支給されているのみで弔慰金の支給は全くないことなどの事情を含む。)を総合考慮すれば、亡P2らにつき、それぞれ三〇〇〇万円を下回るものではないと認めるのが相当であり、結局、原告らに遺族補償として支払われるべき金額は、それぞれ三〇〇〇万円をもって相当と認める。 しかして、前記認定にかかる被告と本件各保険会社 〇〇〇万円を下回るものではないと認めるのが相当であり、結局、原告らに遺族補償として支払われるべき金額は、それぞれ三〇〇〇万円をもって相当と認める。 しかして、前記認定にかかる被告と本件各保険会社との本件各団体定期保険契約についての契約の趣旨(付保目的)についての合意の内容に照らせば、被告の社内規定に基づいて亡P2らの相続人である原告らに支払われた給付分にも死亡保険金による充当が認められるものと解されるから、これを既払分として控除すると、未払額は、亡P2関係につき、一八三五万一〇〇〇円、亡P4関係につき、一七一一万五〇〇〇円、亡P5関係につき、二一一一万七〇〇〇円となる。 なお、右の結果により、被告は、亡P2らの各死亡保険金のうち、それぞれ三〇〇〇万円近くを取得することになるところ、被告においては、三〇〇〇名を超える従業員全員を被保険者として本件各団体定期保険契約に加入し、これを継続することにより、毎年度多額の保険料を負担して、恒常的に相当の持ち出しをしているものであり、右のように従業員の死亡保険金のうち、半分近くを取得したとしても、何ら利得を得るものではないことからすれば、福利厚生措置としての本件各団体定期保険契約の継続の費用に充当するためのものとして、その取得を認めることに不都合はないというべきである。 五原告らのその余の主張について 1 本件各団体定期保険契約における保険金受取人指定部分の無効の主張について原告らは、本件各団体定期保険契約において被告を保険金受取人と指定した部分は公序良俗に違反するもので無効である旨主張するけれども、団体定期保険契約において保険金の受取人を保険契約者である企業とすることは通常よく行われていることであり、保険会社との関係で保険契約者が自ら保険金の受取人になったとしても、それだけで、団体定期保険 体定期保険契約において保険金の受取人を保険契約者である企業とすることは通常よく行われていることであり、保険会社との関係で保険契約者が自ら保険金の受取人になったとしても、それだけで、団体定期保険契約を公序良俗に違反する目的で利用したことになるものではないというべきであり、主張自体失当である。 2 信義則上の支払義務の主張について原告らは、労働契約に付随する信義則上の義務として、特段の事情がない限り、保険契約者である使用者は、団体定期保険によって支払を受けた保険金を被保険者である従業員又はその遺族に支払うべき義務を負う旨主張するけれども、信義則のみを根拠にして、かかる支払義務を使用者が負うと解することはできないというべきであり、これについても主張自体失当である。 六結論以上の事実によれば、原告らの本訴各請求は、それぞれ主文認容の限度で理由があるからこれを認容し、その余は失当であるからこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第一部裁判官田近年則
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