令和8年1月21日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和6年(ワ)第70478号特許権侵害に基づく損害賠償請求事件口頭弁論終結日令和7年10月7日判決 原告ビーサイズ株式会社 同訴訟代理人弁護士大野聖二小林英了同訴訟復代理人弁護士山本飛翔 同訴訟代理人弁理士松野知紘 被告株式会社MIXI 同訴訟代理人弁護士 𠮷田和彦 高石秀樹外村玲子同訴訟復代理人弁護士西田弘之 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告は、原告に対し、1億円及びこれに対する令和6年10月25日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の概要本件は、発明の名称を「モニタリングシステム、モニタリング方法、およびプログラム」とする特許(特許第7553163号。以下「本件特許」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)を有する原告が、被告に対し、被告が、「みてねみまもりGPS」という見守りサービス(以下「被告サ ービス」という。)を提供するに当たり、①別紙被告サーバ目録記載のサーバ(以下「被告サーバ」という。)の製造及び使用、②別紙被告ユーザ端末プログラム目録記載のプログラム(以下「被告ユーザ端末プログラム」という。)の作成、譲渡及び譲渡の申出、③別紙被告製品目録記載の製品(以下「被告製品」という。)の製造、販売 用、②別紙被告ユーザ端末プログラム目録記載のプログラム(以下「被告ユーザ端末プログラム」という。)の作成、譲渡及び譲渡の申出、③別紙被告製品目録記載の製品(以下「被告製品」という。)の製造、販売及び販売の申出を行ったことにより、本件特許権 が侵害されたとして、民法709条に基づく損害賠償金1億円(損害期間は令和6年9月9日から同年10月15日まで(以下「本件侵害期間」という。))及びこれに対する不法行為以後の日(訴状送達の日の翌日)である同月25日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いがないか、後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実。以下、枝番号のある証拠について枝番号を記載しない場合は、全ての枝番号を含む。)⑴ 当事者ア原告は、家電製品の企画、設計、製造、販売等を業とする株式会社であ る。 イ被告は、ライフスタイルサービス、デジタルエンターテインメントサービスの提供等を業とする株式会社である。 ⑵ 本件特許権本件特許権は、令和6年1月30日を出願日(特願2024-11895。 (特願2023-184289の分割出願。原出願日/平成31年4月1日。 以下「本件原出願日」という。))、令和6年9月9日を登録日とする特許権であり、原告は、本件特許権を有する。(甲1、2)⑶ 特許請求の範囲の記載本件特許の請求項1、請求項4、請求項8、請求項11及び請求項15に係る特許請求の範囲の記載は、以下のとおりである(以下、請求項1を引用 する請求項4記載の発明を「本件発明1」、請求項8を引用する請求項11記載の発明を「本件発明2」、請求項15記載の発明を「本件発明3」といい、これらを「本件各 おりである(以下、請求項1を引用 する請求項4記載の発明を「本件発明1」、請求項8を引用する請求項11記載の発明を「本件発明2」、請求項15記載の発明を「本件発明3」といい、これらを「本件各発明」と総称する。また、本件特許に係る明細書及び図面(甲2)を「本件明細書」という。)(なお、本件発明1は当事者の準備書面における「本件発明5」、本件発明2は「本件発明6」、本件発明3は 「本件発明4」にそれぞれ対応する。)。 【請求項1】見守り者用端末のユーザにより設定されたインターバル情報を前記見守り者用端末から受信し、被見守り者用端末に送信する第1手段と、前記インターバル情報に応じたインターバルで前記被見守り者用端末から送 信される、前記被見守り者用端末の位置情報を受信する第2手段と、前記被見守り者用端末からの位置情報に基づいて、行動範囲を決定する第3手段と、前記被見守り者用端末からの位置情報と、前記行動範囲と、の位置関係に基づく通知を前記見守り者用端末に送信する第4手段と、を備えるモニタリングシステム。 【請求項4】前記第2手段は、前記インターバル情報に応じたインターバルで前記被見守り者用端末から送信される、前記被見守り者用端末のバッテリの残量を示す情報を受信し、前記第4手段は、前記残量に関する情報を前記見守り者用端末に送信する、請求項1乃至3のいずれかに記載のモニタ リングシステム。 【請求項8】モニタリングシステムと通信可能な見守り者用端末を、前記見守り者用端末のユーザにより設定されたインターバル情報を前記モニタリングシステムに送信する第1手段であって、前記インターバル情報は、前記モニタリングシステムから被見守り者用端末に送信され、前記インターバ ル情報に応じたインターバル ンターバル情報を前記モニタリングシステムに送信する第1手段であって、前記インターバル情報は、前記モニタリングシステムから被見守り者用端末に送信され、前記インターバ ル情報に応じたインターバルで、前記被見守り者用端末の位置情報が前記被見守り者用端末から前記モニタリングシステムに送信され、前記モニタリングシステムによって、前記被見守り者用端末からの位置情報に基づいく行動範囲が決定される、第1手段、前記モニタリングシステムから、前記被見守り者用端末からの位置情報と、前記行動範囲と、の位 置関係に基づく通知を受信する第2手段、として機能させるプログラム。 【請求項11】前記インターバル情報に応じたインターバルで、前記被見守り者用端末のバッテリの残量を示す情報が前記被見守り者用端末から前記モニタリングシステムに送信され、前記第2手段は、前記モニタリングシステム から、前記残量に関する情報を受信する、請求項8乃至10のいずれかに記載のプログラム。 【請求項15】正面から見ると概略正方形の角を丸めた形状の被見守り者用端末であって、充電可能なバッテリと、当該被見守り者用端末の位置を取得する位 置取得手段と、当該被見守り者用端末の加速度を検出する加速度センサと、見守り者用端末のユーザによって設定されたインターバル情報に応じたインターバルで、前記被見守り者用端末の位置情報および前記バッテリの残量を示す情報をモニタリングシステムへ送信する通信手段と、を備え、前記位置情報は、前記モニタリングシステムによって、前記被 見守り者用端末の行動範囲を決定するために用いられ、前記加速度セン サによって所定値以上の加速度が検出されない場合、前記位置取得手段は当該被見守り者用端末の位置を取得しない、または、前記通信手段は 用端末の行動範囲を決定するために用いられ、前記加速度セン サによって所定値以上の加速度が検出されない場合、前記位置取得手段は当該被見守り者用端末の位置を取得しない、または、前記通信手段は前記位置情報を送信しない、被見守り者用端末。 ⑷ 構成要件の分説本件各発明は、以下のとおり分説することができる(以下、分説に従い、 「構成要件1A」などという。)。 ア本件発明11A 見守り者用端末のユーザにより設定されたインターバル情報を前記見守り者用端末から受信し、被見守り者用端末に送信する第1手段と、 1B 前記インターバル情報に応じたインターバルで前記被見守り者用端末から送信される、前記被見守り者用端末の位置情報を受信する第2手段と、1C 前記被見守り者用端末からの位置情報に基づいて、行動範囲を決定する第3手段と、 1D 前記被見守り者用端末からの位置情報と、前記行動範囲と、の位置関係に基づく通知を前記見守り者用端末に送信する第4手段と、を備え、1E 前記第2手段は、前記インターバル情報に応じたインターバルで前記被見守り者用端末から送信される、前記被見守り者用端末のバッ テリの残量を示す情報を受信し、1F 前記第4手段は、前記残量に関する情報を前記見守り者用端末に送信する、1G モニタリングシステム。 イ本件発明2 2A モニタリングシステムと通信可能な見守り者用端末を、前記見守 り者用端末のユーザにより設定されたインターバル情報を前記モニタリングシステムに送信する第1手段であって、2B 前記インターバル情報は、前記モニタリングシステムから被見守り者用端末に送信され、2C 前記インターバル情報に応じたインターバルで、前記被見守り者 用端末の 信する第1手段であって、2B 前記インターバル情報は、前記モニタリングシステムから被見守り者用端末に送信され、2C 前記インターバル情報に応じたインターバルで、前記被見守り者 用端末の位置情報が前記被見守り者用端末から前記モニタリングシステムに送信され、2D 前記モニタリングシステムによって、前記被見守り者用端末からの位置情報に基づいく行動範囲が決定される、第1手段、2E 前記モニタリングシステムから、前記被見守り者用端末からの位 置情報と、前記行動範囲と、の位置関係に基づく通知を受信する第2手段、として機能させ、2F 前記インターバル情報に応じたインターバルで、前記被見守り者用端末のバッテリの残量を示す情報が前記被見守り者用端末から前記モニタリングシステムに送信され、 2G 前記第2手段は、前記モニタリングシステムから、前記残量に関する情報を受信する、2H プログラム。 ウ本件発明33A 正面から見ると概略正方形の角を丸めた形状の被見守り者用端末 であって、3B 充電可能なバッテリと、3C 当該被見守り者用端末の位置を取得する位置取得手段と、3D 当該被見守り者用端末の加速度を検出する加速度センサと、3E 見守り者用端末のユーザによって設定されたインターバル情報に 応じたインターバルで、前記被見守り者用端末の位置情報および前記 バッテリの残量を示す情報をモニタリングシステムへ送信する通信手段と、を備え、3F 前記位置情報は、前記モニタリングシステムによって、前記被見守り者用端末の行動範囲を決定するために用いられ、3G 前記加速度センサによって所定値以上の加速度が検出されない場 合、前記位置取得手段は当該被見守り者用端末の位置を取得しない、ま 前記被見守り者用端末の行動範囲を決定するために用いられ、3G 前記加速度センサによって所定値以上の加速度が検出されない場 合、前記位置取得手段は当該被見守り者用端末の位置を取得しない、または、前記通信手段は前記位置情報を送信しない、被見守り者用端末。 ⑸ 被告の行為被告は、本件侵害期間中に、被告サービスを提供するに当たり、被告サー バの製造及び使用、被告ユーザ端末プログラムの作成、譲渡及び譲渡の申出並びに被告製品の製造、販売及び販売の申出を行った(以下、被告サーバ、被告ユーザ端末プログラム及び被告製品を併せて「被告サーバ等」という。)。 ⑹ 被告サーバの構成被告サーバは次の構成を有する(以下、「構成1a」、「構成1b」などと いうことがある。なお、被告サーバが、構成要件1D、1F、1Gを充足することには争いがない。)。 1a 保護者により設定された稼働モードを保護者用のスマートフォンから受信し、GPS端末に送信する第1送信手段と、1b 稼働モードが「高頻度モード」に設定された場合は通常1.5分間隔 で、「省エネモード」に設定された場合には通常3分間隔で、GPS端末から送信される、GPS端末の現在位置を受信する受信手段と、1cGPS端末からの位置情報に基づいて、みまもり範囲を決定するみまもり範囲決定手段と、1dGPS端末の現在位置がみまもり範囲から外れた際に自動で通知を保 護者用のスマートフォンに送信する第2送信手段と、を備え、 1e 前記受信手段は、稼働モードが「高頻度モード」である場合には通常1.5分間隔で、「省エネモード」である場合には通常3分間隔で、GPS端末から送信される、GPS端末のバッテリの残量を示す情報を受信し、1f 前記第2送信手段は、GPS端末の である場合には通常1.5分間隔で、「省エネモード」である場合には通常3分間隔で、GPS端末から送信される、GPS端末のバッテリの残量を示す情報を受信し、1f 前記第2送信手段は、GPS端末のバッテリの残量に関する情報を保 護者用のスマートフォンに送信する、1g サーバ。 ⑺ 被告ユーザ端末プログラムの構成被告ユーザ端末プログラムは次の構成を有する(以下、「構成2a」、「構成2b」などということがある。なお、被告ユーザ端末プログラムが、構成 要件2B、2E、2G、2Hを充足することには争いがない。)。 2a サーバと通信可能な保護者用のスマートフォンを、保護者により設定された稼働モードをサーバに送信する送信手段であって、2b 稼働モードは、サーバからGPS端末に送信され、2c 稼働モードが「高頻度モード」に設定された場合は通常1.5分間隔 で、「省エネモード」に設定された場合には通常3分間隔で、GPS端末の現在位置がGPS端末からサーバに送信され、2d サーバによって、GPS端末からの位置情報に基づくみまもり範囲が決定される、送信手段、2e サーバから、GPS端末の現在情報がみまもり範囲から外れた際に、 自動で通知を受信する受信手段、として機能させ、2f 稼働モードが「高頻度モード」である場合には通常1.5分間隔で、「省エネモード」である場合には通常3分間隔で、GPS端末のバッテリの残量を示す情報がGPS端末から被告サーバに送信され、2g 前記受信手段は、被告サーバから、GPS端末のバッテリの残量に関 する情報を受信する、 2h プログラム。 ⑻ 被告製品の構成被告製品は次の構成を有する(以下、「構成3a」、「構成3b」などということがある。なお、被告製品が の残量に関 する情報を受信する、 2h プログラム。 ⑻ 被告製品の構成被告製品は次の構成を有する(以下、「構成3a」、「構成3b」などということがある。なお、被告製品が、構成要件3A〜3D、3Gを充足することには争いがない。)。 3a 正面から見ると概略正方形の角を丸めた形状のGPS端末であって、3b リチウムイオンポリマー電池(バッテリ)と、3cGPS端末の位置情報を測位するための測位手段と、3dGPS端末の加速度を検出する加速度センサと、3e 保護者によって設定された稼働モードが「高頻度モード」である場合 には通常1.5分間隔で、「省エネモード」である場合には通常3分間隔で、GPS端末の現在位置およびバッテリの残量を示す情報をサーバへ送信する送信手段と、を備え、3f サーバへ送信される位置情報は、サーバによって、GPS端末のみまもり範囲を決定するために用いられ、 3g 加速度センサを使って、静止している間はGPS測位や現在位置の送信を自動的に中断する、被見守り者用端末。 3 争点⑴ 技術的範囲の属否(争点1)ア被告サーバが本件発明1の技術的範囲に属するか(争点1-1) イ被告ユーザ端末プログラムが本件発明2の技術的範囲に属するか(争点1-2)ウ被告製品が本件発明3の技術的範囲に属するか(争点1-3)⑵ 本件特許の無効の抗弁の成否(争点2)ア 「GPSBoT」に基づく進歩性欠如(争点2-1) イ 「TRACKIMOUNIVERSALTRACKER」に基づく 進歩性欠如(争点2-2)ウ 「法人位置情報ソリューション法人みまもり管理サービス(GPS)」に基づく進歩性欠如(争点2-3)エ 「みもり」に基づく進歩 TRACKER」に基づく 進歩性欠如(争点2-2)ウ 「法人位置情報ソリューション法人みまもり管理サービス(GPS)」に基づく進歩性欠如(争点2-3)エ 「みもり」に基づく進歩性欠如(争点2-4)オ特開2010-86425公報に基づく進歩性欠如(争点2-5) カ 「テルトニカFM5300」に基づく新規性及び進歩性欠如(争点2-6)キ本件発明3の明確性要件違反(争点2-7)⑶ 原告の損害の発生及びその額(争点3) 4 争点に関する当事者の主張 ⑴ 争点1-1(被告サーバが本件発明1の技術的範囲に属するか)について(原告の主張)ア被告サーバは、少なくともGPS端末が移動している場合、(保護者により)稼働モードが「高頻度モード」に設定されたときは通常1.5分間隔で、「省エネモード」に設定されたときは通常3分間隔で、GPS端末 から送信される、GPS端末の現在位置を受信する受信手段(構成1b)を備えている。 そして、上記各稼働モードは「(見守り者用端末のユーザにより設定された)前記インターバル情報」に、上記各送信の間隔は「インターバル情報に応じたインターバル」に、GPS端末は「被見守り者用端末」に相当 するから、被告サーバは、「前記インターバル情報に応じたインターバルで前記被見守り者用端末から送信される、前記被見守り者用端末の位置情報を受信する手段」を有し、構成要件1Bを充足する。 また、以上によれば、被告サーバは、構成要件1A及び1Eも充足する。 イ被告サーバは、GPS端末からの位置情報に基づいてみまもり範囲を決 定する手段(構成1c)を備えている。「みまもり範囲」は「行動範囲」 に相当するから、被告サーバは、「前記被見守り者用端末からの位置情報に からの位置情報に基づいてみまもり範囲を決 定する手段(構成1c)を備えている。「みまもり範囲」は「行動範囲」 に相当するから、被告サーバは、「前記被見守り者用端末からの位置情報に基づいて、行動範囲を決定する第3手段」を有し、構成要件1Cを充足する。 ウよって、被告サーバは、本件発明1の技術的範囲に属する。 (被告の主張) ア被告製品(GPS端末)が移動していない場合、保護者用のスマートフォンのユーザである保護者が稼働モードを設定しても、GPS端末の位置情報は送信されない。したがって、被告サーバによるGPS端末の位置情報の受信は、保護者により設定された稼働モードだけでなく、GPS端末が移動しているか否か「に応じ」て決定されている。 また、被告製品のお知らせボタンを押すと、連続測位モードに設定され、GPS端末の位置情報が通常0.5分間隔で送信されるから、「インターバル情報」は、「見守り者用端末のユーザ」ではなく、「被見守り者用端末」のユーザにより設定されている。 このように、被告サーバは、「見守り者用端末のユーザにより設定され たインターバル情報」「に応じたインターバルで位置情報が被見守り者用端末から送信される、前記被見守り者用端末の位置情報を受信する手段」を備えておらず、構成要件1Bを充足しない。 また、以上によれば、構成要件1A「見守り者用端末のユーザにより設定されたインターバル情報」及び1E「前記インターバル情報に応じた インターバルで前記被見守り者用端末から送信される」を充足しない。 イみまもり範囲は、GPS端末の過去の行動データから自動生成される2種類のデータから、保護者が選択することで決定されるから、みまもり範囲を決定するのは保護者であり、被告サーバではない。そうすると イみまもり範囲は、GPS端末の過去の行動データから自動生成される2種類のデータから、保護者が選択することで決定されるから、みまもり範囲を決定するのは保護者であり、被告サーバではない。そうすると、被告サーバは、「前記被見守り者用端末からの位置情報に基づいて、行動範囲 を決定する」手段を備えておらず、構成要件1Cを充足しない。 ウよって、被告サーバは、本件発明1の技術的範囲に属しない。 ⑵ 争点1-2(被告ユーザ端末プログラムが本件発明2の技術的範囲に属するか)について(原告の主張)ア被告ユーザ端末プログラムは、前記⑴(原告の主張)アによれば、被告 ユーザ端末プログラムは構成要件2A、2C及び2Fを充足する。 イ同イによれば、被告ユーザ端末プログラムは、構成要件2Dを充足する。 ウよって、被告ユーザ端末プログラムは、本件発明2の技術的範囲に属する。 (被告の主張) ア前記⑴(被告の主張)アによれば、被告ユーザ端末プログラムは構成要件2A、2C及び2Fを充足しない。 イ同イによれば、被告ユーザ端末プログラムは、構成要件2Dを充足しない。 ウよって、被告ユーザ端末プログラムは、本件発明2の技術的範囲に属し ない。 ⑶ 争点1-3(被告製品が本件発明3の技術的範囲に属するか)について(原告の主張)ア前記⑴(原告の主張)アによれば、被告製品は構成要件3Eを充足する。 イ同イによれば、被告製品は、構成要件3Fを充足する。 ウよって、被告製品は、本件発明3の技術的範囲に属する。 (被告の主張)ア前記⑴(被告の主張)アによれば、被告製品は構成要件3Eを充足しない。 イ同イによれば、被告製品は、構成要件3Fを充足しない。 ウよって、被告製品は、 属する。 (被告の主張)ア前記⑴(被告の主張)アによれば、被告製品は構成要件3Eを充足しない。 イ同イによれば、被告製品は、構成要件3Fを充足しない。 ウよって、被告製品は、本件発明3の技術的範囲に属しない。 ⑷ 争点2-1(「GPSBoT」に基づく進歩性欠如)について(被告の主張)ア乙38発明について原告が平成29年4月に提供を開始した子ども見守りサービス「GPSBoT」により本件原出願日前に公然実施された発明(以下、「乙38発 明1」などといい、「乙38発明」と総称する。また、引用発明の構成について、「構成38-1a」、「構成38-1b」などということがある。)は、次の構成を有する。 (乙38発明1)38-1a 見守り者用端末のユーザにより設定されたインターバル情 報を前記見守り者用端末から受信し、被見守り者用端末に送信する第1手段と、38-1b 前記インターバル情報に応じたインターバルで前記被見守り者用端末から送信される、前記被見守り者用端末の位置情報を受信する第2手段と、 38-1c 前記被見守り者用端末からの位置情報に基づいて、行動範囲を決定する第3手段と、38-1d 前記被見守り者用端末からの位置情報と、前記行動範囲と、の位置関係に基づく通知を前記見守り者用端末に送信する第4手段と、を備え、 38-1e 見守り者用端末のユーザによって設定されたインターバル情報に応じたインターバルで前記被見守り者用端末の位置情報を送信し、38-1f 前記バッテリの残量を示す情報をモニタリングシステムへ送信する通信手段と、を備えている、38-1g モニタリングシステム。 (乙38発明2) 38-2a モニタリン 前記バッテリの残量を示す情報をモニタリングシステムへ送信する通信手段と、を備えている、38-1g モニタリングシステム。 (乙38発明2) 38-2a モニタリングシステムと通信可能な見守り者用端末を、前記見守り者用端末のユーザにより設定されたインターバル情報を前記モニタリングシステムに送信する第1手段であって、38-2b 前記インターバル情報は、前記モニタリングシステムから被見守り者用端末に送信され、 38-2c 前記インターバル情報に応じたインターバルで、前記被見守り者用端末の位置情報が前記被見守り者用端末から前記モニタリングシステムに送信され、38-2d 前記モニタリングシステムによって、前記被見守り者用端末からの位置情報に基づく行動範囲が決定される、第1手段、 38-2e 前記モニタリングシステムから、前記被見守り者用端末からの位置情報と、前記行動範囲と、の位置関係に基づく通知を受信する第2手段、として機能させ、38-2f 見守り者用端末のユーザによって設定されたインターバル情報に応じたインターバルで前記被見守り者用端末の位置情報を送信し、 38-2g 前記バッテリの残量を示す情報をモニタリングシステムへ送信する通信手段と、を備えた、38-2h プログラム。 (乙38発明3)38-3a 正面から見ると概略正方形の角を丸めた形状の被見守り者 用端末であって、38-3b 充電可能なバッテリと、38-3c 当該被見守り者用端末の位置を取得する位置取得手段と、38-3d 当該被見守り者用端末の加速度を検出する加速度センサと、38-3e 見守り者用端末のユーザによって設定されたインターバル 情報に応じたインターバルで前記被見守り者用端末の と、38-3d 当該被見守り者用端末の加速度を検出する加速度センサと、38-3e 見守り者用端末のユーザによって設定されたインターバル 情報に応じたインターバルで前記被見守り者用端末の位置情報を送信し、 また、前記バッテリの残量を示す情報をモニタリングシステムへ送信する通信手段と、を備え、38-3f 前記位置情報は、前記モニタリングシステムによって、前記被見守り者用端末の行動範囲を決定するために用いられ、38-3g 前記加速度センサによって所定値以上の加速度が検出され ない場合、前記位置取得手段は当該被見守り者用端末の位置を取得しない、または、前記通信手段は前記位置情報を送信しない、被見守り者用端末。 イ本件各発明と乙38発明との相違点について本件発明1と乙38発明1、本件発明2と乙38発明2、本件発明3 と乙38発明3とは、以下の相違点において相違し、その余の点において一致する。 (相違点38)本件各発明では、見守り者用端末のユーザによって設定されたインターバル情報に応じたインターバルで、被見守り者用端末の位置情報及びバ ッテリの残量を示す情報(以下「バッテリ残量情報」という。)がモニタリングシステムに送信されるのに対し、乙38発明では、位置情報が見守り者用端末のユーザによって設定されたインターバル情報に応じたインターバルでモニタリングシステムに送信され、また、バッテリ残量情報がモニタリングシステムに送信されるが、バッテリ残量情報の送信の タイミングが不明である点。 ウ容易想到性について(ア) バッテリ残量情報がモニタリングシステムに送信されるタイミングは、本件各発明の技術的意義及び課題解決原理とは無関係であり、設計事項である。 (イ) 被見守り者 容易想到性について(ア) バッテリ残量情報がモニタリングシステムに送信されるタイミングは、本件各発明の技術的意義及び課題解決原理とは無関係であり、設計事項である。 (イ) 被見守り者用端末を用いたモニタリングシステムである「TRAC KIMOUNIVERSALTRACKER」(後記⑸)及び「みもり」(後記⑺)において位置情報及びバッテリ残量情報が同時に送信されていた。 また、本件原出願日当時の文献である乙19~23、39~41において、乙20、21、23、39、40には、見守り及び被見守りとい う構成において、見守り者用端末のユーザによって設定されたインターバル情報に応じたインターバルで位置情報及びバッテリ残量情報が同時に送信される技術が記載され、その余の文献には、位置情報及びバッテリ残量情報が同時に送信される技術が記載されていた。 以上によれば、本件原出願日当時、①見守り者用端末のユーザによっ て設定されたインターバル情報に応じたインターバルで位置情報及びバッテリ残量情報が同時に送信される技術及び②位置情報及びバッテリ残量情報が同時に送信される技術は周知であった。 バッテリの消費の防止等に照らし、バッテリ残量情報が位置情報と同時に送信される構成とするのが最も自然かつ合理的であるから、乙38 発明に上記の技術を組み合わせることについて動機付けがある。 エ以上によれば、本件各発明は、当業者が乙38発明に基づいて容易に発明することができた。 (原告の主張)ア乙38発明の構成 乙38発明の内容は認める。 イ本件各発明と乙38発明との相違点について被告の主張する相違点38は認める。 ウ容易想到性について(ア) バッテリ残量情報がモニタリングシステムに送信され 乙38発明の内容は認める。 イ本件各発明と乙38発明との相違点について被告の主張する相違点38は認める。 ウ容易想到性について(ア) バッテリ残量情報がモニタリングシステムに送信されるタイミング は、設計事項とはいえない。 (イ) 「TRACKIMOUNIVERSALTRACKER」(後記⑸)及び「みもり」(後記⑺)において、端末の位置情報及びバッテリ残量情報を同時に送信されていたとは認められない。 乙21及び23には、そもそも位置情報とバッテリ残量情報を同時に送信することの記載はない。乙19、20及び22には、「見守り者用 端末のユーザによって設定されたインターバル情報に応じたインターバルで」に相当する構成の記載はない。乙39~41は技術分野が異なり、少なくとも「被見守り者用端末」に相当する構成の記載はないし、乙40が「モニタリングシステム」でないのも明らかである。 したがって、被告の主張する周知技術は認められない。 乙38発明は、継続的に位置情報の取得及び送信を行うため、バッテリの消費を抑えるという課題を有するところ、単位時間当たりの変化量が小さいバッテリ残量情報を低頻度で送信することによって、バッテリの消耗を抑えられるのは明らかであるから、乙38発明に、上記の技術を適用する動機付けはない。 (ウ) 相違点38に係る本件各発明の構成は、「見守り者用端末のユーザによって設定されたインターバル情報応じたインターバルで」位置情報及びバッテリの残量情報が送信されるというものであるから、乙38発明に、位置情報及びバッテリ残量情報が同時に送信される技術を適用しても、当業者は相違点38に係る構成に想到しない。 エ以上によれば、本件各発明は、当業者が、乙38発明に基づ から、乙38発明に、位置情報及びバッテリ残量情報が同時に送信される技術を適用しても、当業者は相違点38に係る構成に想到しない。 エ以上によれば、本件各発明は、当業者が、乙38発明に基づいて容易に発明することができたものとはいえない。 ⑸ 争点2-2(「TRACKIMOUNIVERSALTRACKER」に基づく進歩性欠如)について(被告の主張) ア 「TRACKIMOUNIVERSALTRACKER」 TrackimoInc.(以下「Trackimo社」という。)が平成30年7月に販売した「TRACKIMOUNIVERSALTRACKER」(以下「TRACKIMOGPS端末」という。)により本件原出願日前に公然実施された発明(以下「乙1発明」という。)は、次の構成を有する。 (乙1発明)TRACKIMOGPS端末の位置情報、速度、バッテリ残量について、ユーザ端末で確認できるモニタリングシステムである。 ユーザは、TRACKIMOGPS端末の位置情報を取得する間隔をユーザ端末で1分、5分、30分、120分、又はマニュアル(ユーザ が位置情報の更新ボタンを押した時にデバイスの位置情報を更新できる。)から設定することができ、この設定により、TRACKIMOGPS端末がトラッキモシステムを通じて位置情報をユーザの端末に送信する頻度が決まる。 TRACKIMOGPS端末の位置情報の履歴を、任意の期間を定め てマップに表示する機能を備えている。 ユーザは、トラッキモのダッシュボードを使用して特定の範囲の場所(ジオフェンス)を設定することができ、TRACKIMOGPS端末がジオフェンスを越えると、いつTRACKIMOGPS端末が仮想フェンスであるジオフェン ダッシュボードを使用して特定の範囲の場所(ジオフェンス)を設定することができ、TRACKIMOGPS端末がジオフェンスを越えると、いつTRACKIMOGPS端末が仮想フェンスであるジオフェンスを越えたかの情報が記載されたアラーム メッセージをユーザの端末にメールで通知する機能を備えている。 TRACKIMOGPS端末の形状は、正面から見ると略正方形で角が丸い。 TRACKIMOGPS端末は充電可能なバッテリを備えている。 デバイス情報のホップアップは、デバイスの位置、速度情報を提供する。 TRACKIMOGPS端末の位置情報から、TRACKIMOG PS端末の場所、追跡時間、速度、バッテリ残量パーセンテージが分かる。 ユーザが設定した頻度で位置情報と共にバッテリ残量をユーザの端末に送信する。 TRACKIMOGPS端末の加速度計が、TRACKIMOGP S端末が静止していることを示す間は位置情報を検出しない。 TRACKIMOGPS端末の速度を検知することができる。 イ本件各発明と乙1発明との相違点について本件各発明と乙1発明とは、相違点1-1において相違し、その余は一致する。 (相違点1-1)本件各発明では、モニタリングシステムによって、被見守り者用端末からの位置情報に基づいて行動範囲が決定されるのに対し、乙1発明では、TRACKIMOGPS端末の位置情報に基づいてジオフェンスが決定されていない点。 ウ容易想到性について(ア) 相違点1-1について監視対象者の過去の位置情報の履歴に基づいて日常的に行動する安全な地理的範囲(「行動範囲」)を決定する技術は、周知であり、かつ、本件原出願日前の文献である乙5~9にも記載されていたところ、乙1発 監視対象者の過去の位置情報の履歴に基づいて日常的に行動する安全な地理的範囲(「行動範囲」)を決定する技術は、周知であり、かつ、本件原出願日前の文献である乙5~9にも記載されていたところ、乙1発 明に当該周知技術又は乙5〜9の記載事項を適用することについて動機付けがあり、阻害要因がないから、当業者は、相違点1-1に係る構成を容易に想到し得た。 (イ) 相違点1-2について仮に、原告が主張する相違点1-2が認められるとしても、前記⑷ (被告の主張)ウで主張するとおり、バッテリ残量情報がモニタリング システムに送信されるタイミングは設計事項であるし、端末の位置情報及びバッテリ残量情報が同時に送信される技術は周知ないし公知であったところ、バッテリ残量情報が位置情報と同時に送信されるのがバッテリの消費の防止等に照らして最も自然かつ合理的であることから、乙1発明に当該技術を適用する動機付けがある。したがって、当業者は、乙 1発明に当該技術を適用することで、相違点1-2に係る構成を容易に想到し得た。 (ウ) 相違点1-3について仮に、原告が主張する相違点1-3が認められるとしても、ユーザ端末がアラームメッセージのメールを受信するのが最も自然かつ合理的で あるから、当業者は、当該相違点に係る構成を容易に想到し得た。 (エ) 相違点1-4について仮に、原告が主張する相違点1-4が認められるとしても、携帯機器を用いた見守りシステムにおいて「加速度センサ」を被見守り携帯機器に搭載して、「所定値以上の加速度が検出されない場合、位置取得手段 は当該被見守り者用端末の位置を取得しない、又は、通信手段は位置情報を送信しない」という技術は周知であり、また、「所定値以上の加速度が検出されない場合、位置取得手段は被 い場合、位置取得手段 は当該被見守り者用端末の位置を取得しない、又は、通信手段は位置情報を送信しない」という技術は周知であり、また、「所定値以上の加速度が検出されない場合、位置取得手段は被見守り者用端末の位置を取得しない」という技術は、本件原出願日前の文献である乙10、11に、「所定値以上の加速度が検出されない場合、通信手段は位置情報を送信 しない」という技術は、乙9に記載されていたところ、乙1発明に当該周知技術又は乙9~11の記載事項を適用することについて動機付けがあり、阻害要因はないから、当業者は当該相違点に係る構成を容易に想到し得た。 エ以上によれば、本件各発明は、当業者が乙1発明に基づき容易に発明す ることができたから、進歩性を欠く。 (原告の主張)ア乙1発明について乙1発明の構成のうち、「TRACKIMOGPS端末がジオフェンスを越えると、いつTRACKIMOGPS端末が仮想フェンスであるジオフェンスを越えたかの情報が記載されたアラームメッセージをユ ーザの端末にメールで通知する機能を備えている。」のうち「ユーザの端末に」の部分、「ユーザが設定した頻度で位置情報と共にバッテリ残量をユーザの端末に送信する。」及び「TRACKIMOGPS端末の加速度計が、TRACKIMOGPS端末が静止していることを示す間は位置情報を検出しない。」は否認し、その余は認める。 イ本件各発明と乙1発明との相違点について本件発明1・2と乙1発明とは、相違点1-1に加え、相違点1-2、1-3において、本件発明3と乙1発明とは、相違点1-1に加え、相違点1-2、1-4において相違し、その余は一致する。 (相違点1-2) 本件各発明では、見守り者用端末のユーザによって設定さ -3において、本件発明3と乙1発明とは、相違点1-1に加え、相違点1-2、1-4において相違し、その余は一致する。 (相違点1-2) 本件各発明では、見守り者用端末のユーザによって設定されたインターバル情報に応じたインターバルで、被見守り者用端末のバッテリ残量情報がモニタリングシステムへ送信されるのに対し、乙1発明はどのようなインターバルでバッテリ残量情報がモニタリングシステムへ送信されるかが不明である点。 (相違点1-3)本件発明1は、インターバル情報の受信元及び被見守り者用端末からの位置情報と行動範囲との位置関係に基づく通知の送信先がいずれも見守り者用端末であるのに対し、乙1発明はこの点が不明である点。 本件発明2は、モニタリングシステムから、被見守り者用端末からの位 置情報と行動範囲との位置関係に基づく通知を受信するのに対し、乙1 発明は、そのような通知を受信しない点。 (相違点1-4)本件発明3は、被見守り者用端末の加速度を検出する加速度センサを備え、前記加速度センサによって所定値以上の加速度が検出されない場合、位置取得手段は被見守り者用端末の位置を取得しない、又は、通信手段 は位置情報を送信しないのに対し、乙1発明はこのような構成を有しない点。 ウ容易想到性について(ア) 相違点1-1について周知技術と認められるのは、監視対象者の過去の位置情報の履歴に基 づいて日常的に行動する範囲を決定するという限度であるところ、乙1発明に当該周知技術又は乙5〜9の記載事項を適用することについて動機付けはなく、阻害要因があるから、当業者が相違点1-1に係る構成を容易に想到し得たとはいえない。 (イ) 相違点1-2について 前記⑷(原告の主張)ウで主張するとおり、端 ことについて動機付けはなく、阻害要因があるから、当業者が相違点1-1に係る構成を容易に想到し得たとはいえない。 (イ) 相違点1-2について 前記⑷(原告の主張)ウで主張するとおり、端末の位置情報及びバッテリ残量情報が同時に送信される技術が周知であったとはいえないこと、乙1発明に当該技術を適用する動機付けがないこと、乙1発明に、位置情報及びバッテリ残量情報が同時に送信される技術を適用しても、相違点1-2に係る構成に想到しないことからすれば、当業者が、乙1発明 に当該技術を適用することで当該相違点に係る構成を容易に想到し得たとはいえない。 (ウ) 相違点1-3について当業者が相違点1-3に係る構成を容易に想到し得たとはいえない。 (エ) 相違点1-4について 「所定値以上の加速度が検出されない場合、位置取得手段は当該被見 守り者用端末の位置を取得しない、又は、通信手段は位置情報を送信しない」という技術が周知であったとはいえないから、当業者が、乙1発明に当該技術を適用することで、相違点1-4に係る構成を容易に想到し得たとはいえない。 エ以上によれば、本件各発明は乙1発明に基づき当業者が容易に発明でき るものではないから、進歩性を欠くものではない。 ⑹ 争点2-3(「法人位置情報ソリューション法人みまもり管理サービス(GPS)」に基づく進歩性欠如)について(被告の主張)ア 「法人位置情報ソリューション法人みまもり管理サービス(GPS)」 ソフトバンク株式会社が販売した「法人位置情報ソリューション法人みまもり管理サービス(GPS)」により本件原出願日前に公然実施された発明(以下「乙2発明」という。)は、次の構成を有する。 (乙2発明)乙2発明は、みまもりGPS端末の位置検 リューション法人みまもり管理サービス(GPS)」により本件原出願日前に公然実施された発明(以下「乙2発明」という。)は、次の構成を有する。 (乙2発明)乙2発明は、みまもりGPS端末の位置検索ができるサービスであり、 管理者が専用ウェブサイトから遠隔操作で対応端末の状況確認、各種設定をすることができ、みまもりGPS端末から送られてくる位置情報を地図表示するこができる。 乙2発明のみまもりGPS端末の形状は、以下のとおり、概略正方形の角を丸めた形状である。 乙2発明は、GPS端末の位置情報を地図上に表示する。 乙2発明は、GPS端末の位置情報を取得する測位間隔を分単位で設定する機能がある。 乙2発明は、管理者が任意の範囲のエリアを特定することができる。また、乙2発明は、GPS端末が設定したエリアに入ったり出たりしたとき に、管理者に通知が送信される機能を有している。 乙2発明は、位置測位データを地図上に表示したり、データ表示エリアで測位情報を閲覧することができる。乙2発明は、測位情報と共にGPSの電池残量の情報も取得し、管理者に送信する機能を備えている。 乙2発明は、GPS端末が辿った経路がルートとして記録され、地図上に表示される機能を備えている。 イ本件各発明と乙2発明との相違点について本件発明1・2と乙2発明とは相違点2-1において、本件発明3と乙2発明とは相違点2-1、2-2において相違し、その余は一致する。 (相違点2-1)本件各発明では、モニタリングシステムによって、被見守り者用端末か らの位置情報に基づいて行動範囲が決定されるのに対し、乙2発明では、みまもりGPS端末の位置情報に基づいて「エリア」が決定されていない点。 (相違点2-2)本件発明3は、被 者用端末か らの位置情報に基づいて行動範囲が決定されるのに対し、乙2発明では、みまもりGPS端末の位置情報に基づいて「エリア」が決定されていない点。 (相違点2-2)本件発明3は、被見守り者用端末の加速度を検出する加速度センサを備 え、前記加速度センサによって所定値以上の加速度が検出されない場合、位置取得手段は被見守り者用端末の位置を取得しない、又は、通信手段は位置情報を送信しないのに対し、乙2発明はこのような構成を有しない点。 ウ容易想到性について (ア) 相違点2-1について乙2発明に、前記⑸(被告の主張)ウ(ア)で主張する周知技術又は乙5〜9の記載事項を適用することについて動機付けがあり、阻害要因がないから、当業者は、相違点2-1に係る構成を容易に想到し得た。 (イ) 相違点2-2について 乙2発明に、前記⑸(被告の主張)ウ(エ)で主張する周知技術又は乙 9~11の記載事項を適用することについて動機付けがあり、阻害要因はないから、当業者は相違点2-2に係る構成を容易に想到し得た。 (ウ) 相違点2-3について仮に、原告が主張する相違点2-3が認められるとしても、前記⑷(被告の主張)ウで主張するとおり、バッテリ残量情報がモニタリング システムに送信されるタイミングは設計事項であるし、端末の位置情報及びバッテリ残量情報が同時に送信される技術は周知ないし公知であったところ、バッテリ残量情報が位置情報と同時に送信されるのがバッテリの消費の防止等に照らして最も自然かつ合理的であることから、乙2発明に当該技術を適用する動機付けがある。したがって、当業者は、乙 2発明に当該技術を適用することで、相違点2-3に係る構成を容易に想到し得た。 (エ) 相違点2-4について から、乙2発明に当該技術を適用する動機付けがある。したがって、当業者は、乙 2発明に当該技術を適用することで、相違点2-3に係る構成を容易に想到し得た。 (エ) 相違点2-4について仮に、原告が主張する相違点2-4が認められるとしても、測位するごとに位置情報を送信することが自然かつ合理的であるから、当業者は 当該相違点に係る構成を容易に想到し得た。 (オ) 相違点2-5について仮に、原告が主張する相違点2-5が認められるとしても、ユーザの端末がメールを受領することが最も自然かつ合理的であるから、当業者はこれらの相違点に係る構成を容易に想到し得た。 (カ) 相違点2-6について仮に、原告が主張する相違点2-6が認められるとしても、乙2発明のみまもりGPS端末の形状を概略正方形とすることは設計事項であるから、当業者は当該相違点に係る構成を容易に想到し得た。 エ以上によれば、本件各発明は、当業者が乙2発明に基づき容易に発明す ることができたから、進歩性を欠く。 (原告の主張)ア乙2発明について乙2発明の構成のうち、「乙2発明は、GPS端末の位置情報を取得する測位間隔を分単位で設定する機能がある。」、「乙2発明のみまもりGPS端末の形状は、概略正方形の角を丸めた形状である。」、「乙2発明は、 GPS端末が設定したエリアに入ったり出たりしたときに、管理者に通知が送信される機能を有している。」のうち「管理者に」の部分及び「乙2発明は、測位情報と共にGPSの電池残量の情報も取得し、管理者に送信する機能を備えている。」は否認し、その余は認める。 イ本件各発明と乙2発明との相違点について 本件発明1・2と乙2発明とは、相違点2-1に加え、相違点2-3〜2-5において、本 に送信する機能を備えている。」は否認し、その余は認める。 イ本件各発明と乙2発明との相違点について 本件発明1・2と乙2発明とは、相違点2-1に加え、相違点2-3〜2-5において、本件発明3と乙2発明とは、相違点2-1、2-2に加え、相違点2-3、2-6において相違し、その余は一致する。 (相違点2-3)本件発明1では、見守り者用端末のユーザにより設定されたインターバ ル情報に応じたインターバルで被見守り者用端末から送信される、被見守り者用端末のバッテリ残量情報を受信するのに対し、乙2発明は、どのようなインターバルでバッテリ残量情報を受信するかが不明である点。 本件発明2では、見守り者用端末のユーザにより設定されたインターバル情報に応じたインターバルで、被見守り者用端末のバッテリ残量情報 が被見守り者用端末からモニタリングシステムに送信されるのに対し、乙2発明は、どのようなインターバルでバッテリ残量情報が送信されるかが不明である点。 本件発明3は、見守り者用端末のユーザによって設定されたインターバル情報に応じたインターバルで、被見守り者用端末の位置情報及びバッ テリ残量情報をモニタリングシステムへ送信するのに対し、乙2発明は どのようなインターバルで位置情報及びバッテリ残量情報を送信するかが不明である点。 (相違点2-4)本件発明1・2では、見守り者用端末のユーザにより設定されたインターバル情報が見守り者用端末からモニタリングシステムに送信され、さ らに被見守り者用端末に送信され、インターバル情報に応じたインターバルで、被見守り者用端末の位置情報がモニタリングシステムに送信されるのに対し、乙2発明には「インターバル情報」に相当する構成がない点。 (相違点2-5) ターバル情報に応じたインターバルで、被見守り者用端末の位置情報がモニタリングシステムに送信されるのに対し、乙2発明には「インターバル情報」に相当する構成がない点。 (相違点2-5) 本件発明1は、インターバル情報の受信元及び被見守り者用端末からの位置情報と行動範囲との位置関係に基づく通知の送信先がいずれも見守り者用端末であるのに対し、乙2発明はこの点が不明である点。 本件発明2は、インターバル情報の送信及び被見守り者用端末からの位置情報と行動範囲との位置関係に基づく通知の受信を行うのがいずれも 見守り者用端末であるのに対し、乙2発明はこの点が不明である点。 (相違点2-6)本件発明3の被見守り者用端末は、正面から見ると概略正方形の角を丸めた形状であるのに対し、乙2発明のみまもりGPS端末は、正面から見ると概略長方形の角を丸めた形状である点。 ウ容易想到性について(ア) 相違点2-1について乙2発明に、前記⑸(原告の主張)ウ(ア)で主張する周知技術又は乙5〜9の記載事項を適用することについて動機付けがなく、阻害要因があるから、当業者が相違点2-1に係る構成を容易に想到し得たとはい えない。 (イ) 相違点2-2について前記⑸(原告の主張)ウ(エ)で主張するとおり、「所定値以上の加速度が検出されない場合、前記位置取得手段は当該被見守り者用端末の位置を取得しない、または、前記通信手段は前記位置情報を送信しない」という技術が周知であったとはいえないから、当業者が、乙2発明に当該 技術を適用することで相違点2-2に係る構成を容易に想到し得たとはいえない。 (ウ) 相違点2-3について前記⑷(原告の主張)ウで主張するとおり、端末の位置情報及びバッテリ残量情報が同時に送信さ 術を適用することで相違点2-2に係る構成を容易に想到し得たとはいえない。 (ウ) 相違点2-3について前記⑷(原告の主張)ウで主張するとおり、端末の位置情報及びバッテリ残量情報が同時に送信される技術が周知であったとはいえないこと、 乙2発明に当該技術を適用する動機付けはないこと、乙2発明に、位置情報及びバッテリ残量情報が同時に送信される技術を適用しても、当業者は相違点2-3に係る構成に想到しないことからすれば、当業者が乙2発明に当該技術を適用することで相違点2-3に係る構成を容易に想到し得たとはいえない。 (エ) 相違点2-4〜2-6について当業者がこれらの相違点に係る構成を容易に想到し得たとはいえない。 エ以上によれば、本件各発明は乙2発明に基づき当業者が容易に発明できるものではないから、進歩性を欠くものではない。 ⑺ 争点2-4(「みもり」に基づく進歩性欠如)について (被告の主張)ア乙3発明についてドリームエリア株式会社が遅くとも平成30年8月までに販売を開始した「みもり」により本件原出願日前に公然実施された発明(以下「乙3発明」という。)は、次の構成を有する。 (乙3発明) 子どもには「みもり」を持たせ、保護者は専用のスマホアプリをインストールして子どもを見守る。 子どもが持つ「みもり」の現在地更新間隔は、エコモード(3~5分)、更新間隔優先モード(1.5~2分)があり、保護者が設定することができる。 「みもり」を保持した子どもの行動履歴を1か月保存し、保護者はアプリから過去1か月の行動履歴を確認することができる。 保護者はアプリケーションを用いて、子どもの活動範囲を指定することができる。 「みもり」を保持した子どもが活動範囲から外に出ると、保護者 はアプリから過去1か月の行動履歴を確認することができる。 保護者はアプリケーションを用いて、子どもの活動範囲を指定することができる。 「みもり」を保持した子どもが活動範囲から外に出ると、保護者の端末 に通知が届く。 保護者は、スマホアプリの「通知エリアの設定」を押し、学校の範囲指定をすると、子どもが学校に到着した際に保護者のスマホにメッセージが通知される。 子どもが保持する端末「みもり」は、正面から見ると概略正方形の角を 丸めた形状である。 みもりは、GPS及びWi-Fiアクセスポイントを利用して位置情報を取得している。 みもりは、端末に動きがない場合は自動的に電源が切れる仕組みであるから、加速度センサを備えている。 保護者用アプリと子どもが保持する端末「みもり」は、クラウド上のサーバを介して情報の送受信を行っている。 みもりの電池残量は、1%刻みで保護者の端末で確認できることから、みもりは、所定の間隔で、バッテリ残量情報をシステムに送っている。 イ本件各発明と乙3発明との相違点について 本件各発明と乙3発明とは、相違点3-1において相違し、その余は一 致する。 (相違点3-1)本件各発明では、モニタリングシステムによって、被見守り者用端末からの位置情報に基づいて行動範囲が決定されるのに対し、乙3発明では、みもりGPS端末の位置情報に基づいて通知エリアや活動範囲が決定され ていない点。 ウ容易想到性について(ア) 相違点3-1について乙3発明に、前記⑸(被告の主張)ウ(ア)で主張する周知技術又は乙5〜9の記載事項を適用することについて動機付けがあり、阻害要因が ないから、当業者は、相違点3-1に係る構成を容易に想到し得た。 (イ) 相違点3-2について (ア)で主張する周知技術又は乙5〜9の記載事項を適用することについて動機付けがあり、阻害要因が ないから、当業者は、相違点3-1に係る構成を容易に想到し得た。 (イ) 相違点3-2について仮に、原告が主張する相違点3-2が認められるとしても、前記⑷(被告の主張)ウで主張するとおり、バッテリ残量情報がモニタリングシステムに送信されるタイミングは設計事項であるし、端末の位置情報 及びバッテリ残量情報が同時に送信される技術は周知ないし公知であったところ、バッテリ残量情報が位置情報と同時に送信されるのがバッテリの消費の防止等に照らして最も自然かつ合理的であることから、乙3発明に当該技術を適用する動機付けがある。したがって、当業者は、乙3発明に当該技術を適用することで、相違点3-2に係る構成を容易に 想到し得た。 (ウ) 相違点3-3について仮に、原告が主張する相違点3-3が認められるとしても、乙3発明に、前記⑸(被告の主張)ウ(エ)で主張する周知技術又は乙9~11の記載事項を適用することについて動機付けがあり、阻害要因がないから、 当業者は相違点3-3に係る構成を容易に想到し得た。 エ以上によれば、本件各発明は、当業者が乙3発明に基づき容易に発明することができたから、進歩性を欠く。 (原告の主張)ア乙3発明について乙3発明の構成のうち、「みもりは、端末に動きがない場合は自動的に 電源が切れる仕組みであるから、加速度センサを備えている。」、「みもりは、所定の間隔で、バッテリ残量情報をシステムに送っている。」は否認し、その余は認める。 イ本件各発明と乙3発明との相違点について本件発明1・2と乙3発明とは、相違点3-1に加え、相違点3-2に おいて、本件発明3と乙3発明 テムに送っている。」は否認し、その余は認める。 イ本件各発明と乙3発明との相違点について本件発明1・2と乙3発明とは、相違点3-1に加え、相違点3-2に おいて、本件発明3と乙3発明とは、相違点3-1に加え、相違点3-2、3-3において相違し、その余は一致する。 (相違点3-2)本件発明1では、見守り者用端末のユーザによって設定されたインターバル情報に応じたインターバルで被見守り者用端末から送信される、被 見守り者用端末のバッテリ残量情報を受信するのに対し、乙3発明は、どのようなインターバルでバッテリ残量情報を受信するかが不明である点。 本件発明2では、見守り者用端末のユーザによって設定されたインターバル情報に応じたインターバルで、被見守り者用端末のバッテリ残量情 報が被見守り者用端末からモニタリングシステムに送信されるのに対し、乙3発明は、どのようなインターバルでバッテリ残量情報が送信されるかが不明である点。 本件発明3は、見守り者用端末のユーザによって設定されたインターバル情報に応じたインターバルで、被見守り者用端末のバッテリ残量情報 をモニタリングシステムへ送信するのに対し、乙3発明は、どのような インターバルでバッテリ残量情報を送信するかが不明である点。 (相違点3-3)本件発明3は、被見守り者用端末の加速度を検出する加速度センサを備え、加速度センサによって所定値以上の加速度が検出されない場合、位置取得手段は被見守り者用端末の位置を取得しない、又は、通信手段は 位置情報を送信しないのに対し、乙3発明はこのような構成を有しない点。 ウ容易想到性について(ア) 相違点3-1について乙3発明に、前記⑸(原告の主張)ウ(ア)で主張する周知技術又は乙 5〜9の しないのに対し、乙3発明はこのような構成を有しない点。 ウ容易想到性について(ア) 相違点3-1について乙3発明に、前記⑸(原告の主張)ウ(ア)で主張する周知技術又は乙 5〜9の記載事項を適用することについて動機付けがなく、阻害要因があるから、当業者が相違点3-1に係る構成を容易に想到し得たとはいえない。 (イ) 相違点3-2について前記⑷(原告の主張)ウで主張するとおり、端末の位置情報及びバッ テリ残量情報が同時に送信される技術が周知であったとはいえないこと、乙3発明に当該技術を適用する動機付けはないこと、乙3発明に、位置情報及びバッテリ残量情報が同時に送信される技術を適用しても、当業者は相違点3-2に係る構成に想到しないことからすれば、当業者が乙3発明に当該技術を適用することで当該相違点に係る構成を容易に想到 し得たとはいえない。 (ウ) 相違点3-3について前記⑷(原告の主張)ウ(エ)で主張するとおり、「所定値以上の加速度が検出されない場合、位置取得手段は被見守り者用端末の位置を取得しない、又は、通信手段は位置情報を送信しない」という技術が周知であ ったとはいえないから、当業者が、乙3発明に当該技術を適用すること で、相違点3-3に係る構成を容易に想到し得たとはいえない。 エ以上によれば、本件各発明は乙3発明に基づき当業者が容易に発明できるものではないから、進歩性を欠くものではない。 ⑻ 争点2-5(特開2010-86425公報に基づく進歩性欠如)について (被告の主張)ア乙4発明について本件原出願日前に公開された特開2010-86425公報(乙4)には、以下の構成を有する発明(以下「乙4発明」という。)が記載されている。 (乙4発明)乙 )ア乙4発明について本件原出願日前に公開された特開2010-86425公報(乙4)には、以下の構成を有する発明(以下「乙4発明」という。)が記載されている。 (乙4発明)乙4発明は、特定のエリアへの出入り情報通知システムであり、情報利用者端末から、判定対象エリア、判定対象時間、及び判定対象情報端末を設定することができる。そして、これらの設定情報をシステムサーバーに送信して当該システムサーバーに格納し、該システムサーバーに送 信された前記判定対象時間内では前記判定対象情報端末から送られた位置情報と前記システムサーバー内に格納された前記判定対象エリアを比較して前記判定対象者の所持する前記情報端末の位置情報が前記判定対象エリアの内外かを判定し、その判定結果を前記情報利用者が指定する端末に送信することで通知を行う。 乙4発明は、判定対象者の所持する情報端末40と、その情報端末40から位置情報を利用して判定対象者の退出を通知するシステムサーバー10と、情報利用者が各種設定を行うためのパーソナルコンピューター20と、情報利用者が判定した結果を受け付けるための携帯端末30と、これらの通信機器の信号伝送路となる例えばインターネットなどの通信 網50と、判定対象者の所持する情報端末40に測位データを提供する GPS衛星群60から構成されている。 情報利用者は、パーソナルコンピューター20で判定情報を設定し、判定結果を受け取るのは携帯端末30としているが、1つの携帯端末で判定情報を設定し且つ判定結果を受け取るようにすることもできる。 乙4発明は「判定対象者の所持する情報端末の位置情報を利用して、シ ステムサーバーを用いて情報利用者が設定したエリアへの前記判定対象者の進入及び該エリアからの前記 取るようにすることもできる。 乙4発明は「判定対象者の所持する情報端末の位置情報を利用して、シ ステムサーバーを用いて情報利用者が設定したエリアへの前記判定対象者の進入及び該エリアからの前記判定対象者の退出を通知するエリア出入り情報通知システムであって、判定対象エリア、判定対象時間、及び判定対象情報端末を設定する情報利用者端末から、これらの設定情報をシステムサーバーに送信」する。 「前記判定対象時間は、開始時間、終了時間、判定間隔を設定」することもできる。よって、乙4発明は、情報利用者端末の利用者が判定対象者の情報端末の位置情報を通知する判定間隔を含む設定情報を設定し、システムサーバーに送信する。 乙4発明は、「先に設定されていた設定情報を判定対象者の情報端末4 0に対して送信する(S4)」と記載されているため、設定情報は判定対象者の情報端末に送信される。 「例えばGPS情報を判定時間内の設定された間隔で出力するようなアプリーションソフトウエアが自動的にシステムサーバー10からダウンロードされ、判定対象者の情報端末40自体は判定時間内では設定され た間隔でGPS情報を出力させる状態になる。」と記載されており、また、図3において、位置情報等は判定対象情報端末からシステムに送信されている。よって、乙4発明では、判定対象情報端末の位置情報は、設定された間隔で位置情報をシステムに送信し、システムは同情報を受信する。 乙4発明では、「【請求項1】判定対象者の所持する情報端末の位置情報 を利用して、システムサーバーを用いて情報利用者が設定したエリアへの前記判定対象者の進入及び該エリアからの前記判定対象者の退出を通知する」と記載されているため、判定対象者の所持する情報端末の位置情報を利用して、情 テムサーバーを用いて情報利用者が設定したエリアへの前記判定対象者の進入及び該エリアからの前記判定対象者の退出を通知する」と記載されているため、判定対象者の所持する情報端末の位置情報を利用して、情報利用者が設定したエリアに前記判定対象者が進入したこと及び前記判定対象者が退出したことが判定され、その判定結果 は前記情報利用者が指定する端末に送信することで通知される。 乙4発明では、判定対象エリア(エリア)の設定は、電子地図上から所定の形状の図形でそのエリアを選択する方法や情報利用者が自分の現在位置から所定の半径以内のエリアを選択する方法がある。 イ本件各発明と乙4発明との相違点について 本件発明1・2と乙4発明とは、相違点4-1、4-2において、本件発明3と乙4発明とは、相違点4-1〜4-4において相違し、その余は一致する。 (相違点4-1)本件各発明では、モニタリングシステムによって、被見守り者用端末か らの位置情報に基づいて、被見守り者用端末の行動範囲が決定されるのに対し、乙4発明では、判定対象情報端末の位置情報に基づいて判定対象エリアが決定されていない点。 (相違点4-2)本件発明1は、見守り者用端末のユーザによって設定されたインターバ ル情報に応じたインターバルで被見守り者用端末から送信される、被見守り者用端末のバッテリ残量情報を受信し、バッテリの残量に関する情報を見守り者用端末に送信するのに対し、乙4発明は、バッテリ残量情報を受信するか及びバッテリの残量に関する情報を送信するかが不明である点。 本件発明2では、見守り者用端末のユーザによって設定されたインターバル情報に応じたインターバルで、被見守り者用端末のバッテリ残量情報が被見守り者用端末からモニタリングシステムに 本件発明2では、見守り者用端末のユーザによって設定されたインターバル情報に応じたインターバルで、被見守り者用端末のバッテリ残量情報が被見守り者用端末からモニタリングシステムに送信され、モニタリングシステムからバッテリ残量に関する情報を受信するのに対し、乙4発明は、バッテリ残量情報が送信されるか及びモニタリングシステムか らバッテリの残量に関する情報を受信するかが不明である点。 本件発明3は、見守り者用端末のユーザによって設定されたインターバル情報に応じたインターバルで、バッテリ残量情報がモニタリングシステムに送信されるのに対し、乙4発明はこのような構成を有しない点。 (相違点4-3) 本件発明3は、被見守り者用端末の加速度を検出する加速度センサを備え、加速度センサによって所定値以上の加速度が検出されない場合、位置取得手段は被見守り者用端末の位置を取得しない、又は、通信手段は位置情報を送信しないのに対し、乙4発明はこのような構成を有しない点。 (相違点4-4)本件発明3は、「正面から見ると概略正方形の角を丸めた形状の被見守り者用端末」であるのに対し、乙4発明の判定対象情報端末の形状が開示されていない点。 ウ容易想到性について (ア) 相違点4-1について乙4発明に、前記⑸(被告の主張)ウ(ア)で主張する周知技術又は乙5〜9の記載事項を適用することについて動機付けがあり、阻害要因がないから、当業者は、相違点4-1に係る構成を容易に想到し得た。 (イ) 相違点4-2について 前記⑷(被告の主張)ウで主張するとおり、バッテリ残量情報がモニ タリングシステムに送信されるタイミングは設計事項であるし、端末の位置情報及びバッテリ残量情報が同時に送信される技術は周 前記⑷(被告の主張)ウで主張するとおり、バッテリ残量情報がモニ タリングシステムに送信されるタイミングは設計事項であるし、端末の位置情報及びバッテリ残量情報が同時に送信される技術は周知ないし公知であったところ、バッテリ残量情報が位置情報と同時に送信されるのがバッテリの消費の防止等に照らして最も自然かつ合理的であることから、乙4発明に当該技術を適用する動機付けがある。したがって、当業 者は、乙4発明に当該技術を適用することで、相違点4-2に係る構成を容易に想到し得た。 (ウ) 相違点4-3について乙4発明に、前記⑸(被告の主張)ウ(エ)で主張する周知技術又は乙9~11の記載事項を適用することについて動機付けがあり、阻害要因 がないから、当業者は相違点4-3に係る構成を容易に想到し得た。 (エ) 相違点4-4、4-4´について乙4発明の判定対象情報端末の形状を「正面から見ると概略正方形の角を丸めた形状の被見守り者用端末」とすることについて技術的意義はないから、当業者は相違点4-4に係る構成を容易に想到し得た。 仮に、相違点4-4ではなく原告が主張する相違点4-4´が認められたとしても、スマートフォン又は携帯電話の形状は設計事項であるから、当業者は相違点4-4´に係る構成を容易に想到し得た。 エ以上によれば、本件各発明は乙4発明に基づき当業者が容易に発明できるものであるから、進歩性を欠く。 (原告の主張)ア乙4発明について乙4発明の構成のうち、「情報利用者端末の利用者が判定対象者の情報端末の位置情報を通知する判定間隔」、「乙4発明では、判定対象情報端末の位置情報は、設定された間隔で位置情報をシステムに送信し、シス テムは同情報を受信する。」のうち「設定された間隔で」の部分 端末の位置情報を通知する判定間隔」、「乙4発明では、判定対象情報端末の位置情報は、設定された間隔で位置情報をシステムに送信し、シス テムは同情報を受信する。」のうち「設定された間隔で」の部分は否認し、 その余は認める。 イ本件各発明と乙4発明との相違点について本件発明1・2と乙4発明とは、相違点4-1、4-2に加えて、以下の相違点4-5において、本件発明3と乙4発明とは、相違点4-1~4-3に加え、以下の相違点4-4´において相違し(被告が主張する相 違点4-4は誤りである。)、その余は一致する。 (相違点4-4´)本件発明3は、「正面から見ると概略正方形の角を丸めた形状の被見守り者用端末」であるのに対し、乙4発明の判定対象情報端末がスマートフォン又は携帯電話であり、正面から見ると概略正方形の角を丸めた形状で はない点。 (相違点4-5)本件発明1・2は、見守り者用端末のユーザにより設定されたインターバル情報が見守り者用端末からモニタリングシステムに送信され、さらに被見守り者用端末に送信され、インターバル情報に応じたインターバ ルで、被見守り者用端末の位置情報がモニタリングシステムに送信されるのに対し、乙4発明には「インターバル情報」に相当する構成がない点。 ウ容易想到性について(ア) 相違点4-1について 乙4発明に、前記⑸(原告の主張)ウ(ア)で主張する周知技術又は乙5〜9の記載事項を適用することについて動機付けはなく、阻害要因があるから、当業者が相違点4-1に係る構成を容易に想到し得たとはいえない。 (イ) 相違点4-2について 前記⑷(原告の主張)ウで主張するとおり、端末の位置情報及びバッ テリ残量情報が同時に送信される技術が周知であったと 易に想到し得たとはいえない。 (イ) 相違点4-2について 前記⑷(原告の主張)ウで主張するとおり、端末の位置情報及びバッ テリ残量情報が同時に送信される技術が周知であったとはいえないこと、乙4発明に当該技術を適用する動機付けはないこと、乙4発明に、位置情報とバッテリ残量情報とを同時に送信する技術を適用しても、当業者は相違点4-2に係る構成に想到しないことからすれば、当業者が乙4発明に当該技術を適用することで相違点4-2に係る構成を容易に想到 し得たとはいえない。 (ウ) 相違点4-3について前記⑸(原告の主張)ウ(エ)で主張するとおり、「所定値以上の加速度が検出されない場合、位置取得手段は被見守り者用端末の位置を取得しない、又は、通信手段は位置情報を送信しない」という技術が周知であ ったとはいえないから、当業者が、乙4発明に当該技術を適用することで、相違点4-3に係る構成を容易に想到し得たとはいえない。 (エ) 相違点4-4´について当業者が相違点4-4´に係る構成を容易に想到し得たとはいえない。 エ以上によれば、本件各発明は乙4発明に基づき当業者が容易に発明でき るものではないから、進歩性を欠くものではない。 ⑼ 争点2-6(「テルトニカFM5300」に基づく新規性及び進歩性欠如)について(被告の主張)ア乙17発明について テルトニカネットワーク社が平成23年11月に販売した「テルトニカFM5300」により本件原出願日前に公然実施された発明(以下「乙17発明」という。)は、次の構成を有する。 (乙17発明)テルトニカFM5300 Configuratorプログラムを用い て、テルトニカGPS端末の位置情報をサーバに送信するインターバル を設 は、次の構成を有する。 (乙17発明)テルトニカFM5300 Configuratorプログラムを用い て、テルトニカGPS端末の位置情報をサーバに送信するインターバル を設定することができる。 テルトニカGPS端末の位置情報、バッテリ残量について、FM530 0 Configuratorプログラムをインストールしたユーザ端末で確認できるモニタリングシステムである。 テルトニカFM5300 Configuratorプログラムは主と なる5つのエリアに分かれ、その一つにConfigurableparametersandvaluesmenuがあり、さらにそのconfigurableparametersのメインとなるパラメータの分野の1つに出入情報(I/O)があり、さらにその出入情報(I/O)のリストに含まれる情報にバッテリ電圧、バッテリ電流、 GPSに関する情報がある。 テルトニカGPS端末の位置情報に基づいて特定の範囲の場所(ジオフェンス)が設定され、テルトニカGPS端末がジオフェンスを越えると、メッセージが送信される機能を備えている。 テルトニカGPS端末の形状は、正面から見ると略方形で角が丸い。 テルトニカGPS端末は充電可能なバッテリを備えている。 テルトニカGPS端末の現在位置の情報、位置情報の履歴の情報を取得できる。 テルトニカGPS端末は加速度センサーを備えている。 ユーザが設定した頻度で位置情報と共にバッテリ残量をサーバに送信す る。 テルトニカGPS端末の加速度センサが、テルトニカGPS端末が静止していることを示す間は位置情報を検出しない。 イ本件各発明と乙17発明との相違点について乙17発明の「ユーザ」は本件各発明の「見守り者用端末のユーザ」に、 サが、テルトニカGPS端末が静止していることを示す間は位置情報を検出しない。 イ本件各発明と乙17発明との相違点について乙17発明の「ユーザ」は本件各発明の「見守り者用端末のユーザ」に、 乙17発明の「テルトニカGPS端末の位置情報を取得する間隔の情報」 は本件各発明の「インターバル情報」に、乙17発明の「テルトニカGPS端末」は本件各発明の「被見守り者用端末」に、乙17発明の「ジオフェンス」は本件各発明の「行動範囲」に相当するから、本件各発明と乙17発明との間に相違点はない。 ウ容易想到性について 仮に、原告が主張する相違点17-1〜17-3が認められるとしても、当該相違点に係る構成は、技術的意義を有しないか、設計事項であるから、当業者が容易に想到し得た。 エ以上によれば、本件各発明は新規性を欠き、仮に新規性が認められるとしても、乙17発明に基づき当業者が容易に発明することができるもので あるから、進歩性を欠く。 (原告の主張)ア乙17発明について乙17発明の「テルトニカFM5300 Configuratorプログラムを用いて、テルトニカ GPS端末の位置情報をサーバに送信す るインターバルを設定することができる。」との構成については、「テルトニカFM5300 Configuratorプログラムを用いて、車両等に据え置き設置され、車両等を監視するテルトニカGPS端末の位置情報をサーバに送信するインターバルを、サーバを介することなく、USBケーブルを介してユーザ端末から設定することができる。」と訂正 すべきであり、その余の構成は認める。 イ本件各発明と乙17発明との相違点について本件発明1・2と乙17発明とは、相違点17-1及び17-2において、本件発明3と乙1 できる。」と訂正 すべきであり、その余の構成は認める。 イ本件各発明と乙17発明との相違点について本件発明1・2と乙17発明とは、相違点17-1及び17-2において、本件発明3と乙17発明とは、相違点17-1及び17-3において相違し、その余は一致する。 (相違点17-1) 乙17発明は、本件各発明における見守られる人が携帯する端末である「被見守り者用端末」に相当するものがない点。 (相違点17-2)本件発明1・2は、「見守り者用端末」が、インターバル情報をモニタリングシステムに送信し、かつ、被見守り者用端末からの位置情報と行 動範囲との位置関係に基づく通知及びバッテリ残量に関する情報をモニタリングシステムから受信するのに対し、乙17発明は、そのような「見守り者用端末」に相当する構成を有しない点。 (相違点17-3)正面から見た形状が、本件発明3は概略正方形であるのに対し、乙17 発明は概略長方形である点。 ウ容易想到性についていずれの相違点に係る構成についても、当業者が容易に想到し得たものではない。 エしたがって、本件各発明は乙17発明に基づき新規性を欠くものではな く、また、乙17発明に基づき当業者が容易に発明できるものではないから、進歩性を欠くものでもない。 ⑽ 争点2-7(本件発明3の明確性要件違反)について(被告の主張)本件発明3は、どのような形が「概略正方形」に当たるかを第三者が判断 することができず、不測の不利益を生じさせるものであるから、明確性要件に違反する。 (原告の主張)争う。 ⑾ 争点3(原告の損害の発生及びその額)について (原告の主張) 原告は、前提事実⑸の被告の行為により、少なくとも1億円の損 要件に違反する。 (原告の主張)争う。 ⑾ 争点3(原告の損害の発生及びその額)について (原告の主張) 原告は、前提事実⑸の被告の行為により、少なくとも1億円の損害を被った(特許法102条2項又は3項)。 (被告の主張)否認し争う。 第3 当裁判所の判断 1 本件明細書の記載⑴ 本件明細書には、次の記載がある(図面は別紙本件図面目録のとおりである。)。 ア技術分野【0001】本発明は、例えば、子供や徘徊老人を見守るために好適な 見守り機能を備えたモニタリングシステム、モニタリング方法、およびプログラムに関する。 イ背景技術【0002】子供が小学生になり、1人で行動することが多くなった場合、保護者の最大の関心事は子供の安全の確保である。また、徘徊癖のあ る老人の家族や介護施設等にとっても、最大の関心事はやはり、老人の安全の確保である。 【0003】このため、子供や徘徊老人のように見守られる対象者(以下、「被見守り者」とも称する)の居場所を、保護者や、家族あるいは介護施設のスタッフ等の見守り者が、リアルタイムで把握するためのモニ タリングシステムが実用化されている(・・・)。 ウ発明が解決しようとする課題【0005】この種のモニタリングシステムを使用することによって、見守り者は、被見守り者の居場所をリアルタイムで把握できるのみならず、居場所を時系列的に追跡することによって、移動履歴を把握するこ ともできる。 【0006】これによって、例えば、保護者は、子供が、正しい通学路に沿って移動しているか、あるいは、いつもの公園で遊んでいるかといった、普段の行動範囲内、すなわち生活圏内にいることを把握したり、逆に、普段の行動範囲を超え 、例えば、保護者は、子供が、正しい通学路に沿って移動しているか、あるいは、いつもの公園で遊んでいるかといった、普段の行動範囲内、すなわち生活圏内にいることを把握したり、逆に、普段の行動範囲を超えて、すなわち生活圏から逸脱していることを把握することもできる。 【0007】しかしながら、見守り者は、被見守り者の居場所を常時観察できるとは限らない。このため、被見守り者が生活圏から逸脱していても、常に直ちにそれを把握できるとは限らず、相当の時間を経過した後に気が付くという恐れもある。あるいは、見守り者が、被見守り者の居場所を常時観察している場合であっても、見守り者が、被見守り者の 生活圏を把握していなければ、被見守り者が生活圏から逸脱していることに気が付かないという恐れもある。 【0008】本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、被見守り者のための生活圏を決定するとともに、被見守り者と生活圏との位置関係を見守り者に通知することが可能なモニタリングシステム、モ ニタリング方法、およびプログラムを提供することを目的とする。 エ発明の効果【0019】本発明のモニタリングシステム、モニタリング方法、およびプログラムによれば、以上のような手段を講じることにより、被見守り者のための生活圏を決定することが可能となる。さらには、被見守り 者が生活圏から逸脱した場合、それを検知し、見守り者に通知することも可能となる。 オ発明を実施するための形態【0021】図1は、本発明の実施形態に係るモニタリング方法が適用されたモニタリングシステムの概念を説明するための概念図である。 【0022】モニタリングシステム10は、被見守り者(例えば、子供 や老人等のように見守られる対象者)が携帯する端末100( ニタリングシステムの概念を説明するための概念図である。 【0022】モニタリングシステム10は、被見守り者(例えば、子供 や老人等のように見守られる対象者)が携帯する端末100(以下、「ユーザ端末100」と称する)からアップロードされる情報に基づいて、ユーザ端末100の位置を把握し、ユーザ端末100の位置の履歴に基づいて被見守り者の生活圏を決定し、ユーザ端末100の現在の位置と、生活圏との位置関係を、見守り者(例えば、被見守り者の保護者や監督 者。以降、「保護者」とも称する)の端末200(以下、「保護者端末200」と称する)へ通知する。 【0030】ユーザ登録後、ユーザ端末100は、加速度センサ150が所定値以上の加速度を検出した場合、つまり、ユーザ端末100に動きがあった場合にアウェイクし、GPS機能130によって、例えばデ フォルトで設定された1.5分毎のようなインタバルでGPS情報を取得する。・・・【0031】ユーザ端末100はさらに、取得したGPS情報を、ユーザ端末100の識別番号aとともに、送受信機能120を使ってモニタリングシステム10へアップロードする。なお、この時、送受信機能1 20は、バッテリ160からバッテリ残量情報を取得し、さらにバッテリ残量情報を加えて、モニタリングシステム10へアップロードすることもできる。 【0038】一方、ユーザ端末100は、加速度センサ150によって所定値以上の加速度が検出されない限り、つまり、ユーザ端末100に 動きがない限り、GPS情報の取得も、WiFiルータからの電波の受信も、基地局60からの電波の受信も行わず、モニタリングシステム10へ情報をアップロードしない。このように、ユーザ端末100に動きがない場合には、ユーザ端末100は も、WiFiルータからの電波の受信も、基地局60からの電波の受信も行わず、モニタリングシステム10へ情報をアップロードしない。このように、ユーザ端末100に動きがない場合には、ユーザ端末100はスリープする。これによって、バッテリ160の電力を節約することができる。 【0041】モニタリングシステム10は、バス12によって互いに接 続されたCPU14、通信部16、記憶装置20、およびメモリ30を備えている。 【0044】記憶装置20には、・・・保護者端末200から送信されたユーザ登録情報(識別番号a、保護者アドレスb)を管理するユーザ登録データベース22(以下、「ユーザ登録DB」22と称する)と、ユ ーザ端末100からアップロードされた情報および位置決めサーバ40によって決定された位置情報を蓄積するアップロード情報データベース24(以下、「アップロード情報DB」24と称する)とを記憶している。 【0054】アップロード情報DB24は、データ項目として、タイムスタンプc、識別番号a、GPS位置情報d、WiFi位置情報e、基 地局位置情報f、バッテリ残量情報g等を含んでいる。・・・【0170】モニタリングシステム10はさらにオプション機能として、バッテリ残量オプションxや、強制スリープオプションyも備えている。 【0171】バッテリ残量オプションxは、バッテリ残量把握プログラム39によって提供される。 【0172】バッテリ残量把握プログラム39は、アップロード情報DB24を参照して、バッテリ残量情報gを取得する。そして、バッテリ残量情報gに基づいて、ユーザ端末100のバッテリ残量が、予め設定された所定量(例えば、残り20%)を下回っているか否かを判定する。 【0173】図13に示す設定画面 を取得する。そして、バッテリ残量情報gに基づいて、ユーザ端末100のバッテリ残量が、予め設定された所定量(例えば、残り20%)を下回っているか否かを判定する。 【0173】図13に示す設定画面Mのバッテリ残量オプションx欄 において、バッテリ残量が少なくなったら通知x1するように設定されている場合、バッテリ残量把握プログラム39によって、バッテリ残量が、所定量を下回っていると判定されると、アラーム通知プログラム38は、ユーザ登録DB22を参照して、対応する識別番号aの保護者アドレスbを認識し、保護者端末200に対して、例えば「バッテリ残量 が少なくなりました」や、「充電してください」といったメッセージを通 知する。 【0174】保護者は、保護者端末200に送信されたこのメッセージによって、ユーザ端末100のバッテリ残量が少ないことを把握することができる。これに応じて、保護者は、ユーザ端末100のバッテリ160をその場で充電できる場合には、ユーザ端末100のバッテリ16 0を充電することができる。また、その場ですぐに充電できない場合には、保護者端末200から、設定プログラム36を起動して、バッテリ160の消費量を抑え、ユーザ端末100の動作時間を延ばすために、設定画面Mから、インタバルiを長くする(例えば、1.5分から3分にする)ように指示することもできる。・・・ ⑵ 上記⑴によれば、本件各発明の技術的意義は次のとおりである。 子どもや老人等の被見守り者の居場所をリアルタイムで把握するモニタリングシステムについて、見守り者が被見守り者の居場所を常時観察できるとは限らず、また、被見守り者の生活圏を把握していない場合があることから、見守り者において被見守り者がその生活圏から逸脱していることを把握 ステムについて、見守り者が被見守り者の居場所を常時観察できるとは限らず、また、被見守り者の生活圏を把握していない場合があることから、見守り者において被見守り者がその生活圏から逸脱していることを把握でき ないおそれがあるという課題がある。本件各発明は、これを解決するために、被見守り者用端末の位置情報から生活圏を決定し、被見守り者と生活圏との位置関係を見守り者に通知するという構成を採用したものであり、これにより、見守り者が被見守り者が生活圏から逸脱していることを把握できるという効果を奏するものである(【0001】〜【0003】【0005】~【0 008】【0019】【0022】)。また、本件各発明において、被見守り者用端末のバッテリ残量を示す情報が送信されるという構成を採用することで、見守り者は被見守り者用端末のバッテリ残量を把握できるという効果も奏する(【0054】【0170】~【0174】)。 さらに、本件発明3については、加速度センサによって所定値以上の加速 度が検出されない限り、GPS情報の取得及びモニタリングシステムへの位 置情報等のアップロードが行われないため、これによって、被見守り者用端末のバッテリの電力を節約するという効果も奏する(【0030】【0031】【0038】)。 2 争点2-1(「GPSBoT」に基づく進歩性欠如)について本件の事案に鑑み、争点2-1について判断する。 ⑴ 証拠(乙38)及び弁論の全趣旨によれば、子ども見守りサービス「GPSBoT」に係る発明(乙38発明)が本件原出願日前に公然実施されていたこと、乙38発明が次の構成を有することが認められる。 (乙38発明1)38-1a 見守り者用端末のユーザにより設定されたインターバル情報を 前記見守り者 件原出願日前に公然実施されていたこと、乙38発明が次の構成を有することが認められる。 (乙38発明1)38-1a 見守り者用端末のユーザにより設定されたインターバル情報を 前記見守り者用端末から受信し、被見守り者用端末に送信する第1手段と、38-1b 前記インターバル情報に応じたインターバルで前記被見守り者用端末から送信される、前記被見守り者用端末の位置情報を受信する第2手段と、38-1c 前記被見守り者用端末からの位置情報に基づいて、行動範囲を 決定する第3手段と、38-1d 前記被見守り者用端末からの位置情報と、前記行動範囲と、の位置関係に基づく通知を前記見守り者用端末に送信する第4手段と、を備え、38-1e 見守り者用端末のユーザによって設定されたインターバル情報 に応じたインターバルで前記被見守り者用端末の位置情報を送信し、38-1f 前記バッテリの残量を示す情報をモニタリングシステムへ送信する通信手段と、を備えている、38-1g モニタリングシステム。 (乙38発明2) 38-2a モニタリングシステムと通信可能な見守り者用端末を、前記見 守り者用端末のユーザにより設定されたインターバル情報を前記モニタリングシステムに送信する第1手段であって、38-2b 前記インターバル情報は、前記モニタリングシステムから被見守り者用端末に送信され、38-2c 前記インターバル情報に応じたインターバルで、前記被見守り 者用端末の位置情報が前記被見守り者用端末から前記モニタリングシステムに送信され、38-2d 前記モニタリングシステムによって、前記被見守り者用端末からの位置情報に基づく行動範囲が決定される、第1手段、38-2e 前記モニタリングシステムから、前 ングシステムに送信され、38-2d 前記モニタリングシステムによって、前記被見守り者用端末からの位置情報に基づく行動範囲が決定される、第1手段、38-2e 前記モニタリングシステムから、前記被見守り者用端末からの 位置情報と、前記行動範囲と、の位置関係に基づく通知を受信する第2手段、として機能させ、38-2f 見守り者用端末のユーザによって設定されたインターバル情報に応じたインターバルで前記被見守り者用端末の位置情報を送信し、38-2g 前記バッテリの残量を示す情報をモニタリングシステムへ送信 する通信手段と、を備えた、38-2h プログラム。 (乙38発明3)38-3a 正面から見ると概略正方形の角を丸めた形状の被見守り者用端末であって、 38-3b 充電可能なバッテリと、38-3c 当該被見守り者用端末の位置を取得する位置取得手段と、38-3d 当該被見守り者用端末の加速度を検出する加速度センサと、38-3e 見守り者用端末のユーザによって設定されたインターバル情報に応じたインターバルで前記被見守り者用端末の位置情報を送信し、 ま た、 前記バッテリの残量を示す情報をモニタリングシステムへ送信する 通信手段と、を備え、38-3f 前記位置情報は、前記モニタリングシステムによって、前記被見守り者用端末の行動範囲を決定するために用いられ、38-3g 前記加速度センサによって所定値以上の加速度が検出されない場合、前記位置取得手段は当該被見守り者用端末の位置を取得しない、 または、 前記通信手段は前記位置情報を送信しない、被見守り者用端末。 ⑵ 本件各発明と乙38発明との対比本件各発明は、特許請求の範囲の請求項の記載(前提事実⑶)のとおりであると認められ または、 前記通信手段は前記位置情報を送信しない、被見守り者用端末。 ⑵ 本件各発明と乙38発明との対比本件各発明は、特許請求の範囲の請求項の記載(前提事実⑶)のとおりであると認められるところ、上記⑴によれば、本件発明1と乙38発明1、本件発明2と乙38発明2、本件発明3と乙38発明3とは次の相違点38に おいて相違し、その余の点において一致するものと認められ、この点については当事者間に争いがない。 (相違点38)本件各発明では、見守り者用端末のユーザによって設定されたインターバル情報に応じたインターバルで、被見守り者用端末の位置情報及びバッテリ 残量情報がモニタリングシステムに送信されるのに対し、乙38発明では、位置情報が見守り者用端末のユーザによって設定されたインターバル情報に応じたインターバルでモニタリングシステムに送信され、また、バッテリ残量情報がモニタリングシステムに送信されるが、バッテリ残量情報の送信のタイミングが不明である点。 ⑶ 相違点の容易想到性についてア技術事項の認定特許5078310号公報(乙20。平成24年11月21日公開。)には、携帯電話の使用者(被保護者)の安否を確認するためのシステムに関し(【0001】【0006】)、被保護者の持つ携帯電話より送信さ れる異常なし通知メールに送信時の携帯電話の位置情報及び電池残量が 含まれる構成(【0062】【0068】)が記載されている。 以上によれば、上記公報には、被保護者の安否を確認するためのシステムにおいて、被保護者の端末が、その位置情報及びバッテリ残量情報を同時に送信するという技術事項が記載されていると認めることができる(以下「本件技術事項」という。)。 イ相違点38の容易想到性について 、被保護者の端末が、その位置情報及びバッテリ残量情報を同時に送信するという技術事項が記載されていると認めることができる(以下「本件技術事項」という。)。 イ相違点38の容易想到性について乙38発明は被見守り者が所持する端末を用いた見守りのためのモニタリングシステムであるのに対し、本件技術事項は、被保護者が所持する端末を用いた安否確認システムにおいて同端末が位置情報及びバッテリ残量情報を送信するタイミングに関する技術事項であるから、両者の技 術分野は共通している。また、乙38発明は、被見守り者が所持する端末が、インターバル情報に応じたタイミングで位置情報を送信し、不明なタイミングでバッテリ残量情報の送信をするものであり、本件技術事項は、被保護者が所持する端末が位置情報とバッテリ残量情報を同時に送信する技術であるから、乙38発明と本件技術事項は、位置情報とバ ッテリ残量情報の送信のタイミングの設定という共通の課題を有し、いずれも被見守り者ないし被保護者が所持する端末が位置情報及びバッテリ残量情報を送信するという点で、共通の作用及び機能を有する。 そして、乙38発明において、インターバル情報に応じて位置情報が送信されるものの、バッテリ残量情報が送信されるタイミングは不明なの であるから、乙38発明に接した当業者は、バッテリ残量情報を送信するタイミングについて、位置情報と同時に行うという本件技術事項を組み合わせる動機付けがあるということができ、組み合わせることについての阻害要因も見当たらない。 したがって、乙38発明に本件技術事項を適用して相違点38に係る 構成とすることは、当業者において容易に想到し得たものといえる。 ⑷ 原告の主張について原告は、①乙38発明は、継続的に位置情報の 発明に本件技術事項を適用して相違点38に係る 構成とすることは、当業者において容易に想到し得たものといえる。 ⑷ 原告の主張について原告は、①乙38発明は、継続的に位置情報の取得及び送信を行うため、バッテリの消費を抑えるという課題を有するところ、単位時間当たりの変化量が小さいバッテリ残量情報を低頻度で送信することによって、バッテリの消耗を抑えられるのは明らかであるから、本件技術事項を乙38発明に適用 する動機付けがない、②乙38発明に、本件技術事項を組み合わせても、当業者は相違点38に係る構成に想到しないと主張する。 しかし、①について、本件技術事項も携帯端末が継続的に位置情報の取得及び送信を行う技術に関するものであって、バッテリの消費を抑えるという課題があることは乙38発明と共通するといえるし、乙38発明におけるバ ッテリ残量情報の送信頻度は不明なのであるから、原告の指摘する点は、乙38発明に本件技術事項を適用する動機付けを否定する理由にはならない。 また、②について、インターバル情報に応じて位置情報が送信され、不明なタイミングでバッテリ残量情報が送信される乙38発明に、バッテリ残量情報を位置情報と同時に送信するという本件技術事項を組み合わせることで、 インターバル情報に応じて位置情報とバッテリ残量情報が送信されるという相違点38に係る構成に想到するといえる。 したがって、原告の主張はいずれも採用することができない。 ⑸ 以上によれば、本件各発明は、当業者が乙38発明に基づいて容易に発明することができたものといえる。 3 小括以上のとおりであるから、本件各発明に係る特許は、特許無効審判により無効にされるべきものと認められ、原告は、被告に対し、本件特許権の権利を行使することが たものといえる。 3 小括以上のとおりであるから、本件各発明に係る特許は、特許無効審判により無効にされるべきものと認められ、原告は、被告に対し、本件特許権の権利を行使することができない。 第4 結論 よって、その余の点について判断するまでもなく、原告の請求はいずれも理 由がないからこれらを棄却することとし、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第46部 裁判長裁判官髙橋 彩 裁判官西山芳樹 裁判官瀧澤惟子 (別紙)被告サーバ目録 「みてねみまもりGPS」のサービスにおいて、保護者により設定された稼働モードを保護者用のスマートフォンから受信し、GPS端末に送信する第1送信手段 と、稼働モードに応じた時間間隔で、GPS端末から送信される、GPS端末の現在位置を受信する受信手段と、GPS端末からの位置情報に基づいて、みまもり範囲を決定するみまもり範囲決定手段と、GPS端末の現在位置がみまもり範囲から外れた際に自動で通知をGPS端末に送信する第2送信手段と、を備えるサーバ (別紙)被告ユーザ端末プログラム目録 サーバと通信可能な保護者用のスマートフォンを、保護者により設定された稼働モードをサーバに送信する送信手段であって、稼働モードは、サーバからGPS端 末に送信され、稼働モードに応じた時間間隔で、GPS端末の現在位置がGPS端末から保護者のスマートフォンに送信され、サーバによって、GPS端末からの位置情報に基づくみまもり範囲が決定される、送信手段、サーバから、GPS端末の現在情報がみまもり範囲から外れた際に、自動で通知を受信する 者のスマートフォンに送信され、サーバによって、GPS端末からの位置情報に基づくみまもり範囲が決定される、送信手段、サーバから、GPS端末の現在情報がみまもり範囲から外れた際に、自動で通知を受信する受信手段、として機能させるプログラム(「みてねみまもりGPS」を含む) (別紙)被告製品目録 正面から見ると概略正方形の角を丸めた形状のGPS端末であって、リチウムイオンポリマー電池(バッテリ)と、GPS端末の位置情報を測位するための測位手 段と、GPS端末の加速度を検出する加速度センサと、保護者によって設定された稼働モードに応じた時間間隔で、GPS端末の現在位置およびバッテリの残量を示す情報をサーバへ送信する送信手段と、を備え、サーバへ送信される位置情報は、サーバによって、GPS端末のみまもり範囲を決定するために用いられ、加速度センサを使って、静止している間はGPS測位や現在位置の送信を自動的に中断す る、GPS端末(「みてねみまもりGPSトーク」「みてねみまもりGPS第3世代」「みてねみまもりGPS第2世代」を含む) (別紙)本件図面目録
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