平成18年3月24日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成16年(ワ)第5713号地位確認等請求事件口頭弁論終結日平成18年1月25日判決東京都杉並区ab丁目c番d号原告A東京都渋谷区ef丁目g番h号女性ユニオンB気付原告C研究所非常勤職員組合同代表者執行委員長D原告ら訴訟代理人弁護士甲同乙同丙同丁同戊東京都港区ij丁目k番l号被告大学共同利用機関法人E研究機構(訴訟提起時の被告の表示国)同代表者機構長F同指定代理人己同庚同辛同壬 同癸主文 原告Aと被告との間で,原告Aが被告に対して労働契約上の地位を有することを確認する。 被告は,原告Aに対し,金190万290円並びに平成16年3月17日から本判決確定の日まで,毎月17日限り,1か月金19万29円及びこれに対する各支払日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告C研究所非常勤職員組合の請求を棄却する。 訴訟費用は,原告Aと被告との間においては全部被告の負担とし,原告C研究所非常勤職員組合と被告との間においては,被告に生じた費用の3分の1を原告C研究所非常勤職員組合の負担とし,その余を各自の負担とする。 この判決は,第2項に限り,仮に執行することができる。ただし,被告が金500万円の担保を供するときは,上記仮執行を免れることができる。 事実 及び理由第1請求【原告A関係】(主位的請求) 主文第1項,第2項に同じ。 訴訟費用は,被告の負担とする。 第2項につき仮執行宣言 (予備的請求) 被告は,原告Aに対し,金314万174円及びこれに対する平成16年3月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告の負担とする。 第2項につき仮執行宣言 (予備的請求) 被告は,原告Aに対し,金314万174円及びこれに対する平成16年3月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 訴訟費用は,被告の負担とする。 第1項につき仮執行宣言【原告C研究所非常勤職員組合関係】 被告は,原告C研究所非常勤職員組合に対し,金100万円及びこれに対する平成16年3月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 訴訟費用は,被告の負担とする。 第1項につき仮執行宣言第2事案の概要【原告A関係】非常勤職員(時間雇用職員,事務補佐員)として,1年ごとに13回にわたり任用更新を繰り返されてきた原告が,平成15年3月31日の任期満了をもって次年度の任用をしないこととされたため,同任用更新の拒絶をもって,①原告の勤務関係の実態は私法上の労働契約関係であり,解雇に関する法理が類推されるところ,これは合理性を欠いた不当な雇止めであり,その後も労働契約関係が継続している,②仮に原告の勤務関係が公法上の任用関係であるとしても,これは不当な任用更新の拒絶であり,解雇に関する法理の類推あるいは権利濫用,信義則に関する法理の適用により拒絶が許されない結果,その後も任用関係が継続していたところ,国立大学法人法の施行に伴って平成16年4月1日から は私法上の労働契約関係に移行したと主張して,被告に対し労働契約上の地位を有することの確認及びこれに対応する賃金の支払を求め(主位的請求),雇用継続についての合理的期待を害されたことの慰謝料を請求(予備的請求)した事案【原告C研究所非常勤職員組合関係】原告Aら非常勤職員等で構成する職員団体たる原告組合が,不当な交渉拒否を理由として,不法行為による損害賠償請求権に基づき損害金を求 を請求(予備的請求)した事案【原告C研究所非常勤職員組合関係】原告Aら非常勤職員等で構成する職員団体たる原告組合が,不当な交渉拒否を理由として,不法行為による損害賠償請求権に基づき損害金を求めた事案。 争いのない事実等(1)G情報センターからC研究所への改組アG情報センターは,学術情報の収集,整理及び提供並びに学術情報及び学術情報システムに関する総合的な研究及び開発を目的として訴訟提起時の被告国が国立大学設置法9条の2に基づいて昭和61年4月5日に設置した大学共同利用機関である(乙32)。 イG情報センターは,平成12年4月1日,文部科学省管轄の大学共同利用機関の1つとして,C研究所(以下「C研」という。)に改組された。 ウC研は,情報学に関する総合研究,学術情報の流通のための先端的な基盤の開発及び整備を行うことを目的とする大学共同利用機関であり,その主な事業は,総合的な情報学の研究のほか,その研究成果を実証的に開発し,先端的な学術情報システムを形成・運用する事業,特に学術情報の検索サービス,電子図書館サービスなど,学術情報提供サービスを行うことである(甲1,乙1)。 エ国立大学法人法の施行に基づき,平成16年4月1日からC研の設置者が国から被告大学共同利用機関法人E研究機構に承継された。 また,国立大学等(大学共同利用機関法人を含む。)の職員は,別に辞令が発せられない限り,同日をもって当該国立大学法人等の職員となるものとされ,同職員に対しては同日以降は当該独立行政法人の就業規則が適用されることとなった(甲38)。 (2)原告Aの任用関係ア原告A(以下「原告A」という。)は,平成元年5月1日,C研の前身であるG情報センターに事務補佐員として次のとおり任用された。 ①平成元年5月1日から平成2年3月31日 2)原告Aの任用関係ア原告A(以下「原告A」という。)は,平成元年5月1日,C研の前身であるG情報センターに事務補佐員として次のとおり任用された。 ①平成元年5月1日から平成2年3月31日まで(乙13の1)イ原告Aは,次のとおり任命権者G情報センター所長から事務補佐員(G情報センター事業部データベース課)として,各任期満了後,各1年の任期付きで任用更新された。 ②平成2年4月1日から平成3年3月31日まで(乙13の2)③平成3年4月1日から平成4年3月31日まで(乙13の3)④平成4年4月1日から平成5年3月31日まで(乙13の4)⑤平成5年4月1日から平成6年3月31日まで(甲2の1,乙13の5)⑥平成6年4月1日から平成7年3月31日まで(甲2の2,乙13の6)⑦平成7年4月1日から平成8年3月31日まで(甲2の3,乙13の7) ⑧平成8年4月1日から平成9年3月31日まで(甲2の4,乙13の8)⑨平成9年4月1日から平成10年3月31日まで(甲2の5,乙13の9)⑩平成10年4月1日から平成11年3月31日まで(甲2の6,乙13の10)⑪平成11年4月1日から平成12年3月31日まで(甲2の7,乙13の11)ウ原告Aは,次のとおり任命権者C研究所長から事務補佐員(C研究所開発・事業部アプリケーション課)として,各任期満了後,各1年の任期付きで任用更新された。 ⑫平成12年4月1日から平成13年3月31日まで(甲2の8,乙13の12)⑬平成13年4月1日から平成14年3月31日まで(甲2の9,乙13の13)⑭平成14年4月1日から平成15年3月31日まで(甲2の10,乙13の14,15)。 エ原告Aの給与は時間給であり,毎月末日締めの翌月17日払いであった。勤務日及び勤 2の9,乙13の13)⑭平成14年4月1日から平成15年3月31日まで(甲2の10,乙13の14,15)。 エ原告Aの給与は時間給であり,毎月末日締めの翌月17日払いであった。勤務日及び勤務時間は1週間5日,1日6時間であった(甲7)。 (3)原告Aに対する任用更新の拒絶ア原告Aは,「あなたの場合にあっては,平成14年4月1日付けの人事異動通知書に記載されているとおり平成15年3月31日限 りで任期満了となりますが,平成15年4月1日以降の任用は予定しておりませんので,予めお知らせいたします。」との記載のあるC研究所管理部総務課長名の平成15年1月23日付け書面(甲3)を受け取った。 イ平成15年3月31日,前記に係る任用の任期が満了し,原告Aは,同日限りC研を退職した扱いとされ(乙13の16),もって任用更新を拒絶された(以下「本件任用更新拒絶」という。)。 (4)原告C研究所非常勤職員組合(以下「原告組合」という。)は,国家公務員法108条の3に基づき,平成15年3月3日に人事院に職員団体登録した職員団体である(甲4,甲5)。 争点Ⅰ「原告Aの勤務関係は,私法上の労働契約関係か,公法上の公務員任用関係であるか。」(1)原告らの主張ア原告AとC研との勤務関係は,非常勤職員といってもその実態において私法上の労働契約関係とみるべきである。 イしたがって,その雇止めには,解雇に関する法理の類推が妥当するものと解するべきである。 ウそして,本件雇用関係は有期労働契約に基づくものであったが,ほぼ14年間の長きにわたり更新を繰り返してきた結果,実質的には期限の定めのない労働契約と同視すべき状態に至っており,かつ,本件任用拒絶は,合理性のない雇止めであるから,無効というべきである。よって、原告Aは、被告に対し労働 新を繰り返してきた結果,実質的には期限の定めのない労働契約と同視すべき状態に至っており,かつ,本件任用拒絶は,合理性のない雇止めであるから,無効というべきである。よって、原告Aは、被告に対し労働契約上の地位を有する。 (2)被告の主張 ア非常勤職員は,国家公務員法附則13条に基づく特例である人事院規則8-14(非常勤職員等の任用に関する特例)を根拠として任用される公務員であって,私法上の労働契約に基づく労働者ではない。 イしたがって,原告Aの勤務関係は,私法上の労働契約関係ではないから,いわゆる雇止めとは事情が異なり,解雇に関する法理を類推する余地はない。 争点Ⅱ「非常勤職員の勤務関係に解雇に関する法理が類推されるか。 信義則,権利濫用の法理が適用されるか。」(1)原告らの主張ア非常勤職員の勤務関係を公法上の任用関係と解するとしても,公務に従事する者については,公務の民主的かつ能率的な運営を阻害することがないようその身分の保障が図られなければならないから,非常勤職員の勤務関係にも信義則や,権利濫用が許されない旨の民法1条所定の法規制が及ぶと解される。 イそのことからすると権利濫用の法理の延長である解雇に関する法理の類推も肯定されるべきである。 (2)被告の主張ア人事院規則では,任期を定めて任用された職員の任期が満了した場合においてその任期が更新されないときは,当然退職するものとされている(人事院規則8-12(職員の任免)74条)。 イ期間の定めのある任用更新が繰り返されたからといって,期限の定めのない任用になることはない。 ウ非常勤職員の勤務関係は公法的規律に服する公法上の任用関係であるから,その任用更新の拒絶について私法上の法原理である解雇に関する法理が類推されると解すべき余地はない。信義則や,権利 はない。 ウ非常勤職員の勤務関係は公法的規律に服する公法上の任用関係であるから,その任用更新の拒絶について私法上の法原理である解雇に関する法理が類推されると解すべき余地はない。信義則や,権利濫用が許されない旨の民法1条所定の法規制が及ぶこともない。 争点Ⅲ(仮に上記法理の適用が一般的に肯定されるとして)「原告Aに対する本件任用更新拒絶が有効か否か。」その前提となる争点として,争点Ⅲー1「G情報センターが原告Aに対し,平成11年12月27日ころ,今後の任用更新は3年を上限とする旨を告知したか否か。」(1)原告らの主張ア原告Aを含む事務補佐員は,G情報センター及びC研から,正職員同様に本人が退職を希望しない限り長期に雇用されるものとして処遇上も扱われてきた。また,人事担当者から「定年を超えても働けるから」と告げられた者もおり,相当長期の雇用継続が予定され,原告Aもこれを期待していたものである。現に原告Aは13回にわたり任用更新を受け,その勤務期間は13年11か月に及んでいる。 イ原告Aは,被告から,平成11年12月27日ころ,今後の任用の更新は3年を上限とする旨の告知を受けたことはない。 ウ平成11年4月にG情報センターからC研に改組された時も,事務補佐員について一定の期間経過後に雇用を打ち切る旨の説明がなされたことなどなく,改組後も従前どおり任用更新が行われ,その回数も3回に及んだ。 エ原告Aが次年度の任用更新を受けられないかもしれないと思った のは,平成14年11月ころ,平成14年10月10日付け総務課長事務連絡「非常勤職員の雇用計画等について(依頼)」(甲12)をたまたま目にした時であり,公式にこれを知らされたのは,平成15年1月23日付け書面(甲3)を受け取ったときである。 オ以上によれば,原告Aに対 非常勤職員の雇用計画等について(依頼)」(甲12)をたまたま目にした時であり,公式にこれを知らされたのは,平成15年1月23日付け書面(甲3)を受け取ったときである。 オ以上によれば,原告Aに対する本件任用更新拒絶は,合理性を欠き,かつ,信義則に反するので,解雇に関する法理ないし信義則及び権利濫用の法理に基づき,本件任用更新拒絶は許されない。 カそして,原告Aは,国立大学等の職員であったところ,国立大学法人法の施行の際に別段何らの辞令を受け取っていないから,国立大学法人法附則4条により,平成16年4月1日をもって被告大学共同利用機関法人E研究機構の職員に移行した。同職員には被告の就業規則が適用され,ここにおける勤務関係は私法上の労働契約関係とされているから,原告Aは,被告に対し,同日以降は労働契約上の地位を有するに至った。 (2)被告の主張ア非常勤職員の任用を更新するかどうかについては,予算,業務の必要性,当該非常勤職員の能力,事務・事業の合理化推進の必要性等の事情を総合的に勘案して決定している。 イG情報センターは,改組後の非常勤職員の任用について,平成11年3月に説明会を開催し,非常勤職員が従事しているすべての業務がこのまま継承されることはかなり難しいこと,業務補助が必要となる場合は非常勤職員に依頼する業務内容等を整理した上で予算の許す範囲内で改めて募集すること等について,原告Aら非常勤職 員に説明した。 ウ次いで,平成11年12月27日付けで,今後は非常勤職員の任用予定期間は原則として1年とし,任用を更新する場合でも最長3年とする旨の方針を決定し,これを各課長宛てに通知し(乙10),課長がその所属の非常勤職員に口頭で告知した。 エC研において,平成15年3月31日をもって上記3年間の任用期限が満了する非常勤 長3年とする旨の方針を決定し,これを各課長宛てに通知し(乙10),課長がその所属の非常勤職員に口頭で告知した。 エC研において,平成15年3月31日をもって上記3年間の任用期限が満了する非常勤職員は36名いたところ,そのうち任用更新しなかった者が23名で,その理由内訳は非常勤職員による代替補充9名,外部業務委託(民間会社への業務の外注化・アウトソ-シング)8名,削減6名である。原告Aが携わっていた業務は外部業務委託された。また特例的に任用更新した者は13名であるが(成果普及課,コンテンツ課),これらの者もいずれも平成16年3月31日までに自己都合または任期満了により退職している。 オ以上によれば,解雇に関する法理の類推が許されないことは前記のとおりであるが,そもそも本件任用更新拒絶には何ら信義則に反するところはないから,これを違法・無効と解する余地はない。 カ加えて原告らの主張によっても,平成15年4月1日付けでの任用更新をしないことが違法・無効だとした場合,そもそも原告Aがいかなる地位を取得するのか不明であり,平成16年4月1日においてC研の職員であることを根拠付けることはできないというべきである。そうすると,原告Aが,国立大学法人等の成立の際,現に国立大学等の職員等にある者に当たると解する余地はなく,国立大学法人法附則4条を適用する前提を欠くといわざるを得ない。 争点Ⅳ「本件任用更新拒絶によって,原告Aの期待権が違法に侵害され損害を被ったといえるか。」(1)原告らの主張ア原告Aは,雇用継続について法的に保護されるべき合理的な期待を有していた。 イ本件任用更新拒絶によりこれが裏切られ,著しい精神的損害を受けた。その損害を金銭的に評価するなら,再就職に必要な期間として6か月分の賃金相当額114万174円と慰 き合理的な期待を有していた。 イ本件任用更新拒絶によりこれが裏切られ,著しい精神的損害を受けた。その損害を金銭的に評価するなら,再就職に必要な期間として6か月分の賃金相当額114万174円と慰謝料200万円が相当である。 (2)被告の主張ア原告Aが任用更新されることにつき仮に何らかの期待を抱いていたとしても,その期待利益は,法が非常勤職員についての任用更新を否定していないことによって反射的にもたらされる事実上の不利益に過ぎず,法律上保護された利益でないものというべきである。 イしたがって,本件任用更新拒絶により,その権利ないし法的利益が侵害されたと解する余地はない。 争点Ⅴ「原告組合の団体交渉申入れに対するC研の対応が,違法なものとして同組合に対する不法行為になるか。」(1)原告らの主張ア本件においては,任用更新をしない旨告げられた時点において,既に原告Aらの任期満了日が迫っており,一刻も早く団体交渉をしなければ同原告らに著しい不利益を与える急迫した事情が存在した。 にもかかわらずC研は,原告組合の団体交渉申入れに対し,職員団 体としての適格性が確認できないとしてこれを事実上拒否した。C研の上記対応は,任期満了日が迫っていることを承知の上で,時間切れを狙ったものとしか思われない。よって,C研が職員団体登録まで予備交渉に応じなかったことは違法な団体交渉拒否である。 イC研は,原告組合の職員団体登録手続が完了した後においても3回の予備交渉に応じたのみであった。このようなC研の対応が,違法なものとして同組合に対する不法行為になることはいうまでもない。 ウ上記交渉拒否により原告組合は,職員団体としての社会的評価及び存在価値を毀損され損害を被った。これを補填するには100万円が相当である。 (2)被告の主張ア になることはいうまでもない。 ウ上記交渉拒否により原告組合は,職員団体としての社会的評価及び存在価値を毀損され損害を被った。これを補填するには100万円が相当である。 (2)被告の主張ア交渉申入れ団体が登録された職員団体でない時は,当該団体の構成員は職員が主体となっているか,その目的とするところが交渉の内容にふさわしいものかなど,総合的に勘案して,交渉することが適当であるかどうか判断する必要がある。また,交渉を円滑かつ効果的に行うためには予備交渉により,議題,時間,場所その他必要な事項を取り決めて行うものとされている。 イ原告組合からの平成15年3月5日付けの交渉申入れに際しては,人事院の登録通知が添付されており,交渉の当事者足りうることが確認されたので,予備交渉を行うこととした。同月13日,同月25日,同月31日と予備交渉を行ったが合意に至らなかったものである。なお,特定の職員につき任用更新するかしないかは任命権の 行使に属することであって,交渉により決めることではないため本交渉に至らなかったものである。 ウ原告組合の構成員3名のうち非常勤職員であった原告Aを含む2名が平成15年3月31日をもって任期満了退職したため,原告組合は同年4月1日以降は国公法上の職員団体ではなくなった。そこでC研では,原告組合との団体交渉は成立しないと考えたが,それまでの経緯を考慮し,同年4月11日及び同月24日には話し合いに応じたものの,進展が見られなかった。そのため同年5月,これ以上話し合っても意見の一致を見出すことが困難であると判断し,以降の交渉申入れに対しては応じない旨を回答したものである。 エ以上のようなC研の対応には,原告組合に対する団体交渉義務違反はないから,何ら違法なものではない。 その他の主張(1)原告らの主 以降の交渉申入れに対しては応じない旨を回答したものである。 エ以上のようなC研の対応には,原告組合に対する団体交渉義務違反はないから,何ら違法なものではない。 その他の主張(1)原告らの主張原告Aは,給与として平成15年1月分から3月分まで月平均19万29円を受け取っていた。 (2)被告の主張非常勤職員は1年度ごとに新たに任用され,その給与は,任用時にその経験年数等を考慮して新たに決定される。平成15年3月当時の原告Aの時間給は,1時間1220円であった。 結論 (1)原告らよって,原告Aは,被告に対し,①労働契約に基づき,その地位の 確認及び未払給与として本件任用拒絶以降の平成15年4月分から平成16年1月分までの合計190万290円及び平成16年2月分(支給日平成16年3月17日)以降,毎月17日限り,月額19万29円の支払を求め(主位的請求),②不法行為による損害賠償請求権に基づき,314万174円及びこれに対する不法行為以後の日で訴状送達の翌日である平成16年3月30日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め(予備的請求),③原告組合は,被告に対し,不法行為による損害賠償請求権に基づき,100万円及びこれに対する不法行為以後の日で訴状送達の翌日である平成16年3月30日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払をそれぞれ求める。 (2)被告争う。 第3争点に対する判断 争点Ⅰ「原告Aの勤務関係は,私法上の労働契約関係か,公法上の公務員任用関係であるか。」について(1)被告所論のとおり,非常勤職員は,国家公務員法附則13条に基づく特例である人事院規則8-14(非常勤職員等の任用に関する特例)を根拠として任用される公務員であると解される。 (2)そ いて(1)被告所論のとおり,非常勤職員は,国家公務員法附則13条に基づく特例である人事院規則8-14(非常勤職員等の任用に関する特例)を根拠として任用される公務員であると解される。 (2)そして,前記摘示事実によれば,原告Aは,平成元年5月1日をもって,任期付きの時間雇用職員たる非常勤職員として任用され,以来その任用更新が繰り返されてきたところ,平成15年3月31日をもって本件任用更新拒絶がされたものである。 (3)よって,原告Aの勤務関係は,任期を定めて任用された公法上の公務員任用関係であると認められ,原告ら主張の私法上の労働契約関係であるとは認められない。 争点Ⅱ「非常勤職員の勤務関係に解雇に関する法理が類推されるか。 信義則,権利濫用の法理が適用されるか。」について(1)人事院規則では,任期を定めて任用された職員の任期が満了した場合においてその任期が更新されないときは,当然退職するものとされていること(人事院規則8-12第74条1項)は,被告所論のとおりである。 (2)任期の定めのある非常勤職員が任用更新を繰り返された場合の法的効果についてア常勤職員と非常勤職員とは,その採用方法や処遇において法により歴然と区別がされており,かつ,任期の定めのない非常勤職員の存在は,法の予定しないところというべきであるから,任期を定めて任用された職員について,その任用の更新が繰り返されたからといって,常勤職員に転化することがないことはもとより,期限の定めのない非常勤職員になることもないことも,また被告所論のとおりである。 イかつて民間企業にまま見られたように,有期労働契約において,その更新が繰り返されるうちに,次第にその契約期間完了の都度,直ちに新契約締結の手続をとることが行われなくなり,実質的に期限の定めのない契約 つて民間企業にまま見られたように,有期労働契約において,その更新が繰り返されるうちに,次第にその契約期間完了の都度,直ちに新契約締結の手続をとることが行われなくなり,実質的に期限の定めのない契約と同視できるようになるといったケース(東芝柳町工場臨時工契約更新拒絶事件・最判昭和49年7月22日民集 28巻5号927頁は,このような事案について解雇に関する法理の類推を肯認した裁判例である。)は,勤務条件法定主義を採り,法や規則に則って任用及び任用更新手続が履践される非常勤職員たる公務員の任用関係においては考えにくい。 また,同様に当事者の合理的意思解釈によって,任用関係の内容が改訂・変更されるとすることも認め難いことから,任用更新が繰り返されたことによる非常勤職員の更新への期待に対して,直ちに合理的期待であるとして法的保護が与えられると解することもまた困難である。 ウ本件と同様の国立大学等の事務補佐員たる非常勤職員(ただし,本件と異なり日々雇用職員)が3年度目の任用予定期間満了後に再度の任用がされなかったため,その国家公務員たる地位の確認と損害賠償を求めた事案(大阪大学図書館事務補佐員再任用拒絶事件)について,控訴審(大阪高判平成4年2月19日労判610号54頁)が,「国家公務員の勤務関係は公法上の関係であって,その任用については国公法,人規その他の公法的規制下にあり,日々雇用職員としての任用の更新が継続されたことを理由として,控訴人の日々雇用職員としての任用が期限の定めのない非常勤職員としての任用に転化することを認めることは,結局,任用の要件,手続,効果等について,それぞれ法律によって定めている右国公法等の規定の趣旨を潜脱する結果となるから,許されないものと解するのが相当である。」「公法的規制を受ける国家公務員の任用関係の 任用の要件,手続,効果等について,それぞれ法律によって定めている右国公法等の規定の趣旨を潜脱する結果となるから,許されないものと解するのが相当である。」「公法的規制を受ける国家公務員の任用関係の性質からすると,日々雇用の一般職国家公務員の地位は,任用期間の満了 によりて当然に消滅するものというほかなく,したがって,期間が満了した非常勤職員を再度採用するかどうかは任命権者の自由裁量に属し,解雇に関する法理を類推適用すべき余地はないものと解するのが相当である。」と判断したところ,これが上記東芝柳町工場臨時工契約更新拒絶事件や日立メディコ柏工場臨時員契約更新拒絶事件・最判昭和61年12月4日労判486号6頁等の最高裁判例違反である等とした上告理由に対し,最高裁判所は,「原審の適法に確定した事実関係の下においては,上告人は,昭和59年3月30日に任用予定期間が経過したことによって当然に退職したものとした原審の判断は,正当として是認することができ,右判断は,所論引用の判例に抵触するものではない。」と判示した(最判平成6年7月14日労判655号14頁)のは,上記の趣旨によるものと思われる。 エまた,被告所論の横浜市所在の青葉台郵便局の非常勤職員(日々雇用職員たるいわゆる「ゆうメイト」)の任用更新拒絶について,損害賠償を請求した事案(乙25,乙26,乙27)に関する控訴審判決(東京高判平成15年8月6日,乙26)が,「控訴人ら日々雇用職員の任用上の法律関係を定める上記人事院規則及び任用過程の上記のような規定内容に照らせば,その任用関係について,法の一般原則により解雇権濫用の法理が適用又は類推されるとする控訴人らの主張は採用することができない。」と判示したのも,同様の理を述べたものとも考えられるところである。 (3)非常勤職員の勤務 ,法の一般原則により解雇権濫用の法理が適用又は類推されるとする控訴人らの主張は採用することができない。」と判示したのも,同様の理を述べたものとも考えられるところである。 (3)非常勤職員の勤務関係に対する信義則,権利濫用の法理の適用 ア被告は,「非常勤職員の任用を更新するかどうかについては,予算,業務の必要性,当該非常勤職員の能力,事務・事業の合理化推進の必要性等の事情を総合的に勘案して決定している。」と主張し,非常勤職員の任用更新または更新拒絶の判断は,上記事情を勘案した上での任命権者の裁量処分と主張するようである。 イそうであったとしても,行政事件訴訟法30条は,取消訴訟について「行政庁の裁量処分については,裁量権の範囲をこえ又はその濫用があった場合に限り,裁判所は,その処分を取り消すことができる。」と定め,裁量処分に関しても裁量権の逸脱または濫用の場合には違法となる旨明記しているところである。 ウ思うに,権利濫用ないし権限濫用の禁止に関する法理は,解雇に限らず一般的に妥当する法理であって,「権利の行使及び義務の履行は,信義に従い誠実に行わなければならない。」という信義則の法理と共に,公法上の法律関係においても適用の余地のある普遍的法原理であるというべきであって,これは裁判例も認めるところである。 エそして,任期付きで任用された公務員の任用関係が,被告所論のように公法的規律に服する公法上の法律関係であるとしても,この場合に,これらの法理の適用の可能性を全く否定するのは相当ではない。これを解雇権濫用法理の類推と呼ぶかどうかは別として,特段の事情が認められる場合には,権利濫用・権限濫用の禁止に関する法理ないし信義則の法理が妥当することがあり得ると考えるのが相当である。 (4)最高裁判所も,前記大阪大学図書館 は別として,特段の事情が認められる場合には,権利濫用・権限濫用の禁止に関する法理ないし信義則の法理が妥当することがあり得ると考えるのが相当である。 (4)最高裁判所も,前記大阪大学図書館事務補佐員再任用拒絶事件・最判平成6年7月14日労判655号14頁において,「任命権者が,日々雇用職員に対して,任用予定期間満了後も任用を続けることを確約ないし保障するなど,右期間満了後も任用が継続されると期待することが無理からぬものと見られる行為をしたというような特別な事情がある場合には,職員がそのような誤った期待を抱いたことによる損害につき,国家賠償法に基づく賠償を認める余地があり得る。」として,非常勤職員に対する任用更新拒絶が違法と評価されることがあり得ることを示しているところ,これは,前記(3)エにいう特段の事情が認められる場合を示したものとも解される。 (5)任用更新拒絶が権利濫用に当たる場合に言及した裁判例ア被告所論の横浜市所在の港郵便局の非常勤職員(日々雇用職員たるいわゆる「ゆうメイト」)の任用更新拒絶に関する雇用契約関係確認等請求の行政訴訟の事案(乙35,乙36)において,その控訴審判決(東京高判平成16年8月25日,乙36)は,「控訴人の期限付任用は,制度上,更新が当然に予定されているものではないから,解雇事由がないから任用更新ができないとか,任用更新をしないこと自体が権利濫用であるとは認めることができない。」と判示している。 イしかし,同控訴審判決は,それに続いて「なお」として,任用更新をしなかった理由について触れて当該事案の事情を考察したうえ,「そこで,課長の説明に係る上記任用更新をしない理由というものも,全く根拠がないものとは認められず」と説示し,加えて「その 他にも控訴人について任用更新をしないことが 事案の事情を考察したうえ,「そこで,課長の説明に係る上記任用更新をしない理由というものも,全く根拠がないものとは認められず」と説示し,加えて「その 他にも控訴人について任用更新をしないことが特別に権利濫用に当たることをうかがわせるような事情も見当たらない。」と判断するところである。 ウ上記裁判例は,ここにいう「任用更新をしないことが特別に権利濫用に当たる事情」が存在する場合には,任用更新拒絶が許されないことを示したものと解されるところ,ここにいう「任用更新をしないことが特別に権利濫用に当たる事情」とは,前記(3)エにいう特段の事情と同義と解されるものと思料する。 エなお,原告ら所論の岡山市所在の岡山中央郵便局の非常勤職員(ゆうメイト)の任用更新拒絶に関する地位確認等請求事件について,岡山地判平成14年10月15日労働法律旬報1552号38頁(甲37)は,「本件の期限付き任用の内容は職員の身分保障を妨げないものでなければならず,信義則や,権利濫用が許されない旨の民法1条所定の法規整が及ぶものというべきであって,本件雇止めにも解雇権濫用法理の類推適用の余地がある。」「期間満了によって,当然に任用関係が消滅し,あるいは,被告の自由裁量によって更新拒絶をなしうるものではなく,前記一に説示したことに照らし,更新拒絶が権利濫用に係るものでないことが必要である。」として,上記観点から当該雇止めの効力について検討している(結論としては,当該原告が顧客との信頼関係を損ね,職務の円滑な遂行を阻害し,また,職務を懈怠したとして,当該雇止めは相当であるといわざるを得ず,解雇権濫用と見られるべき点は認められないとしている。)。 (6) 結論 ア以上によれば,①任命権者が,非常勤職員に対して,任用予定期間満了後も任用を続けることを確約ない るといわざるを得ず,解雇権濫用と見られるべき点は認められないとしている。)。 (6) 結論 ア以上によれば,①任命権者が,非常勤職員に対して,任用予定期間満了後も任用を続けることを確約ないし保障するなど,右期間満了後も任用が継続されると期待することが無理からぬものと見られる行為をしたというような特別な事情があるにもかかわらず,任用更新をしない理由に合理性を欠く場合,②任命権者が不当・違法な目的をもって任用更新を拒絶するなど,その裁量権の範囲をこえまたはその濫用があった場合,③その他任期付きで任用された公務員に対する任用更新の拒絶が著しく正義に反し社会通念上是認しえない場合など,特段の事情が認められる場合には,権利濫用・権限濫用の禁止に関する法理ないし信義則の法理により,任命権者は当該非常勤職員に対する任用更新を拒絶できないというべきである。 イよって,本件において,上記特段の事情が認められる場合に当たるか否かについて以下に検討する。 なお,当裁判所は,後記の理由から本件における特段の事情の有無の認定に際しては,G情報センターが原告Aに対し,平成11年12月27日ころ,今後の任用更新は3年を上限とする旨を告知したか否かが,重要な間接事実となるものと思料する。 そこで,以下に上記特段の事情の存否に関する判断,その他争点Ⅲ,Ⅳ,Ⅴに対する判断の前提となる事実関係を審究するに,証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (1)原告Aの任用ア原告Aは,雑誌に載っていたG情報センターの求人広告を見てこ れに応募した(甲52)。 G情報センター所長は,平成元年5月1日付けで原告Aを非常勤職員(時間雇用職員,事務補佐員,事業部データベース課)として,任期を平成2年3月31日まで,時給を657円として任用し,その旨の 2)。 G情報センター所長は,平成元年5月1日付けで原告Aを非常勤職員(時間雇用職員,事務補佐員,事業部データベース課)として,任期を平成2年3月31日まで,時給を657円として任用し,その旨の人事異動通知書を交付した(乙13の1)。 イ原告Aが担当してきた業務内容は,学会発表データベース及び科学研究費成果概要データベース等のデータ整理(原稿のチェック,納品データの確認チェック等)及び業務補助であり,その間に13回にわたって任用更新が繰り返されたが,C研への改組後もその業務内容に基本的に変更はなかった(甲41,甲42,甲43,甲44,甲45,甲46,甲47,甲48,甲49,乙13の1ないし16,原告A本人尋問の結果・5頁)。 ウC研が原告Aに宛てた「非常勤職員の勤務条件等」と題する書面(甲7)には,身分として「一般職員の国家公務員のうち,非常勤職員(時間雇用職員)として採用された。」,任期として「当該会計年度とする。」,勤務日等として「週5日・月~金を勤務日とし,他の日は勤務を要しない日とする。」,勤務時間として「1週間の勤務時間は30時間とする。月~金曜日1日6時間(10時00分~16時30分)」,休暇として「人事院規則15-15(非常勤職員の勤務時間及び休暇)等の規定に基づき休暇を与える。」,災害保障(ママ)として「公務上の災害に対しては,国家公務員災害保障(注;「補償」の誤記と思われる。)法の適用がある。」,その他として「社会保険(健康保険,厚生年金),雇用保険に加入す ることができる。」との記載がある。 エ原告Aは,平成2年4月1日より雇用保険に,平成8年10月1日より厚生年金にそれぞれ加入していた(甲6,甲9)。 (2)Dの勤務条件ア原告組合の代表者であるD(以下「D」という。)は,原告Aと同様,G情報セ 2年4月1日より雇用保険に,平成8年10月1日より厚生年金にそれぞれ加入していた(甲6,甲9)。 (2)Dの勤務条件ア原告組合の代表者であるD(以下「D」という。)は,原告Aと同様,G情報センター事業部データベース課ないしC研開発・事業部アプリケーション課の非常勤職員として平成元年4月1日から勤務していた者である。 イG情報センターがDに宛てた「非常勤職員の勤務条件等」と題する書面(甲8)の記載内容は,身分,任期,勤務日等,災害保障及びその他は上記甲7と同様である。勤務時間は「週31時間,月曜日から木曜日1日6時間(9時00分~15時15分),金曜日7時間(9時00分~16時15分)であるほか,休暇の欄には「年次有給休暇」として,「(1)採用後1年以上継続して勤務し,全勤務日の8割以上出勤した場合に,次の1年間に下表の休暇日が与えられる。」として下表には「勤続勤務年数が1年以上2年未満10日,2年以上3年未満11日,3年以上4年未満12日,4年以上5年未満13日,5年以上6年未満14日(いずれも週5日勤務の場合)」との記載が,また「(3)残日数は10日を限度として,次の1年間に繰り越すことができる。」との記載になっている。 ウ上記勤務条件中,年次有給休暇については,その事務補佐員としての共通性から,原告Aについても同様であったと解される。 (3)G情報センターからC研への改組の前後 アG情報センターからC研への改組に先立つ平成11年3月9日,平成12年以降の非常勤職員の雇用について,非常勤職員を対象者とする連絡会が開催された(乙9の1,2)。 イ上記連絡会には原告Aも出席した。出席者には,「G情報センター非常勤職員各位」として「平成12年4月以降のG情報センターにおける非常勤職員の雇用について」と題したG情報 された(乙9の1,2)。 イ上記連絡会には原告Aも出席した。出席者には,「G情報センター非常勤職員各位」として「平成12年4月以降のG情報センターにおける非常勤職員の雇用について」と題したG情報センター管理部長名の平成11年3月9日付け文書(事務連絡)(甲9の2)が配布された(証人Hの供述・7頁,原告A本人尋問の結果・25頁)。ここでの説明内容は,「現在のG情報センターの業務はどうなるのかということは現時点では何ともいえませんが,(中略)すべての業務が現状のまま継承されるというのは,かなり難しいのではないかと思われます。」「継承される場合でも,その継承される業務への対処方針を検討し,業務補助が必要となるときは,依頼する業務内容や条件を整理した上で,予算の許す範囲内で,改めて募集させていただくことになると思います。」「また,更なる状況の変化があれば,適宜ご連絡させていただきます。」という抽象的,仮定的なものであった。 (4)G情報センターの平成11年12月27日ころの方針ア管理部総務課長の同年12月27日付け事務連絡「平成12年度非常勤職員の採用に伴う取扱いについて」(乙10)には,「任用期間は原則として1年間とする。なお,センター側と本人が同意すればさらに1年間更新することができるが原則として最大3年間とする。」と記載されている。 イ上記方針に基づいて,G情報センターは,各非常勤職員が所属する課の各課長に対して,各非常勤職員に対し,上記方針を口頭で告知するよう指示した。ただし,この時には前記3月時の連絡会のような説明会が催されたことなく,非常勤職員に対する説明文書が配布された事実もなかった。また,非常勤職員から上記方針に関する承諾書を取り付けることもしなかった(証人Hの供述・46頁)。 ウ上記当時,原告Aが所属す されたことなく,非常勤職員に対する説明文書が配布された事実もなかった。また,非常勤職員から上記方針に関する承諾書を取り付けることもしなかった(証人Hの供述・46頁)。 ウ上記当時,原告Aが所属する事業部データベース課の課長は,訴外Iであり(以下「I課長」という。),同課には当時原告A,Dを含む6名の非常勤職員が在籍していた(乙13の11)。 エ平成11年12月27日以後,非常勤職員の間からG情報センター当局に対する反発ないし動揺が生じた様子は窺われない(証人Hの供述・10頁,46頁)。原告Aにおいても,その直後に何らかの行動をおこすこともなく,格別普段と変わることなく勤務していたことが窺われる(原告A本人尋問の結果・28頁,39頁)。 オC研へ改組された平成12年4月1日以降も,原告Aは任用更新されたこと,所属部課名が事業部データベース課から開発・事業部アプリケーション課に変更されたものの,原告Aの担当業務はほぼ従来通りであったことは前記のとおりである。 カC研へと改組されたころから,新たに採用される事務補佐員に対しては,3年で雇用を打ち切る旨の文書に署名・押印を求めるようになり(訴状7頁),原告Aも,このことを聞き知った(甲52,原告A本人尋問の結果・28頁)。 キなお,上記改組に際して,C研の建物が千代田区mn丁目o番p 号G総合センター内の現在地へ移転し,竣工式が行われたが,原告Aが所属していた課では非常勤職員に対する式の案内はなく,式から戻ってきた一部の常勤職員から「行きたければ行ってくれば。」と言われただけであって,原告Aは悔しい思いをした(甲52)。 (5)平成14年10月,11月の非常勤職員の雇用計画に係る調査ア平成14年11月12日起案の「非常勤職員の雇用計画等について」と題する文書(甲11)添付のア 告Aは悔しい思いをした(甲52)。 (5)平成14年10月,11月の非常勤職員の雇用計画に係る調査ア平成14年11月12日起案の「非常勤職員の雇用計画等について」と題する文書(甲11)添付のアプリケーション課に係る平成14年10月24日付け「非常勤職員の雇用計画に係る調査票」には,システム開発管理係欄に,非常勤職員氏名「D」,外注化の可否「可」,H15年度必要人員「1」,H15年度の状況「要後任補充」との記載が,データ処理技術係の欄に,非常勤職員氏名「A」,非常勤に係る業務内容「科研DB原稿前処理,引用DB雑誌受入処理,科研DB,引用DB納品データチェック・修正」,外注化の可否「可」,H15年度必要人員「1」,H15年度の状況「派遣切り替え可(司書資格保有者希望)」との記載がある。 イこの調査票は,平成14年10月10日付け総務課長事務連絡「非常勤職員の雇用計画等について(依頼)」(甲12)に基づいて作成されたものである。当時,アプリケーション課は,常勤職員が課長1名,課長補佐1名,係長3名,事務官3名の計8名,非常勤職員が原告A,Dら事務補佐員計5名の構成であった(乙24の2)。 ウこの時点では,アプリケーション課に在籍する5名の事務補佐員のうち,システム開発係のDについては任期満了と共に退職して後 任を補充することに,データ処理技術係の4名中,訴外J及び原告Aが任期満了と共に退職して後任は司書資格保有者による派遣切り替えに,訴外Pは15年度内継続要望に,訴外Kは,当初採用が平成12年11月1日であるため,任用期間が3年に達せず,任用更新した上,3年に達する平成15年11月以降も年度内は継続任用することが,開発・事業部側の希望であったことが窺われる(甲11)。 (6)C研の平成14年12月27日ころの方針ア平 せず,任用更新した上,3年に達する平成15年11月以降も年度内は継続任用することが,開発・事業部側の希望であったことが窺われる(甲11)。 (6)C研の平成14年12月27日ころの方針ア平成14年12月27日付け事務連絡会議決定の「平成15年3月31日における非常勤職員(事務系)の取扱い」と題する文書(乙11の2,なお,甲10はその案である。)には,「C研が平成12年4月1日に改組・創設された際,それまで任期を付されていなかった平成12年4月1日以前より在職している時間雇用非常勤職員(事務系)の雇用期間については,一律に平成12年4月1日を始期とする最長3年間の雇用期間とすることとなった。従って,平成15年3月31日には一度に多くの者が雇用期間満了となり,」との記載がある。 イ加えて上記会議決定では,続いて「場合によっては,業務遂行上,著しく支障が出ることが危惧される。」として,「下記の①から③の何れかに該当し,かつ,業務を遂行するうえで真に必要と認められる場合には,特例措置として3年を超えて平成15年4月1日から平成16年3月31日まで継続雇用できることとする。なお,本措置を適用する際の非常勤職員の選考については,その必要性,合 理性,客観性に十分配慮し,公平かつ適切な方法で行うものとする。」として次の基準が示された①同一係において相当数の非常勤職員が同時に雇用満了となり,担当業務の専門性及び業務の複雑・困難さの観点から早急な代替措置又は外注化が困難である場合。 ②同一係の上記職員が全て異動することにより,円滑な業務引き継ぎ等が担保されず継続性の観点から業務に支障が生ずることが明らかである場合。 ③常勤職員の欠員に伴う経過措置として一時的に常勤職員の行っていた業務の一部を当該非常勤職員が担当しているなかで, き継ぎ等が担保されず継続性の観点から業務に支障が生ずることが明らかである場合。 ③常勤職員の欠員に伴う経過措置として一時的に常勤職員の行っていた業務の一部を当該非常勤職員が担当しているなかで,早急な欠員補充が困難であり,かつ,円滑な業務の継続性が必要な場合。 (7)平成15年1月の非常勤職員の雇用計画に係る調査ア平成15年1月7日起案・同月9日決裁の「平成15年度非常勤職員の雇用について」と題する文書(乙11の1,2)に基づいて,非常勤職員の雇用計画に関する調査が行われ,「平成15年度非常勤職員雇用予定調査票」が作成された。 イそのアプリケーション課に係る同年1月27日付け調査票(乙30)によると,Dは「要後任補充」であって従前の調査票(甲11)の記載と変わらないが,原告Aは外注化「可」,「後任不要(請負切替予定)」とされ,原告Aの業務に関しては従前の「派遣切り替え可」から「請負切替予定」に変更された。また,従前15年度任用更新予定であったPについては「後任不要(請負切替予 定)」に変更されている。 ウこれらは原告Aの属するデータ処理技術係においては,事務補佐員4名中,原告Aを含む3名が平成15年3月31日が雇用期限であったところ,その担当業務を民間委託(外注化)することとした(甲50,乙30,被告準備書面(5)4頁)ことに伴うものと思われる。 エ上記調査に関連してコンテンツ課においては,平成15年1月ころ,その所属の事務補佐員全員に対して課長による個別面談が行われ,その席上,同課課長は,各事務補佐員に対し,3年を上限とする任用予定期間があることを了承しているかどうかを確認した(証人Hの供述・44頁)。 (8)平成15年4月1日以降の任用計画の決定ア上記調査に基づいて同年2月6日開催の事務連絡会議において, する任用予定期間があることを了承しているかどうかを確認した(証人Hの供述・44頁)。 (8)平成15年4月1日以降の任用計画の決定ア上記調査に基づいて同年2月6日開催の事務連絡会議において,C研において平成15年3月31日をもって上記3年間の雇用期限が満了する非常勤職員は36名いたところ,そのうち任用更新しない者が23名で,その理由内訳は代替補充9名,外注化(アウトソ-シング)8名,削減6名であり,成果普及課,コンテンツ課等の13名を特例的に任用更新することとされた。その理由は,成果普及課については上記③,コンテンツ課については上記①によるものとされた(乙12)。 イ上記決定に基づく同年2月7日起案・同月10日決裁の「平成15年度非常勤職員の雇用について」と題する文書(乙12)のとおり,成果普及課及びコンテンツ課からの特例措置として継続雇用を 希望する者については1年を限度とする継続が認められたことにより,各課において,雇用予定者の勤務の意志及び任期等を確認の上2月28日まで必要書類を提出することとされた。また,後任の補充に当たり一括面接等を必要とする場合は,その有無を2月14日まで総務課長まで連絡するものとされた(乙12)。 ウC研は,平成15年2月23日朝刊に事務職の求人広告を出した(甲14),上記後任の代替補充者等を募集した。 (9)原告Aに対する本件任用更新拒絶の告知ア原告Aは,平成14年11月ころ,前記(5)の非常勤職員の雇用計画等についての文書(甲11)を見たというDから話を聞かされ,自分の欄が「派遣切り替え」と記載されていることを知り,不安に感じた。次いで平成15年1月に入ると,同じ開発・事業部のコンテンツ課において,非常勤職員に対して課長から「平成15年3月における3年雇い止めについて知っている 」と記載されていることを知り,不安に感じた。次いで平成15年1月に入ると,同じ開発・事業部のコンテンツ課において,非常勤職員に対して課長から「平成15年3月における3年雇い止めについて知っているか。」との確認が個別にあったという噂を耳にし,さらに前記(6)の平成14年12月27日付け事務連絡会議決定の「平成15年3月31日における非常勤職員(事務系)の取扱い」と題する文書の案文(甲10)に,「時間雇用非常勤職員(事務系)の雇用期間については,一律に平成12年4月1日を始期とする最長3年間の雇用期間とすることとなった。 従って,平成15年3月31日には一度に多くの者が雇用期間満了となり,」との記載を発見して不安に駆られた(甲52,甲58,原告A本人尋問の結果・30頁,34頁,36頁)。 イ原告A,Dは,訴外Lと連名で,平成15年1月20日,C研所 長宛てに「来年度も雇用が更新されるものと信じておりますが,最近,私たち非常勤職員の間で,『非常勤職員(ただし研究系を除く)において来年度の任用更新が行われない』のではないか,という噂が流れており,そのことにより大きな心労を感じております。」との文書を提出した(甲13)。 ウこれに対しC研は,平成15年1月23日付けで管理部総務課長名で原告A宛てに,所長了解のもと,所長に代わり回答するとして,「非常勤職員は,国家公務員法附則13条に基づく特例である人事院規則8-14(非常勤職員等の任用に関する特例)を根拠として雇用されております。非常勤職員の任用制度は,年度毎に1日以上最長1年以内の任期を付して任用され,任期満了を以て当然に退職を予定した任用形態の制度であり,再任用を前提とした制度ではありません。あなたの場合にあっては,平成14年4月1日付けの人事異動通知書に記載されているとおり平 して任用され,任期満了を以て当然に退職を予定した任用形態の制度であり,再任用を前提とした制度ではありません。あなたの場合にあっては,平成14年4月1日付けの人事異動通知書に記載されているとおり平成15年3月31日限りで任期満了となりますが,平成15年4月1日以降の任用は予定しておりませんので,予めお知らせいたします。」と回答した(甲3)。 エこれを受けて原告A,Dは,平成15年2月6日,C研所長宛てに「平成15年1月22日に総務課長より,『「C研究所になったのを機に平成12年4月1日に事務系の非常勤職員の任期はこれ以降最長3年間の雇用期間とすることとなった。」と決まった。』と突然宣告されましたが,私たちは「最長3年間」という話は伺っておりませんし,文書等もいただいていない旨を伝えたにもかかわらず,『言いました。』『決まりました。』と何度も言われ,たいへ ん困惑している次第です。」「4月以降の収入源を絶たれ,生活に困窮するのは目に見えています。私たちは,今後もC研究所での勤務を続けたいと思っております。」との「要望書」(甲15)を提出した。 (10)原告組合の結成ア原告A,Dは,平成15年1月20日,女性ユニオンBに相談に行き,女性ユニオンB執行委員長の訴外M(以下「M」という。)に相談したところ,Mから,職員団体を結成して団体交渉をすることを勧められた(証人Mの供述・1頁)。 イ原告A,Dは,Mと共に,平成15年2月5日,原告組合を結成し(甲4),人事院に組合登録を申請した。 ウC研においては,それまで非常勤職員による職員団体は存在しなかった(証人Hの供述・43頁)。 (11)原告組合のC研に対する団体交渉申入ア原告組合は,平成15年2月6日,C研所長宛に「団体交渉申入書」(甲16)を送った。その議題は,非常勤 体は存在しなかった(証人Hの供述・43頁)。 (11)原告組合のC研に対する団体交渉申入ア原告組合は,平成15年2月6日,C研所長宛に「団体交渉申入書」(甲16)を送った。その議題は,非常勤職員の任用更新,勤務条件の改善,差別待遇問題その他であった。 これに対しC研は,「団体交渉について」と題する同年2月10日付け文書(乙28)をFAXで送り,主として原告組合が国家公務員法上の職員団体としての要件を充たしているか不明であるとし,これを明確にするよう求めた(甲16,乙28,証人Hの供述・42頁)。 イ原告組合は,同月10日付けでC研所長宛に申入書(乙17)を 送った。 C研所長は,原告組合執行委員長D宛てに,「2003年2月10日付け申入書について」と題する平成15年2月13日付け文書(甲18)を交付した。 ウ原告組合は,「予備交渉について」と題する同年2月19日付け文書(甲31,乙18)に原告組合の規約(甲4)を添付してC研に提出した。 C研は,原告組合が国家公務員法108条の2の職員団体であるかどうか,かつ,交渉の当事者としての適格性を有するかどうかについて,上記規約からは確認できなかったとして,「予備交渉について」と題する同年2月24日付け文書(甲19)をFAXで送った。 エ人事院関東事務局長は,原告組合を平成15年3月3日付けで登録した(甲5)。 オ同年3月5日,原告組合は,C研所長宛に「団体交渉について」と題する文書(甲20)を送り,①非常勤職員の任用更新について,②非常勤職員の勤務条件の改善について,③非常勤職員に対する差別待遇について,④その他を議事として団体交渉を行うよう求めた。 これには,人事院の登録通知(甲5)が添付されていたことから,C研は,原告組合が交渉の当事者足りうることが確認されたとして, に対する差別待遇について,④その他を議事として団体交渉を行うよう求めた。 これには,人事院の登録通知(甲5)が添付されていたことから,C研は,原告組合が交渉の当事者足りうることが確認されたとして,予備交渉を行うこととし,原告組合に対し,「予備交渉について」と題する同年3月7日付け文書(乙19の1)を送った。 (12)原告組合とC研との第1回予備交渉 ア同年3月13日午後3時から,第1回予備交渉が行われた。出席者は原告組合側がD(執行委員長),訴外M(副執行委員長),原告A(書記長)の3名で,C研側がN総務課長,O人事係長の2名であった(甲53の1,2,乙31,証人Mの供述・4頁)。原告組合は,同日付け「非常勤職員に対する任用更新拒否(解雇)の撤回を求める要求書」(乙19の2)を提出した。 イその席上C研側は,任用更新の上限を3年とする方針の原告Aに対する伝達について,「当時原告Aが所属していたデータベース課のI課長が,平成11年12月27日か,2,3日以内に,データベース課の非常勤職員を一堂に集めた上,口頭で通知した。」と回答したところ,そのころデータベース課の非常勤職員が全員出勤していた日があったとは思えないとの疑問が原告組合側から寄せられた(甲53の1,2)。 (13)原告組合とC研との第2回予備交渉アC研は,原告組合に対し,「予備交渉について」と題する同年3月18日付け文書(乙20)を送った。 イ同年3月25日午前10時30分から,第2回予備交渉が行われた。出席者は原告組合側が前回と同じ3名,C研側が前回の2名にH総務課長補佐を加えた3名であった(甲54の1,2,乙31,証人Hの供述・42頁,証人Mの供述・4頁)。 ウその席上C研側は,任用更新の上限を3年とする方針の原告Aに対する告知について,「I課長に再 務課長補佐を加えた3名であった(甲54の1,2,乙31,証人Hの供述・42頁,証人Mの供述・4頁)。 ウその席上C研側は,任用更新の上限を3年とする方針の原告Aに対する告知について,「I課長に再度確認したところ,記憶がやや薄れているため,一堂に集めた時に全員はいなかったかもしれない が,いなかった非常勤職員に対して,別途日を空けず,間違いなく雇用期間の件を伝えたとの返答だった。」旨,前回とはやや違う回答をした(甲54の1,2)。 (14)原告組合とC研との第3回予備交渉ア原告組合は,C研所長宛に,同年3月25日,「団体交渉について」と題する文書(甲33)を,同年3月28日,「非常勤職員の任用更新等についての要請」と題する文書(甲34,乙21)をそれぞれ送った。 イ平成15年3月31日午前10時30分から,第3回予備交渉が行われた。出席者は,双方とも前回と同じ各3名であった(甲55の1,2,乙31)。 (15)平成15年4月1日以降の交渉経過ア平成15年4月1日,原告組合のMは,原告A,Dらと共に,C研所長宛て「抗議及び団体交渉申入書」(甲21)をC研総務課まで渡しに行き,同時に原告A,Dにおいて,同日以降もC研において就労の意思のあることを示した(甲21,甲39,証人Mの供述・5頁,10頁)。 イ原告組合は,更に同年4月7日付けで「質問及び要求書」(甲22)を,4月28日付けで「抗議及び交渉申入書」(甲23)を,5月20日付けで「抗議及び交渉申入書」(甲24)を,10月2日付けで「質問及び団体交渉申入書」(甲25)を,11月6日付けで「抗議及び要求書」(甲26)を,それぞれ提出した。 ウこれに対してC研は,5月15日付け(甲27),6月3日付け (甲28),10月15日付け(甲29),12月1日付け(甲1 1月6日付けで「抗議及び要求書」(甲26)を,それぞれ提出した。 ウこれに対してC研は,5月15日付け(甲27),6月3日付け (甲28),10月15日付け(甲29),12月1日付け(甲17,乙22)及び平成16年3月19日付け(乙23)各文書で回答したが,C研側では,平成15年4月1日以降,予備交渉という認識はなく,話し合いの機会は持たれたものの(甲56の1,2),以後交渉が開かれることはなかった(乙31,証人Hの供述・43頁,証人Mの供述・6頁)。 (16)平成15年4月1日以降の非常勤職員の任用更新の状況アC研において平成15年3月31日における任期満了者は,原告Aを含め59名のところ,うち任用更新者は35名である。 イそのうち平成12年4月1日から起算して3年間の雇用期限が満了する非常勤職員は36名であったところ,うち特例的に任用更新された者が13名いる(コンテンツ課10名上記①該当,総務課2名上記②該当,成果普及課1名上記③該当)。その残りの原告Aを含む23名が任用更新されなかったところ,その理由内訳は,後任の非常勤職員の任用による代替補充9名,外部業務委託8名,削減6名である。そのうちC研として転職先をあっせんした者はいない(証人Hの供述・16頁)。 ウなお,平成15年度においては24名が新規任用された。また,上記13名の特例的任用更新者は,いずれも平成16年3月31日までの間に自己都合または任期満了により退職している(被告準備書面(7)13頁,証人Hの供述・15頁)。 (17)原告Aが担当していた業務の外注化ア原告Aが平成15年3月当時担当していた学術用語集データベー ス関連補助業務,引用文献リンクシステムの関連補助業務等は,他の任用期間が満了した事務補佐員の業務と共に平成15年4月から外部業 ア原告Aが平成15年3月当時担当していた学術用語集データベー ス関連補助業務,引用文献リンクシステムの関連補助業務等は,他の任用期間が満了した事務補佐員の業務と共に平成15年4月から外部業務委託された(被告準備書面(7)14頁,甲50)。人材派遣会社の派遣社員を受け入れているということではない(証人Hの供述・15頁,37頁)。 イ平成16年4月の法人化に際して,開発・事業部のアプリケーション課は,コンテンツ課に吸収される形で改組され,原告Aが担当していた上記業務のうち学術用語集データベース関連補助業務はコンテンツ課学術情報形成第2係が,引用文献リンクシステム関連補助業務は同課学術情報形成第1係が,それぞれ担当することとされた(被告準備書面(7)14頁)。 (18)人事院からの職員団体の登録抹消申請の通知平成17年3月15日,人事院は,関東事務局総務課長名で,原告組合執行委員長に対し,平成16年4月1日の国立大学の法人化に伴い,原告組合が国公法上の職員団体としての要件を具備しないものとなったとして,職員団体の登録抹消申請書にて抹消手続を行うよう通知した(甲36)。 争点Ⅲー1「G情報センターが原告Aに対し,平成11年12月27日ころ,今後の任用の更新は3年を上限とする旨を告知したか否か。」について(1)前記認定によれば,平成11年3月9日,G情報センターが説明のための連絡会をもったことが認められる。原告Aは3月の連絡会には出席していたが,そこでは業務が今のままで継承されるとするのは困 難であるといった抽象的な説明があったに過ぎない。 (2)G情報センター管理部総務課長の平成11年12月27日付け事務連絡「平成12年度非常勤職員の採用に伴う取扱いについて」(乙10)には,「任用期間は原則として1年間とする。なお たに過ぎない。 (2)G情報センター管理部総務課長の平成11年12月27日付け事務連絡「平成12年度非常勤職員の採用に伴う取扱いについて」(乙10)には,「任用期間は原則として1年間とする。なお,センター側と本人が同意すれば更に1年間更新することができるが原則として最大3年間とする。」と記載されているところであり,前記認定のとおり,G情報センターが,平成11年12月27日ころ,今後は非常勤職員の任用予定期間は原則として1年とし,任用更新する場合でも最長3年とする旨の方針を決定したこと,上記方針に基づき,平成11年12月27日ころ,これを各課長宛てに通知し,課長がその所属の非常勤職員に口頭で告知するよう指示したことが認められる(乙10,証人Hの供述・10頁,28頁)。 (3)被告は,「これにより原告Aの所属するデータベース課のI課長も,同日ころ,上記方針を原告Aに対し口頭で伝えた。」と主張する。 (4)しかし,前記認定によれば,この時には前記3月時の連絡会のような説明会が催されたことなく,非常勤職員に対する説明文書が配布された事実もないこと,非常勤職員から上記方針に関する承諾書を取り付けることもしなかったこと,原告Aら非常勤職員の勤務条件等によると,12月29日以降は勤務を要しない日となっているため(乙13の11),口頭による告知が可能なのは12月27日と28日の両日しかないものの,原告Aが所属していたデータベース課の非常勤職員の中にはその両日とも出勤していない者もいた旨指摘されており,平成11年12月27日ころ,非常勤職員全員に伝えることができた か否か疑問であること(証人Hの供述・45頁,原告A本人尋問の結果・39頁),同日以後,非常勤職員の間からG情報センター当局に対する反発ないし動揺が生じた様子は窺われないこと(証 ことができた か否か疑問であること(証人Hの供述・45頁,原告A本人尋問の結果・39頁),同日以後,非常勤職員の間からG情報センター当局に対する反発ないし動揺が生じた様子は窺われないこと(証人Hの供述・46頁),原告Aにおいても,その直後に何らかの行動をおこすこともなく,格別普段と変わることなく勤務していたこと,非常勤職員間に動揺が広がったのは,平成14年末になってからであること,原告Aが具体的な行動をおこしたのは平成15年1月以降であることの事実が認められる。 (5)前記のとおり平成15年3月時におけるI課長のC研に対する報告内容にも変遷があり(甲53の1,2,甲54の1,2,証人Hの供述・31頁,44頁),同課長が上記報告当時,平成11年12月ころ原告Aに告知したか否かを記憶しているのか疑問を抱かせるものとなっている。 また,前記平成11年12月27日付け事務連絡「平成12年度非常勤職員の採用に伴う取扱いについて」(乙10)には,「おって,平成10年4月2日以降平成12年3月末までの間に採用された非常勤職員については,更新した場合でも最大その採用年月日から原則として3年間とする。」との記載が続いているところ,原告Aのように上記平成10年4月2日より前に採用された者については当該事務連絡の対象となっていないと解釈される可能性もあり,結局のところ,I課長において平成元年5月1日採用の原告Aについては上記方針の告知を必要ないと考え,原告Aに対して告知を行わなかった可能性もないとはいえない。 (6)以上によれば,I課長が原告Aにこれを告知したことを認めるに足りる証拠はない。 (7)結局のところG情報センターの上記方針についての非常勤職員に対する伝達は,不徹底だったものといわざるを得ず(証人Hの供述・47頁),被告主 にこれを告知したことを認めるに足りる証拠はない。 (7)結局のところG情報センターの上記方針についての非常勤職員に対する伝達は,不徹底だったものといわざるを得ず(証人Hの供述・47頁),被告主張の「G情報センターが原告Aに対し,平成11年12月27日ころ,今後の任用の更新は3年を上限とする旨を告知した。」との事実を認めるに足りる証拠はない。 争点Ⅲ「原告Aに対する本件任用更新拒絶が有効か否か。」について(1)以上の認定によれば,原告Aが担当してきた業務は,情報データベース作成関連であって,学術情報の検索サービス,電子図書館サービスなど,学術情報提供サービスを行うことを主な事業の1つとするC研にとっては,恒常的に必要な業務であったこと,それも特定の常勤職員が担当していた業務を補助するという態様でなく,固有の担当業務として継続して従事していたこと,G情報センター時代は,任用更新を希望した非常勤職員はほぼ漏れなく任用更新されていたこと,原告Aに限らず非常勤職員は一般に,ここは長く勤め続けられる職場だという認識を持っており,G情報センター側も,非常勤職員について「任期を付されていなかった」という捉え方をしていたこと,その中で原告Aは,平成元年5月1日から平成12年3月31日までのG情報センター時代に10回,C研への改組後の平成12年4月1日から平成15年3月31日まで3回の合計13回にわたる任用更新を受け,継続して同種の業務に従事していたこと,その間,原告Aの勤務態度及び業績に不足があった旨の被告の主張はなく,かつ,これを窺わせ る事情も見受けられないことが認められる。 (2)G情報センターからC研への改組(平成12年4月1日)に際して,G情報センターが,平成11年12月27日ころ,今後は非常勤職員の任用予定期間は原則とし 事情も見受けられないことが認められる。 (2)G情報センターからC研への改組(平成12年4月1日)に際して,G情報センターが,平成11年12月27日ころ,今後は非常勤職員の任用予定期間は原則として1年とし,任用更新する場合でも最長3年とする旨の方針を決定したことにより,非常勤職員の更新を巡る状況は一変したわけであるから,これは非常勤職員の身分に関して重大な方針変更があったと認められるところ,この方針変更決定が原告Aに伝えられることはなかったことは,前記4認定のとおりである。 なお,これに先立つ平成11年3月9日,連絡会が開催され,非常勤職員への状況説明はあったものの,それはその時点での流動的状況を反映して,その配布文書がいうように「現時点では何ともいえませんが」「更なる状況の変化があれば,適宜ご連絡させていただきます。」といった抽象的,仮定的なものに留まらざるを得なかったものであって,任用更新拒絶に関する具体的な告知とはいえないものである。 その他に非常勤職員に対する連絡会等の説明の場が設けられた様子もない。 (3)そして,平成12年4月1日のC研への改組に当たっても原告Aが任用更新され,その所属する課の名称は変わったものの,原告Aが担当する業務内容はほぼ従来のままであったこと,その際においても前記任用更新に関する方針変更が原告Aに伝えられることがなかったことが認められる。 その翌年の平成13年4月1日の任用更新に際しても同様である。 (4)その翌々年の平成14年4月1日においても同様に任用更新されたが,その時点に至ってもC研から原告Aに対し,上記方針変更の事実を伝えられることがなく,また,上記変更された方針によれば,原告Aについての任用更新は今回が最後となるところ,その旨を告知されたこともないこと,その後においても平成 原告Aに対し,上記方針変更の事実を伝えられることがなく,また,上記変更された方針によれば,原告Aについての任用更新は今回が最後となるところ,その旨を告知されたこともないこと,その後においても平成15年3月31日において任期満了となる原告Aに対し,その後の転職予定等について訊かれた形跡もないこと(原告A本人尋問の結果・40頁)が認められる。 (5)そして,C研が原告Aに次年度の任用更新の予定がないことを告知したのは,平成15年1月に入ってからであり,任期満了まで2か月余しかない間近であって,かつ,それもC研が進んで告知したのではなく,周囲の噂から不安に駆られた原告Aからの質問に答えるものであったこと等の事実が認められる。 (6)厚生労働省は,告示357号「有期労働契約の締結,更新及び雇止めに関する基準を定める告示」において,「使用者は,期間の定めのある労働契約の締結に際し,労働者に対して,当該契約の期間満了後における当該契約に係る更新の有無を明示しなければならない。」と定め,契約更新がない場合には締結に際しこれを明示するよう求めている。 これは私法上の労働契約に関する告示であるから,非常勤職員たる公務員の勤務関係を対象とするものではない。しかし,公務員であっても,民間の労働者と同様,その職を失えば一介の私人(無職者)となって収入の途を立たれるわけであるから,任用更新の当否が種々の事情を勘案して判断されるものだとしても,仮に任用更新をしないこ とが任用当初からはっきりしているのであれば,任命権者は,任期付き任用に際し,被任用者に対して,その任期満了後における任用更新がないことを明示し,もって被任用者をしてその任期終了後の再就職の途を探す機会を与える必要があるというべきである。 (7)本件においては,任命権者たるC研所長は,平 ,その任期満了後における任用更新がないことを明示し,もって被任用者をしてその任期終了後の再就職の途を探す機会を与える必要があるというべきである。 (7)本件においては,任命権者たるC研所長は,平成14年4月1日の任用更新の時点で,原告Aに対し,次の任用更新をしないことを決めていたというのであるから,遅くともその時点ではこれを告知し,もってその任期満了後の再就職の途を探す機会を与えるべきであったと思料する(その後の事情により,仮に原告Aが特例的に任用更新する対象に含まれるに至った場合には,その時点でこれを伝えてこれに応じるか否かを確認すれば足りるものと考える。)。 (8)衆議院議員の平成15年6月10日付け「『国立の大学及び研究機関等における非常勤職員の雇い止め問題』に関する質問主意書」に対する同年7月29日付け政府答弁書は,「研究所においては,任期満了後に任用を更新しない非常勤職員に対しては,本人の申し出を受け,可能な範囲で,再就職についての支援を行ったところである。」と回答しているが(甲40),原告Aに対し,上記告知をしていないのであるから,本人が申し出をする機会を与えていないに等しく,かつ,その後においても転職予定等について訊かれた形跡もないのであるから,同原告に対して再就職についての支援を行ったとは言い難い。 (9)思うに,非常勤職員といっても,任用更新の機会の度に更新の途を選ぶに当たっては,その職場に対する愛着というものがあるはずであり,それは更新を重ねるごとに増していくことも稀ではないところで ある。任命権者としては,そのような愛着を職場での資源として取り入れ,もってその活性化に資するよう心がけることが,とりわけ日本の職場において重要であって,それは民間の企業社会であろうと公法上の任用関係であろうと変わらないも のような愛着を職場での資源として取り入れ,もってその活性化に資するよう心がけることが,とりわけ日本の職場において重要であって,それは民間の企業社会であろうと公法上の任用関係であろうと変わらないものと思われる。 また,非常勤職員に対する任用更新の当否ないし担当業務の外注化の当否については方針もあろうが,任用を打ち切られた職員にとっては,明日からの生活があるのであって,道具を取り替えるのとは訳が違うのである。 これを本件について見るに,C研においては,原告Aら非常勤職員に対して冷淡に過ぎたのではないかと感じられるところである。永年勤めた職員に対して任用を打ち切るのであれば,適正な手続を践み,相応の礼を尽くすべきものと思料する次第である。 (10)以上要するに,原告Aは,平成元年5月1日に非常勤職員として任用されて以来13年11か月にわたり,13回の任用更新を受け,それなりに職場に愛着を持ちつつ勤務に励み,平成15年4月1日以降も任用更新されるものと信じていたところ,C研においては,既に平成11年末において原告Aの平成15年3月31日をもっての任用終了方針を原則決定しており,しかるにその当時においても,その後の最終の任用更新時においても,これを原告Aに告知することをせず,まして,任期満了後における原告Aの再就職について,あっせんはもちろん心配もした形跡がないことが認められるのである。 上記事情の下においては,本件任用更新拒絶は,著しく正義に反し社会通念上是認しえないというべきであって,前記2にいう特段の事 情が認められる場合に該当するものと思料する。 よって,任命権者たるC研所長が,原告Aに対し,平成15年4月1日以降の任用更新を拒絶することは,信義則に反し,許されないものといわなければならない。 なお,被告は,争点Ⅳに係る損害賠償 思料する。 よって,任命権者たるC研所長が,原告Aに対し,平成15年4月1日以降の任用更新を拒絶することは,信義則に反し,許されないものといわなければならない。 なお,被告は,争点Ⅳに係る損害賠償の点に関してではあるが,前記大阪大学図書館事務補佐員再任用拒絶事件の事案と本件とを比較してみても,本件に前記事件の最高裁判決のいう「特別の事情」を認める余地がないことは明らかであるとする。しかし,前記の事案は,日々雇用職員で4月1日から翌年3月30日までを任用予定期間とし,3月31日には公務員たる身分を保有していないことから任用の「更新」といえるか,厳密にいえば微妙な事案であり(上記最高裁判決も,「任用予定期間の満了後に再び任用される」との表現を用いている。),採用から3年度目の任用予定期間の満了をもって再任用されなかった(それ以前に時間雇用職員として4回任用されていたことを加えても,在職期間が通算して4年7か月に満たない。)という事案であって,本件における原告Aのように任用更新が13回に及び,その結果,通算して13年11か月にわたって非常勤職員の身分を継続して保有していた事案とは異なるものである。したがって,前記最高裁判決が,当該事案の事実関係の下においてはそのような「特別の事情」があるということはできないと判示したとしても,本件は事案を異にするものであるから同一には考えられないところである。 任用更新後の原告Aの法的地位について(1)以上によれば,原告AとC研は,平成15年4月1日以降において も従前の任用が更新されたのと同様の法律関係に立つというべきであるから,原告Aは,平成16年3月31日までの任期が付された非常勤職員であったとみなされる。 (2)ア国立大学法人法の施行に基づき,平成16年4月1日からC研の設置者が国 関係に立つというべきであるから,原告Aは,平成16年3月31日までの任期が付された非常勤職員であったとみなされる。 (2)ア国立大学法人法の施行に基づき,平成16年4月1日からC研の設置者が国から非公務員型の独立行政法人たる被告大学共同利用機関法人E研究機構に承継されたこと,国立大学等(大学共同利用機関法人を含む。)の職員は,別に辞令が発せられない限り,同日をもって当該国立大学法人等の職員となるものとされたこと,同職員に対しては同日以降は当該独立行政法人の就業規則が適用されることは,争いのない事実であり,原告Aに対し,上記承継に際し別に辞令が発せられた事実がないことは,弁論の全趣旨により認めることができる。 イ以上によれば,原告AとC研との勤務関係は,上記承継に伴い,平成16年3月31日までの国による任用関係から平成16年4月1日以降は独立行政法人たる被告大学共同利用機関法人E研究機構との労働契約関係に移行したことが認められる。 ウなお,被告は,平成16年4月1日における当該独立行政法人による原告Aに対する採用に疑義を述べるが,本件のような任用更新拒絶の事案においては,当該任用更新拒絶が許されない結果更新される次の任期中に訴訟提起がなされた以上,当該訴訟に対する判決による公権的な判断がなされ,それが確定するまでの間は,その任期が満了したとしても,続いて任用更新がなされたものとして扱うことが,公平の見地から相当であると解される。 その理は,本件のように国から独立行政法人に勤務関係が承継された場合においても,また,有期労働契約における雇止めの事案における契約期間の満了の場合においても,変わらないというべきである。 (3)したがって,平成17年4月1日においても,原告Aは,契約期間を1年とする有期労働契約を更新された立場 ける雇止めの事案における契約期間の満了の場合においても,変わらないというべきである。 (3)したがって,平成17年4月1日においても,原告Aは,契約期間を1年とする有期労働契約を更新された立場にあるというべきであり,その理は,以後本判決確定まで同様である。 (4)非常勤職員が1年度ごとに新たに任用され,その給与は,任用時にその経験年数等を考慮して新たに決定されること(乙5),平成15年3月当時の原告Aの時間給は,1時間1220円であったことは,被告所論のとおりであるところ,その結果,原告Aが,C研から給与として平成15年1月分から3月分まで月平均19万29円を受け取っていたことは原告ら所論のとおりである。 (5)よって,①原告Aが被告に対して労働契約上の地位を有することを確認し,②その未払給与として本件任用更新拒絶以降本訴提起までの190万290円(給与支払は毎月月末締めの翌月17日払いであったから,平成15年4月ないし平成16年1月までの10か月分のみなし就労分である。),③平成16年3月17日から毎月17日限り,本判決確定までの間,月額19万29円の給与(及び各支払日以後の遅延損害金)の支払を命じる次第である。 争点Ⅴ「C研の原告組合の団体交渉申し入れに対する対応が,違法なものとして同組合に対する不法行為になるか。」について(1)前記認定によれば,C研は,原告組合から平成15年2月6日付け で団体交渉の申し入れを受けたところ,その当時は原告組合は人事院登録を受けていなかったことから,原告組合の交渉当事者としての適格性について検討中,人事院の登録通知があったことから,同年3月7日,予備交渉を行う旨通知したこと,これを受けてC研と原告組合との間に同年3月13日,25日,31日の3回にわたって予備交渉が行われたこと ついて検討中,人事院の登録通知があったことから,同年3月7日,予備交渉を行う旨通知したこと,これを受けてC研と原告組合との間に同年3月13日,25日,31日の3回にわたって予備交渉が行われたこと,同年4月1日以降も文書でのやり取りは行われたが,原告Aらの任期が平成15年3月31日をもって満了したとして,C研はそれ以降の交渉を行わなかったことの各事実が認められる。 (2)交渉申入れ団体が登録された職員団体でない時は,当該団体の構成員は職員が主体となっているか,その目的とするところが交渉の内容にふさわしいものかなど,C研において総合的に勘案して交渉することが適当であるかどうか判断する必要があることは被告所論のとおりである。したがって,C研が,原告組合から平成15年2月6日付けで団体交渉の申し入れを受けた際,直ちに交渉ないし予備交渉を行わなかったことは違法とまではいえないところである。 (3)また,登録された職員団体から,職員の給与,勤務時間その他の勤務条件に関し,及びこれに付帯して,社交的又は厚生的活動を含む適法な活動に係る事項に関し,適法な交渉の申入れがあった場合には,当局は,その申入れに応ずべき立場に立つ(国家公務員法108条の5第1項)ところ,登録された職員団体となった原告組合から,平成15年3月5日に交渉の申し入れを受けたC研が,同月7日,その申し入れを受け,交渉を円滑かつ効果的に行うため同月13日に予備交渉を行いたい旨告知したことは前記のとおりである。 そして,同月13日から31日まで3回にわたり,議題,時間,場所その他必要な事項を取り決めるべく,予備交渉の場を設けたものの,原告組合側では,原告Aら非常勤職員の任用更新拒絶の方針を撤回すべしとの要求が中心課題であったため,交渉は平行線をたどり,C研側としては上記要求 な事項を取り決めるべく,予備交渉の場を設けたものの,原告組合側では,原告Aら非常勤職員の任用更新拒絶の方針を撤回すべしとの要求が中心課題であったため,交渉は平行線をたどり,C研側としては上記要求は団体交渉の議題としてふさわしいものでなかったことから本交渉には至らなかったというものである。 (4)以上によれば,C研は,原告組合との間で,一応の交渉を行ったと見ることができるところ,原告組合の権利を侵害する等違法な行為を行ったことを認めるに足りる証拠はない。 (5)原告らは,「本件においては,任用更新をしない旨告げられた原告Aらの任期満了日が迫っており,一刻も早く団体交渉をしなければ同原告らに著しい不利益を与える事案であった。にもかかわらずC研の対応は,任期満了日が迫っていることを承知の上で,時間切れを狙ったものとしか思われない。」と主張するところ,C研において平成15年3月31日の原告Aらの任期満了までの時間稼ぎの目的で原告組合の交渉当事者としての適格性について検討を遅らせたというのであれば,違法と評価される可能性があるが,本件において,C研に上記目的が存したとまで認めるに足りる証拠はない。 (6)なお,前記判示のとおり,原告Aに対する本件任用更新拒絶は,許されないものといわなければならないところであるが,非常勤職員の任用の更新ないしその拒絶は,任命権者たるC研所長の権限に係る管理運営事項であることは被告所論のとおりであるから,国家公務員法108条の5第3項により,交渉の対象とすることができないもので ある。したがって,原告Aに対する本件任用更新拒絶が許されない旨の判断が,C研の原告組合に対する交渉態度が不法行為になるか否かの判断に直接影響するものではない。 (7)平成15年4月1日以降は,C研において原告AおよびDにつき任 本件任用更新拒絶が許されない旨の判断が,C研の原告組合に対する交渉態度が不法行為になるか否かの判断に直接影響するものではない。 (7)平成15年4月1日以降は,C研において原告AおよびDにつき任用更新しなかったことから,C研が知る限り原告組合の構成員にC研の職員は居なくなったのであり,原告Aはこれを不服として平成16年3月12日に至って本件訴訟を提起したものの,任用更新の是非が交渉事項に当たらないことは前記のとおりであるから,平成15年4月1日以降のC研の原告組合に対する対応に不法行為たるべき違法性及び過失があるとまでは認め難い。 (8)よって,C研の対応が,原告組合に対する不法行為になるとは認められないから,これを前提とする原告組合の請求には理由がない。 よって,原告Aの主位的請求には理由があるからこれを認容し,原告組合の請求には理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第36部裁判官山口均
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