平成22(ワ)44473 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成25年1月24日 東京地方裁判所
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判決文本文63,550 文字)

- 1 - 平成25年1月24日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成22年(ワ)第44473号損害賠償請求事件口頭弁論の終結の日平成24年8月21日判決当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり 主文 1 被告は,原告株式会社技研製作所に対し,3785万9733円及びこれに対する平成22年12月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告株式会社技研製作所の主位的請求のうちその余の部分並びに二次的請求及び三次的請求をいずれも棄却する。 3 原告新日鐵住金株式会社の主位的請求及び二次的請求をいずれも棄却する。 4 被告は,原告新日鐵住金株式会社に対し,3646万1733円及びこれに対する平成22年12月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 原告新日鐵住金株式会社の三次的請求のうちその余の部分を棄却する。 6 訴訟費用は,原告株式会社技研製作所に生じた費用の10分の7と被告に生じた費用の40分の9を同原告の負担とし,原告新日鐵住金株式会社に生じた費用の7分の6と被告に生じた費用の40分の23を同原告の負担とし,原告株式会社技研製作所に生じた費用の10分の3と- 2 - 原告新日鐵住金株式会社に生じた費用の7分の1と被告に生じた費用の40分の8を被告の負担とする。 7 この判決は,第1項及び第4項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 原告株式会社技研製作所(1) 主位的請求及び二次的請求被告は,原告株式会社技研製作所に対し,1億3000万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 三次的請求被告は 請求被告は,原告株式会社技研製作所に対し,1億3000万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 三次的請求被告は,原告株式会社技研製作所に対し,7812万2000円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告新日鐵住金株式会社(1) 主位的請求被告は,原告新日鐵住金株式会社に対し,2億7000万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 二次的請求被告は,原告新日鐵住金株式会社に対し,1億9849万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払- 3 - え。 (3) 三次的請求被告は,原告新日鐵住金株式会社に対し,7812万2000円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,護岸の連続構築方法及び河川の拡幅工法に関する特許権を共有する原告らが,妙正寺川整備工事で被告を構成員に含む共同企業体の採用した施工方法につき,上記特許権に係る特許発明の技術的範囲に属するとして,被告に対し,不法行為による損害賠償請求権に基づき,原告株式会社技研製作所(以下「原告技研」という。)については,●(省略)●又は損害金7812万2000円及びこれらに対する不法行為の後の日である訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金,原告新日鐵住金株式会社(以下「原告新日鐵」という。)については,●(省略)●又は損害金7812万2000円及びこれらに対する上記遅延損害金の支払をそれぞれ求める事 の年5分の割合による遅延損害金,原告新日鐵住金株式会社(以下「原告新日鐵」という。)については,●(省略)●又は損害金7812万2000円及びこれらに対する上記遅延損害金の支払をそれぞれ求める事案である。 1 前提事実(争いのない事実並びに各項末尾掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 本件特許権原告らは,次の特許権(以下「本件特許権」という。)を共有している。 特許番号第4105076号出願日平成15年10月28日- 4 - 登録日平成20年4月4日発明の名称護岸の連続構築方法および河川の拡幅工法(2) 本件発明本件特許出願の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1の記載は,本判決添付の特許公報の該当項記載のとおりである(以下,この請求項1に係る発明を「本件発明」という。)。 (3) 構成要件の分説本件発明を構成要件に分説すると,次のとおりである(以下,分説した構成要件をそれぞれの符号に従い「構成要件A」のようにいう。)。 A 鋼管杭を回転圧入できる鋼管杭圧入装置を用いて,B 先端にビットを備えた切削用鋼管杭をC コンクリート護岸を打ち抜いて圧入して鋼管杭列を構築し,D この鋼管杭列から反力を得ながら,E 上記鋼管杭列に連続して上記切削用鋼管杭を回転圧入してコンクリート護岸を打ち抜いて連続壁を構築し,F その後,上記鋼管杭列の河川側のコンクリート護岸と土砂を除去するG 護岸の連続構築方法。 (4) 妙正寺川整備工事東京都は,平成17年9月の集中豪雨により,中野区内を流れる妙正寺川の流域で浸水被害が発生したことから,別 と土砂を除去するG 護岸の連続構築方法。 (4) 妙正寺川整備工事東京都は,平成17年9月の集中豪雨により,中野区内を流れる妙正寺川の流域で浸水被害が発生したことから,別紙地図記載のとおり,河川激甚災害対策特別緊急事業の関連事業として,妙正寺川の同区沼袋一丁目地内から同区野方二丁目地内までの両岸に鋼管杭を打ち込み,川の幅と深さを拡張し- 5 - て流域面積を確保する妙正寺川整備工事(激特1,激特2,激特2の2及び激特2の3)を発注することとした。 被告,北野建設株式会社及び河本工業株式会社は,平成19年5月31日,被告を代表者として森本・北野・河本建設共同企業体(以下「本件JV」という。)を結成し,本件JVは,次のとおり,妙正寺川整備工事のうち激特2,激特2の2及び激特2の3(以下「本件各工事」という。)を受注して,有限会社オオブ工業(以下「オオブ工業」という。)に下請けさせるなどして,いずれもこれらを完成させた。 ア工事件名激特2契約年月日平成19年10月9日工事代金 21億6825万円工期平成22年2月26日まで工事内容約420mの両岸に鋼管杭を左岸に336本,右岸に339本打ち込んだ上で,既設の護岸等を取り壊し,河川内を掘削するなどした。各鋼管杭を打ち込んだ鋼管杭圧入装置及び各鋼管杭を打ち込んだ最も固い対象物は,別紙鋼管杭表の前提事実中の鋼管杭圧入装置欄及び打込対象物欄記載のとおりである。 イ工事件名激特2の2契約年月日平成20年9月12日工事代金 1億4910万円工期平成21年3月31日まで- 6 - 工事内容 激特2の2契約年月日平成20年9月12日工事代金 1億4910万円工期平成21年3月31日まで- 6 - 工事内容約40mの両岸に鋼管杭を左岸に28本,右岸に29本打ち込んだ。各鋼管杭を打ち込んだ鋼管杭圧入装置及び各鋼管杭を打ち込んだ最も固い対象物は,別紙鋼管杭表の前提事実中の鋼管杭圧入装置欄及び打込対象物欄記載のとおりである。 ウ工事件名激特2の3契約年月日平成21年8月28日工事代金 5029万5000円工期平成22年2月24日まで工事内容激特2の2に係る既設の護岸等を取り壊し,河川内を掘削するなどした。 (甲6,7,11,12,14及び15の各1,乙14の1)(5) 被告方法の構成本件JVが本件各工事で採用した施工方法(以下「被告方法」という。)の構成を本件発明の構成要件に対応させて分説すると,次の点は当事者間に争いがない。 a 鋼管杭列から反力を得ずに鋼管杭を回転圧入できる鋼管杭圧入装置であるコウワ機又は鋼管杭列から反力を得ながら鋼管杭を回転圧入できる鋼管杭圧入装置である鋼管パイラー機を用いて,b 別紙鋼管杭表の前提事実中の鋼管杭圧入装置欄に「コウワ機」と記載された鋼管杭につき,先端に9個又は15個のビットを備えた鋼管杭でd 別紙鋼管杭表の前提事実中の鋼管杭圧入装置欄に「パイラー機」と記載- 7 - された鋼管杭につき,構築した鋼管杭列の上に鋼管パイラー機を設置して,鋼管杭列から反力を得るg 護岸の連続構築方法。 (6) 被告方法の本件発明に対する充足性被告方法は,本件発明の構成要 つき,構築した鋼管杭列の上に鋼管パイラー機を設置して,鋼管杭列から反力を得るg 護岸の連続構築方法。 (6) 被告方法の本件発明に対する充足性被告方法は,本件発明の構成要件A,Gを充足する。 (7) 先行技術本件特許出願前に頒布された刊行物として,別紙先行技術目録記載の公報がある(以下,同目録記載の番号に従い「公報1」のようにいう。)。 2 争点及び当事者の主張本件の争点は,①被告方法の構成,②被告方法が本件発明の技術的範囲に属するか,③本件発明に係る請求項1が特許無効審判により無効にされるべきものと認められるか,④被告の責任及び損害である。 (1) 争点①(被告方法の構成)について(原告らの主張)ア本件発明の構成要件Cに対比した構成(c)被告方法は,コンクリートブロック層(厚さ約35㎝),その裏側のコンクリート層(厚さ約5㎝ないし約10㎝)及び更にその裏側の裏込材層(厚さ約30㎝)で構成されたコンクリート護岸(深さ約3m)の上端部におけるコンクリートブロックの数段と背後の土砂等を除去した上で,コウワ機を用いて,①鋼管杭を打ち込む最も固い対象物が裏込材になった場合は,先端に9個のビットを備えた鋼管杭で,裏込材と土砂に対して深さ約17mまで回転圧入し,②鋼管杭を打ち込む最も固い対象物がコンクリ- 8 - ートブロック又はコンクリートであった場合は,先端に15個のビットを備えた鋼管杭で,コンクリートブロックやコンクリート,裏込材,土砂に対して深さ約5mまで回転圧入した後,先端に9個のビットを備えた鋼管杭に取り替え,土砂に対して深さ約17mまで回転圧入して,鋼管杭列を構築する方法である。 各鋼管杭を打ち込んだ最も固い対象物等は,別紙 mまで回転圧入した後,先端に9個のビットを備えた鋼管杭に取り替え,土砂に対して深さ約17mまで回転圧入して,鋼管杭列を構築する方法である。 各鋼管杭を打ち込んだ最も固い対象物等は,別紙鋼管杭表の原告らの主張中の打込対象物欄等記載のとおりである。 イ本件発明の構成要件Eに対比した構成(e)被告方法は,構築した鋼管杭列に連続し,コンクリート護岸の上端部におけるコンクリートブロックの数段と背後の土砂等を除去した上で,鋼管パイラー機を用いて,①鋼管杭を打ち込む最も固い対象物が裏込材になった場合は,先端に6個のビットを備えた鋼管杭で,裏込材と土砂に対して深さ約17mまで回転圧入し,②鋼管杭を打ち込む最も固い対象物がコンクリートブロック又はコンクリートであった場合は,先端に15個のビットを備えた鋼管杭で,コンクリートブロックやコンクリート(橋台を含む。),裏込材,土砂に対して深さ約5mまで回転圧入した後,先端に6個のビットを備えた鋼管杭に取り替え,土砂に対して深さ約17mまで回転圧入して,連続壁を構築する方法である。鋼管杭同士は,接触していないが,壁面に見える程度の状態で列状に並んでいるから,連続壁を形成している。 各鋼管杭を打ち込んだ最も固い対象物等は,別紙鋼管杭表の原告らの主張中の打込対象物欄等記載のとおりである。 - 9 - ウ本件発明の構成要件Fに対比した構成(f)被告方法は,連続壁を構築した後,鋼管杭列の河川側のコンクリート護岸と土砂を除去する方法である。 (被告の主張)ア本件発明の構成要件Cに対比した構成(c)について被告方法は,コンクリートブロック層(厚さ約35㎝),その裏側のコンクリート層(ない場合もあるが,ある場合は厚さ約数 の主張)ア本件発明の構成要件Cに対比した構成(c)について被告方法は,コンクリートブロック層(厚さ約35㎝),その裏側のコンクリート層(ない場合もあるが,ある場合は厚さ約数㎝ないし約10㎝)で構成されたコンクリート護岸の上端部におけるコンクリートブロックの数段と背後の土砂等を除去した上で,コウワ機を用いて,①鋼管杭を打ち込む最も固い対象物が裏込材(ない場合もあるが,ある場合は厚さ約30㎝)か土砂になった場合は,先端に9個のビットを備えた鋼管杭で,裏込材や土砂に対してウォータージェットでほぐしながら回転圧入し,②鋼管杭を打ち込む最も固い対象物がコンクリートブロック又はコンクリートであった場合は,先端に15個のビットを備えた鋼管杭で,コンクリートブロックやコンクリートに対して回転圧入した後,先端に9個のビットを備えた鋼管杭に取り替え,裏込材や土砂に対してウォータージェットでほぐしながら回転圧入して,鋼管杭列を構築する方法である。 各鋼管杭を打ち込んだ最も固い対象物等は,別紙鋼管杭表の被告の主張中の打込対象物欄等記載のとおりである。 イ本件発明の構成要件Eに対比した構成(e)について被告方法は,構築した鋼管杭列に連続し,コンクリート護岸の上端部におけるコンクリートブロックの数段と背後の土砂等を除去した上で,鋼管- 10 - パイラー機を用いて,①鋼管杭を打ち込む最も固い対象物が裏込材か土砂になった場合は,先端に6個のビットを備えた鋼管杭で,裏込材や土砂に対してウォータージェットでほぐしながら回転圧入し,②鋼管杭を打ち込む最も固い対象物がコンクリートブロック又はコンクリートであった場合は,先端に15個のビットを備えた鋼管杭で,コンクリートブロックやコンクリート(橋台を含む。)に対して 回転圧入し,②鋼管杭を打ち込む最も固い対象物がコンクリートブロック又はコンクリートであった場合は,先端に15個のビットを備えた鋼管杭で,コンクリートブロックやコンクリート(橋台を含む。)に対して回転圧入した後,先端に6個のビットを備えた鋼管杭に取り替え,裏込材や土砂に対してウォータージェットでほぐしながら回転圧入して,鋼管杭列を構築する方法である。鋼管杭同士は,25㎝の間隔があり,連続壁を形成していないから,被告方法は,連続壁を構築する方法ではない。 各鋼管杭を打ち込んだ最も固い対象物等は,別紙鋼管杭表の被告の主張中の打込対象物欄等記載のとおりである。 ウ本件発明の構成要件Fに対比した構成(f)について被告方法は,連続壁を構築する方法ではない。 (2) 争点②(被告方法が本件発明の技術的範囲に属するか)について(原告らの主張)ア構成要件Bの充足性先端にビットを備えた鋼管杭は,回転圧入によって地盤を切断するから,被告方法において用いた先端に9個又は15個のビットを備えた鋼管杭は,構成要件Bの「先端にビットを備えた切削用鋼管杭」に当たる。なお,本件特許出願の願書に添付した特許請求の範囲の請求項2には,「掘削用鋼管杭」と記載されていて,「切削」と「掘削」とが使い分けられていな- 11 - いし,土木工事の分野でも,「切削」と「掘削」とが使い分けられていないから,構成要件Bの「切削用鋼管杭」をコンクリートを削り取ることができるものに限定すべき理由はない。なお,原告らは,出願時には単に「鋼管杭」としていたものを,進歩性欠如の拒絶理由通知を受けて,「先端にビットを備えた切削用鋼管杭」に限定したが,この「切削用」とは,「先端にビットを備えた鋼管杭」をより明確に表現したものにすぎな 「鋼管杭」としていたものを,進歩性欠如の拒絶理由通知を受けて,「先端にビットを備えた切削用鋼管杭」に限定したが,この「切削用」とは,「先端にビットを備えた鋼管杭」をより明確に表現したものにすぎないから,「切削用鋼管杭」は,コンクリートを削り取ることができるものに限定されない。 したがって,被告方法は,構成要件Bを充足する。 イ構成要件Cの充足性被告方法において鋼管杭を打ち込んだコンクリートブロック,コンクリート,コンクリート製の橋台は,構成要件Cの「コンクリート護岸」に当たる。また,本件特許出願の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の発明の詳細な説明の【0001】には,「コンクリート護岸あるいは石材等で構成した護岸(以下,コンクリート護岸という)」と記載されている上,「コンクリート護岸」とは,コンクリートブロックとコンクリート,これらを安定させるための裏込材で形成されたコンクリート系護岸を意味するから,構成要件Cの「コンクリート護岸」とは,土砂以外の強固な材料で形成された護岸を広く意味し,被告方法において鋼管杭を打ち込んだ裏込材も,打込みの障害となるから,構成要件Cの「コンクリート護岸」に当たる。本件特許出願の願書に添付した図面の【図2】,【図4】ないし【図7】には,均一な材料で形成されたように見えるコン- 12 - クリート護岸が示されているが,これは概念図にすぎない。 そして,被告方法における鋼管杭は,少なくとも裏込材を貫通しているから,構成要件Cの「コンクリート護岸を打ち抜」くものに当たるし,仮に被告方法における鋼管杭が土砂だけを打ち抜いていたとしても,これは一部にすぎないから,全体として見れば,構成要件Cの「コンクリート護岸を打ち抜」くことに当たる。 ち抜」くものに当たるし,仮に被告方法における鋼管杭が土砂だけを打ち抜いていたとしても,これは一部にすぎないから,全体として見れば,構成要件Cの「コンクリート護岸を打ち抜」くことに当たる。 さらに,被告方法における鋼管杭は,少なくとも裏込材を貫通した後,先端に9個のビットを備えた鋼管杭に取り替えた上で,土砂に対して圧入されることにより,鋼管杭列を構築している場合があるが,本件発明は,単一の鋼管杭で圧入して鋼管杭列を構築するとの限定はなく,実施態様の1つにすぎないから,この場合も構成要件Cの「圧入して鋼管杭列を構築」することに当たる。 したがって,被告方法は,構成要件Cを充足する。 ウ構成要件Dの充足性被告方法における鋼管杭は,構築した鋼管杭列から反力を得ているから,構成要件Dの「この鋼管杭列から反力を得」ることに当たる。 したがって,被告方法は,構成要件Dを充足する。 エ構成要件Eの充足性被告方法において,構築した鋼管杭列に連続し,先端に6個又は15個のビットを備えた鋼管杭で,コンクリートブロック,コンクリート又は裏込材に対して深さ約17mまで回転圧入するという方法は,構成要件Eの「上記鋼管杭列に連続して上記切削用鋼管杭を回転圧入してコンクリー- 13 - ト護岸を打ち抜」くことに当たる。 また,本件明細書の発明の詳細な説明の【0013】には,「鋼管杭列PLは,鋼管杭Pを連続的に圧入したものであるが,…一定の間隔を有して圧入することもできる。」と記載されているから,構成要件Eの「連続壁」は,鋼管杭同士が接触している必要はなく,壁面として見られる程度の状態で列状に並んでいる鋼管杭列は,構成要件Eの「連続壁」に当たる。 したがって,被 されているから,構成要件Eの「連続壁」は,鋼管杭同士が接触している必要はなく,壁面として見られる程度の状態で列状に並んでいる鋼管杭列は,構成要件Eの「連続壁」に当たる。 したがって,被告方法は,構成要件Eを充足する。 オ構成要件Fの充足性被告方法において,連続壁を構築した後,鋼管杭列の河川側のコンクリート護岸と土砂を除去するという方法は,構成要件Fの「その後,上記鋼管杭列の河川側のコンクリート護岸と土砂を除去する」ことに当たる。 したがって,被告方法は,構成要件Fを充足する。 カ以上のとおりであって,被告方法は,構成要件AないしGを充足するから,本件発明の技術的範囲に属する。 (被告の主張)ア構成要件Bの充足性について切削とは,金属や固い岩盤等,硬い物を削り取ることを意味する。また,構成要件Bの「鋼管杭」は,構成要件Cの「コンクリート護岸を打ち抜」く必要がある。そして,原告らは,「鋼管杭」を「先端にビットを備えた切削用鋼管杭」に限定したのであるから,構成要件Bの「切削用鋼管杭」は,コンクリートを削り取ることができるものに限定すべきである。 被告方法において用いた先端に15個のビットを備えた鋼管杭は,コン- 14 - クリートを削り取ることができるから,構成要件Bの「先端にビットを備えた切削用鋼管杭」に当たるが,先端に9個のビットを備えた鋼管杭は,コンクリートを削り取ることができないから,構成要件Bの「先端にビットを備えた切削用鋼管杭」に当たらない。 したがって,被告方法の一部は,構成要件Bを充足しない。 イ構成要件Cの充足性について本件特許出願の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1には,「コンクリート い。 したがって,被告方法の一部は,構成要件Bを充足しない。 イ構成要件Cの充足性について本件特許出願の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1には,「コンクリート護岸」が石材等で構成した護岸を含む旨の記載がない上,仮に「コンクリート護岸」が石材等で構成した護岸を含むとしても,川岸を保護するために水流では容易に流されない石垣等を含むにすぎないのであって,水を抜くために栗石や砂利等で構成される裏込材は,水流で容易に流され,川岸を保護するものではないから,石材等で構成した護岸に含まれない。また,護岸は,法覆工,基礎工及び根固工で構成され,これらに裏込材は含まれない。なお,仮に「コンクリート護岸」がコンクリート系護岸を意味するとしても,コンクリート系護岸が何で形成されているかは必ずしも明確ではない。そうであるから,被告方法において鋼管杭を打ち込んだ裏込材や土砂は,構成要件Cの「コンクリート護岸」に当たらない。 仮に裏込材が構成要件Cの「コンクリート護岸」に当たるとしても,裏込材は鋼管杭から回転圧入を受けると鋼管杭の内外に移動するから,被告方法における鋼管杭は,構成要件Cの「コンクリート護岸を打ち抜」くものに当たらない。 さらに,先端に15個のビットを備えた鋼管杭で,コンクリートブロッ- 15 - クやコンクリートに対して回転圧入する場合であっても,特許請求の範囲や本件明細書の発明の詳細な説明の記載によれば,同一の切削用鋼管杭で鋼管杭列を構築するものであるから,先端に9個のビットを備えた鋼管杭に取り替えた上で,裏込材や土砂に対して回転圧入して,鋼管杭列を構築するものは,構成要件Cの「圧入して鋼管杭列を構築」することに当たらない。 したがって,被告方法は,構成要件Cを充足 杭に取り替えた上で,裏込材や土砂に対して回転圧入して,鋼管杭列を構築するものは,構成要件Cの「圧入して鋼管杭列を構築」することに当たらない。 したがって,被告方法は,構成要件Cを充足しない。 ウ構成要件Dの充足性について構成要件Dの「この鋼管杭列」は,切削用鋼管杭で構築した鋼管杭列を指すから,被告方法において先端に9個のビットを備えた鋼管杭で構築した鋼管杭列は,構成要件Dの「この鋼管杭列」に当たらない。 したがって,被告方法は,構成要件Dを充足しない。 エ構成要件Eの充足性について構成要件Eの「上記鋼管杭列」は,切削用鋼管杭で構築した鋼管杭列を指すから,被告方法において先端に9個のビットを備えた鋼管杭で構築した鋼管杭列は,構成要件Eの「上記鋼管杭列」に当たらない。 また,前記アと同様に,被告方法において用いた先端に15個のビットを備えた鋼管杭は,構成要件Eの「上記切削用鋼管杭」に当たるが,先端に6個のビットを備えた鋼管杭は,構成要件Eの「上記切削用鋼管杭」に当たらない。 また,特許請求の範囲や本件明細書の発明の詳細な説明の【0015】の記載によれば,同一の鋼管杭圧入装置を用いて切削用鋼管杭を回転圧入- 16 - すべきであるから,コウワ機から鋼管パイラー機に取り替えて鋼管杭を回転圧入するものは,構成要件Eの「上記切削用鋼管杭を回転圧入」することに当たらない。 また,前記イと同様,被告方法において,裏込材や土砂に対して回転圧入する方法は,構成要件Eの「コンクリート護岸を打ち抜」くことに当たらない。 さらに,構成要件Eの「連続壁」は,流水が浸入して土砂を洗い流さないよう,鋼管杭同士の間隔がせいぜい1㎝程度までのものに限ら 構成要件Eの「コンクリート護岸を打ち抜」くことに当たらない。 さらに,構成要件Eの「連続壁」は,流水が浸入して土砂を洗い流さないよう,鋼管杭同士の間隔がせいぜい1㎝程度までのものに限られるが,被告方法における鋼管杭列は,その間隔が25㎝もあるから,構成要件Eの「連続壁」に当たらない。 加えて,前記イと同様,先端に15個のビットを備えた鋼管杭で,コンクリートブロックやコンクリートに対して回転圧入する場合であっても,特許請求の範囲や本件明細書の発明の詳細な説明の記載によれば,同一の切削用鋼管杭で連続壁を構築するものであるから,先端に6個のビットを備えた鋼管杭に取り替えた上で,裏込材や土砂に対して回転圧入して,鋼管杭列を構築するものは,構成要件Eの「連続壁を構築」することに当たらない。 したがって,被告方法は,構成要件Eを充足しない。 オ構成要件Fの充足性について構成要件Fの「上記鋼管杭列」は,切削用鋼管杭で構築した鋼管杭列を指すから,被告方法の先端に9個又は6個のビットを備えた鋼管杭で構築した鋼管杭列は,構成要件Fの「上記鋼管杭列」に当たらない。 - 17 - したがって,被告方法は,構成要件Fを充足しない。 カ以上のとおり,被告方法は,構成要件BないしFを充足しないから,本件発明の技術的範囲に属しない。 (3) 争点③(本件発明に係る請求項1が特許無効審判により無効にされるべきものと認められるか)について(被告の主張)ア公報1及び2記載の発明と周知慣用技術に基づく本件発明の想到容易性(ア) 本件発明と公報1に記載された発明との対比a 公報1に記載された発明公報1の記載(【請求項5】,【000 発明と周知慣用技術に基づく本件発明の想到容易性(ア) 本件発明と公報1に記載された発明との対比a 公報1に記載された発明公報1の記載(【請求項5】,【0001】,【0002】,【0004】,【0008】,【0021】ないし【0023】,【図12】,【図13】)によれば,公報1の「鋼管矢板壁」は,本件発明の「鋼管杭列」及び「連続壁」に相当するから,公報1には,次の発明が記載されている。 (a) 堤防のコンクリート護岸の背後に鋼管杭列を構築し,(b) 上記鋼管杭列に連続して連続壁を構築し,(c) その後,上記鋼管杭列の河川側のコンクリート護岸と土砂を除去する(d) 護岸の連続構築方法。 b 本件発明と公報1に記載された発明との相違点本件発明と公報1に記載された発明は,構成要件C及びEの一部,F及びGの全部において一致し,次の5点で相違する。 - 18 - (a) 本件発明では,鋼管杭を回転圧入できる鋼管杭圧入装置を用いるのに対し(構成要件A),公報1に記載された発明では,これがない点(b) 本件発明では,先端にビットを備えた切削用鋼管杭を用いるのに対し(構成要件B),公報1に記載された発明では,鋼管杭の限定がない点(c) 本件発明では,堤防のコンクリート護岸を打ち抜いて圧入することにより鋼管杭列を構築するのに対し(構成要件C),公報1に記載された発明では,堤防のコンクリート護岸の背後に鋼管杭列を構築する点(d) 本件発明では,構築した鋼管杭列から反力を得るのに対し(構成要件D),公報1に記載された発明では,これがない点(e) 本件発明 護岸の背後に鋼管杭列を構築する点(d) 本件発明では,構築した鋼管杭列から反力を得るのに対し(構成要件D),公報1に記載された発明では,これがない点(e) 本件発明では,先端にビットを備えた切削用鋼管杭を回転圧入してコンクリート護岸を打ち抜くのに対し(構成要件E),公報1に記載された発明では,これがない点(イ) 相違点に係る構成の想到容易性a 公報2に記載された発明公報2の記載(【0001】,【0006】,【0010】,【0013】,【0016】,【0018】ないし【0023】,【0026】,【図2】,【図3】)によれば,公報2の「ケーシング回転掘削機」,「ビット1dが取り付けられたもの」,「掘削」は,本件発明の「鋼管杭を回転圧入できる鋼管杭圧入装置」,「先端にビットを備えた切削用鋼管杭」,「打- 19 - ち抜いて圧入」にそれぞれ相当するから,公報2には,次の発明が記載されている。 (a) 鋼管杭を回転圧入できる鋼管杭圧入装置を用いて,(b) 先端にビットを備えた切削用鋼管杭を(c) 地中障害物を打ち抜いて圧入して鋼管杭列を構築し,(d) スパイクウェイト等の反力取り装置によって反力を得ながら,(e) 上記鋼管杭列に連続して上記切削用鋼管杭を回転圧入して地中障害物を打ち抜いて連続壁を構築する(f) 連続壁の連続構築方法。 なお,公報2には,ハンマーグラブを併用する旨の記載があるが(【0021】,【図3】),これは,圧入した鋼管杭内の掘削と排土に必要となるにすぎず,実質的,経済的にも,硬質地盤に対する鋼管杭の圧入に必要となるものではない。 b 公報3及び4に記載さ 【0021】,【図3】),これは,圧入した鋼管杭内の掘削と排土に必要となるにすぎず,実質的,経済的にも,硬質地盤に対する鋼管杭の圧入に必要となるものではない。 b 公報3及び4に記載された周知慣用技術公報3の記載(【0001】,【0007】ないし【0009】,【図1】,【図2】)及び公報4の記載(【請求項1】,【0001】,【0023】,【0028】,【図2】ないし【図4】)によれば,公報3の「ケーシングチューブ」,「全周回転式オールケーシング掘削機」は,本件発明の「鋼管杭」,「鋼管杭を回転圧入できる鋼管杭圧入装置」に相当し,また,掘削は切削を概念上含むので,公報3の「掘削」は,本件発明の「切削」に相当する。公報3の「岸壁」は,【図1】,【図2】の斜線がコンクリートを意味し,公報3の「護岸」も,1個当たり1t程度の- 20 - 被覆石や捨石層で覆われているから,両者は,いずれも本件発明の石材等で構成した護岸を含む「コンクリート護岸」に相当する。また,公報4の「ケーシング」,「建込み装置」,「掘削刃」,「鉄筋コンクリート構造物,PC杭その他の地中構造物」は,本件発明の「鋼管杭」,「鋼管杭圧入装置」,「ビット」,「コンクリート」にそれぞれ相当する。そうであるから,次の技術は,周知慣用であった。 (a) 鋼管杭を回転圧入できる鋼管杭圧入装置を用いて,(b) 先端にビットを備えた切削用鋼管杭を(c) コンクリート護岸やコンクリート構造物を打ち抜く方法。 なお,公報3(【0009】)及び公報4(【0003】,【0012】)には,ハンマーグラブやアースオーガを併用する旨の記載があるが,これは,後に別の杭を打ち込むため,先に圧入した鋼管杭内の掘削と排土に必要とな (【0009】)及び公報4(【0003】,【0012】)には,ハンマーグラブやアースオーガを併用する旨の記載があるが,これは,後に別の杭を打ち込むため,先に圧入した鋼管杭内の掘削と排土に必要となるにすぎず,実質的,経済的にも,硬質地盤に対する鋼管杭の圧入に必要となるものではない。 c 公報5ないし7に記載された周知慣用技術公報5の記載(【請求項1】,【請求項4】,【請求項5】,【0001】,【0002】,【0004】,【0005】,【0011】ないし【0015】,【0024】,【0025】,【0040】,【0043】),公報6の記載(【0001】ないし【0003】,【0009】,【0011】,【0016】,【0017】,【図1】,【図6】,【図7】)及び公報7の記載(2欄9行ないし3欄13行,4欄32行ないし6欄5行,【第4図】,【第5図】)によれば,公報5の「鋼管杭壁」,公報6の「既設の鋼管杭」- 21 - 及び公報7の「杭列」は,本件発明の「鋼管杭列」及び「連続壁」に相当するから,次の技術は周知慣用であった。 (a) 既設の鋼管杭列から反力を得ながら,(b) 上記鋼管杭列に連続して鋼管杭を圧入して連続壁を構築する方法。 d 想到容易性公報1及び2に記載された発明並びに公報3ないし7に記載された周知慣用技術は,いずれも鋼管杭の構築という同じ技術分野に属している。 また,公報1に記載された発明においては,鋼管杭列を構築する場所がコンクリート護岸の場合があって,その示唆もあり(【0022】),公報2の「地中障害物」は,通常,コンクリート構造物を指すから,公報2に記載された発明を組み合わせたり,公報3及び4に記載された周知慣用技術を適用する動機 があって,その示唆もあり(【0022】),公報2の「地中障害物」は,通常,コンクリート構造物を指すから,公報2に記載された発明を組み合わせたり,公報3及び4に記載された周知慣用技術を適用する動機がある。 そして,本件発明は,公報1,3ないし7に記載されている上,公報1及び2に記載された発明や公報3ないし7に記載された周知慣用技術の各効果の総和以上の効果を有しないから,本件発明は,公報1及び2に記載された発明や公報3ないし7に記載された周知慣用技術から予測困難で顕著な効果を生じない。 したがって,本件発明は,公報1に記載された発明に公報2に記載された発明を組み合わせ,公報3及び4に記載された周知慣用技術を適用して,鋼管杭が打ち抜く対象物を「地中障害物」から「コンクリ- 22 - ート護岸」に置換するとともに,公報5ないし7に記載された周知慣用技術を適用して,反力を得る手段を「反力取り装置」から「既設の鋼管杭列」に置換することにより,当業者が容易に想到することができたものである。 イ公報1及び5に記載された発明と周知慣用技術に基づく本件発明の想到容易性(ア) 本件発明と公報5に記載された発明との対比a 公報5に記載された発明公報5の記載(【請求項1】,【請求項4】,【請求項5】,【0001】,【0002】,【0004】,【0005】,【0011】ないし【0015】,【0024】,【0025】,【0040】,【0043】)によれば,公報5の「鋼管杭壁」は,本件発明の「鋼管杭列」及び「連続壁」に相当するから,公報5には,次の発明が記載されている。 (a) 鋼管杭を回転圧入できる鋼管杭圧入装置を用いて,(b) 鋼管杭を(c) 圧入 杭列」及び「連続壁」に相当するから,公報5には,次の発明が記載されている。 (a) 鋼管杭を回転圧入できる鋼管杭圧入装置を用いて,(b) 鋼管杭を(c) 圧入して鋼管杭列を構築し,(d) この鋼管杭列から反力を得ながら,(e) 上記鋼管杭列に連続して鋼管杭を回転圧入して連続壁を構築する方法。 b 本件発明と公報5に記載された発明との相違点本件発明と公報5に記載された発明は,構成要件A及びDの全部,B,C及びEの一部において一致し,次の5点で相違する。 - 23 - (a) 本件発明では,先端にビットを備えた切削用鋼管杭を用いるのに対し(構成要件B),公報5に記載された発明では,鋼管杭を用いるだけである点(b) 本件発明では,コンクリート護岸を打ち抜くのに対し(構成要件C),公報5に記載された発明では,これがない点(c) 本件発明では,先端にビットを備えた切削用鋼管杭を回転圧入してコンクリート護岸を打ち抜くのに対し(構成要件E),公報5に記載された発明では,鋼管杭を回転圧入するだけである点(d) 本件発明では,連続壁を構築した後,鋼管杭列の河川側のコンクリート護岸と土砂を除去するのに対し(構成要件F),公報5に記載された発明では,これがない点(e) 本件発明は,護岸の連続構築方法であるのに対し(構成要件G),公報5に記載された発明では,これがない点(イ) 相違点に係る構成の想到容易性a 公報1に記載された発明は,前記ア(ア)aのとおりである。 b 公報3及び4に記載された周知慣用技術は,前記ア(イ)bのとおりである。 c 想到容易性公報5及 a 公報1に記載された発明は,前記ア(ア)aのとおりである。 b 公報3及び4に記載された周知慣用技術は,前記ア(イ)bのとおりである。 c 想到容易性公報5及び1に記載された発明並びに公報3及び4に記載された周知慣用技術は,いずれも鋼管杭の構築という同じ技術分野に属している。 また,公報5に記載された発明においては,鋼管杭列を構築する場- 24 - 所に重要な意味がなく,鋼管杭列をコンクリート護岸に構築しようとする場合もあるから,公報1に記載された発明を組み合わせたり,公報3及び4に記載された周知慣用技術を適用する動機がある。 そして,本件発明は,公報5及び1に記載された発明や公報3及び4に記載された周知慣用技術の各効果の総和以上の効果を有しないから,公報5及び1に記載された発明や公報3及び4に記載された周知慣用技術から予測困難で顕著な効果を生じない。 したがって,本件発明は,鋼管杭列をコンクリート護岸に構築しようとする場合において,公報5に記載された発明に公報1に記載された発明を組み合わせ,公報3及び4に記載された周知慣用技術を適用して,鋼管杭を「鋼管杭」から「先端にビットを備えた切削用鋼管杭」に置換するとともに,鋼管杭列を構築する場所を「コンクリート護岸の背後」から「コンクリート護岸」に置換することにより,当業者が容易に想到することができたものである。 ウ公報1ないし3に記載された発明と周知慣用技術に基づく本件発明の想到容易性(ア) 本件発明と公報1に記載された発明との対比a 公報1に記載された発明は,前記ア(ア)aのとおりである。 b 本件発明と公報1に記載された発明との相違点は,前記ア(ア)bのとおりである 発明と公報1に記載された発明との対比a 公報1に記載された発明は,前記ア(ア)aのとおりである。 b 本件発明と公報1に記載された発明との相違点は,前記ア(ア)bのとおりである。 (イ) 相違点に係る構成の想到容易性a 公報2に記載された発明は,前記ア(イ)aのとおりである。 - 25 - b 公報3に記載された発明公報3記載の「ケーシングチューブ」,「全周回転式オールケーシング掘削機」,「掘削」,「岸壁」及び「護岸」は,前記ア(イ)bのとおり,本件発明の「鋼管杭」,「鋼管杭を回転圧入できる鋼管杭圧入装置」,「切削」,「コンクリート護岸」にそれぞれ相当し,また,公報3の記載(【0001】)によれば,土留め杭は鋼管杭列を概念上含み,公報3の「土留め杭」は,本件発明の「鋼管杭列」,「連続壁」に相当するから,公報3には,次の発明が記載されている。 (a) 鋼管杭を回転圧入できる鋼管杭圧入装置を用いて,(b) 先端にビットを備えた切削用鋼管杭を(c) コンクリート護岸を打ち抜いて圧入して鋼管杭列を構築し,(d) 上記鋼管杭列に連続して上記切削用鋼管杭を回転圧入してコンクリート護岸を打ち抜いて連続壁を構築する(e) 護岸の連続構築方法。 c 公報4に記載された周知慣用技術は,前記ア(イ)bのとおりである。 d 公報5ないし7に記載された周知慣用技術は,前記ア(イ)cのとおりである。 e 想到容易性公報1ないし3に記載された発明及び公報4ないし7に記載された周知慣用技術は,いずれも鋼管杭の構築という同じ技術分野に属している。また,公報1に記載された発明については,公報2及び3に 公報1ないし3に記載された発明及び公報4ないし7に記載された周知慣用技術は,いずれも鋼管杭の構築という同じ技術分野に属している。また,公報1に記載された発明については,公報2及び3に記載された発明を組み合わせたり,公報4及び5に記載された周知慣用- 26 - 技術を適用する動機がある。そして,本件発明は,公報1ないし3に記載された発明や公報4ないし7に記載された周知慣用技術から予測困難で顕著な効果を生じない。 したがって,本件発明は,公報1に記載された発明に公報2及び3に記載された発明を組み合わせ,公報4ないし7に記載された周知慣用技術を適用することにより,当業者が容易に想到することができたものである。 エ以上のとおりであって,本件発明に係る請求項1は,特許無効審判により無効にされるべきものと認められる。 (原告らの主張)ア公報1及び2に記載された発明と周知慣用技術に基づく本件発明の想到容易性について(ア) 本件発明と公報1に記載された発明との対比についてa 公報1に記載された発明について被告の主張は争う。 b 本件発明と公報1に記載された発明との相違点について被告の主張は争う。 (イ) 相違点に係る構成の想到容易性についてa 公報2に記載された発明について公報2の記載(【0021】,【図3】)によれば,実質的,経済的には,硬質地盤に対して,ケーシング回転掘削機の自重と反力取り装置のみによっては必要な反力を得られず,ハンマーグラブ等といっ- 27 - た大型装置の併用が必要であるから,公報2の「ケーシング回転掘削機」,「掘削」,「反力」,「回転圧入」は,本件発明の「鋼 のみによっては必要な反力を得られず,ハンマーグラブ等といっ- 27 - た大型装置の併用が必要であるから,公報2の「ケーシング回転掘削機」,「掘削」,「反力」,「回転圧入」は,本件発明の「鋼管杭を回転圧入できる鋼管杭圧入装置」,「打ち抜いて圧入」,「反力」,「回転圧入」にいずれも相当しない。 b 公報3及び4に記載された周知慣用技術について公報3の記載(【0009】)及び公報4の記載(【0003】,【0010】,【0012】,【0014】)によれば,実質的,経済的には,硬質地盤に対して,ハンマーグラブやアースオーガ等といった大型装置の併用が必要であるから,公報3の「全周回転式オールケーシング掘削機」,「掘削」は,本件発明の「鋼管杭を回転圧入できる鋼管杭圧入装置」,「切削」にいずれも相当しない。 また,公報3の【図2】は,全周回転式オールケーシング掘削機を用いて岸壁を打ち抜いたように見えるが,当該掘削機は構造物としての岸壁に損傷を与えるおそれがあり,専用のコンクリートカッター等を用いて岸壁を打ち抜いたことが技術常識上明らかであるから,公報3は,鋼管杭圧入装置を用いてコンクリートを打ち抜く方法を開示するものではない。 c 公報5ないし7に記載された周知慣用技術について被告の主張は争う。 d 想到容易性について公報1に記載された発明に,公報2に記載された発明を組み合わせたり,公報3ないし7に記載された周知慣用技術を適用したりしても,- 28 - ハンマーグラブやアースオーガ等といった大型装置を併用するため,本件発明に到達しない。この点をおくとしても,公報1に記載された発明は護岸の形成,公報2に記載された発明は鋼管杭列の施工という - ハンマーグラブやアースオーガ等といった大型装置を併用するため,本件発明に到達しない。この点をおくとしても,公報1に記載された発明は護岸の形成,公報2に記載された発明は鋼管杭列の施工という異なる技術分野に属するとともに,課題も異なる。 また,公報1に記載された発明は,護岸の背面に鋼管杭列を構築し,コンクリート護岸に鋼管杭列を構築しないから,地中障害物を掘削する公報2に記載された発明と組み合わせたり,コンクリートを掘削するという公報3及び4に記載された周知慣用技術を適用したりすることを阻害する要因がある。 さらに,公報2に記載された発明は,ハンマーグラブの併用によって地中障害物を掘削することができるのであるから,既設の鋼管杭から反力を得る公報5ないし7に記載された周知慣用技術を適用する必要もない。 加えて,本件発明の効果は,公報1,3ないし7に記載されていないから,本件発明は,公報1及び2に記載された発明や公報3ないし7に記載された周知慣用技術から予測困難で顕著な効果を生じた。 したがって,本件発明は,公報1に記載された発明に公報2に記載された発明を組み合わせたり,公報3ないし7に記載された周知慣用技術を適用したりすることにより,当業者が容易に想到することができたものではない。 イ公報5及び1に記載された発明と周知慣用技術に基づく本件発明の想到容易性について- 29 - (ア) 本件発明と公報5に記載された発明との対比についてa 公報5に記載された発明について被告の主張は争う。 b 本件発明と公報5に記載された発明との相違点について被告の主張は争う。 (イ) 相違点に係る構成 に記載された発明について被告の主張は争う。 b 本件発明と公報5に記載された発明との相違点について被告の主張は争う。 (イ) 相違点に係る構成の想到容易性についてa 公報1に記載された発明について被告の主張は争う。 b 公報3及び4に記載された周知慣用技術については,前記ア(イ)bのとおりである。 c 想到容易性について公報5に記載された発明に公報1に記載された発明を組み合わせたり,公報3及び4に記載された周知慣用技術を適用したりしても,ハンマーグラブやアースオーガ等といった大型装置を併用するため,本件発明に到達しない。この点をおくとしても,公報5及び1には,鋼管杭列をコンクリート護岸に構築するという課題の記載も示唆もない。本件特許出願当時は,鋼管杭をコンクリート護岸に対して圧入するならば,公報2ないし4記載のとおり,実質的,経済的には,先端にビットを備えた鋼管杭とハンマーグラブやアースオーガ等の併用が必要であったが,大がかりな工事となるため,コンクリート護岸を除去した上で,鋼管杭を土砂に対して圧入する方が合理的であり,上記課題自体を着想し得なかった。 - 30 - したがって,本件発明は,公報5に記載された発明に公報1に記載された発明を組み合わせたり,公報3及び4に記載された周知慣用技術を適用したりすることにより,当業者が容易に想到することができたものではない。 ウ公報1ないし3に記載された発明と周知慣用技術に基づく本件発明の想到容易性について(ア) 本件発明と公報1に記載された発明との対比についてa 公報1に記載された発明について被告の主張は争 た発明と周知慣用技術に基づく本件発明の想到容易性について(ア) 本件発明と公報1に記載された発明との対比についてa 公報1に記載された発明について被告の主張は争う。 b 本件発明と公報1に記載された発明との相違点について被告の主張は争う。 (イ) 相違点に係る構成の想到容易性についてa 公報2に記載された発明については,前記ア(イ)aのとおりである。 b 公報3に記載された発明については,前記ア(イ)bのとおりである。 c 公報4に記載された周知慣用技術については,前記ア(イ)bのとおりである。 d 公報5ないし7に記載された周知慣用技術について被告の主張は争う。 e 想到容易性について公報1に記載された発明に公報2及び3に記載された発明を組み合わせたり,公報4ないし7に記載された周知慣用技術を適用したりしても,本件発明に到達しない。この点をおくとしても,公報1に記載- 31 - された発明と公報2に記載された発明は,異なる技術分野に属するとともに,課題も異なる。 また,公報1に記載された発明は,公報2及び3に記載された発明と組み合わせたり,公報4に記載された周知慣用技術を適用したりすることを阻害する要因がある。 さらに,公報2に記載された発明は,公報5ないし7に記載された周知慣用技術を適用する必要もない。 加えて,本件発明は,公報1ないし3に記載された発明や公報4ないし7に記載された周知慣用技術から予測困難で顕著な効果を生じた。 したがって,本件発明は,公報1に記載された発明に公報2及び3に記載された発明を組み合わせたり,公 た発明や公報4ないし7に記載された周知慣用技術から予測困難で顕著な効果を生じた。 したがって,本件発明は,公報1に記載された発明に公報2及び3に記載された発明を組み合わせたり,公報4ないし7に記載された周知慣用技術を適用したりすることにより,当業者が容易に想到することができたものではない。 エ以上のとおりであって,本件発明に係る請求項1は,特許無効審判により無効にされるべきものと認められない。 (4) 争点④(被告の責任及び損害)について(原告らの主張)ア被告の責任本件JVは,平成20年7月ころから,被告方法を使用して本件各工事を行うことが本件特許権を侵害するものであることを知り,又は過失によりこれを知らないで,被告方法を使用したから,原告らは,本件JVの構- 32 - 成員である被告に対し,本件特許権の侵害により自己が受けた損害の賠償を請求することができる(商法511条1項)。 イ原告技研の損害(ア) 民法709条による損害額 ●(省略)●原告らは,本件発明に係る工法を共同開発し,ジャイロプレス工法と命名の上,原告技研の完全子会社である株式会社技研施工(以下「技研施工」という。)に,上記工法を用いた護岸工事を受注させるとともに,原告新日鐵に対して必要かつ適切なビットを有する鋼管杭を発注させて,実績を上げていた。 東京都は,妙正寺川整備工事をジャイロプレス工法で行うことを想定し,原告らに対して当該工法を用いた工事費の見積りを求めた上で,上記工法を標準案とする入札公告を行った。原告技研は,本件JVの不法行為がなければ,技研施工が本件JVから本件各工事を下請として受注し,粗利から変動経費を控除した限界利益の額に相当す を求めた上で,上記工法を標準案とする入札公告を行った。原告技研は,本件JVの不法行為がなければ,技研施工が本件JVから本件各工事を下請として受注し,粗利から変動経費を控除した限界利益の額に相当する技研施工の株式価値の上昇益を得ることができたのに,本件JVの不法行為により,これを得ることができなかった。 本件特許権の侵害により原告技研が受けた損害の額は,本件各工事のうち鋼管杭の圧入と特殊ビットの鋼管杭への取付けに関する両限界利益の合計額がこれに相当する。この両限界利益の合計額は,激特1と本件各工事が両鋼管杭数を異にする以外は同様の工事であるから,技研施工が元請人の奥村・長田・片倉建設共同企業体(以下「奥村組JV」という。)から激特1を下請として受注して得た上記両限界利益の合計額- 33 - を基に算出するのが相当である。 a 鋼管杭の圧入に関する限界利益額鋼管杭の圧入に関し,●(省略)●その限界利益額は,次の計算式のとおり,●(省略)●となる。なお,東京都は,鋼管杭の圧入に関する入札予定額を2億9559万8634円と定めたが,元請人と下請人との間の契約を拘束するものではない上,原告技研の提出した見積りを不当に切り下げるものであったから,入札予定額を基に算出すべきではない。 (計算式) ●(省略)●b 特殊ビットの鋼管杭への取付けに関する限界利益額特殊ビットの鋼管杭への取付けに関し,●(省略)●であったところ,本件各工事では,732本の鋼管杭が圧入されたから,その限界利益額は,次の計算式のとおり,●(省略)●となる。 (計算式) ●(省略)●c そうすると,鋼管杭の圧入に関する限界利益額と特殊ビットの鋼管杭への取付けに から,その限界利益額は,次の計算式のとおり,●(省略)●となる。 (計算式) ●(省略)●c そうすると,鋼管杭の圧入に関する限界利益額と特殊ビットの鋼管杭への取付けに関する限界利益額の合計額は,●(省略)●となるから,本件特許権の侵害により原告技研が受けた損害の額は,1割の弁護士費用である●(省略)●となる。 (イ) 特許法102条1項による損害額 ●(省略)●仮に前記(ア)の損害額が認められないとしても,本件各工事で圧入された鋼管杭732本のうち653本が,別紙鋼管杭表のとおり,構築した鋼管杭列から反力を得ながら圧入され,明らかに本件特許権を侵害し- 34 - たものであるから,本件特許権の侵害により原告技研が受けた損害の額は,1割の弁護士費用である●(省略)●となる。 (計算式) ●(省略)●(ウ) 特許法102条3項による損害額 7812万2000円仮に前記(イ)の損害額が認められないとしても,本件発明の実施料率は,工事代金の6%を下らないところ,本件各工事の工事代金は,合計23億6764万5000円であるから,本件特許権の侵害により原告技研が受けた損害の額は,1割の弁護士費用である710万2000円も加えれば,次の計算式のとおり,7812万2000円となる。 (計算式)23億6764万5000円×0.06÷2+710万2000円≒7812万2000円ウ原告新日鐵の損害(ア) 民法709条による損害額 ●(省略)●原告らは,原告技研がジャイロプレス工法を用いた工事を受注した場合,原則として原告新日鐵が製造販売する鋼管杭を用いる旨合意していた。また,原告新 害額 ●(省略)●原告らは,原告技研がジャイロプレス工法を用いた工事を受注した場合,原則として原告新日鐵が製造販売する鋼管杭を用いる旨合意していた。また,原告新日鐵は,本件特許権の共有者であるから,上記鋼管杭の使用と引換えに,技研施工が本件JVから本件各工事を受注したり,本件JVが本件各工事の一部を行うことを許諾することができた。原告新日鐵は,本件JVの不法行為がなければ,本件JVから本件各工事を受注した技研施工から鋼管杭を受注し,限界利益相当額の利益を得ることができたのに,本件JVの不法行為により,これを得ることができなかった。 - 35 - 本件特許権の侵害により原告新日鐵が受けた損害の額は,本件各工事で販売し得た鋼管杭の限界利益額に相当する。この限界利益額は,●(省略)●であるから,本件特許権の侵害により原告新日鐵が受けた損害の額は,1割の弁護士費用である●(省略)●を下らない。 (イ) 特許法102条1項による損害額 ●(省略)●仮に前記(ア)の損害額が認められないとしても,本件各工事で圧入された鋼管杭732本のうち653本が,別紙鋼管杭表のとおり,構築した鋼管杭列から反力を得ながら圧入され,明らかに本件特許権を侵害したものであるから,本件特許権の侵害により原告新日鐵が受けた損害の額は,1割の弁護士費用である●(省略)●となる。 (計算式) ●(省略)●(ウ) 特許法102条3項による損害額 7812万2000円仮に前記(イ)の損害額が認められないとしても,前記イ(ウ)に述べたように,本件特許権の侵害により原告新日鐵に生じた損害の額は,前記イ(ウ)と同様,7812万2000円となる。 円仮に前記(イ)の損害額が認められないとしても,前記イ(ウ)に述べたように,本件特許権の侵害により原告新日鐵に生じた損害の額は,前記イ(ウ)と同様,7812万2000円となる。 (被告の主張)ア被告の責任について被告方法を使用して本件各工事を行ったのは,本件JVであり,被告ではないし,本件JVは,平成21年7月2日に鋼管杭の圧入工事を完了したが,原告らから警告書を受領したのは同月3日ころであり,そこで初めて本件特許権の存在を知ったから,仮に被告方法の使用が本件特許権を侵- 36 - 害するものであったとしても,故意や過失はない。 イ原告技研の損害について原告技研は,技研施工と別法人であって,本件発明を実施しているとはいえないから,逸失利益としての民法709条及び特許法102条1項による損害を被っていないし,仮に損害を被ったとしても,東京都は,本件各工事のうち鋼管杭の圧入に関する入札予定額を2億9559万8634円と定めたから,これを基に算出すべきである。GRBシステムに係る費用は,本件発明と関係ない。 また,本件各工事は,本件発明に係る工法を用いなくても,コウワ機を増やせば,工期内に完成することができたし,東京都も工法として回転圧入工法を指定しただけであって,代替手段があったから,本件発明の実施料率は,2.5%を上回ることはない。 さらに,鋼管杭は,コンクリート護岸を最大でも30㎝ほど打ち抜いたにすぎず,かすっただけである。 ウ原告新日鐵の損害について原告新日鐵は,本件発明を実施していない。また,技研施工からの鋼管杭の受注による利益は,原告技研との間の合意に基づく反射的利益にすぎないし,本件JVが原告新日鐵の販売す 鐵の損害について原告新日鐵は,本件発明を実施していない。また,技研施工からの鋼管杭の受注による利益は,原告技研との間の合意に基づく反射的利益にすぎないし,本件JVが原告新日鐵の販売する鋼管杭の使用を義務付けられるというのであれば,平成21年法律第51号による改正前の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律2条9項に基づき公正取引委員会が指定した不公正な取引方法(昭和57年同委員会告示第15号)の11(排他条件付取引)及び13(拘束条件付取引)に該当し,同法19条に違反- 37 - するから,正当な利益ではないのであって,原告新日鐵は,鋼管杭の販売に関する逸失利益としての民法709条及び特許法102条1項による損害を被っていない。 本件発明の実施料率は,前記イのとおり,2.5%を上回ることはない。 また,鋼管杭は,前記イのとおり,かすっただけである。 第3 当裁判所の判断 1 争点①(被告方法の構成)について(1) 本件発明の構成要件Cに対比した構成(c)について証拠(甲3の1,4,7,8の1,13の1及び3,14の1,27,37,乙7,8,15の3,5及び6,33の1ないし5,35,59の5)及び弁論の全趣旨によれば,被告方法は,コンクリートブロック層(厚さ約35㎝),その裏側のコンクリート層(厚さ約5㎝ないし約10㎝)及び更にその裏側の裏込材層(厚さ約30㎝)で構成されたコンクリート護岸(深さ約3m)の上端部におけるコンクリートブロックの数段と背後の土砂等を除去した上で,コウワ機を用いて,①鋼管杭を打ち込む最も固い対象物が裏込材になった場合は,先端に9個のビットを備えた鋼管杭で,裏込材と土砂に対して深さ約17mまで回転圧入し,②鋼管杭を打ち込む最も固い対象物がコンクリートブロ て,①鋼管杭を打ち込む最も固い対象物が裏込材になった場合は,先端に9個のビットを備えた鋼管杭で,裏込材と土砂に対して深さ約17mまで回転圧入し,②鋼管杭を打ち込む最も固い対象物がコンクリートブロック又はコンクリートであった場合は,先端に15個のビットを備えた鋼管杭で,コンクリートブロックやコンクリート,裏込材,土砂に対して深さ約5mまで回転圧入した後,先端に9個のビットを備えた鋼管杭に取り替え,土砂に対して深さ約17mまで回転圧入して,鋼管杭列を構築するものであることが認められる。 - 38 - そして,別紙鋼管杭表の証拠欄記載の証拠及び弁論の全趣旨によれば,各鋼管杭を打ち込んだ最も固い対象物は,同表の当裁判所の判断(打込対象物)欄記載のとおりであると認められる。 被告は,裏側のコンクリート層や裏込材層がない場合もあると主張するが,これを裏付けるような証拠はない上,裏側のコンクリート層や裏込材層がなければ,容易に護岸が崩壊するから,これらがない場合があるとは考え難い。 被告の上記主張は,採用することができない。 (2) 本件発明の構成要件Eに対比した構成(e)について証拠(甲3の1,4,7,8の1ないし3,10の1及び2,13の2及び4,14の1及び2,27,37,53ないし56,58,乙6ないし8,15の1,2,4,7ないし14,33の1ないし5,36,42の1ないし14,44の1及び2,50の1ないし6,59の1ないし5)及び弁論の全趣旨によれば,被告方法は,構築した鋼管杭列に連続し,コンクリート護岸の上端部におけるコンクリートブロックの数段と背後の土砂等を除去した上で,鋼管パイラー機を用いて,①鋼管杭を打ち込む最も固い対象物が裏込材か土砂になった場合は,先端に6個のビットを備えた鋼管杭で, 岸の上端部におけるコンクリートブロックの数段と背後の土砂等を除去した上で,鋼管パイラー機を用いて,①鋼管杭を打ち込む最も固い対象物が裏込材か土砂になった場合は,先端に6個のビットを備えた鋼管杭で,裏込材と土砂に対して深さ約17mまで回転圧入し,②鋼管杭を打ち込む最も固い対象物がコンクリートブロック又はコンクリートであった場合は,先端に15個のビットを備えた鋼管杭で,コンクリートブロックやコンクリート(橋台を含む。),裏込材,土砂に対して深さ約5mまで回転圧入した後,先端に6個のビットを備えた鋼管杭に取り替え,土砂に対して深さ約17mまで回転圧入して,鋼管杭間に25㎝の間隙を有する鋼管杭列を構築するもので- 39 - あることが認められる。 そして,別紙鋼管杭表の証拠欄記載の証拠及び弁論の全趣旨によれば,各鋼管杭を打ち込んだ最も固い対象物は,同表の当裁判所の判断(打込対象物)欄記載のとおりであると認められる。 (3) 本件発明の構成要件Fに対比した構成(f)について証拠(甲6,8の1及び3,14の1,15の1及び2,乙15の13及び14,33の4及び5,44の1)及び弁論の全趣旨によれば,被告方法は,鋼管杭間に25㎝の間隙を有する鋼管杭列を構築した後,鋼管杭列の河川側のコンクリート護岸と土砂を除去するものであることが認められる。 2 争点②(被告方法が本件発明の技術的範囲に属するか)について(1) 構成要件Bの充足性について証拠(甲18ないし21,乙3ないし5)によれば,切削とは,通常,金属等を切り削ることを意味するが,土木工事の分野では,掘削と同様,地盤を掘り削ることを意味することが認められる。そして,証拠(甲2)によれば,本件特許の特許請求の範囲の請求項1と請求項2では,いずれも鋼 を切り削ることを意味するが,土木工事の分野では,掘削と同様,地盤を掘り削ることを意味することが認められる。そして,証拠(甲2)によれば,本件特許の特許請求の範囲の請求項1と請求項2では,いずれも鋼管杭を「コンクリート護岸」という同一の対象物に圧入するものであるにもかかわらず,請求項1では「切削用鋼管杭」と記載され,請求項2では「掘削用鋼管杭」と記載されている上,本件明細書の発明の詳細な説明の【0016】では,請求項1に係る実施例として,「掘削用鋼管杭」と記載されていることが認められる。これらの事実を総合すれば,構成要件Bの「切削用鋼管杭」とは,地盤を掘り削ることに用いるための鋼管杭を意味するものと解される。 被告方法における先端に9個及び15個のビットを備えた両鋼管杭は,い- 40 - ずれも地盤を掘り削ることに用いるための鋼管杭であるから,構成要件Bの「先端にビットを備えた切削用鋼管杭」に当たる。 被告は,原告らが「鋼管杭」を「先端にビットを備えた切削用鋼管杭」に限定したから,構成要件Bの「切削用鋼管杭」は,コンクリートを削り取ることができるものに限定すべきであると主張する。しかしながら,「切削」の意味は,前記のとおりであるから,被告の上記主張は,採用することができない。 したがって,被告方法は,構成要件Bを充足する。 (2) 構成要件Cの充足性についてア 「コンクリート護岸」について証拠(甲2)によれば,本件明細書の発明の詳細な説明には,段落【0001】に「コンクリート護岸あるいは石材等で構成した護岸(以下,コンクリート護岸という)」と記載されていることが認められる。そして,証拠(甲2,3の1,4,乙23,24)によれば,護岸とは,川岸や海岸等を流水等による浸食作用から は石材等で構成した護岸(以下,コンクリート護岸という)」と記載されていることが認められる。そして,証拠(甲2,3の1,4,乙23,24)によれば,護岸とは,川岸や海岸等を流水等による浸食作用から保護するために,法覆工,基礎工及び根固工等によって形成される構造物を意味し,コンクリート護岸とは,上記構造物のうち,法面を主としてコンクリートブロックやコンクリートで被覆したものをいい,石材等で構成した護岸とは,上記構造物のうち,法面を主として自然石やこれに類する物で被覆したものをいうこと,コンクリート護岸及び石材等で構成した護岸における法覆工とは,法面をコンクリートブロック,コンクリート,自然石及びこれに類する物で被覆するとともに,これらの背面に裏込材を充填する工法を意味するものであることが- 41 - 認められる。これらの事実を総合すれば,構成要件Cの「コンクリート護岸」とは,川岸や海岸等を流水等による浸食作用から保護するために,法覆工,基礎工及び根固工等によって形成され,法面をコンクリートブロック,コンクリート,自然石又はこれに類する物で被覆するとともに,これらの背面に裏込材を充填した構造物を意味するものであると解される。 被告方法における先端に9個又は15個のビットを備えた鋼管杭を打ち込んだコンクリートブロック,コンクリート及び裏込材は,妙正寺川の川岸を流水等による浸食作用から保護するために,法覆工,基礎工及び根固め工等によって形成され,法面をコンクリートブロック及びコンクリートで被覆するとともに,これらの背面に裏込材を充填した構造物の一部であるから,いずれも構成要件Cの「コンクリート護岸」に当たるが,上記鋼管杭を打ち込んだ土砂は,上記構造物の一部ではないから,構成要件Cの「コンクリート護岸」に当たらない。 した構造物の一部であるから,いずれも構成要件Cの「コンクリート護岸」に当たるが,上記鋼管杭を打ち込んだ土砂は,上記構造物の一部ではないから,構成要件Cの「コンクリート護岸」に当たらない。 被告は,裏込材につき,栗石や砂利等で構成されるため,水流で容易に流されて川岸を保護しないから,「コンクリート護岸」に含まれないと主張する。しかしながら,護岸は,全体として川岸を保護すれば足りるのであって,護岸の構成要素である裏込材が個々に川岸を保護する必要はないから,被告の上記主張は,採用することができない。 イ 「打ち抜いて」について被告方法における先端に9個又は15個のビットを備えた鋼管杭は,前記1(1)のとおり,コンクリート護岸の深さが約3mであるのに対し,いずれも約5m以上の深さまで打ち込まれているのであって,上記鋼管杭で- 42 - コンクリートブロックやコンクリート,裏込材に対して打ち込む場合は,コンクリート護岸を貫通しているから,構成要件Cの「コンクリート護岸を打ち抜」くものに当たる。 この点につき,被告は,裏込材が鋼管杭から回転圧入を受けると鋼管杭の内外に移動するから,被告方法における鋼管杭が構成要件Cの「コンクリート護岸を打ち抜」くものに当たらないと主張する。しかしながら,鋼管杭が「コンクリート護岸」という構造物を打ち抜けば足り,「コンクリート護岸」の構成要素である裏込材を個々に打ち抜く必要はないから,個々の裏込材が鋼管杭の内外に移動するか否かは関係がない。被告の上記主張は,採用することができない。 ウその余について被告方法は,前記1(1)のとおり,コウワ機を用いて,先端に9個又は15個のビットを備えた鋼管杭で,裏込材まで貫通した後も,土砂に対して深さ約17 できない。 ウその余について被告方法は,前記1(1)のとおり,コウワ機を用いて,先端に9個又は15個のビットを備えた鋼管杭で,裏込材まで貫通した後も,土砂に対して深さ約17mまで回転圧入して,鋼管杭列を構築するものであり,これは構成要件Cの「圧入して鋼管杭列を構築」することに当たる。 被告は,「コンクリート護岸を打ち抜い」た切削用鋼管杭と同一の切削用鋼管杭で「鋼管杭列を構築」すべきものであって,被告方法において鋼管杭を取り替えた場合は,構成要件Cの「圧入して鋼管杭列を構築」するものに当たらないと主張する。しかしながら,特許請求の範囲や本件明細書の発明の詳細な説明の記載によれば,コンクリート護岸を打ち抜いて圧入して鋼管杭列を構築するのが,「先端にビットを備えた切削用鋼管杭」であれば足り,これが同一の当該鋼管杭であることまでは求められていな- 43 - い。被告方法における先端に9個及び15個のビットを備えた両鋼管杭は,いずれも「先端にビットを備えた切削用鋼管杭」に当たるのであるから,被告の上記主張は,採用することができない。 もっとも,構成要件Cの「鋼管杭列」は,構成要件Dの「この鋼管杭列」と同じであり,反力の取得源となるものに限られる。証拠(甲6,7,乙36)及び弁論の全趣旨によれば,激特2における鋼管杭の打込みは,別紙鋼管杭表記載1の左岸杭番号1,31,292及び右岸杭番号1,24,291の鋼管杭を各基点として,上流に向かって行われたこと,鋼管パイラー機は,2本の鋼管杭から反力を得ていたことが認められる。そうであれば,被告方法において,別紙鋼管杭表の前提事実中の鋼管杭圧入装置欄に「コウワ機」と記載された鋼管杭のうち,反力の取得源となったものは,別紙鋼管杭表記載1の左岸杭番号3,5 とが認められる。そうであれば,被告方法において,別紙鋼管杭表の前提事実中の鋼管杭圧入装置欄に「コウワ機」と記載された鋼管杭のうち,反力の取得源となったものは,別紙鋼管杭表記載1の左岸杭番号3,52,53,306,307及び右岸杭番号3,47,48,298,299,306,307の鋼管杭に限られるものというべきである。 エしたがって,被告方法は,別紙鋼管杭表記載1の左岸杭番号3,52,53,306,307及び右岸杭番号3,47,48,298,299,306,307の鋼管杭につき,構成要件Cを充足する。 (3) 構成要件Dの充足性について被告方法において,別紙鋼管杭表の前提事実中の鋼管杭圧入装置欄に「パイラー機」と記載された鋼管杭につき,構築した鋼管杭列の上に鋼管パイラー機を設置して,鋼管杭列から反力を得ることは,構成要件Dの「この鋼管杭列から反力を得」ることに当たる。 - 44 - したがって,被告方法は,構成要件Dを充足する。 (4) 構成要件Eの充足性についてア 「連続壁」以外について被告方法における先端に6個のビットを備えた鋼管杭は,地盤を掘り削ることに用いるための鋼管杭であるから,構成要件Eの「上記切削用鋼管杭」に当たる。 被告方法において,前記1(2)のとおり,構築した鋼管杭列に連続し,鋼管パイラー機を用いて,先端に6個又は15個のビットを備えた鋼管杭で,コンクリートブロックやコンクリート(橋台を含む。),裏込材に対して回転圧入し,裏込材まで貫通した後も,土砂に対して深さ約17mまで回転圧入することは,構成要件Eの「上記鋼管杭列に連続して上記切削用鋼管杭を回転圧入してコンクリート護岸を打ち抜」くことに当たるが,被告方法において,土砂のみに対して回 土砂に対して深さ約17mまで回転圧入することは,構成要件Eの「上記鋼管杭列に連続して上記切削用鋼管杭を回転圧入してコンクリート護岸を打ち抜」くことに当たるが,被告方法において,土砂のみに対して回転圧入することは,構成要件Eの「コンクリート護岸を打ち抜」くことに当たらない。 被告は,特許請求の範囲や本件明細書の発明の詳細な説明の【0015】の記載によれば,コウワ機から鋼管パイラー機に取り替えて鋼管杭を回転圧入する被告方法は,構成要件Eの「上記切削用鋼管杭を回転圧入」することに当たらないと主張する。証拠(甲2)によれば,本件明細書の発明の詳細な説明の段落【0015】には,「構築の最初は鋼管杭圧入機11は公知の反力架台から反力を得て適宜本数の鋼管杭Pを圧入するのである。そして,この鋼管杭Pに鋼管杭圧入機11を配置し,以後は圧入された鋼管杭Pより反力を得て,新たな鋼管杭Pを圧入していくのである。」- 45 - と記載されていることが認められる。しかしながら,鋼管杭圧入機が同一の用語で表現されていたり同一の符号を付されたりしているからといって,当然に同一の鋼管杭圧入機である必要はなく,「鋼管杭を回転圧入できる鋼管杭圧入装置」を用いれば足りるから,被告の上記主張は,採用することができない。 イ 「連続壁」について証拠(甲2)によれば,本件明細書の発明の詳細な説明には,本件発明の実施例として,段落【0013】に「鋼管杭PLは,鋼管杭Pを連続的に圧入したものであるが,鋼管杭P,P同士を互いに接触して圧入することもでき,一定の間隔を有して圧入することもできる。」,段落【0016】にも「鋼管杭Pは,既設の鋼管杭Pと接触して圧入しても良いが,一定の距離をおいて圧入しても良い。」と記載されていることが認められる。 こ ,一定の間隔を有して圧入することもできる。」,段落【0016】にも「鋼管杭Pは,既設の鋼管杭Pと接触して圧入しても良いが,一定の距離をおいて圧入しても良い。」と記載されていることが認められる。 これらの事実を総合すれば,構成要件Eの「連続壁」とは,鋼管杭同士が接触して並び,又は一定の間隔を空けて並ぶことにより,壁状に配置されていると認識することができる鋼管杭列を意味するものと解される。 被告方法における鋼管杭列は,前記1(2)のとおり,鋼管杭同士が25㎝の間隔を空けて並んでいるが,証拠(甲7,8の3,14の1,27,乙15の13及び14,33の4,59の2及び4)によれば,鋼管杭の直径が1mであることが認められ,これらの事実によれば,鋼管杭列が壁状に配置されていると認識することができるから,構成要件Eの「連続壁」に当たる。 ウしたがって,被告方法は,別紙鋼管杭表の前提事実中の鋼管杭圧入装置- 46 - 欄に「パイラー機」と記載された鋼管杭のうち,前提事実中又は当裁判所の判断中の各打込対象物欄に「コンクリートブロック」,「コンクリート」,「橋台」又は「裏込材」と記載された鋼管杭(同表記載1の左岸杭番号1,2,4ないし30,54ないし291,308ないし328,334ないし336及び右岸杭番号1,2,4ないし23,52ないし290,300ないし303,308ないし328,337ないし339,並びに,同表記載2の左岸杭番号1ないし28及び右岸杭番号1ないし29の鋼管杭)に限り,構成要件Eを充足する。 (5) 構成要件Fの充足性について被告方法において,前記1(3)のとおり,鋼管杭間に25㎝の間隙を有する鋼管杭列を構築した後,鋼管杭列の河川側のコンクリート護岸と土砂を除去することは,構成要件Fの「そ Fの充足性について被告方法において,前記1(3)のとおり,鋼管杭間に25㎝の間隙を有する鋼管杭列を構築した後,鋼管杭列の河川側のコンクリート護岸と土砂を除去することは,構成要件Fの「その後,上記鋼管杭列の河川側のコンクリート護岸と土砂を除去する」ことに当たる。 したがって,被告方法は,構成要件Fを充足する。 (6) 以上によれば,被告方法は,別紙鋼管杭表1記載の左岸杭番号1ないし30,52ないし291,306ないし328,334ないし336及び右岸杭番号1ないし23,52ないし290,298ないし303,306ないし328,337ないし339,並びに,同表2記載の左岸杭番号1ないし28及び右岸杭番号1ないし29の鋼管杭に係るものに限り,本件発明の技術的範囲に属する(激特2の右岸杭番号47及び48は,同49が土砂に対して圧入するものなので,属しない。)。 3 争点③(本件発明に係る請求項1が特許無効審判により無効にされるべきも- 47 - のと認められるか)について(1) 証拠(乙9の1ないし7)によれば,公報1ないし7には,それぞれ次の記載があることが認められる。 ア公報1(別紙公報1添付図面参照)(ア) 「【特許請求の範囲】【請求項5】既存の護岸の背面に鋼矢板壁(1)を構築し,この鋼矢板壁(1)の頂部に走行レール(6)を設置し,この走行レール(6)により走行自在な移動構台(7)を両岸の走行レール(6)にまたがって載置し,鋼矢板壁(1)内側の工事を前記移動構台(7)上から行うことを特徴とする都市河川の改修工法。」(イ) 「【0001】【産業上の利用分野】本発明は,周囲に空地のない都市河川における河川改修工法に関する。 【0002】【従来の技術】近年, 特徴とする都市河川の改修工法。」(イ) 「【0001】【産業上の利用分野】本発明は,周囲に空地のない都市河川における河川改修工法に関する。 【0002】【従来の技術】近年,市街地を流れるいわゆる都市河川の台風や集中豪雨の際の氾濫が社会問題となっている。ところが,これら都市河川は周囲を住宅や道路に囲まれ,拡幅や堤防のかさ上げ等がほとんど不可能であるばかりでなく,工事に伴う資材,機材のためのスペースの確保も困難であり,騒音等の環境面の制約もきびしい。したがって,何らかの対策を迫られているものの,これらの条件にかなった採用可能な工法を模索しているのが実情である。」(ウ) 「【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明は,上記の諸問題を解消し,後背地が狭小な都市部においても施工が可能で,環境破壊のおそれもなく,比較的短い工期で効率的に河川改修を行うことのできる都市河川改修工法を実現することを目的とする。」- 48 - (エ) 「【課題を解決するための手段】…【0008】請求項5に記載の本発明は,既存の護岸の背面に鋼矢板壁を構築し,この鋼矢板壁の頂部に走行レールを設置し,この走行レールにより走行自在な移動構台を両岸の走行レールにまたがって載置し,鋼矢板壁内側の工事を前記移動構台上から行うことを特徴とする都市河川の改修工法である。」(オ) 「【0021】…実施例3本発明の都市河川改修工法の第3の実施例として,河川の拡幅を行う場合を図12,13により説明する。 【0022】このケースでは,拡幅する護岸の位置に合わせて,既存の河川の背面に鋼管矢板壁を構築することが必要である。この鋼管矢板壁を,十分な支持力のあるものとすれば,実施例1,2におけるごとき腹起 【0022】このケースでは,拡幅する護岸の位置に合わせて,既存の河川の背面に鋼管矢板壁を構築することが必要である。この鋼管矢板壁を,十分な支持力のあるものとすれば,実施例1,2におけるごとき腹起こしや切梁の取り付けを省略し,鋼管矢板壁1の頂部に直接走行レール6を取り付けることができる。図12は,既存の護岸の外側に鋼管矢板壁1を構築し,その頂部に取り付けた両岸の走行レール6にまたがって移動構台7を載置し,この上から作業を行っている状況を示す。たとえば,河川の上流側または下流側へ向かって鋼管矢板壁を延長する作業は,この移動構台7上に載置したクレーンCを使用して行うことができる。なお,前記鋼管矢板壁を鋼管杭やH形矢板またはH形杭に変更してもよい。 【0023】図13は,移動構台7上のコンクリート破砕機により既存の護岸Pを解体し,パワーショベルによってこれを搬出している状況を示している。既存の護岸Pを撤去し,内部地盤の掘削を行い,鋼管矢- 49 - 板壁1を新たな護岸として拡幅を完了する。この実施例でも,このように河川上空を作業基地として有効利用して改修工事を行うことができる。 【0024】【発明の効果】本発明によれば,河川上空を作業基地として使用するので後背地が狭小な都市河川においても施工が容易であり,またすべての作業を流水状態のままで行うことができるため工期が短く,工費も少なくてすむなど,多くのすぐれた効果を奏する。」イ公報2(別紙公報2添付図面参照)(ア) 「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は,建築現場での土留めや仕切りとして,鋼管を柱列状に連結して形成する鋼管杭壁およびその施工方法に関するものである。 【0002】【従来の技術】建築現場では土留めや仕切り 術分野】本発明は,建築現場での土留めや仕切りとして,鋼管を柱列状に連結して形成する鋼管杭壁およびその施工方法に関するものである。 【0002】【従来の技術】建築現場では土留めや仕切りとして,鋼管を柱列状に連結して形成する鋼管杭壁が用いられている。従来,この鋼管杭壁は鋼管の外周にジャンクションと称する継手金具が溶接された鋼管矢板を使用している。」(イ) 「【0005】【発明が解決しようとする課題】こうした従来の鋼管矢板による鋼管杭壁の施工では,油圧ハンマまたはバイブロハンマによって鋼管矢板を打ち込むので,騒音および振動が大きく,ときには周囲の地盤の沈下を招くといった問題がある。 【0006】また,硬い地質や転石・玉石の多い地質,あるいは地中に障害物がある場合には,予め別のケーシング回転掘削機で施工すべき鋼管矢板より大径のケーシングで掘削し,内部の土をハンマグラブなど- 50 - で取り除いて新たな土を埋め,ケーシングを回収する置換施工を行なうなどして,鋼管矢板を打ち込み易くしなければならないといった問題がある。 【0007】このため,施工手順が増えたり,施工のための機材もその土質によって種々のものを必要とし,したがって,施工費用が嵩み工期がかかっている。そこで,本発明は,効率的に施工できる鋼管杭壁とその施工方法を提供することを目的としている。」(ウ) 「【課題を解決するための手段】…【0010】本発明の鋼管杭壁に使用される鋼管杭は,従来の鋼管矢板のように鋼管外周に突起した継手金具を備えていないことを特徴としており,回転圧入によって施工できる。なお,鋼管杭壁は,直線状に施工されるものに限らず曲線状のものも含まれ,また,上面から見てT字状やL字状のように施工されるもの 手金具を備えていないことを特徴としており,回転圧入によって施工できる。なお,鋼管杭壁は,直線状に施工されるものに限らず曲線状のものも含まれ,また,上面から見てT字状やL字状のように施工されるものも含まれる。」(エ) 「【0013】本発明の鋼管杭壁の施工においては,ケーシング回転掘削機を使用するが,このケーシング掘削機はケーシングを把持して回転させつつ地中へ押し込むもので,場所打ち杭に使用される公知の施工機である。断面C型の継手の打設は,油圧ハンマやバイブロハンマによってもよいし,ケーシング回転掘削機に押込み用のアタッチメントを付設して,押込みのシリンダを作動させて行ってもよい。」(オ) 「【発明の実施の形態】…【0016】鋼管杭は,この例では図1に示すように,断面が円筒で,長手方向へ円周上2カ所に,内側へ円弧状に凹む継手係合部1a,1bが設けられている。そして,鋼管杭の下- 51 - 端部1c(図3参照)は回転掘削できるようにノコギリ状に形成されている。なお,軟弱地盤ではフラット(ノコギリ状の形成がないもの)のものを用い,硬質地盤では図3の右図に示すようにケーシング掘削で用いられるビット1dが取り付けられたものを使用する。」(カ) 「【0018】ケーシング回転掘削機10は,ベースフレーム12上に複数のスラストシリンダ15によって連結された昇降フレーム11に鋼管杭1を把持して回転させる把持装置と回転装置が設けられたもので,ベースフレーム12にはケーシング回転掘削機10の水平を出すための水平ジャッキ14が設けられている。 【0019】また,ベースフレーム12には図示しないスパイクウエイトなどの反力取り装置が取り付けられ,回転と押込みの反力が取れるようになっている。鋼管杭壁の施工は,ま 設けられている。 【0019】また,ベースフレーム12には図示しないスパイクウエイトなどの反力取り装置が取り付けられ,回転と押込みの反力が取れるようになっている。鋼管杭壁の施工は,まず,水平ジャッキ14でケーシング回転掘削機10の水平を出し,鋼管が鉛直に施工されるようにする。 【0020】次に,鋼管杭1をクレーンで上方からケーシング回転掘削機10に挿通して,把持装置で把持し,回転装置を作動させて回転させスラストシリンダ15を作動させて地中へ押し込む。そして,スラストシリンダ15が縮小してストロークエンドまでくると,鋼管杭1の把持を解除し,スラストシリンダ15を伸長させて鋼管杭1を再度把持し,掘進させる。この動作を繰り返して行うことにより鋼管杭1は所定の深さに建て込まれる。 【0021】軟弱地盤では押込みのみで建て込むことができるが,一- 52 - 般および硬質地盤では鋼管の下端に取り付けられたビット1d(図3参照)で地盤を掘削し,ハンマグラブ30などで鋼管内の土を掘削しながら掘進させる。鋼管杭1が所定深さまで建込まれたら,継手係合部1a,1bが施工の基準線上に向くように位置させる(図2(a))。なお,鋼管内の土を掘削した場合は,掘削土を鋼管内へ埋め戻してもよい。 【0022】次に,ケーシング回転掘削機10を移動させ,鋼管杭1の中心がB点になるように位置させて,次の鋼管杭1を建て込む。そして,B点の鋼管杭1もその継手係合部1a,1bを施工の基準線上を向くように位置させる(図2(b))。即ち,A点の鋼管杭1の継手係合部1bとB点の鋼管杭1の継手係合部1aとが対向するように建て込む。 【0023】次に,ケーシング回転掘削機10を移動させ,油圧ハンマまたはバイブロハン 。即ち,A点の鋼管杭1の継手係合部1bとB点の鋼管杭1の継手係合部1aとが対向するように建て込む。 【0023】次に,ケーシング回転掘削機10を移動させ,油圧ハンマまたはバイブロハンマあるいはケーシング回転掘削機10に押込み用のアタッチメントを付設したものによって継手2を継手係合部1a,1bに圧入打設する(図2(c))。次に,ケーシング回転掘削機10をB点より右の図示しないC点に位置合わせをして,上記と同じ動作によって鋼管杭1を建て込む。このようにして,順次鋼管杭1の建込みと継手の打設を行って鋼管杭壁を構築する。」(キ) 「【発明の効果】…【0026】また,本発明の鋼管杭壁の施工方法は,ケーシング回転掘削機で回転圧入して施工され,軟弱地盤では圧入のみで作業できるので騒音振動が少なく,さらに硬い地質や転石・玉石の多い地質あるいは地中に障害物がある場合でも,鋼管下端のビットで地盤を掘削し鋼管内を掘削することにより,十分鋼管杭を建て込むこ- 53 - とができるので,予め土の置換施工を行う必要がなく,施工工期を短縮できる。」ウ公報3(別紙公報3添付図面参照)(ア) 「【0001】【発明の属する技術分野】この発明は,護岸や玉石などを多く含む地盤に基礎杭,あるいは土留め杭などの地中構造物を築造するさいにおける杭打込み用孔の形成方法に関する。 【0002】【従来の技術】一般に,例えば河川や海岸においては,地盤の表面に捨石などを敷設して所要の護岸が構築せしめられている。 ところで,かかる護岸個所に基礎杭や土留め杭などの地中構造物を築造する場合には,従来より,予め地中にベノトマシンや全周回転式オールケーシング掘削機などにより所要深の掘削孔を掘削形成すると共に,該掘削孔内にケーシングチ 個所に基礎杭や土留め杭などの地中構造物を築造する場合には,従来より,予め地中にベノトマシンや全周回転式オールケーシング掘削機などにより所要深の掘削孔を掘削形成すると共に,該掘削孔内にケーシングチューブを挿入せしめ,該ケーシングチューブ内に砂などの置換材を投入して掘削孔深とほぼ同高に充填せしめたのち,ケーシングチューブを引抜くことにより掘削孔を置換材でもって埋め戻し,杭打込み用孔を形成するものとされている。 【0003】【発明が解決しようとする課題】しかしながら,従来例は単に掘削孔に砂などの置換材を充填せしめたにすぎないものであるから,海中であることとも相まって時間の経過と共に沈下してその上に捨石などが堆積したり,あるいは,掘削孔壁個所の捨石が置換材中に侵入しやすいものである。このため,基礎杭などを打込むさいにはかかる捨石が障害物となってスムーズな打込みが阻害され,本来の杭打込み用孔としての機能を喪失しやすいものである。」- 54 - (イ) 「【0007】【実施例】以下に,この発明の一実施例を図面に示す掘削機に基づいて説明する。1は全周回転式オールケーシング掘削機,2は該全周回転式オールケーシング掘削機1を構成する垂直状のケーシングチューブで,該ケーシングチューブ2は昇降自在とされると共に所定方向に回転自在とされ,かつ,その下端縁には掘削ビット3が周設されている。4は全周回転式オールケーシング掘削機1と協働作動せしめるクローラークレーン,5は該クローラークレーン4のブーム6に牽引ロープ7を介して牽引自在に吊設されたハンマーグラブである。 【0008】8は堤防の法面に沿って築造された護岸で,該護岸8は地盤9の表面に堆積された盛砂層10と,該盛砂層10の表面を覆うべく多数の基礎捨石11でもっ されたハンマーグラブである。 【0008】8は堤防の法面に沿って築造された護岸で,該護岸8は地盤9の表面に堆積された盛砂層10と,該盛砂層10の表面を覆うべく多数の基礎捨石11でもって所要の厚さに敷設された捨石層12とより形成されている。13は捨石層12個所に構築された既設岸壁である。 その他,14は掘削孔,15は砂などよりなる置換材,16は該置換材15を充填せしめる合成繊維製袋体,17は杭打込み用孔で,上記の袋体16は所定の掘削孔深とほぼ同高になるように構成されている。 【0009】次に,既設の岸壁13を補強すべく,全周回転式オールケーシング掘削機1とクローラークレーン4の協働による杭打ち用孔17の形成状態について説明する。まず,岸壁13上の所定個所に全周回転式オールケーシング掘削機1とクローラークレーン4を各々設置せしめると共に,ケーシングチューブ2を所定の杭芯上に位置せしめるべく調整する(図2A参照)。しかるのち,ケーシングチューブ2を回転せしめつつ下降作動せしめ,掘削ビット3により捨石層12を順次掘削す- 55 - ると共に,ケーシングチューブ2内に牽引ロープ7を介して挿入せしめたハンマーグラブ5を掘削面に落下せしめて打込み,掘削捨石11を掴み取って外方に排出せしめつつ掘削孔14を掘削形成せしめる(図2B・C参照)。このさい,ケーシングチューブ2を回転せしめつつ下降作動せしめて掘削するため,掘削孔壁からの捨石11の崩落は確実に防止される。そして,捨石層12の掘削が終了した時点でケーシングチューブ2の回転を停止せしめると共に下降を停止せしめて掘削孔14内に残留せしめ,かつ,ケーシングチューブ2内よりハンマーグラブ5を外方に抜き去る。しかるのち,ケーシングチューブ2内に針金などの吊設部材(図示略 転を停止せしめると共に下降を停止せしめて掘削孔14内に残留せしめ,かつ,ケーシングチューブ2内よりハンマーグラブ5を外方に抜き去る。しかるのち,ケーシングチューブ2内に針金などの吊設部材(図示略)を介して袋体16を開口状態に吊設せしめ,上方より袋体16内に砂などの置換材15を投入して充填せしめる(図2D・E参照)。置換材15の投入が完了すると,吊設部材より袋体16を解放せしめると共に,ケーシングチューブ2を上昇作動せしめて抜き去り,掘削孔14を置換材15でもって埋め戻すことにより杭打込み用孔17を形成せしめる(図2F参照)。このさい,置換材15により埋め戻し形成された杭打込み用孔17は,袋体16でもって掘削孔14壁と置換材15との間を確実に隔離せしめるため,掘削孔14壁からの捨石11の侵入を確実に防止せしめ得るものである。」エ公報4(別紙公報4添付図面参照)(ア) 「【特許請求の範囲】【請求項1】先端に掘削刃を設け,外周をチャックされながら回転推進されて地盤に挿入される掘削ケーシングにおいて,掘削ケーシングの先端近傍の外周部分にこのケーシング周面を旋- 56 - 回する突条を形成したことを特徴とする掘削ケーシング。」(イ) 「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は,大深度掘削,柱列連続壁,地中障害物切削,転石切削,岩盤切削等を施工するのに使用する掘削ケーシングに関するものである。 【0002】【従来の技術】杭孔掘削にはオーガスクリュー軸を回転させて錐モミ状に地盤に挿入するアースオーガがよく使用されるが,かかるオーガスクリューでは岩盤や転石の多い硬質地盤ではその掘削能力に限界があり,掘削径も大きいものは不可能である。 【0003】これに対して,単軸掘削の場合はオー がよく使用されるが,かかるオーガスクリューでは岩盤や転石の多い硬質地盤ではその掘削能力に限界があり,掘削径も大きいものは不可能である。 【0003】これに対して,単軸掘削の場合はオーガスクリューの周囲に鋼管ケーシングを配置し,かつ,この鋼管ケーシングとオーガスクリューとを相互に逆向きに回転させて地盤に切り込むケーシングオーガ工法も周知である。特に鋼管ケーシングの先端に掘削刃を設け,この鋼管ケーシングで地盤をドーナツ状に切取り,その内部をオーガスクリューて掘削排土するようにすれば,オーガスクリューへの負荷を軽減することができ,掘削能力を高めることができる。」(ウ) 「【0009】そこで,岩盤や転石の多い硬質地盤でも大口径の削孔が可能なために,ケーシングを大口径のものとしてこれを回転駆動する技術がもとめられ,それを実現するものとして,図8,図9に示すようにケーシング4の外周をたが状に締め付けるチャック装置7とこのチャック装置7を回転駆動するモーターや減速機等の駆動装置8と,これらチャック装置7および駆動装置8を上下動する油圧シリンダーによる昇降シリンダー9とからなる建込み装置10を用いたオールケーシング- 57 - 工法がある。 【0010】図9中11は建込み装置10を水平に設置する水平ジャッキによるアウトリガー,12はチャック装置7の締めつけ機構としてのクサビ,13はクサビ12の係脱用シリンダーで,この例はクサビ型チャック機構としたが,これ以外に小シリンダーで輪を閉じるバンド式のチャック機構のものでもよい。 【0011】図10~図13に場所打ち杭施工における一般な作業工程を示すと,建込み装置10を据え付け,最初のケーシング4をその外周をチャック装置7で締め付け固定し,駆動装置8でこのチャック装置 【0011】図10~図13に場所打ち杭施工における一般な作業工程を示すと,建込み装置10を据え付け,最初のケーシング4をその外周をチャック装置7で締め付け固定し,駆動装置8でこのチャック装置7を回転させると同時に昇降シリンダー9をフリーとすればケーシング4は地盤に挿入される。 【0012】このようにケーシング4を連続回転させて削孔して押し込みを行い,ハンマーグラブ14を掘削手段としてケーシング4内に上から差し入れて掘削・排土する。かかる掘削・排土はケーシング4内が地盤からコア状に切断された部分となるので岩盤等の硬質地盤でもハンマーグラブ14で可能となる。」(エ) 「【0014】【発明が解決しようとする課題】しかし,前記建込み装置10による大口径のケーシング4は,掘削する地盤が岩盤,転石,既存構造物等の硬質なものである場合は,外周面に対する地盤からの摩擦抵抗が大きく加えられ,回転トルクが消耗され,また,浮き上がり力が加えられるなどして掘削効率が悪くなる。 【0015】本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し,チャック- 58 - 装置による建込み装置で大口径のケーシングを硬質地盤に建込む場合でも,地盤の摩擦抵抗を減らし,効率良く削孔できる掘削ケーシングを提供することにある。」(オ) 「【0022】【発明の実施の形態】以下,図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の掘削ケーシングの1実施形態を示す斜視図,図2は同上要部の一部切欠いた正面図で,前記従来例を示す図8と同一構成要素には同一参照符号を付したものである。 【0023】本発明の掘削ケーシングも前記図8,図9に示すように,ケーシング4の外周をたが状に締め付けるチャック装置7とこのチャック装置7を回転駆動す 同一参照符号を付したものである。 【0023】本発明の掘削ケーシングも前記図8,図9に示すように,ケーシング4の外周をたが状に締め付けるチャック装置7とこのチャック装置7を回転駆動するモーターや減速機等の駆動装置8と,これらチャック装置7および駆動装置8を上下動する油圧シリンダーによる昇降シリンダー9とからなる建込み装置10により,外周をチャックされながら回転推進されて地盤に挿入される掘削ケーシングで,先端には掘削刃5を設けたものである。」(カ) 「【0028】このようにして突条15を先端近傍の外周部に設けた本発明のケーシング4は,岩盤切削の他に特に図3に示すように転石16を切削するような場合や図4に示すように旧建物の鉄筋コンクリート構造物,PC杭その他の地中構造物17を切削するような場合において,この切削される側は突条15がまず接し,突条15間には空隙αができるので摩擦抵抗が減り,浮き上がり力を受けることも少なくなる。」オ公報5(別紙公報5添付図面参照)(ア) 「【特許請求の範囲】【請求項1】既設の杭から反力を取って地中に- 59 - 杭を圧入する杭圧入装置に設けられるチャック装置であって,前記杭をつかむチャック手段と,このチャック手段を少なくとも一つの回転方向に連続的に回転させることによって,このチャック手段によりつかまれた杭を少なくとも一つの回転方向に連続的に回転可能な回転手段と,を備えることを特徴とするチャック装置。」(イ) 「【請求項4】既設の杭から反力を取って地中に杭を圧入する杭圧入装置であって,請求項1~3のいずれかに記載のチャック装置と,このチャック装置を昇降させる昇降手段と,を備え,前記既設の杭から反力を取った状態で,杭をつかんだ状態のチャック手段を回 を圧入する杭圧入装置であって,請求項1~3のいずれかに記載のチャック装置と,このチャック装置を昇降させる昇降手段と,を備え,前記既設の杭から反力を取った状態で,杭をつかんだ状態のチャック手段を回転手段により少なくとも一つの回転方向に連続的に回転させながら,前記昇降手段により前記チャック装置を昇降させることによって,前記杭を少なくとも一つの回転方向に連続的に回転させながら地中に圧入することを特徴とする杭圧入装置。 【請求項5】請求項4記載の杭圧入装置を用いて,既設の杭から反力を取って地中に杭を圧入する杭圧入工法であって,既設の杭から反力を取った状態で,杭をつかんだ状態のチャック手段を回転手段により少なくとも一つの回転方向に連続的に回転させながら,前記昇降手段により前記チャック装置を昇降させることによって,前記杭を少なくとも一つの回転方向に連続的に回転させながら地中に圧入することを特徴とする杭圧入工法。」(ウ) 「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は,既設の杭から反力を取って地中に杭を圧入する杭圧入装置に設けられるチャック装置,- 60 - このチャック装置を備える杭圧入装置,および,この杭圧入装置を用いた杭圧入工法に関する。 【0002】【従来の技術】従来より,鋼管杭壁の構築に用いられる装置として,既設の鋼管杭から反力を取って地中に鋼管杭を圧入する杭圧入装置が知られている。このような杭圧入装置には,既に打ち込まれた鋼管杭をつかむクランプと,地中に圧入する鋼管杭をつかんで支持するチャックが設けられている。前記クランプにより既設の鋼管杭をつかんで反力をとった状態で,圧入する鋼管杭をつかんだ状態のチャックを降下させることによって,鋼管杭を地中に圧入できるようになっている。 【0003 設けられている。前記クランプにより既設の鋼管杭をつかんで反力をとった状態で,圧入する鋼管杭をつかんだ状態のチャックを降下させることによって,鋼管杭を地中に圧入できるようになっている。 【0003】【発明が解決しようとする課題】ところで,上述の従来の杭圧入装置では,杭は回転させないか,所定角度範囲内で鋼管杭を揺動回転させながら地中に圧入するようになっていたが,鋼管杭の周面抵抗が大きく,鋼管杭を圧入しづらい,という問題が生じていた。本発明の課題は,杭を圧入する際の抵抗力を軽減して,より効率よく杭を圧入できるようにすることである。 【0004】【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するため,請求項1記載の発明は,例えば,図1および図2に示すように,既設の杭から反力を取って地中に杭(鋼管杭P)を圧入する杭圧入装置(1)に設けられるチャック装置(2)であって,前記杭をつかむチャック手段(チャック部4)と,このチャック手段を少なくとも一つの回転方向に連続的に回転させることによって,このチャック手段によりつかまれた杭を少なくとも一つの回転方向に連続的に回転可能な回転手段(油圧モータ3- 61 - 4,ギヤ35)と,を備えることを特徴とする。 【0005】請求項1記載の発明によれば,チャック装置は前記チャック手段と前記回転手段とを備えるので,杭がつかまれた状態のチャック手段を回転手段が少なくとも一つの回転方向に連続的に回転させると,前記杭が少なくとも一つの回転方向に連続的に回転する。したがって,杭圧入装置により既設の杭から反力を取って地中に杭を圧入する際に,請求項1記載のチャック装置によって,杭を少なくとも一つの回転方向に連続的に回転させながら地中に圧入できる。これにより,杭圧入時の抵抗力を軽減して杭の圧入を補助できるので,より に杭を圧入する際に,請求項1記載のチャック装置によって,杭を少なくとも一つの回転方向に連続的に回転させながら地中に圧入できる。これにより,杭圧入時の抵抗力を軽減して杭の圧入を補助できるので,より効率よく杭を圧入することができる。また,杭圧入時の抵抗力を軽減できるので,外周に羽根や突条などが設けられた回転鋼管杭などであっても,容易に地中に圧入することができる。」(エ) 「【0011】請求項4記載の発明は,既設の杭から反力を取って地中に杭を圧入する杭圧入装置であって,請求項1~3のいずれかに記載のチャック装置と,このチャック装置を昇降させる昇降手段(油圧シリンダ12)と,を備え,前記既設の杭から反力を取った状態で,杭をつかんだ状態のチャック手段を回転手段により少なくとも一つの回転方向に連続的に回転させながら,前記昇降手段により前記チャック装置を昇降させることによって,前記杭を少なくとも一つの回転方向に連続的に回転させながら地中に圧入することを特徴とする。 【0012】請求項4記載の発明によれば,既設の杭から反力を取った状態で,杭をつかんだ状態のチャック手段が,回転手段により少なく- 62 - とも一つの回転方向に連続的に回転しながら,昇降手段により昇降する。 これにより,チャック手段によってつかまれた杭が,少なくとも一つの回転方向に連続的に回転しながら,地中に圧入される。したがって,杭圧入時の抵抗力を軽減して杭の圧入を補助できるので,より効率よく杭を圧入することができる。また,杭圧入時の抵抗力を軽減できるので,外周に羽根や突条などが設けられた回転鋼管杭などであっても,容易に地中に圧入することができる。 【0013】請求項5記載の発明は,請求項4記載の杭圧入装置を用いて,既設の杭から反力を取って地中に杭を圧入する杭圧 条などが設けられた回転鋼管杭などであっても,容易に地中に圧入することができる。 【0013】請求項5記載の発明は,請求項4記載の杭圧入装置を用いて,既設の杭から反力を取って地中に杭を圧入する杭圧入工法であって,既設の杭から反力を取った状態で,杭をつかんだ状態のチャック手段を回転手段により少なくとも一つの回転方向に連続的に回転させながら,前記昇降手段により前記チャック装置を昇降させることによって,前記杭を少なくとも一つの回転方向に連続的に回転させながら地中に圧入することを特徴とする。請求項5記載の発明によれば,請求項4記載の発明と同様の効果が得られる。 【0014】【発明の実施の形態】以下,この発明の実施の形態について,図面を参照しながら説明する。図1に示すように,本発明の一実施の形態例のチャック装置2は,地中に打ち込まれた既設の鋼管杭から反力を取って鋼管杭Pを地中に圧入する杭圧入装置1に設けられている。 【0015】杭圧入装置1は,従来の杭圧入装置と同様に,図示していない既設の鋼管杭をつかむクランプを下部に備えたサドル(図示略)と,サドルに対して前後にスライド移動するスライドベース(図示略)- 63 - と,スライドベース上で旋回する旋回部10(図1においては,先端部のみ図示)と,旋回部10の前方に設けられるチャック装置2と,を備えて構成されている。旋回部10の先端側には,上下方向に延在する二つのガイド溝11が,その開口側を互いに向き合わせて,間隔をあけて設けられている。」(オ) 「【発明の実施の形態】…【0024】次に,以上の構成の杭圧入装置1により鋼管杭Pを地中に圧入する杭圧入工法について説明する。杭圧入装置1は,図示しないクランプにより既設の鋼管杭をつかんで既設の鋼管杭から反力を取った状態 【0024】次に,以上の構成の杭圧入装置1により鋼管杭Pを地中に圧入する杭圧入工法について説明する。杭圧入装置1は,図示しないクランプにより既設の鋼管杭をつかんで既設の鋼管杭から反力を取った状態で,新たな鋼管杭Pを圧入する。 【0025】まず,図1に示すように,チャック部4に設けられたバッテリー46に予め充電された電力により油圧ポンプ48を作動させて,油圧シリンダ41により鋼管杭Pをつかんだ状態としておく。この状態で,油圧シリンダ12によりチャック装置2を下降させるとともに,油圧モータ34を作動させてチャック部4を少なくとも一つの回転方向に連続的に回転させる。すなわち,例えば,チャック部4を図1中における右回り方向に連続的に回転させたり,左回り方向に連続的に回転させたり,右回り方向への連続回転と左回り方向への連続回転を連続して行ったりする。これにより,チャック部4によりつかまれた鋼管杭Pは,少なくとも一つの回転方向に連続的に回転しながら,地中に圧入される。」(カ) 「【0040】【発明の効果】請求項1記載の発明によれば,杭圧入装置により杭を地中に圧入する際に,杭を少なくとも一つの回転方向に- 64 - 連続的に回転させながら地中に圧入できる。よって,杭圧入時の抵抗力を軽減して杭の圧入を補助できるので,より効率よく杭を圧入でき,また,外周に羽根や突条などが設けられた回転鋼管杭などであっても,容易に地中に圧入することができる。」(キ) 「【0043】請求項4,5記載の発明によれば,チャック手段によりつかまれた杭が,少なくとも一つの回転方向に連続的に回転しながら,地中に圧入される。したがって,杭圧入時の抵抗力を軽減して杭の圧入を補助できるので,より効率よく杭を圧入でき,また,外周に羽根や突条などが設けられ ,少なくとも一つの回転方向に連続的に回転しながら,地中に圧入される。したがって,杭圧入時の抵抗力を軽減して杭の圧入を補助できるので,より効率よく杭を圧入でき,また,外周に羽根や突条などが設けられた回転鋼管杭などであっても,容易に地中に圧入することができる。」カ公報6の記載(別紙公報6添付図面参照)(ア) 「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は既設の鋼管杭上に定置して該鋼管杭の反力に基づいて新たな鋼管杭を地盤内に圧入,引抜するとともに,連続して圧入引抜される鋼管杭の圧入引抜ピッチの変更と進路変更にも素早く対応可能にした鋼管杭圧入引抜機に関するものである。 【0002】【従来の技術】近年,各種の土木基礎工事において,鋼管杭,例えば鋼管単杭とか鋼管矢板は大きな支持力が得られるとともに経済性に優れているため,永久構造物の外にも護岸工事及び山留め工事,締切り工事等の仮設工事の支持杭として広く採用されている。従来からこれらの鋼管杭の地盤への圧入,引抜工事は,例えば上空制限のない場所ではバイブロハンマとかディーゼルハンマもしくは中堀式などの工法- 65 - や,静荷重型鋼管杭圧入引抜機が用いられており,また,上空制限のある場所では主として静荷重型鋼管杭圧入引抜機が採用されている。 【0003】この静荷重型鋼管杭圧入引抜機としては,実公平6-21962号に示すように,既設の鋼管杭上に定置された台座の下方に複数の反力掴み装置(クランプ)を設けて,この反力掴み装置により既設杭をクランプすることによって反力を取っており,この反力掴み装置は台座の下面にあって進行方向先頭の反力掴み装置は左右方向に摺動自在に設けられ,残りの反力掴み装置は前後及び左右方向に摺動自在に取り付けられている。これはカーブ施工において建込み杭 この反力掴み装置は台座の下面にあって進行方向先頭の反力掴み装置は左右方向に摺動自在に設けられ,残りの反力掴み装置は前後及び左右方向に摺動自在に取り付けられている。これはカーブ施工において建込み杭の進行方向法線に対するクランプ装置の左右方向への「ずれ」に対する位置合わせと,反力掴み装置が既設杭に圧接する際に発生するクリアランス分の移動をスムーズに行わせるための機構を構成している。」(イ) 「【発明が解決しようとする課題】…【0006】そこで本発明はこのような従来の鋼管杭圧入引抜機が有している課題を解消して,圧入引抜機自体の大型化を防止するとともに機構を簡易化して垂直方向の寸法を低くし,機械重量も低減して建設現場での搬入と操作を容易にするとともに,連続して圧入引抜される鋼管杭のピッチの変更と進路変更にも素早く対応可能な鋼管杭圧入引抜機を提供することを目的とするものである。」(ウ) 「【課題を解決するための手段】…【0009】かかる本発明によれば,建込用の鋼管杭を地盤に圧入する際の基本操作は前部反力掴み装置と後部反力掴み装置の各クランプシリンダを用いて既設の鋼管杭をク- 66 - ランプしてから杭掴み装置に内蔵されたチャックシリンダにより建込用鋼管杭をチャックし,杭圧入引抜シリンダの駆動により鋼管杭の圧入を行う。圧入引抜機を前進させるには,前部反力掴み装置と既設の鋼管杭とのクランプを解除してから後部反力掴み装置と台座間に配設されたシリンダ装置を伸長することによって圧入引抜機本体をシリンダ装置のストローク分だけ前方にスライドさせ,前部反力掴み装置に内蔵されたクランプシリンダの伸長により前部反力掴み装置と既設の鋼管杭とをクランプし,次に後部反力掴み装置と既設の鋼管杭とのクランプを解除してから上記シリンダ装置の短縮により後部反 部反力掴み装置に内蔵されたクランプシリンダの伸長により前部反力掴み装置と既設の鋼管杭とをクランプし,次に後部反力掴み装置と既設の鋼管杭とのクランプを解除してから上記シリンダ装置の短縮により後部反力掴み装置を前方にスライドさせて再度既設の鋼管杭にクランプして1ステップの前進工程が完了する。」(エ) 「【0011】【発明の実施の形態】以下図面に基づいて本発明にかかる鋼管杭圧入引抜機の具体的な実施形態を説明する。図1は本発明を適用した鋼管杭の圧入引抜機本体1を全体的に示す側面図,図2は同平面図であり,2は台座,3は台座2の下部に配設されて既設の鋼管杭をクランプする反力掴み装置である。この反力掴み装置3は前部反力掴み装置3aと後部反力掴み装置3bとに分割構成されている。詳細は後述するように,前部反力掴み装置3aは台座2の下面にあって進行方向に対して左右方向に摺動自在に配設され,後部反力掴み装置3bは進行方向に対して前後方向に摺動自在に配設されている。Fは圧入引抜機本体1の進行方向を示す。」(オ) 「【0016】図5は反力掴み装置3a(3b)の縦断面図,図6- 67 - は図5のC-C線に沿う断面図であり,反力掴み装置3a(3b)内にはクランプシリンダ14が内蔵されている。該クランプシリンダ14の一端が杭掴み装置3a(3b)の一方側に固定されているとともに他方側が半円形部分に固定されていて,このクランプシリンダ14の伸長に伴って既設の鋼管杭の内面に反力掴み装置3a(3b)が圧接して,摩擦抵抗により建込用鋼管杭の圧入引抜時の反力を得るように構成されている。 【0017】かかる構成によれば,建込用の鋼管杭16を地盤に圧入する際の基本操作として,先ず前部反力掴み装置3aと後部反力掴み装置3bの各クランプシリンダ14を用いて既 うに構成されている。 【0017】かかる構成によれば,建込用の鋼管杭16を地盤に圧入する際の基本操作として,先ず前部反力掴み装置3aと後部反力掴み装置3bの各クランプシリンダ14を用いて既設の鋼管杭15,15をクランプしてから,図7に示すように杭掴み装置10に内蔵されたチャックシリンダ11,11により可動側チャック爪10bを固定側チャック爪10a方向に押動して建込用の鋼管杭16の外周を4方向からチャックし,杭圧入引抜シリンダ9,9を駆動して鋼管杭16の地盤への圧入を行う。そして杭圧入引抜シリンダ9,9のストローク分だけ圧入すると,チャックシリンダ11,11を開放してから該チャックシリンダ11,11を杭圧入引抜シリンダ9,9のストローク分だけ上昇させ,再び前記同様の操作を繰り返して所定の深度まで圧入を行う。鋼管杭16を地盤から引き抜く際の基本操作もほぼ同一であり,杭圧入引抜シリンダ9,9を駆動して該杭圧入引抜シリンダ9,9のストローク分だけ鋼管杭16の引抜作業を行えばよい。」キ公報7の記載(別紙公報7添付図面参照)- 68 - (ア) 「(産業上の利用分野)本考案は杭圧入引抜機のクランプ装置に関するもので,特にクランプ装置の各クランプが夫々独立して移動可能であるものに関する。 (従来の技術)従来より鋼矢板等の鋼杭を圧入するために杭圧入引抜機が使用されていた。この杭圧入引抜機は,基台上のスライドベース上に立設されたマストの前方に杭挟持用のチャックを構成し,前記基台の下部には既設杭を挟持するための複数のクランプを構成している。 このクランプは,上記基台下端に固定されていて,既設杭を挟持して杭圧入引抜機本体を杭列上に固定し,杭の圧入あるいは引抜時には既設杭より反力を得るものであ 複数のクランプを構成している。 このクランプは,上記基台下端に固定されていて,既設杭を挟持して杭圧入引抜機本体を杭列上に固定し,杭の圧入あるいは引抜時には既設杭より反力を得るものであり,杭圧入引抜機の杭列上自走に際しては,基台の移動に伴って前進あるいは後退していた。 (考案が解決しようとする問題点)このような従来のクランプ装置では,各クランプのピッチは予め定められた間隔で基台に固定されているため,個々のクランプが独立して前後方向に移動することは出来なかった。 そのため鋼矢板の連続圧入時に,各杭の杭幅が異なりクランプの挟持ピッチが異なる場合には,杭を挟持できなくなるため,杭圧入引抜機自体を交換しなければならなかった。」(2欄5行ないし3欄13行)(イ) 「次にこのように構成した本実施例の作用を説明する。 第4図に示すように既設鋼管杭P,Pの上端にクランプ1,1を把持せしめることで,杭圧入引抜機10を既設杭上に固定して鋼管杭圧入作業を行う。本実施例で使用する鋼管杭用のクランプ1を第6図に基づい- 69 - て簡単に説明する。 クランプ1は,円筒形状の押圧部を2分割して断面略三日月形の可動把持部41と固定把持部51を構成している。 前記押圧部には上下に2基の流体圧シリンダ61,61が内蔵されている。可動把持部41に形成した凹部41a,41aにシリンダ61,61のピストン61b,61bの端部を嵌合固定し,一方,固定把持部51に形成した凹部51a,51aには上記ピストン61b,61bを摺動自在に嵌合すると共に,シリンダ61,61のロッド61a,61aの一端を凹部51a,51aの奥部に固定する。 使用に際しては,シリンダ61,61を作動し,ロッド61a,61aを伸長せしめることによっ 在に嵌合すると共に,シリンダ61,61のロッド61a,61aの一端を凹部51a,51aの奥部に固定する。 使用に際しては,シリンダ61,61を作動し,ロッド61a,61aを伸長せしめることによって可動把持部41を杭Pの内壁面に押圧せしめる。さらにロッド61a,61aを伸長し,該可動把持部41が杭Pの内壁面より得る反力で固定把持部51が外側(第6図右側)にわずかに移動し,クランプ1は鋼管杭Pに固定する(第6図(b)参照)。この状態で鋼管杭Pはクランプ1に確実に把持される。 なお,鋼管杭Pより,クランプ1を取り外すときは,シリンダ61のロッド61a,61aを退縮すれば把持状態は解除される。 この杭圧入作業は,新たな圧入鋼管杭Pをチャック12で挾持して,該チャック12を下降することで行うが,この圧入作業にともなって,杭圧入引抜機10も既設杭列上を移動していく。 このように,圧入引抜機10が前進あるいは後退するたびに基台14下のクランプ1,1は新な既設杭を把持しなくてはならない。これらの- 70 - 杭P,Pは通常は等間隔に圧入されているため,これを把持するクランプ1,1も予め一定の間隔に設定しておけば良いが,杭P,Pの杭径が異なる場合,あるいは杭の圧入ピッチが異なる場合にはクランプ1,1の間隔も変更しなければならない。その場合は,基台14の下端に取付けたシリンダ34を作動せしめ,レールR2,R2を基台14の摺動溝32,32に沿って移動させ,上部スライド機構31を前進または後退させることで,クランプ1,1を移動する。 そのため,クランプ1は杭ピッチの変更に応じた微小な前後動が可能となり,その中心を常に鋼管杭Pの中心と整合させることができる。従ってクランプ1は常に鋼管杭の内周面に密着して,確実な把持状態を確保できるのである。 プ1は杭ピッチの変更に応じた微小な前後動が可能となり,その中心を常に鋼管杭Pの中心と整合させることができる。従ってクランプ1は常に鋼管杭の内周面に密着して,確実な把持状態を確保できるのである。 特に第5図に示すように,鋼管杭Pの圧入作業においては,そのセクション部分S,Sの構造上の相違により杭Pの圧入間隔も変化してくる。 また,第5図(a)のようにカーブ打ちの場合には杭P,Pの間隔は少しずつ変化してくるのでクランプ1も,これに対応するため,ピッチの微小な調整を余儀なくされるのであるが,これらの場合にも本実施例のクランプ移動機構2によれば,迅速かつ正確に対応できる。」(4欄32行ないし6欄5行)(2) 公報1及び2に記載された発明と周知慣用技術に基づく本件発明の想到容易性についてア本件発明と公報1に記載された発明との対比について(ア) 公報1に記載された発明について- 71 - 前記(1)(ア)認定の事実によれば,公報1の段落【0022】等の「鋼管矢板壁」は,本件発明の「鋼管杭列」及び「連続壁」に相当するから,公報1には,次の発明(以下「公報1発明」という。)が記載されていると認められる。 a コンクリート護岸の背面に鋼管杭列を構築し,b 上記鋼管杭列に連続して連続壁を構築し,c その後,上記鋼管杭列の河川側のコンクリート護岸と土砂を除去するd 護岸の連続構築方法。 (イ) 本件発明と公報1発明との対比について本件発明と公報1発明とは,「鋼管杭列を構築し,上記鋼管杭列に連続して連続壁を構築し,その後,上記鋼管杭列の河川側のコンクリート護岸と土砂を除去する護岸の連続構築方法。」である点で一致し,次の5点で相違する。 とは,「鋼管杭列を構築し,上記鋼管杭列に連続して連続壁を構築し,その後,上記鋼管杭列の河川側のコンクリート護岸と土砂を除去する護岸の連続構築方法。」である点で一致し,次の5点で相違する。 a 本件発明では,鋼管杭を回転圧入できる切削用鋼管杭圧入装置を用いるのに対し(構成要件A),公報1発明では,これがない点b 本件発明では,先端にビットを備えた鋼管杭を用いるのに対し(構成要件B),公報1発明では,鋼管杭の限定がない点c 本件発明では,コンクリート護岸を打ち抜いて圧入するのに対し(構成要件C),公報1発明では,コンクリート護岸の背面に鋼管杭列を構築する点d 本件発明では,鋼管杭列から反力を得るのに対し(構成要件D),- 72 - 公報1発明では,これがない点e 本件発明では,構築した鋼管杭列に連続して,先端にビットを備えた切削用鋼管杭を回転圧入してコンクリート護岸を打ち抜くのに対し(構成要件E),公報1発明では,これがない点イ相違点に係る構成の想到容易性について(ア) 公報2に記載された発明について前記(1)イ認定の事実によれば,公報2の段落【0013】等の「ケーシング回転掘削機」,段落【0016】等の「ビット1dが取り付けられたもの」,段落【0021】等の「掘削」及び段落【0001】等の「鋼管杭壁」は,本件発明の「鋼管杭を回転圧入できる鋼管杭圧入装置」,「先端にビットを備えた切削用鋼管杭」,「打ち抜いて圧入」並びに「鋼管杭列」及び「連続壁」にそれぞれ相当するから,公報2には,次の発明(以下「公報2発明」という。)が記載されていると認められる。 a 鋼管杭を回転圧入できる鋼管杭圧入装置及びハンマーグラブを用いて, 壁」にそれぞれ相当するから,公報2には,次の発明(以下「公報2発明」という。)が記載されていると認められる。 a 鋼管杭を回転圧入できる鋼管杭圧入装置及びハンマーグラブを用いて,b 先端にビットを備えた切削用鋼管杭をc 地中障害物を打ち抜いて圧入して鋼管杭列を構築し,d スパイクウェイト等の反力取り装置によって反力を得ながら,e 上記鋼管杭列に連続して上記切削用鋼管杭を回転圧入して地中障害物を打ち抜いて連続壁を構築するf 連続壁の連続構築方法。 被告は,公報2のハンマーグラブは,鋼管杭内の掘削と排土に必要と- 73 - なるにすぎず,鋼管杭の圧入に必要とならないと主張する。しかしながら,前記(1)イ認定の事実によれば,公報2発明は,建て込んだ鋼管杭を残して形成した鋼管杭壁に関する発明であり,軟弱地盤ではケーシング回転掘削機と鋼管杭の下端に取り付けたビットだけで掘進することができるものの,硬質地盤では,公報2の段落【0021】に「ハンマグラブ30などで鋼管内の土を掘削しながら掘進させる。」や段落【0026】に「鋼管内を掘削することにより,十分鋼管杭を建て込むことができる」と記載されているように,ハンマーグラブを併用して掘進することを前提とするものである(なお,公報2の段落【0021】に「鋼管内の土を掘削した場合」との記載があるが,これは,一般及び硬質地盤に対してハンマーグラブを併用して鋼管内の土を掘削した場合を意味するのであって,硬質地盤に対してハンマーグラブを併用しない場合を示唆するものではない。)。したがって,被告の上記主張は,採用することができない。 (イ) 公報3及び4に記載された周知慣用技術について前記(1 マーグラブを併用しない場合を示唆するものではない。)。したがって,被告の上記主張は,採用することができない。 (イ) 公報3及び4に記載された周知慣用技術について前記(1)ウ認定の事実によれば,公報3の段落【0007】等の「ケーシングチューブ」,「全周回転式オールケーシング掘削機」及び「掘削ビット」は,本件発明の「切削用鋼管杭」,「鋼管杭を回転圧入できる鋼管杭圧入装置」及び「ビット」にそれぞれ相当する。また,証拠(乙11の1及び2)によれば,捨石とは,土木工事の分野では,波等による浸食から保護するため,岸辺に置かれる1個当たり約10ないし200㎏の石を意味することが認められるところ,本件発明の「コンクリー- 74 - ト護岸」は,前記2(2)アのとおり,石材等で構成した護岸を含むから,公報3の段落【0008】等の「捨石」からなる「護岸」は,本件発明の「コンクリート護岸」に相当する(被告は,公報3の「岸壁」も本件発明の「コンクリート護岸」に相当すると主張するが,上記「岸壁」は,海岸等を流水等による浸食作用から保護するために法覆工,基礎工及び根固工等によって形成される構造物ではないから,「護岸」に相当しない。また,岸壁は,捨石より硬いコンクリートからなることがうかがわれるにもかかわらず,これをケーシングチューブが掘削したことをうかがわせる記載は【図2】だけであって,発明の詳細な説明には記載がなく,ケーシングチューブ以外の方法で掘削されたことが明らかであるから,「コンクリート…を打ち抜い」たともいえない。)。 また,前記(1)エ認定の事実によれば,公報4の【0023】等の「ケーシング」,「建込み装置」,「掘削刃」及び「掘削ケーシング」は,本件発明の「鋼管杭」,「鋼管杭圧入装置」,「ビット」及び また,前記(1)エ認定の事実によれば,公報4の【0023】等の「ケーシング」,「建込み装置」,「掘削刃」及び「掘削ケーシング」は,本件発明の「鋼管杭」,「鋼管杭圧入装置」,「ビット」及び「切削用鋼管杭」にそれぞれ相当する。 そうすると,公報3及び4には,次の周知慣用技術が記載されていると認められる。 a 鋼管杭を回転圧入できる鋼管杭圧入装置及びハンマーグラブを用いて,b 先端にビットを備えた切削用鋼管杭でc コンクリートを打ち抜く方法。 被告は,公報3及び4のハンマーグラブは,鋼管杭内の掘削と排土に- 75 - 必要となるにすぎず,鋼管杭の圧入に必要とならないと主張する。しかしながら,証拠(乙18,20,26ないし29)によれば,遅くとも昭和60年ころには,ケーシング(鋼管杭)とハンマーグラブを併用して地盤を掘削した後にケーシングを引き抜きながらコンクリートを打設するオールケーシング工法という杭工法が開発されたことが認められ,前記(1)ウ及びエ認定の事実を併せ考慮すると,公報3及び4に記載された周知慣用技術も,上記工法に属するものと認められる。そうであるから,公報3の段落【0009】に「ハンマーグラブ5を掘削面に落下せしめて打込み,掘削捨石11を掴み取って外方に排出せしめつつ掘削孔14を掘削形成せしめる」と記載され,公報4の段落【0012】に「ハンマーグラブ14を掘削手段としてケーシング4内に上から差し入れて掘削・排土する。」と記載されているように,公報3及び4に記載された周知慣用技術は,ハンマーグラブを併用して掘進することを前提とするものである(なお,証拠(乙18,20,26ないし29)によれば,オールケーシング工法は,遅くとも平成元年ころには,ケー に記載された周知慣用技術は,ハンマーグラブを併用して掘進することを前提とするものである(なお,証拠(乙18,20,26ないし29)によれば,オールケーシング工法は,遅くとも平成元年ころには,ケーシングの先端にビットを備えることにより,岩盤等の掘削も可能になったことが認められるが,それでもなおハンマーグラブを併用して掘進することを前提としていたことが認められる。)。したがって,被告の上記主張は,採用することができない。 (ウ) 公報5ないし7に記載された周知慣用技術について前記(1)オないしキ認定の事実によれば,公報5の段落【0002】の「鋼管杭壁」,公報6の段落【0009】等の「既設の鋼管杭」及び公- 76 - 報7の5欄12行の「既設杭列」等は,本件発明の「鋼管杭列」及び「連続壁」に相当するから,公報5ないし7には,次の周知慣用技術が記載されていると認められる。 a 既設の鋼管杭列から反力を得ながら,b 上記鋼管杭列に連続して鋼管杭を圧入して連続壁を構築する方法。 (エ) 想到容易性について公報2発明と公報3及び4に記載された周知慣用技術は,いずれもハンマーグラブを用いるものであるから,公報1発明に公報2発明を組み合わせ,公報3及び4に記載された周知慣用技術や公報5ないし7に記載された周知慣用技術を適用しても,本件発明の構成に到達しないというべきである(この点をおくとしても,公報1発明と公報2発明との間には,技術分野,課題及び効果における関連性がほとんどないから,これを組み合わせる動機付けがない。)。 したがって,本件発明は,公報1発明に公報2発明を組み合わせ,公報3及び4に記載された周知慣用技術や公報5ないし7に記載された周知慣用技術を ,これを組み合わせる動機付けがない。)。 したがって,本件発明は,公報1発明に公報2発明を組み合わせ,公報3及び4に記載された周知慣用技術や公報5ないし7に記載された周知慣用技術を適用して,当業者が容易に発明することができたとは認められない。 (3) 公報5及び1に記載された発明と周知慣用技術に基づく本件発明の想到容易性についてア本件発明と公報5に記載された発明との対比について(ア) 公報5に記載された発明について前記(1)オ認定の事実によれば,公報5の段落【0002】の「鋼管杭- 77 - 壁」は,本件発明の「鋼管杭列」及び「連続壁」に相当し,公報5の【請求項5】等の「杭圧入装置」は,本件発明の「鋼管杭圧入装置」に相当するから,公報5には,次の発明(以下「公報5発明」という。)が記載されていると認められる。 a 鋼管杭を回転圧入できる鋼管杭圧入装置を用いて,b 鋼管杭をc 圧入して鋼管杭列を構築し,d この鋼管杭列から反力を得ながら,e 上記鋼管杭列に連続して鋼管杭を回転圧入して連続壁を構築する方法。 (イ) 本件発明と公報5発明との対比について本件発明と公報5発明とは,「鋼管杭を回転圧入できる鋼管杭圧入装置を用いて,鋼管杭を圧入して鋼管杭列を構築し,この鋼管杭列から反力を得ながら,上記鋼管杭列に連続して鋼管杭を回転圧入して連続壁を構築する方法。」である点で一致し,次の5点で相違する。 a 本件発明では,先端にビットを備えた切削用鋼管杭を用いるのに対し(構成要件B),公報5発明では,鋼管杭を用いるだけである点b 本件発明では,コンクリート護岸を打ち抜くのに対し( a 本件発明では,先端にビットを備えた切削用鋼管杭を用いるのに対し(構成要件B),公報5発明では,鋼管杭を用いるだけである点b 本件発明では,コンクリート護岸を打ち抜くのに対し(構成要件C),公報5発明では,これがない点c 本件発明では,先端にビットを備えた切削用鋼管杭を回転圧入してコンクリート護岸を打ち抜くのに対し(構成要件E),公報5発明では,鋼管杭を回転圧入するだけである点- 78 - d 本件発明では,連続壁を構築した後,鋼管杭列の河川側のコンクリート護岸と土砂を除去するのに対し(構成要件F),公報5発明では,これがない点e 本件発明では,護岸の連続構築方法であるのに対し(構成要件G),公報5発明では,これがない点イ相違点に係る構成の想到容易性について公報3及び4に記載された周知慣用技術は,ハンマーグラブを用いるものであるから,公報5発明に公報1発明を組み合わせ,公報3及び4に記載された周知慣用技術を適用しても,本件発明の構成に到達しないというべきである(この点をおくとしても,公報5発明と公報1発明との間の間には,技術分野,課題及び効果における関連性が全くないから,これを組み合わせる動機付けがない。)。 したがって,本件発明は,公報5発明に公報1発明を組み合わせ,公報3及び4に記載された周知慣用技術を適用して,当業者が容易に発明することができたとは認められない。 (4) 公報1ないし3に記載された発明と周知慣用技術に基づく本件発明の想到容易性についてア本件発明と公報1発明との対比について公報1発明は,前記(2)ア(ア)のとおりであり,本件発明と公報1発明との相違点は,同(イ)のとおりである。 想到容易性についてア本件発明と公報1発明との対比について公報1発明は,前記(2)ア(ア)のとおりであり,本件発明と公報1発明との相違点は,同(イ)のとおりである。 イ相違点に係る構成の想到容易性について(ア) 公報2発明は,前記(2)イ(ア)のとおりである。 - 79 - (イ) 公報3に記載された発明について前記(1)ウ認定の事実によれば,公報3には,次の発明(以下「公報3発明」という。)が記載されていると認められる。 a 鋼管杭を回転圧入できる鋼管杭圧入装置及びハンマーグラブを用いて,b 先端にビットを備えた切削用鋼管杭でc コンクリート護岸を打ち抜く方法。 被告は,公報3の「土留め杭」が本件発明にいう「鋼管杭列」,「連続壁」に相当すると主張するが,公報3に土留め杭を複数連続して圧入する旨の記載や示唆は認められないから,被告の上記主張は,採用することができない。 (ウ) 公報4に記載された周知慣用技術は,前記(2)イ(イ)と同様であり,公報5ないし7に記載された周知慣用技術は,同(ウ)のとおりである。 (エ) 想到容易性について公報2発明,公報3発明及び公報4に記載された周知慣用技術は,いずれもハンマーグラブを用いるものであるから,公報1発明に公報2発明及び公報3発明を組み合わせ,公報4に記載された周知慣用技術や公報5ないし7に記載された周知慣用技術を適用しても,本件発明の構成に到達しないというべきである(この点をおくとしても,公報1発明と公報2発明,公報3発明との間には,技術分野,課題及び効果における関連性がほとんどないから,これらを組み合わせる動機付けがない。)。 しないというべきである(この点をおくとしても,公報1発明と公報2発明,公報3発明との間には,技術分野,課題及び効果における関連性がほとんどないから,これらを組み合わせる動機付けがない。)。 したがって,本件発明は,公報1発明に公報2発明及び公報3発明を- 80 - 組み合わせ,公報4に記載された周知慣用技術や公報5ないし7に記載された周知慣用技術を適用して,当業者が容易に発明することができたとは認められない。 (5) 以上によれば,本件発明に係る請求項1は,特許無効審判により無効にされるべきものと認められない。 4 争点④(被告の責任及び損害)について(1) 被告の責任について証拠(甲8の3,10の2,13の4,27,乙15の10及び11)によれば,本件JVは,本件特許権が登録された後に当たる平成20年7月中旬から,被告方法の使用を開始し,本件特許権を侵害したことが認められる。 また,証拠(甲5の1及び2,28の1ないし3,31の1ないし5,43及び47の各2,57)及び弁論の全趣旨によれば,原告技研は,建設,工作機械の開発,製作及び販売,土木建築その他建設工事全般等を業とする株式会社であり,原告新日鐵は,鉄鋼の製造及び販売等を業とする株式会社であるところ,原告技研は,原告新日鐵と共に,本件発明に関する工法を共同開発し,平成15年10月には本件発明に係る特許出願をするとともに,上記工法をジャイロプレス工法と命名の上,鋼管杭の回転圧入を含む各種工事を受注していたこと,本件JVは,東京都の発注する妙正寺川整備工事が鋼管杭の回転圧入を含むものであったことから,平成19年7月から同年10月の間にかけて,原告らからジャイロプレス工法を用いる場合の工事費や材料費の見積書を得て,原告技研の担当 する妙正寺川整備工事が鋼管杭の回転圧入を含むものであったことから,平成19年7月から同年10月の間にかけて,原告らからジャイロプレス工法を用いる場合の工事費や材料費の見積書を得て,原告技研の担当者との間で,ジャイロプレス工法を用いた工事方法に関する打合せを行っていたことが認められる。これらの事- 81 - 実を総合すれば,本件JVは,被告方法を使用するに当たり,少なくとも,本件特許権があることを認識することができたにもかかわらず,これを認識することなく,被告方法を使用して本件特許権を侵害したことを推認することができるから,本件JVには,本件特許権の侵害について,過失があったものと認められる。そして,被告は,建築,土木工事等を業とする株式会社であるとともに(弁論の全趣旨),本件JVの構成員であるから,商法511条1項により,被告JVが本件特許権の侵害によって負う不法行為に基づく損害賠償債務につき,連帯債務を負うというべきである(最高裁平成6年(オ)第2137号同10年4月14日第三小法廷判決・民集52巻3号813頁参照)。 (2) 原告技研の損害についてア民法709条による損害額について(ア) 損害及び因果関係証拠(甲12,13の1ないし4,28の1ないし3,29,30の1ないし8,38の1,2及び4,50)によれば,東京都は,妙正寺川整備工事の発注に当たり,妙正寺川がその周囲を道路や住宅等に囲まれていることから,周囲に工事の影響を与えにくいジャイロプレス工法を念頭に,平成18年12月,原告らからジャイロプレス工法を用いる場合の工事費や材料費の見積書を得た上で,平成19年4月,ジャイロプレス工法を標準案とする技術提案型総合評価方式の入札公告を行ったこと,同年7月から実施された各入札の からジャイロプレス工法を用いる場合の工事費や材料費の見積書を得た上で,平成19年4月,ジャイロプレス工法を標準案とする技術提案型総合評価方式の入札公告を行ったこと,同年7月から実施された各入札の結果,激特1は奥村組JVが,本件各工事は本件JVがそれぞれ落札し,奥村組JVは,原告技研の完- 82 - 全子会社である技研施工に対してジャイロプレス工法を用いた下請工事を発注したが,被告JVは,前記認定のとおり,原告らから見積書を得たり原告技研の担当者との間で打合せを行ったものの,結局,オオブ工業に対して下請工事を発注したこと,オオブ工業は,鋼管杭の打込みを開始した平成20年4月から同年7月上旬までは,鋼管杭列から反力を得ないコウワ機を用いていたが,コンクリートや裏込材に阻まれて進捗が遅く,工期に間に合わないことが明白となったため,同年7月中旬から,鋼管杭列から反力を得る鋼管パイラー機を用いるようになったことが認められる。 これらの事実を総合すれば,本件JVが本件特許権を侵害せずに本件各工事を工期内に完成させるには,技研施工に対して鋼管杭の打込みに係る下請工事を発注するしかなかったものと認められるから,原告技研は,本件JVの不法行為がなければ,技研施工が本件JVから鋼管杭の打込みに係る下請工事を受注し,粗利から変動経費を控除した限界利益の額に相当する技研施工の株式価値の上昇益のうち,本件特許権の共有持分の割合に相当する利益を得ることができたが,本件JVの不法行為により,上記利益を得ることができなかったものである。 原告技研は,本件各工事全体の限界利益の額に相当する技研施工の株式価値の上昇益の全部が原告技研の逸失利益であると主張する。しかしながら,証拠(甲2)によれば,本件明細書の発明の詳細な説明には,「 原告技研は,本件各工事全体の限界利益の額に相当する技研施工の株式価値の上昇益の全部が原告技研の逸失利益であると主張する。しかしながら,証拠(甲2)によれば,本件明細書の発明の詳細な説明には,「【技術分野】【0001】本発明は,河川や堤防等のコンクリート護岸あるいは石材等で構成した護岸(以下,コンクリート護岸という)の- 83 - 改修工事あるいは補強工事を行うための護岸の連続構築方法およびそれを利用した河川や沼,海岸等の拡幅工法に関するものである。【背景技術】【0002】河川の氾濫を防ぐために,川巾を拡幅したり川底を浚渫するなどして流路面積を大きくする工事が行われているが,従来の工法では護岸の巾以上の拡幅は不可能であった。また,従来の護岸の形状はコンクリートブロックなどを法面に積載したものが多く,これは河川の巾を狭める結果となっていた。…【発明が解決しようとする課題】【0005】本発明は上記の点に鑑みなされたものであり,大掛かりな仮設装置又は仮設工事などを必要とせず,安定した状態で鋼管杭を連続して打設して効率的に河川や堤防の護岸の改修あるいは補強ができる構築方法と,それを利用した河川や沼,海岸等の拡幅工法を提供するものである。…【発明の効果】【0010】請求項1の発明より,コンクリート護岸の改修工事や護岸の補強工事あるいは河川等の浚渫工事等が安全かつ効率よく行える。特に従来では拡幅不可能な河川等における改修工事が可能となり,この拡幅工事を行うための仮設工事を一切必要としないので工期の短縮,工費の削減を図ることができる。また,鋼管杭を回転しながら圧入するため,アースオーガ等の装置も必要としない。」と記載されていることが認められ,これらによると,本件発明の作用効果を発揮するのは,構成要件A,D及びEの部分であり,本件特許権 杭を回転しながら圧入するため,アースオーガ等の装置も必要としない。」と記載されていることが認められ,これらによると,本件発明の作用効果を発揮するのは,構成要件A,D及びEの部分であり,本件特許権の価値も当該部分にあるといえるから,当該部分に対応する鋼管杭の打込工事の限界利益の額に相当する技研施工の株式価値の上昇益のみが民法416条の類推適用を受ける「通常生ずべき損害」に当たると- 84 - いうべきである。また,本件特許権は,原告らの共有に係るから,原告技研は,自己の持分に応じてのみ損害賠償請求権を行使することができるものである(最高裁昭和39年(オ)第1179号同41年3月3日第一小法廷判決・裁判集民事82号639頁参照)。したがって,原告の上記主張は,採用することができない。 また,被告は,原告技研が技研施工と別法人であり,本件発明を実施しているとはいえないから,民法709条による損害を被っていないと主張する。しかしながら,原告技研は,本件JVの不法行為によって通常得られたはずの利益を得ることができなかったのである(最高裁平成元年(オ)第1400号同5年9月9日第一小法廷判決・民集47巻7号4814頁参照)。被告の上記主張は,採用することができない。 (イ) 損害額a 鋼管杭の圧入に関する限界利益額について(a) 証拠(甲6,7,11,12,13の1,14の1,22の1,38の1ないし3,42,43の1及び2)によれば,激特1と本件各工事は,打ち込んだ鋼管杭の数が異なることを除き,ほぼ同様の工事であることが認められるから,技研施工が被告JVから受注することができた本件各工事において鋼管杭を回転圧入できる鋼管杭圧入装置を用いて構築した鋼管杭列から反力を得ながら先端にビット ほぼ同様の工事であることが認められるから,技研施工が被告JVから受注することができた本件各工事において鋼管杭を回転圧入できる鋼管杭圧入装置を用いて構築した鋼管杭列から反力を得ながら先端にビットを備えた切削用鋼管杭でコンクリート護岸を打ち抜いて連続壁を構築する工事に係る限界利益の額は,原告技研が算出した上記工事の見積額に対し,激特1における値引率及び限界利益率並びに本- 85 - 件各工事で打ち込んだ鋼管杭数に対して本件JVが実際に上記工事を行った鋼管杭数の割合を乗じることに基づいて,算出するのが相当である。 被告は,原告技研が算出した見積額ではなく,東京都が定めた入札予定額に基づいて算出すべきであると主張する。しかしながら,入札予定額は,落札の可否を判断するための基準となる額にすぎないし,証拠(甲40,41)によれば,技研施工が上記入札予定額である約3億円で受注すれば,原価割れとなって,損失を被ることが認められるから,上記入札予定額に基づいて算出するのは相当でない。被告の上記主張は,採用することができない。 (b) 証拠(甲5の1,38の2,41)によれば,本件各工事における「鋼管杭回転圧入」という見積合計額●(省略)●には,鋼管杭圧入装置ではないクランプクレーン,パイルランナー,クローラクレーン及びウォータジェット等の各運転費とこれに対応する人件費が●(省略)●含まれていることが認められるから,原告技研が算出した本件各工事において鋼管杭を回転圧入できる鋼管杭圧入装置を用いて構築した鋼管杭列から反力を得ながら先端にビットを備えた切削用鋼管杭でコンクリート護岸を打ち抜いて連続壁を構築する工事の見積額は,下記計算式のとおり,●(省略)●と認められる。 そして,証拠(甲30の1 を得ながら先端にビットを備えた切削用鋼管杭でコンクリート護岸を打ち抜いて連続壁を構築する工事の見積額は,下記計算式のとおり,●(省略)●と認められる。 そして,証拠(甲30の1ないし8,41,43の1,44の1ないし3)によれば,激特1における値引率及び限界利益率は,下- 86 - 記計算式のとおり,それぞれ●(省略)●と認められ,また,本件各工事で打ち込んだ鋼管杭数は,別紙鋼管杭表のとおり,732本であり,被告JVが鋼管杭を回転圧入できる鋼管杭圧入装置を用いて構築した鋼管杭列から反力を得ながら先端にビットを備えた切削用鋼管杭でコンクリート護岸を打ち抜いて連続壁を構築する工事を行った鋼管杭数は,前記2(4)ウのとおり,637本であると認められる。 したがって,技研施工が本件JVから受注することができた本件各工事において鋼管杭を回転圧入できる鋼管杭圧入装置を用いて構築した鋼管杭列から反力を得ながら先端にビットを備えた切削用鋼管杭でコンクリート護岸を打ち抜いて連続壁を構築する工事に係る限界利益の額は,下記計算式のとおり,6883万5878円であると認められる。そして,原告技研と原告新日鐵がそれぞれ有する本件特許権の各共有持分は,相等しいものと推定されるから,原告技研が受けた鋼管杭の圧入に関する損害の額は,半分の3441万7939円と認められる。 (計算式) ●(省略)●≒6883万5878円(1円未満切捨て)b 特殊ビットの鋼管杭への取付けに関する限界利益額について原告技研は,特殊ビットの鋼管杭への取付けに関する限界利益の額に相当する技研施工の株式価値の上昇益を得ることができなかった b 特殊ビットの鋼管杭への取付けに関する限界利益額について原告技研は,特殊ビットの鋼管杭への取付けに関する限界利益の額に相当する技研施工の株式価値の上昇益を得ることができなかったと主張する。しかしながら,本件特許権は,特殊ビットを鋼管杭に取り- 87 - 付ける方法に係る発明に関するものでなく,民法416条の類推適用を受ける「通常生ずべき損害」には当たらないというべきであるから,原告の上記主張は,採用することができない。 c 弁護士費用について本件事案の内容,審理経過,前記認容額その他諸般の事情を総合考慮すると,前記aの1割に相当する344万1794円とするのが相当である。 (ウ) したがって,原告技研の主位的請求は,被告に対し,3785万9733円及びこれに対する不法行為の後の日であり,訴状送達の日の翌日であることが記録上明らかな平成22年12月10日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある(なお,この結論は,特許法102条1項による損害額の場合でも,同じである。)。 イ特許法102条3項による損害額について(ア) 実施料相当額の損害についてa 本件発明は,前記ア(ア)のとおり,コンクリート護岸又は石材等で構成した護岸の改修工事や補強工事を行うための護岸の連続構築方法に関する発明であるところ,本件発明の作用効果を発揮するのは,鋼管杭を回転圧入できる鋼管杭圧入装置を用いて構築した鋼管杭列から反力を得ながら先端にビットを備えた切削用鋼管杭でコンクリート護岸を打ち抜いて連続壁を構築する部分であり,護岸工事全体から見れば,重要ではあるものの,一部分にすぎないから,このことを基本と- 88 - ら先端にビットを備えた切削用鋼管杭でコンクリート護岸を打ち抜いて連続壁を構築する部分であり,護岸工事全体から見れば,重要ではあるものの,一部分にすぎないから,このことを基本と- 88 - して,本件に現れた諸事情を総合考慮すれば,本件発明の実施料率は2.8%であると認めるのが相当である。 被告は,コウワ機を増やせば工期内に完成することができたし,東京都も回転圧入工法を指定しただけで,代替手段があった上,鋼管杭がコンクリート護岸を最大でも30㎝ほど打ち抜いたにすぎず,かすっただけであると主張する。しかしながら,被告が主張するとおりであるならば,オオブ工業が高価な鋼管パイラー機をあえて購入する必要はなかったのであるから(甲13の2),被告の上記主張は,採用することができない。 b 本件各工事の総工事代金額は,23億6764万5000円であるから,原告技研が被った実施料相当額の損害は,次の計算式のとおり,3314万7030円であると認められる。 (計算式)23億6764万5000円×0.028÷2=3314万7030円(イ) 弁護士費用について本件事案の内容,審理経過,前記認容額その他諸般の事情を総合考慮して,前記(ア)の1割に相当する331万4703円とするのが相当である。 ウそうすると,二次的請求及び三次的請求に係る損害額は,いずれも主位的請求に係る損害を超えるものではないから,原告技研の主位的請求に対する認容額を超える部分についての二次的請求及び三次的請求は,理由がない。 (3) 原告新日鐵の損害について- 89 - ア民法709条及び特許法102条1項による損害額について本件特許権は,鋼管杭に係る発明に関するもので 理由がない。 (3) 原告新日鐵の損害について- 89 - ア民法709条及び特許法102条1項による損害額について本件特許権は,鋼管杭に係る発明に関するものでないから,鋼管杭の販売に関する限界利益を得ることができなかったとしても,これは,民法416条の類推適用を受ける「通常生ずべき損害」に当たらない。 したがって,原告新日鐵の主位的請求及び二次的請求は,いずれも理由がない。 イ特許法102条3項による損害額について原告新日鐵が被った実施料相当額の損害は,前記(2)イに述べたように,弁護士費用と併せて,合計3646万1733円であると認められる。 したがって,原告新日鐵の三次的請求は,被告に対し,3646万1733円及びこれに対する不法行為の後の日であり,訴状送達の日の翌日であることが記録上明らかな平成22年12月10日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。 5 結論よって,原告技研の請求については,主位的請求のうち,3785万9733円及びこれに対する平成22年12月10日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,主位的請求のその余の部分並びに二次的請求及び三次的請求はいずれも失当であるからこれを棄却し,原告新日鐵の請求については,主位的請求及び二次的請求はいずれも失当であるからこれを棄却し,三次的請求は,3646万1733円及びこれに対する上記遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを- 90 - 認容し,三次的請求のうちその余の部分は失当であるからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47部 害金の支払を求める限度で理由があるからこれを- 90 - 認容し,三次的請求のうちその余の部分は失当であるからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47部 裁判長裁判官高野輝久 裁判官志賀勝 裁判官小川卓逸(別紙特許公報,同公報1添付図面,同公報2添付図面,同公報3添付図面,同公報4添付図面,同公報5添付図面,同公報6添付図面及び同公報7添付図面は省略) - 91 - (別紙)当事者目録 高知市<以下略>原告株式会社技研製作所東京都千代田区<以下略>原告新日鐵住金株式会社上記両名訴訟代理人弁護士増井和夫橋口尚幸齋藤誠二郎大阪市<以下略>被告株式会社森本組同訴訟代理人弁護士藤田健森英子深川真紀子 紀子

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