裁判所
昭和43年2月20日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 名古屋高等裁判所 金沢支部 昭和38(ネ)76
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主文 本件上告を棄却する。上告費用は上告人の負担とする。理由 上告代理人北尾幸一、同北尾強也の上告理由について。D取引所の仲買人と売買委託者間のいわゆる普通契約約款である同取引所受託契約準則第一九条に、委託者が仲買人の指定した日時までに委託証拠金を預託しないときは、仲買人は任意に委託建玉の処分をすることができる旨定められていることは、原審の確定するところである。ところで、右規定は、委託者が委託証拠金を預託する義務を履行しない場合に、これによつて仲買人が損害を蒙ることを防止するため仲買人に委託建玉の処分権限を附与したものであり、仲買人にこれを処分する義務を課するものではないと解されるのであつて、この規定の趣旨に照らせば、仲買人が委託者に対し、一定の期限を指定して委託証拠金の不足額を支払うよう催告し、併せてその期限までに右証拠金を支払わないときは委託に基づいて買い付けた建玉を仕切る旨を通知したからといつて、仲買人は、右期限内に証拠金の支払がなされなかつた場合、これにより当然、右期限の経過した日に右建玉を処分すべき債務を負担するものと解することはできず、また、委託者に処分すべき日をとくに通告した等特段の事情のない限り、仲買人において、その期限後直ちにこれを処分しなかつたことによつて生じた差損金の支払を委託者に請求しえないと解することも相当でない。そうであれば、これと同旨の見解に立ち、被告人が上告人に対し、昭和三二年一月二九日付郵便で、上告人が委託証拠金の残金一四万円をその週のうちに支払わないときは、本件買付委託に基づいて買い付けた合計三〇枚の建玉を仕切る旨通知したことによつて、被上告人が上告人に対して同年二月三日に右三〇枚の建玉を仕切るべき債務を負担したということはできない旨判示し いときは、本件買付委託に基づいて買い付けた合計三〇枚の建玉を仕切る旨通知したことによつて、被上告人が上告人に対して同年二月三日に右三〇枚の建玉を仕切るべき債務を負担したということはできない旨判示して、被上告人の本- 1 -訴請求を認容した原判決は正当である。 玉を仕切る旨通知したことによつて、被上告人が上告人に対して同年二月三日に右三〇枚の建玉を仕切るべき債務を負担したということはできない旨判示し いときは、本件買付委託に基づいて買い付けた合計三〇枚の建玉を仕切る旨通知したことによつて、被上告人が上告人に対して同年二月三日に右三〇枚の建玉を仕切るべき債務を負担したということはできない旨判示して、被上告人の本- 1 -訴請求を認容した原判決は正当である。したがつて、原判決に所論の違法はなく、右と異なる所論は採用できない。よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官横田正俊裁判官田中二郎裁判官下村三郎裁判官松本正雄裁判官飯村義美- 2 -
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