【DRY-RUN】○ 主文 一 被申立人が平成元年九月二八日付で申立外Aに対してなした別紙文書目録一記 載の文書を公開するとの決定の効力は、同目録二記載の図書に関する部分につき、 本案判決の確定に至るまでこれを停止する
○ 主文一被申立人が平成元年九月二八日付で申立外Aに対してなした別紙文書目録一記載の文書を公開するとの決定の効力は、同目録二記載の図書に関する部分につき、本案判決の確定に至るまでこれを停止する。 二被申立人が平成元年九月二八日付で申立外那覇市職員労働組合に対してなした別紙文書目録一記載の文書を公開するとの決定の効力は、同目録二記載の図書に関する部分につき、本案判決の確定に至るまでこれを停止する。 三申立人のその余の本件各申立てを却下する。 四申立費用は、これを二分し、その一を申立人の負担とし、その余を被申立人の負担とする。 ○ 理由第一当事者の主張申立人の申立ての趣旨及び理由は、別紙申立人の執行停止申立書、同申立補充書(一)及び(二)に記載のとおりであり、これに対する被申立人の意見は、別紙被申立人の意見書(一)ないし(三)に記載のとおりである。 第二当裁判所の判断一被申立人が本件各決定をするに至つた経緯本件記録によれば、(1)申立人の機関である那覇防衛施設局長が、昭和六三年一二月六日、建築基準法一八条二項の規定に基づき、海上自衛隊ASWOC(対潜水艦戦作戦センター)庁舎(以下「本件建物」という。)の建築工事に関する計画通知書を那覇市建築主事へ通知したこと、(2)那覇市建築主事が、右建築計画につき建築基準法に適合している旨の判断を下し、平成元年一月九日、那覇防衛施設局長に対しその旨の通知をしたこと、(3)被申立人が、同年九月二八日、申立外A及び同那覇市職員労働組合に対し、那覇市情報公開条例(以下、「本件条例」という。)に基づき、申立人の前記通知に係る建築工事計画通知書及び同通知書添付の図書等別紙文書目録一記載の文書(以下、「本件文書」という。)全部を公開する旨の各決定(以下、「本件各決定」という。)をしたことなどが一応認 申立人の前記通知に係る建築工事計画通知書及び同通知書添付の図書等別紙文書目録一記載の文書(以下、「本件文書」という。)全部を公開する旨の各決定(以下、「本件各決定」という。)をしたことなどが一応認められる。 二申立人の本案の理由の有無 1 本件文書が公開請求の対象となる文書か否かについて(一) 申立人は、本件文書は、市政に関する情報に係るものではなく(本件条例一条参照)、また、実施機関たる被申立人の職員が職務上取得した文書ということもできず(本件条例二条一号参照)、さらに、実施機関としての被申立人の所管する事務に係る文書にも当たらないので(本件条例五条参照)、本件条例に基づき公開を請求することのできる公文書には該当しない旨主張する。 (二) (1)本件記録によれば、本件条例には、一条に、本件条例制定の目的につき、「この条例は、市の保有する公文書の公開を求める権利を明らかにすることにより、日本国憲法の保障する基本的人権としての知る権利を保障するとともに、市政に関する情報を積極的に公開して、市政への市民参加を一層推進し、市政に対する市民の理解と信頼を深め、もつて地方自治の本旨に即した公正かつ民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。」旨の、二条一号に、公開を請求することのできる公文書の意義につき、「公文書とは、実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画(これらを撮影したマイクロフイルムを含む。)及び磁気テープその他これに類するものから出力又は採録されたものであつて、実施機関が現に保有しているものをいう。」旨の、二条二号に、実施機関の意義につき、「市長、水道事業管理者、消防長、教育委員会、選挙管理委員会、農業委員会、公平委員会、固定資産評価審査委員会、監査委員及び議会をいう。」旨の、五条に、公文書の公開を請求することのできる権 義につき、「市長、水道事業管理者、消防長、教育委員会、選挙管理委員会、農業委員会、公平委員会、固定資産評価審査委員会、監査委員及び議会をいう。」旨の、五条に、公文書の公開を請求することのできる権利者につき、「何人も、実施機関に対し、当該実施機関の所管する事務に係る公文書の公開を請求することができる。」旨の、各規定の存することが一応認められる。 そして、右認定事実によれば、本件文書が本件条例に基づく公開請求の対象となる公文書であるというためには、少なくとも、本件文書が、実施機関たる被申立人の職員が職務上取得した文書であること及び実施機関たる被申立人の所管する事務に係る公文書であることの二要件が充足されることを必要とするものと解される。なお、前認定のとおり、本件条例一条には、「市政に関する情報を公開する」旨の規定が存するが、右規定は概括的に本件条例制定の目的を示したものであつて、これにより市政に関する情報であることを公開請求の対象となる公文書であるための要件としたものとは解されない。 (2) そこで、本件文書が実施機関たる被申立人の職員が職務上取得した文書であるか否か、及び、実施機関たる被申立人の所管する事務に係る公文書であるか否かについて検討する。 本件文書は、那覇市建築主事が、建築基準法に基づき、国の機関委任事務の執行を通じて取得した文書である(地方自治法一四八条、建築基準法一八条参照)。そして、那覇市建築主事は、機関委任事務の執行を行う際には、国の機関たる地位と那覇市の職員たる地位とを併せ有していること、及び、本件文書の保管事務は被申立人の固有事務に属するものと解されること(地方自治法一四九条八号参照)などに鑑みると、本件文書は、被申立人の職員が職務上取得した文書であり、かつ、被申立人の所管する事務に係る公文書に該当するものと解され 固有事務に属するものと解されること(地方自治法一四九条八号参照)などに鑑みると、本件文書は、被申立人の職員が職務上取得した文書であり、かつ、被申立人の所管する事務に係る公文書に該当するものと解される。 (3) 以上によれば、本件文書は、本件条例に基づく情報公開請求の対象となる公文書であるものということができ、この点に関する申立人の前記主張は採用することができない。 2 本件文書を非公開とすることができるか否かについて(一) 本件文書の非公開事由(本件条例六条一項四号オ)該当性(1) 申立人は、本件文書が公開されると国の防衛行政上重大な支障を生ずることになるので、本件文書は本件条例六条一項四号オの非公開事由に該当する旨主張する。 (2) 本件記録によれば、本件条例には、六条一項柱書に、「実施機関は、次の各号の一に該当する情報が記録されている公文書については、当該公文書を非公開とすることができる。」旨の規定がおかれ、同条一項一号ないし四号に公文書の非公開事由が列挙されているところ、右四号オには、「行政執行に関する情報であつて、公開することにより、行政の公正かつ円滑な執行に著しい支障を生ずることが明らかな情報が記録されている公文書は非公開とすることができる。」旨の規定の存することが一応認められる。 (3) そこで、まず、本件条例六条一項四号オに所定の「行政」とは、当該文書を保有する実施機関がこれに直接関連して執行する行政(本件に即すれば、建築基準法関連行政)のみを指すものであるか、又は、それよりも広く当該文書に記載された情報が公開されることにより支障を生ずるそれ以外の国及び地方公共団体の行政をも含む行政一般を指すものであるかにつき検討する。 本件記録によれば、(1)本件条例六条一項一号には非公開事由として、「法令により明らかに守秘義務が課され を生ずるそれ以外の国及び地方公共団体の行政をも含む行政一般を指すものであるかにつき検討する。 本件記録によれば、(1)本件条例六条一項一号には非公開事由として、「法令により明らかに守秘義務が課されている情報が記録されている公文書は非公開とすることができる。」旨の規定が存すること、(2)本件条例六条一項二号には非公開事由として、「個人に関する情報であつて、特定の個人が識別され、又は識別され得るものが記録されている公文書は非公開とすることができる。 」旨の規定が存し、個人に関する情報について、公開による不利益を受ける場合につき、非公開とすることができる旨を定めていること、(3)本件条例六条一項三号には非公開事由として、「法人(国及び地方公共団体を除く。)その他の団体又は事業を営む個人(以下「法人等」という。)の当該事業に関する情報であつて、公開することにより、当該法人等に著しい不利益を与えることが明らかであるものが記録されている公文書を非公開とすることができる。」旨の規定が存し、国及び地方公共団体を除く法人その他の団体と事業を営む個人の当該事業に関する情報について、これらの者が公開による不利益を受ける場合につき、非公開とすることができる旨を定めていること、(4)本件条例六条一項四号には、前記同号オのほか、同号イに、「市の機関又は国等の機関が行う検査、監査等の計画及び実施細目、入札の予定価格、試験の問題、交渉の方針、争訟の方針等の事務又は事業に関する情報であつて、当該事務又は事業の性質上公開することにより、当該事務又は事業の公正又は適正な執行を妨げるおそれのある行政執行に関する情報が記録されている公文書は非公開とすることができる。」旨の、同号エに、「行政上の義務に違反する行為の取締り又は犯罪の捜査に関する情報であつて、公開することにより、個 おそれのある行政執行に関する情報が記録されている公文書は非公開とすることができる。」旨の、同号エに、「行政上の義務に違反する行為の取締り又は犯罪の捜査に関する情報であつて、公開することにより、個人の生命、身体、財産等の保護、犯罪の予防又は捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすと認められる行政執行に関する情報が記録されている公文書は非公開とすることができる。」旨の、各非公開事由に関する規定が存することなどが一応認められる。 ところで、右認定事実によれば、(1)本件条例六条一項四号の柱書及び同号オは、同所に所定の「行政」という文言について、特にこれを限定的に解すべきものとするような制限を加えていないこと、(2)本件条例六条一項四号柱書及び同号オに所定の「行政」を、当該文書を保有する実施機関がこれに直接関連して執行する行政に限定すべきものであるとすると、本件条例には、公開により国及び地方公共団体の行政一般の公正かつ円滑な執行に著しい支障を生ずることが明らかな情報が記録されている公文書に関する非公開事由の定めが存しない結果となること、(3)本件条例六条一項四号イ及びエは、実施機関が行う行政執行に関する情報のみならず、国等の機関が行う行政執行に関する情報についても、非公開とすることができる場合があるものと規定しており、本件条例六条一項四号は、実施機関が行う行政執行のみならず、国等の機関が行う行政執行をも、非公開とすべき事由の判断要素の一つに加えていること、(4)本件条例六条一項四号オは、同号アないしエを補充する包括的な規定であることなどが明らかであり、これらの諸点に照らすと、本件条例六条一項四号オに所定の「行政」とは、当該文書を保有する実施機関がこれに直接関連して執行する行政に限られず、それよりも広く当該文書に記載された情報が公開さ かであり、これらの諸点に照らすと、本件条例六条一項四号オに所定の「行政」とは、当該文書を保有する実施機関がこれに直接関連して執行する行政に限られず、それよりも広く当該文書に記載された情報が公開されることにより支障を生ずるそれ以外の国及び地方公共団体の行政をも含む行政一般を指すものであると解される。 (4) 次に、本件文書が、本件条例六条一項四号オに所定の「行政執行に関する情報であつて、公開することにより、行政の公正かつ円滑な執行に著しい支障を生ずることが明らかな情報」が記録されている公文書であるか否かについて検討する。 本件記録によれば、(1)航空自衛隊那覇基地内に建設される本件建物は、地下一階、地上二階で、延べ面積約三三〇〇平方メートルの構造物であり、地下階にはASWOCの指揮所及びこれに必要な電子機器等が設置される予定であること、(2)本件建物内のASWOCは、固定翼対潜機P-3C(以下、「P-3C」という。)が収集した戦術情報や音響信号の解析や評価を通じ作戦計画作成のための資料を作成するなどして、P-3Cに対し、戦術支援や指揮管制を行う対潜戦のための中枢施設であること、(3)P-3Cは、機動性を利用して広範囲の海域において潜水艦を捜索し攻撃するという機能を有しており、海上交通の安全確保(シーレーン防衛)上、不可欠のものであるところ、潜水艦の高性能化に伴つて複雑化する対潜戦を迅速かつ的確に行うためには、極めて多くの情報処理を短時間かつ正確に行うことのできるASWOCの支援及び管制を必要とするため、ASWOCと一体的にシステム化されていること、(4)別紙文書目録一記載の文書のうち、図書番号3、4、7の1ないし3、8の1及び2、20、25、26、28、29、33、35の図書には、本件建物の壁の構造や厚さなどの構造強度に関する詳細な情 と、(4)別紙文書目録一記載の文書のうち、図書番号3、4、7の1ないし3、8の1及び2、20、25、26、28、29、33、35の図書には、本件建物の壁の構造や厚さなどの構造強度に関する詳細な情報が含まれているため、これらの情報により、本件建物の耐爆撃強度、すなわち抗たん性の能力を推知しうろこと、(5)別紙文書目録一記載の文書のうち、図書番号5、9、14、17、23の図書には、本件建物内の施設及び機材などの配置に関する情報が含まれており、これらの情報が公開されると本件建物の警備上支障が生じること、(6)ASWOCにおいては、コンピユーターなどの電子機器が極めて重要な役割を果たしているところ、別紙文書目録一記載の文書のうち、図書番号18及び19の図書には、コンピユーターの中央処理装置が設置される機械室につながる電気負荷容量等の情報が含まれており、これらの情報から消費電力と一定の相関関係にあるコンピユーターその他の電子機器の処理能力、ひいては、本件建物にあるASWOCの規模や能力を推知しうろこと、(7)本件文書のうち、別紙文書目録二記載の図書を除くものには、公開されるとASWOCの機能を阻害することになる右(4)ないし(6)に記載のような特段の秘密情報は含まれていないことなどが一応認められる。 右認定事実によれば、本件建物内のASWOCは、我が国の防衛の用に供する重要な施設であるところ、本件文書のうち別紙文書目録二記載の図書は、ASWOCの機能の正常かつ効率的な運営を阻害する実質的な秘密情報を含むものということができる。したがつて、右の図書に記載された情報が公開されると、申立人の国防行政の公正かつ円滑な執行に著しい支障を生ずることが明らかであるものと解される。 なお、本件記録によれば、申立人は、本件建物の建設に際して、本件建物に関する設 された情報が公開されると、申立人の国防行政の公正かつ円滑な執行に著しい支障を生ずることが明らかであるものと解される。 なお、本件記録によれば、申立人は、本件建物の建設に際して、本件建物に関する設計図等の資料を指名業者に交付していることが一応認められるが、他方、申立人は、本件建物の設計及び建設につき指名業者と契約を締結するに際し、指名業者に対し当該業務遂行上知りえた事項につき守秘義務を課したり、業務終了後は当該資料を回収し、その焼却をするなどして、これらの資料が関係者以外に流出しないようにするための措置を講じており、右資料が外部に漏洩した事実はないことなども一応認められる。 また、本件記録によれば、本件文書には、形式的な秘密指定がされていないことが一応認められるが、右事実をもつて直ちに、別紙文書目録二記載の図書に記載された情報に実質的な秘密性がなく、これらが公開されても国防行政の公正かつ円滑な執行に著しい支障を生じないものということはできない。 (5) 以上によれば、本件文書のうち、別紙文書目録二記載の図書については、本件条例六条一項四号オに所定の「行政執行に関する情報であつて、公開することにより、行政の公正かつ円滑な執行に著しい支障を生ずることが明らかな情報」が記録されている公文書に該当し、その余のものは右公文書に該当しないものと解される。 (二) 裁量権の逸脱ないし濫用の有無(1) 申立人は、本件文書を非公開としないとした被申立人の本件各決定には裁量権の逸脱ないしは濫用がある旨主張する。 (2) 前認定のとおり、本件条例六条一項は、当該公文書が非公開事由に該当する場合であつても、非公開とするか否かにつき実施機関が裁量権を有する旨規定している。しかし、実施機関に裁量権が存するとしても、それは純然たる自由裁量に委ねられるべきものではなく が非公開事由に該当する場合であつても、非公開とするか否かにつき実施機関が裁量権を有する旨規定している。しかし、実施機関に裁量権が存するとしても、それは純然たる自由裁量に委ねられるべきものではなく、実施機関がその適正な行使を誤つた場合には、裁量権の逸脱ないしは濫用として処分の違法をもたらすことになるものと解される。そこで、被申立人のした本件各決定につき裁量権の逸脱ないしは濫用があつたか否かについて検討する。 本件記録によれば、前認定の本件条例制定の目的に関する一条の規定に加えて、本件条例には、三条一項に、「実施機関は、市民の知る権利が十分に保障されるよう、この条例を解釈し、運用しなければならない。」旨の、本件条例の解釈及び運営の指針に関する規定の存することが一応認められる。そして、右のような本件条例制定の目的や本件条例の解釈及び運用の指針に照らせば、実施機関は、非公開とするか否かの裁量権の行使に当たつては、市民の知る権利を十分に尊重しつつ、非公開とすべき実質的理由と公開する公益上の必要性とを比較衡量して、これを決すべきものと解される。 これを本件についてみるに、前認定説示のとおり、別紙文書目録二記載の図書が公開されると申立人の国防行政の公正かつ円滑な執行に著しい支障を生ずることが明らかであつて、右図書を非公開とすべき極めて高度の実質的理由の存在が肯定されることに鑑みると、申立外A及び同那覇市職員労働組合の右図書に記載された情報を知る権利の重要性や右図書を公開する公益上の必要性を十分に斟酌しても、本件各決定の取消しを求める本案訴訟において、別紙文書目録二記載の図書に関する部分につき、被申立人に裁量権の逸脱ないし濫用があるとしても、申立人の請求が認容される余地がないものとはいえない。 3 結論以上によれば、本件各決定の取消しを求める申立人 書目録二記載の図書に関する部分につき、被申立人に裁量権の逸脱ないし濫用があるとしても、申立人の請求が認容される余地がないものとはいえない。 3 結論以上によれば、本件各決定の取消しを求める申立人の本案の理由の有無は、本件文書のうち、別紙文書目録二記載の図書に関する部分については、本案について理由がないとみえるものとは断定できないが、その余の部分については、理由がないということができる(なお、建築基準法九三条の二は、建築確認申請書に関する図書のうち、当該確認の申請に係る計画が建築物の敷地に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定に適合するものであることを表示している図書であつて建設省令で定めるものを閲覧させる義務がある旨を規定しているが、これは、法令の規定に違反する建築物を未然に防止するなど適正な建築基準法関連行政遂行目的との関連で、右目的に適合する一定の図書を閲覧させる義務の存在を明示するとともに、閲覧対象図書の範囲を限定したものにすぎず、情報公開条例により右範囲を超える図書の公開をすることまで禁止したものとは解されない。)。 三執行停止の必要性等前認定説示のとおり、本件文書のうち別紙文書目録二記載の図書については、その公開により、我が国の防衛行政上著しい支障を生ずることが明らかであり、かつ、その執行が一旦なされれば、性質上本案訴訟による原状回復ができないから、その執行により申立人が金銭では償うことの不可能な回復困難な損害を被るものというべきである。したがつて、その損害を避けるため、右図書に関する部分につき、本件各決定の効力を停止する緊急の必要性があるものといわなければならない。 そして、本件記録によるも、右図書に関する部分につき、本件各決定の効力を停止することが、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあることを認むべき疎明は る緊急の必要性があるものといわなければならない。 そして、本件記録によるも、右図書に関する部分につき、本件各決定の効力を停止することが、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあることを認むべき疎明はない。 四結論以上によれば、申立人の本件各申立ては、本件各決定のうち、別紙文書目録二記載の図書に関する部分についてその効力の停止を求める限度で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないからこれを却下することとし、申立費用の負担につき行訴法七条、民訴法八九条、九二条を適用して、主文のとおり決定する。 (裁判官井上繁規竹中邦夫畑一郎)文書目録一建築基準法一八条二項の規定に基づき那覇防衛施設局長が昭和六三年一二月六日に那覇市建築主事へ通知した建築工事計画通知書及び左記の同添付図書記二建築基準法一八条二項の規定に基づき那覇防衛施設局長が昭和六三年一二月六日に那覇市建築主事へ通知した建築工事計画通知書添付の前記図書目録記載の図書のうち、図書番号3ないし5、7の1ないし3、8の1及び2、9、14、17ないし20、23、25、26、28、29、33、35の図書執行停止申立書申立ての趣旨一被申立人が平成元年九月二八日付けで申立外Aに対してなした那覇市情報公開条例に基づき申立外那覇防衛施設局長が昭和六三年一二月六日付けで申立外那覇市建築主事に通知した別紙目録記載の文書を公開するとの決定の効力は、本案判決の確定に至るまでこれを停止する。 二被申立人が平成元年六月二八日付けで申立外那覇市職員労働組合に対してなした那覇市情報公開条例に基づき申立外那覇防衛施設局長が昭和六三年一二月六日付けで申立外那覇市建築主事に通知した別紙目録記載の文書を公開するとの決定の効力は、本案判決の確定に至るまでこれを停止する。 三申立費用は被申立人の負担とす 外那覇防衛施設局長が昭和六三年一二月六日付けで申立外那覇市建築主事に通知した別紙目録記載の文書を公開するとの決定の効力は、本案判決の確定に至るまでこれを停止する。 三申立費用は被申立人の負担とする。 申立ての理由一本案について理由のあること 1 (一)申立人の機関である那覇防衛施設局長は、昭和六三年一二月六日建築基準法一八条二項の規定に基づき計画通知書を被申立人を経由して(沖縄県建築基準法施行細則三七条二項)、那覇市建築主事へ通知した。那覇市建築主事は右建築計画が建築基準法に適合している旨の判断を下し、平成元年一月一九日那覇防衛施設局長にその旨通知した。 (二) 右計画通知に係る建築対象物は、海上自衛隊のASWOC庁舎である。ASWOCは、P-3Cに対する戦術支援・指揮管制を行うもので、海上自衛隊の対潜水艦戦を遂行するに当つて、極めて重要な施設である。同施設に係る建物は地下一階、地上二階で延べ面積約三、三〇〇平方メートルの構造物であり、地下階には、ASWOCの指揮所及びこれに必要な電子機器等が設置され、地上階には、一般事務室が設置されることになつている。 2 被申立人は、平成元年九月二八日、A及び那覇市職員労働組合に対し、それぞれ那覇市情報公開条例(以下「本件条例」という。)に基づき、那覇防衛施設局長が昭和六三年一二月六日付けで那覇市建築主事に通知した別紙目録記載の文書(以下「本件文書」という。)を公開するとの決定(以下「本件決定」という。)をした。 3 本件決定には、以下に述べるとおりの違法がある。 (一) 本件文書は、本件条例により公開を請求することのできる公文書に該当しない。 (1) 本件条例は、「市の保有する公文書の公開を求める権利を明らかにすることにより、日本国憲法の保障する基本的人権としての知る権利を保障するとともに、市 請求することのできる公文書に該当しない。 (1) 本件条例は、「市の保有する公文書の公開を求める権利を明らかにすることにより、日本国憲法の保障する基本的人権としての知る権利を保障するとともに、市政に関する情報を積極的に公開して、市政への市民参加を一層推進し、市政に対する市民の理解と信頼を深め、もつて地方自治の本旨に即した公正かつ民主的な市政の発展に寄与すること」を目的とするものであり(本件条例一条)、本件条例にいう公文書とは、実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書等をいい(本件条例二条一号)、被申立人は実施機関の一つに該当し(本件条例二条二号)、何人も、実施機関に対し、当該実施機関の所管する事務に係る公文書の公開を請求することができる(本件条例五条)。 (2) 本件文書は、那覇防衛施設局長が建築基準法一八条二項の規定に基づき昭和六三年一二月六日付けで那覇市建築主事に通知した前記庁舎新設に係る計画通知書であり、那覇市建築主事は、国の機関委任事務の執行として建築基準法一八条二項に基づく通知を受理したものである。したがつて、本件文書は、市政に関する情報に係るものではなく、また、本件条例にいう実施機関たる被申立人の職員が職務上取得した文書ということもできず、さらに、実施機関としての被申立人の所管する事務に係る文書にも当たらない。 (3) 以上によれば、何人も、本件条例に基づき、実施機関たる被申立人に対し、被申立人の所管する事務に係る公文書として本件文書の公開を請求することはできないといわねばならない。したがつて、本件決定は、いずれも法的根拠を欠く違法なものである。 (二) 仮に、本件文書が本件条例に定める公文書に該当するとしても、非公開とされねばならない。 (1) 本件条例は、一定の公文書については非公開とすることができるとする(本件 く違法なものである。 (二) 仮に、本件文書が本件条例に定める公文書に該当するとしても、非公開とされねばならない。 (1) 本件条例は、一定の公文書については非公開とすることができるとする(本件条例六条)。その規定の文言上は、非公開とするか否かは実施機関の裁量によるようにみえる。しかし、法令により明らかに守秘義務が課されている情報(本件条例六条一項一号)についても公開することができるとするのは、法令の課す義務に抵触するものであり、許されないといわなければならない。したがつて、本件条例の非公開公文書に関する規定は不合理なものであるが、仮に非公開とするか否かにつき実施機関に裁量の余地があるとしても、その裁量の幅は極めて狭いものといわなければならず、非公開としないことにつき裁量権の逸脱、濫用があれば、公開決定は違法となる。 (2) 本件文書は、前記施設の建設に係るものであり、地下階には作戦指揮所及びこれに必要な電子機器等が設置される予定である。したがつて、本件文書が公開されると、壁の構造、厚さ等から本件施設の抗たん性の能力が明らかになるほか、各施設の配置が明らかとなり警備上支障が生じ、また、電気負荷容量から電子機器の能力が推定されてしまう。近年諸外国の潜水艦は一段と高性能化する傾向にあり、我が国の防衛作戦に占める対潜戦の重要性は一層高まつている。そして、ASWOCは、対潜戦において固定翼対潜機に対する戦術支援、指揮管制を行ういわば固定翼対潜機による対潜戦の中枢であつて、これなくしては現代における対潜戦の遂行は不可能といつても過言ではないほど重要なものである。 右のように、本件文書の内容には、自衛隊の能力に関する事項が含まれており、これらが明らかにされれば、一般の人々にはその意味するところが必ずしも明確でないかもしれないが、軍事専門家にとつて のである。 右のように、本件文書の内容には、自衛隊の能力に関する事項が含まれており、これらが明らかにされれば、一般の人々にはその意味するところが必ずしも明確でないかもしれないが、軍事専門家にとつては直ちにその能力を把握することが可能であり、したがつて、これらが明らかにされることは国の防衛上の重大な支障を生じることになり、本件文書は、公開することにより行政の公正かつ円滑な執行に著しい支障を生ずることが明らかな情報(本件条例六条一項四号オ。本規定は、アからエに掲げるもののほかにも、行政の公正かつ円滑な執行に著しい支障を及ぼすことが明らかな情報について、適用除外事項を規定した包括的な定めであること並びに四号イ、エの各規定が那覇市及び国等の機関が実施する行政に配慮していることからすると、本規定にいう「行政」とは、那覇市及び国等の行政を指す意味において使用されていることが明らかである。)に該当するといわねばならない。そして、本件文書の公開による我が国の防衛上の支障の重大性に照らせば、本件文書を非公開としないとした被申立人の本件決定には、裁量権の逸脱、濫用があるといわなければならない。 (三) 本件決定は違法であり取消しを免れないものである。 二効力停止の必要性申立人は、以上の理由で本件決定処分の取消訴訟を提起しているが、本件決定に基づいて本件文書が公開されてしまうと、我が国の防衛上極めて重大な支障を生ずるが、これは金銭では償えない回復困難な重大損害である。また、右公開がされれば本件取消訴訟は無意味なものとなつてしまうから、本件決定の効力を停止する緊急の必要がある。そして、右執行停止の必要性に照らせば、執行停止をすることが我が国の防衛という公共の福祉に適うこそすれ、執行停止によつて公共の福祉に重大な影響を及ぼすということはできない。 三よつて の必要がある。そして、右執行停止の必要性に照らせば、執行停止をすることが我が国の防衛という公共の福祉に適うこそすれ、執行停止によつて公共の福祉に重大な影響を及ぼすということはできない。 三よつて、本件決定の効力の停止を求めて本件申立てに及んだものである。 目録那覇防衛施設局長が昭和六三年一二月六日付けで那覇市建築主事へ通知した建築基準法一八条二項の規定に基づく計画通知書及び同添付書類申立補充書(一)申立人は、本件文書が那覇市情報公開条例(以下「本件条例」という。)六条一項(4)オ所定の非公開事由に該当することを申立書において明らかにした。これに対し、被申立人は、本件条例六条一項(4)オにいう「行政」とは、公開される情報に関する「行政」であり、公開される情報を離れた一般的行政を指すものではない旨主張する。そこで、申立人は、これに反論を加えるとともに、本件文書が本件条例六条一項所定の非公開事由に該当することを補足主張し、本件公開決定が違法なものであることを明らかにする。 一被申立人は、本件条例六条一項(4)オにいう「行政」とは、公開される情報に関する「行政」であり、公開される情報を離れた一般的行政を指すものではない旨主張するが、本件条例六条一項(4)オにいう「行政」とは、公開文書の内容と同一職務である必要性はない。 すなわち、本件条例六条一項(4)のオは、アないしエに掲げたもののほかに包括的適用除外規定を定めた規定であるところ、アないしエのうち、ア及びイは公開文書の内容と公開によつて影響を受ける内容が同一職務であるものをいうことは文言上解釈できるが、他方、エのように文言上同一でないことが明らかな規定もある。 オは、行政執行に関する情報についてアないしエで個別的に列挙した上で、それに該当しないがなお非公開とすべき情報があり得ることを念頭に きるが、他方、エのように文言上同一でないことが明らかな規定もある。 オは、行政執行に関する情報についてアないしエで個別的に列挙した上で、それに該当しないがなお非公開とすべき情報があり得ることを念頭において立法されたものと解するのが合理的であり、前述の趣旨にも合致する所以である。「行政」に関して何ら限定されていないのはこのような趣旨であり、公開文書の内容と職務上同一であることは要件とされていないものと解すべきである。 したがつて、本件文書は建設大臣の所管する建築基準行政に関する情報文書であるから、本件条例六条一項(4)オの該当性の有無を検討する際には、本件文書を公開することにより、建築行政に著しい支障が生じるか否かのみを検討すればよいとする被申立人の立論は失当なものといわなければならない。 二本件条例は、「市の保有する公文書の公開を求める権利を明らかにすることにより、日本国憲法の保障する基本的人権としての知る権利を保障するとともに、市政に関する情報を積極的に公開して、市政への市民参加を一層推進し、市政に対する市民の理解と信頼を深め、もつて地方自治の本旨に即した公正かつ民主的な市政の発展に寄与すること」を目的として制定されたものである(一条)。しかしながら、地方自治体においては、本来的に外交・防衛等国家・社会の安全、存立にかかわる行政を担当していないことから、それが極めて重要な事項であるにもかかわらず、情報公開において右各行政情報に関する視点が欠落し、右各情報に対する国家的、社会的法益の保護についての適正な配慮に欠ける場合がある。本件条例も、そのようなものと解さざるを得ない。 すなわち、現代の行政は、国家行政のみならず、国家行政と地方自治行政が一体となつて整合性を保持しつつ円滑に運営されるのでなければ、国家・社会全体の安全は十分に図れないの うなものと解さざるを得ない。 すなわち、現代の行政は、国家行政のみならず、国家行政と地方自治行政が一体となつて整合性を保持しつつ円滑に運営されるのでなければ、国家・社会全体の安全は十分に図れないのである。地方自治体は、機関委任事務等の国家行政の遂行に関連して、各種の国家・社会の安全に関する行政情報等を入手するのであつて、そこでは右情報を適正に管理すべきことが前提とされているのである。そして、右行政情報の中には、(1)外交・防衛等国家・社会の安全に関する情報(例えば、消防法一〇条、一一条等においては、市町村長、消防長等の許可、承認等を得るために、防衛庁が保有する危険物に関する情報をこれら地方自治体に提出しなければならないこととなつている。また河川法における河川管理者との協議、下水道法における公共下水道管理者の承認等においては、防衛庁の設置する基地内の重要施設、設備の詳細な配置に関する情報をこれら地方自治体に提出することとなつている。 その他、右に関する根拠法令及び関係条文については、別紙一覧表参照)、(2)犯罪・治安に関する情報、(3)個人のプライバシーに関する情報、(4)企業秘密等法人団体に関する情報等種々の情報が含まれているのである。 しかるに、本件条例は、六条一項において、非公開とすべき公文書を掲げているが、そこでは、右(3)に関する情報については同六条一項(1)、(2)により、右(4)に関する情報については同六条一項(3)により、右(2)に関する情報については同六条一項(4)エにより、それぞれ非公開とすることを考慮しているものの、右(1)に関する情報については明文の規定をもつてこれを非公開の対象としていない。地方公共団体は、前述のとおり本来的に外交・防衛等国家・社会の安全、存立にかかわる行政を直接掌理していないところから、右(1)に 関する情報については明文の規定をもつてこれを非公開の対象としていない。地方公共団体は、前述のとおり本来的に外交・防衛等国家・社会の安全、存立にかかわる行政を直接掌理していないところから、右(1)に関する情報についての配慮を欠いているのであるが、現在の行政においては、地方自治体も右(1)に関する情報を入手する機会が多いことにかんがみると、本件条例の非公開事由に関する規定は極めて不完全なものといわなければならない。憲法上、明文の規定はなくても、かかる情報は、究極的には国民の安全を守るという見地から、いわば憲法秩序に内在するものとして非公開とされなければならない。この意味において、本件条例は不備なものであるが、右不備を補うに当たつては、非公開事由を規定する六条一項のうち、これを補完する意味を有する包括的規定に依拠し、これを合理的に解釈するのが相当である。そして、これに相当する規定としては、本条例六条一項(4)オ(「その他公開することにより、行政の公正かつ円滑な執行に著しい支障を生ずることが明らかな情報」)が考えられる。そして、本規定にいう「行政」とは、那覇市及び国等の行政を指す意味において使用されていることは、執行停止申立書の申立ての理由一、3、(二)、(2)で明らかにしたところである。 しかして、本件文書は、防衛庁設置法及び自衛隊法に基づき国の防衛行政をゆだねられた海上自衛隊のASWOC庁舎(対潜水艦作戦センター)の建築計画に関するものである。そして、ASWOCは、P-3Cに対する戦術支援・指揮管制を行うもので、海上自衛隊の対潜水艦戦を遂行するにの当たつて、極めて重要な施設である。 同施設に係る建物は地下一階、地上二階で延べ面積約三、三〇〇平方メートルの構造物であり、地下階には、ASWOCの指揮所及びこれに必要な電子機器等が設置され、地 の当たつて、極めて重要な施設である。 同施設に係る建物は地下一階、地上二階で延べ面積約三、三〇〇平方メートルの構造物であり、地下階には、ASWOCの指揮所及びこれに必要な電子機器等が設置され、地上階には一般事務室が設置されることになつているが、もとより、右庁舎は、航空自衛隊那覇基地内に建設されるものであり、一般公衆の利用、見学等を目的として設置されるものではなく、まさに我が国の防衛施設の一として建築、設置されるものである。そして、右庁舎の性格上、本件文書には、海上自衛隊の防衛能力に関する事項が含まれていることは自明のことである。したがつて、万一、本件文書が公開されると、外壁の厚さ、構造等から施設の抗たん性の能力が明らかとなるほか、各施設の配置が明らかとなり警備上支障が生じ、また、電気負荷容量から電子機器の能力が推定されてしまつて、国の防衛上重大な支障を生じさせ、国の防衛行政の執行に著しい支障をもたらすことは明らかなところである。 よつて、本件文書は、本件条例六条一項(4)オの「公開することにより、行政の公正かつ円滑な執行に著しい支障が生ずることが明らかな情報」に該当するものといわなければならない。 三建築基準法九三条の二は、「特定行政庁(指定代理人注・同法二条三〇号参照)は、確認の申請書に関する図書のうち、当該確認の申請に係る計画が建築物の敷地に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定に適合するものであることを表示している図書であつて、建設省令で定めるものについては、建設省令で定めるところにより、閲覧の請求があつた場合には、これを閲覧させなければならない。」と規定し、これを受けて建築基準法施行規則(昭和二五年一一月一六日建設省令四〇号)一一条の三は、「法第九十三条の二の規定により建設省令で定める図書は、別記第一号の二様式による せなければならない。」と規定し、これを受けて建築基準法施行規則(昭和二五年一一月一六日建設省令四〇号)一一条の三は、「法第九十三条の二の規定により建設省令で定める図書は、別記第一号の二様式による建築計画概要書とする。」と規定している。 右九三条の二は、特定行政庁に対し、確認申請図書の中の、建築物の敷地に関する法令に適合していることを表示している図書について、閲覧請求があつた場合に、閲覧させなければならない義務を規定しているが、その趣旨は右図書を閲覧に供することによつて、周辺住民の協力によつて違反建築物を未然に防止し、また、無確認を含めた違反建築物であることを知らずに取得しようとしている善意の買主を保護し、更には敷地の二重使用等を防止しようとすることにある。 そして、右閲覧対象となる図書は、建築物の敷地に関するするもの、(建築計画概要書)に限定され、六条、七条、九条の規定のような「構造、建築設備」の用語が除外されているが、これらは個人のプライバシーの保護との関係を考慮したものと考えられる(小宮=荒=関「建築基準」六九〇、六九一ページ参照)。 右法令が、閲覧対象となる図書を建築物の敷地に関するものに限定している趣旨からすれば、地方公共団体が情報公開条例を制定するに当たつても、右趣旨は当然遵守されなければならない。しかして、本件条例は、「個人に関する情報であつて、特定の個人が識別され、又は識別され得るもの」(六条一項(2))と規定し、個人のプライバシーに関する配慮を払つている。 ところで、建築基準法においては、同法一八条二項に基づく計画通知に係る図書の閲覧については何ら規定が設けられていないが、一八条にいう計画通知に係る図書を公開させることを予想したものではない。 近年の情報公開の趣旨を踏まえ、建設省も、国の建築物についても、同法九三条の二に照 閲覧については何ら規定が設けられていないが、一八条にいう計画通知に係る図書を公開させることを予想したものではない。 近年の情報公開の趣旨を踏まえ、建設省も、国の建築物についても、同法九三条の二に照らして「条例に基づき同法一八条二項による図書等に閲覧請求があつた場合においては、昭和二五年一一月二六日付住発第六七号の二建設事務次官通達「建築基準法一八条に規定する国の建築物の場合の取扱い方法について」第二にいう計画通知書のうち別紙第一号様式によるものを限度に、閲覧に供し得ると考えられる。」(建設省住宅局建築指導課長から沖縄県土木建築部長あて平成元年八月三日付け文書参照)としたところである。けだし、国の建築する建物についても、専ら一般公衆の利用に供することを目的とする施設から、例えば研究施設のように専ら行政内部の用に供することを目的とする施設まで、その使用の目的、形態には様々なものがあるのであつて、庁舎施設であるかといつてすべてが一律に公開の対象となるものではないのである。そして、本件ASWOC庁舎は、航空自衛隊那覇基地内に建設される自衛隊施設であり、もとより一般公衆の用に供される建築物ではなく、専ら我が国の防衛の用に供される施設である。したがつて、本件庁舎は、本来公開を予定していない施設であり、施設内の区画割り等が外部に漏れることになると、同施設の警備上多大の支障が生ずるおそれがあるのみならず、国の防衛行政にも重大な支障が生ずることになる。 すなわち、本件文書が公開された場合、我が国防衛体制全体に及ぼす影響は、以下のとおりであり、国家の安全(公共の福祉)に重大な支障を及ぼすおそれがある。 (1) いうまでもなく、四面を海に囲まれた狭小な国土に多くの人口を抱え、資源、エネルギー、食糧等の大部分を海外に依存する貿易国たる我が国が、有事の際、国民の 祉)に重大な支障を及ぼすおそれがある。 (1) いうまでもなく、四面を海に囲まれた狭小な国土に多くの人口を抱え、資源、エネルギー、食糧等の大部分を海外に依存する貿易国たる我が国が、有事の際、国民の生存を維持するためには、その生命線ともいえる海上交通の安全を確保すること、すなわち、シーレーン防衛が不可欠である。 我が国の海上交通に対して妨害が行われる場合、潜水艦等を使用して我が国周辺の海域を航行する船舶を攻撃することが予想されるため、自衛隊は固定翼対潜機などによつて敵対潜水艦を制圧する必要がある。 近年、潜水艦の中に占める原子力潜水艦の比率が増大し、かつその性能も向上してきたため、自衛隊の対潜部隊は広い海域においてより速やかに、より密度の濃い対潜作戦を行わなければならなくなつた。 固定翼対潜機P-3Cはこのような作戦上の要求を満足するために、ASWOCとの組合せを前提としており、ASWOCとP-3Cは一体のシステムとなつている。 具体的には、ASWOCは、戦術支援機能として、作戦計画作成等のための資料を作成し、P-3Cの収集したものを含む戦術データや音響信号を解析、評価するとともに、指揮管制機能として、データリンクによるリアルタイムな指揮管制や飛行前、飛行後のP-3C搭乗員に対するブリーフイングを実施するものである。 このようなことから、ASWOCは、P-3Cに対して戦術支援、指揮管制を行ういわば固定翼対潜機による対潜戦の中枢であつて、ASWOCなくしては現代における対潜戦の遂行は不可能といつても過言ではないほど重要なものである。 (2) ASWOCは固定翼対潜機P-3Cの配備に伴い、逐年、全国の海上自衛隊の航空基地に整備されてきており、既に、厚木、八戸、鹿屋の各基地での整備は完了し、現在、那覇基地において整備中である。 これらのASWOCは同 固定翼対潜機P-3Cの配備に伴い、逐年、全国の海上自衛隊の航空基地に整備されてきており、既に、厚木、八戸、鹿屋の各基地での整備は完了し、現在、那覇基地において整備中である。 これらのASWOCは同様の任務・機能を有しているため、この地下部分はほぼ同じ建築構造となつている。このため、那覇基地の庁舎の建築計画通知書が公表されると、厚木、八戸、鹿屋の各ASWOCについても、(1)抗たん性の能力が明らかになる、(2)施設内の配置が明らかになり警備上支障が生じる、(3)電子機器の能力の推定が可能となることとなり、各ASWOCの機能発揮を阻害して、ひいては我が国のシーレーン防衛上重大な支障が生じる。 また、これら四か所のASWOCの整備に対して、国はこれまで約三六〇億円にものぼる巨費を投じてきている。各ASWOCの機能発揮が阻害されるようなことになれば、これらの経費は我が国及び我が国民にとつて重大な損失となる。 このようなことから、本件計画通知書の公表という一地方自治体の行為は、一地域の防衛体制のみならず、我が国防衛体制全体に重大な支障を及ぼすこととなる。 したがつて、本件文書の内容が公開されれば、右のような行政上の重大な支障が生じるのであつて、その意味で防衛行政上の情報を含む本件文書が外部に漏示されることは国家の防衛上の利益が侵害され、回復の不可能若しくは著しく困難な損害が生じることになるのであるから、本件文書は国家秘密として国家機関の適切な管理下におかれるべきものである。 よつて、本件ASWOC庁舎に関する右防衛行政上の情報は、本来公開を予定していないものとして保護されるべきであり、同情報は、本件条例六条一項(4)オに該当する。 申立補充書(二)一被申立人は、本件執行停止申立てが認容されると、知る権利が侵害され、情報公開の実があがらず、公共の福 として保護されるべきであり、同情報は、本件条例六条一項(4)オに該当する。 申立補充書(二)一被申立人は、本件執行停止申立てが認容されると、知る権利が侵害され、情報公開の実があがらず、公共の福祉に重大な影響を及ぼすことが明らかである旨主張するが、以下に述べるとおり、右主張は失当なものといわなければならない。 1 被申立人は情報公開制度の基本理念を高らかに唱いあげ、知る権利なるものを抽象的に主張しているが、右主張は、国家、社会全体の安全、存立に目を向けない、片寄つたものであつて、不当なものであるのみならず、本件公開請求人の知る権利が具体的にどのように侵害されるかも検討されていない杜撰なものである。 2 もとより、情報公開の原則といつても、国家・地方公共団体の各活動場面における秘密を一切否定するものではない。このことは、現に、本件条例六条一項(4)の規定においてもこの点に対する配慮がなされていることからみても明らかである。 すなわち、知る権利が人権として認められるとしても、現代の国家及び地方公共団体の機能及びその果たす役割には複雑なものがあり、憲法の負託を受けた行政機関がその機能を十分果たし、国民の利益及び国家の安全を保持するためには情報の秘匿の必要性が内在しているものというべきである。 憲法には、「国家秘密」あるいは「行政秘密」に関する明示的な根拠規定は存しないけれども、究極的には、国民のための「国家の安全」を確保するという国(地方公共団体)及び行政機関の役割分担からする情報秘匿の必要性を内在させているものといわなければならない。すなわち、国等の行政機関は、憲法上、国家の安全ないし公共の利益のために秘密ないし情報の秘匿を必要とする機能上必要不可欠な範囲内において、秘密を設定し、情報の秘匿を行うことができるものというべきである。 したがつ 行政機関は、憲法上、国家の安全ないし公共の利益のために秘密ないし情報の秘匿を必要とする機能上必要不可欠な範囲内において、秘密を設定し、情報の秘匿を行うことができるものというべきである。 したがつて、本件条例が、憲法の保障する基本的人権としての知る権利を保障することを目的として制定されたものであるとしても、同条例が行政秘密に配慮して六条一項(4)の規定を設けているとおり、知る権利ないし情報公開請求権がすべて達成されないことが公共の福祉に反するわけのものでないことは同条例自体からも明らかである。 ところで、申立補充書(一)でも指摘したとおり、地方自治体には本来的に外交、防衛等国家・社会の安全、存立にかかわる行政を直接掌理していないことから、それが極めて重要な事項であるにもかかわらず、情報公開において右行政に関する視点が欠落し、本件条例においても右行政に関する情報に対する配慮に欠けるものがある。この意味で、本件条例は重大な問題を含んでいるが、地方自治体が、機関委任事務等の国家行政の遂行に関連した右行政に関する情報を野放図に漏示することは許されないものといわなければならない。すなわち、非公開情報に対する配慮を欠く本件条例のもとにおける、国家・社会の安全、存立にかかわる防衛行政に関する情報の公開は、国家の安全(公共の福祉)に重大な支障を及ぼすおそれがあるものというべきである。 本件条例が有する問題については、本訴において詳述する予定であるが、右のような問題を内包する本件条例の非公開事由を規定した六条一項に、防衛行政に関する情報という明文がないことの故をもつて、短絡的に本件公開決定に違法な点はないと結論づけることは厳しく慎まなければならない。本件条例には右のような問題が含まれているからこそ、公開決定の一時停止措置が採られるべきであつて、この問題 もつて、短絡的に本件公開決定に違法な点はないと結論づけることは厳しく慎まなければならない。本件条例には右のような問題が含まれているからこそ、公開決定の一時停止措置が採られるべきであつて、この問題に対する最終決着は、本訴において、双方の弁論を尽くした上、図られるべきである。 3 被申立人は、「公共の福祉は憲法秩序である。」とし、本件申立てが認容されると、右憲法秩序が破壊されることになる旨主張するが、右に述べたとおり、国家・社会全体の安全にかかわる「国家秘密」あるいは「行政秘密」が保持されなければならないことも、憲法秩序であつて、抽象的な知る権利のみを過大評価することは許されないものといわなければならない。 4 申立人が、申立書及び申立補充書(一)並びに疎甲第二、第三号証で具体的に明らかにしたとおり、本件文書の公開は、国の防衛行政の執行に著しい支障をもたらすことになり、ひいては国家・社会全体の安全に重大な障害をもたらすおそれがあるのであつて、これが公開されること自体が公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるのである。 二 1 被申立人は、本件申立ては回復不可能な損害を避けるための緊急性がない旨主張する。しかしながら、本件公開決定に基づいて本件文書が公開されてしまうと、一地域の防衛体制のみならず、我が国防衛体制全体に重大な支障を及ぼすことになるが、これは金銭では償えない回復困難な重大な損害であるのみならず、右公開がなされると、本案の取消訴訟は無意味なものとなつてしまつて、前記のとおり問題を内包する本件条例の適否自体についても、裁判所の正式な審理を得る機会が失われてしまうことになる。よつて、本件執行停止申立てには、回復の困難な損害を避けるための緊急の必要性があるものというべきである。 2 被申立人は、申立人が国の防衛上重大な支障を生じることを る機会が失われてしまうことになる。よつて、本件執行停止申立てには、回復の困難な損害を避けるための緊急の必要性があるものというべきである。 2 被申立人は、申立人が国の防衛上重大な支障を生じることを疎明するために提出した疎甲第二、第三号証の作成時期について論難を加えているが、右疎明資料は、被申立人が、本年七月三一日ころ、那覇防衛施設局長の非公開要請にもかかわらず、本件文書の公開意思を固め、その全面公開決定に出る動きを示したことから、その執行停止を求めるべく用意されたもので、右作成日時については何らの他意もないのである。 3 被申立人は、申立人が非公開にすべきであるとする本件文書中の図面につき、専門職員の検討を経たとして、非公開とすべき理由に反論を加えているが、右反論には論拠がないので、申立人は別表のとおり再反論を行うとともに、その一部につき次のとおり補足する。 (一) 抗たん性とは、建物の総合的な構造強度などに基づく防護性能をいい、壁、床の厚さなどとも合わせた建物内部の構造も抗たん性の一部である。図面番号三、四については、建物内部の詳細な構造が記されているため、非公開の理由としてA(抗たん性の能力が明らかになる)としたものである。 (二) コンピユーターの性能については、別表の図面番号一八、一九に述べたとおりであるが、ASWOC内で使用されるある種のソフトウエアは防衛上の秘密である。その他にも、抗たん性を推定できる施設内の構造や電子機器等の能力を推定できる電気負荷容量等も防衛上の秘密に該当するものがある。 (三) 本件文書は、被申立人の主張するとおり形式的な秘密指定はなされていないが、それは、国の機関委任事務として、建築基準法等の法令審査を行う建築主事との信頼関係を尊重したことに基づくものであつて、本件ASWOC庁舎建築請負契約及び工事の り形式的な秘密指定はなされていないが、それは、国の機関委任事務として、建築基準法等の法令審査を行う建築主事との信頼関係を尊重したことに基づくものであつて、本件ASWOC庁舎建築請負契約及び工事の施工に当たつては、次のとおり厳重な管理を行つているものである。 ASWOC庁舎に係る設計業務においては、設計委託契約書において「設計者は、設計の処理上知り得た秘密を他人に洩らしてはならない」と規定している。 建設工事入札前に行う図面説明に際しては、指名業者に対し「貸与した図面及び仕様書は入札前に返却すること、また本工事は重要な施設であるため、図面の取扱については厳重に注意すること」を説明し、そのことを記した書面に記名捺印させ、周知徹底を図り、返却された図面については、焼却処分をしている。 工事現場においては、設計図等が工事関係者以外に流出しないよう、工事監督官から、工事現場における業者側の代表者である現場代理人に対し、(1)保全管理には十分注意をすること、(2)元図面から部分的に複写させる必要がある場合には、必要な部分及び必要部数のみとし、使用済みの時は請負者の責任で右複写物を処分し、元図面自体は発注者側に返却させること、(3)下請業者及び見積業者等へ設計図面を貸与した場合は、確実に返却させること等を常々注意指導するとともに、工事に使用した設計図書は、工事完了後工事監督官へ返却することとしている。 このように、本件文書については、厳重な管理を行つており、これらの資料が外部に流出した事実は、認められず、防衛施設局職員に秘密の認識が欠けていたということは決してない。 4 被申立人は、那覇防衛施設局側がもともと「秘密」でなかつた本件文書を「事件」の進展に伴つて秘密化してきたものである旨主張するが、本件文書につき、防衛上の秘密が含まれることについては、再 てない。 4 被申立人は、那覇防衛施設局側がもともと「秘密」でなかつた本件文書を「事件」の進展に伴つて秘密化してきたものである旨主張するが、本件文書につき、防衛上の秘密が含まれることについては、再三にわたり那覇市側に説明し、その内容についても明らかにしてきたところである(七月三一日那覇防衛施設局長申入れ、八月四日参加人意見書、八月二五日の参加人意見陳述)。 個々の文書については、それが秘密に当たるか否かの観点からの公開の可否を那覇市側に説明していないが、これは、次の理由によるものである。 (1) 本件文書が本件条例により公開を請求することのできる公文書に該当しないこと、また、仮に公開することができるとしても、国(建設省)から、かかる文書の公開の範囲は、昭和二五年一一月一六日付け住発第六七号の二建設事務次官通達「建築基準法第一八条に規定する国の建築物の場合の取扱い方法について」第二にいう計画通知書のうち、別記第一号様式に限定されるとの指導が那覇市に対して行われ(建設省住宅局建築指導課長から沖縄県土木建築部長あて平成元年八月三日付け文書)、機関委任事務を執行する那覇市は当然この指導に従うべきであることから、個々の文書について秘密に当たるか否かの理由を説明する必要が認められなかつたこと。 (2) 本件文書に秘密に当たるものが含まれることについては、前記のとおり十分に説明しており、那覇市が適正な判断を行うに十分な情報を提供してきたこと。 三申立人は、被申立人が行つた本件文書の公開決定の全面的取消しを請求し、本件においてその執行停止を求めているが、これは被申立人が本年九月二八日本件文書の全面公開を内部決定し、午前一一時ころこれを報道機関に発表したため、緊急にその執行停止を求める必要上右のような形式になつているものである。被申立人主張のような他意は 申立人が本年九月二八日本件文書の全面公開を内部決定し、午前一一時ころこれを報道機関に発表したため、緊急にその執行停止を求める必要上右のような形式になつているものである。被申立人主張のような他意は全くない。 建築基準法においては、同法一八条二項に基づく計画通知に係る図書の閲覧については何ら規定が設けられていないが、建設省は、昭和二五年一一月一六日付け住発第六七号の二建設事務次官通達「建築基準法第一八条に規定する国の建築物の場合の取扱い方法について」において、「計画通知書のうち別記第一号様式によるものを限度に、閲覧に供し得ると考えられる」との公式見解を発表しているところである。申立人(那覇防衛施設局)としても、右見解に異存があるわけではなく、右通達の別記第一号様式が閲覧に供されることには異議がない。また、図面番号一、二、六、一〇、一一、一二、一三、一五、一六、二一、二二、二四、二七、三〇、三一、三二、三四、三六、三七、三八、三九、四〇の各図面についても、防衛上の秘密に該当するものが含まれていないから、被申立人が、これらの図面を非公開図面と厳格に区分し、その秘密の確保を図るのであれば、これらの図面を請求人らの閲覧に供することに反対はしない。 さらに、非公開図面の秘密の保持が約束されるのであれば、右防衛秘密を含まない図面についての公開決定の取消訴訟及び執行停止申立てを取り下げる用意がある。 意見書(一)意見の趣旨一、本件申立を却下する。 二、申立費用は申立人の負担とする。 との裁判をなすべきものと思料する。 意見の理由一、本件公文書非公開処分取消決定に至る経緯別紙「自衛隊施設計画通知書に係る情報公開問題の事実経過」記載のとおりである。 二、本件申立は、その本案について理由がないこと明白である。 一 (一)本件文書は、本件条例により公開を請求す に至る経緯別紙「自衛隊施設計画通知書に係る情報公開問題の事実経過」記載のとおりである。 二、本件申立は、その本案について理由がないこと明白である。 一 (一)本件文書は、本件条例により公開を請求することができる公文書である。 1、申立人の主張申立人は、本件文書は(1)市政に関する情報(公開条例第一条)に係るものではなく、(2)実施機関たる処分庁の職員が職務上取得した文書(同第二条第一号)ということもできず、(3)実施機関としての処分庁の所管する事務に係る文書(同第五条)にもあたらない、と主張している。 2、国の公式見解申立人の右主張について検討する前提として、機関委任事務に関する文書を条例で公開することができるかという問題があるが、一九八二年(昭和五七年)四月二三日参議院決算委員会において世耕自治大臣はこの問題を肯定し、「機関委任事務に関するもの(公文書の管理)は、大体従来から固有の事務というふうに自治省でも地方団体でも大体かんがえている、情報公開の場合にはその自治体の長が判断しながら、適正に判断したり、その責任において機関委任事務の文書を公開するのは構わない」と述べており、問題は解決している。 3、那覇市職員の取得した文書イ本件条例は、第四条において、「市民は、この条例の目的に即し、公文書の公開を求める権利を行使することができる」旨規定し、第二条において公開を求められる公文書を次のように定義する。 「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図面であつて、実施機関が保有しているものをいう。」ロ本件文書は、まさに実施機関(本件においては、市長)が取得した文書図面に該当するので、本件条例により、市民が公開を求めることのできる文書に該当する。 ハところで、申立人は、本件文書は「本件条例実施機関たる被申立人の職員が職務上取得 いては、市長)が取得した文書図面に該当するので、本件条例により、市民が公開を求めることのできる文書に該当する。 ハところで、申立人は、本件文書は「本件条例実施機関たる被申立人の職員が職務上取得した文書と言うことはできない」旨主張する。 しかし、本件文書が、那覇市建築主事に通知されたものであることは、申立人も認めるところである。本件文書は、建築基準法第一八条二項に基づき建築主事に通知された文書であるが、同文書受理に係る建築主事の事務は、行政実例として建築基準法により機関委任事務として建築主事にその管理及び執行が任された事務に属するものである。建築主事は、建築基準法第四条一項に基づいて置かれたもので、那覇市長の指揮監督下に職務を行う被申立人の職員であることは明らかである。したがつて、本件文書は、正に、被申立人の職員たる建築主事が職務上取得した文書に該当するものである。 申立人の主張は、本件文書の受理事務を担当する建築主事が那覇市長の指揮監督の下に同機関委任事務を担当していることを見失つたものであり、全く理由がないものである。 ニところで、国の機関委任事務として地方公共団体が執行した文書類の保管については、行政解釈として地方公共団体の固有事務と解されている(機関委任事務は、建築確認等のみとされている)。 よつて、この点から言つても本件文書は、地方公共団体の固有事務として保管される文書であり、本件保管文書が処分庁の所管する事務に当たらないとする申立人の主張には、理由がない。 4、市政に関する情報イ申立人は、本件文書は、建築主事が、国の機関委任事務の執行として、建築基準法第一八条二項に基づく通知書として受理したものであることから、直ちに「本件文書は、市政に関する情報に係るものではない」と主張する。 ロしかし、右主張には、論理の飛躍がある。 の執行として、建築基準法第一八条二項に基づく通知書として受理したものであることから、直ちに「本件文書は、市政に関する情報に係るものではない」と主張する。 ロしかし、右主張には、論理の飛躍がある。 本件文書が、国の機関委任事務の執行として取得された文書であることと、取得した文書が市政に関するものであるか否かということとは、全く別個の問題である。 本件文書は、那覇市内に建築される建築物に関する情報であり、当該建築物がどのような構造を有し、どのような設備を有するかは、市民生活に係る重要な情報である。例えば、防火活動上、市内の建築物がどのような構造を有するかの情報を得ることがいかに重要であるかを考えれば、本件文書が市政に関する情報であることは明白といえよう。 5、申立人の主張の背後に伏在する問題点イ以上のように、申立人の主張は、本件条例の解釈を誤つたもので、独自の見解に基づくものであるが、申立人の主張の背後には本件条例の解釈の域を超えて、国の機関委任事務に係る文書の公開を定める本件条例の効力そのものを否定する見解が存すると思われる。その点についても若干付言する。 ロ言うまでもなく、条例制定権は、地方自治に根拠を置く憲法上の権利であり、法律に積極的に抵触しない限りその効力を有するものである。 ハ本件条例は、その制定の経過及び運用規程を見て明らかなように、国の機関委任事務に係る文書についても公開すべき文書に含まれるものとして制定されている。 ニ右条例は、情報公開制度が国民の憲法上の基本的人権に根差すものであり、高度に発達した今日の社会において、地方自治体が多様な情報を収集・集積しその公開が今日的に重要な意義を有することを踏まえて制定されたもので、法的にも社会的にも十分合理的存在理由を有するものである。また、本件条例のこのような姿勢は、前記国 治体が多様な情報を収集・集積しその公開が今日的に重要な意義を有することを踏まえて制定されたもので、法的にも社会的にも十分合理的存在理由を有するものである。また、本件条例のこのような姿勢は、前記国の公式見解にも沿うものである。 申立人は、結局このような本件条例の情報公開制度の本旨を理解せず、条例の立法姿勢をあれこれ批判するものであり、法的検討に値しない政治的主張と評せざるを得ないものである。 (二) 裁量規定への批判について 1 申立人の主張申立人は「本件条例は、一定の公文書については非公開とすることができるとする(本件条例六条)。その規定の文言上は、非公開とするか否かは実施機関の裁量によるようにみえる。・・・・・・本件条例の非公開文書に関する規定は不合理である」と主張している。 2 裁量規定の意義イ本件条例第六条は、市長が公開請求された文書を公開しないことができるのは、同条一項各号に該当し、かつ市長が公開しないことを相当と認めた場合に限定されるものであることを規定したものである。これは第六条一項各号に該当する場合であつても具体的・個別的に市長が情報公開の必要性と情報公開しないことによる公共の利益等を衡量して慎重に判断するという裁量の余地をのこしたものである。第六条一項各号には、四号のように市長の裁量判断に属する規定が存することを考えればその合理的理由は明瞭である。 ロ申立人は「法令により明らかに守秘義務が課されている情報(本件条例第六条一項一号)についても公開することができるとするのは、法令の課す義務に抵触するものであり、ゆるされない」ものであるにもかかわらず、このような場合にも公開しうるとするのは不合理であるとして批判する。 しかし、法令により明らかに守秘義務が課されている場合であつても、当該法令に即して具体的に守秘義務が課され のであるにもかかわらず、このような場合にも公開しうるとするのは不合理であるとして批判する。 しかし、法令により明らかに守秘義務が課されている場合であつても、当該法令に即して具体的に守秘義務が課される根拠・理由等を検討し、情報公開制度の趣旨をふまえて当該文書を公開する必要性、意義等を比較衡量して文書を公開しうる余地を残すことは、立法形式として合理的理由を有するものである。仮に市長が裁量を誤つて法令により守秘義務を課された情報を公開した場合には、当該公開処分が取消の対象になるだけであり、本件条例第六条第一項そのものが違法となるものではない。要するに申立人の主張は、立法形式の問題と個々の公開処分とをかれこれ混同して批判するものであり、主張自体失当なものである。 (三) 本件文書は、本件条例第六条一項四号オに該当するとの主張について 1 申立人の主張申立人は、本件文書は「自衛隊の能力に関する事項が含まれており・・・・・・公開することにより行政の公正かつ円滑な執行に著しい支障を生ずることが明らか」であると主張している。 2 解釈の誤りイしかし、申立人の右主張は、本件条例第六条一項の解釈を誤つたものである。 申立人は、本件文書が「その他公開することにより行政の公正かつ円滑な執行に著しい支障を生ずる情報」に該当すると主張するが、申立人がそこで言う著しい支障が生ずる「行政」とは、自衛隊の行なう国防業務を指している。つまり本件文書が公開されると自衛隊の国防行政に著しい支障が生ずると主張する。 しかし、本件第六条一項四号オにいう「行政」とは、公開される情報に関する「行政」であり、公開される情報を離れた一般的行政を指すものではない。 すなわち本件に即していうと、本件文書は建設大臣の所管する建築基準行政に関する情報文書であるから、本件条例第六条一項四号オの該当の 行政」であり、公開される情報を離れた一般的行政を指すものではない。 すなわち本件に即していうと、本件文書は建設大臣の所管する建築基準行政に関する情報文書であるから、本件条例第六条一項四号オの該当の有無を検討する際には、本件文書を公開することにより、建築基準行政に著しい支障が生ずるか否かを検討することとなるものである。 ところが、申立人は、本件文書の公開により建築基準行政に著しい支障が生ずるか否かを検討するのではなく、前記のように自衛隊の行なう国防行政に支障が生ずると主張する。 申立人の主張は、本件条例第六条一項四号オの誤つた解釈の上になされたものであり、主張自体失当である。 (四) 申立人の実質秘の主張について 1 関連性申立人は、本件文書には国防上の実質的秘密が含まれると主張する。 しかし、申立人の右主張が本件処分の取消を求める法的理由とどのように関連するのか必ずしも明らかでない。申立人は、本件処分に至る過程で実質秘の主張を本件条例第六条一項一号の「法令により、明らかに守秘義務が課されている情報」に関連づけて主張していたが、本件では前記のように本件条例第六条一項四号オに関連づけて主張している。 しかし、右主張が理由のないものであることは、前記のとおりである。 しかしながら、申立人の実質秘の主張は、その主張の中核をなしているので、以下検討する。 2 本件文書は、秘密に指定されていないイ本件における最大の争点は、行政庁によつて秘密の指定はされていないが、実質的には秘密であるという、そのような秘密が法律的に存在し得るのかである。 疎甲第二号証上申書で、那覇防衛施設局長・箭内慶次郎は「計画通知書の内容には・・・・・・防衛上の秘密が含まれており、これを無制限に公開することは、国の防衛上の重大な支障を生ずる」と主張している。 また、那覇市平成元年第 、那覇防衛施設局長・箭内慶次郎は「計画通知書の内容には・・・・・・防衛上の秘密が含まれており、これを無制限に公開することは、国の防衛上の重大な支障を生ずる」と主張している。 また、那覇市平成元年第一号異議申立事件、同第二号事件につき、参加人であつた申立人が、平成元年九月六日付で被申立人に提出した「追加意見書」一、において、申立人は次のとおり主張していた。 「国家公務員法第百条の「職務上知り得た秘密」について、判例は、「秘密とは、非公知の事実であつて、実質的にもそれを秘密として保護するに値すると認められるものをいい、その判定は司法判断に服するものである」(最決昭和五三年五月三一日)とし、形式秘実質秘複合説を排し、実質秘説を採用することを明らかにしている。この判例は、国家公務員法第百条と同様の規定である地方公務員法第三四条、自衛隊法第五九条等にもあてはまる。本件文書は、秘密の指定はされていないが、実質秘であるから公開すべきではない。」と主張していた。 右の主張は、法律的には、でたらめ極まる立論と評する他ないものである。 最決昭和五三年五月三一日ではB記者が漏洩させた電文二通(第一〇三四号電信文案、第八七七号電信文)が秘密(極秘)に指定されていたことは、検察側も弁護側も、争う余地のない前提とした上で議論が交されていたのである。 そして東京高裁および最高裁は、うち一通については実質秘でないとしてしりぞけ、他の一通についてのみは、弁護側の違法秘密であるとの主張を排して実質秘と認定し、B記者を有罪としたのである。 申立人が引用する最決昭和五三年五月三一日は、決して形式秘ではないが実質秘である秘密の存在を認めた趣旨ではない。 秘密といい得るためには「実質秘」である前に「形式秘」でなければならないのである。 3 過失による秘密漏示罪はない。 他の側面から問題 て形式秘ではないが実質秘である秘密の存在を認めた趣旨ではない。 秘密といい得るためには「実質秘」である前に「形式秘」でなければならないのである。 3 過失による秘密漏示罪はない。 他の側面から問題に接近してみよう。 地方公務員法第三四条一項は「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない」と規定している。また同法第六〇条二号は「第三四条一項・・・・・・の規定に違反して秘密を漏らした者」について「一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する」と規定している。 右の地方公務員秘密漏示罪には、言うまでもなく故意犯のみあつて過失犯は存在しない。 つまり、当該地方公務員が、当該情報が秘密であることを知つていながら、当該秘密を漏らした場合(構成要件的故意がある場合)にのみ、処罰されるのである。 本当は秘密だつたのだが、秘密指定がされていなかつたために、秘密であることを知らないままに、過失で漏らしてしまつたものについては、処罰されないのである。 逆に言えば、当該地方自治体が、当該地方公務員に、職務上知り得た当該情報は、秘密に指定されており、他に漏らしてはならないことを事前に知り得る状態にしておかなければ(通常は指定が行われた旨の標記を付す)、地方公務員秘密漏示罪は成立しないのである。 以上からしても、秘密指定はされていない(形式秘ではない)が、内容が「非公知の事項であつて、実質的にもそれを秘密として保護するに値すると認められるもの」(実質秘)は、地方公務員法上の秘密として保護するに値するなどという議論は、法律上成り立ち得ない議論でしかない。 4 しかも、本件文書については、単に秘密の指走をしてないばかりか、多数の設計者や建築業者等の目にふれることが明らかなのに、誰に対しても、本件文書が秘密であるとか、取扱に注意をすべきであるとか、これが公開された場合に、 については、単に秘密の指走をしてないばかりか、多数の設計者や建築業者等の目にふれることが明らかなのに、誰に対しても、本件文書が秘密であるとか、取扱に注意をすべきであるとか、これが公開された場合に、国の防衛なり行政なりに著しい支障が生ずる等の言動をした形跡さえまつたくないのである。実は本件文書を見ているものは相当多数存するものと考えられ、事実上すでに公開されているに等しいほどである(疎乙六号証・陳述書参照)。 三、本件申立が認容されれば、知る権利が侵害され、情報公開の実があがらず、ために公共の福祉に重大な影響を及ぼすこと明白である。 意見書(二)で詳細に言及する。 四、本件申立は、回復困難な損害を避けるための緊急の必要がないものである。 意見書(二)で詳細に言及する。 五、以上の次第で、本件申立は直ちに却下さるべきものである。 意見書(二)意見の理由(続き)三、本件申立が認容されれば、知る権利が侵害され、情報公開の実があがらず、ために公共の福祉に重大な影響を及ぼすこと明らかである。 (一) 情報公開制度の基本理念情報公開制度は、行政機関等の保有するすべての情報を市民に原則として公開することを制度として確立するものである。すなわち、この制度は、日本国憲法の基本原理たる基本的人権としての「知る権利」を制度として保障することにより、市民がいつでも自由に行政情報を入手し、知ることができるよう行政機関に公開を義務づける制度である。 情報公開制度の核心は、本来、市民や国民との共有財産である国や自治体の保有する行政情報を、単に行政機関による事務の遂行目的のためだけに作成・保管等の活用に供するだけでなく、これをひろく公開することによつて、国民や市民の「知る権利」を保障し、もつて、国民・市民が主権者であるという民主主義の確立・発展に資することにある。 那覇 けに作成・保管等の活用に供するだけでなく、これをひろく公開することによつて、国民や市民の「知る権利」を保障し、もつて、国民・市民が主権者であるという民主主義の確立・発展に資することにある。 那覇市においても、長年の調査研究を経て、一九八七年(昭和六二年)、市議会において全会一致で「那覇市情報公開条例」が可決されてこの制度が発足した。ここに市民には具体的な情報公開請求権が認められるとともに、市にはこれに対応する公開義務が制度的に確立したのである。 この情報公開制度がその理念に沿つて、憲法保障する国民の「知る権利」を具体的に実効あらしめ、その実をあげるためには、原則としてすべての情報を公開し、非公開とする情報は例外的な必要最小限度のものとして、明示されたものに限るという公開原則を確立することが必要である。本件条例はこのような情報公開制度の理念と原理・原則に則つて制定され、制度化されたものである。 しがつて、本件文書の公開の要否・適否を判断するに当たつても、その根拠たる本件条例の趣旨・目的・原則を逸脱することのないよう厳正になされなければならない。 (二) 申立人の主張を容認することは情報公開制度の趣旨を没却し、本件条例を無にするに等しい。 1、本件文書は、意見書(一)で詳述したように、公開原則の例外たる非公開文書に該当しないことは明らかである。 申立人は極めて抽象的に、本件文書が公開されると国の防衛上の支障をきたす旨主張するのみで、その態度はまるで国の防衛上の必要といいさえすれば、天下御免と何でも通るかの如き、絶対主義的前時代的感覚に基づくものといつても過言ではない。このような主張が通るとしたら、情報公開制度は国との関係では無に帰するに等しい。 万一、申立人の主張が容れられて、本件公開決定が執行停止されたら、市民の知る権利が圧殺され、民主主 ても過言ではない。このような主張が通るとしたら、情報公開制度は国との関係では無に帰するに等しい。 万一、申立人の主張が容れられて、本件公開決定が執行停止されたら、市民の知る権利が圧殺され、民主主義の理念にそつて制度化された那覇市の情報公開制度と地方自治が国の圧力によつて、危殆に瀕することとなる。しかもそれが司法(裁判所)の手をかりて行われることになるのであるから、事は重大である。 2、今日、情報公開が民主主義と基本的人権(知る権利)の核心をなすものとして、全国的にその制度化が推進されているなかで、国のレベルでは防衛秘密の保護の名のもとに、情報公開ではなく、逆に秘密保護法制の準備が進められようとしている。そしてその防衛秘密なるものが、極めて抽象的であり、極端にいうと当局が秘密といえばすべて秘密になるかの如き議論も行われている。本件申立人の主張は、正に防衛庁が秘密というのはすべて秘密だというに等しく、防衛庁関係の情報は聖域だといわんばかりである。 3、被申立人は、地方自治体の長として、本件の決定にあたつては、申立人の主張にも十分耳を傾け、慎重のうえにも慎重を期し、あらゆる角度から、非公開とされるべき例外文書に該当するか否かを検討してきた。情報公開条例制定までにも五年間の準備期間を要し、発足してのちの運用においても、その本来の趣旨・目的が十分生かされるように部下職員ともども鋭意努力を傾注してきた。 情報公開制度の本旨も、申立人の態度や主張も、すべて十分考慮したうえで結論に至つた本件公開決定である。そして、申立人の執行停止申立の動向を聞知しても、公開決定と同時に公開そのものの手続を開始・続行することはせず、本件申立の判断が下されるまでは、これを自発的に保留することとしている。裁判所を含む市民・国民、そして民主主義に対する信頼を基礎とした被申立人 定と同時に公開そのものの手続を開始・続行することはせず、本件申立の判断が下されるまでは、これを自発的に保留することとしている。裁判所を含む市民・国民、そして民主主義に対する信頼を基礎とした被申立人の自治体首長としてのフエアな態度のあらわれである。 (三) 公共の福祉の核心は憲法秩序である。 純法律的にみるかぎり、本件申立が認容される余地は全くないことは明らかというべきである。しかるに、万一認容されることがあるとしたら、いつたいどうなるか。正に憲法秩序が崩壊することになるのではないか。法的にいう公共の福祉の最大のものは憲法秩序である。本件情報公開制度は憲法秩序の一つの核心をなす。情報公開に関する法的紛争は、一般に処分庁たる自治体と国民・個人との間に起こるものであり、本件の如く自治体の処分に国が介入してその間に法的紛争にまで発展するのは稀である。国とて情報公開については、積極的に推進すべきが、憲法上の要請である。それをこともあろうに、国が抽象的な国防上の必要という理由で、自治体の条例制定権とその運用権に介入し、更にこれを司法が合法化・正当化するとしたら、市民の基本的人権たる知る権利・情報公開請求権を無に帰せしめるとともに、情報公開制度そのものの運用を萎縮させるという最悪の効果を生ぜしめることにもなる。そしてその効果は、那覇市だけでなく、全国各地の情報公開制度の運用にまで影響を及ぼすであろう。国家権力の介入による基本的人権の侵害、憲法秩序の破壊は何としてもくいとめなければならないし、その任務の重要な一端は司法が担つている。どんなに間違つても本件申立を認めることによつて、司法が基本的人権と憲法秩序の破壊に手をかしてはならない。法律判断を任務とする裁判所が、曖昧模糊とした抽象的な政治的主張としかいいようのない防衛上の支障という安易な口実に、いか 認めることによつて、司法が基本的人権と憲法秩序の破壊に手をかしてはならない。法律判断を任務とする裁判所が、曖昧模糊とした抽象的な政治的主張としかいいようのない防衛上の支障という安易な口実に、いかなることがあつても、絶対に惑わされてはならないと考える。 四、「回復不可能な損害を避けるための緊急の必要性」の不存在(一) 「国の防衛上重大な支障を生じる」との主張について1、申立人は、本件文書を公開することは、国の防衛上重大な支障を生じる旨主張し、その裏付けとして、疎甲第二号証、疎甲第三号証を提出している。 そのうち、疎甲第二号証によれば、第一に、「(外壁の厚さ、構造などの)施設の強度」が(本件文書から)明らかになり、施設の防衛能力が明らかになる、と述べている。 しかし、別表(疎甲第三号証の後半部分(四~六頁)の表について、専門職員の検討を経た反論のコメントを付した表を別表として添付しておく(の「ASWOC庁舎の非公開理由について」の反論に記載された図面番号3、4についての被申立人の主張のとおり、これらの図面のみから構造強度を知ることは不可能である。 2、同甲号証で述べている「電源の容量など・・・・・・が公にされると、内部に設置される電子計算などの器材の能力が明らかになり」云々という点についても、前記反論図面番号18の項で述べているように、負荷容量表だけでは、機器のソフト面は勿論、ハード面すら、推認することはできない。図面番号19、20も同様である。 3、同甲号証で述べている「施設内の区画割り」が公にされると、施設の警備上問題である、という点は、内閣総理大臣官邸をはじめとする各省庁の建物の場合も同じであり、それはどの事務所や官公庁舎にも共通する通常の警備上の問題であつて、本件建物が他と区別して特別に「秘密」にされるべき必要性はない。 4、仮にある 大臣官邸をはじめとする各省庁の建物の場合も同じであり、それはどの事務所や官公庁舎にも共通する通常の警備上の問題であつて、本件建物が他と区別して特別に「秘密」にされるべき必要性はない。 4、仮にある程度、施設内の構造、機器の内容が推認されるとしても、真の軍事秘密(対潜作戦の内容等)は、ソフト中の超ソフトであり、いかなる軍事専門家といえども、建築図面のみから、そこまで見透せる筈はない。とすれば、本件文書によつて得られる「情報」は、「軍事秘密」でもなんでもなく、一般の官公庁の建物、会社の建物に関する「情報」と何ら変わらない。 5、したがつて、疎甲第三号証で「公開否」とされているのも、「公開否」としなければならないほどの「秘密」ではない。 もし、申立人側が、今日主張しているような認識を初めから持つていたのであれば、当然「秘密指定」をし、建築請負業者らにも、「文書」の取扱について、厳しい指導をしていたはずである。にもかかわらず、このような「指定」も「指導」もなく、漫然と請負業者(下請業者を含めれば、本件文書を交付された者は相当の数になる)に本件文書・図書を交付しているのは、「秘密」とか公開されると国防上支障が生ずるというのは単なる口実か言訳にすぎないことを示して余りあるというべきである。 (二) 申立人は、疎乙第九号証で明らかなように、那覇市の釈明に対して、何一つ説明せず、ただ「公開は好ましくない」と述べているだけである。そして、平成元年七月二九日に至り、「国の防衛上重大な支障を生じる」から公開を差控えてほしいと申し入れてきている。 何故に「国の防衛上重大な支障」があるか、その根拠らしいものについては、本件の本訴及び執行停止申立事件において、初めて疎甲第二号証、同第三号証として提出してきている。 これらの疎明資料の日付はいずれも七月三一日となつてい な支障」があるか、その根拠らしいものについては、本件の本訴及び執行停止申立事件において、初めて疎甲第二号証、同第三号証として提出してきている。 これらの疎明資料の日付はいずれも七月三一日となつているから、被申立人による本件公開決定にいたるまでの異議申立事件において、参加人として十分意見を述べ、証拠を提出することができたはずのものである。なのに、申立人はこれをしていない。これはいつたいどうしたことだろうか。当時できることをしないでおいて、今項になつて提出してきたのは何か意図があるのだろうか。それとも作成日付を遡らせたのだろうか。 このような国の本件に対する対応の仕方は、極めてアンフエアであるとともに、もともと国自らが「秘密」と考えていなかつた情報を「秘密」とするために、何ら根拠がないのに、根拠らしいのを「新たに」考えようとしてつくり出した口実としか思えない。 (三) このように、もともと「秘密」でなかつたものが「事件」の進展に伴つて「秘密」とされていくことは、極めて危険な徴候であり、このようなことが許されれば、情報公開制度は次第次第に骨抜きになつて行き、国家権力の前に、制度そのものが潰えていくことになる。これは国民の「知る権利」をなし崩しにしていくという意味で「公共の福祉」に反するばかりか、本件のような「情報」まで、いや、それよりもつともつと軽い情報まで「秘密」扱いにされ、日本が「秘密国家」に進んでいく可能性すらある。いや、現実にその不安が始まつている。 (四) 右に述べたことからいうならば、国が本件処分の執行停止をしなければ、「回復し難い損害を蒙る」ということ自体、失当であり、直ちに本件申請は却下されるべきである。 五、結び以上により、どの点からみても本件申立は理由がなく、直ちに却下されるべきは明らかであると考える。 念のため付言する 蒙る」ということ自体、失当であり、直ちに本件申請は却下されるべきである。 五、結び以上により、どの点からみても本件申立は理由がなく、直ちに却下されるべきは明らかであると考える。 念のため付言すると、本件執行停止申立の可否は、何よりも被申立人の行つた公開決定の適法性の有無にかかつている。公開決定を行つた時点において、被申立人は参加人となつていた申立人の主張・立証の機会を十分与え、その意見も十分考慮し、本件条例の解釈も正しく行つて結論を導いたものである。その時点において、申立人は本件文書の公開については全面反対であつた。ところが、本件において、疎甲第三号証によれば、四三点(なお、当時は四四点といつていたので調べてみると換気量計算書が落ちている)中、公開を「可」とするのが、何と半数の二二点にも及んでいる。何故、現在公開を「可」と積極的に認める文書についてまで、当時は公開されると「国の防衛上重大な支障がある」として、公開に反対する主張をしたのだろうか。当時も現在も全く同じ理由で公開反対を主張しているのに、すでに反対の理由がなかつたことを申立人自ら認めるに至つている。この事実は、何を意味するのであろうか。 このことは、結局は公開を「可」とする二二点だけでなく、「否」とする他の二一ないし二二点についても、実質的に「否」とすべき特別の理由や根拠はないものだといわれても仕方がないのではなかろうか。それとも、裁判所に一部でも何とか停止を認めてもらおうとの「高度の戦術」(?)のつもりで、苦しまぎれに、また、さも「否」とするものが他の「可」とするものと異なつて特別に重要な「否=秘」の扱いを要する文書ででもあるかのように装いをこらしたつもりなのだろうか。よもや裁判所がそのような侮つた主張に組することはあるまいと考えるが、念のため、司法の権威にかけても、その に重要な「否=秘」の扱いを要する文書ででもあるかのように装いをこらしたつもりなのだろうか。よもや裁判所がそのような侮つた主張に組することはあるまいと考えるが、念のため、司法の権威にかけても、そのような安易な策略的態度に乗ぜられることのないよう指摘して、速やかに本件申立を却下されんことを強く主張する次第である。 意見書(三)申立人は、平成元年一〇月三日付申立補充書(一)を提出しているので、被申立人は、これに対し、次のとおり意見を述べる。 一、本件条例六条一項(4)オにいう「行政」について(一) 被申立人が一〇月二日付意見書(一)の二、(三)(一〇-一二頁)において述べた「行政」に関する解釈・主張は、原則的・本来的な考え方を明らかにしたものである。 すなわち、地方自治体たる那覇市の保有する情報の公開に関する条例であるから、原則的にはそこに係わるのは那覇市の行政に関することであり、また、対象とされる文書に直接関連する行政が本来的に関連するものである。 しかし、仮に申立人の主張するように、本件条例六条一項(4)オにいう「行政」が、公開される情報に関する「行政」の枠をこえて、公開文書の内容と職務上同一でない一般行政を含むと解するとしても、本件文書はそこにいう「行政の公正かつ円滑な執行に著しい支障を生ずることが明らかな情報」には当たらない。 被申立人が本件公開決定をするに際しても、単に本件文書が建築行政に著しい支障を生じるか否かのみを検討したのではなく、申立人側の全主張(とくに国の防衛行政への支障という主張)を十分検討し、その結果、申立人の主張するように国の防衛行政に対する著しい支障の有無についても、それを肯定することはできず、同条例六条一項(4)オに該当しないと判断したものである。そして、この判断に何ら違法性はなく、全く公正・妥当なものであること 防衛行政に対する著しい支障の有無についても、それを肯定することはできず、同条例六条一項(4)オに該当しないと判断したものである。そして、この判断に何ら違法性はなく、全く公正・妥当なものであることは、再三述べたとおりである。 (二) ちなみに、被申立人は本件条例上、原則的な情報公開義務を負つており、六条の非公開とすることのできる例外文書に該当しないものはすべて公開しなければならないものである。原則はあくまで公開であり、例外として六条に該当するものが非公開とすることができるにすぎない。例外はあくまで例外として厳正に解釈されなければならず、例外に該当しない以上、公開は義務なのである。 六条の例外規定に該当しなければ、何らの裁量の余地はなく当然に公開しなければならない。逆に該当して非公開とすることができる場合でも、公益上の必要等諸般の事情を考慮して公開とすることは可能であるとするのがこの条例の趣旨(非公開の許容であつて公開の禁止ではない)であるが、本件文書はそもそもこの例外規定に該当しないものであつて、該当するのに諸般の事情を考慮して裁量によつて公開としたものでは全くない。誤解のないよう指摘しておく。したがつて、「裁量権の逸脱・濫用」云々という申立人の主張は全く失当である。 二、本件条例と「国家的・社会的法益の保護」について申立人は本件条例が国家的・社会的法益の保護についての適正な配慮に欠けている旨主張する。 しかし、地方自治体たる那覇市の情報公開に対する基本的態度は、市民の「知る権利」を前提として、市民にひろく情報を公開し、ガラス張りの行政を行うことにより地方自治・民主主義の本旨の実現をめざし、国民主義の原理を貫徹しようとするところにある。したがつて、公開原則の例外となる非公開文書は最小限度のものとするのは当然である。また、地方自治体は外交 により地方自治・民主主義の本旨の実現をめざし、国民主義の原理を貫徹しようとするところにある。したがつて、公開原則の例外となる非公開文書は最小限度のものとするのは当然である。また、地方自治体は外交・防衛等国家の事務は行つていないので、これに直接関する重要な情報を取得・保管することも原則としてない。だから、いうところの「外交・防衛等国家・社会の安全に関する情報」をストレートに除外規定に明文では定めなかつたものであり、何ら本件条例の非公開事由に関する規定が不完全なものではない。現在全国でざつと一五七の自治体で情報公開条例・要綱が施行されているが、そのほとんどが除外規定の中に外交・防衛等国家・社会の安全に関する情報を明文で定めてはいない。 これら外交・防衛等国家・社会の安全に関する情報について、直接明文で非公開事由としなかつたからといつて、真に外交・防衛等国家・社会の安全を確保するうえにおいて、非公開とされなければならないことが明白な情報についてまで公開することが義務づけられているものではない。その場合は申立人主張のとおり、六条一項(4)オの該当性の有無が考慮されるであろう。決して、国家的・社会的法益の保護について、全く無視しているわけではない。 しかし、本件文書はどこからどのように見ても「公開することにより、行政の公正、かつ、円滑な執行に著しい支障を生ずることが明らかな情報」とはいえないのである。少なくとも、抽象的なおそれではなく、「支障を生ずることが明らかな情報」でなければならないところ、全く明らかではないからである。 申立人は本件文書が海上自衛隊のASWOCの建築に関するもので、海上自衛隊の防衛能力に関する事項が含まれ、これが公開されると、施設の抗たん性の能力が明らかになるとか、警備上支障が生ずるとか、電子機器の能力が推定されるとか、国 のASWOCの建築に関するもので、海上自衛隊の防衛能力に関する事項が含まれ、これが公開されると、施設の抗たん性の能力が明らかになるとか、警備上支障が生ずるとか、電子機器の能力が推定されるとか、国の防衛上重大な支障が生ずる云々と声を大にして叫ぶが如くであるが、すべて抽象的な言辞のくり返しであつて、「著しい支障が生ずることが明らかな情報」とはとうていいえるものではない。 三、建築基準法九三条の二と情報公開について申立人は建築基準法九三条の二を根拠に、閲覧対象外の図書は公開も不可と主張する。 しかし、建築基準法上、閲覧に供しなければならないと義務づけられている図書以外の図書は、同法上の閲覧に供する義務がないだけであつて、情報公開条例による公開請求があつたときに、これを非公開にしなければならないということと同一ではない。閲覧に供する義務がないというのは決して直ちにすべて公開を禁止しているのではない。閲覧に供する義務のない図書の中にも公開すべきものと非公開にすべきものとがあり得、それは独自に判断されるべきものである。おうおうにして、義務がないことを直ちにできない=禁止と解されることがあるが、これは明らかに誤りであり、とくに情報公開が制度化された今日、この誤りに陥ることは絶対に避けなければならない。 被申立人は建築基準法上閲覧に供する義務はないものの、必ずしも閲覧を禁止しているものでもない以上、本件条例の解釈として非公開とされるべき例外規定の六条のいずれかに該当するや否やを慎重に検討して、いずれにも該当しないことが明らかとなつて公開決定をしたものである。 なお、申立人が引用する建設省住宅局建築指導課長の平成元年八月三日付文書は、「別紙第一号様式によるものを限度」とする理由・根拠については何らの説明もなく、とうてい本件条例の趣旨を充分に理解した行政 なお、申立人が引用する建設省住宅局建築指導課長の平成元年八月三日付文書は、「別紙第一号様式によるものを限度」とする理由・根拠については何らの説明もなく、とうてい本件条例の趣旨を充分に理解した行政解釈とは言えず、法的拘束力はないものである。 四、「国家の安全に重大な支障を及ぼす」との主張について申立人は建築基準法九三条の二に関連させながら本件文書に係る建築物は専ら我が国の防衛の用に供される施設であることを理由に、本件文書が公開されると国の防衛体制全体に及ぼす影響が大であり、国家の安全(公共の福祉)に重大な支障を及ぼす旨くり返し主張する。 しかし、そこで述べられているのは、いかにも大げさではあるが、国(防衛庁)の発行する「防衛白書」等を見ればすぐわかる程度の一般的な防衛論ないし、防衛政策の域を出ないものである。シーレーン防衛とかASWOCとP-3Cとの一体的システムとか、ASWOCが対潜戦の中枢だとか何ら目新しいものではない。これら防衛政策上の方針や内容を仰々しく述べたてて、いかにも本件文書が公開されるとASWOCの機能発揮を阻害し、シーレーン防衛上重大な支障をきたすかの如き主張をくり返すが、その中味をみると、抽象的な同じことのくり返し以外の何物でもないことが明らかである。たとい、申立人の主観において、国の防衛上支障があると判断したとしても、それでは足りず、その支障や国の安全への危険は、具体的に存在することが客観的に明白であることを要するのは当然である。 何度もいうように、真にそのように重大なものであるならば当然秘密に指定されていたはずであるが、形式的に秘密指定をしてないばかりか、実際の取扱も重大なものとか秘密だとかの扱いは全くされていない。現在、国(防衛庁)では秘密保全に関する訓令(昭和三三年一一月一五日防衛庁訓令第一〇二号)等によつて 形式的に秘密指定をしてないばかりか、実際の取扱も重大なものとか秘密だとかの扱いは全くされていない。現在、国(防衛庁)では秘密保全に関する訓令(昭和三三年一一月一五日防衛庁訓令第一〇二号)等によつて無数の秘密指定がなされている。その数は、日弁連の調査によれば、点数にして一六〇万件点、数にして一四万四千件にものぼる。これらの中には客観的・合理的にみると何ら秘密とされるべきでないものも多数存することがひろく指摘されているところである。本件文書はその指定さえなされていないのであるから、秘密だとか防衛上重大なる支障をきたすなどということがありうるはずがないのである。 申立人の主張は、かつて軍国主義華やかなりし頃、防諜なるものが強調され、およそ何らかの形で軍や防衛に係わるものは国・防衛のため何でも秘密だとして、国民の目や耳からおおいかくしていた時の議論をほうふつさせるものである。このような論理が日本国憲法下の国民主権の原理とあいいれる余地はなく、またたとい軍の存在を認めたとしても、それがシビリアンコントロールのもとにおかれなければならないとする当然の大前提をも没却した議論というべきである。 我々は今日、基本的人権が尊重され民主主義を尊ぶ日本国憲法の下にあり、この人権と民主主義をより徹底させようと情報公開の制度化・充実化をめざしている時代にある。申立人の主張は時代錯誤もはなはだしいといわなければならない。 五、請求者Aの意見本件情報公開請求者の一人Aは被申立人宛意見書を提出し、被申立人及び裁判所への要望を述べている。本件は情報公開条例の運用に関する事案で、本来市民の知る権利の保障を眼目として行政機関たる被申立人に情報公開が義務づけられている状況のもとで、申立人が介入してきたものであり、情報公開請求者の主張・見解を無視することはできない。 また、右意晃 市民の知る権利の保障を眼目として行政機関たる被申立人に情報公開が義務づけられている状況のもとで、申立人が介入してきたものであり、情報公開請求者の主張・見解を無視することはできない。 また、右意晃書に添付された日弁連作成の資料には、情報公開についての考え方や本件の判断にあたつて参考とされるべきものが含まれているので、これを参照することは裁判所にとつても有益と考えられる。疎乙第七号証として提出するので考慮されたい。 六、むすび-裁判所への要望本件は情報公開の義務を有する被申立人に対し、申立人がその義務の履行を差止めようとするものである。そしてその理由とするところは、再三指摘したように全く抽象的な防衛上の支障とか防衛秘密というにとどまり、大上段での国の安全云々である。 裁判所におかれては、その本来の任務にそつてぜひ厳正な法解釈を行い、決して抽象的な政治論に惑わされることのないようにしていただきたい。本件において、万一執行停止でもするようなことがあれば、裁判所が情報公開制度の本質や動向についての無知を天下にさらけだすことに等しい。法解釈の専門機関たる司法の任務をきちんとふまえ、何としてもその権威を自らおとしめることのないようにしていただきたいと考える。
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