令和6(行ケ)10042 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和7年6月24日 知的財産高等裁判所 4部 判決 請求棄却
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令和7年6月24日判決言渡令和6年(行ケ)第10042号審決取消請求事件口頭弁論終結日令和7年4月22日判決 原告株式会社ダイキエンジニアリング 同訴訟代理人弁理士市川真樹森脇正志安藤康浩 同訴訟代理人弁護士重冨貴光石津真二 被告 Y1 被告 Y2上記両名訴訟代理人弁護士角野佑子榎本辰則佐々木 孝同訴訟代理人弁理士新田研太 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 特許庁が無効2022-800084号事件について令和6年3月25日に した審決のうち、「特許第6498843号の請求項3~5に係る発明についての審判請求は、成り立たない。」との部分を取り消す。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等(当事者間に争いがないか、又は当裁判所に顕著である。) (1) 被告らは、発明の名称を「溶解炉」とする発明についての特許第6498843号(請求項の数6。以下「本件特許」という。)の特許権者であり、本件特許に係る発明について、平成27年11月12日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2015年10月13日、タイ王国)を国際出願日とする特許出願(特願2018-516074号)をし、平成31年1月22日 の手続補正書により特許請求の範囲が補正され(以下、この補正を「本件補正」という。)、同年3月2 イ王国)を国際出願日とする特許出願(特願2018-516074号)をし、平成31年1月22日 の手続補正書により特許請求の範囲が補正され(以下、この補正を「本件補正」という。)、同年3月22日に特許権の設定登録がされたものである。 (2) 原告は、令和4年10月27日、被告らを被請求人として、本件特許の請求項1から6までに係る発明についての特許を無効とすることを求める無効審判を請求し、特許庁はこれを無効2022-800084号事件として 審理を行った(以下、この無効審判請求を「本件無効審判請求」という。)。 原告は、本件無効審判請求において、本件特許の無効理由として、①本件補正による新規事項の追加(無効理由1)と②進歩性の欠如(無効理由2)を主張した。 (3) 特許庁は、令和6年3月25日、「特許第6498843号の請求項1、 2及び6に係る発明についての特許を無効とする。無効第6498843号の請求項3~5に係る発明についての審判請求は、成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄本は同年4月4日原告に送達された。 (4) 原告は、令和6年5月1日、本件審決のうち、本件特許の請求項3から 5までに係る発明に関する部分ついて、本件審決の取消しを求める本件訴え を提起した。 2 本件発明の内容(1) 特許請求の範囲の記載本件特許の特許請求の範囲の記載のうち、請求項1から6までを以下に掲げる(以下、請求項1~6のそれぞれの項番号に従って、「本件発明1」な どといい、これらを総称して「本件発明」という。)。 【請求項1】材料投入路(17)とともに蓋(16)を備える予熱部(5)と、前記予熱部(5)の下方の溶解部(6)と、バーナー(9)を上部に備える傾斜炉床 らを総称して「本件発明」という。)。 【請求項1】材料投入路(17)とともに蓋(16)を備える予熱部(5)と、前記予熱部(5)の下方の溶解部(6)と、バーナー(9)を上部に備える傾斜炉床(15)と、 前記溶解部(6)で前記バーナー(9)によって溶解された後に前記傾斜炉床(15)上を流れる溶融材料(1a)を受け入れて溶融材料(1a)の温度を上昇させる加熱部(7)と、火炎を放射する温度調整バーナー(12)を備え、溶融材料を貯留する温度調整部(3)と、 傾斜又は湾曲した底部を特徴とし、前記加熱部(7)から溶融材料(1a)を前記温度調整部(3)に流し込む接続路(2)と、前記接続路(2)を形成する隔壁(10)であって、前記加熱部(7)内の溶融材料(1a)の液面及び前記温度調整部(3)内の溶融材料(1b)の液面よりも低く位置する下縁部(13)を有する隔壁(10)と、 溶融材料の出湯口(4)と、を備え、前記温度調整部(3)は、閉システムであり、前記温度調整バーナー(12)は、前記温度調整部(3)内の酸素濃度を1%~5%又は1%未満となるよう制御される、溶解炉。 【請求項2】 溶融材料(1a)、(1b)、(1c)の液面レベルを制御又は検出して酸 化物(21a)が前記温度調整部(3)内に流れ出ることを防止するセンサー(8)を更に備え、前記センサー(8)は、前記出湯口(4)に近接して配置される、請求項1に記載の溶解炉。 【請求項3】 前記温度調整バーナー(12)は、フラットフレームバーナーである、請求項1又は2に記載の溶解炉。 【請求項4】前記温度調整部(3)は、炉壁の一部又は天井蓋(11)に設置された熱交換器(20)を更に備える、請求項1~3のいずれかに記載の溶解炉。 ナーである、請求項1又は2に記載の溶解炉。 【請求項4】前記温度調整部(3)は、炉壁の一部又は天井蓋(11)に設置された熱交換器(20)を更に備える、請求項1~3のいずれかに記載の溶解炉。 【請求項5】前記温度調整部(3)は、扉を有しない閉システムである、請求項1~4のいずれかに記載の溶解炉。 【請求項6】前記加熱部(7)には、酸化物除去扉(14a)、(14b)が設けられ る、請求項1~5のいずれかに記載の溶解炉。 (2) 本件特許に係る本件補正後の明細書及び図面(甲28。以下、併せて「本件明細書」という。)を別紙に掲げる。これによれば、本件明細書には、次のような開示があることが認められる。 ア技術分野 本件発明の分野は、機械工学及び材料科学に関し、特に、本件発明は、非鉄金属溶解炉の構成部品及び構造に関する(【0001】)。 イ背景技術一般に、金属溶解炉には、次に述べる主な3つのタイプがある(【0002】)。 (ア) 直接燃料火炎炉(directfuelfirefurnace)は、金属の予熱、金 属の溶解、及び温度制御を行うための別個の部分、ゾーン又はチャンバーを備える。この炉は、金属に直に接する火炎を使用し、多くの金属を溶解するのに適している。 (イ) 間接燃料火炎炉(indirectfuelfirefurnace)は、円筒形又は鍋形の形状を有し、昇降炉、傾動炉又は回転坩堝炉に細分化することが できる。 (ウ) 電気炉(electricalpoweredfurnace)は、電気抵抗を利用するものと電磁誘導を利用するものとを含む2つのタイプに細分化される。 ウ発明が解決しようとする課題本件発明は、従来の直接燃料火炎炉内で溶融材料を保持す edfurnace)は、電気抵抗を利用するものと電磁誘導を利用するものとを含む2つのタイプに細分化される。 ウ発明が解決しようとする課題本件発明は、従来の直接燃料火炎炉内で溶融材料を保持する温度調整 部又は保持部内において、除去及び清掃が困難であり、かつ、溶融材料の全収率に悪影響を与え得る酸化アルミニウム等の金属酸化物の蓄積に関する問題を解決するのに役立つことができる(【0003】)。 従来の溶解炉の構成部品及び構造は、バーナーによって溶解された溶融材料が、斜面に接続された温度調整部に流れ込み、温度調整部内で酸 化物と混合する可能性があり、確かな欠点を有する。溶融材料は、温度調整部内において高温下に維持されるので、温度調整部内の空気との酸化反応を起こす可能性があり、それにより、温度調整部内で集塊を形成して増大し得る酸化物が生成される可能性がある。したがって、従来の溶解炉の使用者は、扉を開くことによって、温度調整部を常に清掃する ことが必要である。しかしながら、清掃プロセスは高温下で行われるので、温度調整部からの酸化物の完全な除去は、多くの場合に困難かつ複雑な作業となる。さらに、長時間除去されず高温下にあった酸化物は、コランダム(Al2O3)又は他の形態の結晶化物質に結晶化する場合があり、これは、溶解炉の内壁又は内面に強固に付着する。上述した酸化 物は、溶解炉の内壁から上記酸化物の欠片が溶融材料に混入し、これに より、鋳造又は成形された製品にハードスポットを生じさせ、最終製品の強度を低下させることを含む問題の根本的な原因である。さらに、酸化物は、温度調整部の内壁で増大し、これにより、温度調整部内の空間を低減させ、温度調整部内の絶縁層を変化又は劣化させ、その後、外部環境への熱漏出を引き起こす 含む問題の根本的な原因である。さらに、酸化物は、温度調整部の内壁で増大し、これにより、温度調整部内の空間を低減させ、温度調整部内の絶縁層を変化又は劣化させ、その後、外部環境への熱漏出を引き起こす可能性がある。したがって、製品の品質を 向上するためには、溶解炉は、生産時の酸化物の生成又は排出量を最小限にする必要がある(【0004】)。 上述した酸化物の蓄積によって生じる問題については、従来の発明には、例えば、溶解部から温度調整部までを連結する傾斜炉床又は斜面状炉床の間に隔壁を設けることにより、酸化物蓄積の問題を解決すること を意図したものがある。隔壁は、温度調整部及び傾斜炉床内の溶融材料よりも低い高さにおける接続路を形成し、これにより、金属酸化物が温度調整部に流れ込むことを防止する。しかしながら、この発明は、温度調整部の半分未満のサイズであるとともに上記温度調整部及び接続路よりも低い床高さを有する溶融金属処理部を含み、これにより、溶解炉の 構成部品数が増加するため、システムの複雑性が高まり得る(【0005】)。 上記の従来技術は、システムにおける酸化物の生成量を低減するために、溶解炉の構成部品若しくは構造を改良すること、又は、ガスの量若しくは化学プロセスを制御する手段を提供することを意図したものであ る。しかしながら、従来技術では、加熱板、扉又は隔壁等の複雑な構成部品を溶解炉システムに導入することをせずに、溶解炉からの酸化物の排除に関してアルミニウム炉等の産業用の非鉄金属炉の効率を改善する能力を有する発明は、依然として存在していない(【0006】)。 エ本件発明の概要 本件発明に係る溶解炉は、アルミニウム等の非鉄金属を溶解するととも に、後続の鋳造のためにその溶融材料を貯留するための して存在していない(【0006】)。 エ本件発明の概要 本件発明に係る溶解炉は、アルミニウム等の非鉄金属を溶解するととも に、後続の鋳造のためにその溶融材料を貯留するための温度調整部を特徴とする。本件発明は、温度調整部内で生成される酸化物の量を低減し、ひいてはアルミニウム又は非鉄金属の品質を向上させるのに役立つ。本件発明は、溶融材料の液面に浮かぶ酸化生成物に対する保護を提供する。 溶解炉の溶解部における溶融材料は、センサー又は溶融材料検出装置を 用いて溶融材料の液面レベルを制御することによって、隔壁の底縁部の下に沈み、接続路を通って温度調整部に流れる。本件発明は、温度調整部の天井部の一部において、火炎を保持する温度調整バーナーを更に用いて、溶融したアルミニウムと温度調整部内のガスとの反応を防止するとともに、温度調整部内の酸素濃度を制御して下げ、溶融材料から酸化 物が生成される可能性を回避する(【0008】)。 3 本件補正の内容等(1) 被告らは、本件特許に係る特許権の設定登録前の平成31年1月22日付けで手続補正書(甲46)を提出し、請求項1に「前記温度調整部(3)は、閉システムであり、」との事項を追加する補正を行った(本件補正)。 (2) 本件特許に係る出願当初の明細書及び図面(甲2。以下、併せて「当初明細書」という。)の段落【0010】、【0011】及び【0013】には、温度調整部に関し、以下の記載がある。なお、これらの記載中の図は、別紙に掲げた図のとおりであるが、このうち、図1から4までを以下に再掲する。 【0010】 図1は、本発明に係る溶解炉の1つの実施形態の平面図を示しており、溶解炉は、図2の断面図C、図3の断面図A及び図4の断面図Bに示される種々の構成部品を備え 以下に再掲する。 【0010】 図1は、本発明に係る溶解炉の1つの実施形態の平面図を示しており、溶解炉は、図2の断面図C、図3の断面図A及び図4の断面図Bに示される種々の構成部品を備える。溶解炉は、材料投入路17及び蓋16を備え、材料は、材料投入路17内に投入されると、加熱部5内に移動される。加熱部5の下方には、溶解部6及び傾斜炉床15がある。傾斜炉床15の上側には、 加熱部5の上部に配置されるバーナー9が備えられる。材料は、溶解部6内 でバーナー9の火炎の熱によって溶解され、その後、傾斜炉床15上を下方に流れ、溶融材料加熱部7に入る。溶融材料加熱部7は、溶融材料1aの温度を維持及び上昇させるために使用され、酸化物除去扉14a、14bを備える。溶融材料加熱部7は、温度調整部3に溶融材料1aを流し込むための接続路2を更に備える。温度調整部3は、溶融材料1cが出湯口4を通って 溶解炉を出る前に溶融材料1bを保持することができる。本発明に係る溶解炉は、特に温度調整部3を備え、温度調整部3は、溶融材料1aを受け入れるための接続路2と、溶融材料1cを放出するための出湯口4とを含む。接続路2は、加熱部5の下部、溶解部6、傾斜炉床15及び溶融材料加熱部7に更に接続する。 【0011】接続路2により、一般に、溶解部6及び溶融材料加熱部7から温度調整部3内に移動する溶融材料1aの上に浮かぶ酸化生成物21aから溶解炉を保護することができる。接続路2は、隔壁10の下縁部13の下に位置し、温度調整部3に通じる。接続路2の下底部は、溶融材料加熱部7の表面でも あり、下縁部13の位置よりも低く没する傾斜面で特徴付けられる。溶融材料の検出器又はセンサー8は、出湯口4に近接して又は溶解炉の任意の部分に配置される。検 底部は、溶融材料加熱部7の表面でも あり、下縁部13の位置よりも低く没する傾斜面で特徴付けられる。溶融材料の検出器又はセンサー8は、出湯口4に近接して又は溶解炉の任意の部分に配置される。検出器8は、最上液面レベルを有効に検出し、ひいては、溶融材料1cを出湯口4から汲み出すまたは放出させずに隔壁10の下縁部13を上回る溶融材料1a、1b、1cの高さを維持することができ、した がって、材料加熱部7からの酸化物21aが温度調整部3内の溶融材料1bに混じることがない。 【0013】従来の温度調整部3は、定期的に清掃する必要があり、したがって、図6に示すような溶解炉から金属酸化物を除去するための温度調整扉24を必 要とするが、これとは異なり、本発明は、温度調整扉24の設置を必要とせ ず、代わりに、フラットフレーム式の温度調整バーナー12を使用する。温度調整バーナー12は、溶解炉内の酸素の量を制御することができるとともに、検出器又はセンサーを更に備え、各部内の溶融材料を測定して、生成される酸化物の量を低減する。上述したこのような構成は、溶解炉の重量を低減すると同時に、エネルギー消費及び溶解炉の清掃のための人員を削減する ことができる。 4 甲第3号証の1に記載された発明について(1) 記載された技術的事項 甲第3号証の1は、原告が本件無効審判請求において無効理由2(進歩性 の欠如)の主引用例としたタワー型非鉄金属溶解保持炉「TERRAPACMELT」についての平成9年5月現在の株式会社大紀アルミニウム工業所作成のカタログであり、これには以下の記載がある。 ア 1枚目中央には、以下の外観写真がある。 イ 1枚目下部には、以下の記載がある。 「 リジェネレーティ 式会社大紀アルミニウム工業所作成のカタログであり、これには以下の記載がある。 ア 1枚目中央には、以下の外観写真がある。 イ 1枚目下部には、以下の記載がある。 「 リジェネレーティブバーナの自己完結型排熱回収機能により、タワー内材料の量や形状によらず常にベストの溶解効率を維持します。 1 高効率世界最高水準の溶解燃費(アルミニウム溶解原単位40万kcal/ton 以下)。 当社比50%減の保持燃費(アルミニウム700℃保温時2万kcal/h・ton)。 2 高品質炉内O2濃度制御により、非金属介在物の生成を抑制し歩留が向上します。 強循環伝熱で溶湯温度のムラが無く、温度設定値±5℃を キープします。 3 好環境低い燃焼騒音と排ガス温度により作業環境を一気に改善できます。 屋内排気を前提に排ガス中のCO-NOx排出レベルを低減しています。 4 保全性均一な炉内温度分布により炉壁酸化物の堆積を抑制、オバケ対策も万全です。 ワンタッチ点火で面倒な燃焼調整を全自動化、遠隔監視にも対応可能です。」ウ 2枚目(「TERRAPACMELT」の主な仕様)には、以下の 図面及び記載がある。なお、図面中の矢印は、原告が本件無効審判請求において甲第3号証の1を証拠提出した際に付したものである。 【図面】 【記載】 ・「本カタログの記載内容は1997年5月現在のものです。」・「本商品は『エネルギー需給構造改革投資促進税制』の優遇措置対象設備ですので、特別償却または税額控除を受けることができます。」(2) 本件審決が認定した引用発明本件審決は、甲第3号証の1には、以下の発明(以下「甲3発 給構造改革投資促進税制』の優遇措置対象設備ですので、特別償却または税額控除を受けることができます。」(2) 本件審決が認定した引用発明本件審決は、甲第3号証の1には、以下の発明(以下「甲3発明」とい う。)が記載されていると認定した。 「 上端に材料投入口を有し、炉壁の上部に予熱ゾーン測温孔を有し、前記材料投入口は投入口開閉ダンパーにより、開閉可能となっている材料ストックゾーンと、前記材料ストックゾーンとその下方で連通する溶解室と、 前記溶解室の側方の扉と、前記溶解室の上部の溶解バーナーと、前記溶解室の底部と、前記溶解バーナーに対向し、上部より下部が緩やかに傾斜した炉床と、保持バーナーを側壁に備える保持室と、 前記保持室の側方の扉と、前記溶解室の底部から前記保持室に向けて傾斜している炉床と、前記溶解室と前記保持室とを互いに離隔する第1の炉壁と、前記第1の炉壁の下方で前記溶解室と前記保持室とを繋ぐ第1の通路と、溶湯レベルセンサーを備え、溶融した材料(非鉄金属)を汲み出す汲み出 し口と、前記保持室と前記汲み出し口とを互いに離隔する第2の炉壁と、前記第2の炉壁の下方で前記保持室と前記汲み出し口とを繋ぐ第2の通路と、 を備えるタワー型非鉄金属溶解保持炉。」 5 本件審決の理由の要旨本件審決は、無効理由1(本件補正による新規事項追加)については、本件補正は、当初明細書又は出願当初の特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてしたものであるから、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たし、無効とすべきものとはいえないが、無効理由2(甲3発明を主引用 例とする進歩性欠如)については、本件発明1、2、6につい においてしたものであるから、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たし、無効とすべきものとはいえないが、無効理由2(甲3発明を主引用 例とする進歩性欠如)については、本件発明1、2、6についての特許は、甲3発明並びに審判甲第11号証から第15号証まで(当審での甲11~15)に記載された技術事項及び本件特許の優先日(以下「本件優先日」という。)当時の技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから、同法1 23条1項2号に該当し無効とするべきものであり、その一方で、本件発明3から5までについての特許は、甲3発明並びに審判甲第11号証から第15号証までに記載された技術事項及び本件優先日当時の技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、無効とすることはできないとした。後記の取消事由に関連する本件審決の判断の要旨は、 以下のとおりである。 (1) 無効理由1について当初明細書の記載によれば、本件発明が解決しようとする課題は、「温度調整部内で生成される酸化物の量を低減すること」であると認められる。 また、「閉システム」については、本件特許に係る出願当初の請求項5に、 「前記温度調整部(3)は、扉を有しない閉システムであり、」との記載があるのみで、当初明細書には、「閉システム」との記載はないが、被告らが主張するところからすると、「閉システム」の技術的意味は、「温度調整部内に外部から燃焼ガスや外気などのガスが流れ込まない構造」であると認められる。そして、当初明細書の記載によれば、「温度調整部3」と「溶融材料 加熱部7(加熱部7)」との間の隔壁の下縁部より下の「接続路2」、及び、 「温度調整部3」と「出 であると認められる。そして、当初明細書の記載によれば、「温度調整部3」と「溶融材料 加熱部7(加熱部7)」との間の隔壁の下縁部より下の「接続路2」、及び、 「温度調整部3」と「出湯口4」との間の隔壁の下縁部より下の部分は、常に溶融材料で満たされることになるから、ここから、温度調整部内に燃焼ガスや外気が流れ込むことはなく、他に、「温度調整部3」内に燃焼ガスや外気が流れ込む開口や空隙は認められないから、当初明細書には、「温度調整部内に外部から燃焼ガスや外気などのガスが流れ込まない構造」、すなわち、 「閉システム」が記載されていると認められる。 また、温度調整部が閉システムであれば、温度調整部外から酸素が温度調整部内に流入することを抑制でき、上記課題を解決し得るものである。そうすると、温度調整部が扉を有するか否かは、本件発明の課題の解決とは関係がなく、温度調整部の扉は任意付加的な事項である。 よって、「閉システム」について「扉を有しない」との特定がされていない「前記温度調整部(3)は、閉システムであり、」との事項を本件特許の請求項1に追加する本件補正は、当初明細書又は出願当初の特許請求の範囲の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。 (2) 本件発明3に関する無効理由2についてア本件発明3と甲3発明とを対比すると、以下の相違点7において相違する。 <相違点7>「バーナー(12)」が、本件発明3では、「フラットフレームバーナー」 であるのに対し、甲3発明では、「フラットフレームバーナー」であるのか不明である点。 イ甲第3号証の1に、「リジェネレーティブバーナの自己完結型排熱回収機能により、タワー内材料の量や形状によ であるのに対し、甲3発明では、「フラットフレームバーナー」であるのか不明である点。 イ甲第3号証の1に、「リジェネレーティブバーナの自己完結型排熱回収機能により、タワー内材料の量や形状によらず常にベストの溶解効率を維持します。」と記載されるように、甲3発明は、溶解バーナーと保持 バーナーが、「リジェネレーティブバーナ」であることを前提とするもの であるから、これらを「フラットフレームバーナー」に変更する動機があるとはいえない。 また、フラットフレームバーナーの火炎はバーナーの軸線に対して垂直な方向に薄く広がるので、仮に、甲3発明の保持バーナーを「フラットフレームバーナー」に変更すると、保持バーナーは溶解室と保持室を隔 離する炉壁に近接して設置されているため、火炎が同炉壁に直接当たるおそれがある。そうすると、同炉壁が損耗する可能性があるから、甲3発明の保持バーナーを「フラットフレームバーナー」に変更することには、阻害要因があると認められる。 よって、甲3発明の保持バーナーをフラットフレームバーナーに変更 することは、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。 (3) 本件発明4に関する無効理由2についてア本件発明4と甲3発明とを対比すると、以下の相違点8において相違する。 <相違点8> 「溶融材料を貯留する部位(部位B)〔本件審決38頁(参考図1)、下記参照〕」が、本件発明4では、「炉壁の一部又は天井蓋(11)に設置された熱交換器(20)を更に備える」のに対し、甲3発明では、保持室に「熱交換器」を更に備えているか不明である点。 (本件審決38頁参考図1)イ甲3発明は、溶解バーナーと保持バーナーが、「リジェネレーティブバーナ」であることを前提とするものであ 室に「熱交換器」を更に備えているか不明である点。 (本件審決38頁参考図1)イ甲3発明は、溶解バーナーと保持バーナーが、「リジェネレーティブバーナ」であることを前提とするものである。そして、リジェネレーティブバーナーは、排ガスを吸引し蓄熱体で熱交換を行って空気を予熱する機能を有するものである。そうすると、甲3発明のタワー型非鉄金 属溶解保持炉は、元々熱交換器を有するものであるから、この熱交換器に追加して、「炉壁の一部又は天井蓋(11)に設置された熱交換器(20)を更に備える」ことが、動機付けられるとはいえない。 よって、甲3発明において、保持室の炉壁の一部又は天井蓋(11)に設置された熱交換器(20)を更に備えることは、当業者が容易に想 到し得ることであるとはいえない。 (4) 本件発明5に関する無効理由2についてア本件発明5と甲3発明とを対比すると、以下の相違点9において相違する。 <相違点9> 「閉システム」である「溶融材料を貯留する部位(部位B)」が、本件発明5では、「扉を有しない」のに対し、甲3発明では、「扉」を有する点。 イ甲3発明の保持室の側方の扉は、保持室内の溶融非鉄金属中を浮遊する 酸化非鉄金属の除去や溶融非鉄金属のフラックス処理の際に使用されるものである。そうすると、上記の使用目的を無視して、甲3発明の保持室の側方の扉を有しないようにすることが動機付けられるとはいえない。 また、甲3発明の保持室の側方の扉を有しないようにすることよって、扉の使用目的である、保持室内の溶融非鉄金属中を浮遊する酸化非鉄金 属の除去や溶融非鉄金属のフラックス処理を行えなくなるから、扉を有しないようにすることには、阻害要因があると認められる。 よって、甲3発明において保 室内の溶融非鉄金属中を浮遊する酸化非鉄金 属の除去や溶融非鉄金属のフラックス処理を行えなくなるから、扉を有しないようにすることには、阻害要因があると認められる。 よって、甲3発明において保持室の側方の扉を有しないようにすることは、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。 6 取消事由 (1) 取消事由1(本件発明3に係る進歩性に関する判断の誤り)(2) 取消事由2(本件発明4に係る進歩性に関する判断の誤り)(3) 取消事由3(本件発明5に係る進歩性に関する判断の誤り)(4) 取消事由4(新規事項追加に関する判断の誤り)第3 取消事由に関する当事者の主張 1 取消事由1(本件発明3に係る進歩性に関する判断の誤り)について【原告の主張】(1) 本件発明の本質としての炉の全体構造本件明細書・図面及び出願経過を通覧するに、溶解バーナー及び温度調整バーナーを備えたタワー型の溶解保持炉において、溶解室にアルミ溶湯溜 めを有し、隔壁の下部が、常にアルミ溶湯面よりも下に存在する(隠れた)連通トンネルを有する構造を採用することにより、溶解室で生成された酸化物が保持室へ流入しないように堰き止めるという炉の全体構造が本件発明の本質である。そのような構造は、本件審決により、本件優先日である平成27年10月13日よりも18年以上前の平成9年(1997年)5月に発売 された甲第3号証の1記載のタワー型非鉄金属溶解保持炉(甲3発明)に基 づき進歩性が欠如しているとして無効とされている。本件発明3は、上記全体構造を前提に、温度調整バーナーに使用可能なバーナーとして、単に「フラットフレームバーナー」(薄く円盤状に広がる平面炎により近接加熱を行うもの)を採用したということにすぎない。 そして、 上記全体構造を前提に、温度調整バーナーに使用可能なバーナーとして、単に「フラットフレームバーナー」(薄く円盤状に広がる平面炎により近接加熱を行うもの)を採用したということにすぎない。 そして、当業者にとって、平成9年に公知となっていた甲3発明の保持 バーナーに替えて、フラットフレームバーナーを用いる動機付けはあり、かつ、当然のことながら阻害要因はなかったものである。 (2) 動機付けがあることア米国フィブスノースアメリカン社(以下「本件米国会社」という。)は、「あらゆる炉に対応する」ものとして、性能の優れたフラットフレーム バーナーを平成12年(2000年)に販売し、その後遅くとも平成21年(2009年)3月の時点において日本国内で広く展開していた。 このため、日本では、本件優先日までの間にフラットフレームバーナーが広く知られていた。本件米国会社は、ガス、オイルバーナーの先駆的専門メーカーとして米国最高の地位にあり、特に、工業炉用バーナーの 優秀性は世界的に認められている会社であるから、当業者にとってフラットフレームバーナーを炉に採用することの強い動機付けになる。 イそして、本件米国会社のフラットフレームバーナーには、①均一な温度分布が得られる、②急速な加熱が出来る、③炉体が非常にコンパクトになる、④耐久力が抜群である、⑤特殊な炉にも可能である、⑥ノズル先 混合燃焼方式である、⑦あらゆる炉に適応する、という利点がある。また、フラットフレームバーナーは平面炎であることから、火炎が溶融非鉄金属の溶湯面に当たって溶湯面に生じた酸化膜が破壊されることはなく、ガス吸収や酸化の進行・鋳物の特性を著しく阻害する等といった、溶湯品質に関わる問題が生じない。それゆえ、フラットフレームバー ナーを採用すれば酸化堆 湯面に生じた酸化膜が破壊されることはなく、ガス吸収や酸化の進行・鋳物の特性を著しく阻害する等といった、溶湯品質に関わる問題が生じない。それゆえ、フラットフレームバー ナーを採用すれば酸化堆積物の清掃作業も減少する。さらに、低NOx で、蓄熱体を内部に有さないことから構造は複雑ではなく、かつ、炉体表面温度もリジェネレーティブバーナーほど高温にならない、耐久性も抜群であり費用も安いといった利点もあった。また、本件優先日前に、フラットフレームバーナーの用途として、アルミ溶解の保持バーナーがあることも知られていた。 ウこれに対し、リジェネレーティブバーナーには、①シングル型のリジェネレーティブバーナーに内蔵された蓄熱体の構造上、適正な正圧(+圧力)となるように、燃焼空気量と排気空気量の制御を行う必要があったため、かかる制御も含めてバーナーの構造が非常に複雑になる、②長炎を放射するバーナーであるため、火炎が当たる部分が局所的に加熱され る、③火炎が溶融非鉄金属の溶湯面に当たることによって、溶湯面に生じた酸化膜が破壊されることがあり、新鮮な溶湯が露出し、ガス吸収や酸化が進行するだけではなく、皮膜の破片が溶湯中に混入することによって非金属介在物となって、鋳物の特性を著しく阻害する等といった、溶湯品質に関わる問題が生じる場合がある、④かようなリジェネレー ティブバーナーの特性から、火炎とアルミ溶湯面の距離・配置に配慮する必要があった、⑤リジェネレーティブバーナーは価格・ランニングコストも高額であった等の問題があった。 エ以上のように、フラットフレームバーナーは、アルミ溶解炉の業界において、当業者が常に追求してきた省エネ及びアルミ酸化物抑制といった 命題(課題・目的)を達成するために、リジェネレーティ エ以上のように、フラットフレームバーナーは、アルミ溶解炉の業界において、当業者が常に追求してきた省エネ及びアルミ酸化物抑制といった 命題(課題・目的)を達成するために、リジェネレーティブバーナーと比較してより良いバーナーであった。リジェネレーティブバーナーは、甲3発明がなされた当初は省エネ効果が高いとして注目され採用されたものの、18年以上を経過した平成27年(2015年)10月13日(本件優先日)時点までの間に、運用していく中で上記①ないし⑤の欠 点があることがより一層明らかとなった一方で、フラットフレームバー ナーは、アルミ溶湯の保持バーナーとして用いることで上述の利点を有することが当業者に認知され、広く使われるようになった。かような経緯に照らせば、本件優先日時点において、甲3発明のリジェネレーティブバーナーをフラットフレームバーナーに変える動機付けが醸成されていたことは明らかである。 (3) 阻害要因がないこと本件審決は、甲3発明の保持バーナーを「フラットフレームバーナー」に変更すると、火炎が炉壁に直接当たり、炉壁が損耗する可能性があるから、変更することには、阻害要因があるとした。 しかし、甲3発明は、炉壁に火炎が当たる構造を想定しており、かつ、 炉壁に火炎が当たったとしても炉壁が損耗しない(高温に耐え得る)ように設計されている。すなわち、甲第3号証の1に記載される溶解保持炉において、溶解バーナーにより溶解された金属、すなわち、溶融した非鉄金属は高温である上、保持バーナーによって当該高温が維持されていると理解されるから、溶解保持炉の性質上、かような高温に耐え得る材質にて、炉壁・底面 が構成されていることは明らかである。 さらに、主引用発明に副引用発明又は周知技術等を適用する 維持されていると理解されるから、溶解保持炉の性質上、かような高温に耐え得る材質にて、炉壁・底面 が構成されていることは明らかである。 さらに、主引用発明に副引用発明又は周知技術等を適用する場合、当該適用に当たり、構成を完全にそのまま入れ替えるものではないから、フラットフレームバーナーの加熱が最適となるように位置などを調整を行うことは、当然行われることである。保持室にフラットフレームバーナーを設置するの であれば、アルミ溶湯の表面に対して平面炎が平行となるように天井部に設置されるのが理にかなった設置方法であり、これは当業者の共通認識であるから、側壁に設置することを前提に阻害事由があるとした本件審決の認定は、技術的な理解を誤ったものである。 (4) 顕著な効果がないこと ア 「閉システム」かつフラットフレームバーナーを採用した場合の酸化物 発生・堆積抑制効果及びそれに伴った清掃人員削減が認められるであろうことは、当業者にとって明らかであり、本件発明の効果は何ら顕著なものでない。「閉システム」ではない構造では、溶解室と保持室との間の貫通口又は隙間を通して保持室内へ酸素流入があり得るため、かような酸素流入のない「閉システム」の方がより酸化物発生・堆積を抑制でき ることは本件優先日当時の当業者にとって明らかであった。そして、酸化物発生・堆積が抑制されれば、それに伴って酸化堆積物の清掃作業も減少することは当然の帰結であり、このことも本件優先日当時の当業者にとって明らかであった。 イ被告らは、いずれも本件優先日(平成27年10月13日)より後の データである甲第26号証(平成30年11月の文献)及び乙第7号証(令和3年12月21日付けの実験結果を記載した書面)を根拠に、従来にはない顕著な効果がある 平成27年10月13日)より後の データである甲第26号証(平成30年11月の文献)及び乙第7号証(令和3年12月21日付けの実験結果を記載した書面)を根拠に、従来にはない顕著な効果があると主張している。 しかしながら、本件明細書には、あくまで「定期的な清掃」が必要であった従来のものと比較して、「溶解炉の清掃のための人員を削減するこ とができる。」とのみ記載されているのであって、「酸化物の発生を抑制する効果が飛躍的に向上しており、7か月以上、更には18か月以上の長期間にわたり温度調整部(保持室)において酸化物を除去する清掃作業が不要となるという効果を奏する」といった具体的な記載・データの裏付けには何ら言及されていないばかりか、そのように清掃作業が長期 間不要となることを示す記載すらない。本件優先日より後のデータである前記各書証を参酌することは許されない。 【被告らの主張】(1) リジェネレーティブバーナーと閉システムの同時採用原告は、本件発明の本質は、溶解室で生成された酸化物が保持室へ流入 しないように堰き止めるという炉の全体構造であると主張するが、本件発明 は、原告主張の炉の全体構造に加えて、温度調整部(保持室)が閉システム(温度調整部内に外部から燃焼ガスや外気等のガスが流れ込まない構造)であることもその本質である。本件発明と異なり、溶解保持炉にリジェネレーティブバーナーを採用する場合、自己完結型排熱回収機能付のバーナーであるため、溶解室と保持室とを隔壁によって完全に仕切ることにより、溶解用 のリジェネレーティブバーナーと保持用のリジェネレーティブバーナーとを隔壁で分離独立させる必要があり、その性質上、保持室の閉システムも併せて採用することが本件優先日当時の技術常識である。そうしなけ のリジェネレーティブバーナーと保持用のリジェネレーティブバーナーとを隔壁で分離独立させる必要があり、その性質上、保持室の閉システムも併せて採用することが本件優先日当時の技術常識である。そうしなければ、溶解室内の燃焼ガスが保持室に流入するあるいは保持室内の燃焼ガスが溶解室に流入するといったガスの混入が生じやすくなる。甲3発明も、バーナーにリ ジェネレーティブバーナーを採用したために、保持室を隔壁によって溶解室と完全に仕切った閉システムにしているのである。 そして、保持室の保持バーナーを自己完結型排熱回収機能付のリジュネレーティブバーナーから自己完結型排熱回収機能のないフラットフレームバーナーに変更した上で、かつ、保持室に閉システムを同時に採用すること、 は当業者が容易に想到し得なかった。溶解保持炉において、閉システムにするなどして酸化物の発生を抑制することは、重要視される課題の一つであるが、省エネルギーの実現は、それ以上に地球温暖化防止やエネルギーの安定供給等の問題に対して取り組むべき最重要課題である。そのため、従来の溶解保持炉においては、保持バーナーの排熱を有効活用するために保持バー ナーから排出された燃焼ガスを保持室から溶解室に流入させることが、当業者に一般的に知られた技術常識であった。さらに、閉システムにして、排熱回収のため、保持室に熱交換器を設置すると、配管等も含めて部品点数が増え、保持室の構造が複雑化する上、熱交換器の設置のためのイニシャルコスト、更には熱交換器の点検、修理、交換のためのメンテナンスコストがかか る。こうした点を鑑みれば、溶解保持炉においては、本件発明3のように保 持室の清掃が長期間にわたって不要になる等の特段の理由がなければ、保持室を閉システムにする動機はない。実際、甲 る。こうした点を鑑みれば、溶解保持炉においては、本件発明3のように保 持室の清掃が長期間にわたって不要になる等の特段の理由がなければ、保持室を閉システムにする動機はない。実際、甲3発明(平成9年5月)から本件優先日までの間において、保持室を閉システムにしかつ保持バーナーに自己完結型排熱回収機能のない通常のバーナーを採用した溶解保持炉の事例は見当たらない。 よって、本件発明3の本質である、温度調整部(保持室)が閉システムである上で、かつ、温度調整部(保持室)の温度調整バーナー(保持バーナー)がフラットフレームバーナーであることは、当業者が容易に想到し得るものではないから、本件発明3は甲3発明等に基づいて容易に発明し得るものではない。 (2) 動機付けがないことアフラットフレームバーナーは、甲3発明(平成9年5月)より前の昭和50年(1975年)9月ないし平成3年(1991年)10月には製造販売されており、その頃から既に日本国内で十分に広く展開されていた。甲3発明以後に本件米国会社のフラットフレームバーナーが画期的 なものとして当業者に認識され、これに追随してフラットフレームバーナーが展開されたという事実はなく、平成9年前後において、フラットフレームバーナーの性能や用途は大きく変化していない。よって、甲3発明は、フラットフレームバーナーも選択肢にあったにもかかわらず、リジェネレーティブバーナーを保持バーナーとして採用したものであっ て、フラットフレームバーナーが紹介されていなかったために技術的課題のあるリジェネレーティブバーナーを採用せざるを得なかったとの原告の主張は、その前提を欠く。 イそして、甲3発明は、高い省エネルギー率(CO₂の低減)やNOxの低減を可能にするリジェネレ 的課題のあるリジェネレーティブバーナーを採用せざるを得なかったとの原告の主張は、その前提を欠く。 イそして、甲3発明は、高い省エネルギー率(CO₂の低減)やNOxの低減を可能にするリジェネレーティブバーナーを採用することで、「1 高効率」「3 好環境」という優れた効果を発揮している。リジェネレー ティブバーナーのような長炎を噴射するロングフレームバーナーは、タワー型非鉄金属溶解保持炉の保持室内のアルミ溶湯の加熱に際し、長炎がアルミ溶湯表面の酸化皮膜を突き破ってアルミ溶湯を直接加熱するため、アルミ溶湯を内部から効率よく加熱でき、アルミ溶湯を素早く昇温できる。 一方で、フラットフレームバーナーは、薄く円盤状に広がる平面炎により近接加熱を行うものであり、保持室内のアルミ溶湯の加熱に際し、平面炎によりアルミ溶湯の表面を均一に加熱する。火炎の長さが短いために火炎が保持室の炉床に当たらず、火炎の放射熱で保持室を加熱することになるため、炉床の昇温に長い時間がかかり、多大なエネルギーを 必要とする。 このように、保持バーナーにフラットフレームバーナーを用いるよりもロングフレームバーナーを用いる方が、高い省エネルギー効果を実現できることは、当業者において常識である。 ウリジェネレーティブバーナーに関しては、1990年代初めに熱回収率 を高めてもNOx発生量が増えない燃焼方法が日本で発見されたことから、平成5年(1993年)に当時の通商産業省及び国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトに採択されて産・官・学の共同で積極的に研究開発が進められてきた。また、平成4年(1992年)の地球サミットや平成9年(1997年)の気 候変動枠組条約締約国会議にも後押しされて、従 ジェクトに採択されて産・官・学の共同で積極的に研究開発が進められてきた。また、平成4年(1992年)の地球サミットや平成9年(1997年)の気 候変動枠組条約締約国会議にも後押しされて、従来方式の工業炉に比べて30%以上の省エネルギーの効果と、50%以上のNOx低減を可能とする「高性能工業炉」の開発に成功し、実用化が急速に進み、導入炉基数も少なくとも平成23年(2011年)には国内で約1300基に達するほどの増加傾向にあり、令和2年(2020年)に至っては、リ ジェネレーティブバーナーは「日本の誇る『低炭素技術』」と評価される までになった。実際の製品を見ても、リジェネレーティブバーナーは一貫してその省エネルギー率及びNOx低減効果を謳っており、当業者が長年にわたりこの効果を重視し、実用に供されてきていることが分かる。 また、上記プロジェクトの推進によりリジェネレーティブバーナーを採用した工業炉が「エネルギー需要構造改革投資促進税制」の優遇措置対 象設備の対象となり、補助金の対象にもなっていたため、当業者は積極的にタワー型非鉄金属溶解保持炉にリジェネレーティブバーナーを採用していた。甲3発明についても、「エネルギー需要構造改革投資促進税制」の優遇措置対象設備となっている。 エ他方で、ロングフレームバーナーを保持バーナーに採用するタワー型非 鉄金属溶解保持炉では、保持室内のアルミ溶湯の加熱に際して、アルミ溶湯表面の酸化皮膜を破壊するため、アルミ酸化ロスの増加や、保持室について少なくとも1日1回~3回程度、酸化物除去のために清掃作業が必要であるといった問題が生じていた。 しかし、本件優先日時点における技術常識では、かかるアルミ酸化ロ スの増加について定量的に数値化されておらず、保持室の清掃が必 化物除去のために清掃作業が必要であるといった問題が生じていた。 しかし、本件優先日時点における技術常識では、かかるアルミ酸化ロ スの増加について定量的に数値化されておらず、保持室の清掃が必要であるという点も当業者にとっては常識とされていた。そのため、本件優先日時点においては、上記のロングフレームバーナーの高い省エネルギー効果が重視され、保持バーナーにリジェネレーティブバーナー又はリジェネレーティブバーナー以外のロングフレームバーナーを採用する ことが当業者にとっては技術常識であり、フラットフレームバーナーを採用するということは当業者においてはほとんど考えられていなかった。 実際、本件優先日前に、保持バーナーとしてフラットフレームバーナーを採用したアルミ溶解保持炉は知られておらず、甲3発明においても、リジェネレーティブバーナーを採用した上で、「4 保全性」の効果があ るものとされており(甲3の1)、当業者は、甲3発明のタワー型非鉄金 属溶解保持炉は、フラットフレームバーナーを採用せずとも、非鉄金属の酸化物の堆積を相当程度抑えることができるものとして認識していたといえる。 なお、その後の被告Y1らの研究成果(甲26、乙7)によって、タワー型非鉄金属溶解保持炉の保持バーナーにフラットフレームバーナー を採用した場合に、溶湯品質を保ちつつ、通常必要とされていた保持室内の清掃が7か月以上、更には18か月以上の長期間にわたって不要になるという効果が得られることが当業者において初めて認知され、この時点になってフラットフレームバーナーを用いる動機付けが生まれたのである。 (3) 阻害要因があること仮に、原告が主張するように、フラットフレームバーナーへの変更の際に更にその位置も調整するのであれば、甲3 レームバーナーを用いる動機付けが生まれたのである。 (3) 阻害要因があること仮に、原告が主張するように、フラットフレームバーナーへの変更の際に更にその位置も調整するのであれば、甲3発明の構造自体を相当変更する必要があるのであって、もはやそれは「調整」の範囲を超えているというべきである。よって、当業者にとって、本件優先日時点において、甲3発明の 保持バーナーをフラットフレームバーナーに変更することには阻害要因があった。 (4) 顕著な効果があることア本件発明3では、炉の清掃のための人員を削減することができる程度にまで酸化物の発生を抑制する効果が飛躍的に向上しており、7か月以上、 更には18か月以上の長期間にわたり温度調整部(保持室)において酸化物を除去する清掃作業が不要となるという効果を奏する(甲26、乙7)。従来の溶解保持炉では、保持室の清掃が必要であることは当業者にとって常識であり、甲第7、18、52号証等をみても、温度調整部の清掃を長期間にわたって不要にできることは、記載も示唆もされていな い。温度調整部(保持室)における清掃作業は高温下の環境で行われる 過酷な作業であり、従来ではこの過酷な清掃作業を一日に1回から3回も作業者に強いていたことに鑑みれば、本件発明3の効果は、作業者にかかる過度な負担を大幅に軽減できる、従来にはない顕著な効果である。 イ他方、原告は、被告らが前提とする甲第26号証の文献や乙第7号証の実験結果は、いずれも本件優先日より後のデータであり、およそ参酌さ れるものではないと主張している。 しかし、本件明細書の段落【0003】や【0013】には、フラットフレーム式の温度調整バーナーの使用により、酸化物の発生量を低減でき、これにより溶解炉の清掃のための るものではないと主張している。 しかし、本件明細書の段落【0003】や【0013】には、フラットフレーム式の温度調整バーナーの使用により、酸化物の発生量を低減でき、これにより溶解炉の清掃のための人員を削減できる、つまり、定期的に温度調整部(保持室)を清掃する必要がないとの効果が記載され ている。甲第26号証の文献及び乙第7号証の実験結果は、あくまでも本件明細書に記載された効果を裏付けるためのデータであり、効果自体を出願後に後付けで主張するものではない。 2 取消事由2(本件発明4に係る進歩性に関する判断の誤り)について【原告の主張】 上記1【原告の主張】記載のとおり、甲3発明において、本件優先日時点において、リジェネレーティブバーナーに代えて、本件優先日前に周知となっていたフラットフレームバーナーを採用することの動機付けが存在した。 そして、適当な熱交換器を設け燃焼用空気の予熱等に利用することで燃焼に用いられるエネルギーの低減に効果を有し得ることは、本件優先日前に、当業 者に広く知られていた周知の技術である。本件優先日前に周知となっていたフラットフレームバーナーはその内部に蓄熱体を有さないことから、当該フラットフレームバーナーを採用した際に、適当な熱交換器を設けることは当業者にとって容易に想到できたものである。 【被告らの主張】 (1) 本件優先日時点において甲3発明にリジェネレーティブバーナーの代わ りにフラットフレームバーナーを適用する動機付けがなかったことは前記1【被告らの主張】で述べたとおりである。そうである以上、リジェネレーティブバーナーが熱交換器を備えていることによって、甲3発明において既に十分な排熱を可能としているにもかかわらず、熱交換器を更に設けることが容易想到であった おりである。そうである以上、リジェネレーティブバーナーが熱交換器を備えていることによって、甲3発明において既に十分な排熱を可能としているにもかかわらず、熱交換器を更に設けることが容易想到であったとの原告の主張は、その前提を欠くものである。 (2) また、甲3発明において、仮に保持バーナーをリジェネレーティブバーナーからフラットフレームバーナーに変更する動機があったとしても、保持室を閉システムとしたままで保持バーナーをフラットフレームバーナーに変更する動機はない。そうすると、保持バーナーの排熱は、溶解室と保持室とを仕切る隔壁に形成されたガス流通用の貫通口を介し、溶解室において有効 活用されるから、保持室にわざわざ熱交換器を設置する必要がない。 3 取消事由3(本件発明5に係る進歩性に関する判断の誤り)について【原告の主張】(1) 本件審決が指摘する、保持室の側方の扉の使用目的(酸化非鉄金属の除去や溶融非鉄金属のフラックス処理)は、あくまでリジェネレーティブバー ナーを前提とするものである。甲3発明に基づき、フラットフレームバーナーを採用した場合には、酸化物の発生・堆積が抑制されるから、そのような目的の扉は不要であると理解される。したがって、審決が指摘するような、フラックス処理等が行えなくなるといった阻害要因はおよそ存在せず、扉を有しないようにすることで炉の構成を簡素化することの動機付けは存在した。 (2) 本件審決は、閉システムにおける扉の技術上の意義について、温度調整部が扉を有するか否かは本件発明の課題の解決とは関係がなく、温度調整部の扉は任意付加的な事項であるとしたが、そうであるならば、扉を有しない構成を選択することは当業者にとって単なる設計的事項にすぎない。この点について、本件審決は、当該判断は とは関係がなく、温度調整部の扉は任意付加的な事項であるとしたが、そうであるならば、扉を有しない構成を選択することは当業者にとって単なる設計的事項にすぎない。この点について、本件審決は、当該判断は新規事項追加における判断であるから関 係が無いなどと述べているが、かような理由付けは何ら意味をなさない。 【被告らの主張】(1) 本件優先日時点において甲3発明にリジェネレーティブバーナーの代わりにフラットフレームバーナーを適用する動機付けがなかったことは上記1【被告らの主張】で述べたとおりである。そうである以上、甲3発明は、保持室内の酸化非鉄金属の除去や溶融非鉄金属のフラックス処理を定期的に行 う必要が引き続きあるということになるので、その目的で設けられたものである温度調整部内の扉を有しないようにすることに阻害要因がある。 (2) 仮に、甲3発明において、保持バーナーをリジェネレーティブバーナーからフラットフレームバーナーに変更する動機があったとしても、保持室を閉システムとしたままで保持バーナーをフラットフレームバーナーに変更す る動機はない。保持バーナーをフラットフレームバーナーに変更した場合には、保持バーナーの排熱を有効活用するために溶解室と保持室とを仕切る隔壁にガス流通用の貫通口が形成されることとなり、保持室内において酸化物が長期間にわたって発生しないとの効果が得られるかは不明である。そのため、甲3発明においては、保持室内の酸化物除去を定期的に行う必要が引き 続きあるので、保持室について扉を有さないようにすることはあり得ない。 (3) 原告は、本件審決が、温度調整部が扉を有するか否かは任意付加的な事項であるとの判断を行っている以上、甲3発明の保持室の側方の扉を有さないようにすることも、当業者にと することはあり得ない。 (3) 原告は、本件審決が、温度調整部が扉を有するか否かは任意付加的な事項であるとの判断を行っている以上、甲3発明の保持室の側方の扉を有さないようにすることも、当業者にとって単なる設計事項にすぎないと主張する。 しかし、「温度調整部の扉が任意付加的な事項である」ということは、温 度調整部が「閉システム」であることによって本件発明の課題が解決される以上、温度調整部が扉を有するか否かは本件発明の課題の解決とは関係がない、という補正における新規事項追加の問題である。他方、「甲3発明の温度調整部が扉を有さないようにすることが単なる設計事項にすぎないとはいえない」ということは、甲3発明の扉の目的を無視して扉を有しないように する動機がない、あるいはそれに阻害要因がある、という進歩性の問題であ る。つまり、両者は別次元の問題であって、無関係の事項であるから、これらを比較して審決の判断が矛盾するとの原告の主張は、前提を欠くものである。 4 取消事由4(新規事項追加に関する判断の誤り)について【原告の主張】 前記3【原告の主張】(2)記載のとおり、本件審決が温度調整部の扉は任意付加的な事項であるとの判断をするのであれば、本件発明5に係る相違点9に関して、容易想到性を否定し進歩性を肯定することは矛盾している。扉を有しない、ということについてその技術的意義を肯定し進歩性を肯定するような判断を行うのであれば、翻って、本件特許には、新規事項追加の不備が存在する と言わざるを得ない。 【被告らの主張】前記3【被告らの主張】(3)で述べたとおり、温度調整部の扉が任意付加的な事項であるかと、甲3発明に扉を有しない構成を選択することについて進歩性を肯定するかは、無関係の事項である。 第 前記3【被告らの主張】(3)で述べたとおり、温度調整部の扉が任意付加的な事項であるかと、甲3発明に扉を有しない構成を選択することについて進歩性を肯定するかは、無関係の事項である。 第4 当裁判所の判断 1 取消事由1(本件発明3に係る進歩性に関する判断の誤り)について(1) 本件において、本件審決が認定した甲3発明の内容(前記第2の4(2))は当事者間に争いがないところ、原告は、本件発明3については、本件優先日より18年も前の平成9年に公知となっていた甲3発明の保持バーナーに 代えて、フラットフレームバーナーを用いる動機付けはあり、かつ、阻害要因はなかったから、容易に想到し得たものであると主張する。 (2)アそこでまず、甲3発明の「保持バーナー」について検討するに、甲第3号証の1に記載された技術的事項(前記第2の4(1))などによれば、甲3発明は、高い省エネルギー率(CO₂の低減)やNOxの低減を可能 にするリジェネレーティブバーナーを採用し(甲23、24)、その自己 完結型排熱回収機能により、最適(ベスト)な溶解効率を維持し、高効率(甲3発明当時の世界最高水準の溶解燃費等)、好環境(排ガス中のCO-NOx排出レベルを低減)を実現したものであり、加えて、高品質(非金属介在物生成抑制等)で、保全性(炉壁酸化物堆積抑制・オバケ対策万全等)にも優れたものであることが示されている。 イそして、リジェネレーティブバーナーに関しては、1990年代初めに熱回収率を高めてもNOx発生量が増えない燃焼方法が日本で発見されたことから、平成5年(1993年)に当時の通商産業省及び国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトに採択されて(甲3発明は平成9年・1997年)、その で発見されたことから、平成5年(1993年)に当時の通商産業省及び国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトに採択されて(甲3発明は平成9年・1997年)、その後平成12 年(2000年)頃までに、産・官・学の共同で積極的に研究開発が進められてきた(甲23、乙5の1~3)。こうしたプロジェクトは、平成4年(1992年)の地球サミットや平成9年(1997年)の気候変動枠組条約締約国会議を背景に促進され(乙5の2・3)、従来方式の工業炉に比べて30%以上の省エネルギーの効果と、50%以上のNOx 低減を可能とする「高性能工業炉」の開発に成功し、実用化が急速に進み(乙5の3)、導入炉基数は年々増加し、少なくとも平成23年(2011年)には国内で約1300基に達するほどの増加傾向にあった(甲23・5頁図7.15、乙5の2)。令和2年(2020年)に至っては、リジェネレーティブバーナーは「日本の誇る『低炭素技術』」と評価され るまでになった(乙5の1)。 実際の製品を見ても、リジェネレーティブバーナーは一貫してその省エネルギー率及びNOx低減効果を謳っており(乙6の1乃至5)、当業者が長年にわたりこの効果を重視し、実用に供されてきていることが理解される。 このように、リジェネレーティブバーナーの上記の効果が重要視され、 また、上記プロジェクトの推進によりリジェネレーティブバーナーを採用した工業炉が「エネルギー需要構造改革投資促進税制」の優遇措置対象設備の対象となり、補助金の対象にもなっていたため(甲3発明についても同様。前記第2の4ウ)、リジェネレーティブバーナーが多く採用されるようになっていたといえる。 ウそうすると、甲3発明において、リジェネレーティブバ 象にもなっていたため(甲3発明についても同様。前記第2の4ウ)、リジェネレーティブバーナーが多く採用されるようになっていたといえる。 ウそうすると、甲3発明において、リジェネレーティブバーナーは必須の構成であるといえるから、溶解バーナーと保持バーナーともに、リジェネレーティブバーナーを採用したものであると認めるのが相当である。 (3) 次に、フラットフレームバーナーについてみると、甲3発明がなされていた平成9年5月より前の昭和50年(1975年)頃には、既に低融点の 非鉄金属の溶解用途等として、日本国内で大阪瓦斯株式会社から販売されていたから(乙1の1)、フラットフレームバーナーは、アルミ溶解用途等において本件優先日前に周知のものであったと認められる。 この点、原告は、本件優先日当時、甲3発明の保持バーナーをリジェネレーティブバーナーからフラットフレームバーナーに変更する動機付けが あった根拠として、フラットフレームバーナーは、本件米国会社が、本件優先日である平成27年10月までに、「あらゆる炉に対応する」ものとして、性能の優れたフラットフレームバーナーを遅くとも平成21年(2009年)3月の時点において日本国内で広く展開したため、その後普及したと主張するが、甲3発明の前後に日本国内で販売されていた上記のフラットフレーム バーナーを比較しても、これらは型番が違うものの、用途(アルミ溶解)及び性能に大きな差はないことが認められる(甲8、25、乙1の1)。そうすると、甲3発明は、平成9年5月の時点で、アルミ溶解を用途とするバーナーとしてフラットフレームバーナーが周知であり、それを選択することが可能であったにもかかわらず、あえてリジェネレーティブバーナーを採用し たものといえる。 (4) とするバーナーとしてフラットフレームバーナーが周知であり、それを選択することが可能であったにもかかわらず、あえてリジェネレーティブバーナーを採用し たものといえる。 (4) 以上に対し、原告は、リジェネレーティブバーナーには、火炎による酸化膜破壊や火炎とアルミ溶湯面の距離・配置の配慮など、いくつかの問題点があったと主張する(前記第3の1【原告の主張】(2)ウ)。 しかし、前記第2の4(1)イ及び前記1(2)アに記載のとおり、甲3発明においては、「高品質」として、非金属介在物の生成が抑制され、また、「保 全性」として、炉壁酸化物の堆積を抑制し、オバケ(酸化物が炉壁に付着して堆積したもの)対策も万全であることが明らかにされており、酸化物抑制対策も取られている。そして、既に市場においてフラットフレームバーナーが周知のものとして存在していたにもかかわらず、酸化物抑制のためにあえてこのフラットフレームバーナーを採用するようなことはしていない。 (5) 以上によると、甲3発明のタワー型非鉄金属溶解保持炉は、その発売当時、フラットフレームバーナーがアルミ溶解等の用途において周知のものであったにもかかわらず、エネルギー効率等の観点であえて保持バーナーにリジェネレーティブバーナーを採用したと認めることができる。そうすると、甲3発明に接した当業者において、そのような保持バーナーに代えて、あえ てフラットフレームバーナーを採用する動機付けが存在していたとは認められない。 よって、本件発明3は、当業者が甲3発明に基づいて容易に想到し得たものではないから、取消事由1は理由がない。 2 取消事由2(本件発明4に係る進歩性に関する判断の誤り)について (1) 原告は、甲3発明において保持バーナーにフラット いて容易に想到し得たものではないから、取消事由1は理由がない。 2 取消事由2(本件発明4に係る進歩性に関する判断の誤り)について (1) 原告は、甲3発明において保持バーナーにフラットフレームバーナーを採用することの動機付けが存在することを前提に、このフラットフレームバーナーはその内部に蓄熱体を有さないことから、保持室に熱交換器を設けることは当業者にとって容易に想到できたものであると主張する。 しかし、甲3発明において、保持バーナーとしてフラットフレームバー ナーを採用する動機付けの存在が認められないことは前記1記載のとおりで あり、原告の上記主張はその前提を欠くといわざるを得ない。 (2) そして、前記1記載のとおり、甲3発明の保持バーナーにはリジェネレーティブバーナーが採用されていると認められるところ、リジェネレーティブバーナーには自己完結型排熱回収機能、すなわち、排ガスを吸引し蓄熱体で熱交換を行って空気を予熱する機能を有するものであり、熱交換器を 備えているから(甲16、36、乙5の1~3)、これに追加して更に熱交換器を備えようとする動機付けが存在するとはいえない。 (3) よって、本件発明4は、当業者が甲3発明に基づいて容易に想到し得たものではなく、原告の取消事由2に関する主張も採用できない。 3 取消事由3(本件発明5に係る進歩性に関する判断の誤り)について 原告は、甲3発明に基づき、保持バーナーにフラットフレームバーナーを採用した場合には、酸化物の発生・堆積が抑制されるから、扉を有しないようにすることで炉の構成を簡素化することの動機付けは存在したと主張する。 しかし、甲3発明において、保持バーナーに代えてフラットフレームバーナーを採用する動機付けの存在が認められないことは前記 いようにすることで炉の構成を簡素化することの動機付けは存在したと主張する。 しかし、甲3発明において、保持バーナーに代えてフラットフレームバーナーを採用する動機付けの存在が認められないことは前記1記載のとおりであ り、原告の上記主張はその前提を欠くといわざるを得ない。甲3発明は保持バーナーとしてリジェネレーティブバーナーを用いており、甲第3号証の1の写真(前記第2の4(1)ア)にあるように、1日1回のフラックス処理が必要であるから、清掃のための扉も必要になるのであり、これを不要とする動機付けの存在は認められない。 以上のとおりであるから、本件発明5は、当業者が甲3発明に基づいて容易に想到し得るものではなく、原告の主張する取消事由3も理由がない。 4 取消事由4(新規事項追加に関する判断の誤り)について原告は、本件審決が、本件発明5に係る相違点9に関して、温度調整部の扉を有しないことについてその技術的意義を肯定し進歩性を肯定するような判断 を行うのであれば、翻って、本件特許には、新規事項追加の不備が存在すると 主張する。 しかし、補正が、明細書又は図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものであるときは、当該補正は、「明細書又は図面に記載した事項の範囲内において」するものということができる。そして、当初明細書の段落【0010】及び【001 1】並びに図2及び図4(以上、前記第2の3(2))によれば、「温度調整部3」と「出湯口4」との間の炉壁の下線部より下の部分は、常に溶解材料で満たされることになり、ここから温度調整部内に燃焼ガスや外気が流れ込むことはない。そして、他に「温度調整部3」内に燃焼ガスや外気が流れ込む開口や空隙は認められない。 部より下の部分は、常に溶解材料で満たされることになり、ここから温度調整部内に燃焼ガスや外気が流れ込むことはない。そして、他に「温度調整部3」内に燃焼ガスや外気が流れ込む開口や空隙は認められない。そうすると、当初明細書には、「温度調整部内に外部か ら燃焼ガスや外気などのガスが流れ込まない構造」、すなわち「閉システム」が記載されており、本件特許の請求項1に「前記温度調整部(3)は、閉システムであり、」との事項を追加する本件補正は、出願当初の「明細書又は図面に記載した事項の範囲内において」するものということができる。 よって、本件補正が新規事項の追加に当たるとはいえない。温度調節部が扉 を有するか否かによって、温度調節部が「閉システム」になるかが左右されるものではなく、原告の取消事由4に関する主張はこの点を正解しないものであり、採用することができない。 5 結論以上のとおり、本件審決につき、原告主張の取消事由はいずれも採用するこ とができず、原告の請求は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官 増田稔 裁判官 岩井直幸 裁判官本吉弘行は、てん補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官 裁判官本吉弘行は、てん補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官 増田稔 別紙本件明細書の記載等 【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】本発明の分野は、機械工学及び材料科学に関し、特に、本発明は、非鉄金属溶解炉の構成部品及び構造に関する。 【背景技術】【0002】 一般に、金属溶解炉には、次に述べる主な3つのタイプがある。(1)直接燃料火炎炉(directfuelfirefurnace)は、金属の予熱、金属の溶解、及び温度制御を行うための別個の部分、ゾーン又はチャンバーを備える。この炉は、金属に直に接する火炎を使用し、多くの金属を溶解するのに適している。(2)間接燃料火炎炉(indirectfuelfirefurnace)は、円筒形又は鍋形の形状を有し、昇降炉、傾動炉又は回転坩堝炉に細分化することができる。 (3)電気炉(electricalpoweredfurnace)は、電気抵抗を利用するものと電磁誘導を利用するものとを含む2つのタイプに細分化される。 【0003】本発明は、従来の直接燃料火炎炉内で溶融材料を保持する温度調整部又は保持部内において、除去及び清掃が困難であり、かつ溶融材料の全収率に悪影響を与え得る酸化アルミニウム等の 金属酸化物の蓄積に関する問題を解決するのに役立つことができる。従来の溶解炉の1組の例を、図5~図8に示すことができる。溶解部6は、予熱部5の下方に配置されており、溶解炉6の片側にはバーナー9が備えられる。非鉄金属又はアル 問題を解決するのに役立つことができる。従来の溶解炉の1組の例を、図5~図8に示すことができる。溶解部6は、予熱部5の下方に配置されており、溶解炉6の片側にはバーナー9が備えられる。非鉄金属又はアルミニウムは、予熱部5の上に配置される開口17を通して溶解炉内に移送されることができ、次に、バーナー9によって加熱されて、非鉄金属又はアルミニウムは溶融して、溶融材料1bとなる。溶融材料1bは、次に、斜 面15上を流れて温度調整部3内に入る。温度調整部3の温度は、バーナー12によって維持 又は上昇される。溶融材料1bは、次に、隔壁10の延長部である下縁部13を通って流れ、炉出口4へ出る。得られる溶融材料1cは、次に、外部の鋳造又は成形装置による鋳造又は成形プロセスにおいて使用することができる。アルミニウム等の非鉄材料は、蓋16を含む予熱部5に注入されることができ、溶解部6は、片側に取り付けられる扉23を含む。扉23は、点検及び溶解部6の清掃のために開くことができる。温度調整部3は、点検及び温度調整部3 の清掃のために開くことができる扉24を含む。 【0004】従来の溶解炉の上述の構成部品及び構造は、バーナー9によって溶解された溶融材料1bが、斜面15に接続された温度調整部3に流れ込み、温度調整部3内で酸化物21aと混合する可能性があり、確かな欠点を有する。溶融材料1bは、この場合、天井蓋11に取り付けられる バーナー12によって制御される規定の温度に維持される。溶融材料1bは、温度調整部3内において高温下に維持されるので、温度調整部3内の空気との酸化反応を起こす可能性があり、それにより、温度調整部3内で集塊を形成して増大し得る酸化物21bが生成される可能性がある。したがって、従来の溶解炉の使用者は、扉24を開くこと 温度調整部3内の空気との酸化反応を起こす可能性があり、それにより、温度調整部3内で集塊を形成して増大し得る酸化物21bが生成される可能性がある。したがって、従来の溶解炉の使用者は、扉24を開くことによって、温度調整部3を常に清掃することが必要である。しかしながら、清掃プロセスは高温下で行われるので、温度調 整部3からの酸化物21bの完全な除去は、多くの場合に困難かつ複雑な作業となる。さらに、長時間除去されず高温下にあった酸化物21bは、コランダム(Al2O3)又は他の形態の結晶化物質に結晶化する場合があり、これは、溶解炉の内壁又は内面に強固に付着する。上述した酸化物21bは、限定はしないが、溶解炉の内壁から上記酸化物21bの欠片が溶融材料に混入し、これにより、鋳造又は成形された製品にハードスポットを生じさせ、最終製品の強 度を低下させることを含む問題の根本的な原因である。さらに、酸化物21bは、温度調整部3の内壁で増大し、これにより、温度調整部3内の空間を低減させ、温度調整部3内の絶縁層22を変化又は劣化させ、その後、外部環境への熱漏出を引き起こす可能性がある。したがって、製品の品質を向上するためには、溶解炉は、生産時の酸化物21bの生成又は排出量を最小限にする必要がある。 【0005】 上述した酸化物の蓄積によって生じる問題は、「金属溶解炉」という名称の特許文献1によって予見されている。この発明は、溶解部から温度調整部までを連結する傾斜炉床又は斜面状炉床の間に隔壁を設けることにより、酸化物蓄積の問題を解決することを意図したものである。隔壁は、温度調整部及び傾斜炉床内の溶融材料よりも低い高さにおける接続路を形成し、これにより、金属酸化物が温度調整部に流れ込むことを防止する。しかしながら、上記発明は、 ることを意図したものである。隔壁は、温度調整部及び傾斜炉床内の溶融材料よりも低い高さにおける接続路を形成し、これにより、金属酸化物が温度調整部に流れ込むことを防止する。しかしながら、上記発明は、 温度調整部の半分未満のサイズであるとともに上記温度調整部及び接続路よりも低い床高さを有する溶融金属処理部を含み、これにより、溶解炉の構成部品数が増加するため、システムの複雑性が高まり得る。また、「金属溶解炉」という名称の特許文献2は、溶解部内の更なる加熱板とともに部分隔壁を記載している。また、酸化物の低減は、別の2つの特許出願によって予見されている。1つは、「タワー型アルミニウム溶解保持炉」という名称の特許文献3によ る、溶解部及び温度調整部の昇温によるものであり、もう1つは、「金属溶解炉」という名称の特許文献4による、投入ポートと、上部通気口と、溶解部内の底部における加熱板とを使用し、バーナーヘッドを温度調整部の側部に配置することによるものである。しかしながら、これらの出願は、いくつかの状況に適さない場合がある複雑な構成部品セットの使用を提案するものである。 【0006】上記の従来技術は、システムにおける酸化物の生成量を低減するために、溶解炉の構成部品若しくは構造を改良すること、又は、ガスの量若しくは化学プロセスを制御する手段を提供することを意図したものである。しかしながら、従来技術では、加熱板、扉又は隔壁等の複雑な構成部品を溶解炉システムに導入することをせずに、溶解炉からの酸化物の排除に関してアル ミニウム炉等の産業用の非鉄金属炉の効率を改善する能力を有する発明は、依然として存在していない。 【先行技術文献】【特許文献】【0007】 【特許文献1】 米国特許第7,060,220号 用の非鉄金属炉の効率を改善する能力を有する発明は、依然として存在していない。 【先行技術文献】【特許文献】【0007】 【特許文献1】 米国特許第7,060,220号 【特許文献2】 特開2006-071266号【特許文献3】 特開2001-272171号【特許文献4】 米国特許出願公開第2015/0042024号【発明の概要】【0008】 本発明に係る溶解炉は、アルミニウム等の非鉄金属を溶解するとともに、後続の鋳造のためにその溶融材料を貯留するための温度調整部を特徴とする。本発明は、温度調整部内で生成される酸化物の量を低減し、ひいてはアルミニウム又は非鉄金属の品質を向上させるのに役立つ。 本発明は、溶融材料の液面に浮かぶ酸化生成物に対する保護を提供する。溶解炉の溶解部における溶融材料は、センサー又は溶融材料検出装置を用いて溶融材料の液面レベルを制御するこ とによって、隔壁の底縁部の下に沈み、接続路を通って温度調整部に流れる。本発明は、温度調整部の天井部の一部において、火炎を保持する温度調整バーナーを更に用いて、溶融したアルミニウムと温度調整部内のガスとの反応を防止するとともに、温度調整部内の酸素濃度を制御して下げ、溶融材料から酸化物が生成される可能性を回避する。 【図面の簡単な説明】 【0009】【図1】本発明の溶解炉の平面図である。 【図2】本発明の溶解炉の側面断面図Cである。 【図3】本発明の溶解炉の側面断面図Aである。 【図4】本発明の溶解炉の側面断面図Bである。 【図5】従来技術の溶解炉の平面図である。 【図6】従来技術の溶解炉の側面断面図Aである。 【図7】従来技術の溶解炉の側面断面図Cである。 【図8】従来技術の溶解炉の側面断面図Bである。 【図5】従来技術の溶解炉の平面図である。 【図6】従来技術の溶解炉の側面断面図Aである。 【図7】従来技術の溶解炉の側面断面図Cである。 【図8】従来技術の溶解炉の側面断面図Bである。 【発明を実施するための形態】 【0010】 図1は、本発明に係る溶解炉の1つの実施形態の平面図を示しており、溶解炉は、図2の断面図C、図3の断面図A及び図4の断面図Bに示される種々の構成部品を備える。溶解炉は、材料投入路17及び蓋16を備え、材料は、材料投入路17内に投入されると、予熱部5内に移動される。予熱部5の下方には、溶解部6及び傾斜炉床15がある。傾斜炉床15の上側には、バーナー9が備えられる。材料は、溶解部6内でバーナー9の火炎の熱によって溶解され、 その後、傾斜炉床15上を下方に流れ、加熱部7に入る。加熱部7は、溶融材料1aの温度を維持及び上昇させるために使用され、酸化物除去扉14a、14bを備える。加熱部7は、温度調整部3に溶融材料1aを流し込むための接続路2を更に備える。温度調整部3は、溶融材料1cが出湯口4を通って溶解炉を出る前に溶融材料1bを保持することができる。本発明に係る溶解炉は、特に温度調整部3を備え、温度調整部3は、溶融材料1aを受け入れるための 接続路2と、溶融材料1cを放出するための出湯口4とを含む。接続路2は、予熱部5の下部、溶解部6、傾斜炉床15及び加熱部7に更に接続する。 【0011】接続路2により、一般に、溶解部6及び加熱部7から温度調整部3内に移動する溶融材料1aの上に浮かぶ酸化生成物21aから溶解炉を保護することができる。接続路2は、隔壁10 の下縁部13の下に位置し、温度調整部3に通じる。接続路2の下底部は、下縁部13の位置よりも低く没する傾斜面で 上に浮かぶ酸化生成物21aから溶解炉を保護することができる。接続路2は、隔壁10 の下縁部13の下に位置し、温度調整部3に通じる。接続路2の下底部は、下縁部13の位置よりも低く没する傾斜面で特徴付けられる。溶融材料の検出器又はセンサー8は、出湯口4に近接して又は溶解炉の任意の部分に配置される。検出器8は、最上液面レベルを有効に検出し、ひいては、溶融材料1cを出湯口4から汲み出すまたは放出させずに隔壁10の下縁部13を上回る溶融材料1a、1b、1cの高さを維持することができ、したがって、加熱部7からの 酸化物21aが温度調整部3内の溶融材料1bに混じることがない。 【0012】温度調整部3には、燃焼に用いる空気の温度を調整するための熱交換器20、又は、加熱部7と温度調整部3との間の下縁部13における少なくとも1つの穴、又は、少なくとも1つの穴及び1つの熱交換器20を有し、これらは、燃焼に用いられるエネルギーの低減に効果を有 し得る。さらに、温度調整部3の天井蓋11に温度調整バーナー12が配置され、バーナー1 2は、天井部において帯状のフラットな火炎(フラットフレーム)を放射することが好ましい。 また、バーナー12のフラットフレームは、酸素濃度を温度調整部3内の可燃性ガス全体の1%~5%に、より好ましくは1%未満に制御して、溶融材料1bの最上層の酸化物の厚みを低減することができる。 【0013】 従来の温度調整部3は、定期的に清掃する必要があり、したがって、図6に示すような溶解炉から金属酸化物を除去するための温度調整扉24を必要とするが、これとは異なり、本発明は、温度調整扉24の設置を必要とせず、代わりに、フラットフレーム式の温度調整バーナー12を使用する。温度調整バーナー12は、溶解炉の温度調整 めの温度調整扉24を必要とするが、これとは異なり、本発明は、温度調整扉24の設置を必要とせず、代わりに、フラットフレーム式の温度調整バーナー12を使用する。温度調整バーナー12は、溶解炉の温度調整部3内の酸素の量を制御することができるとともに、検出器又はセンサーを更に備え、温度調整部3内の酸素の量を測定して、 生成される酸化物の量を低減する。上述したこのような構成は、溶解炉の酸化物の重量を低減すると同時に、エネルギー消費及び溶解炉の清掃のための人員を削減することができる。 【0014】上記のプロセスは、本発明の実施形態のうちの1つにすぎず、決して上述した記載に制限されるものではない。本発明の意図と一致するのであれば、例えば、バーナー12を温度調整部 3の底面19に配置するか、又は、電気若しくは燃料ガスによって加熱される浸漬ヒーター若しくは加熱チューブを設けるか、又は、天井蓋11に金属ベースヒーター若しくはバーナーを設けるか、又は、ファイバーベースヒーター若しくはバーナー、若しくは空気が表面構造を流通することを可能にする構造を与えることができる多孔材料ベースヒーター若しくはバーナーを設けることによって、構成部品を改良又は変更することができる。 【0015】温度調整部3内において、浸漬加熱チューブを使用する又は天井蓋11に金属ベースヒーターを使用する例では、溶融材料1bが急激な酸化反応を起こすことを防止又は阻止するために、不活性ガスを噴射して温度調整部3内の酸素濃度を下げることが必要な場合がある。 【図1】 【図2】 【図3】 【図4】 【図5】 【図6】 【図7 【図1】 【図2】 【図3】 【図4】 【図5】 【図6】 【図7】 【図8】

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