令和5(わ)4106 偽造有価証券輸入、関税法違反、有価証券偽造、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反

裁判年月日・裁判所
令和7年3月6日 大阪地方裁判所
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判決文本文8,675 文字)

- 1 - 主文 本件各公訴事実について、被告人はいずれも無罪。 理由 第1 各公訴事実の要旨本件各公訴事実の要旨(時系列順。訴因変更後のものを含む)は、被告人は、分離前の相被告人A及び同Bと共謀の上、① 偽造されたC社発行名義のドリンクチケットを本邦に輸入しようと考え、更に氏名不詳者らと共謀の上、令和4年11月15日頃(現地時間)、中華人民共和国において、偽造されたドリンクチケット4253枚を隠し入れた国際宅配貨物1個をD宛てに発送し、同月16日、これを航空機に搭載させてE空港駐機場に到着させた上本邦に持ち込み、もって偽造の有価証券を輸入するとともに、同月17日、前記国際宅配貨物を保税蔵置場に搬入させ、同月18日、同保税蔵置場において税関支署職員による検査を受けさせ、もって関税法上の輸入してはならない貨物である有価証券の偽造品4253枚を輸入しようとしたが、同支署職員に発見されたため、その目的を遂げず、(訴因変更後の令和5年12月20日付け起訴状記載の公訴事実第1)② 偽造されたC社発行名義のドリンクチケットを本邦に輸入しようと考え、更に氏名不詳者らと共謀の上、令和4年12月8日(現地時間)、中華人民共和国において、偽造されたドリンクチケット1362枚を隠し入れた国際宅配貨物1個をF 宛てに発送し、同月10日、これを航空機に搭載させてE空港駐機場に到着させた上本邦に持ち込み、もって偽造の有価証券を輸入するとともに、同日、前記国際宅配貨物を保税蔵置場に搬入させ、同月11日、同保税蔵置場において税関支署職員による検査を受けさせ、もって関税法上の輸入してはならない貨物である有価証券の偽造品1362枚を輸入しようとしたが、同支署職員に発見されたため、その目的を遂げず、(令和5年10月24日付け起 支署職員による検査を受けさせ、もって関税法上の輸入してはならない貨物である有価証券の偽造品1362枚を輸入しようとしたが、同支署職員に発見されたため、その目的を遂げず、(令和5年10月24日付け起訴 - 2 -状記載の公訴事実)③ 財産上不正な利益を得る目的で、中華人民共和国で偽造されたC社発行名義のドリンクチケットを本邦に輸入し、その販売による対価の取得につき事実を仮装しようと考え、令和5年4月3日から同年6月26日までの間、Gを利用し、前記ドリンクチケットを購入した不特定多数の者から、その販売代金合計1084万4774円を、売上金決済システムにより借名口座である株式会社H銀行I支店に開設されたJ名義の普通預金口座ほか1口座に振込入金させ、もって犯罪収益等の取得につき事実を仮装し、(訴因変更後の令和5年12月20日付け起訴状記載の公訴事実第2)④ C社発行名義のドリンクチケットを偽造し、本邦に輸入して販売しようと考え、更に氏名不詳者らと共謀の上、令和5年9月上旬頃、中華人民共和国において、パーソナルコンピュータ等を用いてC社発行名義の前記ドリンクチケット6969枚を偽造し、同月25日(現地時間)、同国において、前記偽造されたドリンクチケット6969枚を隠し入れた国際宅配貨物1個をB宛てに発送し、同月29日、これを航空機に搭載させてK空港駐機場に到着させた上本邦に持ち込み、もって偽造の有価証券を輸入するとともに、同月30日、前記国際宅配貨物を保税蔵置場に搬入させ、情を知らない同社従業員をして輸入申告をさせて同保税蔵置場から搬出させ、もって関税法上の輸入してはならない貨物である有価証券の偽造品6969枚を輸入し、(令和5年11月21日付け起訴状記載の公訴事実)⑤ 財産上不正な利益を得る目的で、中華人民共和国で偽造されたC 、もって関税法上の輸入してはならない貨物である有価証券の偽造品6969枚を輸入し、(令和5年11月21日付け起訴状記載の公訴事実)⑤ 財産上不正な利益を得る目的で、中華人民共和国で偽造されたC社発行名義のドリンクチケットを本邦に輸入し、その販売による対価の取得につき事実を仮装しようと考え、令和5年9月29日から同年10月1日までの間、Lを利用し、前記ドリンクチケットを購入した不特定多数の者から、その販売代金合計9万5400円を、売上金決済システムにより借名で登録したM名義のLのアカウントに売上金として入金させ、もって犯罪収益等の取得につき事実を仮 - 3 -装し、(令和6年2月15日付け起訴状記載の公訴事実第1)⑥ 財産上不正な利益を得る目的で、中華人民共和国で偽造されたC社発行名義のドリンクチケットを本邦に輸入し、その販売による対価の取得につき事実を仮装しようと考え、令和5年10月3日、Gを利用し、前記ドリンクチケットを購入した不特定多数の者から、その販売代金合計56万2072円を、同社の売上金決済システムにより株式会社N銀行O支店に開設された借名口座である前記M名義の普通預金口座に振込入金させ、もって犯罪収益等の取得につき事実を仮装した、(令和6年2月15日付け起訴状記載の公訴事実第2)というものである。 第2 当裁判所の判断 1 証拠によれば、A(被告人の夫)とBは、令和4年秋頃から5年にかけて、中国から偽造ドリンクチケットを密輸入し、これを日本国内で販売しており、Aが中国側とのやり取りを行い、BとAが日本国内での販売を行っていた。その流れの中で、AとBは、令和4年11月、12月、令和5年9月の密輸入(上記①②④)、令和5年4月から6月、9月から10月の販売(上記③⑤⑥)の犯行に及んだ。 本件の争点は、各犯 を行っていた。その流れの中で、AとBは、令和4年11月、12月、令和5年9月の密輸入(上記①②④)、令和5年4月から6月、9月から10月の販売(上記③⑤⑥)の犯行に及んだ。 本件の争点は、各犯行において、Aらと被告人との間に共謀が認められるかである。弁護人は、被告人は上記①~⑥いずれの公訴事実にも関与しておらず、被告人は無罪である旨主張し、被告人は各犯行の認識を一貫して否定し、各犯行について全然知らない旨供述している。また、Aもこれに沿う証言をしている。 2 更に検討するに、上記販売の犯行はいずれもBが実行犯であると窺われる所、他人のアカウントに係るフリマサイトで偽造ドリンクチケットが販売され、その売上が、Bの友人であるP、被告人の母であるQ(銀行口座はAが管理)、後に検討するMといった他人名義の銀行口座等に振り込まれている。公訴事実外であるが、確かに令和4年10月から令和5年6月にかけて、被告人のアカ - 4 -ウント(番号省略)に係るフリマサイトでも偽造ドリンクチケットが多数販売されており、その売上が被告人名義のR銀行の口座に振り込まれている(甲125、138、139)。しかし、Aは自身の携帯電話を用いるなどして、被告人に知らせることなく上記被告人のアカウント(被告人の協力を得て登録。 厳格な本人確認がされていた証拠もない)で偽造ドリンクチケットを販売していた、上記銀行口座もAが管理していた、家計は全てAが管理し、毎月定額を被告人に渡していた旨証言しており、これを否定できる証拠はない。甲125を通覧しても、被告人が上記自身のアカウントで偽造ドリンクチケットを販売していた、ないし被告人が同販売に関与(この点は後記3⑴アも参照)していたことを直接示すようなメッセージは存在しない。他人のアカウントを用いたフリマサイト販売が可能 ントで偽造ドリンクチケットを販売していた、ないし被告人が同販売に関与(この点は後記3⑴アも参照)していたことを直接示すようなメッセージは存在しない。他人のアカウントを用いたフリマサイト販売が可能であることは、上記Bらの犯行によっても裏付けられている。確かにAは日本語ができないが、来日以来、フリマサイトで切手や工具等を販売しており、偽造ドリンクチケットの販売に当たっても、ネット上の文言を貼り付けるなどして出品し、落札者の届け先情報はQR コードを読み取らせて発送していた(匿名配送・甲207参照)旨証言している。日本語ができなくても必要に応じ取引ナビ内の定型コメントや翻訳アプリを用いるなどして対応は十分可能であったと考えられ、取引回数を重ねるほど販売が容易になったものと思われる。また、被告人方の状況や被告人の捜査段階供述等を踏まえても、上記銀行口座をAが管理していた可能性は否定できない。したがって、被告人が、上記自身のアカウントで偽造ドリンクチケットの販売を重ねていた、ないし被告人が同販売に関与していたとは認められない。 検察官は、日本語のできる被告人が、被告人方から発見されたノートパソコンを用いて、以前から偽造ドリンクチケットの出品等を行っていたと主張する。 甲210、212によれば、被告人方でAから差し押さえたノートパソコンには、令和3年12月から令和4年12月にかけて、Sへのアクセス履歴が多数あり、偽造と思料されるドリンクチケットを多数取引した形跡がある(令和4 - 5 -年7月のアカウント(番号省略)の出品に対応する履歴もある[甲125])。 これらの取引はスムーズに行われており、日本語のできないAが取引した可能性は低いとも考えられるが、そもそもフリマサイトでの取引はログインID とパスワードを入力するなどし、フリマサイト 125])。 これらの取引はスムーズに行われており、日本語のできないAが取引した可能性は低いとも考えられるが、そもそもフリマサイトでの取引はログインID とパスワードを入力するなどし、フリマサイトの誘導に従いクリックしていけば簡単に進むものであり、取引ナビ内の定型コメントや翻訳アプリを用いるなどすれば上記のようなアクセスも可能であるため、日本語のできない者でも取引することは十分可能である。また、Aも被告人も、このノートパソコンを使うのはAである旨述べており(被告人はパソコンやネット関係に疎い旨も供述)、上記の通り、Aが来日以来、フリマサイトで物品を販売してきたことなどに照らせば、Aが上記ノートパソコンを用いて偽造と思料されるドリンクチケットを販売することも不可能ではない。更にSへのアクセス履歴をみると、偽造と思料されるドリンクチケットを出品したアカウントが(番号省略)の他にも複数認められる所であり、被告人が述べる通り育児家事等で忙しい家庭生活の中、深夜の時間帯も含め約1年にわたり、被告人が複数のアカウントを用いて偽造ドリンクチケットの販売を重ねたと考えるのもやや不自然ともいえる。さらに、上記ノートパソコンはAから差し押さえられた物である上、ノートパソコンは持ち運びが容易であるため、どこで誰がどのように使用していたか、更に当時の被告人方における各人の生活状況(他に同居人がいたか否かも不明)を含め、検察官の度重なる多数の証拠請求等を経ても必ずしも明らかでない点が多い。 したがって、被告人が、上記ノートパソコンで以前から偽造ドリンクチケットの出品等を重ねていたとは認められない。 その他、被告人方や自動車内から多数の偽造ドリンクチケットが見付かっており、被告人の財布内からも偽造ドリンクチケットが見付かっている。しかし、Aが偽造ドリンクチ を重ねていたとは認められない。 その他、被告人方や自動車内から多数の偽造ドリンクチケットが見付かっており、被告人の財布内からも偽造ドリンクチケットが見付かっている。しかし、Aが偽造ドリンクチケットを密輸入して自宅等に転送しており、被告人もAからドリンクチケットを(偽造とは知らずに)もらったことがあった旨供述しているから、上記のような状況自体不自然とはいえない。被告人がドリンクチケ - 6 -ットの正規品と偽造品を区別できたことを窺わせる証拠もない。被告人方に沢山の荷物が届く中、被告人が被告人方等にドリンクチケットがあると認識していたとしても、これらが密輸入された偽造ドリンクチケットであることを認識(未必的認識を含む。以下同じ)していなければ、被告人の各犯行の認識を基礎付けることはない。以下、被告人の個別事件への関与について検討する。 3 個別事件への関与について⑴ 令和4年11月、12月の密輸入の犯行(上記①②)についてア証拠によれば、被告人は、令和4年11月15日、Aから「D」の住所を記載したメッセージを受け取った後、T宅配業者U営業所に国際貨物を被告人方等に転送するための電話をしたことが認められる(甲14、66[メッセージ番号278~286]、甲208。ただし本件密輸入された貨物に係るものかは不明)。また、被告人は、同日、AからSの取引ナビの画像(上記被告人のアカウントでのドリンクチケットの出品に関する落札者対応)を受け取った後、「私たちの住所と名前はどうしますか」と尋ねると、Aから「適当に書けばいいです」と返答があったことが認められる(甲14、66[メッセージ番号288~290])。確かに、これらは被告人が本件一連の犯行に関わったことを窺わせる証拠である。その他にも被告人が偽名を名乗って貨物転送の電話をし ったことが認められる(甲14、66[メッセージ番号288~290])。確かに、これらは被告人が本件一連の犯行に関わったことを窺わせる証拠である。その他にも被告人が偽名を名乗って貨物転送の電話をしていた証拠もあるが(甲208、209)、被告人自身、育児家事等で忙しい家庭生活の中、貨物の中身を知らずに、Aに言われるがまま貨物転送の電話をしていた旨供述し、Aもこれに沿う証言をしている。Aは偽造ドリンクチケットの他にも沢山の物品を輸入していた所、被告人に貨物転送の電話を依頼する際、両者の間でどのようなやり取りが行われたかを窺わせる証拠はない。そうすると、Aが被告人に貨物の中身を知らせることなく転送電話を依頼し、被告人も貨物の中身が密輸入された偽造ドリンクチケット等であることを認識することなく、沢山の物品を輸入するAに言われるがまま、ただ機械的に転送 - 7 -電話を重ねた可能性が否定できない。また、上記取引ナビ画像の関係についても、残されたメッセージの他、Aと被告人がどのようなやり取りをしたかは明らかでない。上記2の検討も踏まえると、検察官が主張するように、被告人が上記自身のアカウントにログインし、取引ナビ画像では確認できない内容を確認し、落札者が「住所や名前」を求めていることを把握した上で、Aに対し「住所や名前」をどうするか尋ねたなどと一義的に推認することは困難である。被告人とAが同居の夫婦であり、被告人が、Aが中国から物品を輸入し、フリマサイトで販売していたことを認識していたとしても、貨物の中身が密輸入された偽造ドリンクチケット等であることの認識が認められない以上、結論に変わりはない。 イ令和4年12月の密輸入の犯行についてみても、被告人は、12月8日にAから「F」の住所を記載したメッセージを受け取っているが(甲14、 との認識が認められない以上、結論に変わりはない。 イ令和4年12月の密輸入の犯行についてみても、被告人は、12月8日にAから「F」の住所を記載したメッセージを受け取っているが(甲14、66[メッセージ番号463])、その後被告人が貨物転送の電話をしたことを示す証拠はない。被告人方のWi-Fi で偽造ドリンクチケットを隠匿した貨物の通関状況を確認したことを示す証拠(甲82)はあるが、Aも偽造ドリンクチケットを出品したり、運送会社に連絡したりする際に自宅のWi-Fi を使う旨証言している。Aは自身の携帯電話でも上記通関状況を確認している所であり、上記2の検討も踏まえると、被告人が自宅Wi-Fi で上記通関状況を確認したとは認められない。 ⑵ 令和5年9月の密輸入(上記④)、令和5年4月から6月、9月から10月の販売(上記③⑤⑥)の犯行についてアまず、令和5年9月の密輸入について、偽造ドリンクチケットを隠匿した貨物は直接B方に届けられており、被告人が同犯行に関与したことを示す証拠はない。 イ令和5年4月から6月の販売について、証拠によれば、Bは被告人に対し、3月15日から4月28日にかけて計14回、偽造ドリンクチケット - 8 -の売上を送金している(甲68、B証言)。しかし、上記送金はいずれもAから依頼を受けて行われたもので、送金を受けられないAの代わりに被告人が送金を受けたに過ぎず、入金後直ちにAの銀行口座に送金されたことが窺われる。被告人とBは本件において基本的に関わりがなく、だからこそメッセージのやり取りも形式的なものに留まっている。Bも被告人に上記送金の趣旨を伝えていない。上記2の検討も踏まえると、被告人やAが述べる通り、上記送金につき、被告人が密輸入された偽造ドリンクチケット販売の対価であると認識 的なものに留まっている。Bも被告人に上記送金の趣旨を伝えていない。上記2の検討も踏まえると、被告人やAが述べる通り、上記送金につき、被告人が密輸入された偽造ドリンクチケット販売の対価であると認識していたとは認められず(およそ「犯罪収益等」であるとの認識も認められない)、他に被告人が上記③の犯行に関与したことを窺わせる証拠はない。 ウ令和5年9月から10月の販売について、BやMの証言等によれば、AとBは、偽造ドリンクチケットの売上を入金させるための銀行口座等を必要としていた所、令和5年5月と9月の2回、Mは、自身のキャッシュカード等(銀行口座)をBに渡し、同9月にはフリマサイトのアカウント登録をしたこと、その際、被告人が日本語のできないAのため、必要な通訳や連絡の取り次ぎをしたことが認められる。しかし、上記行為を主導したのはAであり、Mも自身の銀行口座等の具体的な使い道を知らされておらず、報酬目的で銀行口座を渡すなどしたに過ぎない。被告人も育児家事等で忙しい家庭生活の中、機械的にAとMの会話を通訳し、連絡の取り次ぎをしていた可能性が否定できず、Mの証言をみても、被告人の対応は「(旦那が)言うてます」「(旦那に)言うときます」「(旦那に)聞いときます」「(旦那が)また言うてましたか」などとAに対応を委ねる受動的なものに終始しており、被告人が自身の判断でMに対応していたとは考え難い。また、AとBのメッセージ(甲36)をみても、被告人がMの銀行口座等の具体的な使い道を認識していたことを示すようなメッセージは存在しない。かえって弁護人が主張する通り、被告人に偽造ドリンクチケット - 9 -の販売を知られないよう、AがBに口裏合わせを要請したことを窺わせるメッセージ(甲36[メッセージ番号24~27。A「あなたのお姉さんが何を売って 通り、被告人に偽造ドリンクチケット - 9 -の販売を知られないよう、AがBに口裏合わせを要請したことを窺わせるメッセージ(甲36[メッセージ番号24~27。A「あなたのお姉さんが何を売っているってきかれました。道具関係を売っていると伝えてください。言い間違いないように」B「わかった」])や、被告人がMの銀行口座等の具体的な使い道を知らないことを窺わせるメッセージ(甲36[メッセージ番号459~469。A「おじさんがお姉さんに電話したわ苦笑い。あなたのお姉さんが私に何のためカードを作ったのと聞かれました」])がある。上記2の検討も踏まえると、被告人が述べる通り、Mの銀行口座等につき、被告人が密輸入された偽造ドリンクチケット販売の対価取得に用いるものと認識していたとは認められない(およそ「犯罪収益等」の取得に用いるとの認識も認められない)。 4 結論検察官は、本件各犯行は、Aらが偽造ドリンクチケットの偽造・密輸入・販売を反復継続して行ってきた犯行の一環であり、被告人もこのような一連のスキームに関与していたと主張する。しかし、上記2、3で検討した通り、被告人がAらの一連の犯行を認識し、一連のスキームに関与していたと認めるに足りる証拠はなく、上記3の通り、個別事件においても、被告人が偽造ドリンクチケットの偽造・密輸入・販売(上記①~⑥)について認識していたと認めるに足りる証拠はない。そうすると、検察官の主張を十分考慮しても、本件各犯行において、被告人とAらとの共謀を認めるにはいずれも合理的な疑いが残る(幇助犯の認定も当然できない)。 よって、本件各公訴事実(訴因変更後のものを含む)についてはいずれも犯罪の証明がないことになるから、刑事訴訟法336条により、被告人に対し、いずれも無罪の言渡しをする。 (求刑-懲役6年及び罰 よって、本件各公訴事実(訴因変更後のものを含む)についてはいずれも犯罪の証明がないことになるから、刑事訴訟法336条により、被告人に対し、いずれも無罪の言渡しをする。 (求刑-懲役6年及び罰金150万円、偽造ドリンクチケット・預金債権[相当部分]・利息債権の没収) - 10 -令和7年3月6日大阪地方裁判所第5刑事部 裁判官小泉健介

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