1 被告株式会社森髙工業は,奈良県に対し,1030万4070円及びこれに対する平成14年3月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告奈良県知事Aが,被告株式会社森髙工業に対し,第1項の請求を怠る事実が違法であることを確認する。 3 原告らの被告らに対するその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は,被告らの負担とする。 5 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告株式会社森髙工業は,奈良県に対し,2480万2200円及びこれに対する平成14年3月2日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告奈良県知事Aが,被告株式会社森髙工業に対し,第1項の請求を怠る事実が違法であることを確認する。 第2 事案の概要本件は,奈良県下で実施された道路整備の競争入札において談合がされたために落札価格が上昇し,奈良県が損害を被ったとして,奈良県の住民である原告らが,談合を企図した被告株式会社森髙工業(以下「被告森髙工業」という。)に対しては地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの,以下同様)242条の2第1項4号後段に基づく相手方に対する不法行為の損害賠償を求め,被告奈良県知事A(以下「被告知事」という。)に対しては,同項3号に基づき,被告森髙工業に上記損害賠償請求を怠る事実が違法であることの確認を求めた事案である。 1 前提事実(争いのない事実及び証拠により容易に認定できる事実)(1) 当事者ア原告らは,いずれも奈良県の住民である。 イ被告森髙工業は,肩書地において土木工事及び建築工事全般に関する業務を目的とする株式会社である。 )(1) 当事者ア原告らは,いずれも奈良県の住民である。 イ被告森髙工業は,肩書地において土木工事及び建築工事全般に関する業務を目的とする株式会社である。 (2) 本件入札ア奈良県は,同県吉野郡上北山村西原における緊急地方道路整備事業(Bタイプ)村道和佐又伯母峯線の道路改良工事(以下「本件工事」という。)を実施するため,平成12年12月7日,公募型指名競争入札を実施した(以下「本件入札」という。)。 本件入札において,入札予定価格は1億8438万円(入札書比較価格(消費税抜き価格,入札書には消費税抜きの金額が記載される。)は1億7560万円),最低制限価格は1億4762万7900円(最低制限比較価格(消費税抜き価格)は1億4059万8000円)とされた。 イ本件入札には12の共同企業体(以下「JV」という)が参加し,被告森髙工業が属する森髙工業・丸谷組特定建設工事JV(以下「本件JV」という。)が1億7560万円(消費税を加えると予定価格どおり)の価格で応札して落札した。 ウ奈良県は,平成12年12月8日,上記落札結果に基づき,本件JVとの間で消費税込みの代金を1億8438万円(入札予定価格と同じ。)とする本件工事の建設工事請負契約を締結した。 (3) 奈良県は,平成13年8月24日,被告森髙工業の代表取締役であった(同年8月10日辞任)Bが後記(5)の競売入札妨害罪で奈良地方裁判所・城支部に起訴されたことを受け,同年10月10日付けで上記(2)ウの契約を無効として工事を停止するように本件JVに通知して本件工事の建設工事請負契約を解消することとした。 奈良県は,被告森髙工業に対し,そのときまでの工事施工済出来高として 上記(2)ウの契約を無効として工事を停止するように本件JVに通知して本件工事の建設工事請負契約を解消することとした。 奈良県は,被告森髙工業に対し,そのときまでの工事施工済出来高として合計1億3299万7200円(消費税込み)を支払い,同年11月5日,株式会社上田工務店との間で本件工事の残工事の建設工事請負契約を請負代金5008万5000円(消費税込み)で締結した。 本件工事は平成14年3月末に竣工したが,当初の竣工予定は平成13年11月末であったので,結局道路の供用開始に4か月の遅れが生じた(甲18,19,弁論の全趣旨)。 (4) 奈良県は同年12月10日,本件JVに上記損害金として769万1191円の支払を求めた(甲1)。 上記損害金の内訳は,工事の履行遅滞による損害,本件工事の際発注に伴う事務処理費,再発注により増加した間接の経費であり,各損害は,①本件工事の施工済み出来高を精算した額1億3299万7200円,②本件工事の残工事の設計金額5070万5550円,③分割発注した年度ごとに本件工事に要した直接工事費合計額を求め,これに当初発注時である平成12年度の諸経費率と消費税相当額を加算して得た本件工事の工事費額1億7913万8400円を前提として,次のとおり算出された。 ア工事の履行遅滞による損害本件工事による道路の供用開始が4か月遅れたことから,②の金額分の履行遅滞が4か月あったとして,②の金額に民法所定の年5分の割合による遅延損害金として84万5092円イ本件工事の再発注に伴う事務処理費本件工事の再発注に再度契約関係事務を行う必要があることから,その費用を②の金額に緊急地方道路整備事業における事務費率4.5パーセントを乗じ イ本件工事の再発注に伴う事務処理費本件工事の再発注に再度契約関係事務を行う必要があることから,その費用を②の金額に緊急地方道路整備事業における事務費率4.5パーセントを乗じた228万1749円ウ再発注により増加した間接の経費本件工事は,一括施工を予定していたところ,上記契約の無効と再契約により分割施工になったため,間接の経費(共通仮設費,現場管理費及び一般管理費)が増加となり,その分の費用が損害となる。その算定については,年度ごとに設定される工事単価や設計基準に差違が生じたことから,分割発注した年度ごとに本件工事に要した直接工事費合計額(①と②のうちの直接工事費)を求め,これに当初発注時である平成12年度の諸経費率と消費税相当額を加算して得た本件工事の工事費額(③)が算出される。 したがって,上記①と②の合計から同③を差し引いた456万4350円が本件工事の残工事を再発注することによる損害となる。 被告森髙工業は,平成13年12月19日,上記アないしウの合計769万1191円を奈良県に支払った。 (甲18,19,乙3,4)(5) 平成13年11月27日,Bは,奈良地方裁判所・城支部において,競売入札妨害罪により有罪の判決を受け,同判決は平成13年12月12日確定した。 罪となるべき事実の要旨は,同人が,本件入札において,①カズモリ建設株式会社の代表取締役を説得して本件JVの入札額を上回る金額で入札するように仕向けた,②入札参加JVで価格協定をして本件JVに落札させる目的で,本件入札に参加したJVの一部に本件JVの入札額を上回る価格で入札する旨の協定をして談合をした,というものであった(甲4,以下これを「本件事件」という JVで価格協定をして本件JVに落札させる目的で,本件入札に参加したJVの一部に本件JVの入札額を上回る価格で入札する旨の協定をして談合をした,というものであった(甲4,以下これを「本件事件」という。)。 (6) 原告らは,平成13年11月30日,奈良県監査委員に対し,奈良県が本件JVに対して契約金額の20パーセントに当たる3687万6000円を損害賠償請求するよう求める地方自治法242条1項に基づく住民監査請求をした。 奈良県監査委員は,上記損害賠償請求については,奈良県が主張立証責任を負うところ,上記(3)のとおりに,その立証しえる部分についてのみ請求し,談合行為がなければ形成されたであろう価格と契約金額の差額については立証が困難であるとして請求しなかった被告知事の判断が違法不当とはいえないとして,平成14年1月23日付けで上記監査請求を棄却し,そのころ原告らにこれを通知した。 (甲1,2) 2 争点奈良県が本件談合により被った損害(なお,被告森髙工業は本件事件の談合の存否も争うかのようであるが,談合の事実は甲3の1~18や上記1(5)の確定判決の存在から明らかである。) 3 争点に対する当事者の主張(原告らの主張)(1) 本件では,奈良県は,公正な自由競争により形成されたであろう落札価格と本件JVが落札した価格との差額相当額の損害を被っている。 (2) 本件において,公正な自由競争により形成されたであろう落札価格は,本件事件の談合の捜査において,競合他社が談合がなければ最低制限価格付近で落札しようとしていたと考えていたことが明らかになっていることや,予定価格や最低制限価格を公表し公正な競争が担保されている競争入札では最低制限価格での落札例が増えているこ なければ最低制限価格付近で落札しようとしていたと考えていたことが明らかになっていることや,予定価格や最低制限価格を公表し公正な競争が担保されている競争入札では最低制限価格での落札例が増えていることなどから,現実の落札価格と最低制限価格付近の価格との差額と解するべきである。 本件では,最低制限価格は前提事実(2)ア記載のとおり1億4762万7900円であったから,どれほど高くても,談合がなかったならば落札価格は1億5000万円を上回ることはなかったものである。 そうして,本件JVが工事を担当した割合は72.13パーセント(精算にかかる金額1億3299万7200円の契約金額1億8438万円に対する割合,以下「工事進捗率」という。)であるから,本来本件JVには1億5000万円に工事進捗率を乗じた1億0819万5000円のみが支払われるべきであった。 しかるに,奈良県は被告森髙工業に1億3299万7200円を支払っており,過払いとなっているから,上記各金額間の差額2480万2200円はなお奈良県の被った損害というべきである。 (3) 仮に上記(2)のとおりの損害額が認定できない場合でも,損害が生じたことが確実であるが損害の性質上その額の立証が極めて困難な場合に当たるから,民訴法248条を適用して賠償額を決する必要がある。 そして,その賠償額にあっては,同種事案での裁判例や,平成14年に改正された,契約者が競争入札に関し不正な行為をしたときは契約者は契約金額の100分の10に相当する金額を損害賠償金として納付しなければならないとの奈良県契約規則24条3条の規程を参照すると,契約金額の10パーセントに相当する1329万9720円が損害となる。 (被告知事の主張)(1) 本件事件 して納付しなければならないとの奈良県契約規則24条3条の規程を参照すると,契約金額の10パーセントに相当する1329万9720円が損害となる。 (被告知事の主張)(1) 本件事件による損害は,前提事実(4)に記載のとおりである。 (2)ア予定価格は,いわゆる実勢価格に基づいて積算され,契約金額を決定するための基準として発注者が事前に作成する見積価格であり,契約の内容に適合した履行が確保されるであろうと理解される価格である。 イこれに対し,最低制限価格は,公共工事の入札において,過当な価格競争による契約金額の不相当な低下によって受注業者の採算が著しく悪化することにより公共工事に求められている安全性と質の高い施工が確保されなくなる事態に陥ることを防止し,契約内容に適合した履行を担保するために必要な最低限の価格として設定することができるものである。 (3) 入札において,個々の業者は独自の積算をして入札価格を算定しているものと考えられるところ,これらもコンピュータの利用や公表されている業界の基準等により相当の精度で算出でき,これら算定から予定価格と最低制限価格を予想することは困難ではなく,これらから適正な利潤を反映した入札価格を決することができる。 そうすると,原告らのいうような,最低制限価格と落札価格の差額が常に奈良県の損失となるというような考え方はとりえない。 (4) 公共工事はほぼ永続的に維持されなければならない社会資本の整備を目的とするものであるから,工事関係経費の低減もさることながら,受注業者側が適正な利潤を得ることにより,施工に際しての十分な安全を確保し,適正な質の確保を図ることが相当であって,公正な競争が行われたからといって最低制限価格で落札されるものとはいえない。 がら,受注業者側が適正な利潤を得ることにより,施工に際しての十分な安全を確保し,適正な質の確保を図ることが相当であって,公正な競争が行われたからといって最低制限価格で落札されるものとはいえない。 (5) 現実に,本件の入札手続の前後に実施された奈良県の各土木事務所における入札手続のうち,平成12年10月から平成13年3月までの間の本件と類似工事(予定価格1億円から2億円程度,公募型指名競争入札を中心としたもの)の入札結果をみれば,これらの落札率(予定価格から消費税を控除した入札書比較価格と落札額の比率)は,県下の全ての土木事務所を通じて概ね98パーセントから100パーセントの範囲内である。 (被告森髙工業の主張)(1) 前提事実(4)のとおり,損害は弁済済みである。 (2) 被告森髙工業は,本件工事について,自社及び他社の見積もりを参酌して本件の入札金額である1億7560万円を決めたものである。同金額は,決して不当に高額であるとはいえない。また,上記見積もりに当たっては,奈良県が予定価格を算出する際の積算に用いられるのとほぼ同様の単価を使っているから,予定価格と近くなるのは当然であり,予定価格に近いからといって不適正な金額であるとはいえない。 (3) 原告らの指摘するような最低制限価格での落札例は,落札会社やその下請会社の経営の安定や,工事の品質等の検証を全く欠いており,そのような落札例をもって最低制限価格が適正な価格であるとすることはできない。 第3 争点に対する判断1(1) 証拠(甲3の1~18,乙13,15ないし18及びC証人)及び弁論の全趣旨に前提事実を総合すると,次の事実を認めることができる。 ア被告森髙工業は,本件工事の現場が自社に近接していたこと,平成11年,12年 乙13,15ないし18及びC証人)及び弁論の全趣旨に前提事実を総合すると,次の事実を認めることができる。 ア被告森髙工業は,本件工事の現場が自社に近接していたこと,平成11年,12年と赤字となる工事を引き受けていたことなどから,本件工事を受注する強い意欲をもち,入札に参加する他のJVに本件工事を被告森髙工業に譲ってもらいたいとの趣旨の根回しを始めた。 イ上記の根回しにより,被告森髙工業は,入札参加業者のおおむねの賛同を得たが,入札に参加する1JV(カズモリ建設,上田工務店,北谷組特定建設工事JV)が,公正な競争によるべきことを主張して当初はこれに応じなかった。 被告森髙工業は,上記JVを説得し,このため入札手続開始の時刻を遅らせるまでして被告森髙工業が本件工事を受注することに応じさせ,最終的には,前提事実(2)記載のとおり本件工事を予定価格どおりの1億8438万円で受注するに至った。 ウ競合他社は,上記入札において,工事の見積価格(消費税抜きの予定価格(入札書比較価格))は1億8000万円程度であると予想し,この工事を受注する目的で入札するのであれば,おおむね上記見積額から5ないし10パーセント程度差し引いた額で応札するだろうとの見込みを有していた。 被告森髙工業の代表者(当時)においては,本件入札がいわゆる叩き合い,すなわち談合が不奏功に終わった場合で,カズモリ建設と被告森髙工業で本件工事の受注を争う場合には,カズモリ建設のJVは1億6000万円程度で応札するのではないかとの見込みを有しており,同JVと競争するのであれば,自身の考えていた入札予定額である1億7560万円から1000万円程度は下げて応札しなければならないのではないかと考えていた。 エ各業 の見込みを有しており,同JVと競争するのであれば,自身の考えていた入札予定額である1億7560万円から1000万円程度は下げて応札しなければならないのではないかと考えていた。 エ各業者が行う工事の積算は,これに使用する単価等が公表されていることや,そのためのソフトウェアなどが存することから,おおむね各社とも同じような水準で相当正確に見積もりをたてることができ,したがってかなりの精度で予定価格や最低制限価格の予想を立てることが可能であった。 (2) 上記認定によると,本件入札が仮に公正な競争の下で行われた場合には,おおかたの業者の予想に概ね合致する1億8000万円から10パーセントを差し引いた1億6200万円の金額(消費税を加算すると1億7010万円)で落札されたものと推認すべきである。 この点に関し,証拠(甲3の8(カズモリ建設の代表者の検察官事務取扱副検事に対する供述調書))中には,カズモリ建設の代表者は本件入札には1億4000万円から1億5000万円の範囲で入札しようと考えていたとする部分が存在する。しかし,上記金額は,最低制限比較価格(消費税抜きの最低制限価格)である1億4059万8000円以下となる虞もあること,また同証拠(甲3の8)中には,1億4000万円から1億5000万円で入札すると落札しても殆ど利益がない状態であるとする部分や,入札の直前で被告森髙工業側から働きかけがあるまで,上記範囲の金額のうちいずれの金額にするか決していなかったとする部分も存在するのであり,この状況は,入札の直前の段階においても1000万円の開きのある状態で,しかも利益が殆どでない金額を検討中であるというものであって,いささか現実味に欠ける応札の姿勢というべきであること等に照らせば,前記証拠部分から,1億6200万 も1000万円の開きのある状態で,しかも利益が殆どでない金額を検討中であるというものであって,いささか現実味に欠ける応札の姿勢というべきであること等に照らせば,前記証拠部分から,1億6200万円を下回る金額で落札されたという蓋然性があったとまでは認めることはできない。 また,上記証拠以外に本件証拠上,本件入札において,公正な自由競争により形成されたであろう落札価格が最低制限価格付近になったことを認めるに足りる証拠はなく,原告らの提出する証拠(甲7ないし17)によっても,これのみでは,一般に公正な自由競争によれば常に落札価格は最低制限価格付近になるとの経験則があるとも認め難い。 他方,被告知事は,公正な自由競争により形成されたであろう落札価格は,最低制限価格になることはないうえ,自由競争によったとしても落札価格は予定価格ないしそれに近い価格となる旨主張し,乙5を提出するが,前記認定にかかる本件の入札の具体的状況に照らせば,この主張や証拠は採用することができない。 (3) 次に,本件工事の出来高分の精算についてみると,証拠(乙2,13,C証人)によると,奈良県は,前提事実(3)記載の,本件工事の施工済み出来高を精算した額1億3299万7200円(消費税込み)を算出するに当たっては,施工済みの部分に,奈良県が予定価格を算出する際に用いる工事単価や経費率等を適用したことが認められるところ,出来高を算定するに際し,奈良県が予定価格を算出するに際して使用する単価及び経費率を適用したのでは,競争入札を実施したことは無意味に帰するというべきであって,かかる精算が合理性を有しないことは明らかである。 そうして,上記のとおり,本件入札が適正な競争のもとに実施されたとすれば,落札価格が1億6200万円となり,そ 帰するというべきであって,かかる精算が合理性を有しないことは明らかである。 そうして,上記のとおり,本件入札が適正な競争のもとに実施されたとすれば,落札価格が1億6200万円となり,それに消費税を加えた1億7010万円が契約金額となったと推認されることからすれば,出来高の精算としては,上記金額に工事進捗率0.7213(上記精算額1億3299万7200円÷予定価格1億8438万円)を乗じた1億2269万3130円のみが支払われるべきであったと認められる。 (4) 上記によれば,出来高払いとなった1億3299万7200円と上記1億2269万3130円の差額1030万4070円について,奈良県はなお被告森髙工業に対し損害賠償請求権を有しているというべきである。 (5) なお,このように解すると,本件工事が完了した後に本件事件が発覚した場合よりも賠償額が多額となるが,本件工事の進行中に本件事件が発覚したとの事情があれば,本件工事を不法行為者である被告森髙工業が続行することは正義に反することとなるから,これを解消して新たに入札を実施して別の業者によって工事を続行する必要があると認められ,かかる手続等に費用が生ずることが明らかであり,この損害は,本件談合自体により奈良県が被った損害とは別個のものと考えるのが相当である。上記結果はやむを得ないものと言うべきである。 したがって,上記1030万4070円と被告森髙工業が既に奈良県に支払った金員の合計額が,本件事件という不法行為と相当因果関係を有する損害であると認められる。 2 上記検討によると,被告森髙工業は,依然として,奈良県に対し,不法行為に基づく損害賠償金として1030万4070円を支払う義務があり,被告知事は,本件口頭弁論終結時においては,同損害賠償請求 2 上記検討によると,被告森髙工業は,依然として,奈良県に対し,不法行為に基づく損害賠償金として1030万4070円を支払う義務があり,被告知事は,本件口頭弁論終結時においては,同損害賠償請求権の行使を違法に怠っているというべきである。 第4 結論原告らの請求は,被告森髙工業に対して,奈良県に1030万4070円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日である平成14年3月2日からの民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度及び被告知事が上記請求を怠る事実の確認を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余は理由がないからいずれも棄却することとし,訴訟費用について行政事件訴訟法7条,民訴法61条,64条ただし書を,仮執行宣言につき同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。 奈良地方裁判所民事部裁判長裁判官東畑良雄 裁判官大澤晃 裁判官松阿弥隆
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