平成12(ワ)391 不動産仲介手数料請求

裁判年月日・裁判所
平成15年1月15日 岡山地方裁判所 倉敷支部
ファイル
hanrei-pdf-8028.txt

判決文本文14,256 文字)

主文 被告らは,原告に対し,連帯して金171万3600円及び内金85万6800円に対する平成12年8月21日から支払済みまで年6分の割合による金員を,内金85万6800円に対する平成12年8月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告の被告らに対するその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,これを5分し,その4を被告らの負担とし,その余を原告の負担とする。 この判決は,1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1請求被告らは,原告に対し,連帯して金226万8000円及びこれに対する平成12年8月21日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,不動産仲介業者である原告が,不動産の売主及び買主である被告らから売却及び購入の各仲介を依頼され,その斡旋業務に着手したにもかかわらず,被告らが共謀して原告に対する仲介手数料の支払いを免れる目的で直接売買を成立させたとして,被告らに対し,民法130条(条件成就妨害による効果)及び共同不法行為(報酬請求権の侵害)を主張し,仲介手数料相当額(売買代金額の3パーセントに6万円及び消費税分を加算した額)の支払いを求める事案である。 争いのない事実(1)原告は,不動産の売買・仲介・管理を業とする有限会社である。 (2)被告Dは,平成12年8月21日付けで,同被告所有の別紙物件目録記載の土地,建物(以下「本件不動産」という)を,被告Cに売却し,同。 ,。 日本件不動産につき被告Dから被告Cへの所有権移転登記手続を了した 争点 (1)原告と被告D及び被告Cとの本件不動産仲介契約の成否(2)原告の仲介行為と被告らの直接取引との相当因果関係の有無(3)被告らの共同不法行為の成否第3当事者の主張 争点1(原 争点 (1)原告と被告D及び被告Cとの本件不動産仲介契約の成否(2)原告の仲介行為と被告らの直接取引との相当因果関係の有無(3)被告らの共同不法行為の成否第3当事者の主張 争点1(原告と被告D及び被告Cとの本件不動産仲介契約の成否)について(原告)(1)原告は,平成11年9月13日ころ,被告Dから本件不動産につき売却の斡旋仲介の委託を受け,同被告との間に売買契約成立時に相当額の報酬を支払うことを停止条件とする仲介契約を締結した。 (2)平成12年5月27日,原告は,原告の本件不動産の広告を見た被告Cから本件不動産の案内を依頼され,同案内をしたのち,被告Cから本件不動産につき買受けの斡旋仲介の委託を受け,同被告との間に売買契約成立時に相当額の報酬を支払うことを停止条件とする仲介契約を締結した。 (被告ら)(1)原告と被告Dとの間の仲介契約の成立を否認する。 被告Dは本件不動産の3500万円での売却を希望していたところ,原告が被告Dに無断で被告Cに対し3000万円で契約をまとめる旨伝えて,平成12年6月9日,被告Cから手付金300万円を預かってきたが,被告Dは同金員の受取りを拒否したうえ,本件不動産の売却を断念し,原告に本件不動産の仲介を断る旨告げた。よって,原告と被告Dとの間に仲介契約は成立しなかったものである。 (2)原告と被告Cとの間の仲介契約の成立を否認する。 ただし,平成12年5月27日,被告Cが原告から本件不動産の所在を聞いて見に行ったことは認める。 争点2(原告の仲介行為と被告らの直接取引との相当因果関係の有無)について(原告)(1)原告は,被告Dとの仲介契約及び被告Cとの仲介契約に基づき,以下のとおり仲介業務を行った。 ①原告は,被告Dの委託を受け,平成11年9月13日ころ,被告Dから本件不 )について(原告)(1)原告は,被告Dとの仲介契約及び被告Cとの仲介契約に基づき,以下のとおり仲介業務を行った。 ①原告は,被告Dの委託を受け,平成11年9月13日ころ,被告Dから本件不動産の売却に必要な建築確認許可書,開発許可書,間取図,建物工事請負契約書などを借り受け,これら書類に基づいて広告用の資料を作成し,同年9月25日に同資料を宅建協会日報に登録した。 その後,チラシ広告や,雑誌「J」に本件不動産の広告を掲載し,買い主を募集したが,本件敷地が市街化調整区域であるうえ,道路がないことで買い手がつかなかった。 ②そこで,原告代表者Bは,本件不動産の西側通路の所有者である訴外Eを何度か訪問し,平成12年3月29日,同訴外人から同西側通路の通行につき同意をとった。 ③平成12年4月15日,16日の両日,原告は,山陽新聞に折り込みチラシを入れ,売買価格を3500万円に設定して本件不動産に関するオープンハウスを開催した。しかし,買い手がつかなかった。 ④平成12年5月27日,原告は本件不動産の広告を見た被告Cから現地に案内してほしいと連絡を受け,現地を案内したところ,被告Cは本件不動産を気に入り購入したいとの希望を述べた。 ⑤被告Cが本件不動産を購入するためには住宅ローンによる融資を受ける必要があった。しかし,同被告が融資を受けようとしていた訴外中国銀行,,m支店では本件不動産が市街化調整区域に指定されていることを指摘し融資に難色を示した。そこで,原告代表者Bは,同行支店長に会って融資の再検討を依頼するとともに,同行行員を伴って倉敷市役所建築指導課を訪れ,同課員から市街化調整区域でもやむをえない事情があるときには再建築も可能であるとの回答を貰った。そして,同回答の結果,被告Cへの住宅ローンによる融資は実行可能となった て倉敷市役所建築指導課を訪れ,同課員から市街化調整区域でもやむをえない事情があるときには再建築も可能であるとの回答を貰った。そして,同回答の結果,被告Cへの住宅ローンによる融資は実行可能となった。 ⑥原告は,被告Cに,被告Dが3500万円での売却を希望していることを伝えたが,被告Cは3000万円での購入を希望したので,原告は,3000万円で被告Dと交渉してみることにした。そこで,被告Cに手付金300万円を用意させ,平成12年6月10日ころ,同金員を預かり,被告D宅を訪ね,売買代金3000万円の条件を提示し,手付金300万円を持参してきたことを述べた。しかし,被告Dは,売買代金3000万円では応じられないこと,三女に相談してからでないと回答できないが,三女が海外旅行へ行くので交渉は帰国した後となる旨述べた。 その10日後ころ,被告Dから原告に電話で,あらためて3000万円では応じられないとの連絡があったので,原告は被告Cから預かっていた手付金300万円を同被告に返還した。 ⑦同年6月27日に,原告は被告Dから電話で3400万円であれば売却してもよいと告げられた。 ,,。 ,,そこで原告は被告Cに上記被告Dの意向を伝えたその23日後被告Cから3400万円で買い受けることを了承するとの回答があったので,その旨を被告Dに伝え,同被告も了承した。ここに,原告の仲介により,被告ら間において,本件不動産を代金3400万円で売買することの合意がほぼ成立した。 ⑧原告は,被告Cから,被告ら間で家の明け渡しや家財道具の引き受けの話をするとの話があったので,その結果を待って売買契約書を作成するつもりであった。 他方,同年7月3日,被告Cは,売買代金3400万円,仲介業者原告などと記載した住宅ローン融資の申込書を訴外中国銀行m支店に提出 話があったので,その結果を待って売買契約書を作成するつもりであった。 他方,同年7月3日,被告Cは,売買代金3400万円,仲介業者原告などと記載した住宅ローン融資の申込書を訴外中国銀行m支店に提出し。 ,,。 た原告は同申し込みに必要な添付書類を整え同銀行支店に持参した(2)平成12年8月7日に,被告Dから,原告に対し「本件不動産の売買をやめたい」との電話があり,原告は同被告が本件不動産の売買を破棄したものと理解し,買主である被告Cに迷惑がかかってはいけないと思い,翌8日にファックスで同被告に対しその旨を伝え,あらためて同月10日に葉書で詫び状を送り,訴外中国銀行m支店長にも本件不動産売買が中止になったことを連絡した。 しかし,被告らは,同年8月7日以前に,本件不動産売買の直接取引を合意し,同年8月3日には,訴外中国銀行m支店に赴き従前に申し込んでいた住宅ローンの融資実行の手続をなし,同月6日には同支店において本件不動産売買の仮契約を締結した。被告Dが原告に本件不動産売買の中止を連絡したのは,同仮契約締結の翌日である。 被告ら間においては,同年8月21日付けで代金3280万円で売買契約書が作成され,同日,所有権移転登記が経由されたが,被告ら間において本件不動産売買の直接取引の合意がなされたのは,同年8月2日以前であり,代金3280万円は当初合意した代金3400万円から原告に支払うべき仲介手数料120万円を控除した金額である。 よって,被告ら間の直接取引による売買は,原告の仲介によりほぼ成立した代金3400万円の売買に基づくものである。 (被告ら)(1)被告Dは,平成12年6月9日に原告が手付金300万円を持参し3000万円での売買の話をもってきた時に,原告代表者Bのやり方が同被告の意向を無視した強引なものであったので, る。 (被告ら)(1)被告Dは,平成12年6月9日に原告が手付金300万円を持参し3000万円での売買の話をもってきた時に,原告代表者Bのやり方が同被告の意向を無視した強引なものであったので,原告の仲介を明確に断った。 その後,同月22日に,被告Cが被告Dを訪ねてきたが,その際,原告代表者Bが,被告らが互いに話をしないようし向けていたことや,被告Cに,,被告Dや三女やその夫の悪口を言っていたことが明らかになり被告Dは原告にあらためて電話で本件不動産の仲介を断った。 上記断り以前に原告が行った仲介業務は,原告が勝手に行ったものであり,仲介契約に基づくものではない。 (2)被告Cは,被告Dが本件不動産の3000万円での売却を拒否したことを原告から告げられ,原告に預けた手付金300万円の返還を受けた時点で,本件不動産売買の話はなくなったものである。したがって,その後に原告と被告Cとの間において本件不動産購入の仲介行為はありえない。 住宅ローンによる融資は,本件不動産売買が架空のものであることを前,,,提にどれくらいの融資が受けられるか試しに行ったものであり原告も訴外中国銀行もそのことを承知していた。 (3)被告Dが本件不動産を被告Cに売却するつもりになったのは,同年8月2日に,被告C夫婦が被告Cの妻の母親である訴外を伴って被告Dを訪問した際,被告Dが訴外Fに,原告代表者Bの不誠実な態度に嫌気が差して原告の仲介による売却を断念したが,本心は本件不動産を売却して大阪に居住する三女と同居したいと考えていることなどを話し,訴外Fが原告のやり方に対する義憤と被告Dに対する同情から,被告Cをして本件不動産を購入してもよいと考えるようになり,本件不動産の売買の話が成立する方向に進んでいったものである。被告Dは内心では3300万円なら売 やり方に対する義憤と被告Dに対する同情から,被告Cをして本件不動産を購入してもよいと考えるようになり,本件不動産の売買の話が成立する方向に進んでいったものである。被告Dは内心では3300万円なら売却してもよいと考えていたので3300万円の金額を提示し,被告Dが大阪に転居するまで引渡しを猶予することになって20万円の減額をした3280万円という代金額で合意が成立した。 よって,被告ら間の直接取引は原告の仲介行為になんら基づかないものである。 争点3(被告らの共同不法行為の成否)について(原告)(1)仲介契約は,売買契約成立を停止条件に相当額の報酬を支払うことを約したものであるから,依頼者が故意に停止条件の成就を妨げたときは,その条件を成就したものとして,仲介者はその報酬を請求しうる(民法130条。被告らは,共謀して,原告に支払うべき各仲介報酬料を免れるた)めに,被告ら間において直接取引を行い,代金3300万円で本件不動産の売買契約を成立させ,原告に同仲介報酬料相当額の損害を与えたものである。 (2)原告の仲介行為により本件不動産売買が成立した場合には,被告らはそれぞれ,原告に相当額の仲介報酬料を支払うべきであり(商法512条,)同報酬額については,売買代金額の3パーセントに6万円を加算した額であるとする慣行がある。原告の仲介により成立したはずの売買代金額は3400万円であるから,原告は被告らそれぞれに対し,各113万4000円(消費税分含む)の報酬を請求しえたはずである。よって,原告の報酬ないし損害は,226万8000円である。 被告らは,連帯して226万8000円及びこれに対する商事法定利率年6分の割合のよる遅延損害金を支払うべきである。 (被告ら)(1)共同不法行為の成立は否認する。 (2)損害については争う。 被告らは,連帯して226万8000円及びこれに対する商事法定利率年6分の割合のよる遅延損害金を支払うべきである。 (被告ら)(1)共同不法行為の成立は否認する。 (2)損害については争う。 第4裁判所の判断 本件経緯及び当事者らの関係について,。 原告と被告らとの関係被告ら間の売買成立までの経緯は次のとおりである証拠(甲1ないし4,6ないし14,17,乙1ないし3,4の(1),(2),5ないし8,10ないし13,15,17ないし19,22の(1),(2),証人G,同E,同F,同H,原告代表者1回,2回,被告D)及び弁論の全趣旨によれば,次のとおり認められる。 (1)被告D(昭和7年3月15日生)は,本件不動産を売却して,大阪に転居し,三女夫婦と同居したいと計画していた。そこで,被告Dは平成11年7月ころ,I不動産ほか2軒の不動産業者を介して本件不動産を4200万円で売りに出したが,買い手が見つからなかった。 原告は,平成11年9月ころ,被告Dが本件不動産の売却を希望していることを知り,被告Dに原告を介して売却することを勧めた。被告Dは原告の勧めに応じることとした。原告は,被告Dから本件不動産に関する建築確認許可書,開発許可書,間取図,建物工事請負契約書など(甲6ないし10)を借り受け,これら書類に基づいて広告用の資料を作成し,同年9月25日に同資料を宅建協会日報に登録したのち,チラシ広告や,雑誌「J」に,売却物件として価格4200万円で本件不動産の広告を掲載した(甲12。チラシ広告に上記「登録年月日」として「平成11年9月25日」と記載されている。しかし,価格設定が高額であったこともあり。)買受希望者がなかった。 その後,平成12年1月に,被告Dは訴外K不動産と専属的仲介契約を,,,,締結したのでその間 日」と記載されている。しかし,価格設定が高額であったこともあり。)買受希望者がなかった。 その後,平成12年1月に,被告Dは訴外K不動産と専属的仲介契約を,,,,締結したのでその間原告は広告等を控えていたが同年3月20日に被告Dが訴外K不動産との専属的仲介契約を解除したので,原告と被告Dとは再び従前の関係を復活した。 (2)原告代表者Bは,本件不動産(敷地)が公道に接道していないという問題を解決するために,本件不動産の南側隣接地所有者である訴外Eを3回訪問した。被告Dと訴外Eは姉弟の間柄であったが,以前,被告Dが本件不動産から公道に出るために訴外E所有の南側隣接地の東端通路以下東(「側通路」という)を買い取りたいと申し出て,裁判にまでなった経緯も。 あり,その関係は良好とは言い難いものであった。東側通路の通行は拒否されたが,訴外Eは本件不動産の西側隣接地(倉敷市ef番g,以下「西側通路」という)の通行については,同意してくれた。そこで,原告は,。 平成12年3月29日,通行地役権の設定に同意する旨の「念書(甲1)」の本文を用意し,同訴外人の署名をもらった。 (3)原告は,被告Dを説得して価格を3500万円と設定することとし,同被告の承諾を得て,平成12年4月15日,16日の両日にオープンハウスを開催することを計画した。そして,同被告にオープンハウス開催のために,本件不動産と西側通路との境のブロック塀を一部取り壊すよう進言し,工事費の安い業者を紹介した。ブロック塀取り壊し工事後,原告は山陽新聞に折り込みチラシ(甲11)を入れ,オープンハウス開催を広告したが,やはり買受希望者が現れなかった。 (4)平成12年5月27日,原告は,本件不動産の広告を見た被告Cから現地に案内してほしいとの連絡を受け,現地に案内 11)を入れ,オープンハウス開催を広告したが,やはり買受希望者が現れなかった。 (4)平成12年5月27日,原告は,本件不動産の広告を見た被告Cから現地に案内してほしいとの連絡を受け,現地に案内したところ,同被告夫婦は本件不動産を気に入り購入したいとの希望を述べた。 (5)被告Cが本件不動産を購入するためには住宅ローンによる融資を受ける必要があった。しかし,同被告が融資を受けようとしていた訴外中国銀行m支店は,本件不動産が市街化調整区域に指定されていることを指摘し,融資が難しいかもしれないと同被告に告げた。そこで,原告代表者Bは,同行支店長に会って融資の再検討を依頼するともに,同行行員を伴って倉敷市役所建築指導課を訪れ,同課員から市街化調整区域でもやむをえない事情があるときには再建築も可能であるとの回答を貰った。そして,同回答の結果,被告Cへの住宅ローンによる融資は実行可能となった。 (6)原告代表者Bは,被告Cに,被告Dが3500万円での売却を希望していることを伝えたが,被告Cは資金面で3000万円以上での購入は難しいと述べ,3000万円での購入を希望した。原告は,不動産業者として3500万円の価格設定はやや高額ではないかと思っていたこともあり,取り敢えず3000万円で被告Dと交渉してみることにした。そこで,買手の熱心さが伝わるようにと,被告Cに手付金300万円を用意させ,同金員を預かり,平成12年6月9日ころ,被告D宅を訪ね,売買代金30,。 00万円の条件を提示し手付金300万円を持参してきたことを述べたしかし,被告Dは,代金3000万円では応じられないこと,三女に相談してからでないと回答できないが,三女が海外旅行へ行くので帰国後に相談すると述べた。 同年6月19日ころ,被告Dは原告に電話で,あらためて代金3000万 3000万円では応じられないこと,三女に相談してからでないと回答できないが,三女が海外旅行へ行くので帰国後に相談すると述べた。 同年6月19日ころ,被告Dは原告に電話で,あらためて代金3000万円では応じられないこと,3400万円以下では売るつもりはないことを伝えた。原告は,直ちに被告Cに3000万円での話はまとまらなかったことと,価格が3400万円になった旨を伝えた。 (7)被告C夫婦は,同年6月22日,被告Dを訪問した。その際,原告代表者Bのことに話が及び,被告Dは,原告代表者Bが被告らが互いに話し合わないように仕向け,被告Cに被告Dや同被告の三女やその夫を中傷する内容の事柄(惚けているとか,強欲だなど)を言ったり,また被告Dに対しなんらの打診もなく低価格の3000万円の売買の話をもってきたことを知り,原告代表者Bに対して憤懣を抱き,不信感を強めた。そのため,原告を介して本件不動産を売却することに積極的になれず,被告Cにも本件不動産を売却するつもりはなくなったと述べた。 (8)翌23日,原告は被告Cの求めに応じて,同被告から預かっていた手付金300万円を返還した。 (9)しばらくして,同年6月30日前ころに,原告は被告Cから電話で3400万円で購入の意思があることを告げられた。そして,代金が3400万円だった場合の買主の用意すべき諸費用合計額,自己資金1000万円の場合の融資を受けるべき金額につき問い合わせを受けた。原告は,これに応じて,同月30日に同被告にファックスを送信した(乙3。同送信)後,被告Cの妻は原告に電話して,さらにその詳細につき説明を求めた。 その際,原告は,仲介手数料は約120万円であると説明した。 (10)原告は,被告Cから,被告ら間で家の明け渡しや家財道具の引き受けの話をするとの報告を受けており,原告 その詳細につき説明を求めた。 その際,原告は,仲介手数料は約120万円であると説明した。 (10)原告は,被告Cから,被告ら間で家の明け渡しや家財道具の引き受けの話をするとの報告を受けており,原告代表者Bは被告Dとの関係がなんとなくぎこちなくなったことを感じていたので,原告から被告Dに直接連絡することはしなかったが,被告Cからの報告で,被告らが親しく付き合っていることを窺い知ることができ,被告らで上記交渉をしているものと考えていた。 他方,被告Cは,同年7月3日,原告代表者Bを伴って訴外中国銀行m支店に行き,住宅ローン融資の申込書を提出した。同申込書には,売買代金3400万円,融資希望額2720万円,仲介業者原告などと記載した。 原告は,被告C及び同銀行の要請を受け,早速,同申し込みに必要な添付書類(売買契約書案,訴外Eの西側通路の通行に同意する旨の「念書,」本件不動産の登記簿謄本公図地図を整え同銀行支店に持参した甲,,),(14。 )同年7月7日,同銀行支店から被告Cに融資決定の通知があった。 同通知があったのと同じころに,被告Dは,原告及び被告Cに,本件不動産の売却を断る旨の電話をした。そこで,被告Cは,同銀行支店に対し融資の実行を待ってくれるよう連絡した。 (11)被告Cは,一旦は本件不動産の購入を諦めかけていたが,同年8月1日以前に,被告Cの妻の母親である訴外Fを伴って被告Dを訪ねた。訴外Fは,被告Dと親しく話を交わすうちに,被告Dが原告代表者Bに対し不満と怒りをもっていることを知った。 被告Dの不満は次のような点であった。 ①被告Dの三女に本件不動産の登記簿謄本を送付し,同被告がまだ秘密にしておきたかった借金があることを喋ったため,一時的に三女との関係が悪化したこと。 ②被告Dに紹介したブロック塀の 点であった。 ①被告Dの三女に本件不動産の登記簿謄本を送付し,同被告がまだ秘密にしておきたかった借金があることを喋ったため,一時的に三女との関係が悪化したこと。 ②被告Dに紹介したブロック塀の取り壊し工事の業者の仕事が拙劣であったこと。 ③被告Cに被告D本人や三女やその夫の悪口を言ったこと。 ④被告らが互いに話をしないよう仕向けていたこと。 ⑤3000万円の売買の話はあまりにも被告Dの意向を無視し強引なやり方であったっこと。 (因みに,原告代表者が仲介業者として非難されるべきは上記③の点であり,そのほかの点は特段に非難されるべき事柄とは認められない)。 訴外Fは,被告Dが原告代表者Bの不誠実な態度に嫌気が差して原告の仲介による売買を拒否しているものの,本心は本件不動産を売却して大阪に居住する三女と同居したいと考えていることを知り,そうであれば,被告Cも本件不動産が気に入っているのであるから,被告ら間で直接取引をすればよいと提案した。 被告Dは,訴外Fと話をするうちに,次第に被告Cに本件不動産を売ってもよいと思うようになった。そして,代金額については,従前3400万円の話があり,すでに2720万円の銀行融資が決定していることを前提に,家の明け渡しを代金支払い後しばらく猶予してもらうこと,家財道具を被告Cが引き受けること等を考慮して,被告ら間で3280万円で合意した。 被告Dは,仲介業者である原告を除外して売買を成立させてよいものか迷ったが,訴外Fは「私が責任をもつ」と答えて,同被告を安心させた。 。 なお,被告らは,被告ら間で直接取引が成立したのは同年8月2日午後であると主張しているが,訴外Fが被告Dを訪ねた同年8月2日午後2時ころには,被告Dは市役所において印鑑証明を取る手続をしていたことは明らかであり(乙18,また同被告の三 立したのは同年8月2日午後であると主張しているが,訴外Fが被告Dを訪ねた同年8月2日午後2時ころには,被告Dは市役所において印鑑証明を取る手続をしていたことは明らかであり(乙18,また同被告の三女も同2日に印鑑証明の交付を受)けていることを照らすと,訴外Fが被告Dを訪ね,被告ら間に直接取引が成立したのは,同年8月2日ということはありえず,同年8月1日以前であると認められる。 ,,。 (12)その後の同年8月2日被告Dは市役所で印鑑証明書の交付を受けた翌3日,被告Cは,被告Dとともに中国銀行m支店に赴き住宅ローンの融資実行の手続をなし,同月6日には同支店において被告ら間で本件不動産売買の仮契約を締結し(乙14,被告Cは手付金200万円を被告Dに)支払った。 (13)仮契約締結翌日である同年8月7日に被告Dは原告に対し電話で胸,,「に手を当てて考えなさい」といい,本件不動産の売買をやめた旨を告げ。 た。被告ら間ですでに直接取引が成立したことを知らない原告は,被告Dの「胸に手を当てて考えなさい」という言葉の真意は掴めなかったが,。 同被告が原告に不満を抱き仲介契約を解除し,かつ被告Cとの本件不動産の売買を破棄したものと理解した。そして,買主である被告Cに迷惑がか,(),かってはいけないと思い翌8日にファックス乙11で同被告に対し本件不動産は売却されないことになった旨を伝え,同日,被告Dの三女にもファックス(乙13)で報告し,保管している訴外Eの西側通路に関する通行同意の「念書」を被告Dに返還する旨を言い添えた。そして,被告Cには,あらためて同月10日に葉書(乙12)で詫び状を送り,また訴外中国銀行m支店長にも本件不動産売買が中止になったことを連絡した。 (14)被告らは,その後,同年8月21日付けの売買契 て,被告Cには,あらためて同月10日に葉書(乙12)で詫び状を送り,また訴外中国銀行m支店長にも本件不動産売買が中止になったことを連絡した。 (14)被告らは,その後,同年8月21日付けの売買契約書を作成し,同日,本件不動産につき所有権移転登記が経由された(乙8。 ) 争点1(原告と被告D及び被告Cとの間の本件不動産仲介契約の成否)について(1)不動産仲介契約(媒介契約ともいわれる)は,一般に,不動産業者が依頼者から当該不動産につき売却ないし買受けの斡旋仲介の委託を受け,依頼者との間に売買契約成立時に相当額の報酬を支払うことを停止条件とする契約である。 (2)原告と被告Dとの間において,本件不動産仲介契約に関する契約書は作成されていないが,前記認定事実によれば,原告が被告Dのために広告,買受希望者との交渉等の行為を行っていた事実が認められ,遅くとも被告Dが原告に本件不動産の広告を載せることを同意した平成11年9月末ころには,口頭で,本件不動産売却に関する仲介契約が成立したものと認められるが,同契約は一旦中断し,被告Dが訴外K不動産との専属的仲介契,,,約を解除した平成12年3月20日ころに関係が再開されこの時点であらためて,口頭により,本件不動産売却に関する仲介契約が成立したものと認めることができる。 (3)原告と被告Cとの間においても,本件不動産の仲介契約に関する契約書は作成されていないが,前記認定事実によれば,被告Dと売買の交渉を行い,住宅ローンの融資の申し込みを援助した事実に照らすと,平成12年5月27日,原告の本件不動産の広告を見た被告Cを現地に案内し,同被告が買い受けの意思を示したときに,口頭により,本件不動産買受けに関する仲介契約が成立したものと認めることができる。 被告Cは,本件不動産による住宅ロ 本件不動産の広告を見た被告Cを現地に案内し,同被告が買い受けの意思を示したときに,口頭により,本件不動産買受けに関する仲介契約が成立したものと認めることができる。 被告Cは,本件不動産による住宅ローンの融資の申し込みは,試しにしたものであり,融資を受ける真意はなく,原告も訴外中国銀行m支店もそのことを承知していたから,原告の行為はなんら仲介行為に当たらないと主張するが,融資決定後,被告Dから売却の意思がない旨告げられても,訴外中国銀行m支店に同融資を断らないばかりか,融資実行を留保してほしいと頼んだ事実に照らしても,被告Cの主張は詭弁であって,到底信用することができない。 争点2(原告の仲介行為と被告らの直接取引との相当因果関係の有無)について(1)前記認定事実によれば,被告Cが電話で3400万円で購入の意思があることを原告に告げた平成12年6月30日前ころには,原告の仲介により被告ら間に代金が3400万円の売買契約が成立する予定であったものと認められる。ただ,この時点では,売主である被告Dにおいては,原告代表者Bに対する感情的な問題から仲介契約を維持するかどうか,その結果として被告Cとの売買契約を維持するかどうかについて心理的に揺れていたものであり,ときには本件不動産の売却の意思がなくなったと述べることもあったが,売却の意思を完全になくしたわけでもないような状態であったと認められる。そのことを,原告代表者Bは感じていたからこそ,被告Dと直接話をすることを避けていたし,被告Cも,売買代金3400万円を前提とした住宅ローン融資の申し込みをしたのであり,融資決定後は,融資実行の有無を問う訴外中国銀行m支店に対し,中止になったとは告げず,保留してくれるよう頼んでいたものである。 (2)以上のような状況にあった被告Dが,本件不動産 みをしたのであり,融資決定後は,融資実行の有無を問う訴外中国銀行m支店に対し,中止になったとは告げず,保留してくれるよう頼んでいたものである。 (2)以上のような状況にあった被告Dが,本件不動産の売却の意思を明確にしたのは,訴外Fの関与があったからである。訴外Fが被告Dと話をしたからこそ,被告Dが本件不動産売却を決心したものと認められる。 しかし,被告Dの同決心は,原告の仲介によってすでに成立予定となっていた被告ら間の売買契約を確定的にしたものにすぎず,被告らが取り決めた売買代金額3280万円も成立予定であった3400万円の代金額を基礎に合意したものと認められる。これら事実に照らすと,原告の仲介行為と被告ら間の直接取引との間には相当因果関係が存在するものと認められる。 被告Dが,訴外Fの関与によって,全く新たに被告Cへの売却の意思をもったと認めることはできない。 争点3(被告らの共同不法行為の成否)について(1)仲介契約は,売買契約成立を停止条件に相当額の報酬を支払うことを約す契約であるから,依頼者が故意に停止条件の成就を妨げたときは,その条件を成就したものとして,仲介者は依頼者にその報酬を請求しうるものであり(民法130条,報酬額の取りきめがないときには,相当額の仲)介報酬料を支払うべきである(商法512条。 )よって,原告に対し,被告Dは売却仲介にかかる報酬を,被告Cは買受仲介にかかる報酬をそれぞれ支払わなければならない。 (2)同報酬額について,原告は,被告らとの間において,売買代金額の3パーセントに6万円を加算した額であるとする慣行があると主張するが,これを認めるに足りる証拠はない。 同報酬額については,宅建業法46条1項,昭和45年建設省告示1552号に定める最高限度額108万円(売買代金額の3パーセントに6万 とする慣行があると主張するが,これを認めるに足りる証拠はない。 同報酬額については,宅建業法46条1項,昭和45年建設省告示1552号に定める最高限度額108万円(売買代金額の3パーセントに6万円を加算した額)の範囲内において,仲介の難易,仲介行為の内容及び程度,期間,労力,仲介業者の寄与度,委任者との関係,その他諸般の事情を斟酌して判断すべきである。前記1「本件経緯及び当事者らの関係」で認定した経過及び事情に照らすと,各被告が支払うべき報酬額としては,成立予定であった売買代金額3400万円の3パーセント(102万円)の80パーセント(81万6000円)に消費税分5パーセントを加算した85万6800円をもって相当額と考える。 3400万円×0.03×0.8×(1+0.05)=85万6800円その他,上記認定を左右するに足りる証拠はない。 よって,被告らはそれぞれ,原告に対して,仲介報酬として85万6800円及びこれに対する本件不動産の売買を原因とする所有権移転登記が済んだ平成12年8月21日から支払済みまで商法所定の年6分の割合による遅延損害金の支払義務がある。 (3)被告らは原告を除外して直接取引をしたのであるが,このことにより,被告Cは原告の被告Dに対する報酬請求権を侵害し,被告Dは原告の被告Cに対する報酬請求権を侵害したことになり,いずれも民法709条による債権侵害と認めることができる。 ,。 各被告は原告が受けるべき各報酬相当額につき損害賠償すべきであるよって,各被告はいずれも原告に対し,損害賠償として85万6800円及びこれに対する上記平成12年8月21日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払義務がある。 (4)上記被告Dの報酬支払義務と被告Cの損害賠償支払義務は,損害賠償支払義務の限度で不真正 対する上記平成12年8月21日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払義務がある。 (4)上記被告Dの報酬支払義務と被告Cの損害賠償支払義務は,損害賠償支払義務の限度で不真正連帯債務の関係にあり,また,被告Cの報酬支払義務と被告Dの損害賠償支払義務も,損害賠償支払義務の限度で不真正連帯債務の関係にある。 結論 以上の次第であり,原告の本件請求は,各被告に対し,いずれも仲介報酬85万6800円及び債権侵害による損害賠償金85万6800円と仲介報酬に対する商法所定の遅延損害金(年6分)及び損害賠償金に対する民法所定の遅延損害金(年5分)の支払いを求める限度で理由がある。 なお,仮執行宣言の申立は相当であるから,これを付することとする。 岡山地方裁判所倉敷支部裁判官宮本由美子(別紙添付省略)

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る