主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1当事者の求めた裁判1控訴人(1)原判決を取り消す。 (2)麻布税務署長が控訴人に対してした以下の各処分をいずれも取り消す。 ア控訴人の平成15年2月1日から平成16年1月31日までの事業年度分の法人税について平成18年7月31日付けでした更正処分のうち,所得金額マイナス1億2923万7750円(欠損,納付すべき税額0円)を超える部分並びに平成17年7月29日付け及び平成18年7月31日付け各重加算税の賦課決定処分イ控訴人の平成16年2月1日から平成16年3月31日までの事業年度分の法人税について平成17年7月29日付けでした更正処分のうち,所得金額0円,納付すべき税額0円を超える部分及び重加算税の賦課決定処分ウ控訴人の平成15年2月1日から平成16年1月31日までの事業年度分以後の法人税について平成17年6月30日付けでした青色申告承認取消処分 被控訴人主文同旨第2事案の概要 事案の要旨控訴人はその保有するP1株式会社以下P1社というの株式以,(「」。)(下本件株式というを同じP2グループ内のスイス法人であるP3以「」。),( 下「P3社」という)に譲渡し,同社がその後,同株式をP4株式会社(以。 下「P4」という)に譲渡したとして,P3社に対する譲渡額に基づいて確。 定申告をしたところ,麻布税務署長(処分行政庁)が,控訴人はP4に本件株式を直接譲渡したものであり,上記各譲渡は,譲渡益課税を回避するための仮装行為であるなどとして,第1の1(2)記載の各処分をした。 本件は,控訴人が被控訴人(国)に対し,上記各処分の取消しを求めた事案である。 原判決は,本件訴 各譲渡は,譲渡益課税を回避するための仮装行為であるなどとして,第1の1(2)記載の各処分をした。 本件は,控訴人が被控訴人(国)に対し,上記各処分の取消しを求めた事案である。 原判決は,本件訴えのうち,麻布税務署長が平成18年7月31日付けで控訴人に対してした,控訴人の平成15年2月1日から平成16年1月31日までの事業年度分の法人税についての重加算税の賦課決定処分の取消しを求める部分を却下し,控訴人のその余の請求をいずれも棄却したため,控訴人が原判決を不服として控訴した。 法令等の定め,争いのない事実等,争点及び争点に関する当事者の主張の要旨は,次の4において控訴理由の要旨を付加するほか,原判決の「事実及び理由」欄の「第2事案の概要」の1ないし4(原判決3頁4行目から11頁11行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 控訴理由の要旨(1)控訴人主張譲渡1に至る経過アP2グループは,平成11年(1999年)11月ころから,日本法人である控訴人からP3社又はグループ内の他の外国法人に対して本件株式を譲渡することをグループ戦略として検討していた。その目的は,将来,本件株式の評価が上昇した場合の譲渡益課税の軽減,P1社が配当をすることになった場合の配当課税の軽減及びより効果的なグループ管理にあった。しかし,P3社への本件株式の譲渡は,少数株主との調整が必要であったことや担当者が多忙であったことなどから,この時点ではされなかった。 イP1社は,借入れによる資金調達に困難を生じたことから,平成14年()(,。 2002年2月にP5社直接にはその運営するP31及びP32原判決4頁参照)の出資を受けたが,同社は,P1社が将来,株式公開をすることをその条件としていた。 株式公開は,通常,新株発行のほ 。 2002年2月にP5社直接にはその運営するP31及びP32原判決4頁参照)の出資を受けたが,同社は,P1社が将来,株式公開をすることをその条件としていた。 株式公開は,通常,新株発行のほか,既存株式の譲渡を伴うものであって,既存株主(本件株式の株主)である控訴人に株式公開時に譲渡益が発生する可能性があり,また,控訴人が株式公開後,本件株式を譲渡する場合にも譲渡益が発生する可能性があるため,譲渡益課税に対処する必要があった。また,P1社が株式公開をする場合には株主に配当を支払うことになるのが通常であるから,配当課税にも対処する必要があった。 そして,①日本の税法では,内国法人がその保有する子会社株式を処分したことによる譲渡益に対しては,40%を超える実効税率による課税がされるが,日本に恒久的施設を有しない外国法人がその保有する内国法人の株式を処分したことによる譲渡益については(当該譲渡が行われた事業年度終了の日以前3年以内に日本企業の発行済株式の25%以上を保有し,。),ており当該事業年度内に発行済株式の5%以上を譲渡した場合に限る,(,,上記税率は30%に軽減される法人税法138条1号141条4号,,)。 ,143条1項同法施行令187条1項3号ロ187条6項さらにスイスの居住者が日本で株式を処分したことによる譲渡益については,日本‐スイス間の租税条約13条3項が適用され,日本において課税は生じない。したがって,日本に恒久的施設を持たないスイス法人に本件株式をあらかじめ移転しておけば,将来,同社から第三者に本件株式を譲渡した場合の日本における譲渡益課税を軽減することができ,有利であった。②また,日本の税法では,会社が内国法人である株主に配当をする場合,配当額に対する源泉徴収税率は20%であるのに に本件株式を譲渡した場合の日本における譲渡益課税を軽減することができ,有利であった。②また,日本の税法では,会社が内国法人である株主に配当をする場合,配当額に対する源泉徴収税率は20%であるのに対し,株主が日本に恒久的施設を持たないスイス法人である場合には,日本-スイス間の租税条約1 0条の適用があり(当該スイス法人が保有する配当支払法人の議決権割,合に応じて)支払配当金に対する源泉徴収税率は15又は10%に軽減される。したがって,配当課税の観点からも,日本に恒久的施設を持たないスイス法人に対して本件株式を譲渡することが有利であった。 このように,P5社の出資は,譲渡益課税及び配当課税の軽減といったタックス・プランニングの重要性をP2グループに再認識させるきっかけとなり,控訴人からスイス法人に対して本件株式を譲渡する計画が再検討されることとなった。 ウこのため,P2グループは,CFO(最高財務責任者)のP6を中心として,複数の外部専門家の助言を受けるなどして,本件株式の譲渡について詳細な検討をした上,平成14年(2002年)7月上旬(遅くとも同月14日)までにスイス法人であるP3社に対して本件株式を譲渡すること(控訴人主張譲渡1)を決定した。 すなわち,P7社の財務担当取締役であるP8は,同日,P9法律事務所P10事務所(以下「P10」という)のパートナーであるP11及。 び同P12事務所(以下「P12」という)のアソシエイトであるP1。 3に対し「wedefinitelyintendtotransfertoaSwisscoasap.」,(我々は,至急スイス法人への譲渡実施を決定した)とのEメール(甲。 83)を送信し,控訴人の保有する本件株式をスイス法人であるP3社に譲渡することを決定した旨を通知した(な coasap.」,(我々は,至急スイス法人への譲渡実施を決定した)とのEメール(甲。 83)を送信し,控訴人の保有する本件株式をスイス法人であるP3社に譲渡することを決定した旨を通知した(なお「asap.」は「assoonas,,possible」の略語である。 。)そして,P2グループの税務担当者P14は,同月18日,会計事務所であるP15及びスイスのP16法律事務所から,控訴人主張譲渡1について,日本及びスイスの税法の観点からの最終的な助言を受けた上,同月23日,グループ内の各担当者に対して必要な指示を与えた。 エP2グループは,平成14年7月から8月にかけて,弁護士・公認会計 士ら外部専門家の助言を受けながら,控訴人主張譲渡1契約の締結及び控訴人とP3社の取締役会での承認の手続の準備,その他必要な書類の準備を行った。すなわち,控訴人は,同年8月23日の取締役会において,控訴人主張譲渡1を承認する決議をし,P3社のすべての取締役も,同年9月16日までに控訴人主張譲渡1を承認する回覧決議に署名した。 オ控訴人主張譲渡1の契約が締結されたのは,平成14年12月6日であるが,このように時間を要したのは,同年9月13日になって英国のP17法律事務所から控訴人主張譲渡1の実行には英国財務省の承認が必要である旨の指摘があり(甲110。なお,甲114,その後,控訴人主張)譲渡1をするためには,このほかにも英国法及びスイス法上の問題を解決する必要があることが判明したためである。 カ控訴人は,平成14年12月4日,本件株式の株券の発行を受けて,P12にその保管を依頼し,同月6日に指図による占有移転の方法によりP3社にこれを引き渡した。また,P1社の取締役会も同月17日,控訴人からP3社に対する控訴人主張譲渡1を承認する決議 行を受けて,P12にその保管を依頼し,同月6日に指図による占有移転の方法によりP3社にこれを引き渡した。また,P1社の取締役会も同月17日,控訴人からP3社に対する控訴人主張譲渡1を承認する決議をした。 (2)控訴人主張譲渡2に至る経緯アP4は,平成14年7月30日ころ,P7のCEOであるP18(控訴人の取締役でもあるに対して買収提案書を送付してP1社の買収本。),(件株式の譲渡)に関する最初の接触をし,その後,P4のアドバイザーであるP19が同年8月2日,ロンドンでP18と会合して同様の提案をした。 イP18は,控訴人主張譲渡1の前の平成14年8月20日,同年10月2日及び同年11月13日に東京でP4とP1社の買収をめぐって会合を開き,交渉したが,P4との間で合意に至った事項はなく,検討を進めるに値する具体的な提案もP4からされなかった。 また,P2グループとP4は,控訴人主張譲渡1後の平成14年12月 18日にも本件株式の譲渡をめぐって交渉したが,P4はP1社の全株式の対価として30億円から120億円という価格を提示したのみであり,それ以上に幅を絞り込んだ具体的金額を提示しなかったため,P2グループはこれを明確に拒絶した。 このため,P19は,同日,P4に対し,P2グループはP4の提示した最低額をP4の真意と見ており,P4が考え方を変えない限り合意はできないだろうと助言した。また,P4とP19は,P2グループが交渉を打ち切ることを心配して,来年1月には,もう少し明確な提案ができないか議論した。なお,P2グループは,P1社の譲渡先として,P4以外の候補(P20を運営するP21株式会社など)とも交渉を続けていた。 ウP18は,平成15年(2003年)2月始めころから,P3社を代理して,同社の取締役であるP6の指 1社の譲渡先として,P4以外の候補(P20を運営するP21株式会社など)とも交渉を続けていた。 ウP18は,平成15年(2003年)2月始めころから,P3社を代理して,同社の取締役であるP6の指示を仰ぎながら,P4との間で,本件株式譲渡の交渉を本格化させた。 そして,P18とP4は,交渉の結果,同年2月4日から6日までの間に譲渡代金について合意し,同月14日,法的拘束力を持たない基本合意書がP3社(取締役であるP6)とP4との間で作成された。 エしかし,最終的な本件株式の譲渡契約の締結は,買収監査(デュー・ディリジェンス)を含む様々な条件が満たされることが前提となっており,P4の代理人であるP22法律事務所の買収監査の報告書(乙5)がP4に提出されたのは,平成15年3月14日であった。 ,,,オP18とP4はその後も交渉を続け平成15年3月31日に至ってP3社の保有する本件株式2万8661株及び同社が同社以外の株主から譲渡を受けるP1社株式合計2万5406株をP4に代金103億円で譲渡する旨の契約(控訴人主張譲渡2の契約)がP3社とP4との間で締結された(なお,P5社は新株引受権を放棄した。 。)カP4がP1社を103億円という高額で買収したのは,日本を代表する 老舗の映画会社であるP4にとって,業績を急上昇させている外資系のP1社の存在は脅威であり,他の競合企業による買収を阻止し,自社がその全株式を取得する方法で買収することにより,保守的な社風に新しい手法,,を取り入れ日本市場における地位を磐石のものにしたいとの事情があり特にP1社がP23にオープンを予定していたαサイトに魅力を感じ,P1社のシネマ事業の取得を至上命題としており,多額のプレミアムを支払ったためである。P2グループもこのようなP4の事情を認識し, り特にP1社がP23にオープンを予定していたαサイトに魅力を感じ,P1社のシネマ事業の取得を至上命題としており,多額のプレミアムを支払ったためである。P2グループもこのようなP4の事情を認識し,強気の態度で交渉に臨んでいたものである。 キP3社は,平成15年4月4日,P4に対し,P12を通じて本件株式の株券を引き渡した。また,P4は,P3社の受取代理人である控訴人の銀行口座に本件株式及びP3社以外の株主が保有していたP1社株式の代金を振り込んだ。同代金は,グループ間勘定(会社間貸付金勘定等)による手続をいくつか経た後,決済された。 (3)前記(1)及び(2)のとおり,P2グループは,平成14年7月上旬(遅くとも同月14日)までにP3社に本件株式を譲渡すること(控訴人主張譲渡1)を決定していたのに対し,P1社の買収に関するP4の最初の接触は,その約2週間後の同月30日ころにされた買収提案書の送付であった。 また,控訴人主張譲渡1が,最高財務責任者のP6をはじめとするP2グループ中央の経営陣が外部専門家の助言を受けながら,主として譲渡益課税及び配当課税の軽減といったタックス・プランニング(いわゆる節税)を目的としてされたものであるのに対し,控訴人主張譲渡2は,P2グループの商務的・業務的オペレーションを主たる役割としていたP18がP3社の取締役でもあるP6の指示を受けながら,本件株式を競合他社に有利な条件で譲渡することを目的としてされたものであった。 さらに,控訴人主張譲渡1の契約は平成14年12月6日に締結され,そのころ完了したが,その時点では,控訴人主張譲渡2に係る売買契約の本質 的要素である代金額について何ら合意されておらず,P2グループがP4に対して本件株式を譲渡するかは全く明らかになっていなかった。 このように控訴人主張譲 では,控訴人主張譲渡2に係る売買契約の本質 的要素である代金額について何ら合意されておらず,P2グループがP4に対して本件株式を譲渡するかは全く明らかになっていなかった。 このように控訴人主張譲渡1と控訴人主張譲渡2は,全く別の時期に,異なる当事者間で,担当者や目的を異にして行われた別個独立の取引であるから,控訴人がP4に対して本件株式を直接譲渡したことはなく,控訴人主張譲渡1及び控訴人主張譲渡2は,仮装行為ではない。 第3当裁判所の判断 当裁判所も,本件訴えのうち,麻布税務署長が平成18年7月31日付けで控訴人に対してした,控訴人の平成15年2月1日から平成16年1月31日までの事業年度分の法人税についての重加算税の賦課決定処分の取消しを求める部分は不適法として却下すべきであり,その余の請求はいずれも理由がないので棄却すべきものと判断する。 その理由は,次の2のとおり付加するほか,原判決の「事実及び理由」欄の「第3争点に対する判断」の1及び2(原判決11頁13行目から24頁17行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 控訴理由について控訴人は,P2グループが平成14年7月上旬までに控訴人主張譲渡1を決定していたのに対し,P1社の買収に関して,P18とP4との最初の接触があったのは,P4がP18に対し買収提案書を送付した約2週間後の同月30日ころであったことを前提として,控訴人主張譲渡1と控訴人主張譲渡2は,全く別の時期に,異なる当事者間で,担当者や目的を異にして行われた別個独立の取引である旨主張するので,以下では,まず,控訴人が控訴人主張譲渡1を決定した時期及びP4から最初の接触があった時期について検討した上で,控訴人主張譲渡1と控訴人主張譲渡2が別個独立の取引であるかについて更に検討することとする。 (1 ず,控訴人が控訴人主張譲渡1を決定した時期及びP4から最初の接触があった時期について検討した上で,控訴人主張譲渡1と控訴人主張譲渡2が別個独立の取引であるかについて更に検討することとする。 (1)控訴人が控訴人主張譲渡1を決定した時期及びP4から最初の接触があ った時期についてア控訴人が控訴人主張譲渡1を決定した時期について控訴人は,P2グループはかねて譲渡益課税及び配当課税の軽減を目的として,P3社又はグループ内の他の外国法人に本件株式を譲渡することを検討しており,平成14年2月にP5社から出資を受けた際,株式公開がその条件とされたことをきっかけとして,控訴人からスイス法人に対して譲渡する計画を再検討し,外部専門家の助言を受けるなどして,遅くとも平成14年7月14日までにP3社に本件株式を譲渡すること(控訴人主張譲渡1)を決定したと主張するところ,控訴人が本件訴訟において証拠として提出した以下のEメールによれば,上記主張事実を肯認することができる。 すなわち,①P2グループの最高財務責任者であるP6はP2グループの税務担当者であるP14に対する平成14年1月25日付け電子メール(甲69)において,P1社の株式公開時の譲渡益課税を極小化するために控訴人から本件株式を譲渡することを提案したこと,②P14は,会計事務所であるP15P6及びP8に対する同月30日付け電子メール甲,(70)において,控訴人がスイス法人に対して本件株式を譲渡し,同法人が第三者に本件株式を譲渡した場合,日本における譲渡益課税がないことの確認等を求めたこと,③P15のP24は,P14らに対する同年2月5日付け電子メール(甲71)において,譲渡益課税の有無を確認するためには,本件株式の譲渡益と相殺可能な控訴人の繰越欠損金の確定が必要である旨回答したこ ③P15のP24は,P14らに対する同年2月5日付け電子メール(甲71)において,譲渡益課税の有無を確認するためには,本件株式の譲渡益と相殺可能な控訴人の繰越欠損金の確定が必要である旨回答したこと,④P15のP25は,P14に対する同年7月3日付け電子メール(甲81)において,控訴人には本件株式の譲渡益に見合う十分な額の損失があることに同意する旨述べたこと,⑤P8は,P10のP11及びP12のP13に対する同年7月14日付け電子メール(甲83)において「wedefinitelyintendtotransfertoaSwiss, coasap. (我々は,できるだけ早くスイス法人に対して譲渡することを」明確に意図している)との意図を伝えたこと(なお,前記のとおり,控。 訴人は,上記英文を「我々は,至急スイス法人への譲渡実施を決定した」と訳すべきと主張しているが,採用することはできない,⑥P14は,。),(),P8P6らに対する同年7月23日付け電子メール甲88においてP26とP15から本件株式の譲渡について予定どおり進めてよいとの確認が取れたとして,同人らに対し,残っている作業項目を示し,各担当者に指示を与えたこと,⑦P13は,P8及びP11らに対し,控訴人主張譲渡1の契約書等のドラフトを添付した同年8月1日付け電子メール(甲90)を送信し,また,P8,P18,P6及びP14らに対する8月5日付け電子メール(甲23,92)に控訴人主張譲渡1の契約書の最終ドラフトを添付し,内容の確認を求めたことなどが認められる。そして,これらの電子メールによれば,P2グループがP1社の株式公開時の譲渡益課税を軽減することを主たる目的として,平成14年7月14日ころには控訴人からP3社に本件株式を譲渡する方針を決 られる。そして,これらの電子メールによれば,P2グループがP1社の株式公開時の譲渡益課税を軽減することを主たる目的として,平成14年7月14日ころには控訴人からP3社に本件株式を譲渡する方針を決定し,譲渡のための準備を行っていたと認めることができる。 イP4から最初の接触があった時期について控訴人は,P1社の買収に関するP4との最初の接触があったのは,P4がP18に対し買収提案書を送付した平成14年7月30日ころであると主張する。 しかし,P18のP27に対する平成14年7月22日付け電子メール(乙76。なお,件名は「極秘」とされていた)には「P1社は売り。 ,に出されていないが,他のプロの会社役員と同様に,我々は常に我々の株主の最高の利益のために活動せねばならないという自分の立場について,私は強調したい。したがって,貴殿が完全な文書による提案を行うことを欲するのであれば,我々は,それについて,適切な検討を行うであろう。 それを行ってから初めて,会合を検討するであろう」との記載があり,この電子メールによれば,P1社の買収に関するP4の提案は平成14年7月22日以前に既にP27を代理人としてされていたと認められるのであり,また,翌23日のP27のP4の担当者に対する電子メール(同上),「。」には3回TEL+10EMAILのやり取りでやっと元に戻しました「P18とのやり取りで元に戻す事になりました」との記載があるから,P27を代理人とするP4の提案は,平成14年7月22日の相当前からあったと推認されるのであり,控訴人の上記主張は採用することはできない。 (2)控訴人主張譲渡1と控訴人主張譲渡2が別個独立の取引であるか(仮装・隠ぺい行為の有無)についてア控訴人主張譲渡1と控訴人主張譲渡2の担当者が異なることについて は採用することはできない。 (2)控訴人主張譲渡1と控訴人主張譲渡2が別個独立の取引であるか(仮装・隠ぺい行為の有無)についてア控訴人主張譲渡1と控訴人主張譲渡2の担当者が異なることについて(ア)控訴人は,控訴人主張譲渡1が,最高財務責任者であるP6をはじめとするP2グループ中央の経営陣がしたものであるのに対し,控訴人主張譲渡2は,P2グループの商務的・業務的オペレーションを主たる役割としていたP18が担当したことを控訴人主張譲渡1と控訴人主張譲渡2が別個独立の取引であることの根拠の一つとして主張する。 (イ)しかし,控訴理由の要旨(1)ウ及び同(2)ウによれば,控訴人主張譲渡1は,P2グループの最高財務責任者であるP6を中心としてされたというのであるが,P18は,P3社の取締役でもあるP6の指示を仰ぎながら,控訴人主張譲渡2の交渉をしていたというのであるから,P18は,控訴人主張譲渡1の目的や進捗状況についてP6らを通じて熟知し,これを前提としてP4との交渉に当たっていたと考えられるのであり,P18自身も宣誓陳述書(甲220)において「平成14年1,2月に行われたP3社に対する本件株式の譲渡を含むP1社の株式公開に向けたP2グループ内の資本構成にも携わった」などと供述してい。 る。 したがって,控訴人主張譲渡1と控訴人主張譲渡2が担当者間の意思の連絡なく進行していたとはいえず,控訴人主張譲渡1と控訴人主張譲渡2の直接の担当者が異なることは,控訴人主張譲渡1と控訴人主張譲渡2が別個独立の取引であることの根拠とはならないから,控訴人の上記主張を採用することはできない。 イP2グループが平成14年11月時点においてP4に対して本件株式を譲渡する意思を有していたかについて(ア)控訴人は,控訴人主張譲渡1の契約がされ ,控訴人の上記主張を採用することはできない。 イP2グループが平成14年11月時点においてP4に対して本件株式を譲渡する意思を有していたかについて(ア)控訴人は,控訴人主張譲渡1の契約がされた平成14年12月6日の時点では,売買契約の本質的要素である代金額について何ら合意されておらず,P2グループがP4に対して本件株式を譲渡するか明らかになっていなかったと主張するところ,上記の時点でP2グループとP4との間で,本件株式の代金額について具体的な合意はされていなかったことは明らかである。 (イ)しかし,前記のとおり(原判決14頁ウ,P4は同年11月13)日の会合の際,P18に対し,P1社の買収価額を上限120億円,下限30億円とする旨の提案を既にしていたものである。そして,上記提案に基づく本件株式の価額を計算するためには,P5社の保有する6000株の新株引受権の価額を上記買収価額から差し引くとともに,控訴人がP1社の発行済株式の過半数を有していたこと(コントロール・プレミアム)等を考慮して計算するのが相当であるところ,上記新株引受権の価額及びコントロール・プレミアムを直接算定することは困難であるが,実際のP4によるP1社の買収価額(発行済株式全部と上記新株引受権の放棄の対価)103億円のうち,上記新株引受権の放棄の対価は,その約3.6%の3億6660万円であり(乙8の3,本件株式)の価額は,現実の買収価額103億円から控訴人以外の株主等に支払わ れた42億4359万6930円を差し引いた60億5640万3070円(本件株式は2万8661株であるから,1株当たり21万1311円)であって,これは,実際の買収価額の約58.8%に当たる。 そして,P4の提案にかかる上記買収価額(30億円ないし120億円)にこの割合を乗じると 万8661株であるから,1株当たり21万1311円)であって,これは,実際の買収価額の約58.8%に当たる。 そして,P4の提案にかかる上記買収価額(30億円ないし120億円)にこの割合を乗じると,本件株式の試算額は,17億6400万円ないし70億5600万円(1株当たり6万1547円ないし24万6188円)となる(なお,この試算は,平成14年11月時点では明ら,,かになっていなかった実際の買収価額に基づくものであるが控訴人は同月の時点において,最終的な買収価額を知ることはできなかったものの,本件株式が買収価額に占める割合については,これと大差のない試算をしていたものと推認される。 。)これに対し,控訴人主張譲渡1における1株当たりの本件株式の価格6万円に控訴人の持株数2万8661株を乗じると,17億1966万円となり,この価額は,P4の提案にかかる上記買収価額の下限に基づく試算額を下回るものである。 (ウ)のみならず,控訴理由の要旨(2)カによれば,P4にとって,業績を急上昇させている外資系のP1社の存在は脅威であり,他の競合企業による買収を阻止し,自社がその全株式を取得する方法で買収することにより,保守的な社風に新しい手法を取り入れ,日本市場における地位を磐石のものにしたいとの事情があり,特にP23にオープンを予定していたαサイトに魅力を感じ,P1社のシネマ事業の取得を至上命題としており,P2グループもこのようなP4の事情を認識し,強気の態度で交渉に臨んでいたというのである。 もっとも,P18が上記のようなP4の事情を認識した時期は必ずしも明らかでないが,P4の買収目的が日本市場における地位を磐石のものにすることなどにあることは,第三者も容易に推察することができる ,,ものであることP18が控訴人主張譲渡1前の 期は必ずしも明らかでないが,P4の買収目的が日本市場における地位を磐石のものにすることなどにあることは,第三者も容易に推察することができる ,,ものであることP18が控訴人主張譲渡1前の平成14年8月20日同年10月2日及び同年11月13日の3回にわたってP4とP1社の買収をめぐる交渉を行っており,その都度,英国から来日していたこと(乙7の2ないし4,P18が取締役を務めるP28社は,同年9月)30日にP4と秘密保持契約を締結し,同年10月16日には競合他社であるP4に対し限定的ながらP1社の財務情報を開示したことなどに照らすと,遅くともP4からP1社の買収価額を上限120億円,下限30億円とする旨の提案がされた同年11月13日の時点では,P18は,上記のようなP4の事情を認識していたものと推認される。 したがって,P4に対する本件株式の譲渡においては,P4固有の事情に基づく多額のプレミアムの支払が見込まれていたことが明らかであり,P18も,P4の提案した下限の30億円(上記のとおり,この場合の本件株式の試算額は,1株当たり6万1547円程度)を相当上回。 ,る金額を最終的な買収価額として想定していたものと推認されるなお甲220(P18の宣誓陳述書)によれば,P19の担当者が平成14年12月28日にP18に対し,電話で,P4が可能なオファーは「80億円くらい」とのあいまいな表現をしたところ,P18が即座にこれを拒絶したことが認められるが,P18が平成14年11月13日のP4との交渉後,格別の事情の変更もないのに,このような強気の回答をしたことは,上記の推認を裏付けるものということができる。 (エ)これに対し,株式公開による本件株式の譲渡においては,P4に対する譲渡のようなプレミアムを期待することは困難であり甲220P の回答をしたことは,上記の推認を裏付けるものということができる。 (エ)これに対し,株式公開による本件株式の譲渡においては,P4に対する譲渡のようなプレミアムを期待することは困難であり甲220P,(18の宣誓陳述書)によれば,P18も,P1社の株式公開時における目標価格を1株当たり10万円程度を想定していたことが認められる(これによれば,P1社の発行済株式総数5万4067株の価額は,約54億円となる。ただし,別にP5社の保有する6000株の新株引受 権がある。また,株式公開に至るまでには,当該会社の財務状況の。)改善のほか,社内体制の整備等,上場審査のための各種の手続が必要であり,投下資金の回収までに相当の時間と費用を要することは公知の事実である。 (オ)以上によれば,P2グループが,控訴人主張譲渡1がされる前の平成14年11月の時点において,P4に本件株式を譲渡することを確定的に決意していたとまで認めることはできない(P4の最終的に提案する買収価額が,P2グループの容認することのできる投資リターンを下回っていた場合には,P1社の企業価値が上昇するのを待って株式公開を行うのが当然であろうし,買収価額以外の条件でP4との交渉が頓挫する可能性もなかったとはいえない)が,P4固有の事情に基づく多。 額のプレミアムの支払が見込まれていたことや,投下資金の回収までの迅速性や確実性の点において,P4に対する譲渡が株式公開よりP2グループに有利であることなどからすれば,P18は,平成14年11月の時点において,P4との交渉の結果,同社に本件株式を1株6万円を相当上回る価格,すなわち,株式公開時における目標価格10万円と遜色のない価格ないしそれ以上の価格で譲渡することになる可能性が極めて高いとの認識を有していたと推認するのが相当 本件株式を1株6万円を相当上回る価格,すなわち,株式公開時における目標価格10万円と遜色のない価格ないしそれ以上の価格で譲渡することになる可能性が極めて高いとの認識を有していたと推認するのが相当であり,P4以外の第三者(例えば,P21株式会社)がP4を上回る買収金額を提案していたなど,上記推認を左右するに足りる証拠はない。 そして,P18は,控訴人の取締役であるほか,P28社及びP1社の役員を兼任していたが,P3社の役員に就任したことはなく(甲1号証の1,2,弁論の全趣旨,また,P18が役員に就任していた上記)各社のうちP1社の株式を所有していたのは控訴人のみであり,P18,,は控訴人がP1社の株主と明言してP4と交渉をしていたものでありこれらの事実に照らし,P18は,控訴人の取締役としてP4と交渉し ていたものと認めるのが相当である。 ウ控訴人が控訴人主張譲渡1をした目的について(ア)控訴人は,控訴人主張譲渡1は,主として譲渡益課税及び配当課税の軽減といったタックス・プランニング(節税)を目的としてされたも,,()のでありP2グループは平成14年7月上旬遅くとも同月14日までにP3社に本件株式を譲渡することを決定していたと主張するところ,P2グループがP1社の株式公開時の譲渡益課税を軽減することを主たる目的として,平成14年7月14日ころには控訴人からP3社に本件株式を譲渡する方針を決定し,譲渡のための準備を行っていたと認められることは,前記(1)アのとおりである。 (イ)しかし,P18がP4との交渉を開始する前にP3社に本件株式を,,譲渡していたというのであればともかく平成14年11月の時点では上記譲渡は,いまだされていなかったのであるから,前記イ(オ)のとおり,P18が平成14年11月の時点に 前にP3社に本件株式を,,譲渡していたというのであればともかく平成14年11月の時点では上記譲渡は,いまだされていなかったのであるから,前記イ(オ)のとおり,P18が平成14年11月の時点において,P4との交渉の結果,同社に本件株式を1株6万円を相当上回る価格,すなわち,株式公開時における目標価格10万円と遜色のない価格で譲渡することになる可能性が極めて高いとの認識を持ちながら,P3社に対して本件株式を1株6万円であえて譲渡することは,専ら譲渡益課税を軽減する目的で,実態から乖離した取引をするものにほかならず,このことは,前記(1)アのとおり,P2グループが外部専門家の助言を受けるなどして控訴人主張譲渡1をあらかじめ予定していたことにより左右されるものではないというべきである。 すなわち,P2グループが予定していた控訴人主張譲渡1のスキームは,株式公開時の譲渡益課税を軽減する等の目的で,P3社に対して本件株式を1株6万円であらかじめ譲渡しておくというものであったが,平成14年11月の時点では,株式公開ではなく,P4に対する譲渡が される可能性が極めて高い状況にあったのであり,このような状況下において,控訴人が控訴人主張譲渡1のスキームをいわば流用するかたちで,譲渡益課税の軽減以外に経済的合理性が認められない控訴人主張譲渡1をあえて行うことは,法人税等の支払を不当に免れる目的によるものと評価するほかないものである。 エ控訴人主張譲渡1及び控訴人主張譲渡2の契約の履行状況等について(ア)証拠(甲2,40の1,2,41の1,2,乙34)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人主張譲渡1の契約書には「本件株式の売買の対,価は,本履行時に現金で支払われる」との条項があったが(2.2 ,同)時に「売主は,本件対価を,担保及び金利がな 4)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人主張譲渡1の契約書には「本件株式の売買の対,価は,本履行時に現金で支払われる」との条項があったが(2.2 ,同)時に「売主は,本件対価を,担保及び金利がなく,いつでも支払請求可能な売主と買主との間の会社間貸付金勘定に保留することを承認する」との条項もあり(3.1(b) ,実際には,後者の条項に基づき,P3社の)控訴人に対する本件株式の代金支払は,無担保・無利息で,いつでも支払請求が可能なものとして控訴人とP3社の間の会社間貸付金勘定に留保されることになり,控訴人は,控訴人主張譲渡1に係る代金債権につき,P3社に対する企業間未収入金という名目の資産として総勘定元帳の借方に計上したこと,P2グループでは,グループ企業が控訴人に対して有する債権をP29社に譲渡し,他方,控訴人は,平成15年11月末までに,P29社が譲り受けた上記債権に対する弁済のため,P3社に対して有する控訴人主張譲渡1に係る未収の代金債権を平成15年2月1日付けで譲渡した旨の会計処理をし,この会計処理に対応してP29社において両者を相殺する会計処理がされ,現実の支払はされなかったことが認められる。 加えて,実際には,平成15年11月末までにおいても,控訴人がP29社に対し上記未収の代金債権を譲渡したことを証する書面は作成されておらず,控訴人自身が当該債権譲渡については何も知らされていな かったとされており(乙33号証,上記の会計処理は不自然,不合理)なものというほかない。 また,P1社の定款では,株主名簿は名義書換代理人の事務取扱場所に備え置き,株式の名義書換,株券の交付等に関する事務は名義書換代理人が行い,P1社は取り扱わないとされていたところ,控訴人は,平成14年11月1日,P1社に対し株券不所持の申出をしており, 扱場所に備え置き,株式の名義書換,株券の交付等に関する事務は名義書換代理人が行い,P1社は取り扱わないとされていたところ,控訴人は,平成14年11月1日,P1社に対し株券不所持の申出をしており,控訴人が,P30信託銀行に対し,P3社への名義書換に必要な書類を提出し,株券の発行を受けたのは,P30信託銀行が株式の名義書換代理人に指定されていたが,同社は,同信託銀行の関与なく本件株式の株券を発行し,控訴人とP3社が本件株式の名義書換請求をしたのは,控訴人主張譲渡1がされてから3か月以上が経過した平成15年3月10日で(,。 ,あったことが認められる以上につき原判決19・20頁控訴人はP30信託銀行に対する株主名簿更新の依頼まで3か月以上を要した理由について,P1社が非上場の会社であり,職員も株券の取扱いに関する旧商法の下での法規を知らなかったからであるとか,P12を含め,控訴人主張譲渡1を担当した関係者は,P1社の名義書換代理人としてP30信託銀行が選任されていることを認識していなかったからであるとか主張する。しかし,株式の所有者が変更になった場合に名義書換が必要になることを知らなかったなどは考えられないことであり,また,P1社は平成14年8月21日に臨時株主総会を開催し,P1社株式の名義書換代理人を指定して,P1社では株券の発行や株式の名義書換等を取り扱わないことを決定している(原判決19頁)ところ,P18らは,同株主総会に取締役として出席し,同株主総会議事録に署名押印し(乙77号証,また,同日改正された株式取扱規則(P30信託銀行)が名義書換代理人として記載されていた)にも契印している(乙20。 号証の3)から,P18らは,同日の時点で,P30信託銀行がP1社 の名義書換代理人になることを知ったものと認められる 銀行)が名義書換代理人として記載されていた)にも契印している(乙20。 号証の3)から,P18らは,同日の時点で,P30信託銀行がP1社 の名義書換代理人になることを知ったものと認められるのであって,控訴人のこの点の主張は採用できない。 。)控訴人は,控訴人主張譲渡1に際しては,平成14年12月4日にP30信託銀行が関与せずに本件株式の株券(甲第11号証の1)が発行されているところ,それが名義書換代理人であったP30信託銀行が関,,与して発行されたものでないとしても株券発行の有効性は否定されずまた,そのことを根拠に控訴人主張譲渡1が譲渡当事者間で通謀された仮装取引であったとすることもできないと主張する。 しかし,上記の認定事実のほか,以下の諸点を考慮すれば,よりそのような株券が実際の取引に用いるものとして発行されたとは認め難い。 すなわち,①控訴人は,原審で,株券の発行日及び引渡日について,訴状においては,発行日が平成14年12月4日,P3社への引渡日が同,,月6日であると主張していたが控訴人の原審準備書面(1)においては株券の発行日が同月5日,P3社への引渡日が同月6日であると主張しており,主張が一貫しておらず,控訴人がP1社から交付を受けた株券であるとする甲11号証の1には,控訴人への発行日が同月4日,P3社への引渡日が同月5日と記載されており,控訴人の上記主張のいずれとも一致しない。また,②控訴人が控訴人主張譲渡1に際して発行されたと主張する株券なる書面には,収入印紙が貼付されておらず,裏書欄に控訴人の社印及びP1社の社印が押印されたもの(甲11号証の1,19号証の2,乙13号証添付のもの)と,収入印紙が貼付されているが消印されておらず,裏書欄の社印のうち控訴人の社印が二重線で抹消されているもの(甲155 社の社印が押印されたもの(甲11号証の1,19号証の2,乙13号証添付のもの)と,収入印紙が貼付されているが消印されておらず,裏書欄の社印のうち控訴人の社印が二重線で抹消されているもの(甲155号証ないし157号証)との2つの異なる態様の株券があるが,このように異なる態様の株券が外部に出回ること自体不可解であり,また,株券の発行には印紙の貼付が必要とされており(印紙税法2条,8条1項,別表第1,裏書欄に控訴人の社印がある) ことは重要であるから,上記の株券なるものは,株券の発行手続に関する法令に通じていない者が恣意的に作成したものといわざるを得ず,したがって,これらの株券は実際の取引に用いるために作成したものでないことが強く疑われる。さらに,③P1社は,臨時株主総会を開催し,P1社株式の名義書換代理人を指定して,同社では株券の発行や名義書換手続を行わないことを決定したものであり,P1社の過半数の株式を有する控訴人が,同株主総会の決定事項を認識していたことは明らかというべきところ,控訴人主張譲渡1が実体を備えた取引であるというのであれば,株券の発行及び名義書換にしても,定款に従った手続を経るのが筋であり,控訴人及びP1社がこの手続を採らずに株券を発行するなどは考えにくいことである。 このような代金支払及び株券の発行・名義書換の状況に照らすと,控訴人主張譲渡1の契約の履行は,実体を伴わないものであったと評価するほかない。 (イ)さらに,P3社が常勤の職員を雇用しておらず,また控訴人主張譲渡1の前日の平成14年12月5日にわずか1ポンドでP28社に売却され,その100%子会社となっていること(原判決17頁)に照らすと,P3社は,上記譲渡当時,企業としての実態を欠く,いわゆるダミ。 ,ー会社にすぎなかったのではないかと強く疑わ でP28社に売却され,その100%子会社となっていること(原判決17頁)に照らすと,P3社は,上記譲渡当時,企業としての実態を欠く,いわゆるダミ。 ,ー会社にすぎなかったのではないかと強く疑われるところであるまた控訴人主張譲渡2の代金は,控訴人以外の株主らに対する株式の代金とともに,P3社の口座ではなく,控訴人の口座に送金されている(同1。 ,,,8・19頁なお控訴人は控訴人の口座に代金が送金がされたのはP4が日本国内の口座に送金することに固執し,また,スイス法人であるP3社が日本に口座を設けるために時間を要したためであるなどと主張するが,P4が上記の点について固執したことを認めるに足りる客観的な証拠はないし,P4がP3社でなく,控訴人主張譲渡2の契約の当 事者でない控訴人の口座を送金先としてまで日本国内の口座に送金することに固執する理由も見当たらない。 。)このようなP3社の実態や代金支払の状況に照らすと,控訴人主張譲渡1の契約のみならず,控訴人主張譲渡2の契約の履行も,実体を伴わない形式的なものであったと評価するほかない。 オP4の売主に関する認識状況及びP18がP4に対して要請した内容について(ア)前記のとおり(原判決15・16頁,P4が総額105億円の最)終提案をした平成15年2月4日の3日後(同月7日)になって,P18がP3社を基本合意書の宛先とするよう要請したところ,P4側は,当初,これに難色を示したが,前記エ(イ)のとおり,P3社の親会社となっていたP28社がP3社の保証人となり,その役員としてP18が署名することになったことから,最終的に基本合意書の宛先をP3社とすることを承諾したものである(なお,証拠(乙7の9)によれば,P18は,上記要請をした際,P4側に対し「びっくりするかもしれな 8が署名することになったことから,最終的に基本合意書の宛先をP3社とすることを承諾したものである(なお,証拠(乙7の9)によれば,P18は,上記要請をした際,P4側に対し「びっくりするかもしれな,いが,基本合意書(LOI)の宛先をスイス法人にして欲しい。P3社という会社でP6取締役宛だ。私がサインしないのは,単純に税務的な問題からだ」と発言していたことが認められる。 。 。)(イ)上記(ア)の経緯によれば,P4は,本件株式の株主である控訴人を売主とする売買契約を締結することを当然の前提として交渉していたものと解されるのであり(乙7の3によれば,平成14年10月2日のP18とP4の交渉において,P4の担当役員から「買収契約書は日本文を正文としたい。日本法人による日本法人からの日本法人の買収契約であり,管轄裁判所は日本国内,準拠法も日本法であることからお願いしたい」との発言があり,P18も「本質的問題ではないので対処可能。 だと思う」と回答したことが認められるところ,上記役員の「日本法。 人による日本法人からの日本法人の買収」との発言が「P4による控訴人からのP1社の買収」を意味することは明らかである,P4は,。)控訴人の税務対策に協力するために基本合意書の名宛人の名義をP3社にすることなどは承諾したが,およそ同社を実質的な契約当事者とする意思は有していなかったものと推認されるのである(原判決18頁参照。 )カまとめ控訴人主張譲渡1と控訴人主張譲渡2が担当者間の意思の連絡なく進行していたとはいえず,控訴人主張譲渡2においてP4との交渉に当たったP18は,控訴人主張譲渡1の進捗状況について熟知し,これを前提として上記交渉に当たっていたものと推認されること,控訴人は,平成14年11月の時点において,P4との交渉の いてP4との交渉に当たったP18は,控訴人主張譲渡1の進捗状況について熟知し,これを前提として上記交渉に当たっていたものと推認されること,控訴人は,平成14年11月の時点において,P4との交渉の結果,同社に本件株式を1株6万円を相当上回る価格で譲渡することになる可能性が極めて高いとの認識を持ちながら,控訴人主張譲渡1のスキームをいわば流用するかたちで,法人税等の支払を不当に免れる目的で控訴人主張譲渡1をあえて行ったこと,控訴人主張譲渡1及び控訴人主張譲渡2の各契約の履行が実体を伴わないものであったこと,P4の売主に関する認識状況及びP18がP4に対して要請した内容など,上記アないしオで認定・説示した事情を総合すれば,P2グループが控訴人主張譲渡1をすることをあらかじめ予定していたことなどを考慮しても,控訴人とP3社との間及び同社とP4との間で,真実,本件株式を順次譲渡する意思があったとは認められず,控訴人主張譲渡1及び控訴人主張譲渡2は,別個独立のものではなく,控訴人が譲渡益課税を免れるための仮装行為にすぎないと認めるのが相当である。 ,,, よって原判決は相当であり本件控訴は理由がないので棄却することとし主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第19民事部裁判長裁判官青柳馨裁判官小林敬子裁判官大野和明
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