【DRY-RUN】主 文 原判決を破毀する。 本件を仙台高等裁判所に差戻す。 理 由 仙台高等検察庁検事長代理検事川名春治上告趣意書は添付別紙のとおりである。 ところ
主文原判決を破毀する。 本件を仙台高等裁判所に差戻す。 理由仙台高等検察庁検事長代理検事川名春治上告趣意書は添付別紙のとおりである。 ところで、本件公訴事実中の第二は被告人が第一事実において示すように金原新吉を短刀を以て畏怖させた上同人から金員を交付させた際、右短刀で同人の左側鼠蹊部を突刺して全治三週間を要する切刺傷を加えたと云うのである。そこで、右第一と第二との各事実が凡て証明されるならば、被告人は恐喝罪と傷害罪とにつき刑法第五十四条第一項前段の規定を適用して処断されなければならない。けだし、傷害行為は恐喝行為とは別個に、これの事前若しくは事後においてなされたのではなく、傷害行為がただちに恐喝行為の手段としてなされたと言うからである。しかるに、原判決は、被告人の恐喝行為は脅迫を手段としたのであつて暴行を手段としたのではないと認定すると共に、被告人に暴行又は傷害の故意を認むべき証拠なしとして傷害事実の成立を否定し、この点について無罪の言渡をした。 しかし、この措置は明かに誤つていると言わなくてはならない。暴行又は傷害の故意のないと言うことから、ただちに傷害事実を全面的に否定することはできない。 要するに、原判決は「被告人の加害行為が暴行又は傷害の故意を以てなされたと認むべき証拠なし」との一点を捉えて結局犯罪の証明なき場合に該当するものとして公訴事実中傷害の点に対し無罪の言渡をしたのは、理由不備の違法あるを免れない。 従つて、論旨は理由あるものと云わなくてはならない。しかも、右の違法は事実の確定に影響を及ぼすべき法令の違反であるから、原判決を破毀し、事件を原裁判所たる仙台高等裁判所に差戻さなければならない。 仍つて、刑事訴訟法第四百四十七条第四百四十八条ノ二第一項の規定に従い、主- 定に影響を及ぼすべき法令の違反であるから、原判決を破毀し、事件を原裁判所たる仙台高等裁判所に差戻さなければならない。 仍つて、刑事訴訟法第四百四十七条第四百四十八条ノ二第一項の規定に従い、主- 1 -文の如く判決する。 この判決は裁判官の全員一致の意見によるものである。 検察官十蔵寺宗雄関与昭和二十三年七月二十九日最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官塚崎直義裁判官霜山精一裁判官栗山茂裁判官小谷勝重は差支につき署名捺印することが出来ない。 裁判長裁判官塚崎直義- 2 -
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