- 1 -主文 第1事件被告第3事件原告及び第2事件被告は第1事件及び第2事件原告第(),(3事件被告)に対し,各自560万円及びこれに対する平成14年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第1事件及び第2事件原告(第3事件被告)のその余の請求を棄却する。 第1事件被告(第3事件原告)の反訴請求を棄却する。 訴訟費用は,全事件を通じ,全部第1事件被告(第3事件原告)及び第2事件被告の負担とする。 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1請求 第1事件第1事件被告(第3事件原告)は,第1事件及び第2事件原告(第3事件被告)に対し,880万円及びこれに対する平成14年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事件第2事件被告は,第1事件及び第2事件原告(第3事件被告)に対し,880万円及びこれに対する平成14年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第3事件(反訴)第1事件及び第2事件原告(第3事件被告)は,第1事件被告(第3事件原告)に対し,100万円及びこれに対する平成17年1月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,第2事件被告有限会社a薬局(以下「被告会社」という)にパートタイ。 マーの事務員として勤務していた第1事件及び第2事件原告(第3事件被告。以下,「」。),()単に原告というが被告a薬局の代表者である第1事件被告第3事件原告b(以下,単に「被告b」という)からセクシャル・ハラスメント(セクハラ)を。 受け,また,そのことを職場の者に相談したことにつき一方的に責められた上に不当に解雇され,心的外傷後ストレス精神障害(PT (以下,単に「被告b」という)からセクシャル・ハラスメント(セクハラ)を。 受け,また,そのことを職場の者に相談したことにつき一方的に責められた上に不当に解雇され,心的外傷後ストレス精神障害(PTSD)を発症したと主張し,被告らに対して不法行為に基づく損害賠償を求め(本訴,これに対して被告bが,セクハ)ラの事実はないにもかかわらず原告が虚偽の事実を告げたり不当提訴をすることによ,,()。 り名誉等を傷つけられたとして原告に対し損害賠償を求めた事案反訴である 当事者間に争いのない事実 被告bは佐賀県鳥栖市<以下略>においてc薬局の名称の薬局以下本(),「」(「件薬局」という)を営む被告会社の代表取締役である。 。 (2)原告は,平成13年9月ころ,被告会社に雇用され,同月から平成14年3月まで本件薬局に勤務していた。 (3)原告は,平成14年,被告会社の営む薬局に勤務していた他の従業員に対し,被告bからセクハラ行為を受けている旨告げ,本件訴訟においても被告bからセク- 2 -ハラ行為を受けた旨を主張している。 争点 (1)被告bの原告に対する不法行為の存否(争点1。 )(原告の主張)ア被告bの原告に対するセクハラ行為(ア)被告bは,平成13年9月末ころ,原告の歓迎会の後に,原告を本件薬局に連れていき「その気があるから来たんやろ「コミュニケーションが大事,」,だから「信頼関係はお互いの距離にあるから,もっとそばに寄れ」などと」,言い,原告を羽交い締めにして「キスくらいなんともないやろ「割り切っ,」,たつき合いとか,どう」などと言いながら原告に顔を密着させた。原告が,抵抗して帰ろうとすると,被告bは「まだ,話は終わっていない「面接のと,」き気になったから,すぐ いやろ「割り切っ,」,たつき合いとか,どう」などと言いながら原告に顔を密着させた。原告が,抵抗して帰ろうとすると,被告bは「まだ,話は終わっていない「面接のと,」き気になったから,すぐにこの子だと選んだんだよ「若いんだから,いろ」,んな経験するのもいいやろ」と執劫に迫った。 。 (イ)被告bは,同年10月以降,勤務時間内に原告にマッサージをすると申し出るようになり,原告が断ると,不機嫌になり,些細なミスを責めたり「他,に代わりはいっぱいいるんよ「この職業難に外に仕事があるん「俺はd」,」,さんのことが好きやけん,大事に思っとるけん,いいよるんよ」などと言ってマッサージをさせるよう求めた。 (ウ)被告bは,勤務時間中,原告に対し「一緒にラブホテルに行こう。社会,勉強だと思って」などと誘い,また「彼氏できた「欲求とかはどう処理し,」,よるん「妻子もちはだめなん「どんな体位が好き「どんなのが一番興」,」,」,奮した」などと尋ねた。 イセクハラの発覚を理由とする不当解雇(ア)原告は,平成14年3月中旬ころ,泣いているところを本件薬局に研修生としていた薬剤師に見られて理由を尋ねられ,同薬剤師が口外しないと約したので,前記アの被告bの行動のいくつかを挙げて(同研修生がまもなく本件,薬局からいなくなるため)被告bと二人きりの職場に戻ることが心配であると説明した。 (イ)被告bは,同月21日,体調が不良で39度近くの熱があったため自宅で静養していた原告を本件薬局に呼び出し,上記アの原告の行為を咎め,3時間ないし4時間にわたり,被告bの妻とともに「いろんなことがあったにせよ,それを職場の人間に話したお前が悪い「お前がいなければ,もめることは」,なかった「お前のせいで家庭は崩壊,会社も倒産,子 ないし4時間にわたり,被告bの妻とともに「いろんなことがあったにせよ,それを職場の人間に話したお前が悪い「お前がいなければ,もめることは」,なかった「お前のせいで家庭は崩壊,会社も倒産,子どもたちは路頭にま」,よう。人生めちゃくちゃだ」などといって一方的に原告を非難した。また,被告bの妻は,翌日も原告宅に押し掛けて来て「あんたがいなかったら,こん,な問題おこらんかった。うちの夫婦も会社もうまくいっとったんよ。それがあんた1人のせいで,私の人生もめちゃくちゃ「ま,うちの旦那もそんなこ」,としたけん悪い。でもそれを問題にしたのはあんたよ。とにかくこれ以上私たちに迷惑かけんで,もううちで仕事する気当然ないよね。だせる顔ないやろ」などと2時間近くにわたってまくしたてた。 - 3 -,,,。 原告は同月の働いた分の給料だけを支払われ同日被告会社を解雇された(被告らの主張)アセクハラ行為の主張に対してア被告bが歓迎会後原告とともに本件薬局に戻ったのは原告の要望原(),,,(告の母親が迎えに来るため,同人が分かる本件薬局で迎えを待つこととなった)によるものであり,羽交い締めにしたり,キスをせまるなどのセクハラ。 行為は一切していない。 (イ)被告bは,原告が腹痛・便秘でつらそうな状況であったことから,背中を指圧することを申し出たところ,原告からお願いしたいとの返答であったことから,背中や腰を押したにすぎない。 その後,原告から,肩の指圧も依頼され,肩や頚部の指圧もしたが,原告の依頼によりしたにすぎず,むしろ原告から継続の要望があったものの,被告bが断ったほどである。 (ウ)性的な発言は,被告bがしていたものではなく,原告が積極的に話題にしていたものである。原告は「私,高校中退なんで,セーラー服にあ 原告から継続の要望があったものの,被告bが断ったほどである。 (ウ)性的な発言は,被告bがしていたものではなく,原告が積極的に話題にしていたものである。原告は「私,高校中退なんで,セーラー服にあこがれて,いるんです「コスチュームがあるホテル,ほかにどこか知りませんか」な」,どと話し,被告bは,原告からホテルに遊びに行くような形で誘われたが断った。 ,,,原告はそのほかにも以前勤めていた店がコスチューム着用であったこと警察の捜査があり裸足で逃げ回ったこと,お客から胸を触られたこと等も話していた。 イセクハラ発覚を理由とする不当解雇の主張に対して(ア)原告は,平成13年11月ころ,被告bに対し,両親の離婚問題のため自,,分が弁護士に頻繁に会う必要があり勤務を継続することが難しいとの話をし被告bが翌年3月までは継続するよう求めたところ,これを了承した。 その後,原告は,平成13年12月下旬ころから平成14年1月上旬ころにかけて,母親と離婚した父が精神病院に入院し,その世話をする必要があり,また,仕事が体力的にきつく,両親の問題もあってホルモンバランスが崩れ,生理もなく,乳腺炎にもなっているため,退職したいとの申出があったため,被告bは退職を了承した。 したがって,原告は,被告bとの間で,平成14年3月をもって被告会社との雇用契約を終了することを合意していたものである。 (イ)原告は,同年3月ころ,被告bが原告に対してセクハラ行為をしたという虚言を被告従業員に話した。 被告bは,このことを知り,同月21日,原告の母親の立会も求めた上で原告を呼び出した。原告は,一人で本件薬局に来て,被告bが「なんで呼ばれたか分かるね」と尋ねると「はい分かります。大変申し訳ありませんでした」,と何度も謝まり,上記虚言の点について事実無根で 上で原告を呼び出した。原告は,一人で本件薬局に来て,被告bが「なんで呼ばれたか分かるね」と尋ねると「はい分かります。大変申し訳ありませんでした」,と何度も謝まり,上記虚言の点について事実無根であることも認めた。 その際,原告は,上記従業員の家に火をつけてやるなどと話し,また,翌22日には,本件薬局に第三者から脅迫電話をかけさせ,そのことを認めるよう- 4 -な発言もしたこと,勤務態度を注意されても開き直るような態度が見られ,金品窃取を疑う事情もあったことから同日付けで解雇したものであり,不当解雇には当たらない。 (2)被告bの不法行為により生じた原告の損害(争点2)(原告の主張),,ア原告は被告bのセクハラ行為及び被告bと妻の脅迫的言動による解雇により発熱,不眠,食欲不振,胸苦しさ,耳鳴り等の症状が続いていたが,さらに平成,「。 。 14年4月被告bは原告に電話をかけ最近どうしよるん仕事は何しよるんいやあ気にはなっとったんよ。ずっと。いやね,俺もあれから悪かったなってずっと思っとったんやけど,でもねえ」などと気楽な態度で弁解したことから,原告は,上記のような体調になるほど精神的に苦しかったことを説明しようとしたが,手がけいれんし,過呼吸の症状が出て口が聞けなくなった。 ,,,,そして原告は被告bのことを思い出すと呼吸困難となりひどい頭痛がし手足にもしびれるような症状が出るようになり,また,被告bと似た人を見るとパニック状態に陥るようになった。 イ原告は,被告bの上記行為により,心的外傷後ストレス症候群(PTSD)を発症し(心療内科,神経科を受診中である,さらに過呼吸症や抑うつ症状の。)ために就業が出来なくなるという損害を被った。 ウ被告bは,被告会社の代表取締役であり,上記セクハラ行為は,その地位を利 発症し(心療内科,神経科を受診中である,さらに過呼吸症や抑うつ症状の。)ために就業が出来なくなるという損害を被った。 ウ被告bは,被告会社の代表取締役であり,上記セクハラ行為は,その地位を利用して,職場で,職務中及び職務と関連する場面で行われていた。また,原告の解雇は,被告bの人事権の発動であり職務そのものである。 原告は,そのため長期の療養を余儀なくさせられ,この精神的,経済的な損害を金銭に見積もれば,800万円(2年分の休業損害相当額600万円及び性的自己決定権の侵害200万円)を下ることはない。 (被告らの主張)ア被告bは,原告に対してセクハラ行為も脅迫的言動もしておらず,損害の発生はない。 イ原告が被告bの言動によってPTSDに罹患しているとは認められない。原告が被告bからセクハラ行為を受けていたと主張するのは平成13年9月から11月までが中心であり,原告はそのころは元気に本件薬局に勤務していたことを認めている。 (3)原告の被告bに対する不法行為(虚偽の事実の告知・不当訴訟,原告による生活の平穏を害する行為)の有無(争点3。反訴関係)(被告bの主張)ア(ア)原告は,平成14年3月ころ,被告従業員に対し,被告bが原告に対してセクハラ行為をしたという虚偽の事実を告知して原告の信用を著しく傷付けた。 (イ)原告は,本訴においても,被告bのセクハラ行為という事実無根の主張をして,原告の名誉を毀損している。 イ原告は,同月22日,知人に本件薬局に脅迫の電話をかけさせ,その後も被告- 5 -bやその妻に対して,脅迫的な言動をした。 また,原告は,同年4月に入り,自ら又は第三者から被告bの携帯電話にたびたび電話をかけ,被告所有の自動車のフロントガラスを割るなどした。 こうした原告の言動により,被告bは転居を余儀なくされ,平 た。 また,原告は,同年4月に入り,自ら又は第三者から被告bの携帯電話にたびたび電話をかけ,被告所有の自動車のフロントガラスを割るなどした。 こうした原告の言動により,被告bは転居を余儀なくされ,平穏な生活を害されている。 ウ被告bは,上記ア及びイの原告の行為に対応するため,弁護士に委任せざるを得なくなり,着手金100万円を支払うことを余儀なくされた。 エ被告bが上記ア及びイの原告の行為により受けた精神的,経済的な損害を金銭に見積もれば100万円を下ることはない。 (原告の主張)ア原告が被告従業員に被告bからセクハラ行為を受けていると告知したこと,本訴においても被告bのセクハラ行為を主張していることは認めるが,被告bの名誉侵害に当たるものではない。原告の上記行為は適法な権利救済行為である。 イ上記「被告bの主張」イの事実はなく,損害については争う。 第3争点に対する判断 前提となる事実関係本件においては,原告と被告bの述べる事実関係が大きく異なることから,争点に関する事実そのものの認定に先立ち,まず,相互の供述の信用性を検討する前提となる外形的な事実関係を確定する。 証拠(甲2,6,乙1,2,4,9,13,証人e,原告本人,被告b本人)及び弁論の全趣旨を総合すれば,このような事実関係として,次の事実が認められる。 (1)原告及び被告bの属性等ア原告は,昭和○年○月○日生まれであり,平成5年に高校に進学したが,2年時の途中で経済的な理由により中退して通信制の高校に移り,平成10年に大学,。 入学資格検定に合格したため同年4月からはα大学通信教育部に在籍していた原告の両親は別居しており,原告は,母親と同居していたが,住居は同年11月に佐賀県鳥栖市<以下略>から同市<以下略>に移った。 なお,原告は,本件薬局勤務前に,アルバイト 大学通信教育部に在籍していた原告の両親は別居しており,原告は,母親と同居していたが,住居は同年11月に佐賀県鳥栖市<以下略>から同市<以下略>に移った。 なお,原告は,本件薬局勤務前に,アルバイトとしていわゆるスナックで働いたこともあった。 イ被告bは,昭和○年○月○日生まれであり,平成5年に妻eと婚姻し,同人との間には2人の子がある。被告bは,平成12年に被告会社を設立し,本件薬局を開業した。 また,被告bは,平成14年2月に有限会社aを設立し,同年3月12日には福岡市<以下略>に,同年4月1日には佐賀県鳥栖市<以下略>にそれぞれ「f薬局」との屋号で薬局を開業した。 (2)本件薬局の職場環境等ア被告bは,平成13年9月,本件薬局のパートタイマーの事務員を募集し,希望者数名の中から,面接を経て,原告を雇うこととした。 原告は,平日午後2時から6時まで,土曜日は隔週で午前9時から午後3時半まで時給700円で勤務するパートタイマーとして被告会社に採用され,平成1- 6 -3年9月20日ころから本件薬局における勤務を開始した。 イ本件薬局には,原告及び被告bのほか,パートタイマーの女性事務員1名(gという子供をもった女性)が勤務していたが,同女性は午前中(午後1時まで)及び原告のいない隔週土曜日の勤務とされており,原告が勤務している時間帯に本件薬局内に勤務するのは平成13年末までは被告bのみであった。 もっとも,平成13年9月末までは原告の研修期間と位置付けられ,原告は上記女性とともに平日午前9時から午後6時まで本件薬局に勤務していた。 なお,このほか,被告bの妻が書類の作成等のため,月2,3回程度,本件薬局に来ていた。 ウ本件薬局は,店舗入口に客の待合い場所,その左に受付カウンターがあり,その奥に仕切られた場所に調剤室があるという構 このほか,被告bの妻が書類の作成等のため,月2,3回程度,本件薬局に来ていた。 ウ本件薬局は,店舗入口に客の待合い場所,その左に受付カウンターがあり,その奥に仕切られた場所に調剤室があるという構造になっており,原告は主としてそこで待合場所の方を向き調剤室を背にして事務や処方せんの受付等をしていた。また,本件薬局の2階には和室(以下「2階和室」という)があり,休憩。 等に利用されていた。 エ被告bは,平成14年2月,前記(1)の薬局の開業準備のため,薬剤師2名及び事務員2名を採用し,同年2月から同年3月までの間は薬剤師1名(h)及び事務員1名(i)が研修のため本件薬局で勤務していた。 (3)被告bの行為について争いのない又は容易に認められる外形的事実ア原告の研修期間最終日に当たる平成13年9月29日,被告b及び原告は,gとともに居酒屋において原告の歓迎会をし,午後9時過ぎないし10時ころgが帰宅した後,本件薬局に戻り,2階和室で,午後12時ころに原告の母親が迎えに来るまでの間,2人きりの状態であった。 イ被告bは,研修期間中に,原告の腰痛の訴えを受け,背中を指圧することを申し出,原告もそのときはgも本件薬局内にいたことから不審に思うことなく指圧を頼んだ。 被告bは,同年10月以降に本件薬局内に原告と2人のみの状態になってからも複数回,2階和室で,原告に指圧マッサージを施した。 ウ原告は,平成13年11月ころ,被告bに対して退職したいと申し出たが,被告bは慰留した。また,原告は,同年12月22日,被告bに対し,再度退職の申し出をしたが,平成14年3月に至るまで退職することはなく,被告bが同月まで原告を解雇したり,退職を勧奨することもなかった。 エ被告bは,平成14年3月21日,妻とともに,原告を本件薬局に呼び出し,原告が前記(2 成14年3月に至るまで退職することはなく,被告bが同月まで原告を解雇したり,退職を勧奨することもなかった。 エ被告bは,平成14年3月21日,妻とともに,原告を本件薬局に呼び出し,原告が前記(2)エの薬剤師(h)又は事務員(i)に被告bからセクハラを受けたという趣旨の話をしたこと等について問い質した。 また,被告bは,翌22日,妻子とともに原告の自宅を訪れ,同月20日までの給与を原告に渡して原告を解雇した。 オ被告bは,同年4月下旬,自己の携帯電話に原告からの着信記録があるのを見て原告に電話し,解雇後初めて原告と話したが,その際,原告は過呼吸となり,話せない状態となった。 原告の供述及びノート等並びに被告bの供述及び陳述書の記載の信憑性等- 7 -(1)原告作成のノート(甲3,乙7)の信憑性について(,。 「」。)原告の主張は自身が作成したノート甲3乙7以下本件ノートというに沿ったものであるのに対し,被告らはこれを原告が後日にねつ造したものであるとしてその信憑性を争っているので,まず,この点につき,検討する。 本件ノートは,文字が記載されている部分が35頁にわたり,その記載されている内容によれば,本件薬局における面接を2回目に受けたときから平成14年3月22日ころまでのことにつき記載されているものであるが,毎日つけられているものではなく,日付の記載もまばらであり,内容も日々の出来事を順序立てて綴ったというものではなく,原告の心情を中心に書かれているものである。また,基本的には毎頁1行1行に記載がされているが,所々大きな乱れた字で書かれたところがあり,似顔絵などの絵も所々描かれている。 そして,本件ノートの記載のうち,本件に直接関わるのは,①「歓迎会の日」と,(「」。)して書きなぐった跡かろうじてへー な乱れた字で書かれたところがあり,似顔絵などの絵も所々描かれている。 そして,本件ノートの記載のうち,本件に直接関わるのは,①「歓迎会の日」と,(「」。)して書きなぐった跡かろうじてへーんたい!と書いてあることは窺われるから始まりその日の出来事とそれに対する思いが約9頁にわたって綴られている部分,②「10月ももうすこし」として,原告から指圧されることを嫌悪している旨を記載した約半頁の記載,③「もう師走になるのに」とした上で「最近のストレ,ス事情」として被告bの発言とそれに対する思いが4頁にわたり記載されている部分,④「12月12日」として,証人jに被告bが酷い発言をしていたことを聞かれたことを知ったことを窺わせる約半頁の記載,⑤「12月22日」として,被告bのやりとりとそれについての思いが3頁に記載されている部分,⑥3月22日のやりとりと思われる記載が2頁にわたり記載されて部分であり,これらを除く約半分の分量の頁には仕事に対する自分の決意,母親との会話や母親に対する感情,おじの死をめぐり思うこと(母親を守るという決意,兄や馴染みの患者との会話等)が記載され自分を鼓舞するための字句や自己を励ます吹き出しを付した似顔絵自,(己の似顔絵と思われる)が随所に記載されている。 。 また,上記①の記載の最後の部分には「でもきっと酔ってあったんだ。私が少,し大人になろう。なくだけないたらすこしはラクになった」との記載があり,翌日の部分の記載にも「お酒がはいっていたからかも「むこうもわすれているかも,」しれないし,反省しているかも」などとして,なるべく否定的でない受け止め方をしようとした記載が見られ,後には「仕事は仕事だ「頑張れ!d!」と続いて。」いる。②の記載の後の部分も「でも本当に親切でいってくれてるのかも。そう思, として,なるべく否定的でない受け止め方をしようとした記載が見られ,後には「仕事は仕事だ「頑張れ!d!」と続いて。」いる。②の記載の後の部分も「でも本当に親切でいってくれてるのかも。そう思,っていれば腹もたたない!と思おう「フキゲンにしてしまうのは私の気量(原文」ママ)がたりないせいもあると思っておちつこう!」との記載で終わっている。さらに,③についても,最後の部分では,母親に気付かれることを懸念し,また,泣いて相談をすると励ましてくれる周囲の人々への感謝の言葉を綴り,おじ(直後に亡くなったことが記載されている)のことで精神的に弱っていた母親をしっかり。 支えていくために頑張るという決意が記されて終わっているものである。④の記載においても「びっくり&はずかしくてたまらない「まさかきこえていたとは」,」,と被害を受けたことを誇張するのではなく,むしろ被告bの言について指摘され羞恥心を感じた旨を記載しているのであり,やはり最後の部分は「いざとなったらや- 8 -めよう。だからもう暗くなるのはよそう「そう思えば少しはラクになるよね」と」自分を慰めるかのような言葉で締め括られている。⑤の記載も被告bの態度を非難する記載の後は「先生が態度改めてくれるなら,全部もういままでのことは考え,ないようにして,もう少し頑張ってみるか・・・?「これから年末年始,きっと」忙しくなる。二人だけの時間なんて,そうないだろうし・・「この時期にやめ。」られたらやっぱり先生も相当こまるのだろう・・」と相手の立場に配慮を示すよ。 うな記載があった上で「私は患者さんのために頑張る。患者さんのことだけみて,いよう」と同様に前向きの決意を示す記載で終えられている。⑥の部分は,本件。 ,,,ノートの最後の部分でありもはや前向きの姿勢を示す記載はな は患者さんのために頑張る。患者さんのことだけみて,いよう」と同様に前向きの決意を示す記載で終えられている。⑥の部分は,本件。 ,,,ノートの最後の部分でありもはや前向きの姿勢を示す記載はなく被告bの妻が被告bがした行為を(それ自体は何をしたかは想像できるとした上で)原告が口外したことにつき原告を責め立てた発言を綴った後「って,それはないやろ!」と,辛うじて読める字で裏写りする強い筆圧により書かれた文言で終わっているものである。 このような本件ノートの内容及び体裁からみれば,これが被告bに対する裁判の証拠として提出する目的で書かれたものでないことは明らかでありまた通常日,,「記」と呼ばれるものと異なるものであることも明らかであって,自分の気持ちを整理するために,悩みや不満を思うに任せて率直に書いた上で,自分を鼓舞するために自分に対する励まし,慰めの言葉を記載したノートであるものと認められる(したがって,日記であることを前提に本件ノートの信憑性を論難する被告らの主張がいずれも当を得ないものであることはいうまでもない。なお,本件ノートの「今日で5日目であるの日」は,ノートを取りはじめて5日目と解する余地もある上,原告本人の認識では平成13年9月20日ころの勤務開始であってそのころに本件ノートを書き始めたとされており(甲2,6,タイムカードとの関係は明らかでは)ないものの,少なくとも上記記載の日は歓迎会の日とは一致しないものである可能性が高いことを指摘しておく。 。)また,そのような本件ノートの性質上,公表を目的とするものでないことはいうまでもないが,上記のように一方的に相手を非難するのではなく,ある程度客観化して前向きにとらえる余地を見出した上で将来の行動へ繋げようとする姿勢が見られるものであり,したがって,本件ノート とはいうまでもないが,上記のように一方的に相手を非難するのではなく,ある程度客観化して前向きにとらえる余地を見出した上で将来の行動へ繋げようとする姿勢が見られるものであり,したがって,本件ノートに綴られている感情の発露の基となった被告bの言動等については,概ね事実に沿った記載がされているものと推認できるものである。 (2)被告bの供述及び陳述書(乙2)の記載の信憑性等について被告bは,要するに①自分は原告から求められて指圧をしただけである,②性的な発言は被告bがしていたものではなく,原告が積極的に話題にしていたものである,③歓迎会の後のセクハラ行為は一切ないという旨を述べ,その旨陳述書に記載している。そして,原告については,②のような行為に及ぶ背景に,原告が水商売等もしていたことがあり,貞操観念が欠如し,異姓の交友関係も幅広くもっているということがあると述べている。 しかしながら,被告bは被告会社の代表者であり原告の使用者の立場にあって,,,年齢も原告より12歳も年長である上本件薬局の求人募集には数名の者が応募し- 9 -かつ,平成14年3月22日には(当月分全部ではなく)20日までの給料のみを渡してその日に即日解雇を決意できる状況であり,かつ,休日に(かつ,後記のとおり体調不良のため自宅で静養してた)原告を本件薬局に呼びつけられる関係であったにもかかわらず,唯々諾々と○○歳のパートタイマーの事務員にすぎない原告の依頼に応じて指圧をしたり,性的な話題を積極的に持ち出され,ときには嫌悪するまでの話題(被告b本人調書294項,295項参照)さえ出されたという状況は到底考え難い(本件薬局の構造上も,原告は薬剤師がいるべき調剤室に背を向ける形で作業をするはずであり,薬剤師であり使用者である被告bに性的な雑談を自ら積極的にすることは考 )さえ出されたという状況は到底考え難い(本件薬局の構造上も,原告は薬剤師がいるべき調剤室に背を向ける形で作業をするはずであり,薬剤師であり使用者である被告bに性的な雑談を自ら積極的にすることは考えにくいといえる。 。)また,被告b及びその妻である証人eの述べる原告の人物像を前提にすると,何故にそのような性的に奔放でいわゆる水商売もしていたような原告が(被告bの述べるところによると頻繁にトイレにいかなければならないほど)腹痛や腰痛等を訴()え体調がすぐれないのにそのようないわゆる水商売ないし夜の仕事の類ではなく日中に時給700円程度の金額で平日4時間の勤務(日額で2800円にしかならない)をしなければならないのか理解に苦しむところでもあり,かつ,遅刻等も。 多いなど勤務態度も悪い原告を何故被告bが平成13年11月の段階で原告から退職の申し出があった際に(翌年3月までとしても)慰留しなければならなかったのかも不可解である。その上,被告bの主張によれば,そのような異性経験豊富と見られる原告が本件ノートのように臨場感溢れる表現で虚偽の事実を記載することができるだけの能力をもちながら,本人尋問では,ラブホテルの見学の文脈の中でkホテルを見に行ったという話を持ち出し,あるいは(否定すれば分からないはず,のコスチュームプレーをする店を見学に行ったという話をしたと認めるという嘘)(であるとすれば)稚拙な応答しかできなかったということになるが,そのように解することの方がかえって不自然であるというべきである。 さらに,平成14年4月に被告bが原告に電話をした際に原告が過呼吸になったことは被告bも認めているところ,被告bの述べる経過によると原告がそのような状態になることが全く理解できない上に,原告が当公判廷において供述するに先立って過呼吸の状 話をした際に原告が過呼吸になったことは被告bも認めているところ,被告bの述べる経過によると原告がそのような状態になることが全く理解できない上に,原告が当公判廷において供述するに先立って過呼吸の状態に陥り,裁判所において看護士の立会を求めた上でなお状況によっては尋問の打ち切りがあり得ることを告知の上で原告本人尋問を行い(そのため主尋問は著しく制限した,原告が所々息も絶え絶えに応答する場面があったこ。)とは当裁判所に顕著な事実である(被告らも「原告が,何らかの原因で精神的な,ダメージを受け,衰弱した状態となっていることは,本人尋問の際の証言態度から見ても明らかである」としている(平成17年3月18日付け被告ら準備書面2頁)が,そのような状態に陥ることも被告bの述べるところでは全く説明がつ)。 かないものである。 加えて,上記③の点についても,被告bの述べる経緯によると,なぜ歓迎会のされた居酒屋で原告がすぐに電話しなかったのか,迎えを待つ場所としても当該居酒屋又は近隣の飲食店等で待たずにわざわざ2人きりになる本件薬局にただちに向かわなければならなかったのか,なぜ引越しも済んでいないβの家に送るという話が出るのかが不明である上に(午後6時に勤務を終えてからの歓迎会であり午後9,- 10 -時過ぎころ,遅くとも午後10時前には散会したと認められるが)母親が迎えに来る12時ころまでの時間的な経過等に照らしても,原告の主張する経緯と比べて信憑性が低く,本件ノートに約9頁にもわたって記載された事実のすべてを虚偽というだけの信用性は何ら見出し難いものである。 被告bの上記主張は,自分が一方的に原告が性的に奔放であると考えて性的な話をしたり,接触・関係を求めた可能性はあるとしても,全体として,保身のために虚偽を述べるものとしか考えられないもの のである。 被告bの上記主張は,自分が一方的に原告が性的に奔放であると考えて性的な話をしたり,接触・関係を求めた可能性はあるとしても,全体として,保身のために虚偽を述べるものとしか考えられないものであって,到底信用できないものと言わなければならない。 なお,被告bの述べる解雇理由についても,平成14年1月にはすでに金品の着服を疑っていたが同年3月末までのことと思って黙っていたと述べる一方で,雇用期限の終わるわずか10日前の同年3月21日に至って,休みの日にわざわざ(後記のとおり体調不良のため自宅で静養してた)原告を本件薬局に呼びつけ,あと10日しかいないはずの原告を,同月22日に至って,電話の主も分からないのに原告の関係者からの脅迫電話があったとして,しかも脅迫電話の依頼主である原告のところに妻子を連れて行って,即日解雇するに至ったとの話が不自然極まりないことはいうまでもなく,被告bの供述はこの点でも信用性に欠ける(さらに,付言すれば,本件薬局の事務員3名がいずれも1年以内に退職しているという事実(被告b本人調書132項から137項)は,むしろ本件ノートに記載のある被告bの人物像と整合するものといえる。 。)なお,証人eは被告bの妻であり,被告bの供述に沿った内容を供述しているも,。 のであって上記被告bの供述について述べたのと同様に信用できないものである(3)証人jの証言の信憑性について被告らは,証人jの証言の信用性につき,疑問を提示しているが,本件における証言の際にはすでに被告bの発言を聞いた時点から3年以上を経過しているのであ,,り詳細を述べられないことが直ちに信用性を欠くこととなるものとは言えないし陳述書を記載するに当たっては,原告との間で被告bの発言内容につき話をしたことも窺われるのであって,その内容が詳細だから ,り詳細を述べられないことが直ちに信用性を欠くこととなるものとは言えないし陳述書を記載するに当たっては,原告との間で被告bの発言内容につき話をしたことも窺われるのであって,その内容が詳細だから虚偽を書いているということも疑われるものではない。 そもそも,証人j(昭和○年生まれで原告より19歳年長である)が偽証の制。 裁による危険を犯してまで殊更に法廷において虚偽の事実を述べるべき事情は何ら見当たらないのであって,証人jの供述の信憑性はそこなわれず,本件ノートに上記④の記載があること,同人の供述と同記載の内容も概ね一致することに照らしても,同人の供述は信用できるものと認められる。 なお,被告らは,携帯電話では会話の内容を聞くことはできないと主張するが,携帯電話の感知能力が機種によっても機能(例えば,小声で話すためのモードやスピーカーフォン機能など機種により様々な機能があり得る)によっても異なり得。 るのに,何ら前提事実を確認しないまま行った実験結果(乙9)をもって会話が聞きとれないと言えるものではないことは言うまでもなく,前記(1)記載の本件ノートの記載の真実味に照らせば,むしろ上記jの証言の信用性を左右するものとは言えないというべきである。 - 11 - 本件争点に係る事実関係,(〔〕,,,前記1及び2の判断を基に 証拠 甲1から6まで枝番号省略乙3証人j原告本人)及び弁論の全趣旨を総合すれば,本件争点に係る事実関係として,以下の事実が認められる(なお,以下,被告bの言動につき可及的にニュアンスの正確性を担保するため,鉤括弧を用いて発言内容を示すが,一言一句その通りの文言であったとの趣旨ではなく,内容及び態様としてそのような旨の発言をしたという趣旨の認定であることは言うまでもない。 。)(1)平成13年9 鉤括弧を用いて発言内容を示すが,一言一句その通りの文言であったとの趣旨ではなく,内容及び態様としてそのような旨の発言をしたという趣旨の認定であることは言うまでもない。 。)(1)平成13年9月29日の歓迎会の後の被告bの言動ア被告bは,平成13年9月29日ころ,原告の歓迎会が終わった後,前記女性事務員が帰路につき,原告が母親に迎えに来るよう電話をかけようとすると,まだ仕事の話があるなどと言って原告を引き留め,ラーメン屋に誘った。 被告bは,ラーメン屋が既に閉店していたことから,原告が帰ろうとすると,「そういえばdさんちは近くだよね。dさんちのとこにちょっと行こうか」などと原告が転居予定のβの家を見に行くと言い出し,原告が誰もいないので家には上がれないと言うのを聞かず,同原告の家に向かった。被告bは,途中にあった自動販売機で缶ビールを購入し,同原告の家の前まで来ると,原告に「ちょっとくらいいいやん。部下の家を知っとくのは当たり前やろ。家庭訪問しようや。誰もおらんならいいやろ」などと言って家の中に入れるよう執拗に求めたが,原告は時間が遅い,鍵がないなどと言って断り帰ろうとした。 ,,「」,「」しかし被告bはそしたら薬局に戻ればいいまだ話が終わっていないなどと言い「そんなに信用できんの「そんなに信頼関係がなかったら,仕事,」,もできんやろ」などと言って原告を執拗に本件薬局に誘った。原告は,断ることができず,本件薬局まで同道した。 イ被告bは,本件薬局に着くと2階和室に上り,缶ビールを飲み,原告にもビールを勧め,原告に対し「ハルシオンパーティとかって興味ない。いやあ,けっ,こういけるらしいよ。俺もやったことないやけど,一度やってみたいんよねえ。 いっぱいあるけん。今日はどれ飲んだっていいよ。好きなの飲んで「ちょっ ハルシオンパーティとかって興味ない。いやあ,けっ,こういけるらしいよ。俺もやったことないやけど,一度やってみたいんよねえ。 いっぱいあるけん。今日はどれ飲んだっていいよ。好きなの飲んで「ちょっ。」,とやってみようや。いやあ本当にいいらしいって。ハルシオンパーティ」などと言った。 また,被告bは,離れて座っていた原告に「何でこんな距離あいてんの。警,戒してんの。おかしいやろ。今から一緒に働いていくのにこんな信頼関係のないような距離があるのは」などと言いながら,原告に近付き,離れようとする原。 告に対し「何でdさんを選んだと思う。ほかにも優秀な人はいっぱいおったと,よ。資格を持ってたり,経験があったり。お給料はいくらでもいいから働きますっていうような人はいっぱいいたとよ。でも初めて見たとき,仲良くなれそうと思って選んだとよ。それなのにそんなに警戒するなんて「これから仕事をし」,ていくうえで,信頼関係がないとねえ「そのためにはコミニュケーションも」,大事やろ」などと言い,さらに「信用しとるんなら,近付いても問題ないやろ」と言いながら原告に身体を密着させた。 ウ被告bは,抵抗しようとする原告に対し「でも,ちょっとはその気があるか,- 12 -らきたんやろ「普通どう思う。誰もおらん部屋に二人っきりなら,何かそう」,いうふうに思うやろ」などと言い,さらに,原告の肩を抱き,顔を寄せて,原告にキスをしようとした。 原告が顔をそむけて抵抗すると,被告bは,原告に「彼氏おらんのやろ。ど,うやって処理しよるん「割り切った付き合いとかどう思う。そういうのもた」,まにはいいんやない「キスぐらいならなんともないやろ「いやあ俺は誰で」,」,もよくていいよるんやないんよ。ほんと好きやけんいいよるんよ」などとしつこく言い,原告に 思う。そういうのもた」,まにはいいんやない「キスぐらいならなんともないやろ「いやあ俺は誰で」,」,もよくていいよるんやないんよ。ほんと好きやけんいいよるんよ」などとしつこく言い,原告に擦り寄った。 原告は,被告bの隙をみて階下に降り,母親に電話して迎えに来るよう頼み,母親が来ることを伝えた。原告の母親がほどなくして到着すると,被告bは何事もなかったかのように原告の母親と挨拶を交わし,原告は,被告bに不信感を抱きつつ泣きたい気持ちを押さえ,平静を装いながら帰路についた。原告は,被告bの言動に大きな衝撃を受け,被告会社を退職することも考えたが,母親が原告の本件薬局への就職を喜んでいたこともあり,被告bが飲酒をしていたことも影響していたと思い,しばらく我慢をして働き続けることにした。 (2)平成13年10月から11月にかけての被告bの言動ア原告は,折から腰痛を訴えていたが,被告bは,同年10月以降になって本件薬局に原告とbの二人きりの状態になってからも「体が痛いならマッサージを,してあげる「遠慮しないでいいよ,なに意識してんの」などと言って,2階」,。 和室で原告にマッサージをすることを申し出た。 原告は,被告bと二人きりのときに2階和室に上がることに抵抗を感じ,申し出を断っていたが,被告bは,不機嫌な態度を示し「他に代わりはいっぱいい,るんよ「この職業難に外に仕事があるん「俺はdさんのことが好きやけん,」,」,大事に思っとるけん,いいよるんよ」などと言ったり,些細な出来事をとらえて原告を叱責するなどした。そのため,原告は,被告bの申し出を断ることができなくなり,マッサージを受けるようになったが,被告bからマッサージをされることに嫌悪感を感じていた。 被告bは,原告に馬乗りになって原告の腰の下部まで指圧しようとし は,被告bの申し出を断ることができなくなり,マッサージを受けるようになったが,被告bからマッサージをされることに嫌悪感を感じていた。 被告bは,原告に馬乗りになって原告の腰の下部まで指圧しようとし,原告が「もういいです」というと「どうして。ここのつぼが気持ちいいやろ」などと,言って指圧を続けようとしたり,また,自分に対してもマッサージをするよう求めることがあった。 イ被告bは,同年10月下旬ころから11月ころにかけて,本件薬局内で,勤務時間又は休憩時間中に,原告に対し「初めてはいつなん。もしかしてめちゃめ,ちゃ早いんやない「今までした中で,一番よかったプレイはどんなん。一番」,。 。 ,」,過激なプレイはどんなのが好きなんいろいろやっとるやろ若いっちゃけん「最近どう。彼氏できた。おらんの。でも,どうやって処理しよるん」などの原告の異性交友等について尋ねる発言や「今度温泉いこうや。いいやん,社員旅,行で。まあ,gさんは主婦やから呼べんけど「今いろんなホテルできとるや」,ろ。なんかラブホテルとかあんまり行ったことないんよねえ。こんど一緒にいこうや。いや何もせんて。ただ,社会勉強に「dさん,スリーサイズはなんな」,- 13 -ん(原告が最近測っていないので分からないと答えたのに対し)それなら測。 ,。 ,,。 。 ってやるのにいやあ俺って得意なんよ測るの手で測って分かるんやけんいやあ,職場で面倒みる者としては,やっぱ知っとかないかんやろう。履歴書に書いとくの忘れたし。ちょっと測らせて「いやあ,最近ね,dさんのマッサ」,ージ,あれは天国やね。もうあの快感を思い出したら夜も眠れんのよ。夜もdさんのことを思い出すとうずうずして「うちはね,嫁とは全くっていっていい。」,ほどやってないんよ。そういう気も マッサ」,ージ,あれは天国やね。もうあの快感を思い出したら夜も眠れんのよ。夜もdさんのことを思い出すとうずうずして「うちはね,嫁とは全くっていっていい。」,ほどやってないんよ。そういう気もあんまり嫁相手じゃ起こらんし。寝室も別やしねえ。年に2,3回,数えるくらいも夜の生活はないんよねえ。俺まだ30半ばよ。もうほんと。こんなにないとねえ「いろいろ割り切った付き合いとか。」,はどう思う。やっぱり妻子もちとかは抵抗あるん。でも,いいやろ,若いうちはいろいろあっても「dさんから見て俺みたいなのは男としてどう。いやあ,」,自分でいうのもなんなんやけど,俺はあんまり女の人に自分から言い寄って行ったりしたことはないんよね「うちの嫁は胸がないんよ。いやあ,子供できた。」,ばっかりのときには結構大きくなっとったんやけど。やっぱり,男はおっぱいないよりあった方が嬉しいんやけど。dさんは,どうなん,どんなもんなん」などの性的な接触や交際を求める趣旨の発言を繰り返していた。 また,その際,被告bは,原告に「別にね,代わりはおるんよ。だって,dさんが応募してきたとき,他に3,40人は来たんやから。その中であえてdさんを選んだんよ。代わりはいくらでもおるんやから」などと雇用関係上使用者として優位な地位にあることをほのめかす発言もしていた。 さらに,被告bは,高校を中退した原告が通りかかった女子高生の姿を眺めな「」,がらかわいいセーラー服とかきてみたかったなあなどと発言したのに対して「dさんやったらまだセーラー服いけるんやないん。今度コスプレしようや。ラブホテルとかには置いてあるんやろ。俺も何か着るし」などと言い,以降も「コスプレしよう」などと発言することがあった。 ,,,(),なお原告は証人jに対して自宅βの家の左官工 。ラブホテルとかには置いてあるんやろ。俺も何か着るし」などと言い,以降も「コスプレしよう」などと発言することがあった。 ,,,(),なお原告は証人jに対して自宅βの家の左官工事を依頼していたが証人jは,平成14年11月下旬ころ原告の携帯電話に作業の報告のために電話をかけたところ,被告bが上記の「今いろんなホテルできとるやろ。なんかラブホテルとかあんまり行ったことないんよねえ。こんど一緒にいこうや。いや何もせんて。ただ,社会勉強に(奥さんと行って下さいとの原告の発言に対して)」,「うちはね,嫁とは全くっていっていいほどやってないんよ」などという発言。 や,原告に「いろいろやっとるやろ,若いっちゃけん「コスプレしよう」など」という発言(これらの発言は単発的なものでなく日常的に繰り返されていたと推認される)をしていたのを偶然耳にしたものである。 。 ウ原告は,上記ア及びイの被告bの言動に強い嫌悪感を感じ,精神的苦痛を受けていたが,被告bが雇い主であるため,機嫌を損ねないよう特に直接に苦情を述べることはなく,被告bの発言を婉曲的に批判し又はこれをかわすため,スナックで薬剤師に胸を触られたとの話や,コスチュームプレーをする知り合いの店に見物気分で訪れたら警察の捜索が入りあわてて逃げることになったとの話をしたり,また,被告bに,そんな欲求不満ならアダルトビデオを貸しますなどと言う- 14 -こともあった。 (3)平成13年11月以降の原告の対応等ア原告は,同月末ころ,被告bの言動に耐えかね,被告会社を退職することを決意し,その旨を被告bに申し出たが,被告bはこれを承諾せず,また,薬局の仕事そのものは患者から感謝されることもありやりがいを覚えていたこと,おじの葬式もあってしばらく休むことになったこと,精神的に弱っ し,その旨を被告bに申し出たが,被告bはこれを承諾せず,また,薬局の仕事そのものは患者から感謝されることもありやりがいを覚えていたこと,おじの葬式もあってしばらく休むことになったこと,精神的に弱っていた(加えて,脳神経外科にも通っていた)母親を守るとの決意もあった(なお,原告の母親は,当初原告が本件薬局の勤務が決まったことを喜んでいた)こと等から,再度何。 かあったら辞めることとして勤務を続けた。 ,,,。 このころ原告はストレスから生理が止まり動悸がするようになっていたイ被告bは,同年12月ころから前記f薬局の開業準備に忙殺され,本件薬局の患者を長い時間待たせて金の計算をしたり,原告に八つ当たりするといった態度に出ていたことから,原告は,被告bの患者に対する無責任な態度に辟易していた。 原告の母親は,原告が泣いて本件薬局から帰ってくる姿を見かねて,同月19,,「。 ,」,,日原告に対しもうよかやんねやめんねやめんねと声をかけ原告は精神的に限界にあることを実感し,本件薬局を退職する決意をした。 ウ原告は,母親の誕生日の翌日である同月22日,f薬局の事務員等の募集も始まったことから,被告bに対して,被告会社を退職する意思を伝えた。 原告は,真意は被告bの原告に対する性的言動に耐えかねたことが最も大きな退職の理由であったが,本件薬局と原告の自宅との距離も近いことから,体調が悪いことと両親の離婚問題を理由として説明したが,被告bは納得せず,長く勤,。 める約束であったはずで契約違反である患者を裏切るのかなどと原告を責めたこれに対して,原告は「先生とあわないんですよ「先生のマッサージとか,,」,いやらしい会話とかかなり苦痛です「いろんなことで八つ当たりとしか思え」,ないこともされたりするし「私にと めたこれに対して,原告は「先生とあわないんですよ「先生のマッサージとか,,」,いやらしい会話とかかなり苦痛です「いろんなことで八つ当たりとしか思え」,ないこともされたりするし「私にとっては苦痛なことがいっぱいなんです」」,と訴えた。 すると,被告bは,態度を豹変させ「ごめんね。俺もそんな,dさんに嫌な,思いをさせとったとはよく分かっとらんやった「これから,ほんとに気をつ」,けるけん,dさんやないと駄目なんよ「ほんといい人選んだなあって,よう」,家内とも話しよるんよ「俺もほんと態度改めるし,これから気をつけるけん,」,もうちょっと我慢して頑張ってほしい。これからは,嫌な思いもさせんごと気をつけるけん」などととりなし,さらに「お母さんに悪いんやないん。また,心,配かけてもいいん。お母さん,悲しむんやないん「生活も困るんやない「患」,」,者さん悲しむんやない」などと言い,少なくとも3月までは続けて欲しいとして慰留した。 原告は,態度を改めると言われたことやf薬局の開業準備のため被告bが多忙,,,になること年末の多忙な時期になることから患者のためと考えることとしてしばらくの間は勤務を続けて様子を見ることとした。 (4)退職(解雇)に至る経緯- 15 -ア平成14年になると,本件薬局内に二人のみでいることも少なくなり,同年2月には,研修のため薬剤師hと事務員iが本件薬局で勤務するようになり,被告bは本件薬局には来なくなったことから,原告が被告bから性的な言動等を受けることもなくなり,精神的に安定した状態で仕事をしていた。 イ原告は,同年3月中旬ころ,上記hとiの本件薬局での研修が終わりに近づいたことから,今後また本件薬局内に被告bと二人きりになることの不安感から,勤務時間中に涙を流し,hから泣 で仕事をしていた。 イ原告は,同年3月中旬ころ,上記hとiの本件薬局での研修が終わりに近づいたことから,今後また本件薬局内に被告bと二人きりになることの不安感から,勤務時間中に涙を流し,hから泣いている理由を尋ねられた。 原告は,hが日ごろ被告bに対する不満を述べていたことから,同調してもらえると考え,hに対して,被告bから二人で社内旅行に行こうと誘われたこと,嫌らしい話をされたこと,指圧マッサージを押し付けられたことなど被告bのした性的言動のいくつかを話して,被告bが戻ることに不安を感じていることを告げ,iもこの話を聞くところとなった。 ウ原告は,被告bが戻ることの不安が日に日に増し,同月20日には発熱もあったことから,同月21日の祝日には自宅で静養していた。 しかし,原告が上記イの発言をhらにしたことが被告b及び被告bの妻の知るところとなり,被告bは,妻から責められ,同日,自宅で静養していた原告を本件薬局に呼びつけた。 そして,被告b及びその妻は,子どもを連れて,原告を取り囲み,hらに上記発言をしたことについて詰問し,被告bは,上記発言に係るようなセクハラ行為を否定する発言を原告に強く求めた。原告は,発熱もあり,これに抗することもできず,被告bから嫌らしい行為はなかった旨答え,また,上記発言の内容を確認するため,iに対して電話をかけ,嫌らしい行為をされたという趣旨の話ではなかったことを確認した。また,被告b及び妻は,被告bの家庭内で妻との確執ができたことにつき「おまえがいなければ,もめることもなかった「いろん,」,なことがあったにせよ,職場の人間に話したおまえが悪い」などと責め立てた。 エ被告b及びその妻は,さらに,f薬局に勤務するはずであったhが退職の意思を被告bに対して示したことから,翌22日には,子どもを連れて,原告の よ,職場の人間に話したおまえが悪い」などと責め立てた。 エ被告b及びその妻は,さらに,f薬局に勤務するはずであったhが退職の意思を被告bに対して示したことから,翌22日には,子どもを連れて,原告の自宅を訪れ,夜勤明けで徹夜だからと面会を拒む原告の母親に「いや,今聞いてもらわないと困る,娘さんのせいでえらい目にあっている」などと諦め寄った。原告は,気分が悪くて寝ていたが,母親が助けを求めたので,被告bらと応対した。 その際,被告bの妻は,原告を睨み付けながら,原告に対し「うちの夫婦も,会社もうまくいっとったとよ。それがあんた一人のせいでね,私の人生もめちゃくちゃ「あなたのせいでこの子たちはどんなつらい思いをすると思っとっと。 」,,,」,あなたがこの子たちの人生私の人生うちの人の人生をだいなしにしたとよ「あたし達がどんだけ苦労して薬局作ったとおもいよると「いくら本当のこ」,とでも,言っていいことと悪いことがあるやろ。それがこんなふうに誰から見てもおかしいことやったら,あんたは黙っておくべきやないと「ビデオを貸し」,てやるとかいったやろ「いややったら,とっとと辞めたら良かったやんね。 」,本当にいやだったら,黙って辞めとろうもん。本当はあんたも楽しんどったんじゃないと「マッサージしあいこを二人きりの薬局でするのもおかしいが,そ」,- 16 -れを人にいうあんたは常識がなさすぎる。大人のすることじゃない。少しはわきまえたら「うちの人がそんなことをした,言ったってなったら,みんながう」,ちの人をどう思うかぐらいわかるやろう。それを人に喋ってしまうあんたはちょっとどうかしとるちゃない「黙って我慢できんとやったら,おらんならよか」,ったとに。あんたがおったせいで,どんだけ,迷惑したと思っとると。あんたのおった ろう。それを人に喋ってしまうあんたはちょっとどうかしとるちゃない「黙って我慢できんとやったら,おらんならよか」,ったとに。あんたがおったせいで,どんだけ,迷惑したと思っとると。あんたのおったせいで,会社は潰れる,うちの人も仕事やめな。私もこんな話聞いて,この人といっしょに今まで通りやっていく気はない,この子たちはあんたのせいで寂しい思いをずっとしていくことになるとよ。どう考えると,あんたがみんなの人生をだめにしたとよ。どう責任とると「あんたには何にもないやろ。うち」,の人は,何にも持ってないあんたと違って,地位とか,社会的な立場とか,ちゃんとした資格とか,たくさんのものもっとると,あんたみたいになくすものがない人間と違うとよ。こんな話ばらされてあんたよりも,もっともっとダメージを受けるとよ「どう責任とると,なんにもないあんたにどう責任がとれると,」,」「なに,その態度。早く謝らんと。まだ,反省してないと。あきれるねえ。あんた自分がしたことわかっとると「あんた彼氏おらんちゃろ「あたしはこの」,」,人とずっと今まで一緒におったっちゃけん,この人がどんなことするか,言ったとかはある程度分かる。やけん,この人がそんないやらしい態度とかとってきたことは,この人が何て言っても,ある程度想像つく。でもね,だからこそあんたが黙っておくべきやった「いややけんって仕事辞めてないってことは,あん」,たもどこかで楽しんでおったっちゃないと。じゃないと普通おりたくないやろ。 そんなことまでされて「薬剤師探すのも薬局探すのも,どんだけお金がかか」,ったと思いよると。あんたにそれ払いきると「とにかくあんたに責任とれる」,わけないけん,責任取れと言わん。ただ,ちゃんと反省してこれ以上私たちに迷惑かけんで」などと激しく捲したて,約2時 」,ったと思いよると。あんたにそれ払いきると「とにかくあんたに責任とれる」,わけないけん,責任取れと言わん。ただ,ちゃんと反省してこれ以上私たちに迷惑かけんで」などと激しく捲したて,約2時間にわたり理不尽な言い分を述べて原告を責め立てた上「もう,うちで仕事する気は当然ないよね。だせる顔ない,やろ。自分のしたことよう考えり」などと言って,原告に予め用意してあった同月20日までの給料が入った袋を投げ付けるように渡して帰った。 被告bの妻が原告を責め立てる間,被告bは,黙ったままで妻を制止しようともしなかったが,帰り際に原告の方に向かって「ごめんね」とみえる唇の動きを示した。 (5)原告のその後の状況ア原告は,前記(4)ウ及びエの出来事の後,39度以上の発熱が2週間以上続,。 ,いたが病院ではウイルス性のものではないとして薬は処方されなかったまた原告は,物を食べても吐きもどす状態であり,食欲もなく,入眠も薬なしではできないような状態となり,手足のしびれ,胸苦しさ,耳鳴りを感じ,数日間左耳が聞こえない状態にまで陥った上,過呼吸の症状もたびたび出るようになった。 イ原告は,同年4月中旬ころ,朦朧とした状態で電話をかけようとして誤って被告bの携帯電話に発信し,すぐに切ったものの,しばらく後になって,被告bから電話をかけられ「最近どうしよるん。仕事は何しよるん。いやあ,気にはな,っとったんよ,ずっと。いやあねえ,俺もあれから,悪かったなあってずっと思- 17 -いよったんやけど。でもねえ」などと軽薄な態度で謝罪の言葉を述べられたことから.自分がどれほど精神的・肉体的に窮地に陥ったかを告げようとしたが,手がけいれんし,過呼吸の状態になって話せなくなった。その後,原告は,薬を飲んだが,しばらく手足の硬直,動悸,けいれんが止まらない ら.自分がどれほど精神的・肉体的に窮地に陥ったかを告げようとしたが,手がけいれんし,過呼吸の状態になって話せなくなった。その後,原告は,薬を飲んだが,しばらく手足の硬直,動悸,けいれんが止まらない状態であった。 ウ原告は,その後も,被告bが乗っていた自動車と似た自動車を見ただけで息苦しさや手足のしびれを感じる状態にあり,また,夜になると,被告bから受けた言動を思いだして眠れず,睡眠薬を使用する状態になり,それでも被告bやその妻が夢に出てくることもあった。 さらには,自分が被告bの妻らから責められたため思い悩んで陥った状態の深刻さを示すために,自殺をすることまで考えるようになった。 エ原告は,同年5月8日ころ,被告bと同じ名である「○○」という人物が出ているテレビ番組をみて,涙が止まらずパニック状態に陥りそうになったため,l,,,。 病院に受診し強いストレスによるうつ病パニック障害過呼吸と診断されたオその後,原告は,同年7月下旬からm医院に受診し,精神科医であるm医師から心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された。 なお,原告は,m医師に対して,受診に至る経過について,薬局で経営者である薬剤師からセクハラを受け,半年位は我慢していたが,我慢できずに泣いてしまい,別の薬剤師にその事実を打ち明けたが,その薬剤師が経営者の言動を理由に辞めてしまったことから,被告b及びその妻から,原告のせいで新しい薬局が開けなくなり家族の人生もめちゃくちゃになったと非難された末に解雇されたと述べていたものである。 m医師は,原告の告知した体験が,心理的苦痛や恐怖心を引き起こすものであ,,(),り原告が就労できる状況になく夢の中にもその加害者薬剤師が再現され同男性と関連のある場所等へ行けないこと,息苦しさや涙もろさなどの神経過敏症状 恐怖心を引き起こすものであ,,(),り原告が就労できる状況になく夢の中にもその加害者薬剤師が再現され同男性と関連のある場所等へ行けないこと,息苦しさや涙もろさなどの神経過敏症状を認められ,体験から10か月を経過しても症状が持続してできること等から,上記の診断をしたものである。 カ原告は,抗うつ剤,抗不安剤,睡眠剤の投与を受けてきているが,なお不安・抑うつ状態にあり,動悸,息苦しさ,筋緊張性頭痛,便秘といった自律神経症状が続いている。 また,原告は,当公判廷においても,被告bを見て,過呼吸状態に陥った。 被告bの不法行為(セクハラ及び不当解雇)の存否(争点1)について(1)被告bの性的言動についておよそ職場において,男性上司(経営者)が女性の部下(被用者)に対してする身体接触や性的発言のすべてが違法性を有する不法行為に当たるわけではないが,(,,),当該行為の内容及び態様発言内容接触部位・時間発言・接触の態様や程度反復性・継続性,発言・接触行為の目的,相手方に与えた不快感の程度,行為の場所・時刻(他人のいないような場所・時刻かなど,勤務中の行為か否か,行為者)と相手方との職務上の地位・関係等の諸事情を総合的に考慮して,当該行為が相手方に対する性的意味を有する身体的な接触行為であって,社会通念上許容される限度を超えるものであると認められるときは,相手方の性的自由又は人格権に対する- 18 -侵害に当たり,違法性を有すると解される。 本件について,これをみるに,被告bの前記3(1)の行為は,本件薬局の経営者(被告会社の代表者)である被告bが夜間帰ろうとする原告を強いて他の人のいない本件薬局2階和室に連れこみ,被告会社に雇われて間もない○○歳(かつ学生である)の原告に対し,その抵抗を省みず,性的な関係 (被告会社の代表者)である被告bが夜間帰ろうとする原告を強いて他の人のいない本件薬局2階和室に連れこみ,被告会社に雇われて間もない○○歳(かつ学生である)の原告に対し,その抵抗を省みず,性的な関係を迫り,身体を密着させ,無理にキスをしようと顔を近付けるというものであり,まさにセクハラとして相手方の性的自由・人格権を侵害する行為以外の何物でもない。 また,被告bが原告に対してした前記3(2)アの行為(平成13年10月以降のマッサージないし指圧)も,原告が嫌悪感・不快感を感じて拒絶していたにもかかわらず,優越的地位を利用して接触を求め,馬乗りになり,腰の下部を触ろうとするなどしている上に,前記3(2)イのマッサージに関する被告bの発言に照らしても,これが被告bの性的欲求に基づきこれをいくらかでも発散するためにされた行為であることは明らかであって,原告の性的自由を侵害するセクハラ行為として違法性を有することは論を待たない。 さらに,被告bの前記(2)イの各発言は,その内容からみて,通常部下の女性と交わす会話の範囲を著しく超える露骨な性的表現,あるいは,雇い主の立場にあることを利用して性的な接触や交際を求める強要的な言辞というべきものであり,業務と無関係に自己の欲望を発散するためにされたものと認められる発言であって,前記3(3)アの原告の対応からみても原告が著しい精神的苦痛を受けているにもかかわらず,原告と二人きりの本件薬局内において勤務時間中に繰り返されていたものであり,社会通念上許容される限度を著しく逸脱し,相手方の性的自由・人格権に対する侵害として違法性を有する(上記各発言がその内容からみて一般に相手方に不快感を与える発言であることは疑いようがなく,被告bが一方的に自己の男性的魅力を過信して原告が被告bに好意を抱いているものと勘違いしてい て違法性を有する(上記各発言がその内容からみて一般に相手方に不快感を与える発言であることは疑いようがなく,被告bが一方的に自己の男性的魅力を過信して原告が被告bに好意を抱いているものと勘違いしていたとしても,そのことが同発言を正当化する理由にならないことはいうまでもない。なお,被告bは雇用主である被告会社の代表者として原告に対する労働契約上の安全配慮義務等も負うものであり,本来そのような侵害が行われないよう配慮すべき立場にあったことも指摘しておく。 。)(2)解雇の経過について前記3の経過によれば,被告会社が平成14年3月22日に原告を即時解雇したことは明らかであり,被告らもそのことは否定していない(被告らの主張によっても,勤務期間は3月末までのはずであり,中途解雇であることは明らかである。 。)そして,前記3認定の事実経過全体に照らすと,被告bは,妻から原告にマッサージをしていたことや社内旅行に行こうといったことを咎められ,原告を解雇することを求められたことが窺われるほか,hが被告会社ないし有限会社aを退職したことにつき原告が上記の出来事をhに話したためであると考え,原告の解雇に至ったことも窺われるものである。 一方で,前記3の経過に照らすと,原告は,平成13年12月22日には退職を決意しており,その後状況が変わって勤務を続けていたものの,平成14年3月下旬から被告bと本件薬局で再び働くことを嫌悪して思い悩んでいたというものであ- 19 -って,退職に至ったことそのものについては必ずしも(決めかねていたかもしれないが)意に沿わない結果であったとも断じることはできない。むしろ,前記経過に照らすと,原告は,退職そのものより,理不尽な言い分で解雇され,また,被告bの妻から一方的に罵倒されるのみならず人格を否定するような発言までさ 結果であったとも断じることはできない。むしろ,前記経過に照らすと,原告は,退職そのものより,理不尽な言い分で解雇され,また,被告bの妻から一方的に罵倒されるのみならず人格を否定するような発言までされたこと,さらにはそのために非常な苦痛を受けたにもかかわらず原告から軽薄な態度で対応されたことによって(それまで他人の非難よりも自分に落ち度があるのでは,ないかと考えるようにして逆境に向かい状況を好転させようと努力してきた原告の人格的背景もあり)精神的なバランスを崩し,人間不信(殊に男性不信)とも言うべき状況に至り,重大な事態に陥ったことが窺われるものであり,損害との関係でいえば,不法行為として問題とすべき点も,むしろ外形的な雇用契約終了の意思表示の面ではなく,上記の事態に陥る一連の流れであるものと解される。 そして,上記のとおり,直接的に原告を罵倒するなどしたのは被告bの妻ではあるが,被告bは,前記3認定のとおり一方的に原告にセクハラ行為を行っていたものであって,本来はその責めを一身に負うべき立場にあり,思い悩んだ原告が泣いた訳を尋ねられて職場の薬剤師に対してその行為を口外したことを責めるべき立場になく(原告が被告bを困惑させるべくhに辞意を生じさせるために同行為を告げたというような事情も全く見当たらない,ましてそのことを理由に原告を解雇。)することが許されるものでないことは無論のこと,妻に対してもセクハラ行為の被害者である原告をいわれもなく罵倒・叱責ないし詰問することを防ぐべき立場にあるものというべきであって,妻の傍らにいながら,前記3(4)ウ及びエのような妻の行動を制止せず,かえって,妻に加担して(hが辞めたことに関連して)hに口外したことを責め,解雇の意思表示をする(被告bの妻がこれを告げることを容認する)に至っているものであっ ウ及びエのような妻の行動を制止せず,かえって,妻に加担して(hが辞めたことに関連して)hに口外したことを責め,解雇の意思表示をする(被告bの妻がこれを告げることを容認する)に至っているものであって(セクハラ行為をした先行行為者としても従,業員の安全配慮義務等を担う被告会社の代表者としても)上記のような防止義務に反し,妻と一体となって,社会的相当性の範囲を著しく逸脱する前記3(4)ウ及びエ記載の罵倒・叱責等の行為や解雇の意思表示をしたものというべきであり,被告bは不法行為者としてその結果生じた原告の損害の全部につき賠償責任を負うものというべきである(なお,被告bは,平成13年12月22日に原告が退職の意(()思を示して以降はセクハラ行為を行っていないことや同日の発言内容前記33ウ)に照らすと,原告に対してした性的言動につき,害意をもってしたというよりは軽率に行い,これが原告に与える精神的苦痛を重大なものと考えていなかったことが窺われるが,そのような相手の女性の心情に対する配慮を欠くことが結果に対する責任を軽減する理由にならないことは無論のこと,前記3認定の一連の経過によれば,決して原告が多大な精神的苦痛を受けた結果重大な事態に至ることも予測不能とはいえないものであって,後記5のとおり結果に至る因果関係も肯定されるものである。 。)(3)被告会社の責任についてア被告bの前記3(2)の行為は,いずれも本件薬局内において,勤務時間ないし休憩時間中に被告会社の代表者である被告bが自己の代表者としての優越的な地位に乗じて行ったものであって,その外形上職務を行うについてされたことは- 20 -明らかであり,被告会社は損害賠償責任を負う(民法44条。 )また,被告bの前記3(1)の行為は歓迎会の後にされたものではあるが,原告の被 て,その外形上職務を行うについてされたことは- 20 -明らかであり,被告会社は損害賠償責任を負う(民法44条。 )また,被告bの前記3(1)の行為は歓迎会の後にされたものではあるが,原告の被告会社への入社の歓迎会の直後にされたものであり,かつ,被告bは仕事の話があると言って原告を引き留め,職務上の優越的な地位を利用して,本件薬局の建物内において上記行為を行ったものであり,被告会社の業務に近接してその延長において行われた被告会社の職務との密接な関連性を有する行為に当たるいうべきであって,被告会社は賠償責任を負うものと解される。 イ被告bの前記(3)の解雇をめぐる一連の行為は,本件薬局内で研修してhに,,,対する発言と被告bのセクハラに対する原告の対応を問題にしかつその結果原告に給料を渡して即時解雇の意思表示をするに至っているものであるから,その外形上,被告bが被告会社の職務に関して行ったものというべきであり,被告会社はこれによって生じた損害の賠償責任を負う。 原告の損害(争点2)について(),,()(() 原告は○○歳の女性であって被告bの前記4 記載の行為前記3 及び(2)のセクハラ行為)により受けた精神的苦痛が甚大なものであることは,前記3(3)及び(4)イの原告の対応等や本件ノートの記載からも窺われるところである。 また,被告bは,原告の人格を何ら尊重することなく,日常的に性的発言等のセクハラ行為を繰り返していたものであって,行為の態様も悪質であり,いわば密室状態でこのような行為の被害を原告の受けた精神的苦痛の大きさを窺わせる。 (2)さらに,原告は,通信制高校から大学入学資格検定に合格して通信制大学に通っていたもので(苦学の末に)平成14年3月にはその過程も終え,いよいよ本,格的 受けた精神的苦痛の大きさを窺わせる。 (2)さらに,原告は,通信制高校から大学入学資格検定に合格して通信制大学に通っていたもので(苦学の末に)平成14年3月にはその過程も終え,いよいよ本,格的に社会人になろうというところで,上記のような被告bのセクハラ被害を受けたばかりか,原告が被告b及びその妻の前記4(2)記載の一連の理不尽な行為により,恰も全人格を否定されたかのように感じ,前記3(5)のような状態にまで陥ったものであって,その苦痛は察するに余りあるところである。 ことに原告がいったん退職を決意したにもかかわらず,被告bは,原告の母親思いの心情や患者に対する気持ちをも利用して慰留しておきながら,セクハラ行為が妻の知れるところになるや一転して,これにつき(妻とともに)罵倒するなどして早々に原告を解雇し,一方で,その後の電話では軽薄な態度でまだ気にかけている(未練がある)というような態度を原告に示したという経過にもかんがみれば,これから世に出るはずであった原告が人間不信というべき状況に陥るのもやむを得ざるところであり,被告bの一連の行為は(本件ノートから窺われる)これまで前向きに生きようとしてきた原告の人格を根底から覆すようなものであったことを窺わせるものともいえるものである。 (3)こうした事情にかんがみると,原告が上記被告bの一連の行為後2年以上にわたって就労に耐えない状態となっていることと被告bの前記不法行為との間の因果関係も認められるものと言え,原告の主張する800万円という損害額もあながち過大なものとは言い難いものと当裁判所は考える(なお,乙8には家族のサポートが受けられないことが原告の回復を遅らせている一因となっているという趣旨の記- 21 -載もあるが,原告の家族関係は被告bによる一連の不法行為時から前記1(1)アの (なお,乙8には家族のサポートが受けられないことが原告の回復を遅らせている一因となっているという趣旨の記- 21 -載もあるが,原告の家族関係は被告bによる一連の不法行為時から前記1(1)アのとおりであり,前記3の事実関係からすれば母親の精神状態も安定していなかったことが窺われるのであって,家族のサポートを受けられないことが因果関係を否定すべき事情に当たらないことはいうまでもない。 。)しかしながら,原告は薬局の仕事自体は好きだったと述べており,また,当初正社員になるとの話もあったことが窺われる(甲2)ことからすれば,被告bの不法行為がなければ本件薬局に勤務を継続していた可能性も高かったものといえるが,その月給は12万円程度であることが窺われ(乙12の1及び2,経済的利益の)喪失として600万円と認めるには抵抗がある。 むしろ,本件においては,原告は余りにも甚大な精神的苦痛を受けたことによって就労不能の状態に陥っているものであって,経済的利益の喪失と精神的苦痛とが表裏一体の関係にあるといえるものであり,そのことをも踏まえて,前記(1)及び(2)に述べた原告の苦痛とこれによってこれまで奪われてきた原告の就労の機会,大学の通信課程修了後の新たな生活の機会その他の無形の損害の一切を金銭評価すれば500万円を下回るものではないものと認められ,また,将来にわたっては,原告が本件の問題に自分の気持ちとして決着をつけ新たな生活を開始すること(原告本人調書317項,318項)を信じ,後遺症等の将来にわたる影響はあえて評価しないものとして前記の額を認定するにとどめることとするものであるな,(お,本件においては,上記のとおり逸失利益や後遺症慰謝料等を独立の損害として認定するものではない上,そもそもPTSDに当たるかどうかの医学的判断が必要なも るにとどめることとするものであるな,(お,本件においては,上記のとおり逸失利益や後遺症慰謝料等を独立の損害として認定するものではない上,そもそもPTSDに当たるかどうかの医学的判断が必要なものではなく,原告がこれまで稼動できる状態になかったことは,前記3(5)記載の原告の状態や原告がいったん病院に勤めたがすぐに解雇されたこと(原告本人)に照らして明らかなことというべきである。 。)(4)また,本件につき原告に生じた弁護士費用として,被告らに損害賠償を命じるべき範囲としては,上記原告の損害の額,本件事案の内容,本件訴訟の経過その他本件記録にあらわれた一切の事情に照らし,60万円が相当であるものと認める。 反訴について前記認定から明らかなとおり,本訴(第1事件及び第2事件)は,いずれも理由があるものであって,不法行為を構成する余地はない(むしろ,前記認定事実に照らせば,被告bは(妻の述べるように,原告とは違って地位,社会的な立場,資格があ,るのでよりダメージを受けていると本気で考えているのでない限りは)自己に権利がないことを知りつつ反訴を提起したことも窺われ,それ自体が不法行為に当たり得るというのみならず,被告らは自己の主張を正当化すべく原告のイメージを殊更悪くするために根拠のない事実を並べたて,原告の名誉を毀損していることすら窺われるものである。なお,これらは原告の主張する不法行為とは別個の行為であり,本件においては損害額に算入していない。 。)また,被告bの主張する原告による第三者を介した脅迫的な言動や被告所有の自動車のフロントガラスを割るなどの生活の平穏を害する行為についても,これを認めるに足りる証拠は全くない(乙5ではフロントガラスの破損について被告bが被害届を提出したことは認められるが,原告の関与を窺わせる事情 ントガラスを割るなどの生活の平穏を害する行為についても,これを認めるに足りる証拠は全くない(乙5ではフロントガラスの破損について被告bが被害届を提出したことは認められるが,原告の関与を窺わせる事情は本件証拠上全く認められ- 22 -ない。被告b及びその妻である証人eの供述・証言が信用できないものであることは前記に述べたところから明らかである。 。) 結論 よって,原告の被告らに対する本訴請求は,被告らに対して各自560万円及びこれに対する本件不法行為後の平成14年4月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度において理由があるからこれを認容し,その余の本訴請求及び被告bの反訴請求は理由がないからこれを棄却することとする。 また,訴訟費用の負担については,本件棄却部分について格別の証拠調べ等を要したものではないこと,手数料額の差額部分もわずかであること,全額認容の余地も見方によってはあり得ないわけではないと当裁判所は考えることなど本件に関する事情を考慮し,民事訴訟法61条,64条ただし書,65条1項本文を適用して,全部を被告b及び被告会社の負担とすることとし,仮執行宣言につき同法259条1項を,それぞれ適用して,主文のとおり判決する。 福岡地方裁判所第5民事部裁判官森倫洋
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