主文 原判決を破棄する。本件を東京高等裁判所に差し戻す。理由 上告代理人唐沢高美、同葭葉昌司、同小又紀久雄の上告理由第二点について。原判決(その引用にかかる第一審判決を含む。以下同じ。)が、上告人有限会社A1コンクリート研究所(以下「上告有限会社」という。)に対し、第一審判決添付第一物件目録記載の建物のうち同(一)の建物の西南部間口三間、奥行二・五間、現況二階建の建物部分を除いた部分の収去を命じながら、右除外建物部分の敷地部分を含めた同第二物件目録記載の土地の明渡および右除外建物部分の敷地部分の占有による損害金を含めた損害金の支払を命じているものであることは、論旨の指摘するとおりである。そして、記録によれば、被上告人は第一審において昭和三七年一〇月二九日付訴状訂正申立書をもつて、右除外された建物部分は訴外Dの所有にかかるものとして収去を申し立てた建物の範囲より除いている事実がうかがわれる。したがつて、もし右除外建物部分が上告有限会社の所有に属さないものであるとするならば、上告有限会社は右建物部分の敷地部分を占有するものとはいえないのであつて、もしこれを占有するとすれば、いかなる態様でこれを占有するものであるか、その理由を明らかにしなければならない。しかるに、右の点についての理由を説示することもなく、右敷地部分の明渡および損害金の支払を命じた原判決には理由不備の違法があり、この点に関する論旨は理由がある。同第四点について。所論の点について、原判決は、次のとおり認定判断する。すなわち、第一審判決添付第二物件目録記載の本件土地は、もと被上告人の亡夫Eの所有に属したが、同人は、昭和一四年頃本件土地を上告人A2に建物所有を目- 1 -的として賃貸した。被上告人は、Eの死亡によ わち、第一審判決添付第二物件目録記載の本件土地は、もと被上告人の亡夫Eの所有に属したが、同人は、昭和一四年頃本件土地を上告人A2に建物所有を目- 1 -的として賃貸した。 決は、次のとおり認定判断する。すなわち、第一審判決添付第二物件目録記載の本件土地は、もと被上告人の亡夫Eの所有に属したが、同人は、昭和一四年頃本件土地を上告人A2に建物所有を目- 1 -的として賃貸した。被上告人は、Eの死亡によ わち、第一審判決添付第二物件目録記載の本件土地は、もと被上告人の亡夫Eの所有に属したが、同人は、昭和一四年頃本件土地を上告人A2に建物所有を目- 1 -的として賃貸した。被上告人は、Eの死亡により、昭和三五年二月二九日相続により本件土地の所有権を取得し、賃貸人の地位を承継した。上告人A2は、その地上に第一審判決添付第一物件目録(一)の建物を建築し、個人経営のコンクリート製造販売を業としていたが、昭和二五年一月二八日上告有限会社を設立して、同会社のために右建物を現物出資して所有権を移転し、その後昭和三一年七月有限会社を解散して上告人A1コンクリート工業株式会社(以下「上告株式会社」という。)を設立し、上告株式会社も上告有限会社当時と同じく同第一物件目録記載の本件建物およびその敷地である本件土地を使用して、同じくコンクリート製造販売業者を営んでいる。ところで、上告有限会社は、上告人A2によつて設立されたものであつて、その事業内容は、個人経営当時と少しの変化もなく、責任者は依然上告人A2であつた。さらに、上告株式会社の設立後も事業の内容に変化はなく、責任者は依然上告人A2であつた。すなわち、株式の二割は形式上知人名義になつているが、それは名義だけで上告人A2が出資しており、他の八割は上告人A2の個人出資であつて、上告株式会社の代表取締役には上告人A2が、また、上告有限会社の解散後の清算人にも上告人A2が就任していた。してみると、個人企業を会社企業に転換しても経営の実態にはその前後をつうじて実質的な変動はないものとみられないわけではないが、いやしくも、会社が設立された以上は別個独立の人格を有するに至つたものであるから、上告有限会社が上告人A2の現物出資により、その地上の建物を自ら所有し使用収益する関係は、その賃借物たる本件土地の転借または賃 も、会社が設立された以上は別個独立の人格を有するに至つたものであるから、上告有限会社が上告人A2の現物出資により、その地上の建物を自ら所有し使用収益する関係は、その賃借物たる本件土地の転借または賃借権の譲受のいずれかに該当する。 別個独立の人格を有するに至つたものであるから、上告有限会社が上告人A2の現物出資により、その地上の建物を自ら所有し使用収益する関係は、その賃借物たる本件土地の転借または賃 も、会社が設立された以上は別個独立の人格を有するに至つたものであるから、上告有限会社が上告人A2の現物出資により、その地上の建物を自ら所有し使用収益する関係は、その賃借物たる本件土地の転借または賃借権の譲受のいずれかに該当する。そして、上告有限会社および上告株式会社の本件土地の使用関係が賃借人の変更によるものか単に転貸借にすぎないか明確でない本件の場合にあつては、賃借人は賃貸人の承諾を要すべきものである。ところが、上告人A2は、被上告人の承諾をえていない。原判決は、以上のように判示したうえ、本件賃貸借契約は、賃借権の無断譲渡を- 2 -理由として昭和三六年一二月三一日に被上告人が上告人A2に対してした賃貸借契約解除の意思表示によつて終了したと判断しているのである。しかしながら、建物所有を目的とする土地の賃借人が、賃借土地を賃借人の個人企業と実質を同じくする会社に使用させたからといつて、ただちに賃貸人との間の信頼関係を破るものとはいえず、このような場合には、通常は、背信行為と認めるに足りない特段の事情があるものというべきであるから、賃貸人は、民法六一二条二項により賃貸借契約を解除することは許されないものと解すべきである(最高裁判所昭和三九年(オ)第六九六号・同年一一月一九日判決・民集一八巻九号一九〇〇頁、昭和四一年(オ)第八一八号・同四三年九月一七日判決・裁判集九二号二九一頁参照)。それゆえ、これと異なる見解に立つて、原判決の確定した事実関係のもとにおいて被上告人がした賃貸借契約解除の意思表示によつて本件賃貸借契約は終了したものとする原判決の判断は、民法六一二条二項の解釈を誤り、審理不尽、理由不備の違法があり、この点に関する論旨も理由がある。以上の次第であるから、その余の諭旨について判断するまでもなく、原判決は破棄を免れず、 判決の判断は、民法六一二条二項の解釈を誤り、審理不尽、理由不備の違法があり、この点に関する論旨も理由がある。以上の次第であるから、その余の諭旨について判断するまでもなく、原判決は破棄を免れず、本件土地の占有状態ならびに上告人A2の経営した個人企業と上告有限会社および上告株式会社とがその実質を同じくするものであるか否かについて、さらに審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すのを相当とする。 れず、 判決の判断は、民法六一二条二項の解釈を誤り、審理不尽、理由不備の違法があり、この点に関する論旨も理由がある。以上の次第であるから、その余の諭旨について判断するまでもなく、原判決は破棄を免れず、本件土地の占有状態ならびに上告人A2の経営した個人企業と上告有限会社および上告株式会社とがその実質を同じくするものであるか否かについて、さらに審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すのを相当とする。よつて、民訴法四〇七条一項の規定に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官天野武一裁判官田中二郎裁判官下村三郎裁判官関根小郷- 3 -裁判官坂本吉勝- 4 -
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