平成18(行ウ)3 産業廃棄物収集運搬業許可取消処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成19年2月23日 青森地方裁判所 棄却
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判決文本文9,848 文字)

- 1 -主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求 青森県知事が原告に対し平成18年4月24日付けでした産業廃棄物収集運搬業許可取消処分を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 第2事案の概要本件は,青森県知事から産業廃棄物収集運搬業の許可の取消処分(以下「本件許可取消処分」という。)を受けた原告が,被告に対し,本件許可取消処分は原告の代表取締役であったA(以下「A」という。)が暴力団員であるという誤った事実認定に基づいてされたものである旨主張して,本件許可取消処分の取消しを求めた事案である。 その中心的争点は,(1) Aが暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(以下「暴力団対策法」という。)2条6号に規定する「暴力団員」であるかどうか,(2) 本件許可取消処分の手続に違憲性があったかどうかである。 前提事実以下の事実は,括弧内に記載した証拠により認めることができるか,又は当事者間に争いがない。 (1) 青森県知事の原告に対する産業廃棄物収集運搬業の許可及びその更新原告(当時の代表者はA)は,平成2年7月23日,青森県知事から廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)14条1項に基づき産業廃棄物収集運搬業の許可を受け,その後5年ごとに許可の更新を受け,平成17年8月30日に直近の許可の更新を受け,平成18年3月1日にはその代表者をAから妻のBへ変更する旨の届出をした(甲1)。 - 2 -(2) 青森県知事の原告に対する本件許可取消処分青森県知事は,平成18年4月24日,原告に対し,原告の役員であったAが暴力団員であったことは,廃棄物処理法14条5項2号ロ及び同号ニの規定(申請者である法人の役員が暴力団対策法2条6号に規定する暴力 森県知事は,平成18年4月24日,原告に対し,原告の役員であったAが暴力団員であったことは,廃棄物処理法14条5項2号ロ及び同号ニの規定(申請者である法人の役員が暴力団対策法2条6号に規定する暴力団員であること又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者であること)並びに廃棄物処理法14条の3の2第1項1号の規定(それらの場合には許可を取り消さなければならないこと)に該当することを理由として,同日をもって原告に対する産業廃棄物収集運搬業の許可を取り消す旨の本件許可取消処分をした(甲8)。 原告の主張(1) Aが暴力団対策法2条6号に規定する「暴力団員」ではないこと暴力団の構成員であるかどうかは「堅めの盃」による濃密な擬似血縁関係の有無により判断されるべきであるところ,①暴力団対策法に基づく指定暴力団である5代目C組の傘下組織である3代目D組3代目E会(以下「E会」という。)の会長であるF(以下「F」という。)に対する送金は,原告が右翼から脅されるなどして業務の妨害を受けた際に,旧知のFに相談して解決してもらったことから,その謝礼の趣旨で始めたもので,1年程度で止めようとしたが,E会側から要求されて継続してきたものにすぎないこと,②平成15年1月26日に青森県G市で開催されたE会の構成員による定例の内部行事とみられる「年頭式」と称する会合(以下「本件会合」という。)への出席は,E会側から新年会に出席しないかと誘われて,暴力団の正式な会合であることは知らずに軽い気持ちで参加したものであり,会場に到着して驚いたがそのまま参加せざるを得なかったのであり,C組のバッジは当日会場で渡されて着用させられたものであり,「特別相談役」の肩書をつけられていることは認識していなかったこと,③E会の会長であるFが,AがE会に所属したことはないこ かったのであり,C組のバッジは当日会場で渡されて着用させられたものであり,「特別相談役」の肩書をつけられていることは認識していなかったこと,③E会の会長であるFが,AがE会に所属したことはないことを確認していることなどから,Aが暴力- 3 -団員でないことは明らかである。 また,被告が,本件訴訟においてAがE会の構成員であると主張し,その最も重要な証拠となるべき構成員名簿を所持しながら,その提出を拒んでいる事実からすると,構成員名簿にはAの名前はもとより,Aと思われる他の名前の記載もないことが明白である。被告は,E会の組事務所から押収した名札や電話番号表等からAをE会の構成員であることを裏付けようとしているが,そもそもAは上記名札等に記載された「H」の名称を使用したことはないのであり,これらの証拠はせいぜいE会側での扱いに関するものにすぎず,A自身が構成員であることの証拠にはならない。本来,団体の構成員となるには団体と個人との合意が必要であるところ,その合意を裏付けるようなものが何一つ提出されていない状況下で,Aを構成員と断定することは到底許されない。 (2) 本件許可取消処分の手続に違憲性があったこと青森県警察本部長が廃棄物処理法14条5項2号ニに該当すると疑うに足りる相当の理由があるという意見を述べているが,青森県知事は,「疑うに足りる相当な理由がある」にすぎない意見について,青森県警察本部が「断定した」ことを前提として処分している上,そのように認定した根拠が示されていないから,本件許可取消処分の手続は,憲法31条の定める適正手続の趣旨を没却し,憲法22条1項の定める職業選択の自由を侵害するものであって,違憲である。 被告の主張(1) Aが暴力団対策法2条6号に規定する「暴力団員」であることE会傘下組事務所から押収され 趣旨を没却し,憲法22条1項の定める職業選択の自由を侵害するものであって,違憲である。 被告の主張(1) Aが暴力団対策法2条6号に規定する「暴力団員」であることE会傘下組事務所から押収された本件会合のビデオテープ(乙2)によると,事務室に掲示された名札には,「会長F」を筆頭に「会長代行」から「若中」まで役職順に氏名が掲げられており,その中で「特別相談役I」は4番目の役付であることを示しているところ,Aは,特に幹部組員として- 4 -4番目に「特別相談役I」とテロップで紹介されており,黒色礼服に白色ネクタイという他のE会幹部と同一の正式な服装で参加しているばかりか,C組の菱の代紋バッジを胸に着けて,会場前にE会構成員が整列し深々と頭を下げAを出迎えている中を晴れがましい姿で入場し,会場内でも最前列に着座しており,困惑しているような表情でないことは明らかであることからすれば,E会構成員であることは明白である。なお,「特別相談役」というのは,暴力団員の肩書名である(乙10の1及び2)。 また,我が国の暴力団は,近年は擬制的血縁関係よりも経済的利益(利権)をめぐる結合関係に姿を変えてきているといわれているところ(乙4の1~3),AのE会に対する3万円から5万円の8年間にわたる定期的送金は,客観的にみて両者の結合関係を示す「上納金」であり,Aは当該組織に属する暴力団員であると考えるのが相当である。 さらに,原告は,上記送金は平成10年前後ころにE会会長のFに右翼の妨害に対して口利きをして助けてもらったお礼であるなどと主張するが,Aは,Fに助けてもらったというその前年の平成9年初頭のE会(当時のJ会)の寒中見舞い回状にも「特別相談役H」として名を連ねている(乙9の1及び2)。そして,Aは,平成16年にも「若中相談役I」としてE に助けてもらったというその前年の平成9年初頭のE会(当時のJ会)の寒中見舞い回状にも「特別相談役H」として名を連ねている(乙9の1及び2)。そして,Aは,平成16年にも「若中相談役I」としてE会組事務所の連絡簿に名を連ねている(乙3の1及び2)。 このように,Aは,「H」と「I」という稼業名を有する暴力団員である。 (2) 本件許可取消処分の手続に何ら違法がないこと青森県警察本部は,十分な根拠のもとにAは稼業名を「I」と称する指定暴力団C組傘下組織のE会の暴力団員であると認定しており,被告はそれらを踏まえて適正な手続を履践して聴聞を実施し,それらの結果を総合して本件許可取消処分をしたものであり,聴聞手続にも何ら違法はない。 第3当裁判所の判断 裁判所が認定した事実- 5 -前記前提事実のほか,証拠(甲1~甲9,甲11,乙1~乙3の2,乙5の1~3,乙7~乙9の2,乙22,乙23,乙25~乙32)及び弁論の全趣旨により認めることができる事実を加えると,本件の事実経過は,以下のとおりである。 (1) Aによる原告会社の設立及び経営Aは,昭和55年ころまで暴力団に所属したことがあったが,所属する組の解散により暴力団を離れて,廃食用油の回収及び販売業を始め,昭和63年に原告会社を設立し,その代表取締役として原告会社を経営してきた。 (2) 原告による青森県知事からの産業廃棄物収集運搬業の許可取得等原告は,平成2年7月23日,青森県知事から,廃棄物処理法14条1項に基づき産業廃棄物収集運搬業の許可を受け,その後5年ごとに許可の更新を受け,平成17年8月30日に直近の許可の更新を受けてきたほか(甲1),山形県知事から同じく産業廃棄物収集運搬業の許可を(甲4),岩手県知事,宮城県知事及び仙台市長から同法施行規則9条2号,10条の3第2号 17年8月30日に直近の許可の更新を受けてきたほか(甲1),山形県知事から同じく産業廃棄物収集運搬業の許可を(甲4),岩手県知事,宮城県知事及び仙台市長から同法施行規則9条2号,10条の3第2号に基づく産業廃棄物再生利用業の指定をそれぞれ受けて(甲2,3,5),各地域で事業を展開してきた。原告は,「代表取締役A」名義の名刺に本社の電話番号として加入電話番号(K)を記載するとともに(乙7),同番号を「ハローページ(岩手県L地域版)」にも自社の電話番号として掲載していた(乙8の1~3)。 なお,廃棄物処理法においては,暴力団対策法2条6号に規定する暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(廃棄物処理法14条5項2号ロ)と,法人でその役員に上記規定に該当する者のあるもの(同号ニ)については,産業廃棄物収集運搬業の許可の欠格事由とされており,岩手県,宮城県及び仙台市の関係条例等においても,産業廃棄物再生利用業の指定につき同趣旨の規定が設けられている。 (3) E会の回状等における「特別相談役H」の記載等- 6 -E会は,暴力団対策法に基づく指定暴力団である5代目C組(乙1)の傘下組織であるが,平成9年6月5日当時,E会(当時のJ会)の傘下組織であるM組事務所内の机内にあった同会の同年2月付けの回状(寒中御見舞状)には,同会の構成員とみられる者らの氏名が会長以下の役職順に列挙されており,その中に「会長」,「若頭」,「本部長」に次ぐ順位で「特別相談役H」との記載があった(乙9の1及び2)。 また,平成9年9月1日当時,E会(当時のJ会)組事務所内には,「特別相談役H」の名札が掲示されており,同事務所内の事務机のデスクマットに挟まれていた電話番号表には,「若頭」,「舎弟頭」,「本部長」,「事務局長」に次ぐ順位で「特別相談 J会)組事務所内には,「特別相談役H」の名札が掲示されており,同事務所内の事務机のデスクマットに挟まれていた電話番号表には,「若頭」,「舎弟頭」,「本部長」,「事務局長」に次ぐ順位で「特別相談役HK」(原告の前記加入電話番号と同一の番号)との記載があった(乙5の1~3)。 (4) AによるFに対する送金Aは,E会の会長であるFに対し,E会の事務局長であるN(「O」,「P」とも表記される。)が管理するとみられる「Q」名義の普通預金口座(G信用金庫R支店扱い)に送金する形で,平成6年2月2日から平成7年4月6日までの間においては「S」の名で6回にわたり合計58万円を,平成11年3月31日から同年8月27日までの間においては「T」の名で5回にわたり合計79万円を,平成12年4月24日から平成18年1月26日までの間においては「U」の名で45回にわたり合計320万円を,それぞれ送金した(甲11の3~6頁,乙2,乙5の2,乙9の2,乙27~乙32)。 (5) Aの「年頭式」への出席等Aは,平成15年1月26日,青森県G市で開催された,E会の構成員による定例の内部行事とみられる「年頭式」と称する本件会合に,他の参加者と同様に礼服の正装にC組の菱の代紋バッジを着用して出席した。E会が本件会合の模様等を撮影して作成したビデオには,E会本部の事務室内におい- 7 -て,会長以下役職別に氏名等を記載した名札の中で,「会長」,「会長代行」,「理事長」に次ぐ順位で「特別相談役I」の記載が連ねられている様子や,「特別相談役I」の字幕が映像に付されているAが,他の出席者らが整列して出迎える中を本件会合の会場に入る様子が収録されている(乙2)。 また,平成16年6月11日当時,E会事務所内で幹部組員が使用する机のデスクマットに挟まれていた電話番号 Aが,他の出席者らが整列して出迎える中を本件会合の会場に入る様子が収録されている(乙2)。 また,平成16年6月11日当時,E会事務所内で幹部組員が使用する机のデスクマットに挟まれていた電話番号表には,「顧問」,「会長代行」,「理事長」,「会長補佐」,「特別相談役」,「事務局長」,「副会長」,「副理事長」に次ぐ順位で,「若中相談役I」の名のもとに,携帯電話番号「W」と加入電話番号「K」(原告の前記加入電話番号と同一の番号)が記載されていた(乙3の1及び2,乙22,乙23)。 なお,E会内部において構成員(役職,会員)の呼称の徹底を図るために同会構成員らに配布されたとみられる「通達」と題する書面には,「特別相談役」及び「若中相談役」の記載がある(乙25,26)。 (6) Aに対する青森県警察本部の事情聴取とAの対応Aは,平成18年2月14日,青森県警察本部の警察官から本件会合への出席につき事情聴取を受け,産業廃棄物収集運搬業の許可の取消しの話をされたことから,Fに対する前記の送金を停止するとともに(乙27),同月20日,原告の代表取締役及び取締役を辞任し,Aの妻である原告代表者Bが原告の代表取締役に就任した(甲11の6頁以下)。 (7) 青森県警察本部長の青森県知事に対する意見青森県警察本部長は,平成18年2月27日,廃棄物処理法23条の4の規定に基づき,青森県知事に対し,原告につき,同法14条5項2号ニに該当する事由があると疑うに足りる相当な理由があるため,適当な措置を採ることが必要である旨の意見を述べた(甲9)。 (8) 青森県知事の原告に対する本件許可取消処分- 8 -原告は,平成18年3月29日に開催された聴聞において,Fに対する送金や本件会合への出席の事情を説明し,AはE会の構成員ではない旨の意見を述べたが(甲6,7), に対する本件許可取消処分- 8 -原告は,平成18年3月29日に開催された聴聞において,Fに対する送金や本件会合への出席の事情を説明し,AはE会の構成員ではない旨の意見を述べたが(甲6,7),青森県知事は,同年4月24日付けで本件許可取消処分を行った。その理由は,Aが廃棄物処理法14条5項2号ロの規定に該当することにより,原告が同号ニの欠格事由に該当するから,同法14条の3の2第1項1号の規定により,産業廃棄物収集運搬業の許可を取り消すというものである(甲8)。 暴力団対策法2条6号に規定する「暴力団員」への該当性について(1) 暴力団対策法2条6号に規定する「暴力団員(暴力団の構成員)」とは,当該暴力団に所属することが客観的に認められる者をいうと解するのが相当である。 本件においては,前記認定のとおり,①Aが,本名のほか,自己が代表取締役を務める会社名(有限会社X)や別称(I)を使って,E会の会長であるFに対し,長期間にわたって継続的に送金をしており,その合計額が457万円に上ること,②AはC組の傘下組織であるE会の内部行事とみられる本件会合に別称(I)を使って「特別相談役」の肩書で出席し,その際,C組の菱の代紋バッジを着用していたこと,③E会本部の事務室に掲げられた構成員を表示したものとみられる名札や同会の構成員の役職と氏名が記載されたものとみられる同会の回状(寒中御見舞状)に,会長以下4番目の序列の「特別相談役」の肩書でAの別称(I又はH)が掲げられていたこと,④E会の幹部に配布されたとみられる電話番号表に,他の幹部らと並んで「若中相談役」の肩書でAの別称(I)が掲載されるとともに,原告の加入電話番号が記載されていたこと,⑤E会組事務所内にあった別の電話番号表にも,「特別相談役」の肩書でAの別称(H)が記載されるととも 若中相談役」の肩書でAの別称(I)が掲載されるとともに,原告の加入電話番号が記載されていたこと,⑤E会組事務所内にあった別の電話番号表にも,「特別相談役」の肩書でAの別称(H)が記載されるとともに,原告の加入電話番号が記載されていたこと,⑥「特別相談役」及び「若中相談役」の肩書は,いずれもE会内部においてはその構成員に付けられる肩書であるとみ- 9 -られることによれば,Aは,平成9年ころにはE会に所属していたと客観的に認めることができるほか,少なくとも平成15年1月26日(ビデオ撮影された本件会合出席の日)から平成18年2月14日(青森県警察本部の警察官が産業廃棄物収集運搬業の許可の取消しを話題にした日)まで,客観的にみてE会に所属する者であると認めることができる。 そして,その事実は,廃棄物処理法14条の3の2第1項1号,14条5項2号ニ及び同号ロに該当する。 (2) これに対し,原告は,「暴力団の構成員であるかどうかは『堅めの盃』による濃密な擬似血縁関係の有無により判断されるべきである。」とした上で,「①Fに対する送金は,原告が右翼から脅されるなどして業務の妨害を受けた際に,旧知のFに相談して解決してもらったことから,その謝礼の趣旨で始めたもので,1年程度で止めようとしたが,E会側から要求されて継続してきたものにすぎないこと,②本件会合の出席は,E会側から新年会に出席しないかと誘われて,暴力団の正式な会合であることは知らずに軽い気持ちで参加したもので,会場に到着して驚いたが,そのまま参加せざるを得なかったのであり,C組のバッジは当日会場で渡されて着用させられたものであり,『特別相談役』の肩書をつけられていることは認識していなかったこと,③E会の会長であるFが,AがE会に所属したことはないことを確認していることなどから,Aが 会場で渡されて着用させられたものであり,『特別相談役』の肩書をつけられていることは認識していなかったこと,③E会の会長であるFが,AがE会に所属したことはないことを確認していることなどから,Aが暴力団員でないことは明らかである。」旨主張し,Aやその妻である原告代表者が作成した陳述書(甲11,12),Fが作成した「確認書」(甲10)にはこれらに沿う部分がある。 しかしながら,前記説示のとおり,暴力団構成員に該当するかどうかは,「堅めの盃」の有無で決するのではなく,客観的に判断すべきであり,当該暴力団側が構成員ではないと言明したからといって直ちに暴力団構成員の該当性が否定されるものではない。また,Fに対する送金についても,送金がされた期間や金額に照らせば,紛争解決の謝礼であると理解することは困難- 10 -である。さらに,本件会合に出席した経緯やその際の状況等についてのAの上記説明は,その内容自体が不自然であって信用し難いものである。したがって,原告の上記主張及びこれに沿う証拠は採用することができない。 (3) また,原告は,「①被告が,本件訴訟においてAがE会の構成員であると主張し,その最も重要な証拠となるべき構成員名簿を所持しながら,その提出を拒んでいる事実からすると,構成員名簿にはAの名前はもとより,Aと思われる他の名前の記載もないことは明白である。②被告は,E会の組事務所から押収した名札や電話番号表等からAをE会の構成員であることを裏付けようとしているが,Aは『H』という別称を使用したことはないのであり,これらの証拠はせいぜいE会側での扱いに関するものにすぎず,A自身が構成員であることの証拠にはならない。③本来,団体の構成員となるには団体と個人との合意が必要であるところ,その合意を裏付けるようなものが何一つ提出されていない状況 扱いに関するものにすぎず,A自身が構成員であることの証拠にはならない。③本来,団体の構成員となるには団体と個人との合意が必要であるところ,その合意を裏付けるようなものが何一つ提出されていない状況下で,Aを構成員と断定することは到底許されない。」とも主張する。 しかしながら,①仮にE会の構成員名簿にAの名前や別称が記載されていなかったとしても,前記説示のとおり,本件においては他の事情からAがE会の構成員であると客観的に判断することができる。また,②「H」の名称は,Aの本名と類似していること,電話番号表に原告の加入電話番号とともに記載されていることなどからして,Aの別称であると推認することができるのであり,E会の組事務所から押収した名札や電話番号表にAの別称とみられる名前が記載されていることは,前記説示の他の事情をも踏まえてみれば,E会側でのAの扱いを示すにすぎないものであるとはいえない。さらに,③暴力団構成員となる合意の存在を直接に示す合意書のような直接証拠がなくとも,前記認定の各事実からすれば,Aが暴力団員であったことを優に認定することができる。したがって,原告の上記主張は採用することができない。 - 11 -(4) なお,原告は,Aが本件許可取消処分に先立つ平成18年2月20日に原告の取締役を辞任していることを主張するが,それは,同月14日に青森県警察本部の警察官から産業廃棄物収集運搬業の許可の取消しを話題にされた直後のことであるから,上記辞任をもって廃棄物処理法14条の3の2第1項1号,14条5項2号ニ及び同号ロへの該当性を否定することはできない。 本件許可取消処分の手続の違憲性について(1) 原告は,「青森県警察本部長が廃棄物処理法14条5項2号ニに該当すると疑うに足りる相当の理由があるという意見を述べているが,青森県知 とはできない。 本件許可取消処分の手続の違憲性について(1) 原告は,「青森県警察本部長が廃棄物処理法14条5項2号ニに該当すると疑うに足りる相当の理由があるという意見を述べているが,青森県知事は,『疑うに足りる相当な理由がある』にすぎない意見について,青森県警察本部が『断定した』ことを前提として処分している上,そのように認定した根拠が示されていないから,本件許可取消処分の手続は,憲法31条の定める適正手続の趣旨を没却し,憲法22条1項の定める職業選択の自由を侵害するものであって,違憲である。」旨主張する。 (2) しかしながら,前記認定のとおり,青森県知事は,聴聞を開催して原告の意見を聴取し,原告から,本訴における主張と同様の実質的な意見を聴取した上で判断したものであり,本件許可取消処分に際してはその法律上の根拠条文を示しているのであるから,憲法31条や憲法22条1項には反しない。 そして,他に本件許可取消処分の手続に違憲違法な点があることをうかがわせるに足りる事情もない。 結論 以上によれば,原告の請求は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 青森地方裁判所第2民事部裁判長裁判官齊木教朗裁判官澤田久文裁判官西山渉

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